(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記工程(a)の後であって前記工程(c)の前に、前記第2積層部の幅方向の両端である第2端部を除去する工程(b2)を有する、請求項1に記載の積層体の製造方法。
前記工程(g)で得られた前記偏光層に貼合された前記積層位相差層の幅方向の断面において、前記偏光層用接着層の両端の幅方向の位置は、前記偏光層の最も外側に位置する端部及び前記偏光層に貼合された前記積層位相差層の最も外側に位置する端部の位置と同じである、又は、これらの位置よりも内側にある、請求項4に記載の複合偏光板の製造方法。
さらに、工程(j)において前記偏光層に貼合された前記積層位相差層から第2剥離層を剥離することによって露出した面に、複合偏光板用接着層を形成する工程(k)を有する、請求項7に記載の複合偏光板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学フィルムは通常、長尺のフィルムを連続的に巻き出して搬送しながら処理を施すことによって製造される。フィルム搬送時に生じるフィルムの不具合は、光学フィルムとしての製品性能に影響を与えたり、フィルムの搬送不良を引き起こすことがある。
【0006】
本発明は、積層体の製造時に、積層体の製品性能が低下することを抑制するとともに、積層体の搬送不良を抑制することができる積層体の製造方法及びこの積層体を用いた複合偏光板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に示す積層体の製造方法及び複合偏光板の製造方法を提供する。
〔1〕 第1基材層、第1配向層及び第1位相差層をこの順に含む第1積層部と、第2基材層、第2配向層及び第2位相差層をこの順に含む第2積層部とを準備する工程(a)と、
前記第1積層部の幅方向の両端である第1端部を除去する工程(b1)と、
第1端部除去後の前記第1積層部の前記第1位相差層側と、前記第2積層部の前記第2位相差層側とを、接着層を介して貼合する工程(c)と、を有する、積層体の製造方法。
【0008】
〔2〕さらに、前記工程(a)の後であって前記工程(c)の前に、前記第2積層部の幅方向の両端である第2端部を除去する工程(b2)を有する、〔1〕に記載の積層体の製造方法。
【0009】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕に記載の積層体の製造方法によって製造された前記積層体を準備する工程(d)と、
前記積層体に含まれる前記第1基材層又は前記第2基材層を含む第1剥離層を剥離することにより、前記積層体を、前記第1剥離層と前記第1剥離層以外の積層位相差層とに分離する工程(e)と、
偏光層を準備する工程(f)と、
前記工程(e)において前記第1剥離層を剥離することによって露出した前記積層位相差層の露出面側に前記偏光層が配置されるように、前記偏光層と前記積層位相差層とを貼合する工程(g)と、を有する、複合偏光板の製造方法。
【0010】
〔4〕 前記工程(g)では、前記偏光層と前記積層位相差層とを、偏光層用接着層を介して貼合し、
前記偏光層用接着層は、前記工程(f)において準備された前記偏光層上、又は、前記積層位相差層の露出面側に設けられている、〔3〕に記載の複合偏光板の製造方法。
【0011】
〔5〕 前記工程(g)で得られた前記偏光層に貼合された前記積層位相差層の幅方向の断面において、前記偏光層用接着層の両端の幅方向の位置は、前記偏光層の最も外側に位置する端部及び前記偏光層に貼合された前記積層位相差層の最も外側に位置する端部の位置と同じである、又は、これらの位置よりも内側にある、〔4〕に記載の複合偏光板の製造方法。
【0012】
〔6〕 前記第1剥離層は、
[i]前記積層体に含まれる前記第1基材層及び第1配向層を含む、
[ii]前記積層体に含まれる前記第1基材層である、
[iii]前記積層体に含まれる前記第2基材層及び第2配向層を含む、及び、
[iv]前記積層体に含まれる前記第2基材層である、
のうちのいずれかである、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
【0013】
〔7〕 さらに、上記工程(g)の後に、前記偏光層に貼合された前記積層位相差層に含まれる第2剥離層を剥離する工程(j)を有し、
前記第1剥離層が前記[i]又は[ii]である場合において、前記第2剥離層は、前記偏光層に貼合された前記積層位相差層に含まれる前記第2基材層及び第2配向層を含む、又は、前記偏光層に貼合された前記積層位相差層に含まれる前記第2基材層であり、
前記第1剥離層が前記[iii]又は[iv]である場合において、前記第2剥離層は、前記偏光層に貼合された前記積層位相差層に含まれる前記第1基材層及び第1配向層を含む、又は、前記偏光層に貼合された前記積層位相差層に含まれる前記第1基材層である、〔6〕に記載の複合偏光板の製造方法。
【0014】
〔8〕 さらに、工程(j)において前記偏光層に貼合された前記積層位相差層から第2剥離層を剥離することによって露出した面に、複合偏光板用接着層を形成する工程(k)を有する、〔7〕に記載の複合偏光板の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の積層体の製造方法によれば、積層体の製造時に、積層体の製品性能が低下することを抑制するとともに、積層体の搬送不良を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、後述する複合偏光板等のように光学用途に好適に用いることができる積層体の製造方法であって、第1基材層、第1配向層及び第1位相差層をこの順に含む第1積層部と、第2基材層、第2配向層及び第2位相差層をこの順に含む第2積層部とを準備する工程(a)と、第1積層部の幅方向の両端である第1端部を除去する工程(b1)と、第1端部除去後の第1積層部の第1位相差層側と、第2積層部の第2位相差層側とを、接着層を介して貼合する工程(c)と、を有する。また、工程(a)の後であって工程(c)の前に、第2積層部の幅方向の両端である第2端部を除去する工程(b2)を有していてもよい。
【0018】
上記の製造方法によれば、積層体の製造時に、積層体の製品性能が低下することを抑制するとともに、積層体の搬送不良を抑制することができる。具体的には、積層体を搬送する際に、第1配向層又は第2配向層の幅方向端部、もしくは、第1位相差層又は第2位相差層の幅方向端部が、隣接する層から剥がれて浮き上がる「浮き」と呼ばれる現象を抑制することができる。これにより、積層体の搬送不良を抑制し、積層体の製品性能が低下することを抑制することができる。
【0019】
積層体の搬送時に生じる「浮き」の原因は、次のように推測される。すなわち、第1積層部や第2積層部の幅方向両端部に波打ちや反りといった変形部分が存在すると、積層体の搬送時の流れが悪化したり、積層体の幅方向両端部にシワが発生する等の不具合が生じやすい。このような不具合に起因して、第1又は第2配向層の幅方向端部、もしくは、第1又は第2位相差層の幅方向端部に、上記した浮きが生じると考えられる。本発明の積層体の製造方法では、少なくとも第1積層部の幅方向両端部を除去する工程(b1)を設け、第1積層部における変形部分を除去することにより、上記した浮きの発生を抑制し、積層体の搬送時の流れの悪化や積層体の幅方向両端部へのシワの発生を抑制して、積層体の製品性能が低下することを抑制している。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の積層体の製造方法の好ましい実施形態について説明する。
【0021】
[第1の実施形態(積層体50の製造方法)]
図1(A)〜(D)は、本実施形態の積層体の製造方法における各製造工程を模式的に示す概略断面図である。図中、Wは幅方向を表す。本実施形態の積層体50の製造方法では、まず、
図1(A)に示すように第1基材層11、第1配向層12及び第1位相差層13をこの順に含む第1積層部10と、
図1(B)に示すように第2基材層21、第2配向層22及び第2位相差層23をこの順に含む第2積層部20とを準備する(工程(a))。第1積層部10及び第2積層部20は長尺のフィルム状物であり、第1積層部10及び第2積層部20を連続的に搬送しながら、後述する工程が行われる。以下の幅方向とは、フィルム状物の長さ方向に直交する方向をいう。
【0022】
次に、
図1(A)に示す第1積層部10について、その幅方向両端を点線X1にて切断し、点線X1よりも幅方向外側の第1端部14を除去する(工程(b1))。これにより、
図1(C)に示すように、第1基材層11b
1、第1配向層12b
1及び第1位相差層13b
1を有する、第1端部14除去後の第1積層部10b
1(以下、「第1積層部10b
1」ということがある。)が得られる。その後、
図1(D)に示すように、この第1積層部10b
1の第1位相差層13b
1側と、第2積層部20の第2位相差層23側とを、接着層30を介して貼合して(工程(c))、積層体50を得る。
【0023】
第1積層部10は、第1基材層11、第1配向層12及び第1位相差層13の幅方向の長さが互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、第1積層部10は、第1基材層11の幅方向の長さが最も長く、第1配向層12及び第1位相差層13の幅方向の長さが第1基材層11の幅方向の長さよりも短いものであってもよく、
図1(A)に示すように、第1積層部10は、幅方向の長さが、第1基材層11、第1配向層12、第1位相差層13の順に短くなるものであってもよい。この場合、第1積層部10の幅方向断面において、幅方向の長さが相対的に短い層の両端は、幅方向の長さが相対的に長い層の両端の幅方向内側に位置することが好ましい。
【0024】
第2積層部20についても、第1積層部10と同様に、第2基材層21、第2配向層22及び第2位相差層23の幅方向の長さが互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、第2積層部20は、第2基材層21の幅方向の長さが最も長く、第2配向層22及び第2位相差層23の幅方向の長さが第2基材層21の幅方向の長さよりも短いものであってもよく、
図1(B)に示すように、第2積層部20は、幅方向の長さが、第2基材層21、第2配向層22、第2位相差層23の順に短くなるものであってもよい。この場合、第2積層部20の幅方向断面において、幅方向の長さが相対的に短い層の両端は、幅方向の長さが相対的に長い層の両端の幅方向内側に位置することが好ましい。
【0025】
図1(A)における点線X1の位置は、第1積層部10の幅方向両端部において、波打ちや反り等の変形部分が存在する場合、この変形部分のすべてが点線X1よりも幅方向外側に含まれているように定めることが好ましい。例えば、第1配向層及び第1位相差層が第1基材層上に形成された塗膜である場合、第1積層部10における変形部分は、第1基材層11に存在する変形部分も原因となり得る。そのため、点線X1の位置は、第1基材層に形成された変形部分のすべてが第1端部14に含まれるように定めることが好ましく、この変形部分上に形成された第1配向層12及び第1位相差層13の端部も、第1端部14として除去されることが好ましい。
【0026】
第1端部14の領域を規定する点線X1の位置は、例えば、第1積層部10の最も幅方向外側に位置する端部から幅方向内側に通常0.5cm以上の領域であり、1.0cm以上の領域であることが好ましく、1.5cm以上の領域であることがより好ましく、また、通常20cm以下の領域であり、15cm以下の領域であることが好ましく、10cm以下の領域であることがより好ましい。第1積層部10の最も幅方向外側に位置する端部から点線X1の位置までの距離は、第1積層部10の幅方向両端部で同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0027】
第1端部14は、上記のように、第1積層部10の幅方向両端部における変形部分を含んでいれば、第1積層部10の一部の層のみを含むものであってもよく、第1端部14は、第1積層部10をなすすべての層(第1基材層11、第1配向層12、第1位相差層13)の端部を含んでいなくてもよい。ただし、一般に複数の層を積層した積層物では、各層の間での密着力がその端部において不安定になりやすいため、第1積層部10においても、その幅方向両端部における各層の間での密着力が不安定となり、上記した浮きが発生しやすい傾向にある。そのため、第1端部14は、第1積層部をなすすべての層を含むことが好ましく、第1端部14を除去した後に得られる第1積層部10b
1は、
図1(C)に示すように、第1基材層11b
1、第1配向層12b
1及び第1位相差層13b
1の幅方向の長さが同一であることが好ましい。第1積層部10の幅方向両端部から除去される第1端部14に含まれる層は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0028】
第1端部14除去後の第1積層部10b
1の第1位相差層13b
1側と、第2積層部20の第2位相差層23側とを貼合する接着層30は、第1位相差層13b
1及び第2位相差層23の一方又は両方に、接着層30を形成する接着剤又は粘着剤を塗布する、又は、支持フィルム等に形成された接着層30を転写する等によって形成することができる。接着層30は、第1積層部10b
1及び第2積層部20の幅方向両端からはみ出さないように形成することが好ましく、接着層30の幅方向両端部は、第1積層部10b
1における最も幅方向外側及び第2積層部20における最も幅方向外側と同じか、それらよりも幅方向内側に位置することが好ましい。接着層30を、第1積層部10b
1及び第2積層部20の幅方向両端からはみ出さないように形成することにより、積層体50の搬送時に、積層体50の幅方向両端部から接着層30をなす接着剤又は粘着剤がはみ出し、搬送経路を汚染すること等を防止することができる。
【0029】
上記のようにして得られた積層体50は、第1積層部10の幅方向両端部における変形部分が除去されているため、積層体50の幅方向両端部の変形が抑制されており、積層体50の搬送時に、積層体50をなす層に浮きが生じることを抑制することができる。本実施形態は、特に第1積層部10の幅方向両端部に波打ちや反りが生じている場合に、積層体50をなす層に浮きが発生することを抑制することができる。
【0030】
[第2の実施形態(積層体51の製造方法)]
図2(A)〜(E)は、本実施形態の積層体の製造方法における各製造工程を模式的に示す概略断面図である。図中、Wは幅方向を表す。本実施形態では、
図2(E)に示す積層体51の製造方法について説明する。本実施形態の積層体51の製造方法では、第2積層部20の幅方向両端である第2端部24(
図2(B))を除去する工程(b2)を有する点において、第1の実施形態とは異なっている。以下では、第1の実施形態で説明したものと同じ部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
本実施形態の積層体51の製造方法では、第1の実施形態(
図1(A)及び(B))と同様に、第1積層部10及び第2積層部20を準備し(工程(a)、
図2(A)、(B))、第1積層部10の幅方向両端を点線X1にて切断し、第1端部14を除去して(工程(b1))、
図2(C)に示す第1積層部10b
1を得る。次に、本実施形態では、
図2(B)に示す第2積層部20について、その幅方向両端を点線X2にて切断し、点線X2よりも幅方向外側の第2端部24を除去する(工程(b2))。これにより、
図2(D)に示すように、第2基材層21b
2、第2配向層22b
2及び第2位相差層23b
2を有する、第2端部24除去後の第2積層部20b
2(以下、「第2積層部20b
2」ということがある。)が得られる。その後、
図2(E)に示すように、第1積層部10b
1の第1位相差層13b
1側と、第2積層部20b
2の第2位相差層23b
2側とを、接着層30を介して貼合して(工程(c))、積層体51を得る。
【0032】
図2(B)における点線X2の位置は、第2積層部20の幅方向両端部において、波打ちや反り等の変形部分が存在する場合、この変形部分のすべてが点線X2よりも幅方向外側に含まれているように決定することが好ましい。例えば、第2配向層及び第2位相差層が第2基材層上に形成された塗膜である場合、第2積層部20における変形部分は、第2基材層21に存在する変形部分も原因となり得る。そのため、点線X2の位置は、第2基材層に形成された変形部分のすべてが第2端部24に含まれるように決定することが好ましく、この変形部分上に形成された第2配向層22及び第2位相差層23の端部も、第2端部24として除去されることが好ましい。
【0033】
第2端部24の領域を規定する点線X2の位置は、例えば、第2積層部20の最も幅方向外側に位置する端部から幅方向内側に通常0.5cm以上の領域であり、1.0cm以上の領域であることが好ましく、1.5cm以上の領域であることがより好ましく、また、通常20cm以下の領域であり、15cm以下の領域であることが好ましく、10cm以下の領域であることがより好ましい。第2積層部20の最も幅方向外側に位置する端部から点線X2の位置までの距離は、第2積層部20の両端部で同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0034】
第2端部24は、第2積層部20の幅方向両端部における変形部分を含んでいれば、第2積層部20の一部の層のみを含むものであってもよく、第2端部24は、第2積層部20をなすすべての層(第2基材層21、第2配向層22、第2位相差層23)の端部を含んでいなくてもよい。ただし、一般に複数の層を積層した積層物では、各層の間での密着力がその端部において不安定になりやすいため、第2積層部20においても、その幅方向両端部における各層の間での密着力が不安定となり、上記した浮きが発生しやすい傾向にある。そのため、第2端部24は、第2積層部をなすすべての層を含むことが好ましく、第2端部24を除去した後に得られる第2積層部20b
2は、
図2(D)に示すように、第2基材層21b
2、第2配向層22b
2及び第2位相差層23b
2の幅方向の長さが同一であることが好ましい。第2積層部20の幅方向両端部から除去される第2端部24に含まれる層は、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。また、第1端部14除去後の第1積層部10b
1と、第2端部24除去後の第2積層部20b
2とは、その幅方向の長さが、互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0035】
本実施形態では、第1端部14除去後の第1積層部10b
1の第1位相差層13b
1側と、第2端部24除去後の第2積層部20b
2の第2位相差層23b
2側とが、接着層30を介して貼合される。接着層30は、第1位相差層13b
1及び第2位相差層23b
2の一方又は両方に、接着層30を形成する接着剤又は粘着剤を塗布する、又は、支持フィルム等に形成された接着層30を転写する等によって形成することができる。先の実施形態と同様に、本実施形態においても、積層体51の搬送時に、積層体51の幅方向両端部から接着層30をなす接着剤又は粘着剤がはみ出し、搬送経路を汚染すること等を防止するために、接着層30の幅方向両端部は、第1積層部10b
1における最も幅方向外側及び第2積層部20b
2における最も幅方向外側と同じか、それらよりも幅方向内側に位置することが好ましい。
【0036】
上記のようにして得られた積層体51は、第1積層部10及び第2積層部20の幅方向両端部における変形部分が除去されているため、積層体51の幅方向両端部の変形が抑制されており、積層体51の搬送時に、積層体51をなす層に浮きが生じることを抑制することができる。本実施形態では、第1積層部10に加えて第2積層部20の幅方向両端部も除去しているため、第1の実施形態に比べて上記浮きが発生することをより一層抑制することができる。
【0037】
<複合偏光板の製造方法>
本発明の複合偏光板の製造方法は、上記積層体の製造方法によって製造された積層体を準備する工程(d)と、積層体に含まれる第1基材層又は第2基材層を含む第1剥離層を剥離することにより、前記積層体を、第1剥離層と第1剥離層以外の積層位相差層とに分離する工程(e)と、偏光層を準備する工程(f)と、工程(e)において第1剥離層を剥離することによって露出した積層位相差層の露出面側に偏光層が配置されるように、偏光層と積層位相差層とを貼合する工程(g)と、を有する。偏光層と積層位相差層とは、偏光層用接着層を介して貼合することが好ましい。
【0038】
以下、図面を参照して本発明の複合偏光板の製造方法の好ましい実施形態について説明する。なお、先の実施形態で説明したものと同じ部材については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
[第3の実施形態(複合偏光板90の製造方法)]
図3は、本実施形態の複合偏光板を模式的に示す概略断面図である。本実施の形態の複合偏光板90は、偏光層60、偏光層用接着層70、第1位相差層13’、接着層30’、第2位相差層23’、第2配向層22’、第2基材層21’をこの順に有する。なお、第1位相差層13’等における符号「’」は、
図1(D)及び
図2(E)に示す積層体50,51における対応する層(第1位相差層13’の場合は、第1位相差層13b
1が対応する層であり、第2位相差層23’の場合は、第2位相差層23又は第2位相差層23b
2が対応する層である。)に由来する層であることを表す。複合偏光板90における符号「’」が付された層は、積層体50,51における対応する層に由来して得られたものであれば、積層体50,51における層と完全に同一であってもよく、例えば積層体50,51を任意の大きさに切断する等により、形状等が積層体50,51における層と完全に同一ではないものであってもよい。以下において、符号「’」を用いて説明する層についても同様である。
【0040】
図3に示す複合偏光板90の製造方法では、まず、先の実施形態で得られた積層体(例えば、積層体50,51(
図1(D)、
図2(E)))を準備する(工程(d))。積層体は、長尺のフィルム状物であり、この積層体を連続的に搬送しながら、後述する工程が行われる。次に、第1積層部の第1基材層及び第1配向層を第1剥離層として剥離することにより、積層体を、第1剥離層と、第1剥離層以外の積層位相差層とに分離する(工程(e))。
【0041】
続いて、偏光層60を準備する(工程(f))。偏光層60上には、偏光層用接着層70を設けることができる。偏光層用接着層70は、工程(f)において準備された偏光層60に設けてもよいが、工程(f)で準備する偏光層60として、あらかじめ偏光層用接着層70が設けられた偏光層を用いてもよい。この偏光層用接着層70を介して、偏光層60と積層位相差層の第1位相差層13’とを貼合して(工程(g))、複合偏光板90を得る。このように、第1剥離層が第1基材層及び第1配向層である場合には、第1剥離層を剥離して露出した積層位相差層の露出面側に偏光層60が設けられる。
【0042】
工程(g)の後、積層位相差層に含まれる第2基材層21’及び第2配向層22’を第2剥離層として剥離してもよい(工程(j))。第2剥離層を剥離することによって露出した面である第2位相差層23’上に、図示しない複合偏光板用接着層を形成してもよい(工程(k))。複合偏光用接着層は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の表示パネルに貼合する際に用いることができる。
【0043】
偏光層60の幅方向の長さは、複合偏光板90をなす偏光層60以外の他の層のいずれかの幅方向の長さと同一であってもよく、いずれの層とも異なっていてもよい。例えば、偏光層60の幅方向の長さは、上記他の層の幅方向の長さよりも短くてもよく、長くてもよい。また、
図3に示すように、複合偏光板90の各層の幅方向の長さが同一となるようにしてもよい。
【0044】
複合偏光板90の幅方向の断面において、偏光層用接着層70の両端の幅方向の位置は、偏光層60の幅方向の断面における最も外側の位置及び積層位相差層の幅方向の断面における最も外側の位置と同じである、又は、これらの位置よりも内側にあることが好ましい。これにより、複合偏光板90を搬送する際に、偏光層用接着層70が幅方向外側にはみ出して搬送路上に付着し、搬送路を汚染することを防止することができる。
【0045】
本実施形態の複合偏光板の製造方法は、以下に示す変形例のように変更されてもよい。また、上記した第3の実施形態及び下記に示す変形例を任意に組み合わせて複合偏光板を製造してもよい。
【0046】
(第3の実施形態の変形例1)
上記で説明した第1剥離層は第1基材層及び第1配向層を含むが、第1配向層を含まないもの、すなわち第1剥離層が第1基材層であるものであってもよい。この場合、積層体から、第1基材層が剥離されるため、積層位相差層の露出面は第1配向層12’となり、偏光層用接着層70を介して、第1配向層12’と偏光層60とを貼合して(工程(g))、複合偏光板を得ることができる。
【0047】
(第3の実施形態の変形例2)
上記で説明した偏光層60は、この偏光層60上に偏光層用接着層70を有しているが、偏光層用接着層70は、第1剥離層を剥離して露出した積層位相差層の第1位相差層13’上に設けられるものであってもよい。この場合、積層体から第1剥離層を剥離した(工程(e))後に、積層位相差層の第1位相差層13’上に偏光層用接着層70を形成する工程を設ければよい。この場合においても、偏光層用接着層70は、上記と同じ理由により、偏光層60の幅方向の断面における最も外側の位置及び積層位相差層の幅方向の断面における最も外側の位置と同じである、又は、これらの位置よりも内側にあることが好ましい。また、偏光層用接着層70は、偏光層60上及び第1位相差層13’上の両方に設けられるものであってもよい。
【0048】
(第3の実施形態の変形例3)
上記で説明した第2剥離層は第2基材層21’及び第2配向層22’を含むが、第2配向層22’を含まないもの、すなわち第2剥離層が第2基材層21’であるものであってもよい。この場合、複合偏光板90から第2基材層21’のみが剥離されて(工程(j))、第2配向層22’が露出するため、第2配向層22’上に複合偏光用接着層を形成することができる(工程(k))。
【0049】
(第3の実施形態の変形例4)
上記で説明した第1剥離層は第1基材層及び第1配向層を含むが、第1剥離層は、第2基材層及び第2配向層を含むものであってもよく、第2基材層であってもよい。第1剥離層が、第2基材層及び第2配向層を含むものであるか、第2基材層である場合には、第1剥離層に含まれる層に応じて第2位相差層23’又は第2配向層22’と、偏光層60とを偏光層用接着層70を介して貼合することができる(工程(g))。そして、この場合、第2剥離層は、第1基材層及び第1配向層を含むものであるか、第1基材層であることができ、第2剥離層に含まれる層に応じて第1位相差層13’又は第1配向層12’上に、複合偏光層用接着層を形成することができる(工程(k))。
【0050】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及びその変形例に限定されることはなく、例えば、上記実施形態及びその変形例の各工程を組み合せて実施することもできる。以下、全ての実施形態及びその変形例において共通する各工程について詳細に説明する。
【0051】
<積層体>
積層体は、上記のとおり、第1積層部10及び第2積層部20を用いて製造され、接着層30を有する。
【0052】
[第1積層部10及び第2積層部20]
第1積層部10は、
図1(A)等に示すように、第1基材層11、第1配向層12、第1位相差層13がこの順に積層されてなり、第2積層部20は、
図1(B)等に示すように、第2基材層21、第2配向層22、第2位相差層23がこの順に積層されてなる。
【0053】
(第1基材層11及び第2基材層21)
第1基材層11及び第2基材層21は、これらの基材層上に形成される第1配向層12及び第2配向層22、並びに、第1位相差層13及び第2位相差層23を支持する支持層としての機能を有する。第1基材層11及び第2基材層21は、樹脂材料で形成されたフィルムであることが好ましい。
【0054】
樹脂材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性等に優れる樹脂材料が用いられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ノルボルネン系ポリマー等の環状ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル等のビニルアルコール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリフェニレンオキシド系樹脂、及びこれらの混合物、共重合物等を挙げることができる。これらの樹脂のうち、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースエステル系樹脂及び(メタ)アクリル酸系樹脂のいずれか又はこれらの混合物を用いることが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0055】
第1基材層11及び第2基材層21は、上記の樹脂1種類又は2種以上を混合した単層であってもよく、2層以上の多層構造を有していてもよい。多層構造を有する場合、各層をなす樹脂は同じであってもよく異なっていてもよい。また、第1基材層11と第2基材層21をなす材料は、同じあってもよく異なっていてもよく、また、層構造についても、同じあってもよく異なっていてもよい。
【0056】
樹脂フィルムをなす樹脂材料には、任意の添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、及び着色剤等が挙げられる。
【0057】
第1基材層11及び第2基材層21の厚さは、特に限定されないが、一般には強度や取扱い性等の作業性の点から1〜500μmであることが好ましく、1〜300μmであることがより好ましく、5〜200μmであることがさらに好ましい。
【0058】
第1基材層11と第1配向層との密着性、及び、第2基材層と第2配向層との密着性を向上させるために、少なくとも第1基材層の第1配向層が形成される側の表面、及び、少なくとも第2基材層の第2配向層が形成される側の表面にコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を行ってもよく、プライマー層等を形成してもよい。なお、先の実施形態において説明した第1剥離層及び第2剥離層に含まれる層は、第1積層部10及び第2積層部20をなす各層間の密着力の関係を調整することによって設定することができる。
【0059】
(第1配向層12及び第2配向層22)
第1配向層12及び第2配向層22は、これらの配向層上に形成される第1位相差層13及び第2位相差層23に含まれる液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有する。第1配向層12及び第2配向層22としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができ、第1配向層12と第2配向層22とは、同じ種類の層であってもよく、異なる種類の層であってもよい。第1配向層及び第2配向層の厚みは、通常10〜500nmであり、10〜200nmであることが好ましい。
【0060】
配向性ポリマー層は、配向性ポリマーを溶剤に溶解した組成物を基材層(第1基材層11又は第2基材層21)に塗布して溶剤を除去し、必要に応じてラビング処理をして形成することができる。この場合、配向規制力は、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層では、配向性ポリマーの表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能である。
【0061】
光配向性ポリマー層は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物を基材層(第1基材層11又は第2基材層21)に塗布し、偏光を照射することによって形成することができる。この場合、配向規制力は、光配向性ポリマー層では、光配向性ポリマーに対する偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
【0062】
グルブ配向層は、例えば感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光、現像等を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層を基材層(第1基材層11又は第2基材層21)に転写して硬化する方法、基材層(第1基材層11又は第2基材層21)に活性エネルギー線硬化性樹脂の未硬化の層を形成し、この層に、凹凸を有するロール状の原盤を押し当てる等により凹凸を形成して硬化させる方法等によって形成することができる。
【0063】
(第1位相差層13及び第2位相差層23)
第1位相差層13及び第2位相差層23は、光に所定の位相差を与えるものであれば特に限定されず、例えば、1/2波長板、1/4波長板、ポジティブCプレート、逆波長分散性の1/4波長板等として機能するものを挙げることができる。本実施形態の積層体は、偏光子層と組み合わせて複合偏光板として用いられる。後述するように、複合偏光板が円偏光板を構成する場合には、第1位相差層、第2位相差層及び偏光子層の組み合わせによって円偏光板が得られるように、位相差層の種類及び配置を設定することが好ましい。
【0064】
第1位相差層13及び第2位相差層23は、公知の液晶化合物を用いて形成することができる。液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。また、液晶化合物は、高分子液晶化合物であってもよく、重合性液晶化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。
【0065】
例えば、重合性液晶化合物を用いる場合には、重合性液晶化合物を含む組成物を、配向層(第1配向層12又は第2配向層22)上に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることによって、第1位相差層13や第2位相差層23を形成することができる。
【0066】
[接着層30]
接着層30は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができ、通常1層であるが、2層以上であってもよい。接着層30が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0067】
接着剤としては、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤等のうち1又は2種以上を組み合せて形成することができる。水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
【0068】
粘着剤としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物等の架橋剤を加えた組成物を挙げることができる。
【0069】
接着層30は、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて形成されることが好ましく、特に、紫外線硬化性のエポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含む接着剤を用いて形成されることが好ましい。この場合、積層体50(
図1(D))を製造する際には、第1積層部10b1と第2積層部20とを、上記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して貼合した後、活性エネルギー線を照射し、この活性エネルギー線硬化型接着剤を硬化させて接着層30を形成すればよい。
【0070】
<複合偏光板>
複合偏光板は、上記のとおり、積層体と偏光層60とを用いて製造され、偏光層用接着層70を有する。また、複合偏光板は、複合偏光板用接着層を有していてもよい。
【0071】
複合偏光板は円偏光板として用いることができ、例えば、この円偏光板を有機EL表示装置に用いることにより、有機EL表示装置における反射防止性能を向上させることができる。複合偏光板を円偏光板として用いる場合、複合偏光板の層構造は、偏光層(直線偏光層)、1/2波長板、1/4波長板の順に積層された構造、又は、偏光層(直線偏光層)、逆波長分散性の1/4波長板、ポジティブCプレートの順に積層された構造となるように、第1位相差層及び第2位相差層をなす位相差層の種類を設定する。
【0072】
例えば、
図3に示す複合偏光板90を円偏光板として用いる場合には、第1位相差層13’を1/2波長板とし、第2位相差層23’を1/4波長板とする、又は、第1位相差層13’を逆分散性の1/4波長板とし、第2位相差層23’をポジティブCプレートとすればよい。また、偏光層60を第2位相差層23’上に設ける場合には、第2位相差層23’を1/2波長板とし、第1位相差層13’を1/4波長板とする、又は、第2位相差層23’を逆分散性の1/4波長板とし、第1位相差層13’をポジティブCプレートとすればよい。
【0073】
[偏光層60]
偏光層60には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂層をなすポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができ、例えばケン化度は、通常80〜100モル%であり、90〜100モル%が好ましく、94〜100モル%であることがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂層に含有(吸着配向)される二色性色素には、ヨウ素又は二色性有機染料を用いることができる。
【0074】
偏光層60は、ポリビニルアルコール系樹脂層を一軸延伸する工程、延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色し、二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂層をホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程等を経て製造することができる。得られる偏光層60の厚みは通常、2〜60μmである。
【0075】
偏光層60は、その一方の面又は両面に保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。保護フィルムの材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において公知のフィルムを挙げることができる。保護フィルムの厚みは薄型化の要求から、薄いものが好ましく、通常300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、また、通常5μm以上であり、20μm以上であることが好ましい。
【0076】
[偏光層用接着層70]
偏光層用接着層70は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができる。偏光層用接着層70は、通常1層であるが、2層以上の層で形成されていてもよい。偏光層用接着層70が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0077】
偏光層用接着層70をなす接着剤及び粘着剤としては、上記接着層30に用いられる接着剤及び粘着剤の例と同様のものを挙げることができる。偏光層用接着層70としては、粘着剤を用いることが好ましい。
【0078】
[複合偏光板用接着層]
複合偏光板用接着層は、接着剤、粘着剤及びこれらの組み合わせによって形成することができる。複合偏光板用接着層は、通常1層であるが、2層以上の層で形成されていてもよい。複合偏光板用接着層が2層以上の層からなる場合、各層は互いに同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0079】
複合偏光板用接着層をなす接着剤及び粘着剤としては、上記接着層30に用いられる接着剤及び粘着剤の例と同様のものを挙げることができる。複合偏光板用接着層としては、粘着剤を用いることが好ましい。