(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるカメラシステムの構成例を示す。
図1に例示されるカメラシステム300は、本発明の一実施の形態によるカメラ100と、サーバ装置200とを備える。カメラ100とサーバ装置200は、通信回線網150に接続されている。
【0008】
サーバ装置200には、競技場などの施設で実施されるスポーツイベントについてのイベント情報に関するイベントデータベース201が構築されている。
図2は、イベント情報の一例を示す。
図2に示すイベント情報には、イベントが行われる施設の位置と、施設の名称と、イベントが実施される日付と、イベントが実施される時間と、イベントで実施される競技種別に関する情報とが含まれる。施設の位置情報は、たとえば、施設の敷地内の1点の緯度と経度を含む。
【0009】
カメラ100は、撮影モードとして、スポーツの競技写真を撮影するのに適したスポーツモードを有するデジタルカメラである。ユーザが競技場などの施設内でカメラ100を起動し、スポーツモードに設定すると、カメラ100は、Wi−Fi(登録商標)などの無線通信技術を用いて通信回線網150を介してサーバ装置200に接続される。カメラ100は、カメラ100の現在位置に関する位置情報と、現在日時に関する日時情報とをサーバ装置200へ送信する。
【0010】
サーバ装置200は、位置情報と日時情報とを受信すると、カメラ100の現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントをイベントデータベース201から検索する。サーバ装置200は、検索したそのスポーツイベントで実施される競技種別を推定して、その競技種別に関する情報をカメラ100へ送信する。
【0011】
カメラ100は、予め設定された複数の焦点検出エリアにおいて位相差検出AFにより像面に結像している被写体像の焦点調節状態を検出する焦点検出装置を有する。カメラ100には、AF撮影条件に関する設定情報が競技種別ごとに予め記録されている。カメラ100は、競技種別に関する情報を受信すると、その情報に基づいて競技種別に応じた設定情報を読み出して、その設定情報に基づいてAF撮影条件を仮設定する。
以降、AF撮影条件を仮設定するため、サーバ装置200が推定した競技種別に関する情報を取得することを第1の被写体推定と呼ぶ。
【0012】
カメラ100には、位相差検出AFに用いる焦点検出エリアが複数設定されている。仮設定したAF撮影条件に基づいて、それら複数の焦点検出エリアの中から位相差検出AFにより合焦させる焦点検出エリアが仮選択される。カメラ100は、仮選択された焦点検出エリアの画像について、人物像の有無など、後述する種々の項目について評価を行い、その評価に基づいて被写体の種別の候補を検出する。被写体の種別には、サーバ装置200が推定するスポーツの競技種別が少なくとも含まれ、さらに人物スナップ、静止物、風景など、スポーツの競技以外の種別も含まれる。カメラ100は、こうして検出された候補の中に第1の被写体推定で推定された競技種別が含まれる場合、実際にその競技を撮影しているものと判断する。含まれない場合、観客など競技者以外の人物、スコアボードなどの静止物、風景など競技とは別の種別の被写体を撮影していると判断する。
以降、仮選択された焦点検出エリアの画像に基づいて被写体の種別を推定することを第2の被写体推定と呼ぶ。
【0013】
カメラ100は、第2の被写体推定において競技以外を撮影していると判断した場合に、仮選択された焦点検出エリアの周囲の画像についても、人物像の有無など、種々の項目について評価を行い、その評価に基づいて被写体の種別の候補を検出する。この候補の中に第1の被写体推定で推定された競技種別が含まれる場合、カメラ100は、その競技を撮影しているものと判断し、含まれない場合、観客など競技者以外の人物、スコアボードなどの静止物、風景など競技とは別の種別の被写体を撮影していると判断する。
以降、仮選択された焦点検出エリアの周囲の画像に基づいて被写体の種別を推定することを第3の被写体推定と呼ぶ。
【0014】
カメラ100は、第3の被写体推定において、第1の被写体推定で推定された競技を撮影しているものと判断した場合、仮設定していたその競技種別に対応するAF撮影条件を本設定する。一方、第3の被写体推定において、競技とは別の種別の被写体を撮影していると判断した場合、カメラ100は、人物スナップ、静止物、風景など、スポーツの競技以外の種別に応じたAF撮影条件を本設定する。
【0015】
このようにすることで、スポーツモードに設定されたカメラ100は、ユーザの手を煩わせることなく被写体の種別を判断して、AF撮影条件をその種別に適正な設定に変更することができる。以降、カメラ100の詳細について図を用いて説明する。
【0016】
図3は、カメラ100の要部構成例を示す。カメラ100は、カメラボディとレンズ鏡筒を有しており、カメラボディにレンズ鏡筒が交換可能に装着されている。レンズ鏡筒内には、レンズ光学系1と、レンズ駆動用モータ15が設けられている。レンズ光学系1は、被写体像を結像面に結像させるための光学系であり、フォーカシングレンズを含む複数のレンズによって構成される。フォーカシングレンズは、レンズ駆動用モータ15の動作により光軸方向に移動可能である。
【0017】
カメラボディの内部には、クイックリターンミラー2と、ファインダースクリーン3と、ペンタプリズム4と、接眼レンズ5と、撮像素子6と、サブミラー7と、位相差AF検出素子8と、顔領域抽出部9と、AF−CCD制御部10と、デフォーカス演算部11と、フォーカスエリア位置決定部12と、レンズ駆動量演算部13と、レンズ駆動制御部14と、測光用レンズ16と、測光センサ17と、操作部材18と、制御装置19と、GPSモジュール20と、通信モジュール21が設けられている。なお、顔領域抽出部9と、AF−CCD制御部10と、デフォーカス演算部11と、フォーカスエリア位置決定部12と、レンズ駆動量演算部13と、レンズ駆動制御部14と、GPSモジュール20と、通信モジュール21は、制御装置19に実装されたプログラムを実行することにより実現される。
【0018】
撮像素子6には、赤(R)、緑(G)および青(B)の各画素が所定の配列パターンで配列されている。撮像素子6は、レンズ光学系1によって結像される結像面の画像情報を撮像し、各画素に対応する色情報や輝度情報に応じた画像信号を出力する。撮像素子6から出力された画像信号は、制御装置19の制御によって画像データに変換される。これにより、カメラにおいて撮像画像が取得される。撮像素子6には、たとえばCCDやCMOS等が使用される。
【0019】
レンズ光学系1と撮像素子6との間には、レンズ光学系1を通過した被写体からの入射光束をファインダー光学系へと反射するクイックリターンミラー2が配設されている。入射光束の一部はクイックリターンミラー2の半透過領域を透過し、サブミラー7にて下方に反射された後に位相差AF検出素子8へ入射される。
【0020】
クイックリターンミラー2で反射された入射光束により撮像素子6と光学的に等価な位置に設けられたファインダースクリーン3上に被写体像が結像される。ファインダースクリーン3上に結像された被写体像は、ペンタプリズム4および接眼レンズ5を通って撮影者の目へと導かれ、撮影者によって視認される。
【0021】
ファインダースクリーン3上に結像された被写体像は、ペンタプリズム4および測光用レンズ16を通って測光センサ17へと導かれる。測光センサ17は、撮像素子6と同様に、赤(R)、緑(G)および青(B)の各画素が所定の配列パターンで配列されており、レンズ光学系1により結像される結像面の画像情報を撮像する。そして、測光センサ17は、各画素に対応する色情報や輝度情報に応じた測光信号を制御装置19へ出力する。制御装置19は、この測光センサ17からの測光信号に基づいて、結像面の明るさを検出したり、予め追尾対象に設定された色の結像面における位置を認識し、その色の位置を追尾する色追尾を行ったりする。
【0022】
カメラが撮影を行う際には、クイックリターンミラー2およびサブミラー7が光路上から光路外へと移動され、入射光束により撮像素子6上に被写体像が結像される。この被写体像を撮像素子6により撮像することで撮像画像が取得され、不図示のメモリカードに記録される。こうしたクイックリターンミラー2およびサブミラー7の動作は、制御装置19により制御される。
【0023】
位相差AF検出素子8は、不図示のマスク部、再結像レンズ、複数位置に配置されたAF用のCCDラインセンサなどを有している。この位相差AF検出素子8には、レンズ光学系1を通して入射され、クイックリターンミラー2を透過してサブミラー7により反射された被写体からの光束が入力される。この入射光束をマスク部により撮影レンズの異なる領域を通過する二つの光束に分けた後、再結像レンズにより一対の被写体像をCCDラインセンサ上に再結像し、その像位置の検出結果を表す像信号をCCDラインセンサから出力する。
【0024】
位相差AF検出素子8においてCCDラインセンサ上に再結像される一対の被写体像は、たとえばレンズ光学系1が予定焦点面よりも前に被写体の鮮鋭像を結ぶ状態では互いに近づき、逆に予定焦点面より後ろに被写体の鮮鋭像を結ぶ状態では互いに遠ざかる。また、レンズ光学系1が予定焦点面において被写体の鮮鋭像を結ぶ合焦状態では、一対の被写体像が相対的に一致する。したがって、上記のように一対の被写体像を再結像し、その像位置をCCDラインセンサによって検出することにより、レンズ光学系1からの入射光束に基づいて、レンズ光学系1の焦点調節状態が検出される。
【0025】
顔領域抽出部9は、測光センサ17から画像情報を読み込み、周知の顔画像検出手法を用いてその画像情報から顔画像を抽出し、抽出した顔画像の位置に関する情報等をAF−CCD制御部10へ出力する。
【0026】
AF−CCD制御部10は、位相差AF検出素子8に設けられたCCDラインセンサに対して像信号の読み出し制御を行う。レンズ光学系1からの入射光束による像面内には、
図4に例示するように、51点の焦点検出エリア30が設定されている。AF−CCD制御部10は、AF撮影条件の一つであるエリアモードに基づいて、これらの焦点検出エリアのうち、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリアを選択する。
【0027】
エリアモードの設定には、たとえば「9点」、「21点」、「シングル」、「全点」の四つが含まれる。9点モードの場合には、51点ある焦点検出エリア30のうち最大9点の焦点検出エリア30から読み出された像信号がデフォーカス量の演算に用いられる。21点モードの場合には、最大21点の焦点検出エリア30から読み出された像信号が用いられ、シングルモードの場合には、1個の焦点検出エリア30から読み出された像信号が用いられ、全点モードの場合には、51点すべての焦点検出エリア30から読み出された像信号が用いられる。9点モード、21点モード、シングルモードでは、顔領域抽出部9が検出した顔画像を含む焦点検出エリア30が含なれるように、エリアモードにより設定された個数の焦点検出エリア30を選択する。
【0028】
AF−CCD制御部10は、位相差AF検出素子8のCCDラインセンサから読み出された像信号を所定のゲインで増幅して、デフォーカス演算部11へ出力する。以降、AF−CCD制御部10がデフォーカス演算部11に出力する一対の被写体像に関する像信号のことを像信号A[n,i]およびB[n,i]と記載する。nは、選択された焦点検出エリアを表す。iは、CCDラインセンサ上の焦点検出画素の画素位置を表す。
【0029】
デフォーカス演算部11は、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリア30の像信号A[n,i]およびB[n,i]に基づいて、それらの焦点検出エリアごとに、レンズ光学系1の焦点調節状態(ピントのずれ量)を表すデフォーカス量を算出する。デフォーカス演算部11は、像信号A[n,i]に対して像信号B[n,i]を相対的にずらしながら(1)式の相関演算を行い、一対の像信号のシフト量kにおける相関量C[n,k]を演算する。
C[n,k]=Σ|A[n,i]・B[n,i+1+k]−B[n,i+k]・A [n,i+1]| …(1)
なお、(1)式において、Σ演算はiについて累積される。iのとる範囲は、シフト量kに応じてA[n,i]、A[n,i+1]、B[n,i+k]、B[n,i+1+k]のデータが存在する範囲に限定される。
【0030】
デフォーカス演算部11は、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリアごとに、相関量C[n,k]が極小となるシフト量k1[n]を演算する。そして、デフォーカス演算部11は、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリアごとに、(2)式から(5)式の3点内挿の手法を用いて連続的な相関量に対する極小値C[n,k2]を与えるシフト量k2[n]を演算する。ここで、SLOP[n]は、シフト量k1[n]の前後のシフト量kに対する相関量C[n,k]の傾きである。
k2[n]=k1[n]+D[n]/SLOP[n] ・・・(2)
C[n,k2]=C[n,k1]-|D[n]| ・・・(3)
D[n]={C[n,k1-1]-C[n,k1+1]}/2 ・・・(4)
SLOP[n]=MAX{C[n,k1+1]-C[n,k1],C[n,k1-1]-C[n,k1]}・・・(5)
【0031】
カメラ100は、AF撮影条件の一つとして、シフト量k2[n]の信頼性の評価基準となるコントラストしきい値を有する。デフォーカス演算部11は、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリアごとに、被写体像のコントラストに比例した値となる傾きSLOP[n]が所定のコントラストしきい値より大きいか否かを判定する。デフォーカス演算部11は、傾きSLOP[n]が所定のコントラストしきい値より大きい場合は、算出されたシフト量k2[n]の信頼性が高いと判定し、算出されたシフト量k2[n]に基づいてデフォーカス量D[n]を算出する。デフォーカス演算部11は、傾きSLOP[n]が所定のコントラストしきい値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたシフト量k2[n]の信頼性が低いと判定し、算出されたシフト量k2をキャンセルする。
【0032】
コントラストしきい値の設定値は、競技種別ごとに設定される。たとえば、コート全体を撮影画角内におさめて撮影すると低コントラストになりやすいバスケットボール、バレーボール、テニスや、水面の影響で低コントラストになりやすい水泳などに対しては、コントラストしきい値は、他の競技種別と比べて高く設定され、不鮮明な画像を撮像することが抑制される。
【0033】
フォーカスエリア位置決定部12は、デフォーカス演算部11によって算出されたデフォーカス量D[n]に基づいて、レンズ光学系1を最終的に合焦させる焦点検出エリアを決定する。たとえば、フォーカスエリア位置決定部12は、デフォーカス量D[n]の絶対値が所定のしきい値以下の焦点検出エリア30の中から最もゼロに近い焦点検出エリア30を選択する。フォーカスエリア位置決定部12は、デフォーカス演算部11によって算出されたすべてのデフォーカス量D[n]の絶対値が所定のしきい値より大きい場合、デフォーカス量の信頼性が低いと判断し、AF−CCD制御部10に対して、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリア30として選択する焦点検出エリア30を周囲の焦点検出エリア30に移動するように指示する。カメラ100は、エリア移動特性と呼ばれるAF撮影条件を有しており、このAF撮影条件の設定に基づいてフォーカスエリア位置決定部12が用いるデフォーカス量D[n]の絶対値に対するしきい値が設定される。エリア移動特性の設定は、たとえば、「0」と「+1」のいずれかに設定される。エリア移動特性が「+1」に設定されている場合、「0」に設定されている場合よりもしきい値が高く設定される。すなわち、エリア移動特性が「+1」に設定されている場合、AF−CCD制御部10が選択する焦点検出エリアの移動が起こり難くなる。サッカーのナイターやフィギュアスケートのエキシビションのように被写体が暗い場合、走り幅跳びの着地時や競泳の水しぶきのように顔の周辺に砂埃や水しぶきが有る場合などには、エリア移動特性を「+1」に設定し、焦点検出エリアの移動を抑制する。
【0034】
フォーカスエリア位置決定部12は、決定した焦点検出エリアのデフォーカス量D[n]をレンズ駆動量演算部13に出力すると共に、そのデフォーカス量D[n]を履歴情報として不図示のメモリに記録する。
【0035】
レンズ駆動量演算部13は、フォーカスエリア位置決定部12から出力されたデフォーカス量D[n]に基づいて、フォーカシングレンズの駆動量を演算する。また、レンズ駆動量演算部13は、周知の予測駆動技術を用いて、デフォーカス量に関する履歴情報に基づいて光軸方向の被写体の移動を予測して、フォーカシングレンズの駆動量を補正する。
【0036】
レンズ駆動量演算部13は、不図示のメモリに記録されているデフォーカス量D[n]に関する履歴情報の中から所定数の履歴を読み出して、その履歴に基づいて被写体の光軸方向の移動を予測する。カメラ100は、駆動敏感度と呼ばれるAF撮影条件を有しており、予測駆動に用いる履歴情報の個数が設定される。駆動敏感度の設定は、たとえば、「0」と「+1」と「−1」の三つのいずれかに設定される。予測駆動に用いる履歴情報の個数は、駆動敏感度が「0」の場合を基準として、駆動敏感度が「+1」の場合は低く、駆動敏感度が「−1」の場合は高い。その結果、駆動敏感度が「+1」の場合は、駆動敏感度が「0」の場合と比べて、予測駆動による補正量がデフォーカス量D[n]の変化と共に変化しやすく、「−1」の場合は、駆動敏感度が「0」の場合と比べて、予測駆動による補正量がデフォーカス量D[n]の変化と共に変化しにくい。陸上のトラック競技、スピードスケート、フィギュアスケートなど、被写体の加速度が大きい競技種別では、駆動敏感度は「+1」に設定される。トラック競技以外の陸上競技、水泳、野球、バレーボールなど、被写体の加速度が小さい競技種別では、駆動敏感度は「−1」に設定される。それ以外の競技種別では、駆動敏感度は「0」に設定される。
【0037】
レンズ駆動制御部14は、レンズ駆動量演算部13によって演算されたレンズ駆動量に基づいて、レンズ駆動用モータ15へ駆動制御信号を出力する。この駆動制御信号に応じて、レンズ駆動用モータ15がフォーカシングレンズを駆動して、レンズ光学系1の焦点調節が行われる。
【0038】
操作部材18は、カメラ100の操作を行うための各種スイッチ類によって構成される。たとえば、カメラ100の動作モードを選択するためのモード選択スイッチ、レリーズボタンなどが操作部材18に含まれる。カメラ100は、レリーズボタンが半押し操作された場合は焦点調節動作を行い、全押し操作された場合は撮像素子6を露光させて、静止画像データを生成して、不図示のメモリカード等にその静止画像データを記録する。
【0039】
GPSモジュール20は、GPS衛星から出力される電波を検出して、カメラ100が存在する位置、たとえば緯度や経度に関する情報を算出する。
通信モジュール21は、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などを用いて、
図1に示した通信回線網150に接続する。
【0040】
制御装置19は、マイコンやメモリ等によって構成されており、上記の顔領域抽出部9と、AF−CCD制御部10と、デフォーカス演算部11と、フォーカスエリア位置決定部12と、レンズ駆動量演算部13と、レンズ駆動制御部14と、GPSモジュール20と、通信モジュール21の各機能を実現するための処理を実行したり、カメラの動作制御を行ったりする。また、不図示のメモリを有し、これらの処理や制御において必要な情報を一時的に記憶する。
【0041】
(競技種別ごとのAF撮影条件)
図5(a)は、競技種別ごとに設定されるAF撮影条件の一例を示す図である。
図5(a)には、陸上のトラック競技と、トラック競技以外の陸上競技と、水泳と、野球と、デーゲームおよびナイターのサッカーと、バスケットボールと、バレーボールと、テニスと、スピードスケートと、フィギュアスケートなどに対するAF撮影条件の設定値が示されている。
図5(a)には、AF撮影条件の例として、エリアモード、コントラストしきい値、エリア移動特性、駆動敏感度の四つの設定が示されている。エリアモードの設定は、前述したとおり、デフォーカス量の演算に用いられる焦点検出エリアの個数に関係する。コントラストしきい値は、前述したとおり、デフォーカス演算部11が算出するシフト量k2[n]の信頼性の評価基準となる。エリア移動特性は、前述したデフォーカス量の信頼性の判断により、フォーカスエリア位置決定部12がレンズ光学系1を合焦させるべき焦点検出エリアの有無を判断する際の基準として用いられる。駆動敏感度は、前述したとおり、レンズ駆動量演算部13が予測駆動に用いる履歴情報の個数に関わる。
【0042】
図5(b)は、カメラ100の現在位置に関する情報ごとに設定されるAF撮影条件の一例を示す図である。
図5(b)には、デーゲームの時間帯における屋外、ナイターの時間帯における屋外、屋内などに対するゲインの設定値が示されている。カメラ100の現在位置がナイターの時間帯における屋外や屋内である場合には、デーゲームの時間帯における屋外よりもゲインを大きく設定する。たとえば、競技種別がデーゲームのサッカーの場合には、デーゲームの時間帯における屋外のゲインを用いる。デーゲームの時間帯かナイターの時間帯かは、現在日時に基づいて判別される。屋外か屋内かは、カメラ100の現在位置に関する情報に基づいて判断される。
【0043】
図5(a)および(b)に示す表は、制御装置19の不図示のメモリにルックアップテーブルとして記憶されている。制御装置19は、推定された競技種別、カメラ100の現在位置、現在日時に関する情報に基づいて、ルックアップテーブルを参照して、各AF撮影条件に関する情報を取得する。
【0044】
(第2および第3の被写体推定)
第2の被写体推定では、制御装置19は、合焦させる焦点検出エリアとして仮選択された焦点検出エリアの画像に基づいて、たとえば、以下の5項目について評価を行う。
〔1〕人物像の有無
〔2〕色追尾の信頼性
〔3〕被写体速度v1
〔4〕レンズ光学系1の主点から被写体までの距離a
〔5〕焦点距離f
【0045】
人物像の有無については、制御装置19は、顔領域抽出部9の抽出結果を用いて判断する。顔領域抽出部9は、仮選択された焦点検出エリアに関する画像情報を測光センサ17から読み込み、その画像情報から顔画像を抽出する。制御装置19は、顔領域抽出部9により顔画像が抽出された場合は、仮選択された焦点検出エリアに人物像が含まれると判断し、顔領域抽出部9により顔画像が抽出されていない場合は、仮選択された焦点検出エリアに人物像が含まれないと判断する。
【0046】
色追尾の信頼性とは、測光センサ17からの測光信号に基づいて行われる色追尾の追尾結果がどの程度信頼できるかを数値化したものである。たとえば、サッカー、バスケットボール、バレーボールのように、同一のユニフォームを複数人が着用する競技種別では、ユニフォームの色を追尾対象に選択すると、追尾する選手が途中で変わるおそれがあり、色追尾の信頼性は低くなりやすい。制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアと、その周囲の焦点検出エリアとの各色情報が類似している場合、色追尾の信頼性を低と判断する。仮選択された焦点検出エリアと、その周囲の焦点検出エリアとの各色情報が類似していない場合、色追尾の信頼性を高と判断する。
【0047】
被写体速度v1は、レンズ光学系1の焦点距離fと、被写体の像面移動速度v2と、レンズ光学系1の主点から被写体までの距離aとに基づき、たとえば下式(6)に基づいて算出する。レンズ光学系1の焦点距離fは、レンズ鏡筒に内蔵される
図3には不図示のレンズ側CPUから取得する。被写体の像面移動速度v2は、測光センサ17から測光信号を連続して複数回取得し、それらの測光信号における人物像の位置の変化に基づいて算出する。距離aは、焦点距離fと、レンズ光学系1から撮像素子6までの距離bとに基づいて、レンズの公式により算出される。
1/f=1/(a−v1・t)+1/(b−v2・t)・・・(6)
【0048】
第3の被写体推定では、仮選択された焦点検出エリアの周囲の焦点検出エリアについて、第2の被写体推定と同様に上記〔1〕〜〔5〕の5項目の評価を行う。
【0049】
図6は、上記〔1〕〜〔5〕の5項目と、被写体の種別との対応関係を示す。
図6に例示されている被写体の種別には、
図5(a)に例示されている競技種別の他に「レース、乗り物」、「人物スナップ」、「静止物」、「風景」の四つを含む。「人物スナップ」に推定される被写体としては、観客など競技者以外の人物が想定されている。「静止物」に推定される被写体としては、スコアボードなどの静止物が想定されている。
【0050】
競技者がヘルメット、ゴーグル、レーシングスーツ、水泳帽等を着用している「レース、乗り物」、「スピードスケート」、「水泳」は、顔領域抽出部9により顔が抽出されないため、人物像なしに分類されている。なお、顔抽出の精度が向上し、これらの競技でも顔が検出されるようになった場合は、人物像ありに分類することにしてもよい。
【0051】
図6に示す表は、制御装置19の不図示のメモリにルックアップテーブルとして記憶されている。第2および第3の被写体推定では、制御装置19は、上記〔1〕〜〔5〕の5項目の評価結果に基づいて、ルックアップテーブルを参照して、被写体の種別を推定する。この推定結果には、複数の被写体の種別が含まれることがある。たとえば、人物像が有り、色追尾の信頼性が高く、被写体速度が8m/s、被写体距離が20m、焦点距離が300mmの場合、陸上とテニスが被写体の種別として推定される。
【0052】
図7は、カメラ100の動作に関するフローチャートであり、制御装置19に実装したプログラムを実行することにより実行される。なお、
図7に示す動作の開始時には、カメラ100のAF撮影条件は、
図5(a)および(b)に示すデフォルトの設定になっているものとする。
【0053】
ステップS100では、制御装置19は、カメラ内のタイマーがオン状態にあるか否かを判定する。制御装置19は、位相差AF検出素子8を含めカメラ内の一部の機能が起動している場合はステップS101の処理に進み、起動していない場合はステップS100で待機する。
【0054】
ステップS101では、制御装置19は、カメラ100がスポーツモードに設定されているか否かを判定する。制御装置19は、カメラ100がスポーツモードに設定されている場合は、ステップS102に進む。
ステップS102では、制御装置19は、
図9に示す第1の被写体推定を行い、被写体で行われている競技種別に関する情報をサーバ装置200から取得する。
ステップS103では、制御装置19は、ステップS102にて取得した競技種別に関する情報に基づいて、
図5(a)および(b)に関するルックアップテーブルを参照して、AF撮影条件、たとえば、エリアモード、コントラストしきい値、エリア移動特性、駆動敏感度、ゲインを仮設定する。
【0055】
ステップS101において、制御装置19は、カメラ100がスポーツモードに設定されていない場合はステップS104に進む。すなわち、ステップS102およびステップS103をスキップして、AF撮影条件をデフォルトの設定から変更しない。
【0056】
ステップS104では、制御装置19は、レリーズボタンが半押し操作されたか否かを判定する。半押し操作が行われるまでステップS104で待機し、半押し操作が行われると、ステップS105に進む。
【0057】
ステップS105では、制御装置19は、AF−CCD制御部10として機能して、位相差AF検出素子8のCCDラインセンサの電荷蓄積制御を行う。AF−CCD制御部10により、位相差AF検出素子8のCCDラインセンサから像信号が読み出される。また、AF−CCD制御部10は、エリアモードの設定に基づいてデフォーカス量の演算に用いる焦点検出エリアを仮選択する。ステップS105の動作により、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリア各々の一対の被写体像に関する像信号A[n,i]、B[n,i]を取得する。
【0058】
ステップS106では、制御装置19は、デフォーカス演算部11として機能して、ステップS105で取得した像信号A[n,i]、B[n,i]について相関演算を行い、シフト量k2[n]と、相関量C[n,k]の傾きSLOP[n]を算出する。
【0059】
ステップS107では、制御装置19は、ステップS106で算出した傾きSLOP[n]の中にコントラストしきい値よりも大きいものが存在するか否かを判定する。制御装置19は、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が無い場合、シフト量k2[n]の信頼性が低いと判定し、ステップS106の算出結果を破棄し、フォーカシングレンズの駆動を行わずに
図8のステップS128に進む。制御装置19は、一つでもコントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が存在する場合、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]を選択し、ステップS108に進む。
【0060】
ステップS108では、制御装置19は、デフォーカス演算部11として機能して、ステップS107で選択した傾きSLOP[n]に応じたシフト量k2[n]をそれぞれデフォーカス量D[n]に変換する。
ステップS109では、制御装置19は、ステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在するか否かを判定する。ステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中に絶対値がしきい値より大きいものしかない場合は、ステップS110に進み、デフォーカス量の演算に用いる焦点検出エリアを周囲に移動させて、ステップS104に戻る。たとえば、仮選択した焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアから読み出された像信号に基づいてデフォーカス量を算出し、デフォーカス量が最小となる焦点検出エリアの位置する方向に焦点検出エリアを移動させる。
ステップS109においてステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在した場合、ステップS111に進む。
ステップS111では、制御装置19は、絶対値がしきい値以上のデフォーカス量D[n]のうちデフォーカス量がゼロに最も近い焦点検出エリアを、合焦させる焦点検出エリアとして仮選択する。
【0061】
ステップS112では、制御装置19は、レンズ駆動量演算部13として機能して、ステップS111で仮選択された焦点検出エリアにおけるデフォーカス量と、その履歴データと、駆動敏感度に関する設定とに基づいて、フォーカシングレンズの駆動量を算出する。制御装置19は、たとえば、仮選択された焦点検出エリアにおけるデフォーカス量をフォーカシングレンズの駆動量に変換し、駆動敏感度に応じた個数の履歴情報を読み出して被写体の光軸方向の移動を予測し、その予測結果に応じてフォーカシングレンズの駆動量を補正する。
【0062】
ステップS113では、制御装置19は、
図10に示す第2の被写体推定を行い、
図8のステップS114に進む。すなわち、制御装置19は、ステップS111で仮選択された焦点検出エリアについて、上記〔1〕〜〔5〕の項目について評価し、その評価結果に基づいて
図6の表を参照し、被写体の種別の候補を推定する。
【0063】
図8のステップS114では、制御装置19は、第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果に含まれるか否かを判定する。たとえば、第1の被写体推定の推定結果がテニスで、第2の被写体推定の推定結果が陸上とテニスであった場合、第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果に含まれると判定される。第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果に含まれると判定された場合、ステップS115に進み、第1の被写体推定の推定結果が信頼できると判断して、第1の被写体推定の推定結果を採用し、ステップS127に進む。
【0064】
ステップS114において第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果に含まれないと判定された場合、制御装置19は、ステップS116に進み、
図11に示す第3の被写体推定を行い、ステップS117に進む。すなわち、制御装置19は、ステップS111で仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアについて、上記〔1〕〜〔5〕の項目について評価し、その評価結果に基づいて
図6の表を参照し、被写体の種別の候補を推定する。
ステップS117では、制御装置19は、第1の被写体推定の推定結果が第3の被写体推定の推定結果に含まれるか否かを判定する。第1の被写体推定の推定結果が第3の被写体推定の推定結果に含まれると判定された場合、ステップS115に進み、第1の被写体推定の推定結果を採用し、ステップS127に進む。
【0065】
ステップS117において第1の被写体推定の推定結果が第3の被写体推定の推定結果に含まれないと判定された場合、制御装置19は、ステップS118に進み、人物スナップ、静止物、風景のうち第2の被写体推定の推定結果に含まれる被写体種別を採用し、ステップS119に進む。
ステップS119では、制御装置19は、第2の被写体推定の推定結果を用いて、ステップS105と同様の制御を行う。
ステップS120では、制御装置19は、ステップS106と同様に、デフォーカス演算部11として機能して、ステップS119で取得した像信号A[n,i]、B[n,i]について相関演算を行い、シフト量k2[n]と、相関量C[n,k]の傾きSLOP[n]を算出する。
ステップS121では、制御装置19は、ステップS107と同様に、ステップS120で算出した傾きSLOP[n]の中にコントラストしきい値よりも大きいものが存在するか否かを判定する。制御装置19は、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が無い場合、ステップS120の算出結果を破棄し、フォーカシングレンズの駆動を行わずに
図8のステップS128に進む。制御装置19は、一つでもコントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が存在する場合、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]のみを残し、ステップS122に進む。
ステップS122では、制御装置19は、ステップS108と同様に、デフォーカス演算部11として機能して、ステップS121で残した傾きSLOP[n]に応じたシフト量k2[n]をそれぞれデフォーカス量D[n]に変換する。
ステップS123では、制御装置19は、ステップS109と同様に、ステップS122で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在するか否かを判定する。ステップS122で算出したデフォーカス量D[n]の中に絶対値がしきい値より大きいものしかない場合は、ステップS124に進み、デフォーカス量の演算に用いる焦点検出エリアを周囲に移動させて、ステップS119に戻る。
ステップS123において、ステップS122で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在した場合、制御装置19は、ステップS125に進む。
ステップS125では、制御装置19は、絶対値がしきい値以上のデフォーカス量D[n]のうちデフォーカス量がゼロに最も近い焦点検出エリアを合焦させる焦点検出エリアとして本設定する。
ステップS126では、制御装置19は、ステップS112と同様にレンズ駆動量演算部13として機能して、ステップS125で本設定された焦点検出エリアにおけるデフォーカス量と、その履歴データと、駆動敏感度に関する設定とに基づいて、フォーカシングレンズの駆動量を算出する。
【0066】
ステップS127では、ステップS115で採用されたフォーカシングレンズの駆動量またはステップS126で算出されたフォーカシングレンズの駆動量に基づいて、フォーカシングレンズを駆動する。
ステップS128では、制御装置19は、レリーズボタンが全押し操作されたか否かを判定する。全押し操作された場合は、ステップS129に進み、撮像素子6を露光させて、被写体像を撮像して、撮像画像に基づいて静止画像を生成し、不図示のメモリカードにその静止画像を記録し、ステップS100に進む。ステップS128において全押し操作されていない場合、制御装置19は、ステップS100に進む。
【0067】
図9は、
図7のステップS102で実行される第1の被写体推定に関するフローチャートである。カメラ100とサーバ装置200とは接続されているものとする。
ステップS201では、制御装置19は、GPSモジュール20を起動する。
ステップS202では、制御装置19は、ステップS201で起動したGPSモジュール20から現在位置に関する位置情報を取得し、不図示のタイマー等から現在日時に関する日時情報を取得する。
ステップS203では、制御装置19は、通信モジュール21を介してサーバ装置200に接続し、ステップS202で取得した位置情報と日時情報とをサーバ装置200へ送信する。
【0068】
ステップS211では、サーバ装置200は、ステップS203で送信された位置情報と日時情報とを受信する。
ステップS212では、サーバ装置200は、ステップS211で受信した位置情報と日時情報とに基づいてイベントデータベース201を検索して、カメラ100の現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を取得する。たとえば、カメラ100の現在位置が(X1,Y1)、現在日時が3月18日14:00の場合、サーバ装置200は、○○競技場で実施されているデーゲームのサッカーの試合に関するイベント情報を取得する。
ステップS213では、サーバ装置200は、取得したイベント情報に基づいて、現在位置で現在日時に実施される競技種別に関する情報を推定する。たとえば、制御装置19は、○○競技場で実施されているデーゲームのサッカーの試合に関するイベント情報に基づいて、競技種別をデーゲームのサッカーと推定する。
ステップS214では、サーバ装置200は、ステップS212で取得した競技場所に関する情報と、ステップS213で推定した競技種別に関する情報とをカメラ100へ送信する。
【0069】
ステップS204では、カメラ100は、ステップS213で送信された競技場所と競技種別に関する情報を受信する。
【0070】
図10は、
図7のステップS113で実行される第2の被写体推定に関するフローチャートである。
ステップS301では、制御装置19は、ステップS105で仮選択された焦点検出エリアについて、顔領域抽出部9による人物像の抽出結果を取得する。顔領域抽出部9は、仮選択された焦点検出エリアについて、測光センサ17から画像情報を読み込み、その画像情報から顔画像を抽出する。
【0071】
ステップS302では、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアについて、色追尾の信頼性に関する評価値を取得する。制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアとその周囲の焦点検出エリアについて測光センサ17から測光信号を取得し、それらの測光信号に基づいて色追尾の信頼性を評価する。たとえば、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアと、その周囲の焦点検出エリアとの各色情報が類似している場合、色追尾の信頼性を低と判断する。
【0072】
ステップS303では、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアについて、前述した式(6)を用いて被写体速度v1を算出する。
【0073】
ステップS304では、制御装置19は、ステップS301で取得された人物像の検出結果と、ステップS302で取得された色追尾の信頼性の評価結果と、ステップS303で算出された被写体速度v1と、被写体速度v1の算出に用いた被写体距離aおよび焦点距離fとを用いて、
図6のルックアップテーブルを参照し、被写体の種別の候補を推定する。被写体の種別の候補は、複数推定されることがある。
【0074】
図11は、
図8のステップS116で実行される第3の被写体推定に関するフローチャートである。
ステップS401では、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアについて、顔領域抽出部9による人物像の抽出結果を取得する。顔領域抽出部9は、ステップS105で仮選択された焦点検出エリアの周囲の焦点検出エリアについて、測光センサ17から画像情報を読み込み、その画像情報から顔画像を抽出する。
【0075】
ステップS402では、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアについて、色追尾の信頼性に関する評価値を取得する。制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアと、それらの周囲の焦点検出エリアについて測光センサ17から測光信号を取得し、それらの測光信号に基づいて色追尾の信頼性を評価する。たとえば、制御装置19は、それらの焦点検出エリアの各色情報が互いに類似している場合、色追尾の信頼性を低と判断する。
【0076】
ステップS403では、制御装置19は、仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアについて、前述した式(6)を用いて被写体速度v1を算出する。
【0077】
ステップS404では、制御装置19は、ステップS401で取得された人物像の有無の検出結果と、ステップS402で取得された色追尾の信頼性の評価結果と、ステップS403で算出された被写体速度v1と、被写体速度v1の算出に用いた被写体距離aおよび焦点距離fとを用いて、
図6のルックアップテーブルを参照し、被写体の種別の候補を推定する。被写体の種別の候補は、複数推定されることがある。
【0078】
以上説明したように、第1の実施の形態では、カメラ100には、競技種別ごとにAF撮影条件が予め定められている。カメラ100は、現在位置で現在日時に実施されているスポーツの競技種別に関する情報を取得し、AF撮影条件をその競技種別に応じた設定に自動的に変更することができる。したがって、スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更が簡素化され、初心者であっても競技種別ごとに適正なAF撮影条件に変更することができる。
【0079】
また、カメラ100は、第2および第3の被写体推定を実行可能であり、第2の被写体推定では、第1の被写体推定の推定結果により仮選択された焦点検出エリアの画像に基づいて被写体の種別の候補を推定する。第2の被写体推定の推定結果に第1の被写体推定の推定結果が含まれる場合、カメラ100は、第1の被写体推定の推定結果を採用する。第2の被写体推定の推定結果に第1の被写体推定の推定結果が含まれない場合、カメラ100は、第3の被写体推定を行い、仮選択された焦点検出エリアの周囲の焦点検出エリアの画像に基づいて被写体の種別の候補を推定する。第3の被写体推定の推定結果に第1の被写体推定の推定結果が含まれる場合、カメラ100は、第1の被写体推定の推定結果を採用する。第3の被写体推定の推定結果に第1の被写体推定の推定結果が含まれない場合、カメラ100は、スポーツの競技以外を撮影しているものと判断して、第2の被写体推定の推定結果に含まれる競技以外の被写体の種別を採用する。
スポーツモードに設定した競技以外、たとえば観客、静止物、背景などを撮影する場合、AF撮影条件をそのままにして撮影するとAFの精度が低くなるおそれがある。本発明では、第2および第3の被写体推定により競技以外にカメラ100を向けていることを検出することができ、被写体の種別に応じた設定に自動的に変更することができる。スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更がより一層簡素化され、初心者であっても被写体ごとに適正なAF撮影条件に変更することができる。
【0080】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1の実施の形態におけるカメラ100は、次の工程を実行する。カメラ100が存在する現在位置で現在日時に実施されているスポーツの競技種別に関する第1の推定結果を外部サーバから取得する(第1の推定方法、
図7のステップS102、
図9)。第1の推定結果に基づいて合焦させる焦点検出エリアを少なくとも含むAF撮影条件を仮に設定する(
図7のステップS103)。仮選択された焦点検出エリアの中の画像に基づいて、第1の推定方法で推定することができる各競技種別と、競技種別とは別の被写体種別、たとえば人物スナップ、静止物、風景との中から被写体の種別の候補を一つ以上推定し、第2の推定結果を得る(第2の推定方法、
図7のステップS113、
図10)。第1の推定結果である競技種別が第2の推定結果である被写体種別の候補に含まれないとき、仮選択された焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアの中の画像に基づいて、第1の推定方法で推定され得る競技種別と、競技種別とは別の被写体種別との中から被写体の種別の候補を一つ以上推定し、第3の推定結果を得る(第3の推定方法、
図8のステップS116)。第1乃至第3の推定結果に基づいて第1又は第2の推定結果を採用し、採用した推定結果に基づいてAF撮影条件を本設定する(
図8のステップS115、ステップS118など)。具体的には、第1の推定結果が第2および第3の推定結果のいずれか一方に含まれる場合、第1の推定結果である競技種別に適したAF撮影条件を本設定し(ステップS115)、第1の推定結果が第2および第3の推定結果のどちらにも含まれない場合、第2の推定結果のうちの競技種別とは別の被写体種別に適したAF撮影条件を本設定する(ステップ118)。
したがって、スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更が簡素化される。
【0081】
(2)
図10に例示する第2の推定方法に関する工程は次のとおりである。仮選択された焦点検出エリアの中の画像の中に顔画像が検出されたか否かを判定する(ステップS301)。仮選択された焦点検出エリアの中の画像と、仮選択された焦点検出エリアの周囲の画像とに基づいて、色追尾の信頼性が高いか否かを判定する(ステップS302)。被写体の実空間での移動速度を算出する(ステップS303)。これらの結果に基づいて、被写体種別に関する第2の推定結果を得る(ステップS304)。
したがって、被写体種別の候補を精度よく推定することができる。
【0082】
(3)
図11に例示する第3の推定方法に関する工程は次のとおりである。仮選択された焦点検出エリアの周囲の焦点検出エリアの中の画像の中に顔画像が検出されたか否かを判定する(ステップS401)。周囲の焦点検出エリアの中の画像と、周囲の焦点検出エリアのさらに周囲の画像に基づいて色追尾の信頼性が高いか否かを判定する(ステップS402)。被写体の実空間での移動速度を算出する(ステップS403)。これらの結果に基づいて、被写体種別に関する第3の推定結果を得る(ステップS404)。
したがって、被写体種別の候補を精度よく推定することができる。
【0083】
(4)第1の実施の形態におけるカメラ100は、
図10に例示する第2の推定方法(
図7のステップS113)と、
図11に例示する第3の推定方法(
図8のステップS116)の両方を利用することにより、被写体種別の候補をより精度よく推定することができる。
【0084】
(5)AF撮影条件には、位相差検出AFで信号読み出しを行う焦点検出エリアを複数の焦点検出エリアの中から選択する条件に関する第1の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリアモードが含まれる。また、AF撮影条件には、デフォーカス量の信頼性の評価に関する第2の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリア移動特性が含まれる。AF撮影条件には、デフォーカス量の演算に用いる数値の信頼性の評価に関する第3の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のコントラストしきい値が含まれる。AF撮影条件には、レンズ駆動量演算部13によるレンズ光学系1の予測駆動に関する第4の設定パラメータ、たとえば
図5(a)の駆動敏感度が含まれる。AF撮影条件には、信号読み出しにおけるゲインの設定に関する第5の設定パラメータ、たとえば
図5(b)のゲインが含まれる。
したがって、カメラ100は、被写体種別に合わせた設定で焦点検出を行うことができる。
【0085】
(6)第1の実施の形態におけるカメラシステム300は、カメラ100と、現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を検索し(ステップS212)、検索したイベント情報に基づいて競技種別に関する情報を推定し(ステップS213)、推定した競技種別に関する情報をカメラ100へ送信するサーバ装置200とを備える。
したがって、サーバ装置200で競技種別を推定することができるため、カメラ100の演算負荷を軽減することができる。
【0086】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態におけるカメラシステムについて説明する。第2の実施の形態におけるカメラシステムでは、第3の被写体推定を行わず、第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果の中に含まれない場合、ただちに人物スナップ、静止物、風景のうち第2の被写体推定の推定結果に含まれる被写体種別を採用する。このようにすることで、被写体推定に関する演算速度を高速化することができる。
【0087】
第2の実施の形態におけるカメラ100の動作は、
図7と、
図12とを用いて示される。
図7に示す動作は、ステップS113の後、
図12のステップS114に進むこと以外は、第1の実施の形態と同じである。
図12に示す動作は、
図8のフローチャートからステップS116とステップS117とが省略された点、ステップS114が否定判定された場合、すなわち第1の被写体推定の推定結果が第2の被写体推定の推定結果の中に含まれない場合、ステップS118に進む点以外は、
図8に示した動作と同様である。
【0088】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第2の実施の形態におけるカメラ100は、カメラ100が存在する現在位置で現在日時に実施されているスポーツの競技種別に関する第1の推定結果を外部サーバから取得する(第1の推定方法、
図7のステップS102、
図9)。第1の推定結果に基づいて合焦させる焦点検出エリアを少なくとも含むAF撮影条件を仮に設定する(
図7のステップS103)。仮選択された焦点検出エリアの中の画像に基づいて、第1の推定方法で推定することができる競技種別と、競技種別とは別の被写体種別の中から被写体の種別の候補を一つ以上推定し、第2の推定結果を得る(第2の推定方法、
図7のステップS113、
図10)。第1及び第2の推定結果に基づいて第1又は第2の推定結果を採用し、採用した推定結果に基づいてAF撮影条件を設定する(
図8のステップS115、ステップS118など)。具体的には、第1の推定結果が第2の推定結果に含まれる場合、第1の推定結果を採用し(ステップS115)、第1の推定結果が第2の推定結果に含まれない場合、第2の推定結果の候補の中から競技種別とは別の被写体種別を採用する(ステップ118)。
したがって、スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更が簡素化される。
【0089】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態におけるカメラシステムについて説明する。第3の実施の形態におけるカメラシステムでは、第2および第3の被写体推定を行わず、第1の被写体推定の推定結果に基づいてAF撮影条件を本設定する。このようにすることで、被写体推定に関する演算速度を高速化することができる。
【0090】
図13は、本発明の第3の実施の形態におけるカメラ100の動作に関するフローチャートであり、制御装置19に実装したプログラムを実行することにより実行される。
図13に示す動作の開始時には、カメラ100のAF撮影条件は、
図5(a)および(b)に示すデフォルトの設定になっているものとする。なお、
図13に示す処理のうち、
図7および
図8に示した処理と同様のものについては、同一のステップ番号を付すとともにその説明を省略する。
【0091】
図13のステップS102に続くステップS1103では、制御装置19は、ステップS102にて取得した競技種別に関する情報と位置情報と日時情報に基づいて、
図5(a)および(b)に関するルックアップテーブルを参照して、AF撮影条件、たとえば、エリアモード、コントラストしきい値、エリア移動特性、駆動敏感度、ゲインを本設定する。
【0092】
ステップS1107では、制御装置19は、
図13のステップS106で算出した傾きSLOP[n]の中にコントラストしきい値よりも大きいものが存在するか否かを判定する。制御装置19は、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が無い場合、シフト量k2[n]の信頼性が低いと判定し、
図13のステップS106の算出結果を破棄し、フォーカシングレンズの駆動を行わずに
図13のステップS128に進む。制御装置19は、一つでもコントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]が存在する場合、コントラストしきい値よりも大きい傾きSLOP[n]のみを残し、
図13のステップS108に進み、ステップS1107で残したシフト量k2[n]をそれぞれデフォーカス量D[n]に変換する。
【0093】
ステップS1109では、制御装置19は、
図13のステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在するか否かを判定する。ステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中に絶対値がしきい値より大きいものしかない場合は、
図13のステップS110に進み、デフォーカス量の演算に用いる焦点検出エリアを周囲に移動させて、
図13のステップS104に戻る。たとえば、仮選択した焦点検出エリアの周囲に位置する焦点検出エリアから読み出された像信号に基づいてデフォーカス量を算出し、デフォーカス量が最小となる焦点検出エリアの位置する方向に焦点検出エリアを移動させる。
ステップS1109において、ステップS108で算出したデフォーカス量D[n]の中にその絶対値がエリア移動特性の設定に応じたしきい値以下のデフォーカス量D[n]が存在した場合、ステップS1111に進む。
ステップS1111では、制御装置19は、絶対値がしきい値以上のデフォーカス量D[n]のうちデフォーカス量がゼロに最も近い焦点検出エリアを合焦させる焦点検出エリアとして選択する。
【0094】
ステップS1112では、制御装置19は、レンズ駆動量演算部13として機能して、合焦させる焦点検出エリアにおけるデフォーカス量と、その履歴情報と、駆動敏感度に関する設定とに基づいて、フォーカシングレンズの駆動量を算出する。制御装置19は、たとえば、合焦させる焦点検出エリアにおけるデフォーカス量をフォーカシングレンズの駆動量に変換し、駆動敏感度に応じた個数の履歴情報を読み出して被写体の光軸方向の移動を予測し、その予測結果に応じてフォーカシングレンズの駆動量を補正する。
【0095】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第3の実施の形態におけるカメラ100は、通信モジュール21を用いて、現在位置と現在日時とに関する情報をサーバ装置200に送信し(
図13のステップS102から参照される
図9のステップS203)、現在位置で現在日時に実施されているスポーツの競技種別に関する情報をサーバ装置200から受信し(
図13のステップS102から参照される
図9のステップS204)、受信した競技種別に関する情報に基づいて、AF撮影条件を設定する(
図13のステップS1103)。すなわち、競技名に適したAF撮影条件を設定する。
したがって、スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更が簡素化され、初心者であっても競技種別ごとに適正なAF撮影条件に変更することができる。
【0096】
(2)AF撮影条件には、位相差検出AFで信号読み出しを行う焦点検出エリアを複数の焦点検出エリアの中から選択する条件に関する第1の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリアモードが含まれる。また、AF撮影条件には、デフォーカス量の信頼性の評価に関する第2の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリア移動特性が含まれる。AF撮影条件には、デフォーカス量の演算に用いる数値の信頼性の評価に関する第3の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のコントラストしきい値が含まれる。AF撮影条件には、レンズ駆動量演算部13によるレンズ光学系1の予測駆動に関する第4の設定パラメータ、たとえば
図5(a)の駆動敏感度が含まれる。AF撮影条件には、信号読み出しにおけるゲインの設定に関する第5の設定パラメータ、たとえば
図5(b)のゲインが含まれる。
したがって、カメラ100は、被写体種別に合わせた設定で焦点検出を行うことができる。
【0097】
(3)第3の実施の形態におけるカメラシステム300は、カメラ100と、現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を検索し(
図13のステップS102から参照されるステップS212)、検索したイベント情報に基づいて競技種別に関する情報を推定し(
図13のステップS102から参照されるステップS213)、推定した競技種別に関する情報をカメラ100へ送信するサーバ装置200とを備える。したがって、サーバ装置200で競技種別を推定することができるため、カメラ100の演算負荷を軽減することができる。
【0098】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態におけるカメラシステムについて説明する。第4の実施の形態におけるカメラシステムでは、カメラ100は、位置情報と日時情報とをサーバ装置200へ送信した後、サーバ装置200からイベント情報を取得して、そのイベント情報から競技種別を推定する。それ以外の点は、第3の実施の形態と同様である。すなわち、第4の実施の形態におけるカメラシステムでは、第2および第3の被写体推定を行わず、第1の被写体推定の推定結果に基づいてAF撮影条件を本設定する。
【0099】
図14は、本発明の第4の実施の形態における被写体推定に関するフローチャートである。
図14に示す処理のうち、
図9に示した処理と同様のものには同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0100】
制御装置19は、ステップS202の処理の後、ステップS223に進み、ステップS202で取得した位置情報と日時情報とに基づいて、カメラ100の現在位置で現在日時に行われているスポーツイベントに関するイベント情報をサーバ装置200から取得する。たとえば、制御装置19は、ステップS202で取得した位置情報と日時情報とをサーバ装置200へ送信し、サーバ装置200に現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を検索させ、サーバ装置200にそのイベント情報を送信させる。これにより、カメラ100は、たとえば、○○競技場で実施されているデーゲームのサッカーの試合に関するイベント情報を取得することができる。
【0101】
ステップS224では、制御装置19は、現在位置でスポーツイベントを行っている競技場所があるか否かを判定する。すなわち、制御装置19は、ステップS223でイベント情報を1個以上取得することができたか否かを判定する。制御装置19は、現在位置にスポーツイベントを行っている競技場所がある場合、ステップS225に進み、現在位置でスポーツイベントを行っている競技場所がない場合、
図14の処理を終了する。
ステップS225では、制御装置19は、ステップS223で取得したイベント情報に基づいて、競技場所と競技種別を推定する。たとえば、制御装置19は、○○競技場で実施されているデーゲームのサッカーの試合に関するイベント情報に基づいて、競技場所を○○競技場、競技種別をデーゲームのサッカーと推定し、
図14の処理を終了する。
【0102】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第4の実施の形態におけるカメラ100は、通信モジュール21を用いてサーバ装置200に接続し、カメラ100が存在する現在位置と現在日時とに関する情報に基づいて、現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を取得する(ステップS223)。その後、カメラ100は、取得したイベント情報に基づいて、現在位置で現在日時に実施されている競技種別に関する情報を推定する(ステップS225)。カメラ100は、推定した競技種別に関する情報に基づいて、AF撮影条件を設定する(
図13のステップS1103)。すなわち、競技名に適したAF撮影条件を設定する。
したがって、スポーツモードでのAF撮影条件の設定変更が簡素化され、初心者であっても競技種別ごとに適正なAF撮影条件に変更することができる。
【0103】
(2)AF撮影条件には、位相差検出AFで信号読み出しを行う焦点検出エリアを複数の焦点検出エリアの中から選択する条件に関する第1の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリアモードが含まれる。また、AF撮影条件には、デフォーカス量の信頼性の評価に関する第2の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のエリア移動特性が含まれる。AF撮影条件には、デフォーカス量の演算に用いる数値の信頼性の評価に関する第3の設定パラメータ、たとえば
図5(a)のコントラストしきい値が含まれる。AF撮影条件には、レンズ駆動量演算部13によるレンズ光学系1の予測駆動に関する第4の設定パラメータ、たとえば
図5(a)の駆動敏感度が含まれる。AF撮影条件には、信号読み出しにおけるゲインの設定に関する第5の設定パラメータ、たとえば
図5(b)のゲインが含まれる。
したがって、カメラ100は、被写体種別に合わせた設定で焦点検出を行うことができる。
【0104】
(3)第4の実施の形態におけるカメラシステム300は、カメラ100と、現在位置で現在日時に実施されているスポーツイベントに関するイベント情報を検索し、検索したイベント情報をカメラ100へ送信するサーバ装置200とを備える。したがって、最新のイベント情報を取得する処理をサーバ装置200で実施することができるため、最新のカメラ100の演算負荷を軽減することができる。
【0105】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上記の実施の形態では、AF撮影条件は、エリアモード、コントラストしきい値、エリア移動特性、駆動敏感度、ゲインの五つを含むものとしたが、この五つのうち少なくとも一つを含んでいればどのような組み合わせでもよい。たとえば、五つのパラメータのうちのいくつかを含まないことにしてもよいし、CCDラインセンサの電荷蓄積時間など他のパラメータをさらに含むことにしてもよい。
【0106】
(変形例2)
上記の実施の形態では、位相差AF検出素子8から一対の被写体像に関する像信号を読み出して、位相差検出AFを行うことにした。しかし、本発明は、焦点検出装置を有する撮像装置であれば、いかなる撮像装置にも適用することができる。たとえば、撮像素子6の撮像画素配列のうち焦点検出エリア30に対応する画素位置に、レンズ光学系1の瞳の異なる部分を通過した一対の光束を受光する焦点検出用画素を配置するようにし、この焦点検出用画素の出力を用いて位相差検出AFを行うことにしてもよい。また、焦点検出装置によって用いられる焦点検出方法は、位相差検出AFでなくてもよく、コントラスト検出AFなど、他の焦点検出方法を用いることにしてもよい。
【0107】
(変形例3)
上記の実施の形態では、像面中に焦点検出エリア30が51点設定されていることにしたが、像面中に設定されている焦点検出エリア30の個数は、51点に限られない。
【0108】
(変形例4)
第1および第2の実施の形態では、第1の被写体推定において、サーバ装置200がイベント情報に基づいて競技種別を推定し、推定した競技種別に関する情報をカメラ100へ送信することにした。しかし、第1および第2の実施の形態における第1の被写体推定においても、第4の実施の形態のように、サーバ装置200が検索したイベント情報をカメラ100へ送信し、カメラ100がそのイベント情報に基づいて競技種別を推定することにしてもよい。
【0109】
(変形例5)
上記の実施の形態では、カメラ100は、デジタルカメラであることにしたが、デジタルカメラ以外の撮像装置、たとえばインターネット接続機能とカメラ機能を有するスマートフォンなどの情報端末であってもよい。
【0110】
(変形例6)
第1の実施の形態において、第2および第3の被写体推定のいずれか少なくとも一方を、顔領域抽出部9による人物像の抽出結果、色追尾の信頼性に関する評価結果および被写体速度v1を用いない被写体種別を推定する他の方法に替えてもよい。
【0111】
(変形例7)
上記の実施の形態における第2の被写体推定では、ステップS301で取得された顔領域抽出部9による人物像の抽出結果、ステップS302で取得した色追尾の信頼性に関する評価結果、ステップS303で算出された被写体速度v1ならびに被写体速度v1の算出に用いた被写体距離aおよび焦点距離fとを用いて、
図6のルックアップテーブルを参照し、被写体の種別の候補を推定することにした。しかし、被写体速度v1の算出に用いた被写体距離aおよび焦点距離fの少なくともいずれか一方を用いずに被写体の種別の候補を大まかに推定することにしてもよい。
第3の被写体推定についても同様に、被写体速度v1の算出に用いた被写体距離aおよび焦点距離fの少なくともいずれか一方を用いずに被写体の種別の候補を大まかに推定することにしてもよい。たとえば、ステップS401で取得された顔領域抽出部9による人物像の抽出結果、ステップS402で取得された色追尾の信頼性の評価結果およびステップS403で算出された被写体速度v1とを用いて、被写体の種別の候補を推定することにしてもよい。被写体距離aおよび焦点距離fの少なくともいずれか一方を用いずに被写体の種別の候補を大まかに推定する場合には、用いない項目はルックアップテーブルの中から省略することができる。
【0112】
以上では、本発明をカメラシステムについて説明したが、本発明の範囲内にはカメラシステムに備わるカメラの発明も含まれる。
【0113】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。