(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バイナリ型のフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランクであって、透明基板と、該透明基板上に形成され、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない遮光膜とを有し、上記遮光膜が、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層単層で構成され、かつ膜厚が70nm以下であることを特徴とするフォトマスクブランク。
更に、上記遮光膜の上記透明基板と離間する側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるハードマスク膜及び/又は上記遮光膜の上記透明基板側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜を有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
上記遮光膜、並びに上記ハードマスク膜及び/又はエッチングストッパ膜の全体の、露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項3記載のフォトマスクブランク。
透明基板と、該透明基板上に形成され、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない遮光膜と、上記透明基板と上記遮光膜との間に設けられた位相シフト膜とを有し、上記遮光膜が、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層単層で構成されていることを特徴とするフォトマスクブランク。
更に、上記遮光膜の上記透明基板と離間する側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるハードマスク膜及び/又は上記遮光膜の上記透明基板側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
上記遮光膜、上記位相シフト膜、並びに上記ハードマスク膜及び/又はエッチングストッパ膜の全体の、露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項9記載のフォトマスクブランク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遮光膜は所定の遮光度になるような膜厚とするため、ある程度の膜厚が必要となるが、ケイ素を含む膜において、より微細な加工を可能とするためには、遮光膜の膜厚を薄くし、かつ高い加工性を確保すること、特に、エッチング速度を高めることが重要である。エッチング速度が速くなることによって、例えば、パターン形成に用いるレジスト膜の膜厚を低減することができ、また、遮光膜の上にハードマスク膜を形成する場合においても、ハードマスク膜の膜厚を低減することが可能となり、ハードマスク膜を加工するためのレジスト膜の膜厚を低減することが可能となる。そのため、ケイ素を含む膜においても、そのパターン形成においてより加工性のよい膜が求められる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ケイ素を含む遮光膜を有するフォトマスクブランクにおいて、膜厚が薄く、かつ加工性がよい遮光膜を有するフォトマスクブランク、及びこのようなフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、透明基板と、透明基板上に形成された遮光膜とを有するフォトマスクブランクにおいて、遮光膜を、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない膜とし、遮光膜を、単層又は多層で構成し、この単層又は多層を構成する層として、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層を含むようにすることにより、遮光膜を薄くでき、その加工性に寄与するエッチング速度を向上させることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、以下のフォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法を提供する。
請求項1:
バイナリ型のフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランクであって、透明基板と、該透明基板上に形成され、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない遮光膜とを有し、上記遮光膜が、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層単層で構成され、かつ膜厚が70nm以下であることを特徴とするフォトマスクブランク。
請求項2:
上記遮光膜の露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項3:
更に、上記遮光膜の上記透明基板と離間する側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるハードマスク膜及び/又は上記遮光膜の上記透明基板側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜を有することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項4:
上記遮光膜、並びに上記ハードマスク膜及び/又はエッチングストッパ膜の全体の、露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項3記載のフォトマスクブランク。
請求項5:
透明基板と、該透明基板上に形成され、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない遮光膜と、上記透明基板と上記遮光膜との間に設けられた位相シフト膜とを有し、上記遮光膜が、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層単層で構成されていることを特徴とするフォトマスクブランク。
請求項6:
上記遮光膜の膜厚が70nm以下であることを特徴とする請求項5記載のフォトマスクブランク。
請求項7:
上記位相シフト膜が、露光光に対する透過率が5〜30%のハーフトーン位相シフト膜であることを特徴とする請求項5又は6記載のフォトマスクブランク。
請求項8:
上記遮光膜及び上記位相シフト膜の全体の、露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項9:
更に、上記遮光膜の上記透明基板と離間する側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるハードマスク膜及び/又は上記遮光膜の上記透明基板側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項10:
上記遮光膜、上記位相シフト膜、並びに上記ハードマスク膜及び/又はエッチングストッパ膜の全体の、露光光における光学濃度が2.3以上であることを特徴とする請求項9記載のフォトマスクブランク。
請求項11:
上記遮光層が、ケイ素及び窒素からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項12:
ArFエキシマレーザを露光光とすることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項13:
請求項1乃至12のいずれか1項記載のフォトマスクブランクを用いることを特徴とするフォトマスクの製造方法。
また、本発明は、以下のフォトマスクブランク、及びフォトマスクの製造方法が関連する。
[1]
透明基板と、該透明基板上に形成され、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない遮光膜とを有するフォトマスクブランクであって、
上記遮光膜が、単層又は多層で構成され、該単層又は多層を構成する層として、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層を含むことを特徴とするフォトマスクブランク。
[2]
上記遮光層が、ケイ素及び窒素からなることを特徴とする[1]記載のフォトマスクブランク。
[3]
上記遮光膜が、上記遮光層の単層からなることを特徴とする[1]又は[2]記載のフォトマスクブランク。
[4]
上記遮光膜が、多層で構成され、上記遮光層と、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない反射率低減層とからなることを特徴とする[1]又は[2]記載のフォトマスクブランク。
[5]
上記反射率低減層のケイ素含有率が上記遮光層のケイ素含有率より低く、上記反射率低減層のケイ素含有率が43原子%以上60原子%以下、窒素含有率が40原子%以上57原子%以下であることを特徴とする[4]記載のフォトマスクブランク。
[6]
上記反射率低減層の厚さが30nm以下であることを特徴とする[4]又は[5]記載のフォトマスクブランク。
[7]
上記遮光膜が、多層で構成され、上記遮光層と、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、厚さ方向に組成が連続的に変化する傾斜組成層とからなることを特徴とする[1]又は[2]記載のフォトマスクブランク。
[8]
上記傾斜組成層の厚さが30nm以下であることを特徴とする[7]記載のフォトマスクブランク。
[9]
上記傾斜組成層が、反射率低減層であり、上記遮光層の上記透明基板から離間する側に設けられ、上記透明基板から離間する方向にケイ素含有率が連続的に減少することを特徴とする[7]又は[8]記載のフォトマスクブランク。
[10]
上記反射率低減層の上記透明基板から離間する側の表面におけるケイ素含有率が43原子%以上60原子%以下、窒素含有率が40原子%以上57原子%以下であることを特徴とする[9]記載のフォトマスクブランク。
[11]
上記遮光膜の膜厚が70nm以下であることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
[12]
更に、上記遮光膜の上記透明基板と離間する側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるハードマスク膜を有することを特徴とする[1]乃至[11]のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
[13]
更に、上記遮光膜の上記透明基板側に接して上記遮光膜とはエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜を有することを特徴とする[1]乃至[12]のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
[14]
更に、位相シフト膜を有することを特徴とする[1]乃至[13]のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
[15]
ArFエキシマレーザを露光光とすることを特徴とする[1]乃至[14]のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
[16]
[1]乃至[15]のいずれかに記載のフォトマスクブランクを用いることを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケイ素を含む遮光膜を有するフォトマスクブランクとして、膜厚が薄く、かつ加工性がよい遮光膜を有するフォトマスクブランクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のフォトマスクブランクは、透明基板と、透明基板上に形成された遮光膜とを有する。遮光膜は、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない材料で形成されている。そして、遮光膜は、単層又は多層で構成され、この単層又は多層を構成する層として、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、ケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率が3原子%以上50原子%以下である遮光層を含むように構成されている。このようにすることで所定の光学濃度(OD)となる膜厚を薄くすることができ、かつエッチング速度を速くすることができる。また、遷移金属を含有しないようにすることで、レーザー照射耐性が良好な膜となり、例えば、露光光を累積照射量として30kJ/cm
2以上、特に40kJ/cm
2以上照射しても、線幅変動が小さいフォトマスクを作製することができる。
【0012】
本発明のフォトマスクブランクにおける透明基板は、基板の種類や基板サイズに特に制限はないが、露光波長として用いる波長で透明である石英基板などが適用され、例えば、SEMI規格において規定されている、6インチ角、厚さ0.25インチの6025基板と呼ばれる透明基板が好適である。6025基板は、SI単位系を用いた場合、通常、152mm角、厚さ6.35mmの透明基板と表記される。
【0013】
本発明のフォトマスクブランクにおいて、遮光膜に含まれる遮光層におけるケイ素及び窒素の合計に対する窒素の比率は、5原子%以上、特に10原子%以上、とりわけ13原子%以上であることが好ましく、45原子%以下、特に40原子%以下、とりわけ35原子%以下であることが好ましい。遮光膜は、ケイ素及び窒素からなること(即ち、SiN膜であること)が好ましく、遮光膜の単層又は多層を構成する遮光層は、ケイ素及び窒素の合計が70原子%以上、特に80原子%以上、とりわけ90原子%以上であることが好ましく、特に、ケイ素及び窒素のみからなること(即ち、SiN層であること)が好ましい。
【0014】
遮光膜は単層とすることができる。遮光膜が単層のフォトマスクブランクとして具体的には、例えば、
図1に示されるような、透明基板1上に単層の遮光膜2が形成されたものが挙げられる。遮光膜が単層の場合、遮光膜は、遮光層の単層で構成される。遮光膜を単層とすることで、パターン形状を良好にすることができる。遮光膜をケイ素単体で形成すると、反射率が高くなってしまうため、その場合、反射率を低減するためには、遮光性の低い反射率低減層を設ける必要があるが、本発明のフォトマスクブランクにおいては、例えば、遮光膜の窒素量を多くすることによって、遮光膜が単層であっても、遮光膜の露光光に対する反射率を、より低くすることができる。特に、遮光層(即ち、遮光膜)を、酸素を含まない材料、とりわけ、ケイ素及び窒素からなる材料(即ち、SiN)とすれば、遮光膜をより薄膜化できるので好ましい。
【0015】
また、遮光膜は多層とすること(即ち、2又は3層以上で構成すること)もできる。遮光膜を多層で構成する場合、例えば、遮光層の他に、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない反射率低減層を含むように構成することができ、特に、遮光膜を、遮光層及び反射率低減層のみで構成することが好ましい。遮光膜が遮光層と反射率低減層の2層のフォトマスクブランクとして具体的には、例えば、
図2に示されるような、透明基板1上に、遮光層21及び反射率低減層22の順で構成された遮光膜2が形成されたものが挙げられる。なお、遮光層の透明基板側に反射率低減層を設けることもできる。また、遮光膜は、遮光層の透明基板側に、密着性改善層を含んでいてもよい。
【0016】
この場合、反射率低減層のケイ素含有率が遮光層のケイ素含有率より低いことが好ましい。また、反射率低減層のケイ素含有率が43原子%以上60原子%以下、窒素含有率が40原子%以上57原子%以下であることが好ましい。この場合、反射率低減層は酸素を含んでいてもよいが、遮光層及び反射率低減層の双方を、酸素を含まない材料、特に、ケイ素及び窒素からなる材料(即ち、SiN)とすれば、遮光膜をより薄膜化できるので好ましい。反射率低減層の厚さは、遮光膜全体の40%以下、特に30%以下であることが好ましい。具体的には、30nm以下が好ましく、特に20nm以下、とりわけ10nm以下とすることで遮光膜全体の厚さをより薄膜化できるためより好ましい。反射率低減層の厚さは、通常2nm以上とすればよい。
【0017】
更に、遮光膜の多層を構成する遮光層と遮光層以外の層との組成差は、小さい方がエッチングにおいて段差が形成されにくいため好ましい。そのため、遮光膜の多層を構成する遮光層と遮光層以外の層とを、遮光層と、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有せず、厚さ方向に組成が連続的に変化する傾斜組成層との組み合わせとすることが好適である。この組成の変化は、厚さ方向に組成が連続的に増加するものでも、減少するものでもよく、また、増加と減少が組み合わされたものでもよい。傾斜組成層の厚さは、遮光膜全体の40%以下、特に30%以下であることが好ましい。具体的には、30nm以下が好ましく、特に20nm以下、とりわけ10nm以下とすることで遮光膜全体の厚さをより薄膜化できるためより好ましい。傾斜組成層の厚さは、通常2nm以上とすればよい。
【0018】
本発明のフォトマスクブランクでは、遮光膜の露光光に対する反射率を、例えば50%以下、特に40%以下に低く抑えることができる。特に、遮光膜の反射率の低減のためには、反射率低減層を傾斜組成層とし、反射率低減層を、遮光層の透明基板から離間する側に設けて、透明基板から離間する方向にケイ素含有率が連続的に減少するようにすることが好適である。この場合、特に、反射率低減層の透明基板から離間する側の表面におけるケイ素含有率を43原子%以上60原子%以下、窒素含有率を40原子%以上57原子%以下とすることが、反射率の低減と、エッチングにおける段差の抑制との双方の観点において好適である。
【0019】
遮光膜の膜厚は、より薄い方が好ましく、70nm以下、特に60nm以下、とりわけ55nm以下であることが好ましい。遮光膜の厚さは、通常35nm以上、特に40nm以上が好ましい。
【0020】
本発明の遮光膜を構成する、ケイ素及び窒素を含有し、遷移金属を含有しない層の各層は、均質性に優れた膜が容易に得られるスパッタ法により成膜することが好ましく、DCスパッタ、RFスパッタのいずれの方法をも用いることができる。ターゲットとスパッタガスは、層構成や組成に応じて適宜選択される。ターゲットとしては、ケイ素ターゲット(Siターゲット)、窒化ケイ素ターゲット、ケイ素と窒化ケイ素の双方を含むターゲットなどのケイ素を含有するターゲット、特に、主としてケイ素を含有するターゲット(例えば、ケイ素の含有率が90原子%以上)を使用すればよく、とりわけ、ケイ素ターゲットが好ましい。窒素の含有率は、スパッタガスに、反応性ガスとして、窒素を含むガスを用い、導入量を適宜調整して反応性スパッタすることで調整することができる。反応性ガスとして具体的には、窒素ガス(N
2ガス)などを用いることができる。更に、スパッタガスには、希ガスとして、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどの不活性ガスを用いることができ、不活性ガスはアルゴンガスが好適である。なお、スパッタ圧力は通常0.01〜10Pa、好ましくは0.03〜0.1Paである。
【0021】
本発明のフォトマスクブランクは、遮光膜を形成した後に、フォトマスクブランクからフォトマスクを製造する際のパターン形成工程で用いられる温度より高温、例えば150℃以上で熱処理してもよい。熱処理の雰囲気は、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気であっても、酸素ガス雰囲気などの酸素存在雰囲気であってもよく、真空下でもよい。
【0022】
また、遮光膜の膜質変化を抑えるために、その表面側(透明基板と離間する側)の最表面部の層として、表面酸化層を設けることができる。この表面酸化層の酸素含有率は20原子%以上であってよく、更には50原子%以上であってもよい。表面酸化層を形成する方法として、具体的には、大気酸化(自然酸化)による酸化の他、強制的に酸化処理する方法としては、ケイ素系材料の膜をオゾンガスやオゾン水により処理する方法、酸素ガス雰囲気などの酸素存在雰囲気中で、オーブン加熱、ランプアニール、レーザー加熱などにより、300℃以上に加熱する方法、スパッタ等により酸化膜を形成する方法などを挙げることができる。この表面酸化層の厚さは10nm以下、特に5nm以下、とりわけ3nm以下であることが好ましく、通常、1nm以上で酸化層としての効果が得られる。表面酸化層は、スパッタ工程で酸素量を増やして形成することもできるが、欠陥のより少ない層とするためには、前述した大気酸化や、酸化処理により形成することが好ましい。
【0023】
本発明のフォトマスクブランクは、透明基板上に遮光膜を形成したものであればよく、透明基板上に遮光膜のみを形成したものでもよいが、遮光膜の透明基板と離間する側に、好ましくは遮光膜に接して、遮光膜を加工するためのハードマスク膜(エッチングマスク膜)を有していてもよい。ハードマスク膜を形成することによって、レジスト膜を薄膜化でき、より微細なパターンを正確に形成することができるため好ましい。
【0024】
ハードマスク膜は、遮光膜とエッチング特性が異なるものであればよく、特に、ケイ素を含む材料のエッチングに適用されるフッ素系ガスを用いたフッ素系ドライエッチングに耐性があり、酸素を含有する塩素系ガス(塩素酸素ガス)で塩素系ドライエッチングできる膜が好ましく、特に、クロムを含む材料の膜が好ましい。ハードマスク膜は、単層で構成しても、多層で構成してもよい。クロムを含む材料として具体的には、クロム単体、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)等のクロム化合物などが挙げられる。
【0025】
ハードマスク膜がクロムを含む材料である場合、クロムの含有率は30原子%以上、特に35原子%以上で、100原子%以下、特に99原子%以下、とりわけ90原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、30原子%以下、特に20原子%以下であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。ハードマスク膜の厚さは、通常1〜30nm、好ましくは2〜20nmである。ハードマスク膜は、遮光膜のパターン形成後に完全に除去してもよく、また、パターン形成後に一部又は全部を残して、遮光性を補う膜として又は導電膜として機能させてもよい。
【0026】
また、遮光膜の透明基板側(透明基板と遮光膜との間)に、好ましくは遮光膜に接して、エッチングストッパ膜を有していてもよい。エッチングストッパ膜を形成することで、エッチングを精度よく制御できるため好ましい。エッチングストッパ膜とハードマスク膜とは併用することができる。また、エッチングストッパ膜は、その下にある透明基板に対するエッチングマスク膜として、また、位相シフト膜を有している場合は、位相シフト膜に対するエッチングマスク膜として機能させることもできる。
【0027】
エッチングストッパ膜は、遮光膜とエッチング特性が異なるものであればよく、特に、ケイ素を含む材料のエッチングに適用されるフッ素系ガスを用いたフッ素系ドライエッチングに耐性があり、酸素を含有する塩素系ガス(塩素酸素ガス)で塩素系ドライエッチングできる膜が好ましく、特に、クロムを含む材料の膜が好ましい。エッチングストッパ膜は、単層で構成しても、多層で構成してもよい。クロムを含む材料として具体的には、クロム単体、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)等のクロム化合物などが挙げられる。
【0028】
エッチングストッパ膜がクロムを含む材料である場合、クロムの含有率は30原子%以上、特に35原子%以上で、100原子%以下、特に99原子%以下、とりわけ90原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に55原子%以下であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、30原子%以下、特に20原子%以下であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。エッチングストッパ膜の厚さは、通常1〜20nm、好ましくは2〜10nmである。
【0029】
クロムを含む材料で構成された膜は、クロムターゲット、クロムに酸素、窒素及び炭素から選ばれるいずれか1種又は2種以上を添加したターゲットなどを用い、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどの希ガス(不活性ガス)に、成膜する膜の組成に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガスなどから選ばれる反応性ガスを適宜添加したスパッタガスを用いた反応性スパッタにより成膜することができる。
【0030】
本発明のフォトマスクブランクは、位相シフト膜を有していてもよい。位相シフト膜は、例えば、透明基板と遮光膜の間に設けられる。位相シフト膜を含む構成のフォトマスクブランクとしては、透明基板上に、位相シフト膜、遮光膜を順に形成したもの、透明基板上に、位相シフト膜、遮光膜、ハードマスク膜を順に形成したもの、透明基板上に、位相シフト膜、エッチングストッパ膜、遮光膜を順に形成したもの、透明基板上に、位相シフト膜、エッチングストッパ膜、遮光膜、ハードマスク膜を順に形成したものなどが挙げられる。
【0031】
位相シフト膜は、完全透過型位相シフト膜であっても、ハーフトーン位相シフト膜(例えば透過率が5〜30%)であってもよい。位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能である膜であることが好ましく、特に、ケイ素を含む材料の膜が好ましい。位相シフト膜は、単層で構成しても、多層で構成してもよい。ケイ素を含む材料としては、ケイ素含有化合物、例えば、ケイ素と、酸素及び窒素から選ばれる1種以上とを含有するケイ素含有化合物、具体的には、ケイ素酸化物(SiO)、ケイ素窒化物(SiN)、ケイ素酸化窒化物(SiON)などや、遷移金属ケイ素化合物、例えば、遷移金属(Me)と、ケイ素と、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上とを含有する遷移金属ケイ素化合物、具体的には、遷移金属ケイ素酸化物(MeSiO)、遷移金属ケイ素窒化物(MeSiN)、遷移金属ケイ素炭化物(MeSiC)、遷移金属ケイ素酸化窒化物(MeSiON)、遷移金属ケイ素酸化炭化物(MeSiOC)、遷移金属ケイ素窒化炭化物(MeSiNC)、遷移金属ケイ素酸化窒化炭化物(MeSiONC)などが挙げられる。遷移金属(Me)としては、チタン(Ti)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)から選ばれる1種以上が好適であるが、特に、ドライエッチング加工性の点からモリブデン(Mo)が好ましい。位相シフト膜の膜厚は、フォトマスク使用時の露光光に対して位相を所定量、通常150〜200°、好ましくは170〜190°、より好ましくは175〜185°、特に、約180°シフトさせる厚さに設定される。
【0032】
ケイ素を含む材料で構成された膜は、成膜する膜の組成に応じて、ケイ素ターゲット、遷移金属ターゲット、遷移金属ケイ素ターゲットなどから選ばれるターゲットを用い、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどの希ガス(不活性ガス)に、成膜する膜の組成に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガスなどから選ばれる反応性ガスを適宜添加したスパッタガスを用いた反応性スパッタにより成膜することができる。
【0033】
本発明のフォトマスクブランク及びフォトマスクが対象とする露光光(フォトマスクを用いた露光において用いられる光)は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、F
2レーザー光(波長157nm)などの波長250nm以下、特に、波長200nm以下の露光光が好ましく、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が特に好ましい。
【0034】
本発明のフォトマスクブランクは、露光光における光学濃度が、フォトマスクブランクからフォトマスクとしたときに透明基板上に残存させる、遮光膜を含む膜全体で、光学濃度ODが2.3以上となるようにすることが好ましく、2.5以上、特に2.8以上、とりわけ3.0以上とすることがより好ましい。例えば、透明基板上に残存させる膜が、遮光膜のみの場合はそれのみで、透明基板上に残存させる膜に、遮光膜と共に、例えば、エッチングストッパ膜や位相シフト膜などが含まれる場合、更には、ハードマスク膜などが含まれる場合は、それらの膜全体で、上記光学濃度の範囲となるようにすることが好ましい。
【0035】
フォトマスクは、本発明のフォトマスクブランクを用い、常法により製造することができる。バイナリ型のフォトマスクは、例えば、下記の工程でフォトマスクを製造することができる。まず、透明基板の上に遮光膜が形成されたフォトマスクブランクの遮光膜上に、化学増幅型レジスト等のレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜を電子線などで描画した後、現像して、所定のレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより遮光膜をパターニングし、レジストパターンを常法により除去することで、フォトマスクを得ることができる。
【0036】
遮光膜上に、クロムを含む材料のハードマスク膜を有している場合は、ハードマスク膜の上に、化学増幅型レジスト等のレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜を電子線などで描画した後、現像して、所定のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、塩素系ドライエッチングにより、ハードマスク膜パターンを形成する。そして、ハードマスク膜パターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、遮光膜をパターニングし、レジストパターンを常法により除去することで、フォトマスクを得ることができる。なお、ハードマスク膜パターンは、必要に応じて除去され、除去する場合は、必要に応じて、新たなレジストパターンを形成した後、塩素系ドライエッチングで除去することができる。
【0037】
一方、遮光膜の下(透明基板と遮光膜との間)に、クロムを含む材料のエッチングストッパ膜を有している場合は、遮光膜をパターニングした後、塩素系ドライエッチングにより、エッチングストッパ膜パターンを形成することができる。この場合、遮光膜パターンをエッチングマスクとして機能させることができる。
【0038】
位相シフト膜を有するフォトマスクブランクでは、例えば、透明基板上に、ケイ素を含む材料の位相シフト膜と、遮光膜とがこの順で形成されたフォトマスクブランクの場合は、例えば、下記の工程でフォトマスクを製造することができる。まず、遮光膜上に、化学増幅型レジスト等のレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜を電子線などで描画した後、現像して、所定のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、遮光膜をパターニングし、更に、位相シフト膜をパターニングする。ここで、遮光膜の一部のみを残す場合は、その部分を保護する新たなレジストパターンを遮光膜パターンの上に形成した後、フッ素系ドライエッチングにより、レジストパターンで保護されていない部分の遮光膜を除去する。そして、レジストパターンを常法により除去することで、位相シフト型フォトマスクを得ることができる。
【0039】
遮光膜と位相シフト膜との間に、クロムを含む材料のエッチングストッパ膜を有している場合は、まず、遮光膜上に、化学増幅型レジスト等のレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜を電子線などで描画した後、現像して、所定のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、遮光膜パターンを形成する。次に、遮光膜パターンをエッチングマスクとして、塩素系ドライエッチングにより、エッチングストッパ膜をパターニングすることで、位相シフト膜を除去する部分のエッチングストッパ膜が除去されたエッチングストッパ膜パターンを形成する。次に、レジストパターンを除去し、遮光膜の一部のみを残す場合は、その部分を保護する新たなレジストパターンを遮光膜パターンの上に形成した後、エッチングストッパ膜パターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜をパターニングするのと同時に、レジストパターンで保護されていない部分の遮光膜を除去する。次に、レジストパターンを常法により除去する。そして、塩素系ドライエッチングにより、遮光膜が除去された部分のエッチングストッパ膜を除去し、新たなレジストパターンを形成した場合は、レジストパターンを常法により除去することで、位相シフト型フォトマスクを得ることができる。
【0040】
遮光膜と位相シフト膜との間に、クロムを含む材料のエッチングストッパ膜を有し、更に、遮光膜の上にクロムを含む材料のハードマスク膜を有している場合は、まず、ハードマスク膜の上に、化学増幅型レジスト等のレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜を電子線などで描画した後、現像して、所定のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、塩素系ドライエッチングにより、ハードマスク膜パターンを形成する。次に、ハードマスク膜パターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、遮光膜パターンを形成する。次に、レジストパターンを除去し、遮光膜の一部のみを残す場合は、その部分を保護する新たなレジストパターンを遮光膜パターンの上に形成した後、遮光膜パターンをエッチングマスクとして、塩素系ドライエッチングにより、エッチングストッパ膜をパターニングするのと同時に、レジストパターンで保護されていない部分のハードマスク膜を除去する。次に、エッチングストッパ膜パターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜をパターニングするのと同時に、レジストパターンで保護されていない部分の遮光膜を除去する。次に、レジストパターンを常法により除去する。そして、塩素系ドライエッチングにより、遮光膜が除去された部分のエッチングストッパ膜と、レジストパターンが除去された部分のハードマスク膜とを除去することで、位相シフト型フォトマスクを得ることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0042】
[実験例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1.9kW、アルゴン流量を15sccmとし、窒素ガス流量を0〜40sccmの範囲内で変更して、Siからなる膜(Si:N=100:0(原子比))と、SiNからなる膜(Si:N=86:14(原子比)、Si:N=73:27(原子比)、Si:N=65:35(原子比)、Si:N=48:52(原子比)、Si:N=47:53(原子比)、Si:N=46:54(原子比))との計7種を成膜した。組成はXPS(X線光電子分光装置、サーモフィッシャーサイエンティック(株)製、K−Alpha)により測定した(以下の組成において同じ)。いずれの場合も、波長193nmの光(ArFエキシマレーザ)に対して、光学濃度が3.0となるように膜厚を設定した。各々の膜の組成と厚さとの関係を
図3(A)に示す。
【0043】
次に、Si:N=46:54(原子比)の膜及びSi:N=65:35(原子比)の膜を除く5種の膜に対して、エッチング装置を用い、以下のエッチング条件でのエッチング速度(エッチングレート)を測定した。各々の膜の組成とエッチング速度との関係を、窒素を含まないSiのみの膜のエッチング速度に対する比率(相対値)として、
図3(B)に示す。なお、
図4に、用いたエッチング装置の概略を示す。
図4中、101はチャンバー、102はアース、103は下部電極、104はアンテナコイル、105は被処理基板、RF1,RF2は高周波電源である。
【0044】
<エッチング条件>
RF1(RIE:リアクティブイオンエッチング):CW(連続放電)54W
RF2(ICP:誘導結合プラズマ):CW(連続放電)325W
圧力:5mTorr
SF
6:18sccm
O
2:45sccm
【0045】
[実施例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1.9kW、アルゴン流量を15sccm、窒素ガスを10sccmとして、厚さ52nmの遮光層を成膜して、これを遮光膜とした。遮光膜の組成は、Si:N=7:3(原子比)であり、遮光膜の光学濃度は3.0であった。また、この遮光膜の反射率(膜面側)は、193nmの波長で43%であった。
【0046】
次に、遮光膜の上に、スパッタターゲットとしてクロムターゲットを用い、スパッタガスとして、窒素ガスとアルゴンガスとを用いて、膜厚10nmのCrNのハードマスク膜を成膜して、フォトマスクブランクを得た。
【0047】
次に、得られたフォトマスクブランクを用い、ハードマスク膜の上に、電子線レジスト膜を形成し、レジスト膜をパターニングして、レジストパターンを形成した。次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、塩素系ドライエッチングによりCrNのハードマスク膜をパターニングして、ハードマスク膜パターンを形成した。次に、ハードマスク膜パターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、遮光膜をエッチングして、線幅200nmのラインアンドスペースパターンを形成し、レジストパターンとハードマスク膜パターンを除去して、フォトマスクを得た。得られたフォトマスクに対し、温度25℃、湿度45%のクリーンエア雰囲気中で、露光装置(ArFES−3500PM(リソテックジャパン社製))及びArFエキシマレーザ光源(IndyStar(COHERENT社製))を用い、パルス周波数1.6kHzで、1パルスあたりのエネルギーが2.5〜4.0mJ/cm
2の波長193nmの光を累積40kJ/cm
2になるまでパルス照射した。遮光膜パターンの波長193nmの光の照射前後の線幅を、走査型電子顕微鏡(LWM9045(Vistec社製))で観察して、計測したところ、波長193nmの光の照射前後でのパターン寸法変動は1nm以下と良好であった。
【0048】
[実施例2]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1.9kW、アルゴン流量を30sccm、窒素ガスを10sccmとして、厚さ44nmの遮光層を成膜し、更に、窒素ガスを20sccmに変更して、厚さ5nmの反射率低減層を成膜して、これらを遮光膜(厚さ49nm)としたフォトマスクブランクを得た。遮光膜の組成は、遮光層がSi:N=7:3(原子比)、反射率低減層がSi:N=1.1:0.9(原子比)であり、遮光膜の光学濃度は3.0であった。また、この遮光膜の反射率(膜面側)は、193nmの波長で35%であった。
【0049】
[実施例3]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1.9kW、アルゴン流量を30sccm、窒素ガスを10sccmとして、厚さ44nmの遮光層を成膜し、更に、窒素ガスを10sccmから30sccmに徐々に増加させて、厚さ5nmの反射率低減層を成膜して、これらを遮光膜(厚さ49nm)としたフォトマスクブランクを得た。遮光膜の組成は、遮光層がSi:N=7:3(原子比)、反射率低減層は、透明基板から離間する方向にケイ素含有率が連続的に減少し、透明基板側がSi:N=7:3(原子比)、透明基板から離間する側がSi:N=1:1(原子比)、全体の平均で、Si:N=6:4(原子比)であり、遮光膜の光学濃度は3.0であった。また、この遮光膜の反射率(膜面側)は、193nmの波長で36%であった。