(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記希釈液の供給位置を前記第一領域の外周部分から前記第二領域に移動させた後、前記希釈液の供給位置が前記基板の外周より内側にある状態で前記希釈液の供給を停止する、請求項2〜4のいずれか一項記載の塗布処理方法。
前記第一希釈制御部は、前記希釈液の供給位置を前記第二領域から前記第一領域の外周部分に移動させる前に、前記基板の外周より内側の位置に前記希釈液の供給を開始するように前記希釈液供給部を制御する、請求項7記載の塗布処理装置。
前記第一希釈制御部は、前記基板の回転速度を前記第一回転速度よりも低い第五回転速度とするように前記回転保持部を制御した後に前記希釈液の供給を開始するように前記希釈液供給部を制御する、請求項8記載の塗布処理装置。
前記第一希釈制御部は、前記希釈液の供給を開始するように前記希釈液供給部を制御した後、前記希釈液の供給位置の移動を開始するように前記希釈液供給部を制御する前に、前記第五回転速度での前記基板の回転を一回転以上継続させるように前記回転保持部を制御する、請求項9記載の塗布処理装置。
前記第二希釈制御部は、前記希釈液の供給位置を前記第一領域の外周部分から前記第二領域に移動させるように前記希釈液供給部を制御した後、前記希釈液の供給位置が前記基板の外周より内側にある状態で前記希釈液の供給を停止するように前記希釈液供給部を制御する、請求項8〜10のいずれか一項記載の塗布処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔基板処理システム〕
基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象の基板は、例えば半導体のウェハWである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、ウェハW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウェハW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0025】
〔塗布処理装置〕
以下、塗布処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御部100とを備える。
【0026】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのウェハWの導入及び塗布・現像装置2内からのウェハWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ウェハW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームA1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。受け渡しアームA1は、キャリアCからウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリアC内に戻す。
【0027】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。処理モジュール11,12,13は、塗布ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。
【0028】
処理モジュール11は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりウェハWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール11の塗布ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をウェハW上に塗布する。処理モジュール11の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0029】
処理モジュール12は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール12の塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール12の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0030】
処理モジュール13は、塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール13の塗布ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール13の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0031】
処理モジュール14は、現像ユニットU3と、熱処理ユニットU4と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。
【0032】
処理モジュール14は、現像ユニットU3及び熱処理ユニットU4により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。現像ユニットU3は、露光済みのウェハWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。熱処理ユニットU4は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0033】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウェハWを昇降させる。
【0034】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0035】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でウェハWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡し、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0036】
制御部100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御部100は、キャリアC内のウェハWを棚ユニットU10に搬送するように受け渡しアームA1を制御し、このウェハWを処理モジュール11用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0037】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール11内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの表面上に下層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、下層膜が形成されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール12用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0038】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール12内の塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの下層膜上にレジスト膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール13用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0039】
次に制御部100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜上に上層膜を形成するように塗布ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU11に搬送するように搬送アームA3を制御する。
【0040】
次に制御部100は、棚ユニットU11のウェハWを露光装置3に送り出すように受け渡しアームA8を制御する。その後制御部100は、露光処理が施されたウェハWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように受け渡しアームA8を制御する。
【0041】
次に制御部100は、棚ユニットU11のウェハWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜に現像処理を施すように現像ユニットU3及び熱処理ユニットU4を制御する。その後制御部100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWをキャリアC内に戻すように昇降アームA7及び受け渡しアームA1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0042】
なお、塗布処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。塗布処理装置は、塗布ユニットU1と、これを制御可能な制御部100とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0043】
〔塗布ユニット〕
続いて、処理モジュール12の塗布ユニットU1の構成を詳細に説明する。塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液(以下、「レジスト液」という。)をウェハWの表面に供給し、当該表面上にレジスト液の液膜を形成する。
図3に示すように、塗布ユニットU1は、回転保持部20と、処理液供給部30と、希釈液供給部40とを有する。
【0044】
回転保持部20は、ウェハWを保持して回転させる。例えば回転保持部20は、保持部21と回転駆動部22とを有する。保持部21は、表面Waを上にして水平に配置されたウェハWの中心部を支持し、当該ウェハWを例えば真空吸着等により保持する。回転駆動部22は、例えば電動モータ等を動力源として、鉛直な回転中心CL1まわりに保持部21を回転させる。これによりウェハWも回転する。
【0045】
処理液供給部30は、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給する。例えば処理液供給部30は、ノズル31と、液源32と、送液部33と、ノズル搬送部34とを有する。ノズル31は、ウェハWの表面Wa側(下方)にレジスト液を吐出する。液源32は、レジスト液を収容し、当該レジスト液をノズル31側に圧送する。レジスト液は、1000〜7000cPの粘度を有する。レジスト液の粘度は3000〜5000cPであってもよい。送液部33は、液源32からノズル31にレジスト液を導く。例えば送液部33は、送液ラインL1とバルブV1とを有する。送液ラインL1は液源32とノズル31とを接続する。バルブV1は例えばエアオペレーションバルブであり、送液ラインL1内の流路を開閉する。ノズル搬送部34は、電動モータなどを動力源としてノズル31を水平方向に搬送する。
【0046】
希釈液供給部40は、ウェハWの表面Waに希釈液を供給する。例えば希釈液供給部40は、ノズル41と、液源42と、送液部43と、ノズル搬送部44とを有する。ノズル41は、ウェハWの表面Wa側(下方)に希釈液を吐出する。液源42は、希釈液を収容し、当該希釈液をノズル41側に圧送する。希釈液は、レジスト液よりも低粘度であり、レジスト液を溶解可能である。希釈液の具体例としては、シンナー等の有機溶剤が挙げられる。送液部43は、液源42からノズル41に希釈液を導く。例えば送液部43は、送液ラインL2とバルブV2とを有する。送液ラインL2は液源42とノズル41とを接続する。バルブV2は例えばエアオペレーションバルブであり、送液ラインL2内の流路を開閉する。ノズル搬送部44は、電動モータなどを動力源としてノズル41を水平方向に搬送する。
【0047】
以上のように構成された塗布ユニットU1は、制御部100により制御される。制御部100は、ウェハWの表面Waの中心部にレジスト液の液溜りを形成する条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給するように処理液供給部30を制御することと、液溜りをウェハWの外周Wbより内側に留めるように設定された第一回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御しながら、ウェハWの表面Waに希釈液を供給し、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させるように希釈液供給部40を制御することと、希釈液の供給位置が液溜りの外から液溜りの外周部分に移動した後に、第一回転速度でのウェハWの回転を継続させるように回転保持部20を制御しながら、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させるように希釈液供給部40を制御することと、希釈液の供給位置が液溜りの外周部分から液溜りの外に移動した後に、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げるように、第一回転速度よりも高い回転速度で前記基板を回転させるように回転保持部20を制御することと、を実行するように構成されている。液溜りの外周部分とは、液溜り内において、液溜りの外周の近傍に位置する環状部分を意味する。
【0048】
例えば制御部100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、液溜り形成制御部111と、第一希釈制御部112と、第二希釈制御部113と、塗布制御部114と。保持制御部117とを有する。
【0049】
液溜り形成制御部111は、ウェハWの表面Waの中心部にレジスト液の液溜りを形成する条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給するように処理液供給部30を制御する。例えば液溜り形成制御部111は、ウェハWを上記第一回転速度以上の第二回転速度で回転させるように回転保持部20を制御しながら、ウェハWの回転中心CL1を含む第一領域にレジスト液の液溜りを形成し、第一領域より外周側の第二領域にはレジスト液を付着させない条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給するように処理液供給部30を制御する。
【0050】
液溜り形成制御部111は、ウェハWの表面Waが乾燥した状態にて、ウェハWのウェハWへのレジスト液の供給を開始するように処理液供給部30を制御してもよい。
【0051】
第一希釈制御部112は、第一回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御しながら、ウェハWの表面Waに希釈液を供給し、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させるように希釈液供給部40を制御する。例えば第一希釈制御部112は、希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させるように希釈液供給部40を制御する。
【0052】
第一希釈制御部112は、希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させる前に、ウェハWの外周Wbより内側の位置に希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御してもよい。この場合、第一希釈制御部112は、ウェハWの回転速度を第一回転速度よりも低い第五回転速度とするように回転保持部20を制御した後に希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御してもよい。第五回転速度はゼロであってもよい。すなわち、第一希釈制御部112は、ウェハWの回転を停止させた後に希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御してもよい。第一希釈制御部112は、希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御した後、希釈液の供給位置の移動を開始するように希釈液供給部40を制御する前に、第五回転速度でのウェハWの回転を一回転以上継続させるように回転保持部20を制御してもよい。
【0053】
第一希釈制御部112は、第二領域が乾燥した状態にて、希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御してもよい。
【0054】
第二希釈制御部113は、第一希釈制御部112による制御の後に、第一回転速度でのウェハWの回転を継続させるように回転保持部20を制御しながら、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させるように希釈液供給部40を制御する。例えば第二希釈制御部113は、希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させるように希釈液供給部40を制御する。
【0055】
第二希釈制御部113は、希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させるように希釈液供給部40を制御した後、供給位置がウェハWの外周Wbより内側にある状態で希釈液の供給を停止するように希釈液供給部40を制御してもよい。
【0056】
塗布制御部114は、第二希釈制御部113による制御の後に、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げるように、第一回転速度よりも高い回転速度で前記基板を回転させるように回転保持部20を制御する。
【0057】
例えば塗布制御部114は、第一塗布制御部115と第二塗布制御部116とを含む。第一塗布制御部115は、第二希釈制御部113による制御の後に、第一回転速度よりも高く、レジスト液と希釈液との混合液をウェハWの外周Wb側に広げる第三回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御する。第二塗布制御部116は、第一塗布制御部115による制御の後に、第三回転速度よりも高く、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げる第四回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御する。
【0058】
保持制御部117は、搬送アームA3により塗布ユニットU1にウェハWが搬入された後に保持部21により当該ウェハWを保持するように回転保持部20を制御し、搬送アームA3により塗布ユニットU1からウェハWが搬出される前に保持部21による当該ウェハWの保持を解除するように回転保持部20を制御する。
【0059】
制御部100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御部100は、
図4に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマー125とを有する。
【0060】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の塗布処理手順を塗布ユニットU1に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、回転保持部20、処理液供給部30及び希釈液供給部40との間で電気信号の入出力を行う。タイマー125は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。
【0061】
なお、制御部100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御部100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0062】
〔塗布処理手順〕
続いて、塗布処理方法の一例として、制御部100が塗布ユニットU1を制御することにより実行される塗布処理手順を説明する。この塗布処理手順は、ウェハWの表面Waの中心部にレジスト液の液溜りを形成する条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給することと、液溜りをウェハWの外周Wbより内側に留めるように設定された第一回転速度でウェハWを回転させながら、ウェハWの表面Waに希釈液を供給し、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させることと、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させた後に、第一回転速度でのウェハWの回転を継続させながら、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させることと、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させた後に、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げるように、第一回転速度よりも高い回転速度でウェハWを回転させることと、を含む。
【0063】
ウェハWの表面Waの中心部にレジスト液の液溜りを形成することは、第一回転速度以上の第二回転速度でウェハWを回転させながら、ウェハWの回転中心を含む第一領域にレジスト液の液溜りを形成し、第一領域より外周側の第二領域にはレジスト液を付着させない条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給することを含み、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させることは、希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させることを含み、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させることは、希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させることを含んでもよい。
【0064】
希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させた後に、第一回転速度よりも高い回転速度でウェハWを回転させることは、第一回転速度よりも高く、レジスト液と希釈液との混合液をウェハWの外周Wb側に広げる第三回転速度でウェハWを回転させることと、ウェハWを第三回転速度で回転させた後に、第三回転速度よりも高く、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げる第四回転速度でウェハWを回転させることと、を含んでもよい。
【0065】
希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させる前に、ウェハWの外周Wbより内側の位置に希釈液の供給を開始してもよい。この場合、ウェハWの回転速度を第一回転速度よりも低い第五回転速度とした後に希釈液の供給を開始してもよく、希釈液の供給を開始した後、希釈液の供給位置の移動を開始する前に、第五回転速度でのウェハWの回転を一回転以上継続させてもよい。
【0066】
希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させた後、希釈液の供給位置がウェハWの外周Wbより内側にある状態で希釈液の供給を停止してもよい。
【0067】
ウェハWの表面が乾燥した状態にて、ウェハWの表面Waへのレジスト液の供給を開始し、第二領域が乾燥した状態にて、希釈液の供給を開始してもよい。
【0068】
以下、制御部100による塗布ユニットU1の制御手順の具体例を示す。
図5に示すように、制御部100は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、保持制御部117が、搬送アームA3により塗布ユニットU1に搬入されたウェハWを保持部21により保持するように回転保持部20を制御する。
【0069】
次に、制御部100はステップS02を実行する。ステップS02では、液溜り形成制御部111が、液溜り形成制御を実行する。液溜り形成制御は、ウェハWを第二回転速度で回転させるように回転保持部20を制御しながら、ウェハWの回転中心CL1を含む第一領域にレジスト液の液溜りを形成し、第一領域より外周側の第二領域にはレジスト液を付着させない条件にて、ウェハWの表面Waにレジスト液を供給するように処理液供給部30を制御することを含む。液溜り形成制御の詳細な内容については後述する。
【0070】
次に、制御部100はステップS03を実行する。ステップS03では、第一希釈制御部112が、第一希釈制御を実行する。第一希釈制御は、ウェハWを第二回転速度よりも小さい第一回転速度で回転させるように回転保持部20を制御しながら、ウェハWの表面Waに希釈液を供給し、希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させるように希釈液供給部40を制御することを含む。第一希釈制御の詳細な内容については後述する。
【0071】
次に、制御部100はステップS04を実行する。ステップS04では、第二希釈制御部113が、第二希釈制御を実行する。第二希釈制御は、第一回転速度でのウェハWの回転を継続させるように回転保持部20を制御しながら、希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させるように希釈液供給部40を制御することを含む。第二希釈制御の詳細な内容については後述する。
【0072】
次に、制御部100はステップS05を実行する。ステップS05では、第一塗布制御部115が、第一塗布制御を実行する。第一塗布制御は、第一回転速度よりも高く、レジスト液と希釈液との混合液をウェハWの外周Wb側に広げる第三回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御することを含む。第一塗布制御の詳細な内容については後述する。
【0073】
次に、制御部100はステップS06を実行する。ステップS06では、第二塗布制御部116が、第二塗布制御を実行する。第二塗布制御は、第三回転速度よりも高く、レジスト液をウェハWの外周Wb側に広げる第四回転速度でウェハWを回転させるように回転保持部20を制御することを含む。第二塗布制御の詳細な内容については後述する。
【0074】
次に、制御部100はステップS07を実行する。ステップS07では、保持制御部117が、保持部21によるウェハWの保持を解除するように回転保持部20を制御する。その後、ウェハWは搬送アームA3により現像ユニットU3から搬出される。
【0075】
(液溜り形成制御)
続いて、ステップS02における液溜り形成制御の内容を詳細に説明する。
図6に示すように、制御部100は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、液溜り形成制御部111が、回転駆動部22によりウェハWを第二回転速度ω2(
図7の(a)参照)で回転させることを開始するように回転保持部20を制御する。
【0076】
第二回転速度ω2は、ウェハWの表面Wa上に供給されたレジスト液を外周Wb側に広げる遠心力を生じないように設定されている。第二回転速度ω2は、例えば50〜250rpmであり、100〜200rpmであってもよい。液溜り形成制御部111は、停止状態から第二回転速度ω2まで、ウェハWの回転速度を徐々に変化させるように回転保持部20を制御してもよい。徐々に変化させることは、段階的に変化させることを含む。以下においても同様である。
【0077】
次に、制御部100はステップS12を実行する。ステップS12では、液溜り形成制御部111が、ノズル搬送部34によりノズル31をウェハWの回転中心CL1上に配置するように処理液供給部30を制御する。
【0078】
次に、制御部100はステップS13を実行する。ステップS13では、液溜り形成制御部111が、バルブV1を開き、ノズル31から下方へのレジスト液211の供給を開始するように処理液供給部30を制御する。これにより、表面Waの回転中心CL1にレジスト液211が供給される(
図7の(a)参照)。
【0079】
次に、制御部100はステップS14を実行する。ステップS14では、液溜り形成制御部111が所定時間の経過を待機する。当該所定時間は、適切な液溜りが得られるように、事前の条件出しにより設定されている。
【0080】
次に、制御部100はステップS15を実行する。ステップS15では、液溜り形成制御部111が、バルブV1を閉じ、ノズル31から下方へのレジスト液211の供給を停止するように処理液供給部30を制御する。
【0081】
以上で液溜り形成制御が完了し、表面Waにおいて回転中心CL1を含む第一領域201にレジスト液211の液溜り221が形成される(
図7の(b)参照)。第一領域201より外側の第二領域202にレジスト液211は付着しない。
【0082】
なお、上述した手順は、回転中心CL1を含む第一領域201にレジスト液211の液溜り221を形成し、第二領域202にはレジスト液211を付着させない限りにおいて、適宜変更可能である。例えば、ウェハWの回転開始(ステップS11)に先立ってノズル31の配置(ステップS12)を実行してもよい。また、ステップS12において、回転中心CL1からずれた位置にノズル31を配置してもよく、所定時間の待機(ステップS14)中に、ノズル搬送部34によりノズル31を移動させてもよい。
【0083】
(第一希釈制御)
続いて、ステップS03における第一希釈制御の内容を詳細に説明する。
図8に示すように、制御部100は、まずステップS21を実行する。ステップS21では、第一希釈制御部112が、ノズル搬送部44によりノズル41の中心を吐出開始位置に配置するように希釈液供給部40を制御する。吐出開始位置は、第二領域202においてウェハWの外周Wbより内側の位置の上方である。
【0084】
次に、制御部100はステップS22を実行する。ステップS22では、第一希釈制御部112が、ウェハWの回転速度を第二回転速度ω2から第五回転速度ω5(
図9の(a)参照)に変更するように回転保持部20を制御する。
【0085】
第五回転速度は、例えば0〜40rpmであり、0〜20rpmであってもよい。すなわち、第一希釈制御部112は、ウェハWの回転が停止した状態にて、希釈液の供給を開始するように希釈液供給部40を制御してもよい。第一希釈制御部112は、第二回転速度ω2から第五回転速度ω5まで、ウェハWの回転速度を徐々に変化させるように回転保持部20を制御してもよい。
【0086】
次に、制御部100はステップS23を実行する。ステップS23では、第一希釈制御部112が、バルブV2を開き、ノズル41から下方への希釈液212の供給を開始するように希釈液供給部40を制御する。これにより、第二領域202においてウェハWの外周Wbより内側の位置に希釈液212が供給される(
図9の(a)参照)。
【0087】
次に、制御部100はステップS24を実行する。ステップS24では、第一希釈制御部112が所定時間の経過を待機する。所定時間は、第五回転速度ω5にてウェハWが一回転する時間以上に設定されている。当該所定時間の経過により、希釈液が円環状に塗布される(
図9の(b)参照)。
【0088】
次に、制御部100はステップS25を実行する。ステップS25では、第一希釈制御部112が、ウェハWの回転速度を第五回転速度ω5から第一回転速度ω1(
図9の(c)参照)に変更するように回転保持部20を制御する。
【0089】
第一回転速度は、例えば20〜100rpmであり、40〜80rpmであってもよい。第一希釈制御部112は、第五回転速度ω5から第一回転速度ω1まで、ウェハWの回転速度を徐々に変化させるように回転保持部20を制御してもよい。
【0090】
次に、制御部100はステップS26を実行する。ステップS26では、第一希釈制御部112が、ノズル搬送部44により回転中心CL1側にノズル41を移動させることを開始するように希釈液供給部40を制御する。
【0091】
以後、第一希釈制御部112は、ノズル41を第一移動速度nv1で移動させるように希釈液供給部40を制御する(
図9の(c)参照)。第一移動速度nv1は、例えば1〜20mm/sであり、5〜15mm/sであってもよい。
【0092】
次に、制御部100はステップS27を実行する。ステップS27では、ノズル41の中心が所定位置に到達するのを第一希釈制御部112が待機する。所定位置は、第一領域201の外周部分201bの上方である。所定位置は、例えば回転中心CL1からの距離が第一領域201の半径の2/3〜11/12である位置であり、回転中心CL1からの距離が当該半径の3/4〜6/7となる位置であってもよい。
【0093】
次に、制御部100はステップS28を実行する。ステップS28では、第一希釈制御部112が、ノズル搬送部44によるノズル41の移動を停止させるように希釈液供給部40を制御する。
【0094】
以上で第一希釈制御が完了する。ノズル41が上記所定位置まで移動することにより、液溜り221の外周部分221bが希釈液212により希釈され、レジスト液211がレジスト液211及び希釈液212の混合液213により囲まれた状態となる(
図9の(c)参照)。
【0095】
なお、上述した手順は、希釈液212を吐出しているノズル41を第二領域202から第一領域201の外周部分に移動させる限りにおいて適宜変更可能である。例えば、ノズル41の配置(ステップS21)に先立ってウェハWの回転速度の変更(ステップS22)を実行してもよい。
【0096】
(第二希釈制御)
続いて、ステップS04における第二希釈制御の内容を詳細に説明する。
図10に示すように、制御部100は、まずステップS31を実行する。ステップS31では、第二希釈制御部113が所定時間の経過を待機する。これにより、液溜り221の外周部分221bの希釈が継続される(
図11の(a)参照)。当該所定時間は、液溜り221の外周部分221bを十分に希釈し得るように、事前の条件出しにより設定されている。
【0097】
次に、制御部100はステップS32を実行する。ステップS32では、第二希釈制御部113が、ノズル搬送部44によりウェハWの外周Wb側にノズル41を移動させることを開始するように希釈液供給部40を制御する。以後、第二希釈制御部113は、ノズル41を第二移動速度nv2で移動させるように希釈液供給部40を制御する(
図11の(b)参照)。第二移動速度nv2は、例えば第一移動速度nv1と同等である。
【0098】
次に、制御部100はステップS33を実行する。ステップS33では、ノズル41の中心が吐出停止位置に到達するのを第二希釈制御部113が待機する。吐出停止位置は、第二領域202においてウェハWの外周Wbより内側の位置の上方である。
【0099】
次に、制御部100はステップS34を実行する。ステップS34では、第二希釈制御部113が、バルブV2を閉じ、ノズル41から下方への希釈液212の供給を停止するように希釈液供給部40を制御する。以上で第二希釈制御が完了する。
【0100】
(第一塗布制御)
続いて、ステップS05における第一塗布制御の内容を詳細に説明する。
図12に示すように、制御部100は、まずステップS41を実行する。ステップS41では、第一塗布制御部115が、ウェハWの回転速度を第一回転速度ω1から第三回転速度ω3(
図14の(a)参照)に変更するように回転保持部20を制御する。
【0101】
第三回転速度ω3は、レジスト液211をウェハWの外周Wb側に広げることなく、混合液213をウェハWの外周Wb側に広げるように設定されている。例えば第三回転速度ω3は、100〜500rpmであり、200〜400rpmであってもよい。第一塗布制御部115は、第一回転速度ω1から第三回転速度ω3まで、ウェハWの回転速度を徐々に変化させるように回転保持部20を制御してもよい。
【0102】
次に、制御部100はステップS42を実行する。ステップS42では、第一塗布制御部115が所定時間の経過を待機する。この間に、液溜り221の外周部分221bの混合液213がウェハWの外周Wb側に塗り広げられる(
図14の(a)参照)。当該所定時間は、混合液213を十分に塗り広げ得るように、事前の条件出しにより設定されている。以上で第一塗布制御が完了する。
【0103】
(第二塗布制御)
続いて、ステップS06における第二塗布制御の内容を詳細に説明する。
図13に示すように、制御部100は、まずステップS51を実行する。ステップS51では、第二塗布制御部116が、ウェハWの回転速度を第三回転速度ω3から第四回転速度ω4(
図14の(b)参照)に変更するように回転保持部20を制御する。
【0104】
第四回転速度ω4は、レジスト液211をウェハWの外周Wb側に広げるように設定されている。例えば第四回転速度ω4は、400〜1200rpmであり、600〜1000rpmであってもよい。第二塗布制御部116は、第三回転速度ω3から第四回転速度ω4まで、ウェハWの回転速度を徐々に変化させるように回転保持部20を制御してもよい。
【0105】
次に、制御部100はステップS52を実行する。ステップS52では、第二塗布制御部116が所定時間の経過を待機する。この間に、液溜り221のレジスト液211がウェハWの外周Wb側に塗り広げられる(
図14の(b)参照)。当該所定時間は、レジスト液211を十分に塗り広げ得るように、事前の条件出しにより設定されている。以上で第二塗布制御が完了し、レジスト液211の液膜が形成される(
図14の(c)参照)。
【0106】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、上記塗布処理手順は、ウェハの表面の中心部にレジスト液の液溜りを形成する条件にて、ウェハの表面にレジスト液を供給することと、液溜りをウェハの外周より内側に留めるように設定された第一回転速度でウェハを回転させながら、ウェハの表面に希釈液を供給し、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させることと、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させた後に、第一回転速度でのウェハの回転を継続させながら、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させることと、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させた後に、レジスト液をウェハの外周側に広げるように、第一回転速度よりも高い回転速度でウェハを回転させることと、を含む。
【0107】
この塗布処理方法によれば、ウェハの表面の中央部にレジスト液の液溜りが形成された後に、希釈液の到達位置が液溜りの外から液溜りの外周部分に徐々に進入し、その後、液溜りの外周部分から液溜りの外に徐々に退出する。このため、液溜りの外周部分を高い均一性で希釈することができる。その後、ウェハが第一回転速度よりも高い回転速度で回転することにより、液溜りの外周部分の混合液がウェハの外周側に広がり、更に液溜りのレジスト液がウェハの外周側に広がる。上述のように、液溜りの外周部分は高い均一性で希釈されており、且つ混合液の粘度はレジスト液の粘度に比較して低いので、混合液は高い均一性でウェハの外周側に広がる。その混合液に導かれることで、レジスト液も高い均一性でウェハの外周側に広がる。従って、高い膜厚均一性にてウェハの表面に液膜を形成するのに有効である。
【0108】
ウェハの表面の中心部にレジスト液の液溜りを形成することは、第一回転速度以上の第二回転速度でウェハを回転させながら、ウェハの回転中心を含む第一領域にレジスト液の液溜りを形成し、第一領域より外周側の第二領域にはレジスト液を付着させない条件にて、ウェハの表面にレジスト液を供給することを含み、希釈液の供給位置を液溜りの外から液溜りの外周部分に移動させることは、希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させることを含み、希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させることは、希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させることを含んでもよい。この場合、第二回転速度でウェハを回転させながらウェハの表面にレジスト液を形成することにより、周方向における均一性の高い液溜りが第一領域に形成される。また、第一回転速度、つまり希釈液の供給位置を移動させる際のウェハ回転速度を、第二回転速度以下、つまりレジスト液の液溜りを形成する際のウェハ回転速度以下とすることにより、希釈液の供給位置を移動させる際におけるレジスト液の広がりがより確実に抑制され、周方向における均一性の高い液溜りが維持される。このため、希釈液の到達位置が第二領域から第一領域内に入出する際に、液溜りの外周部分がより高い均一性で希釈される。
【0109】
希釈液の供給位置を液溜りの外周部分から液溜りの外に移動させた後に、第一回転速度よりも高い回転速度でウェハを回転させることは、第一回転速度よりも高く、レジスト液と希釈液との混合液をウェハの外周側に広げる第三回転速度でウェハを回転させることと、ウェハを第三回転速度で回転させた後に、第三回転速度よりも高く、レジスト液をウェハの外周側に広げる第四回転速度でウェハを回転させることと、を含んでもよい。この場合、回転速度を段階的に高めることにより、混合液が先に広がってレジスト液を導く現象をより顕著に発生させることができる。
【0110】
希釈液の供給位置を第二領域から第一領域の外周部分に移動させる前に、ウェハの外周より内側の位置に希釈液の供給を開始してもよい。この場合、ウェハの外周より外側において希釈液の供給を開始するのに比較して、希釈液の供給位置を第一領域に進入させる際の移動距離が短くなる。従って、処理時間の短縮に有効である。
【0111】
ウェハの回転速度を第一回転速度よりも低い第五回転速度とするように回転保持部を制御しながら希釈液の供給を開始してもよい。この場合、希釈液が最初にウェハに到達する際の液跳ねを抑制し、跳ねた希釈液が液溜りに混入するなどの不測の現象の発生を抑制することができる。
【0112】
希釈液の供給を開始した後、希釈液の供給位置の移動を開始する前に、第五回転速度でのウェハの回転を一回転以上継続させてもよい。この場合、第二領域への希釈液の塗布状態が周方向においてばらつくことが抑制される。このため、ウェハが第三回転速度で回転する際に、混合液をより高い均一性でウェハの外周側に広げることができる。
【0113】
希釈液の供給位置を第一領域の外周部分から第二領域に移動させた後、希釈液の供給位置がウェハの外周より内側にある状態で希釈液の供給を停止してもよい。この場合、ウェハの外周より外側において希釈液の供給を停止するのに比較して、希釈液の供給位置を第一領域から退出させる際の移動距離が短くなる。従って、処理時間の更なる短縮に有効である。
【0114】
ウェハの表面が乾燥した状態にて、ウェハの表面へのレジスト液の供給を開始し、第二領域が乾燥した状態にて、希釈液の供給を開始してもよい。この場合、ウェハの表面が濡れた状態にてレジスト液を供給するのに比較して、液溜りの半径(ウェハの回転中心から液溜り周縁までの距離)の周方向における均一性が高められる。これにより、液膜の膜厚均一性を更なる向上させることができる。
【0115】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、上記塗布処理手順は、レジスト膜以外の被膜(例えば下層膜又は上層膜)を形成するための塗布処理にも適用可能である。処理対象の基板は、半導体ウェハに限られず、例えばガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)等であってもよい。
【実施例】
【0116】
以下、実施例及び比較例を示す。実施例は、上述した実施形態の一例に過ぎず、本発明は実施例に限定されない。
【0117】
〔サンプルの作製〕
(実施例)
直径300mmのシリコンウェハを準備し、その表面に上記ステップS01〜S07の塗布処理手順及びその後の加熱処理により厚さ約60μmのレジスト膜を形成した。諸条件は以下のとおりである。
レジスト液の粘度:4000cP
液膜の半径:約70mm
レジスト液の供給開始位置:回転中心から80mm
ステップS27における所定位置:回転中心から60mm
第二回転速度:150rpm
第一回転速度:60rpm
第三回転速度:300rpm
第四回転速度:800rpm
第五回転速度:10rpm
第一移動速度:10mm/s
第二移動速度:10mm/s
塗布処理後の加熱条件:130℃にて600秒間加熱
【0118】
(比較例)
直径300mmのシリコンウェハを準備し、実施例と同じレジスト液を用い、シリコンウェハを800rpmで回転させながら、回転中心にレジスト液を供給する手法にて塗布処理を実行し、その後実施例と同じ条件で加熱処理を実行して厚さ約60μmのレジスト膜を形成した。
【0119】
〔膜厚の均一性の評価〕
シリコンウェハの全域に亘ってレジスト膜の膜厚を測定し、次式によって膜厚の均一性の評価値を算出した。
評価値=(膜厚最大値-膜厚最小値)/(膜厚平均値×2)×100
【0120】
比較例の評価値は12.95%であるのに対し、実施例の評価値は3.8%であった。この結果から、上記ステップS01〜S07の塗布処理手順は膜厚均一性の向上に有効であることが確認された。