【実施例】
【0035】
以下に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
固有粘度が790ml/gであるウッドパルプを粉砕機で粉砕し、粉末セルロースパルプを得た。この粉末セルロースパルプのうち、セルロース分で6.0kgに相当する量のセルロースパルプを、ジャケット付き内部撹拌式耐圧反応機に仕込み、真空窒素置換を行い、十分に反応機内の酸素を除去した。
次に、反応機内温を60℃となるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.70となるように、添加速度14.8[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、ジメチルエーテルを2.4kg添加し、反応機内温が60℃を保持するように温調した。ジメチルエーテル添加後、反応機内温を60℃から80℃に昇温しながら、第一及び第二の水酸化ナトリウムの合計量に対する塩化メチル量のモル比(塩化メチル/合計水酸化ナトリウム)が1.1となるように60分間かけて塩化メチルを添加し、塩化メチルの添加開始と同時に、酸化プロピレン2.93kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.36)を10分間かけて添加し、第一の反応混合物とした。塩化メチルの添加完了に続いて、第二のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.20となるように、添加速度2.88[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、第二の反応混合物とした。第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温は80.0℃であり、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加完了までの間、反応機内温を21.60℃/hrで昇温させた。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は89℃であった。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了後、撹拌を30分間継続して行ってエーテル化反応を完了させた。第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は75.5%であった。
得られた第二の反応混合物を95℃の熱水を添加してスラリー化した後、ロータリープレッシャーフィルターを用いて洗浄し、続いて、送風乾燥機で乾燥し、更に衝撃粉砕機あるビクトリーミルで粉砕し、篩で分級を行った後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.90、MSは0.259であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,900mPa・sであった。Anton Paar社のレオメータであるMCR502(他の実施例及び比較例も同様)を用いて、80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、24.0Paであり、熱ゲル化温度は66.5℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0036】
実施例2
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が4.00となるように、添加速度16.0[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を3.10kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.44)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を79.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を27.00℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.00となるように、添加速度3.00[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は88℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は80.0%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.89、MSは0.259であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,850mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、22.0Paであり、熱ゲル化温度は66.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0037】
実施例3
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が4.50となるように、添加速度18.0[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を3.08kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.43)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を81.5℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を33.00℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が0.55となるように、添加速度3.30[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は87℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は89.1%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.89、MSは0.265であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,125mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、14.0Paであり、熱ゲル化温度は67.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0038】
実施例4
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が4.50となるように、添加速度18.0[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を3.22kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.50)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を79.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を24.00℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.20となるように、添加速度3.60[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は87℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は78.9%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.98、MSは0.254であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,900mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、35.0Paであり、熱ゲル化温度は66.5℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0039】
実施例5
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.70となるように、添加速度14.8[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を1.90kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:0.88)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を82.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を30.00℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が0.50となるように、添加速度3.00[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は87℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は88.1%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.84、MSは0.230であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,800mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、17.0Paであり、熱ゲル化温度は67.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0040】
実施例6
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.70となるように、添加速度14.8[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を1.59kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:0.74)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を81.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を20.00℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が0.75となるように、添加速度3.00[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は86℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は83.1%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.86、MSは0.170であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,350mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、45.0Paであり、熱ゲル化温度は66.5℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0041】
実施例7
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.74となるように、添加速度14.96[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を1.12kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:0.52)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を81.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を38.18℃/hrで昇温させ、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が0.66となるように、添加速度3.60[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は88℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は85.0%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.84、MSは0.125であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,300mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、73.7Paであり、熱ゲル化温度は66.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0042】
比較例1
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温60℃となるように温調しながら内部を撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液は分割せずに一括で、セルロースに対する水酸化ナトリウムのモル比(水酸化ナトリウム/セルロース)が5.00となるように、添加速度20.0[mol/mol・hr]で49質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してアルカリセルロースとした。
続いて、ジメチルエーテルを2.4kg添加し、反応機内温が60℃を保持するように温調した。その後、反応機内温を60から80℃に昇温しながら、水酸化ナトリウムに対する塩化メチルのモル比(塩化メチル/水酸化ナトリウム)が1.1となるように塩化メチルを60分間かけて添加し、塩化メチルの添加開始と同時に、酸化プロピレンを2.99kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.39)を10分間かけて添加し、第一の反応混合物とした。塩化メチルの添加完了に続いて、反応機内温を80℃から95℃まで昇温しながら70分間エーテル化反応させ粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースとした。
その後、得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.86、MSは0.250であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,700mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、1.5Paであり、熱ゲル化温度は67.5℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0043】
比較例2
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.50となるように、添加速度14.0 [mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を3.02kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.40)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を81.0℃とし、第二の水酸化ナトリウム水溶液添加開始から添加が完了するまでの間、反応機内温を81.0℃に保ちながら、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.50となるように、添加速度3.60[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は89℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は70.0%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.93、MSは0.260であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,900mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、40.0Paであり、熱ゲル化温度は61.5℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0044】
比較例3
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.00となるように、添加速度12.0 [mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を1.72kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:0.80)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た。
塩化メチルの添加完了後、反応機の内温を80℃に保ちながら、第二のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.00となるように、添加速度1.00[mol/mol・hr]で49質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、第二の反応混合物とした。第二の水酸化ナトリウム水溶液添加時の反応機内温は80℃であった。第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は、75.0%であった。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.86、MSは0.200であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は6,050mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、30.0Paであり、熱ゲル化温度は61.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0045】
比較例4
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を55℃になるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が0.90となるように、添加速度3.6 [mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、第一のアルカリセルロースとした。
続いて、酸化プロピレンの添加量を2.43kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.13)とする以外は、実施例1と同様の方法を用いて第一の反応混合物を得た後、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を81.0℃に保ちながら、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.40となるように、添加速度6.80[mol/mol・hr]で第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加して第二の反応混合物とする以外は、実施例1と同様に行った。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は89℃であった。また、第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は20.9%であった。
その後、得られた第二の反応混合物を実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.80、MSは0.260であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,700mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、750.0Paであり、熱ゲル化温度は44.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0046】
比較例5
実施例1と同様に反応機内にセルロースパルプを仕込み、反応機内温を30℃となるように温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が3.80となるように、添加速度15.2[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、添加終了後、更に10分間撹拌を続けた。
続いて、ジメチルエーテルを4.8kg添加し、反応機内温は40℃を保持するように温調した。塩化メチルは、水酸化ナトリウム溶液と同様に二段階に分割して、酸化プロピレンは一段階で添加した。第一の塩化メチルは、ジメチルエーテル添加後、第一の水酸化ナトリウムに対する第一の塩化メチルとのモル比(第一の塩化メチル/第一の水酸化ナトリウム)が1.1となるように20分間かけて添加し、第一の塩化メチル添加開始と同時に酸化プロピレン1.92kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:0.89)を5分間かけて添加し、第一の反応混合物とした。第一の塩化メチルの添加完了後、反応機内温を40℃から90℃まで40分間かけて温調し、90℃に達した後、更に60分間撹拌混合を継続した。
続いて、反応機の内温を15分間かけて50℃まで冷却させる。その後、第二のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温を50.0℃に保ちながら、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が1.90となるように、添加速度5.70[mol/mol・hr]で49質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、第二の反応混合物とした。第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は、66.7%であり、第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了時の反応機内温は55℃であった。
第二の水酸化ナトリウムの添加に続いて、第二の塩化メチルを、第二の水酸化ナトリウムに対する第二の塩化メチルのモル比(第二の塩化メチル/第二の水酸化ナトリウム)が1.1となるように20分間かけて添加した。第二の塩化メチル添加後、反応機の内温を40分間かけて90℃に昇温させ、更に反応機の内温を90℃に保ちながら30分間撹拌混合し、粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースとした。
その後、得られた粗ヒドロキシプロピルメチルセルロースを実施例1と同様に精製、粉砕してヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.97、MSは0.250であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は5,900mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、18.0Paであり、熱ゲル化温度は62.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0047】
比較例6
固有粘度が790ml/gであるウッドパルプを粉砕機で粉砕し、粉末セルロースパルプを得た。この粉末セルロースパルプのうち、セルロース分で6.0kgに相当する量のセルロースパルプを、ジャケット付き内部撹拌式耐圧反応機に仕込み、真空窒素置換を行い、十分に反応機内の酸素を除去した。
次に、反応機内温を40℃となるように、温調しながら内部を撹拌し、第一のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第一の水酸化ナトリウムのモル比(第一の水酸化ナトリウム/セルロース)が2.00となるように、添加速度8.0[mol/mol・hr]で第一の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、その後20分間撹拌混合し。第一のアルカリセルロースとした。
続いて、ジメチルエーテルを4.8kg添加し、反応機内温が40℃を保持するように温調した。塩化メチルは、水酸化ナトリウム溶液と同様に2段階に分割して、酸化プロピレンは1段階で添加した。第一の塩化メチルは、ジメチルエーテル添加後、第一の水酸化ナトリウムに対する第一の塩化メチルのモル比(塩化メチル/第一の水酸化ナトリウム)が1.25となるように5分間かけて塩化メチルを添加し、塩化メチルの添加開始と同時に、酸化プロピレン2.93kg(セルロースに対する酸化プロピレンのモル比:1.36)を5分間かけて添加し、第一の反応混合物とした。塩化メチル及び酸化プロピレン添加完了後、反応機内温を60分間かけて40℃から80℃に昇温した後、80℃を30分間保持する。
引き続き内温を80℃に保持したまま、第二の塩化メチルを、第二の塩化メチルに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の塩化メチル/第二の水酸化ナトリウム)が1.22となるように10分間かけて塩化メチルを添加した。塩化メチルの添加完了に続いて、第二のアルカリ金属水酸化物溶液として49質量%水酸化ナトリウム水溶液を用い、セルロースに対する第二の水酸化ナトリウムのモル比(第二の水酸化ナトリウム/セルロース)が2.30となるように、添加速度1.53[mol/mol・hr]で内温80℃を保持したまま第二の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、第二の反応混合物とした。第二の水酸化ナトリウム水溶液の添加開始時の反応機内温は80.0℃であった。第二の水酸化ナトリウム水溶液の仕込み完了後、反応機内温を80℃に保持したまま撹拌を120分間継続して行ってエーテル化反応を完了させた。第一と第二の水酸化ナトリウム水溶液中の第一と第二の水酸化ナトリウムの合計質量に対する第一の水酸化ナトリウムの質量の割合は46.5%であった。
得られた第二の反応混合物を95℃の熱水を添加してスラリー化した後、ロータリープレッシャーフィルターを用いて洗浄し、続いて、送風乾燥機で乾燥し、更に衝撃粉砕機あるビクトリーミルで粉砕し、篩で分級を行った後、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを得た。実験条件を表1に示す。
得られたヒドロキシプロピルメチルセルロースのDSは1.84、MSは0.270であり、20℃における2質量%水溶液のB型粘度計による粘度は6,150mPa・sであった。80℃におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース2質量%水溶液の貯蔵弾性率G'(80℃)を測定したところ、550.0Paであり、熱ゲル化温度は56.0℃であった。得られた結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】