特許第6899697号(P6899697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6899697
(24)【登録日】2021年6月17日
(45)【発行日】2021年7月7日
(54)【発明の名称】ゲートバルブ装置及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20210628BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20210628BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210628BHJP
   H01L 21/677 20060101ALN20210628BHJP
【FI】
   F16K51/02 B
   F16K27/00 B
   H01L21/302 101G
   !H01L21/68 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-94612(P2017-94612)
(22)【出願日】2017年5月11日
(65)【公開番号】特開2018-189218(P2018-189218A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 貴史
(72)【発明者】
【氏名】鍋山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】三枝 直也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−507153(JP,A)
【文献】 特開平05−196150(JP,A)
【文献】 特開2017−011050(JP,A)
【文献】 特開2004−319938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 51/02
F16K 27/00−27/12
H01L 21/67−21/68
H01L 21/302
H01L 21/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧環境下で基板に所定の処理を施す処理容器の側壁に形成された前記基板の搬入出口に接続されるゲートバルブ装置であって、
前記搬入出口に連通する開口部が形成された壁部と、
前記壁部の前記開口部よりも上の部分である開口上部に形成された溝と、前記処理容器の側壁の前記搬入出口よりも上の部分である搬入出口上部に形成された溝とに挿入され、前記搬入出口上部の前記溝の上面から前記搬入出口上部を支持するキー部材と
を有し、
前記キー部材は、前記搬入出口上部に形成された溝の上面に当接し、且つ、前記キー部材の下面と前記搬入出口上部に形成された溝の下面との間に隙間を有し、
前記ゲートバルブ装置の壁部と前記処理容器の側壁は、固定部材により固定されることを特徴とするゲートバルブ装置。
【請求項2】
前記キー部材は、前記搬入出口上部が前記減圧環境下で撓む方向とは反対方向の力を前記搬入出口上部の前記溝の上面に付与することで前記搬入出口上部を支持することを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ装置。
【請求項3】
前記キー部材は、前記開口上部の前記溝又は前記搬入出口上部の前記溝に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲートバルブ装置。
【請求項4】
前記開口上部の複数の前記溝と、前記搬入出口上部の複数の前記溝とに挿入される複数の前記キー部材を有し、
互いに隣り合う前記キー部材の間に、前記壁部を前記処理容器の側壁に固定するための固定部材が配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のゲートバルブ装置。
【請求項5】
前記開口上部は、前記壁部以外の他の部分よりも高い位置まで突出する突出部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のゲートバルブ装置。
【請求項6】
前記開口上部を補強する補強部材をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のゲートバルブ装置。
【請求項7】
減圧環境下で基板に所定の処理を施す処理容器と、前記処理容器の側壁に形成された前記基板の搬入出口に接続されるゲートバルブ装置とを有する基板処理システムであって、
前記ゲートバルブ装置は、
前記搬入出口に連通する開口部が形成された壁部と、
前記壁部の前記開口部よりも上の部分である開口上部に形成された溝と、前記処理容器の側壁の前記搬入出口よりも上の部分である搬入出口上部に形成された溝とに挿入され、前記搬入出口上部の前記溝の上面から前記搬入出口上部を支持するキー部材と
を有し、
前記キー部材は、前記搬入出口上部に形成された溝の上面に当接し、且つ、前記キー部材の下面と前記搬入出口上部に形成された溝の下面との間に隙間を有し、
前記ゲートバルブ装置の壁部と前記処理容器の側壁は、固定部材により固定されることを特徴とする基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の種々の側面及び実施形態は、ゲートバルブ装置及び基板処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPD(フラットパネルディスプレイ)用のガラス基板等の基板に対して所望のプラズマ処理を行う基板処理システムが知られている。基板処理システムは、例えば、基板に対するプラズマ処理を行うプロセスモジュール、基板の搬入及び搬出を行う搬送装置を収容した搬送モジュール、及びプロセスモジュールと搬送モジュールとの間に設けられたゲートバルブ装置等を備えている。
【0003】
プロセスモジュールは、減圧環境下で基板に対するプラズマ処理を行う処理容器を有し、処理容器内には、基板を載置し下部電極として機能する載置台(以下「サセプタ」と呼ぶ)と、サセプタに対向する上部電極とが配置されている。また、サセプタ及び上部電極の少なくとも一方には高周波電源が接続され、サセプタと上部電極との間の空間に高周波電力が印加される。
【0004】
プロセスモジュールでは、サセプタと上部電極との間の空間に供給された処理ガスを高周波電力によってプラズマ化してイオン等を発生させ、発生されたイオン等を基板に導いて、基板に所望のプラズマ処理、例えばプラズマエッチング処理を施す。
【0005】
また、処理容器の側壁には、基板の搬入及び搬出に用いられる搬入出口が形成される。ゲートバルブ装置は、処理容器の側壁における搬入出口に接続される。そして、基板の搬入及び搬出の際にゲートバルブ装置の動作により搬入出口の開閉が行われる。
【0006】
ゲートバルブ装置は、例えば、プロセスモジュールにおける基板の搬入出口に連通する開口部が形成された壁部を有する。FPD用のガラス基板のサイズは非常に大きいことから、搬入出口と開口部は精良く位置合わせする必要がある。このため、壁部における開口部よりも上の部分(以下「開口上部」という)に形成された溝と、処理容器の側壁における搬入出口よりも上の部分(以下「搬入出口上部」という)に形成された溝とにキー部材が挿入されることにより、ゲートバルブ装置側の開口部と、処理容器側の搬入出口との位置合わせが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4546460号公報
【特許文献2】特開2009−230870号公報
【特許文献3】特許第3043848号公報
【特許文献4】特開2015−81633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ゲートバルブ装置側の開口部と、処理容器側の搬入出口との位置合わせにおいて、開口上部の溝と、搬入出口上部の溝とにキー部材が挿入される場合、一般に、開口上部と搬入出口上部のそれぞれに形成された溝とキー部材の高さ方向の位置を調整することにより、キー部材が、搬入出口上部の溝の下面に載置される。これにより、処理容器の側壁における搬入出口上部が、搬入出口上部の溝の下面に載置されたキー部材を介して、ゲートバルブ装置の壁部における開口上部を支持することとなる。
【0009】
しかしながら、処理容器の側壁における搬入出口上部がゲートバルブ装置の壁部における開口上部を支持する構造では、処理容器内が減圧される減圧環境下において、大気圧に応じた力に加え、ゲートバルブ装置の自重に応じた力が搬入出口上部に付与される。このため、搬入出口上部が撓み、搬入出口が変形してしまう。搬入出口の変形は、処理容器内の気密性を低下させる要因となり、好ましくない。
【0010】
特に、近年では、処理容器内に発生するプラズマの均一性を向上する観点から、処理容器内においてサセプタと上部電極との間隔が短くなり、且つ処理容器の側壁における搬入出口上部の厚みが薄くなる傾向がある。処理容器の側壁における搬入出口上部の厚みが薄くなるほど、搬入出口上部の撓みが増大するため、搬入出口の変形がさらに増大してしまう虞れがある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示するゲートバルブ装置は、1つの実施態様において、減圧環境下で基板に所定の処理を施す処理容器の側壁に形成された前記基板の搬入出口に接続されるゲートバルブ装置であって、前記搬入出口に連通する開口部が形成された壁部と、前記壁部の前記開口部よりも上の部分である開口上部に形成された溝と、前記処理容器の側壁の前記搬入出口よりも上の部分である搬入出口上部に形成された溝とに挿入され、前記搬入出口上部の前記溝の上面から前記搬入出口上部を支持するキー部材とを有する。
【発明の効果】
【0012】
開示するゲートバルブ装置の1つの態様によれば、基板の搬入出口の変形を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係る基板処理システムを概略的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係るゲートバルブ装置の構成を示す断面図である。
図4図4は、固定部材の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本願の開示するゲートバルブ装置及び基板処理システムの実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
【0015】
<基板処理システム>
図1は、本実施形態に係る基板処理システム100を概略的に示す斜視図である。基板処理システム100は、例えばFPD用のガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Sに対してプラズマ処理を行う。なお、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
【0016】
基板処理システム100は、十字形に連結された5つの真空モジュールを備えている。具体的には、基板処理システム100は、5つの真空モジュールとして、3つのプロセスモジュール101a,101b,101cと、搬送モジュール103と、ロードロックモジュール105とを備えている。
【0017】
プロセスモジュール101a,101b,101cは、その内部空間を所定の減圧雰囲気(真空状態)に維持できるように構成されている。プロセスモジュール101a,101b,101c内には、それぞれ、基板Sを載置する載置台(図示省略)が配備されている。プロセスモジュール101a,101b,101cでは、基板Sを載置台に載置した状態で、基板Sに対して、例えば減圧環境下でエッチング処理、アッシング処理、成膜処理等のプラズマ処理が行なわれる。
【0018】
搬送モジュール103は、プロセスモジュール101a,101b,101cと同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。搬送モジュール103内には、図示しない搬送装置が設けられている。この搬送装置によって、プロセスモジュール101a,101b,101cとロードロックモジュール105との間で基板Sの搬送が行われる。
【0019】
ロードロックモジュール105は、プロセスモジュール101a,101b,101cおよび搬送モジュール103と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロックモジュール105は、減圧雰囲気の搬送モジュール103と外部の大気雰囲気との間で基板Sの授受を行うためのものである。
【0020】
基板処理システム100は、更に、5つのゲートバルブ装置110a,110b,110c,110d,110eを備えている。ゲートバルブ装置110a,110b,110cは、それぞれ、搬送モジュール103とプロセスモジュール101a,101b,101cとの間に配置されている。ゲートバルブ装置110dは、搬送モジュール103とロードロックモジュール105との間に配置されている。ゲートバルブ装置110eは、ロードロックモジュール105におけるゲートバルブ装置110dとは反対側に配置されている。ゲートバルブ装置110a〜110eは、いずれも、隣接する2つの空間を仕切る壁に設けられた開口部を開閉する機能を有している。
【0021】
ゲートバルブ装置110a〜110dは、閉状態で各モジュールを気密にシールすると共に、開状態でモジュール間を連通させて基板Sの移送を可能にする。ゲートバルブ装置110eは、閉状態でロードロックモジュール105の気密性を維持すると共に、開状態でロードロックモジュール105内と外部との間で基板Sの移送を可能にする。
【0022】
基板処理システム100は、更に、ロードロックモジュール105との間でゲートバルブ装置110eを挟む位置に配置された搬送装置125を備えている。搬送装置125は、基板保持具としてのフォーク127と、フォーク127を進出、退避および旋回可能に支持する支持部129と、この支持部129を駆動する駆動機構を備えた駆動部131とを有している。
【0023】
基板処理システム100は、更に、駆動部131の両側に配置されたカセットインデクサ121a,121bと、それぞれカセットインデクサ121a,121bの上に載置されたカセットC1,C2とを備えている。カセットインデクサ121a,121bは、それぞれ、カセットC1,C2を昇降する昇降機構部123a,123bを有している。各カセットC1,C2内には、基板Sを、上下に間隔を空けて多段に配置できるようになっている。搬送装置125のフォーク127は、カセットC1,C2の間に配置されている。
【0024】
また、図1では図示しないが、基板処理システム100は、更に、基板処理システム100において制御が必要な構成要素を制御する制御部を備えている。制御部は、例えば、CPUを備えたコントローラと、コントローラに接続されたユーザーインターフェースと、コントローラに接続された記憶部とを有している。コントローラは、基板処理システム100において制御が必要な構成要素を統括して制御する。ユーザーインターフェースは、工程管理者が基板処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、基板処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。記憶部には、基板処理システム100で実行される各種処理をコントローラの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェースからの指示等にて任意のレシピを記憶部から呼び出してコントローラに実行させることで、コントローラの制御下で、基板処理システム100での所望の処理が行われる。
【0025】
上記の制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用できる。あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0026】
<プラズマ処理装置>
次に、図1に示したプロセスモジュール101a,101b,101cの構成を説明する。本実施形態では、プロセスモジュール101a,101b,101cがいずれもプラズマエッチング装置101Aである場合を例に挙げて説明するが、これには限られない。
【0027】
図2は、本実施形態に係るプラズマエッチング装置101Aの概略構成を示す断面図である。プラズマエッチング装置101Aは、基板Sに対してエッチングを行なう容量結合型の平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。
【0028】
プラズマエッチング装置101Aは、内側が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムからなる角筒形状に成形された処理容器1を有している。処理容器1は、底壁1a、4つの側壁1b(2つのみ図示)及び蓋体1cにより構成されている。処理容器1は電気的に接地されている。側壁1bには、基板Sの搬入及び搬出に用いられる搬入出口1b1と、搬入出口1b1を開閉するゲートバルブ装置110が設けられている。なお、ゲートバルブ装置110は、図1に示したゲートバルブ装置110a,110b,110cのいずれでもよい。
【0029】
蓋体1cは、図示しない開閉機構により、側壁1bに対して開閉可能に構成されている。蓋体1cを閉じた状態で蓋体1cと各側壁1bとの接合部分は、Oリング3によってシールされ、処理容器1内の気密性が保たれている。
【0030】
処理容器1内の底部には、枠形状の絶縁部材9が配置されている。絶縁部材9の上には、基板Sを載置可能な載置台であるサセプタ11が設けられている。下部電極でもあるサセプタ11は、基材12を備えている。基材12は、例えばアルミニウムやステンレス鋼(SUS)などの導電性材料で形成されている。基材12は、絶縁部材9の上に配置され、両部材の接合部分にはOリングなどのシール部材13が配備されて気密性が維持されている。絶縁部材9と処理容器1の底壁1aとの間も、Oリングなどのシール部材14により気密性が維持されている。基材12の側部外周は、絶縁部材15により囲まれている。これによって、サセプタ11の側面の絶縁性が確保され、プラズマ処理の際の異常放電が防止されている。
【0031】
サセプタ11の上方には、このサセプタ11と平行に、かつ対向して上部電極として機能するシャワーヘッド31が設けられている。シャワーヘッド31は、処理容器1の上部の蓋体1cに支持されている。シャワーヘッド31は、中空状をなし、その内部には、ガス拡散空間33が設けられている。また、シャワーヘッド31の下面(サセプタ11との対向面)には、処理ガスを吐出する複数のガス吐出孔35が形成されている。シャワーヘッド31は、電気的に接地されており、サセプタ11とともに一対の平行平板電極を構成している。
【0032】
シャワーヘッド31の上部中央付近には、ガス導入口37が設けられている。ガス導入口37には、処理ガス供給管39が接続されている。処理ガス供給管39には、2つのバルブ41,41およびマスフローコントローラ(MFC)43を介して、エッチングのための処理ガスを供給するガス供給源45が接続されている。処理ガスとしては、例えばハロゲン系ガスやOガスのほか、Arガス等の希ガスなどを用いることができる。
【0033】
処理容器1内の底壁1aには、複数の箇所(例えば8か所)に貫通した排気用開口51が形成されている。各排気用開口51には、それぞれ排気管53が接続されている。各排気管53は、その端部にフランジ部53aを有しており、フランジ部53aと底壁1aとの間にOリング(図示省略)を介在させた状態で固定されている。各排気管53には、APCバルブ55及び排気装置57が接続されている。
【0034】
プラズマエッチング装置101Aには、処理容器1内の圧力を計測する圧力計61が設けられている。圧力計61は、制御部と接続されており、処理容器1内の圧力の計測結果をリアルタイムで制御部へ提供する。
【0035】
サセプタ11の基材12には、給電線71が接続されている。この給電線71には、マッチングボックス(M.B.)73を介して高周波電源75が接続されている。これにより、高周波電源75から例えば13.56MHzの高周波電力が、下部電極としてのサセプタ11に供給される。なお、給電線71は、底壁1aに形成された貫通開口部としての給電用開口77を介して処理容器1内に導入されている。
【0036】
プラズマエッチング装置101Aの各構成部は、制御部に接続されて制御される構成となっている。
【0037】
次に、以上のように構成されるプラズマエッチング装置101Aにおける処理動作について説明する。まず、ゲートバルブ装置110が開放された状態で搬入出口1b1を介して、被処理体である基板Sが、図示しない搬送装置によって搬送モジュール103から処理容器1内へと搬入され、サセプタ11へ受渡される。その後、ゲートバルブ装置110が閉じられ、排気装置57によって、処理容器1内が所定の真空度まで真空引きされる。
【0038】
次に、バルブ41を開放して、処理ガスをガス供給源45から処理ガス供給管39、ガス導入口37を介してシャワーヘッド31のガス拡散空間33へ導入する。この際、マスフローコントローラ43によって処理ガスの流量制御が行われる。ガス拡散空間33に導入された処理ガスは、さらに複数のガス吐出孔35を介してサセプタ11上に載置された基板Sに対して均一に吐出され、処理容器1内の圧力が所定の値に維持される。これにより、処理容器1内に減圧環境が形成される。
【0039】
減圧環境下で高周波電源75から高周波電力がマッチングボックス73を介してサセプタ11に印加される。これにより、下部電極としてのサセプタ11と上部電極としてのシャワーヘッド31との間に高周波電界が生じ、処理ガスが解離してプラズマ化する。このプラズマにより、基板Sにエッチング処理が施される。
【0040】
エッチング処理を施した後、高周波電源75からの高周波電力の印加を停止し、ガス導入を停止した後、処理容器1内を所定の圧力まで減圧する。次に、ゲートバルブ装置110を開放し、サセプタ11から図示しない搬送装置に基板Sを受け渡し、処理容器1の搬入出口1b1から搬送モジュール103へ基板Sを搬出する。以上の操作により、一枚の基板Sに対するプラズマエッチング処理が終了する。
【0041】
<ゲートバルブ装置>
次に、図3を参照して、本実施形態に係るゲートバルブ装置110の構成について詳しく説明する。図3は、本実施形態に係るゲートバルブ装置110の構成を示す断面図である。
【0042】
ゲートバルブ装置110は、図1に示した基板処理システム100における5つのゲートバルブ装置110a,110b,110c,110d,110eのいずれにも適用することができる。ゲートバルブ装置110は、特に、プロセスモジュール101a,101b,101cと搬送モジュール103の間に設けられたゲートバルブ装置110a,110b,110cへ適用されることが好ましい。そこで、以下の説明では、ゲートバルブ装置110がゲートバルブ装置110a,110b,110cに適用される場合を例に挙げて説明する。ゲートバルブ装置110は、プロセスモジュール101と搬送モジュール103との間に配置されている。プロセスモジュール101は、プロセスモジュール101a,101b,101cのいずれか、つまり、図2に示したプラズマエッチング装置101Aに相当する。なお、図3では、搬送モジュール103の図示が省略されている。
【0043】
プロセスモジュール101は、図3に示すように、プロセスモジュール101内の空間を画定する処理容器1を備えている。上記のとおり、処理容器1は、ゲートバルブ装置110に隣接する側壁1bを備えている。側壁1bは、プロセスモジュール101内の空間とそれに隣接するゲートバルブ装置110側の空間とを仕切っている。側壁1bには、プロセスモジュール101と搬送モジュール103との間で基板Sの移送を可能にする搬入出口1b1が設けられている。側壁1bは、ゲートバルブ装置110に向いた面1b2を有している。
【0044】
また、側壁1bの搬入出口1b1よりも上の部分(以下「搬入出口上部」と呼ぶ)1b3には、後述されるゲートバルブ装置110側の開口部201bと、搬入出口1b1との位置合わせに用いられる溝1b4が形成されている。
【0045】
ゲートバルブ装置110は、プロセスモジュール101と搬送モジュール103との間に配置されたハウジング201を有する。ハウジング201は、底部と、天井部と、底部と天井部とを連結し且つ処理容器1に隣接する壁部201aとを含む矩形の筒形状に形成されている。ハウジング201の処理容器1側の壁部201aには、開口部201bが形成される。開口部201bは、処理容器1の側壁1bにおける搬入出口1b1に連通する。一方、ハウジング201の搬送モジュール103側の側部は、開口しており、搬送モジュール103の内部に接続されている。
【0046】
また、ハウジング201内には、図示しない弁体及び弁体移動機構が設けられており、弁体移動機構は、閉塞位置と退避位置との間で弁体を移動させる。弁体移動機構によって弁体が閉塞位置に移動された場合、弁体によって開口部201bが閉塞され、弁体移動機構によって弁体が退避位置に移動された場合、開口部201bが解放される。
【0047】
また、壁部201aの開口部201bよりも上の部分(以下「開口上部」と呼ぶ)201cには、搬入出口上部1b3の溝1b4に対応する溝201dが形成されている。開口上部201cの溝201dには、キー部材251が挿入されて固定される。キー部材251の固定は、例えば嵌合により行われる。開口上部201cの溝201dに固定されたキー部材251は、開口部201bと搬入出口1b1との位置合わせが行われる際に、搬入出口上部1b3の溝1b4に挿入され、搬入出口上部1b3の溝1b4の上面から搬入出口上部1b3を支持する。その際、搬入出口上部1b3の溝1b4の上方の面をキー部材251の上面が支持し、且つ、キー部材251の下面を開口上部201cの溝201dの下方の面が支持する位置関係が成立する。言い換えると、搬入出口上部1b3の溝1b4を介して処理容器1がキー部材251に載置され、さらに、キー部材251と溝201dを介して開口上部201cに載置される。
【0048】
ここで、処理容器1が減圧される減圧環境下では、大気圧に応じた力が処理容器1の搬入出口上部1b3に付与される。すると、搬入出口上部1b3は、搬入出口1b1側に撓み、結果として、搬入出口1b1が変形してしまう。搬入出口1b1の変形が過度に大きくなると、蓋体1cと側壁1bとの隙間がOリング3によるシール可能な範囲を超えてしまい、結果として、シールが破れて処理容器1内の気密性が低下してしまう。
【0049】
そこで、本実施形態では、キー部材251が、搬入出口上部1b3の溝1b4の上面に当接し、搬入出口上部1b3が減圧環境下で撓む方向とは反対方向の力を搬入出口上部1b3の溝1b4の上面に付与することで搬入出口上部1b3を支持する。これにより、減圧環境下において、搬入出口上部1b3の撓みが低減され、結果として、搬入出口1b1の変形が抑制される。
【0050】
また、本実施形態では、上述したように、搬入出口上部1b3が溝1b4の上面からキー部材251により支持されるように、ゲートバルブ装置110側の開口部201bと、処理容器1側の搬入出口1b1との位置合わせが行われる。そこで、本実施形態においては、この位置合わせを容易化するために、搬入出口上部1b3の溝1b4の形状を工夫することが好ましい。例えば、搬入出口上部1b3の溝1b4は、溝1b4に対してキー部材251が挿入された状態で、キー部材251の下面と、キー部材251の下面に対向する溝1b4の下面との間に隙間が生じるように、形成される。これにより、溝1b4に対するキー部材251の挿入が効率的に行われるので、位置合わせが容易化される。
【0051】
なお、キー部材251が搬入出口上部1b3を支持するので、キー部材251を介して開口上部201cに対して処理容器1の自重を含む力が付与されて開口上部201cが開口部201b側に撓む可能性がある。そこで、開口上部201cの撓みを低減するための構造を開口上部201cに設けても良い。
【0052】
具体的には、開口上部201cは、壁部201a以外の他の部分(例えば、ハウジング201の天井部)よりも高い位置まで突出する突出部201eを有する。開口上部201cに突出部201eを設けることにより、壁部201aの高さ方向に沿った開口上部201cの厚みが増大する。これにより、開口上部201cの剛性が向上し、結果として、開口上部201cの撓みが低減される。
【0053】
ところで、キー部材251によって開口部201bと搬入出口1b1との位置合わせが行われた後に、一般に、ネジ等の固定部材によって壁部201aが処理容器1の側壁1bに固定される。この場合、固定部材は、壁部201aのうち開口部201bを囲む部分に配置される。開口部201bを囲む部分には、開口上部201cが含まれる。上述したように、開口上部201cには、溝201dが形成されており、開口上部201cの溝201dには、キー部材251が挿入される。このため、開口部201bの延在方向(つまり、図3の奥行方向)に沿ったキー部材251のサイズによっては、開口上部201cに上記の固定部材用の領域を確保することが困難となる。
【0054】
そこで、本実施形態においては、小型の複数のキー部材251を用いて上記の固定部材用の領域を確保することが好ましい。一例としては、例えば図4に示すように、開口上部201cの複数の溝(図示せず)と、搬入出口上部1b3の複数の溝(図示せず)とに複数のキー部材251を挿入して、隣り合うキー部材251の間に、固定部材253を配置しても良い。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、開口上部201cの溝201dに固定されたキー部材251を搬入出口上部1b3の溝1b4に挿入し、搬入出口上部1b3の溝1b4の上面から搬入出口上部1b3を支持する。このため、減圧環境下において、搬入出口上部1b3の撓みを低減することができ、結果として、基板Sの搬入出口1b1の変形を抑制することができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、開口上部201cの溝201dにキー部材251が固定されるものとしたが、搬入出口上部1b3の溝1b4にキー部材251が固定されても良い。また、キー部材251と開口上部201cの溝201d又は搬入出口上部1b3の溝1b4とを一体的に成形しても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、開口上部201cに突出部201eを設けて壁部201aの高さ方向に沿った開口上部201cの厚みを増大させたが、開口上部201cを補強する補強部材を開口上部201cに設けても良い。補強部材を開口上部201cに設けることにより、開口上部201cの撓みを低減することができる。その際、補強部材と開口上部201cは、熱膨張などによる位置ずれを抑制する観点から、同じ材質の部材とすることがより好ましい。
【0058】
また、プラズマエッチング装置は、図2に示した容量結合型の平行平板型に限らず、例えば、マイクロ波プラズマを用いたプラズマエッチング装置や誘導結合プラズマを用いたプラズマエッチング装置等を使用することができる。また、本発明は、プラズマエッチング装置に限らず、例えばプラズマアッシング装置、プラズマCVD成膜装置、プラズマ拡散成膜装置など、他の処理を目的とするプラズマ処理装置にも適用できるし、さらに、プラズマ処理以外の処理を目的とする基板処理装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 処理容器
1b 側壁
1b1 搬入出口
1b3 搬入出口上部
1b4 溝
1c 蓋体
100 基板処理システム
101 プロセスモジュール
103 搬送モジュール
110 ゲートバルブ装置
201 ハウジング
201a 壁部
201b 開口部
201c 開口上部
201d 溝
201e 突出部
251 キー部材
253 固定部材
図1
図2
図3
図4