(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面等を参照して説明する。
以下の説明において、理解を容易にするために、必要に応じてピッチ軸P、ヨー軸Y、ロール軸Rという文言を用いる。実施形態において、ピッチ軸Pは、レンズ鏡筒3をカメラボディ2に装着した際に、撮影者が光軸を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラボディ2の位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左右方向に延在する軸である。ヨー軸Yは、正位置において上下方向に延在する軸である。ロール軸Rは、正位置において光軸方向に延在する軸である。よって、ピッチ軸P、ヨー軸Y、ロール軸Rは、互いに直交している。なお、「直交」とは厳密に90度だけでなく、製造誤差や組立誤差によって90度から、若干ずれた範囲も含まれる。
また、ピッチ軸Pを中心とした回転をピッチング、ヨー軸Yを中心とした回転をヨーイング、ロール軸Rを中心とした回転をローリングとする。さらに、ピッチングの方向をピッチ方向、ヨーイングの方向をヨー方向、ローリングの方向をロール方向とする。
また、ピッチ軸Pに沿った方向又はヨー軸Yに沿った方向をシフト方向とする。
【0008】
(第1実施形態)
図1Aは、第1実施形態のレンズ鏡筒3と、カメラボディ2とを備えるカメラシステム1のシステム構成図である。
図1Bは、第1実施形態のレンズ鏡筒3と、カメラボディ2とを備えるカメラシステム1のシステム構成を簡素化して示した図である。なお、
図1Aと
図1Bとは、同じカメラシステム1を示しているので、これらの図は、例えば、一方の図に含まれていない構成については、他方で補うものとし、これらは相互に補完するものである。
カメラシステム1は、ズーム可能なシステムであってもよいし、ズームのできないシステムであってもよい。
【0009】
(レンズ鏡筒3)
本実施形態のレンズ鏡筒3は、カメラボディ2に対して着脱可能である。また、レンズ鏡筒3は、縮筒状態(非撮影状態,収納状態,沈胴状態)と、伸長状態(撮影状態)との間で伸縮可能である。
レンズ鏡筒3は、
図1A,1Bのシステム構成図に示すように、結像光学系であるレンズ群Lを内部に保持するレンズ内殻302、レンズ内殻302の外周に配置された筐体320、及び筐体320の外周に配置されたレンズ外殻301(例えば、固定筒)等を備える。レンズ内殻302と筐体320とを合わせてレンズ内殻としてもよい。
【0010】
本実施形態のレンズ鏡筒3において、レンズ内殻302は、筐体320に対してピッチ軸Pを中心としてピッチ方向に回転可能である。また、筐体320は、レンズ外殻301に対してヨー軸Yを中心としてヨー方向に回転可能である。
【0011】
レンズ鏡筒3の全体としての外形が円筒形状の場合、レンズ内殻、レンズ外殻、筐体も円筒形状であることが考えられる。しかし、他部品配置等のために内周面又は外周面に平坦部を設けてもよい。また、レンズ内殻、レンズ外殻、筐体の形状は、適宜、平坦部・切欠き・厚みの変化する部分等を形成して変形してもよい。円筒形状でなく、四角柱のような形状であってもよい。
【0012】
(レンズ内殻302)
図1A,1Bに示すようにレンズ鏡筒3のレンズ内殻302は、レンズ群Lと、シフト方向防振システム330と、ブレ検出部325と、レンズ内殻マウント326と、を備える。
また、レンズ内殻302は、レンズ内殻302を筐体320に対して、ピッチ方向に駆動するピッチ駆動部322の一部を備える。
【0013】
レンズ群Lは、被写体像をカメラボディ2に配置された撮像素子220に結像する結像光学系である。また、レンズ群Lは防振光学系LBを含む。防振光学系LBはシフト方向に移動し、手振れ等による像ブレを補正することができる。
【0014】
シフト方向防振システム330は、シフト方向に移動する防振光学系LBを制御するシステムである。防振光学系LBを保持する可動枠、防振光学系LBの位置を検出する防振光学系位置検出部、可動枠をシフト方向に駆動するシフト駆動部332、等を備える。シフト駆動部332は、ボイスコイルモータ(VCM)等があげられる。シフト駆動部332により、防振光学系LBは、撮影者の手ブレ等に起因する被写体像の像ブレを打ち消す方向に駆動され、像ブレが補正される。
【0015】
ブレ検出部325は、レンズ内殻302のピッチ方向、ヨー方向、ロール方向又はシフト方向の振れを検出する。ブレ検出部325は、少なくとも1つの方向の振れを検出すればよい。全ての方向のブレを検出してもよい。
ブレ検出部325は、ジャイロセンサ等があげられる。1つのセンサで構成されてもよいし、複数のセンサで構成されてもよい。
【0016】
レンズ内殻マウント326は、レンズ内殻結合部317を備えた形状であり、後述するボディ内殻マウント224と接触する。また、レンズ内殻マウント326は、結合検知部340を有する。詳細は後述する。
【0017】
(筐体320)
筐体320は、ピッチ駆動部322とピッチ方向回転検出部323とを備える。ピッチ駆動部322は、レンズ内殻302をピッチ方向に駆動する。ピッチ駆動部322が駆動されると、レンズ内殻302はピッチ軸Pを中心としたピッチ方向に回転する。
【0018】
ピッチ方向回転検出部323は、レンズ内殻302のピッチ方向の回転量を検出する。言い換えると、ピッチ方向回転検出部323は、ピッチ駆動部322の駆動量を検出する。ピッチ方向回転検出部323がレンズ内殻302の回転量(又はピッチ駆動部322の駆動量)を検出することで、レンズ内殻302(又はピッチ駆動部322)が正確に駆動されているかを判断することができる。また、筐体320は、筐体320をレンズ外殻301に対してヨー方向に駆動するヨー駆動部312の一部を備える。
ヨー駆動部312が駆動すると、筐体320が、レンズ外殻301に対してヨー方向に駆動される。それに伴って、レンズ内殻302もヨー方向に駆動される。
【0019】
(レンズ外殻301)
レンズ外殻301は、
図1A,1Bに示すように、ヨー駆動部312と、ヨー方向回転検出部313と、操作部材315、レンズ外殻マウント310と、レンズ制御部314と、を備える。ヨー駆動部312は、筐体320をヨー方向に駆動する。ヨー方向回転検出部313は、筐体320のヨー方向の回転を検出する。言い換えると、ヨー方向回転検出部313は、ヨー駆動部312の駆動量を検出する。ヨー方向回転検出部313が筐体320の回転量(又はヨー駆動部312の駆動量)を検出することで、筐体320(又はピッチ駆動部322)が正確に駆動されているかを判断することができる。操作部材315は、使用者によって操作される部材である。
レンズ外殻マウント310は、通信又は通電用の接点311を備える。また、レンズ外殻マウント310は、レンズ外殻結合部316を備える形状である。
レンズ制御部314は、シフト駆動部332、ピッチ駆動部322、ヨー駆動部312を制御する。また、レンズ制御部314は、後述する操作部材315を使用者が操作した場合、レンズ群Lを光軸方向に移動させ、焦点距離を変更させる。
レンズ外殻301とレンズ内殻302との間は、フレキシブルプリント配線板(以下、FPC)等の配線部により電気的に接続されている。
【0020】
(カメラボディ2)
次に、カメラボディ2の説明をする。
図1A,1Bのシステム構成図に示すように、カメラボディ2は、ボディ内殻202と、ボディ外殻201(例えば、ボディ固定部)とを備える。
【0021】
ボディ内殻202は、撮像素子220と、撮像素子駆動部223と、ボディ内殻マウント224とを備える。ボディ外殻201は、ボディ制御部215と、画像処理部218と、ボディ外殻マウント210と、表示部214と、バッテリ212と、操作部材213とを備える。
【0022】
撮像素子220は、結像光学系(レンズ群L)から入射した光を受光して電気信号に変換する。撮像素子駆動部223は、撮像素子220を駆動してブレ補正を行う。ボディ内殻マウント224は、ボディ内殻結合部217を備える形状であり、レンズ内殻マウント326と接触する。また、結合検知部240を有する。詳細は後述する。
【0023】
ボディ制御部215は、後述するブレ補正の演算や制御を行う。また、操作部材213の入力等に基づいて各種制御を行う。画像処理部218は、撮像素子220から出力された画像データに画像処理を施す。
【0024】
ボディ外殻マウント210は、通信又は通電用の接点211を備える。また、ボディ外殻マウント210は、ボディ外殻結合部216を備える形状である。表示部214は、撮像素子220が取得した画像データや各種設定に関する情報を表示する。操作部材213は、使用者によって操作される。
また、ボディ外殻201とボディ内殻202との間は、FPC等の配線で電気的に接続されている。
【0025】
以上の構成により、本実施形態のカメラシステム1は、レンズ鏡筒3が交換可能なカメラシステムであって、レンズ内殻302とボディ内殻202とが一体となってブレ補正動作(以下、一体駆動ブレ補正とする。)を行うことができる。
このカメラシステム1において、カメラボディ2のボディ外殻201とレンズ鏡筒3のレンズ外殻301とが結合して一体になる。また、カメラボディ2のボディ内殻202とレンズ鏡筒3のレンズ内殻302とが結合して一体になる。この状態で、ブレ検出部325がピッチ方向又はヨー方向のブレを検出すると、その出力信号に基づいて、レンズ制御部314は、ブレ検出部325が検出したブレを打ち消す方向にヨー駆動部312及びピッチ駆動部322を駆動する。その結果、ブレ補正が実行される。撮影者の手ブレ等に起因する被写体像の像ブレが補正される。また、シフト方向防振システム330を用いるレンズシフトブレ補正を同時に、又は、選択的に行うようにすることもできる。さらに、図示しない駆動部で、撮像素子220をシフト方向、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向のいずれかに駆動して行うブレ補正を同時に又は選択的に行うようにしてもよい。
【0026】
本実施形態におけるブレ補正について詳述する。
図2は、ボディ制御部215が行う処理を示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートでは、以下の3種類のブレ補正を実行可能である。
(1)一体駆動ブレ補正:レンズ内殻302とボディ内殻202とを一体で駆動して行うブレ補正。
(2)レンズブレ補正:シフト方向防振システム330で行うブレ補正。防振光学系LBをシフト方向に駆動して像ブレを補正する。
(3)撮像素子ブレ補正:撮像素子220を移動させて行うブレ補正。
カメラボディ2の電源がONされて動作が開始すると、ステップ(以下、Sとする)110では、ボディ制御部215は、スルー画の表示中又は動画の撮影中であるか否かを判断する。スルー画の表示中又は動画の撮影中である場合には、S120へ進む。スルー画の表示も動画の撮影も行っていない場合には、S160へ進む。
【0027】
S120では、ボディ制御部215は、ブレ補正のモードが一体駆動ブレ補正モードか、レンズブレ補正モードか、撮像素子ブレ補正モードかを判断する。これにより、以後のブレ補正の動作内容を決定される。ボディ制御部215は、例えば、使用者が設定したモードに基づいてブレ補正のモードを判断する。または、ブレ検出部325が検出したブレの大きさに基づいて、ボディ制御部215が自動で判断してもよい。または、カメラボディ2とレンズ鏡筒3が両方とも内殻を備えるシステムである場合には一体駆動ブレ補正モードと判断し、少なくともどちらか一方が内殻を備えないシステムである場合にはレンズブレ補正モード又は撮像素子ブレ補正モードと判断してもよい。
【0028】
S130では、ボディ制御部215は、ブレ検出部325がブレを検出しているか否かを判断する。ブレ検出部325が検出したブレは、接点311及び接点211を介してカメラボディ2のボディ制御部215は取得する。なお、ボディ制御部215が、ブレ検出部325が検出したブレを取得するタイミングはS130の時に限られない。レンズ鏡筒3は、ブレ検出部325が検出したブレを所定のタイミングでカメラボディ2へ送信してもよい。ブレ検出部325は、ピッチ方向のブレ、ヨー方向のブレ、ロール方向のブレ又はシフト方向のブレの少なくとも1つを検出することができる。全ての方向のブレを検出してもよいし、複数の方向のブレを検出してもよい。ここで、ブレを検出しているか否かに関しては、例えば、ブレ検出部325の出力値が一定値以上となる場合にブレを検出していると判断する。ブレ検出部325がピッチ方向のブレ、ヨー方向のブレ、ロール方向のブレ又はシフト方向のブレの少なくともひとつを検出している場合には、S140へ進む。ブレ検出部325がピッチ方向のブレも、ヨー方向のブレも、ロール方向のブレも、シフト方向のブレも検出していない場合には、S150へ進む。
【0029】
S140では、ボディ制御部215は、レンズ鏡筒3に対して、ブレ補正指示を送信する。
このS190で行われるブレ補正指示は、S120において確認したブレ補正モードに対応した指示を行う。具体的には、S120でブレ補正のモードが一体駆動ブレ補正モードであった場合、ボディ制御部215はピッチ駆動部322及びヨー駆動部312を駆動する指示をレンズ鏡筒3へ送信する。ヨー駆動部312及びピッチ駆動部322をどの方向にどれだけ駆動するかの演算は、S130で検出されたブレに基づいてボディ制御部215が演算し、レンズ鏡筒3へ送信する。
また、S120でブレ補正のモードがレンズブレ補正モードであった場合、ボディ制御部215はシフト方向防振システム330を制御する指示をレンズ鏡筒3へ送信する。シフト方向防振システム330の制御内容は、S130で検出されたブレ量に基づいてボディ制御部215が演算し、レンズ鏡筒3へ送信する。
また、S120でブレ補正のモードが撮像素子ブレ補正モードであった場合、ボディ制御部215は撮像素子駆動部223を駆動させる。撮像素子駆動部223を駆動させることで、撮像素子220をピッチ方向、ヨー方向、ロール方向、シフト方向の何れかの方向に駆動することができる。これによって像ブレの補正を行う。ブレ補正のモードが撮像素子ブレ補正モードであった場合には、ブレ補正指示をレンズ鏡筒3へ送信する必要はなく、ボディ制御部が撮像素子駆動部223を制御すればよい。
レンズ制御部314は、ボディ制御部215からの指示にしたがい、各アクチュエータ(ヨー駆動部312、ピッチ駆動部322、シフト方向防振システム330が備えるシフト駆動部332)を駆動する制御を行う。
ボディ制御部215が行うブレ補正の演算においては、少なくとも、ブレ検出部325の検出値と、ブレ検出部325の設置位置に関する情報と、レンズ鏡筒3の重心位置情報(又はレンズ内殻302の重心位置情報)とが必要となる。これらの情報を用いて、各ブレ補正に必要なブレ補正指示のパラメータを演算し、これをレンズ制御部314へ送信する。なお、ブレ補正の演算はレンズ制御部314が行ってもよい。
【0030】
S150では、ボディ制御部215は、電源がOFFされたか否かの判断を行う。電源がOFFされていなければ、S110へ戻り、電源がOFFされていれば、動作を終了する。
【0031】
S160では、ボディ制御部215は、静止画の表示中であるか否かの判断を行う。静止画の表示中の場合は、S170へ進む。静止画を表示していない場合には、S15へ進む。
S170では、ボディ制御部215は、静止画の表示を継続し、S150へ戻る。
【0032】
図3は、レンズ制御部314が行う処理を示すフローチャートである。
S210では、レンズ制御部314は、ブレ補正指示(
図2のS140でボディ制御部215が送信するブレ補正指示)をカメラボディ2から受信しているか否かの判断を行う。ブレ補正指示を受信している場合には、S220へ進み、ブレ補正指示を受信していない場合には、S230へ進む。
【0033】
S220では、レンズ制御部314は、ブレ補正指示にしたがって、各アクチュエータを駆動してブレ補正動作を行う。なお、このS220で、いずれのアクチュエータをどの方向にどれだけ駆動するかの情報は、カメラボディ2から受信したブレ補正指示に含まれている。
【0034】
S230では、レンズ制御部314は、電源がOFFされたか否かの判断を行う。電源がOFFされていなければ、S210へ戻り、電源がOFFされていれば、動作を終了する。
【0035】
次に、本実施形態のカメラシステム1における細部について、構成ごとにより詳しく説明する。
【0036】
(1.マウント構成)
上述したように、本実施形態のレンズ鏡筒3は、レンズ外殻301に設けられたレンズ外殻結合部316と、レンズ内殻302に設けられたレンズ内殻結合部317とを備えている。また、カメラボディ2は、ボディ外殻201に設けられたボディ外殻結合部216と、ボディ内殻202に設けられたボディ内殻結合部217とを備えている。
これら各結合部によってバヨネットが構成される。レンズ外殻結合部316とボディ外殻結合部216とが結合(係合でもよい。)又は分離可能である。同様に、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217とが結合(係合でもよい。)又は分離可能である。これらの結合又は分離はバヨネットで行われる。このような構成とすることにより、レンズ鏡筒3がカメラボディ2に対して着脱自在な構成となっている。
【0037】
このカメラシステム1において、カメラボディ2にレンズ鏡筒3を取り付ける際には、使用者はレンズ鏡筒3のレンズ外殻301をボディ外殻201に対して所定の角度(例えば、60°)だけ回転させて、カメラボディ2のボディ外殻201に結合する。より具体的には、レンズ外殻結合部316をボディ外殻結合部216に係合させる。ボディ外殻201に対するレンズ外殻301の回転に伴って、レンズ内殻302も回転するため、レンズ内殻結合部317がボディ内殻結合部217に係合し、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302がカメラボディ2のボディ内殻202に結合される。なお、レンズ鏡筒3を取り外す動作は、この逆となる。
【0038】
ここで、レンズ内殻302は、レンズ外殻301に対して固定されておらず、レンズ外殻301に対して所定の範囲で動くことができる。つまり、レンズ内殻302とレンズ外殻301との相対位置関係は変化する。また、ボディ内殻202は、ボディ外殻201に対して固定されておらず、ボディ外殻201に対して所定の範囲で動くことができる。つまり、ボディ内殻202とボディ外殻201との相対位置関係は変化する。このように、内殻と外殻との位置関係は固定されていないので、レンズ鏡筒3をカメラボディ2に対して着脱するときに、レンズ内殻302とボディ内殻202との着脱が確実になされない場合がある。そこで以下のような構成にしてレンズ内殻302とボディ内殻202との着脱を行うことが考えられる。
【0039】
(1−1.内殻ロック機構)
レンズ内殻302とボディ内殻202との着脱を行えるようにする構成として、レンズ内殻302をレンズ外殻301に対して所定位置で固定(ロック)するロック機構があげられる。
図4は、レンズ内殻302をレンズ外殻301に対してロックするレンズロック機構の一例を説明する図である。
図4(a)はロック状態、
図4(b)は非ロック状態を示す。
【0040】
図4に示した例では、レンズ鏡筒3のレンズ外殻301に、DCモータ401とウォームギア402が取り付けられている。また、レンズ内殻302の筒状部分の周囲には、ロックリング403が回動可能に取り付けられている。
ロックリング403の周囲には、ギア部404が形成され、また、ウォームギア402とギア部404との間には、ギア部材405が配置されている。
【0041】
ロック時には、DCモータ401を駆動してウォームギア402を回転させ、ギア部材405、ギア部404を介してロックリング403を回転させる。
そうすると、ロックリング403の内周側に設けられた突部406がレンズ内殻302に設けられた突部407と接触してこれを押さえる。
これにより、レンズ内殻302がレンズ外殻301に対して固定される。
【0042】
ロックを解除する時には、DCモータ401を逆方向に駆動してウォームギア402を回転させ、ギア部材405、ギア部404を介してロックリング403を逆方向に回転させる。
そうすると、ロックリング403の内周側に設けられた突部406と、レンズ内殻302の突部407とが非接触状態となり、レンズ内殻302のレンズ外殻301に対する固定が解除される。
なお、カメラボディ2とレンズ鏡筒3との着脱に連動して、機械的にロックリング403を回転させてもよい。
【0043】
ボディ側についても同様に、ボディ内殻202をボディ外殻201に対して所定位置で固定(ロック)するロック機構があげられる。
図5は、ボディ内殻202をボディ外殻201に対してロックするボディロック機構の一例を説明する図である。
図5(a)は、ボディ内殻202と、ボディ外殻201とがロックされている状態、
図5(b)は、ボディ内殻202と、ボディ外殻201とのロックが解除された状態を示す。
図5のボディロック機構では、不図示のアクチュエータにより駆動されるツメ部241,242がボディ外殻201に設けられている。このツメ部241,242が移動させられることにより、ロック状態とロック解除状態とを切換えることができる。なお、カメラボディ2とレンズ鏡筒3との着脱に連動して、機械的にツメ部241,242を移動させてもよい。
【0044】
以下の説明では、レンズ内殻302をレンズ外殻301に対して所定位置でロックする機構をレンズロック機構と呼び、ボディ内殻202をボディ外殻201に対して所定位置でロックする機構をボディロック機構と呼ぶ。このようなレンズロック機構やボディロック機構は、機械的にロックが解除される構成が考えられる。例えば、レンズ鏡筒3の着脱に連動してレンズロック機構及びボディロック機構のロックが解除される。又は図示しないスイッチに連動してレンズロック機構及びボディロック機構のロックが解除されるような構成でもよい。また、レンズロック機構やボディロック機構は、図示しないモータによって電気的にロックが解除される構成でもよい。例えば、レンズ鏡筒3が装着されたのを検知したら図示しないモータが駆動し、レンズロック機構及びボディロック機構のロックが解除される。又は図示しないスイッチや操作部材213が操作されることによりロック解除の指示を検出したら、図示しないモータを駆動しレンズロック機構及びボディロック機構のロックを解除するようにしてもよい。この場合、図示しないモータはレンズ鏡筒3とカメラボディ2とに備えられる。
【0045】
なお、本実施形態のカメラシステム1では、レンズ内殻302は、レンズ外殻301に対して揺動可能な程度の自由度は持っているものの、その可動範囲は物理的に(機械的に)制限されている。同様に、ボディ内殻202は、ボディ外殻201に対して揺動可能な程度の自由度は持っているものの、その可動範囲は物理的に(機械的に)制限されている。したがって、レンズロック機構又はボディロック機構が作動していない、又は、設けられていない場合であっても、外殻側の回転に対しては、所定の自由度はあるものの、その回転に追従して内殻も回転するように構成されている。
【0046】
(1−2.中心軸(回転軸)の整合機構)
レンズ鏡筒3は、レンズ外殻301に対してレンズ内殻302が揺動自在に支持されているため、レンズ内殻302が自重で落ちている状態や、レンズ外殻301に対してレンズ内殻302が傾斜した状態が考えられる。このような状態でレンズ鏡筒3をカメラボディ2に装着しようとすると、レンズ外殻301の回転軸とレンズ内殻302の回転軸とがずれているため、カメラボディ2にレンズ鏡筒3を円滑に取り付けることができないことがある。ボディ内殻202とボディ外殻201についても同様である。
【0047】
そこで、レンズ内殻302とボディ内殻202との着脱を行えるようにする構成の第2の例として、レンズ外殻301の回転時にレンズ内殻302の回転軸をレンズ外殻301の回転軸に合わせる軸合わせ機構の説明をする。
図6は、軸合わせ機構を光軸と平行に被写体側から見た正面図である。
この軸合わせ機構は、
図6に示すように、レンズ内殻302がその回転軸を中心として回転するのに伴って、レンズ内殻結合部317(例えば、爪部)が、ボディ内殻マウント224に内径が漸減するように設けられたガイド部材224cに案内されつつ回転することにより、レンズ内殻302とレンズ外殻301とが係合する。
【0048】
この軸合わせ機構により、レンズ内殻結合部317がボディ内殻結合部217に係合する。したがって、レンズ外殻301の回転軸とレンズ内殻302の回転軸とが一致していない場合であっても、カメラボディ2にレンズ鏡筒3を円滑に取り付けることが可能となる。この点で、カメラシステム1の実用性、利便性を高めることができる。
【0049】
また、カメラボディ2からレンズ鏡筒3を取り外す際には、レンズ鏡筒3のレンズ外殻301を逆向きに所定の角度(例えば、60°)だけ回転させて、カメラボディ2のボディ外殻201との係合状態を解除する。レンズ鏡筒3を取り外す向きに回転すると、レンズ外殻301の回転に追従してレンズ内殻302も回転する。その結果、レンズ外殻結合部316がボディ外殻結合部216から外れるとともに、レンズ内殻結合部317がボディ内殻結合部217から外れ、ここでレンズ鏡筒3の取り外し作業が終了する。
【0050】
なお、このような軸合わせ機構に代えて、レンズ内殻302とレンズ外殻301との回転軸が一致するように、アクチュエータ(図示せず)を駆動してレンズ内殻302を適宜移動させ、レンズ内殻302の回転軸をレンズ外殻301の回転軸に合わせるようにしてもよい。上述のロック機構を用いて内殻と外殻の回転軸を合わせてもよい。
【0051】
(1−3.マウント回転量の整合機構)
カメラシステム1では、上述したように、内殻側が外殻側に対して自由度を持っている。したがって、カメラボディ2にレンズ鏡筒3を取り付ける際に、レンズ内殻302の回転量(回転角度)が不足して、ボディ内殻結合部217とレンズ内殻結合部317との結合が正しく行われない状態となることが考えられる。
【0052】
そこで、マウント回転量の整合機構を説明する。
図7は、カメラボディにレンズ鏡筒を取り付ける手順を示す図である。光軸と平行に被写体側から見た正面図である。
ボディ外殻結合部216とレンズ外殻結合部316とが係合を開始する前に、ボディ内殻結合部217とレンズ内殻結合部317とが係合し始めるように構成されている。
【0053】
例えば、
図7(a)に示す状態から、レンズ外殻301を時計方向に例えば5°回転させると、
図7(b)に示すように、レンズ内殻結合部317がボディ内殻結合部217に掛かり始める。このとき、レンズ外殻結合部316はボディ外殻結合部216に未だ掛かっていない状態である。この状態から、さらにレンズ外殻301を時計方向に例えば5°(
図7(a)に示す状態からは10°)回転させると、
図7(c)に示すように、レンズ外殻結合部316がボディ外殻結合部216に掛かり始める。この状態から、さらにレンズ外殻301を時計方向に例えば40°(
図7(a)に示す状態からは50°)回転させると、
図7(d)に示すように、レンズ内殻結合部317がボディ内殻結合部217に掛かり終わって結合する。このとき、レンズ外殻結合部316はボディ外殻結合部216に掛かり終わっていない。よって、さらにレンズ外殻301を回転させることによりレンズ外殻結合部316はボディ外殻結合部216に掛かり終わって結合する。なお、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217とが結合するのとほぼ同時にレンズ外殻結合部316とボディ外殻結合部216とも結合されてよい。
【0054】
このように、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217とが掛かり始めるタイミングと、レンズ外殻結合部316とボディ外殻結合部216とが掛かり始めるタイミングに差を設ける。具体的には、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217とが掛かり始めるタイミングが、レンズ外殻結合部316とボディ外殻結合部216とが掛かり始めるタイミングよりも早くなる。これにより、レンズ内殻302の回転量(回転角度)が不足して、ボディ内殻結合部217とレンズ内殻結合部317との結合が正しく行われないことを防ぐことができる。よって、実用性、利便性を高めることができる。
【0055】
これにより、カメラボディ2にレンズ鏡筒3を取り付ける際に、レンズ内殻302の回転量(回転角度)が不足して、ボディ内殻マウント224とレンズ内殻マウント326との結合が不十分になることを防いでいる。
【0056】
これに対して、ボディ外殻結合部216に対するレンズ外殻結合部316の係合角度に比べて、ボディ内殻結合部217に対するレンズ内殻結合部317の係合角度を小さくしてもよい。このようにしても、同様の目的を達成することが可能である。
【0057】
さらに、アクチュエータを設けて、レンズ鏡筒3のレンズ外殻301がカメラボディ2のボディ外殻201に結合されると、それをトリガーとして、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302がカメラボディ2のボディ内殻202に結合されるように構成することもできる。また、使用者がボタン(図示せず)を押したことをトリガーとして、同様の動作を実行させるようにしてもよい。
上述した1−1から1−3の機構を単独で構成してもよいし、適宜組み合わせてもよい。
【0058】
(1−4.結合部の保持機構)
また、カメラシステム1は、結合部の緩みを防止する機構(結合部の保持機構)を設けている。例えば、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217とがバヨネットの機構で係合している場合、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217との光軸方向の相対的なずれは発生しにくいが、光軸を中心とした回転方向のずれは発生するおそれがある。よって、この光軸を中心とした回転方向のずれを抑制する機構を説明する。
具体的には、カメラシステム1は、レンズ内殻結合部317とボディ内殻結合部217との結合を保持(固定、ロック)する内殻結合保持機構を備える。また、レンズ外殻結合部316とボディ外殻結合部216との結合を保持(固定、ロック)する外殻結合保持機構を備える。したがって、カメラシステム1の使用中にボディ内殻202とレンズ内殻302とが光軸を中心とした回転方向にずれてしまい、結合(係合)が外れてしまうことを防ぐことができる。また、カメラシステム1の使用中にボディ外殻201とレンズ外殻301とが光軸を中心とした回転方向にずれてしまい、結合(係合)が外れてしまうことを防ぐことができる。なお、外殻結合保持機構及び内殻結合保持機構は、どのような方式のものでもよく、例えば、機械的、電気的、磁気的なものを用いることができる。
なお、この保持機構は外殻結合保持機構のみ備えてもよい。外殻に対する内殻の可動範囲はある程度規制されているため、外殻側がしっかりと結合(係合)されていれば内殻側の結合(係合)が外れてしまう可能性は低いからである。つまり、外殻結合保持機構を備えれば、内殻側の結合(係合)を保持することができる。内殻結合保持機構も備えることで、内殻側の光軸を中心とした回転方向のずれも抑制することができる。
【0059】
さらに、カメラシステム1は、外殻結合保持機構によるレンズ外殻301とボディ外殻201との結合を解除する解除機構を備えている。解除機構を操作することにより、外殻結合保持機構によるロックは解除される。また、解除機構の操作に連動して、内殻結合保持機構によるロックも解除される。したがって、カメラシステム1は、解除機構によって外殻結合保持機構によるロックを解除するとともに、内殻結合保持機構によるロックも解除する。これにより、レンズ鏡筒3の着脱を容易に実行することができる。
【0060】
図8は、結合部の緩み(例えば、光軸を中心とした回転方向のずれ)を防止する機構(結合部保持機構)の一例を示す図である。
図8中の上下方向は、レンズ鏡筒3の光軸に沿った方向として示している。
具体的には、例えば、
図8(a)に示すように、外殻マウント結合ピン231により、ボディ外殻結合部216とレンズ外殻結合部316との結合をロックして、レンズ外殻301をボディ外殻201に固定する。外殻マウント結合ピン231は、ばね234により図中の下方へ付勢されている。
【0061】
また、内殻マウント結合ピン232により、ボディ内殻結合部217とレンズ内殻結合部317と結合をロックして、レンズ内殻302をボディ内殻202に固定する。内殻マウント結合ピン232は、ばね234により図中の下方へ付勢されている。
【0062】
さらに、これらの外殻マウント結合ピン231、内殻マウント結合ピン232に跨る形で、連動レバー233が昇降自在に設けられている。連動レバー233は、レンズ鏡筒3の光軸に沿った方向(
図8中の上下方向)に移動可能に設けられている。ここで、外殻マウント結合ピン231と連動レバー233とは、一体的に移動可能となるように嵌合した構成としてもよい。一方、内殻マウント結合ピン232と連動レバー233とは、ボディ外殻201に対してボディ内殻202が揺動可能なように、内殻マウント結合ピン232の径方向においては、十分な可動範囲を設けて係合している。なお、ボディ内殻202の揺動による
図8中の上下方向における内殻マウント結合ピン232と連動レバー233との干渉については、ばね235の伸縮により吸収可能である。
【0063】
そして、連動レバー233を例えば、使用者が手動で操作する。すなわち、
図8中の上方へ連動レバー233を移動させると、
図8(b)に示すように、外殻マウント結合ピン231が連動レバー233に押し上げられ、ボディ外殻結合部216とレンズ外殻結合部316との結合をロックしていた外殻結合ロックが解除される。これと同時に、内殻マウント結合ピン232も連動レバー233に押し上げられ、ボディ内殻結合部217とレンズ内殻結合部317との結合をロックしていた内殻結合ロックが解除される。
【0064】
したがって、解除機構を操作するだけで、外殻結合ロックのみならず内殻結合ロックも解除でき、容易にレンズ鏡筒3を着脱することができる。また、レンズ鏡筒3をカメラボディ2に装着するときには、所定位置までレンズ鏡筒3を回転させるだけで、自動的に外殻結合ロック及び内殻結合ロックが行われる。以上より、カメラシステム1の実用性、利便性を高めることができる。
【0065】
なお、上述したような外殻結合保持機構及び内殻結合保持機構に限らない。例えば、内殻結合保持機構について、アクチュエータ等を利用して電気的に内殻結合ロックを行うようにしてもよい。この場合、例えば、解除機構の操作(例えば、連動レバー233の移動)によって外殻結合ロックが解除された場合に、それに連動して、アクチュエータを用いて内殻結合ロックを解除するように制御を行うとよい。
【0066】
(2.内殻マウントの結合を検知する構成)
外殻側については、使用者が目視で容易にその状態を確認できるのに対して、内殻側は使用者が目視で確認することができない。よって、使用者は、レンズ内殻302とボディ内殻202とが正しく結合されたか否かを目視で確認することができない。
よって、本実施形態のカメラシステム1は、内殻同士が正しく結合されているか否かを検知(検出)する検知部を備えている。言い換えると、内殻同士の係合状態を検知する検知部を備える。
図1A,1B及び
図7に示したように、ボディ内殻202には、結合検知部240が設けられている。また、レンズ内殻302には、結合検知部340が設けられている。これら結合検知部240と結合検知部340とにより、内殻同士が正しく結合されているか否かを検知することができる。このような検出部は、通信又は通電ができる。
ボディ内殻202とレンズ内殻302とが正しく結合されていない状態(例えば
図7(a)(b)(c)等)では、結合検知部240と結合検知部340とは、接触していない。
一方、ボディ内殻202とレンズ内殻302とが正しく結合された状態(例えば、
図7(d)等)では、結合検知部240と結合検知部340とは接触する。結合検知部同士は接触することにより、通電又は通信をすることができる。
よって、結合検知部240と結合検知部340とが接触し、通電又は通信を検知した場合、レンズ内殻302とボディ内殻202とは正確に結合されたと判断できる。また、結合検知部240と結合検知部340とが接触されず、通電又は通信が検知されない場合は、レンズ内殻302とボディ内殻202とは正確に結合されていないと判断できる。このような判断は、レンズ制御部314が行ってもよいし、ボディ制御部215が行ってもよい。結合検知部240及び結合検知部340を設けたことにより、外観からは判断できないボディ内殻202とレンズ内殻302との結合状態を判断することができる。
【0067】
図9は、結合検知部240及び結合検知部340を用いた結合状態の検知に関するボディ制御部215の動作を示すフローチャートである。なお、レンズ制御部314が、
図9に示す動作を行ってもよい。
カメラボディ2の電源がONされて動作が開始すると、S310では、ボディ制御部215は、結合検知部240及び結合検知部340の通電(又は通信)が正しく行われているか否か、すなわち、ボディ内殻202とレンズ内殻302とが正しく結合(係合)された状態にあるか否かを判断する。S310で、通電又は通信が行われている(レンズ内殻302とボディ内殻202とが結合されている)と判断した場合はS320へ進む。通電又は通信が行われていない(レンズ内殻302とボディ内殻202とが結合されていない)と判断した場合はS340へ進む。
【0068】
S320では、ボディ制御部215は、カメラシステム1の動作を継続する。そしてS330へ進む。
S330では、ボディ制御部215は、電源がOFFされたか否かの判断を行う。電源がOFFされていなければ、S310へ戻り、電源がOFFされていれば、動作を終了する。
【0069】
S340では、ボディ制御部215は、装着されているレンズ鏡筒が内殻を備えたレンズ鏡筒であるか否かの判断を行う。例えば、ボディ制御部215は、レンズ外殻301が備える接点311及びボディ外殻201が備える接点211を介して、レンズ鏡筒3に関する情報をレンズ鏡筒3から受信する。このレンズ鏡筒3に関する情報には、内殻を備えたレンズ鏡筒であるか否かを示す情報が含まれている。レンズ鏡筒3に関する情報に、内殻を備えたレンズ鏡筒であることを示す情報が含まれていれば(又は内殻を備えていないレンズ鏡筒であることを示す情報が含まれていなければ)、ボディ制御部215は、装着されているレンズ鏡筒が内殻を備えていると判断し、S350へ進む。また、レンズ鏡筒3に関する情報に、内殻を備えたレンズ鏡筒であることを示す情報が含まれていなければ(又は内殻を備えていないレンズ鏡筒であることを示す情報が含まれていれば)、ボディ制御部215は、装着されているレンズ鏡筒が内殻を備えていると判断し、S320へ進む。
【0070】
ここで、レンズ内殻302を備えていない不図示のレンズ鏡筒(例えば、従来のカメラシステムで用いられているレンズ鏡筒等)がカメラボディ2に装着された場合、このレンズ鏡筒がカメラボディ2に正確に結合しても、結合検知部340が当該レンズ鏡筒には設けられていないので、結合検知部240と結合検知部340との通電又は通信は行われない。このようなレンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒が装着されたときであっても、撮影が行える形態とした方が、利便性が高い。
【0071】
そこで、レンズ内殻302を備えたレンズ鏡筒3がカメラボディ2に装着されたときに、ボディ外殻201及びレンズ外殻301の接点211及び接点311を介して、レンズ鏡筒3がレンズ内殻302を備えている旨の情報をレンズ鏡筒3からカメラボディ2に送信する。こうすることにより、カメラボディ2は、装着されているレンズ鏡筒がレンズ内殻302を備えているか否かを識別できる。よって、レンズ内殻302を備えているレンズ鏡筒3のみならず、レンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒がカメラボディ2に装着される可能性があっても、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302がカメラボディ2のボディ内殻202に正確に結合したか否かを使用者に適正に知らせることが可能となり、また、レンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒がカメラボディ2に装着された場合であっても、撮影を行うことが可能である。
【0072】
S350では、S310において、ボディ内殻202とレンズ内殻302とが正しく結合された状態にないと判断され、さらに、装着されたレンズ鏡筒がレンズ内殻302を備えたものであると判断されている状態にある。したがって、ボディ制御部215は、ボディ内殻202とレンズ内殻302とが正しく結合されていない旨を音、表示、光等で使用者に報知する。なお、報知に加えて、又は、報知の代わりにカメラシステム1の動作を一時中断する等してもよい。
【0073】
なお、上述の動作に加えて、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302がカメラボディ2のボディ内殻202に結合されたことを検出した場合に、その旨を使用者に報知してもよい。
【0074】
さらに、上記結合検知部(240,340)は、ボディ内殻202とレンズ内殻302との結合が解除された状態、すなわち、非結合な状態となったことを検出する非結合検知部として用いることもできる。この場合、例えば、ボディ内殻202とレンズ内殻302との結合が外れたことを検出した場合に、その旨を音、表示、光等で使用者に報知することができる。
【0075】
(3.強制解除機構)
カメラシステム1は、何らかの原因でレンズ内殻302がボディ内殻202に強固に取り付けられてしまい外すことが困難な場合においても、カメラボディ2とレンズ鏡筒3とを取り外すことができるように、強制解除機構をさらに備えている。ここで、レンズ内殻302がボディ内殻202に強固に取り付けられている場合とは、例えば、レンズ内殻結合部317が変形等の異常状態のままボディ内殻結合部217に取り付けてしまい、取外しが困難になってしまった場合が考えられる。また、カメラボディ2にレンズ鏡筒3が取り付けられている状態でカメラシステム1が落下等すると、ボディ外殻201又はレンズ外殻301に対して、ボディ内殻202又はレンズ内殻302が斜めに取り付けられた状態になってしまい、レンズ鏡筒3の取外しが困難になる場合が考えられる。このような場合には、何ら対策(例えば、本実施形態における強制解除機構)が設けられていないと、レンズ外殻301を回転させても、レンズ内殻302とボディ内殻202との結合が解除されないおそれがある。その場合には、カメラボディ2からレンズ鏡筒3を取り外すことができなくなってしまう。
【0076】
そこで、本実施形態のカメラシステム1は、レンズ外殻301の外側からレンズ内殻302を直接回転させて、ボディ内殻202とレンズ内殻302との結合状態を解除する結合解除機構(強制解除機構)を備えている。
図10は、結合解除機構の概要を示す図である。
この結合解除機構は、
図10に示すように、レンズ外殻301の長孔301aに昇降自在(レンズ外殻301の径方向に移動自在)に必要に応じて取り付け可能な操作ピン303と、レンズ内殻302の表面に形成された嵌合穴302aと、から構成されている。ここで、長孔301aは、レンズ外殻301の周方向(回転方向)に沿って延在するように形成されている。
【0077】
したがって、レンズ内殻302がボディ内殻202に強固に取り付けられていて、レンズ外殻301を回転させてもレンズ内殻302が回転しない場合には、操作ピン303を取り付けて、レンズ内殻302の嵌合穴302aに嵌合させ、その状態で、操作ピン303をレンズ外殻301の周方向に移動させることにより、レンズ内殻302を強制的に回転させることができる。よって、カメラシステム1の信頼性を高め、非常時においても対応が容易となる。
【0078】
なお、操作ピン303は、レンズ鏡筒3とは別の部品として用意した例で説明したが、レンズ鏡筒3に一体に取り付けられた付属品としてもよい。また、長孔301aの存在を隠すような蓋を設けてもよい。
【0079】
(4.バヨネットに代わる他のマウント構成)
以上の説明では、レンズ内殻結合部317、レンズ外殻結合部316、ボディ内殻結合部217、ボディ外殻結合部216は、バヨネット形状を構成する例を挙げて説明した。しかし、マウントの形態はバヨネット型に限るものではなく、他の構成としてもよい。例えば、ピン、ばね、磁石等があげられる。
図11は、内殻側のマウント構成の変形形態を示す図である。
この変形形態は、上述したバヨネット方式に代えて、ピン係合方式を採用したものである。
【0080】
すなわち、ボディ内殻マウント224は、
図11(a)に示すように、円環状のマウント本体224fを有している。マウント本体224fには、その円周上に2つの係止穴224dが180°間隔で形成されている。また、マウント本体224fには、2つの円弧状のマグネット224eが、2つの係止穴224dの間に位置するように180°間隔で埋設されている。
【0081】
一方、レンズ内殻マウント326は、
図11(b)に示すように、円環状のマウント本体326fを有している。マウント本体326fには、その円周上に2つの凹部326bが、ボディ内殻マウント224の2つの係止穴224dに対応して180°間隔で形成されている。各凹部326bにはそれぞれ、先端が半球形状の円柱状(いわゆる弾丸状)の係合ピン326dがコイルスプリング326cを介して弾性的に進退自在に取り付けられている。
【0082】
こうしたピン係合方式のボディ内殻マウント224及びレンズ内殻マウント326では、2つの係合ピン326dを2つの凹部326bに係合させることにより、レンズ内殻マウント326をボディ内殻マウント224に対して所定の位置に位置決めした状態で、マグネット224eの磁力により、レンズ内殻マウント326をボディ内殻マウント224に固定することができる。その結果、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302とカメラボディ2のボディ内殻202とを高精度かつ簡易に結合することが可能となる。
【0083】
このようなピン係合方式は、バヨネット方式と同様、機械的なものであって、電気的なものではないので、バッテリ212が不用意に切れてレンズ内殻マウント326がボディ内殻マウント224から脱落する不都合の発生を未然に回避できる利点がある。
【0084】
なお、このピン係合方式は、ボディ内殻マウント224とレンズ内殻マウント326との結合に限らず、ボディ外殻マウント210とレンズ外殻マウント310との結合に採用してもよい。
【0085】
(5.接点構成)
本実施形態のカメラシステム1では、先に述べたように、ボディ外殻201の被写体側端部には、通信又は通電用の接点211が設けられている。また、レンズ外殻301のボディ側端部には、通信又は通電用の接点311が設けられている。したがって、カメラボディ2とレンズ鏡筒3との間の電気信号及び電力の授受は、全て外殻側で行うことができる。これにより、レンズ内殻302又はボディ内殻202を備えていない従来のカメラシステムがレンズ外殻301又はボディ外殻201に結合された場合であっても、従来のカメラシステムと通信又は通電が可能である。よって、従来のカメラシステムをカメラシステム1に着脱して使用することができる。
また、ヨー駆動部312又はピッチ駆動部322はレンズ外殻301に備えられているので、ヨー駆動部312又はピッチ駆動部322が配置されている外殻側でカメラボディ2とレンズ鏡筒3との間の電気信号及び電力の授受を行うこととすれば、内部におけるFPC等の数及び大きさを最小限に抑えることが可能である。FPCが内殻と外殻との間に配置されると、内殻の揺動にとっては、負荷となることからも、FPCを減らすことは、カメラシステム1においては、大きな効果をもたらすこととなる。
【0086】
また、カメラシステム1のレンズ鏡筒3は、接点311がレンズ外殻301に設けられているため、ボディ内殻202を備えていないカメラボディ(図示せず)に対しても、このレンズ鏡筒3を装着して使用することができる。このとき、レンズ鏡筒3においては、上述したレンズロック機構により、レンズ内殻302をレンズ外殻301にロックしておくことで、レンズ群Lの光軸がぶれる事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0087】
この場合、カメラシステム1のレンズ鏡筒3に、シフト方向防振システム330を付与しておけば、ボディ内殻202を備えていないカメラボディに装着された場合でも、レンズブレ補正を実行することができる。また、撮像素子をピッチ・ヨー・ロール・シフトの何れかに駆動して行う撮像素子ブレ補正を備えていればブレ補正を実行することができる。また、カメラシステム1のレンズ鏡筒3が、このような機能を備えていない場合には、レンズ鏡筒3のレンズ内殻302全体を駆動してブレ補正を実行することが可能としてもよい。
【0088】
なお、接点311と接点211とは外殻側に備えられている構成を説明したが、内殻側に備えられていてもよい。外殻側と内殻側とに備えられてもよい。レンズ群Lを駆動するズームアクチュエータはレンズ内殻302に備えられているので、ズームアクチュエータの駆動に関する情報は内殻側に備えられた接点211及び311を利用するとよい。このように、制御すべき対象が備えられている側(内殻側又は外殻側)にある接点で、その制御に必要な情報を送受信するとよい。
【0089】
(その他の構成)
なお、カメラシステム1のレンズ鏡筒3は、レンズ内殻302がレンズ外殻301から光軸方向に沿って後方(カメラボディ2側)に突出しないように構成されている。そのため、ボディ内殻202を備えていないカメラボディに装着された場合でも、装着時はもちろんのことブレ補正時にも、レンズ内殻302がカメラボディの部品(ミラー、シャッター等)と干渉するおそれはない。また、ボディ内殻202を備えていないカメラボディにレンズ鏡筒3が装着された場合に、アクチュエータ(図示せず)でレンズ内殻302全体を前方(被写体側)に移動させることにより、レンズ内殻302がカメラボディの部品と干渉しないようにすることもできる。
【0090】
一方、カメラシステム1のカメラボディ2は、接点211がボディ外殻201に設けられている。そのため、レンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒(図示せず)をも、このカメラボディ2に装着して使用することができる。このとき、カメラボディ2においては、上述したボディロック機構により、ボディ内殻202をボディ外殻201にロックしておくことで、撮像素子220の位置がぶれる事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0091】
なお、カメラシステム1のカメラボディ2は、ボディ内殻202がボディ外殻201から光軸方向に沿って前方(被写体側)に突出しないように構成されている。そのため、レンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒が装着された場合でも、装着時はもちろんのことブレ補正時にも、ボディ内殻202がレンズ鏡筒の部品(レンズ群Lの最も後方(カメラボディ2側)に位置するレンズ等)と干渉するおそれはない。また、レンズ内殻302を備えていないレンズ鏡筒がカメラボディ2に装着された場合に、アクチュエータ(図示せず)でボディ内殻202全体を後方に移動させることにより、ボディ内殻202がレンズ鏡筒の部品と干渉しないようにすることもできる。
【0092】
(第2実施形態)
図12Aは、第2実施形態のレンズ鏡筒3と、カメラボディ2とを備えるカメラシステム1のシステム構成図である。
図12Bは、第2実施形態のレンズ鏡筒3と、カメラボディ2とを備えるカメラシステム1のシステム構成を簡素化して示した図である。なお、先の
図1A及び
図1Bの関係と同様に、
図12Aと
図12Bとは、同じカメラシステム1を示しているので、これらの図は、例えば、一方の図に含まれていない構成については、他方で補うものとし、これらは相互に補完するものである。
第2実施形態に係るカメラシステム1は、
図12A,12Bに示すように、カメラボディ2側の接点211が、ボディ外殻201ではなくボディ内殻202に設けられている。また、ボディ制御部215は、カメラボディ2のボディ外殻201ではなくボディ内殻202に設けられている。
また、レンズ鏡筒3側の接点311が、レンズ外殻301ではなくレンズ内殻302に設けられている。また、レンズ制御部314は、レンズ鏡筒3のレンズ外殻301ではなくレンズ内殻302に設けられている。
その他の構成については、上述した第1実施形態と基本的に同様であるので、同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
第2実施形態では、上述した第1実施形態と同じ作用効果を奏する。これに加えて、この第2実施形態では、接点211、接点311がそれぞれボディ内殻202、レンズ内殻302に設けられているので、レンズ内殻302に設置された電気部品(例えば、ズーム用アクチュエータ、シフト方向防振システム330等)に対して、FPCを介さずにバッテリ212から電力を供給することができ、その分だけFPCを削減することができる。また、レンズ内殻302に設置された電気部品に対して、FPCを介さずに電気信号を送受信することができ、その分だけFPCを削減することができる。その結果、レンズ鏡筒3のレンズ外殻301に対するレンズ内殻302の自由度(揺動範囲の大きさ)を高めるとともに、FPCに起因する故障を減らすことが可能となる。
【0094】
なお、接点211、接点311は、その通信量に応じた個数だけ設けられているので、レンズ内殻302に設置された電気部品との電気信号の送受信を適正に実行することができる。
【0095】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である
【0096】
(1)上述した実施形態では、カメラボディ2において、ボディ外殻201とボディ内殻202とをFPCで電気的に接続する場合について説明した。しかし、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、近接通信その他の無線通信を利用して、これらのボディ外殻201、ボディ内殻202間で電気信号を送受信してもよい。
【0097】
(2)上述した実施形態では、レンズ鏡筒3において、レンズ外殻301とレンズ内殻302とをFPCで電気的に接続する場合について説明した。しかし、Wi-Fi、近接通信その他の無線通信を利用して、これらのレンズ外殻301、レンズ内殻302間で電気信号を送受信してもよい。
【0098】
(3)上述した実施形態では、バヨネット方式やピン係合方式のマウントについて説明した。しかし、これらの方式や、その他の方式(磁石やバネ等)を代用又は併用してもよい。
【0099】
(5)上述した実施形態では、ピッチ駆動部322とヨー駆動部312との2つのアクチュエータを一体駆動ブレ補正を行うために設ける例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、ピッチ方向及びヨー方向の両方に駆動可能なアクチュエータを使用してもよい。その場合、筐体320を省略設けなくてよい。
【0100】
(6)上述した実施形態では、レンズ鏡筒3がピッチ駆動部322とヨー駆動部312を備える例を説明した。これに限られず、カメラボディ2がピッチ駆動部322又はヨー駆動部312を備えてもよい。両方の駆動部がカメラボディ2に備えられてもよいし、片方の駆動部がカメラボディ2に備えられもう片方の駆動部がレンズ鏡筒3に備えられてもよい。
【0101】
(7)上述した実施形態では、レンズ内殻302及びボディ内殻202をピッチ方向又はヨー方向に駆動してブレ補正をすることを説明した。これに限られず、レンズ内殻302及びボディ内殻202をシフト方向に駆動してブレ補正を行ってもよい。この場合、ピッチ駆動部322とヨー駆動部312の代わりに、シフト方向に駆動可能な駆動部を設けて、レンズ内殻302又は筐体320をシフト方向に駆動する。
【0102】
(8)上述した実施形態では、レンズ鏡筒3は、一体駆動ブレ補正、レンズブレ補正及び撮像素子ブレ補正の機能を備える例を説明した。これに限らず例えば、一体駆動ブレ補正、レンズブレ補正又は撮像素子ブレ補正のうち少なくとも1つを備える構成でもよいし、複数のブレ補正を備える構成でもよい。
【0103】
(9)上述した実施形態では、ブレ検出部325設けた例を挙げて説明したが、ブレ検出部は複数あってもよい。複数のブレ検出部のうち何れかを、レンズ外殻301、ボディ内殻202又はボディ外殻201に設けてもよい。
【0104】
なお、各実施形態及び変形形態は、任意の組み合わせでもよい。また、以上説明した各実施形態によって限定されることはない。