特許第6901467号(P6901467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6901467
(24)【登録日】2021年6月21日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20210701BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 5/3462 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20210701BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C08L23/10
   C08K5/3477
   C08K5/3462
   C08K5/13
   C08K5/524
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-511901(P2018-511901)
(86)(22)【出願日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】JP2017005607
(87)【国際公開番号】WO2017179289
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2019年11月29日
(31)【優先権主張番号】特願2016-80526(P2016-80526)
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 久史
(72)【発明者】
【氏名】清水 辰也
(72)【発明者】
【氏名】丹治 直子
(72)【発明者】
【氏名】米澤 豊
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/047618(WO,A1)
【文献】 特開昭62−184042(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/102324(WO,A1)
【文献】 特開2012−062414(JP,A)
【文献】 特開平08−320246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00− 23/36
C08K 3/00− 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂に対し、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有させてなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物であって、
前記ポリオレフィン系樹脂が、ASTM D 1238に準拠し、190℃、10kgの条件により測定したメルトフローインデックス(MFI)の値が3〜60g/10minのポリプロピレン系樹脂である、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンの群から選択される1種以上のメラミン塩
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンの群から選択される1種以上のピペラジン塩
(C)成分:下記一般式〔1〕及び/又は下記一般式〔2〕で表される化合物
【化1】
(R、R及びRはそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
【化2】
(R、R及びRはそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表し、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は1価の炭素数1〜4の炭化水素基を表す)
【請求項2】
さらに(D)成分である亜リン酸系酸化防止剤若しくは(E)成分である酸化亜鉛の何れか一方、又は両方を含有する請求項1に記載された難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中の前記(A)、(B)及び(C)成分の含有量が下記の通りである請求項1に記載された難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
(A)成分:3〜29質量%
(B)成分:9〜46質量%
(C)成分:0.01〜5質量%
【請求項4】
前記難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中の前記(D)及び(E)成分の含有量が下記の通りである請求項2又は3に記載された難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
(D)成分:0.01〜5質量%
(E)成分:前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂本来の物性が損なわれておらず、耐熱性及び難燃性に優れた難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は、成形加工性、耐熱性及び力学的特性等に優れている上、低比重、軽重量であるという利点があり、フィルム、シート及び構造部品等の各種成形体に幅広く利用されている。また、合成樹脂を他のポリマーとブレンドし、耐衝撃性や弾性等の新たな物性を付与する試みが数多く行われている。
しかし、ポリオレフィン系樹脂をはじめとした高い可燃性を持つ合成樹脂が幅広い分野で多く使用されているため、それら樹脂に難燃性を付与するために難燃剤の配合が必要不可欠となっている。このような難燃剤として、ポリリン酸やピロリン酸と窒素含有化合物の塩を主成分とし、燃焼時に表面膨張層(Intumescent)を形成することで分解生成物の拡散や伝熱を抑制し難燃性を発揮させるイントメッセント系難燃剤が優れた難燃性を有することが知られている。
特に、家電や自動車のバッテリー周り等をはじめとした、高耐熱性及び高難燃性が要求される用途においては、特に高いパフォーマンスが求められている。
【0003】
以前より、耐熱性及び難燃性を両立するため、イントメッセント系難燃剤と酸化防止剤を併用する技術が提案されているが(特許文献1、2及び3参照)、併用する酸化防止剤の種類によっては耐熱性能が不足したり、多量の添加が必要になったりする場合があった。そこで、多量の酸化防止剤を添加することなく、耐熱性及び難燃性に優れた難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5503071号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0092622号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0176154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、優れた耐熱性と優れた難燃性を有したポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者等は前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂に対し、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有させてなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供するものである。
(A)成分:オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンの群から選択される1種以上のメラミン塩
(B)成分:オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンの群から選択される1種以上のピペラジン塩
(C)成分:下記一般式〔1〕及び/又は下記一般式〔2〕で表される化合物
【0007】
【化1】
(R1、R2及びR3はそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
【化2】
(R4、R5及びR6はそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表し、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子又は1価の炭素数1〜4の炭化水素基を表す)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物について好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に係るものである。本発明において難燃性とは、物質が着火しにくく、また着火して燃焼が持続してもその速度が非常に遅かったり、その後、自己消火したりする性質であること、好ましくは実施例に記載されているUL−94V規格に従った燃焼ランクのうち、少なくともV−2ランクを有することを意味し、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物とは、難燃剤成分の1種以上とポリオレフィン系樹脂の1種以上とを含有する組成物を意味する。以下、各成分について順に説明する。
【0009】
先ず、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用されるポリオレフィン系樹脂について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、特に制限されず、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず、使用することができる。
【0010】
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂は、メルトフローインデックス(MFI)の値が、好ましくは、3〜60g/10minであり、より好ましくは、5〜40g/10minである。MFIの値が、3g/10min未満であると、樹脂加工が困難となる場合があり、60g/10min超であると、成形体の物性が低下する場合がある。
尚、本発明におけるMFIの値は、ASTM D 1238に準拠し、190℃、10kgの条件により測定した。
【0011】
本発明では、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーのポリオレフィンポリマーアロイを使用してもよい。このポリマーアロイに使用する熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0012】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体、例えば、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂、耐熱ABS樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)樹脂、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン(AAS)樹脂、スチレン−無水マレイン酸(SMA)樹脂、メタクリレート−スチレン(MS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレンSIS)樹脂、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン(AES)樹脂、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)樹脂、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)樹脂等の熱可塑性樹脂、並びに、これらのブタジエンあるいはイソプレンの二重結合を水素添加したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)樹脂、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)樹脂等の水素添加スチレン系エラストマー樹脂が挙げられ、これらは単独でも複数の混合物でも使用可能である。
【0013】
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン重合体又は共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレン樹脂、エチレン−ブテン樹脂、エチレン−ヘキセン樹脂、エチレン−メチルペンテン樹脂、エチレン−オクテン樹脂、ブテン樹脂、ブテン−メチルペンテン樹脂、メチルペンテン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル樹脂等が挙げられ、これらは単独でも複数の混合物でも使用可能である。
【0014】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、樹脂物性の点から、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ステレオブロックポリプロピレン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂であることがより好ましい。
【0015】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂の含有量は、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中、35質量%から88質量%が好ましく、40質量%から85質量%がより好ましく、45質量%から80質量%がさらにより好ましい。
尚、ポリオレフィン系樹脂として、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーのポリオレフィンポリマーアロイを使用する場合は、上記の含有量は、ポリオレフィンポリマーアロイの含有量とする。
【0016】
次に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(A)成分のメラミン塩について説明する。(A)成分のメラミン塩は、難燃剤成分として使用される。(A)成分のメラミン塩は、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンの群から選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。これらの中でも難燃性の点からピロリン酸メラミンが好ましい。これらを混合物で使用する場合は、ピロリン酸メラミンの含有割合が高いほど好ましい。また、ピロリン酸メラミンの、ピロリン酸とメラミンの比は、モル比で1:1.5〜1:2.5が好ましく、さらに1:2が最も好ましい。
これらリン酸とメラミンとの塩はそれぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とメラミンを反応させることによって得ることもできるが、本発明の(A)成分で使用されるメラミン塩は、オルトリン酸1メラミンを加熱縮合させて得られたピロリン酸メラミン又はポリリン酸メラミンが好ましく、特にピロリン酸メラミンが好ましい。
【0017】
次に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(B)成分のピペラジン塩について説明する。(B)成分のピペラジン塩は、難燃剤成分として使用される。(B)成分のピペラジン塩は、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン及びポリリン酸ピペラジンの群から選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。これらの中でも難燃性の点から、ピロリン酸ピペラジンが好ましく、混合物で使用する場合は、ピロリン酸ピペラジンの含有割合が高いほど好ましい。また、ピロリン酸ピペラジンの、ピロリン酸とピペラジンの比は、モル比で1:0.5〜1:1.5が好ましく、さらに1:1が最も好ましい。
これらリン酸とピペラジンの塩は、それぞれ対応するリン酸又はリン酸塩とピペラジンを反応させることで得られることのできるが、本発明の(B)成分で使用されるピペラジン塩は、2オルトリン酸1ピペラジンを加熱縮合させて得られたピロリン酸ピペラジン又はポリリン酸ピペラジンが好ましく、特にピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0018】
前記(A)成分の含有量は、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中、好ましくは3〜29質量%、より好ましくは5〜24質量%、さらにより好ましくは6〜22質量%である。一方前記(B)成分の含有量は、本発明の難燃性樹脂組成中、好ましくは9〜46質量%、より好ましくは13〜38質量%、さらにより好ましくは15〜35質量%である。
また、前記(A)成分と前記(B)成分との合計含有量は、優れた難燃性を発揮するとともに、樹脂の物性を損なわないために、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中、15質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましく、25質量%〜45質量%がさらにより好ましい。15質量%未満では充分な難燃性を得られない場合があり、60質量%を超えると、樹脂の物性を損なったりする恐れがある。
また、前記(A)成分と前記(B)成分との含有比率(質量基準)は、(A)/(B)=20/80〜50/50であることが好ましく、(A)/(B)=30/70〜50/50であることが更に好ましい。
【0019】
次に本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(C)成分について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物では、(C)成分として、フェノール系酸化防止剤である下記一般式〔1〕及び/又は下記一般式〔2〕で表される化合物が使用される。該化合物は、単独でも十分な酸化防止能を有するため一次酸化防止剤としての役割を果たす。
【化3】
(R1、R2及びR3はそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表す)
【化4】
(R4、R5及びR6はそれぞれ独立して2価の炭素数1〜3の炭化水素基を表し、R7、R8及びR9はそれぞれ独立して水素原子又は1価の炭素数1〜4の炭化水素基を表す)
【0020】
本発明において、フェノール系酸化防止剤として、前記一般式〔1〕及び前記一般式〔2〕で表される化合物を採用する理由は下記の通りである。
フェノール系酸化防止剤は、分子内にエステル結合を持つ場合、樹脂の加工時に一部のエステル結合が切れ、低分子となった物質は揮発してしまうため、酸化防止剤の効果が十分に発現されない。
フェノール系酸化防止剤のうち、レスヒンダードやセミヒンダードタイプのフェノール系酸化防止剤は樹脂の加工時にキノン構造に変化した後、カップリングを起こしやすく、十分な酸化防止効果が発現できない上、樹脂の着色を発生させる。さらにヒンダードフェノール部位が1分子中に1個である場合、酸化防止剤の効果が十分に発揮されないため、複数の同部位が必要である。
以上から、フェノール系酸化防止剤として、分子内にエステル結合を持たないヒンダードタイプのフェノール系酸化防止剤であって、且つヒンダードフェノール部位が1分子中に2個以上である、前記一般式〔1〕及び前記一般式〔2〕で表される化合物を採用した。
【0021】
前記一般式〔1〕において、R1、R2及びR3で表される2価の炭素数1〜3の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキレン基、直鎖又は分岐のアルケニレン基、アルキニレン基が挙げられる。
直鎖のアルキレン基としては、−(CH2n−(nは1〜3の整数)が挙げられ、分岐のアルキレン基としては、−CH(CH3)−、−CH2(CH2CH3)−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)−が挙げられ、直鎖のアルケニレン基としては、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−CH2−CH=CH−が挙げられ、分岐のアルケニレン基としては、−C(CH3)=CH−、−CH=C(CH3)−が挙げられ、アルキニレン基としては、−C≡C−、−CH2−C≡C−、−C≡C−CH2−が挙げられる。
【0022】
前記一般式〔1〕で表される化合物としては、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシフェニルエチル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシフェニルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上の混合で用いても良い。それらの中でも、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレートを含むことが好ましい。
【0023】
前記一般式〔2〕において、R4、R5及びR6で表される2価の炭素数1〜3の炭化水素基としては、R1、R2及びR3で表される2価の炭素数1〜3の炭化水素基と同様の基が挙げられる。
7、R8及びR9で表される1価の炭素数1〜4の炭化水素基としては、直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基が挙げられる。直鎖のアルキル基としては、CH3−、CH3CH2−、CH3CH2CH2−、CH3CH2CH2CH2−が挙げられ、分岐のアルキル基としては、CH3(CH3)CH−、CH3(CH3)CH2CH2−、CH3CH2(CH3)CH−、(CH33C−が挙げられ、直鎖のアルケニル基としては、CH2=CH−、CH2=CHCH2−、CH3CH=CH−、CH2=CHCH2CH2−、CH3CH=CHCH2−、CH3CH2CH=CH−、分岐のアルケニル基としては、CH(CH3)=CH−、CH2=C(CH3)−、CH2=C(CH3)CH2−、CH3C(CH3)=CH2−が挙げられ、アルキニル基としては、CH≡C−、CH≡CCH2−、CH3C≡C−、CH≡CCH2CH2−、CH2C≡CCH2−、CH2CH2C≡CH2−が挙げられる。
【0024】
前記一般式〔2〕で表される化合物の例としては、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリプロピルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリブチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上の混合で用いても良い。それらの中でも1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼンを含むことが好ましい。
【0025】
前記一般式〔1〕で表される化合物と、前記一般式〔2〕で表される化合物は単独で用いても2種の群の混合で用いても良く、混合する場合の比率はいずれの値でも良い。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中の(C)成分の含有量は0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.07〜1.5質量%がさらにより好ましい。
(C)成分の含有量が0.01質量%未満の場合、耐熱性が不足し、5質量%を超えた含有量では、5質量%含有時以上の耐熱性を得ることが出来なく、増量添加は無意味となる。
【0026】
次に本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(D)成分について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物はさらに(D)成分として、亜リン酸系酸化防止剤を含むことが好ましい。(D)成分の亜リン酸系酸化防止剤は、一次酸化防止剤である前記(C)成分と併用することにより、より高い耐熱性能を発現するという二次酸化防止剤としての役割を果たす。
【0027】
本発明に使用される(D)成分の亜リン酸系酸化防止剤としては特に限定はされないが、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上の混合物で使用しても良い。
これらの中でも、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト等が好ましい。
【0028】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量がより好ましく、0.07〜1.5質量%がさらにより好ましい。
【0029】
次に本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に使用される(E)成分について説明する。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、さらに(E)成分として、酸化亜鉛(ZnO)を含有することが好ましい。この酸化亜鉛は、難燃剤成分として使用される。該酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。酸化亜鉛は市販品を使用することができ、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属鉱業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被覆した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上の混合で用いても良い。
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中の(E)成分の含有量は、難燃性の点から、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜10質量部、さらにより好ましくは1.0〜7.5質量部である。
【0030】
更に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて滑剤を配合することも好ましい。このような滑剤としては、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン、ポリエチレンワックス等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、シリコーンオイル、鉱油等が挙げられる。
これら滑剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。
【0031】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、加工性向上ために、加工助剤として、シリコーンオイルを含有していることも好ましい。シリコーンオイルの例としては、ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部がフェニル基であるメチルフェニルシリコーンオイル、ポリシロキサンの側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、これらのコポリマーが挙げられ、またこれらの側鎖及び/又は末端の一部に有機基を導入した、アミン変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メルカプト変性、ポリエーテル変性、長鎖アルキル変性、フロロアルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、シラノール変性、ジオール変性、フェノール変性及び/又はアラルキル変性等の変性シリコーンオイルを使用してもよい。
【0032】
前記シリコーンオイルの具体例をあげると、ジメチルシリコーンオイルとして、KF−96(信越化学(株)製)、KF−965(信越化学(株)製)、KF−968(信越化学(株)製)等が挙げられ、メチルハイドロジェンシリコーンオイル又はメチルハイドロジェンポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルとして、KF−99(信越化学(株)製)、KF−9901(信越化学(株))、HMS−151(Gelest社製)、HMS−071(Gelest社製)、HMS−301(Gelest社製)、DMS−H21(Gelest社製)等が挙げられ、メチルフェニルシリコーンオイルの例としては、KF−50(信越化学(株)製)、KF−53(信越化学(株)製)、KF−54(信越化学(株)製)、KF−56(信越化学(株)製)等が挙げられ、エポキシ変性品としては、例えば、X−22−343(信越化学(株)製)、X−22−2000(信越化学(株)製)、KF−101(信越化学(株)製)、KF−102(信越化学(株)製)、KF−1001(信越化学(株)製)等が挙げられ、カルボキシル変性品としては、例えば、X−22−3701E(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X−22−4039(信越化学(株)製)、X−22−4015(信越化学(株)製)等が挙げられ、アミン変性品としては、例えば、KF−393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0033】
また、加工助剤であるシリコンオイルの含有量は、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物中0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜7質量%がより好ましく、0.1〜5質量%がさらにより好ましい。
【0034】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、ハロゲンを含有しない、有機又は無機系の難燃剤・難燃助剤の一種以上を使用することができる。それら難燃剤・難燃助剤としては、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、ジアルキルホスフィン酸塩、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、ホウ酸化合物、膨張性黒鉛、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃剤等が挙げられる。
【0035】
前記トリアジン環含有化合物としては、例えば、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0036】
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(協和化学工業(株)製水酸化マグネシウムの商標)等が挙げられる。
【0037】
前記リン酸エステル系難燃剤の例としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0038】
前記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレン ビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
【0039】
前記無機リン系難燃剤としては、赤リンが挙げられる。
前記ジアルキルホスフィン酸塩としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
【0040】
前記その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化チタン、ハイドロタルサイト等の無機化合物、及びその表面処理品が挙げられる。その具体例としては、例えば、TIPAQUE R−680(石原産業(株)製酸化チタンの商標)、キョーワマグ150(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムの商標)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(協和化学工業(株)製亜鉛変性ハイドロタルサイトの商標)、等の種々の市販品を用いることができる。
【0041】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物は、必要に応じて、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、老化防止剤等を配合してもよい。
【0042】
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルチオプロピオン酸エステル類が挙げられる。
これらチオエーテル系酸化防止剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
【0043】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
【0044】
これら紫外線吸収剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。
前記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
これらヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。
【0045】
前記老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニルジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダートフェノール系、亜リン酸エステル系等の老化防止剤が挙げられる。これらの老化防止剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部が好ましい。
【0046】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として強化材を配合してもよい。この強化材としては、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていてもよい。
【0047】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として層状ケイ酸塩を配合してもよい。層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ、タルク等が挙げられ、その層間に、有機カチオン、第4級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオンがインターカレートされているものでもよい。
【0048】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更に結晶核剤を配合してもよい。該結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを適宜用いることができ、本発明においては無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤の何れをも使用することができる。
【0049】
前記無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0050】
前記有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0051】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、可塑剤を配合してもよい。該可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを適宜用いることができ、例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。本発明においてこれらの可塑剤を使用する場合は、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
前記ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジン等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分とからなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端が封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端が封鎖されていてもよい。
【0053】
前記グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
【0054】
前記多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコール等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
【0055】
前記ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコール、或いはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の、末端封鎖化合物等を挙げることができる。
【0056】
前記エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0057】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル及びパラフィン類等を挙げることができる。
【0058】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更にアクリル系加工助剤を配合してもよい。アクリル系加工助剤は、(メタ)アクリル酸エステルの1種を重合又は2種以上を共重合させたものが使用できる。
【0059】
また本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ドリップ防止剤を配合することも可能であるが、フッ素系ドリップ防止剤の配合は、環境への負荷を考慮したノンハロゲンという観点から好ましくなく、さらに、ランダムコポリマーポリプロピレンの持つ物性を落とす恐れがあるため好ましくない。フッ素系ドリップ防止剤の例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0060】
その他、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、金属石鹸、充点剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【0061】
本発明においてポリオレフィン系樹脂及び(A)〜(E)成分以外の任意成分を含有させる場合、その含有量は本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し合計で40質量部以下とすることが好ましく、20質量部以下とすることがより好ましい。
【0062】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造に際し、ポリオレフィン系樹脂に、前記(A)、(B)及び(C)成分、必要に応じて更に前記(D)及び(E)成分を含有させるタイミングは特に制限されない。例えば、予め前記(A)〜(E)成分の中から選択される2種以上をワンパック化してからポリオレフィン系樹脂に配合してもよく、又は各々の成分をポリオレフィン系樹脂に対して含有させてもよい。
ワンパック化する場合には、各成分を予め各々粉砕してから混合してもよく、又は予め各成分を混合してから粉砕してもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂や他の任意成分を配合する場合も同様である。
【0063】
本発明の成形体は本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を成形したものである。成形体の成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工、カレンダー加工、射出成形、ロール成形、圧縮成形、ブロー成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の種々の形状の成形体が製造できる。
【0064】
本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、OA機器等のハウジング(枠、筐体、カバー、外装)や部品、自動車内外装材の用途に用いられる。
【0065】
更に、本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材、自動車、ハイブリッドカー、電気自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や、土木材料、衣料、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品、等の各種用途に使用される。
【実施例】
【0066】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0067】
〔実施例1〜5及び比較例1〜5〕
下記表1記載の配合で実施例及び比較例の難燃性オレフィン系樹脂組成物を調製し、ミキサーにて30分間撹拌後、200〜230℃で押し出してペレットを製造し、次いでこれを使用して200〜220℃で射出成形を行い、60×30×2mmと127×12.7×1.6mmの2種類の試験片を得た。これらの試験片を用いて下記各種試験を行った。結果を表1に示す。
【0068】
<難燃性UL−94V試験方法>
127×12.7×1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後、炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとする。本発明ではV−2以下のものは実使用に耐えられない。
【0069】
<色差(色調試験)>
60×30×2mmの試験片を150℃のオーブンに入れ、48時間毎にJIS Z 8781に準拠して測定を行い、その測定値から色差ΔE*を算出した。試験片の色が悪化するほどΔE*の値は大きくなる。本発明では、ΔE*の値が30を超えた時の時間で評価を実施した。ΔE*の値が30を超えた時の時間が長いほど耐着色性能は良好であり、ΔE*の値が30を超えた時の時間が短いほど耐着色性能は不良である。ΔE*の値が30を超えた時の時間が1100時間未満のものは実使用に耐えられない。
【0070】
<グロス測定>
60×30×2mmの試験片を150℃のオーブンに入れ、48時間毎にJIS Z 8741に準拠し測定を行った。本発明においてはグロスの値が60%以下になった時の時間を計測した。グロスの値が低下する時間が長いほど耐熱性が良好であり、グロスの値が低下する時間が短いほど耐熱性が不良である。グロスの値が低下する時間が1000時間未満のものは実使用に耐えられない。
【0071】
<ひび割れ>
60×30×2mmの試験片を150℃のオーブンに入れ、48時間毎に目視にてびび割れの有無を確認した。ひび割れが発生するまでの時間を計測した。ひび割れが発生するまでの時間が長いほど耐熱性が良好であり、ひび割れが発生するまでの時間が短いほど耐熱性が不良である。本発明においては800時間未満のものは実使用に耐えられない。
【0072】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、優れた耐熱性と優れた難燃性を有したポリオレフィン系樹脂組成物を提供する事ができる。