(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のパネルは、前記局舎間光ファイバの一端の光コネクタが接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口と、前記第1の光コネクタ差し込み口と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口と、を有し、
前記監視用光源の数が、前記第1の光コネクタ差し込み口を介して前記第1のパネルに接続される前記局舎間光ファイバの数よりも少なく、
前記監視用光源からの監視光を複数の前記第2の光コネクタ差し込み口に分配する光分配器を備えた、
請求項1に記載の光ファイバ監視システム。
前記第1のパネルは、前記局舎間光ファイバの一端の光コネクタが接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口と、前記第1の光コネクタ差し込み口と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口と、を有し、
前記監視用光源の数が、前記第1の光コネクタ差し込み口を介して前記第1のパネルに接続される前記局舎間光ファイバの数よりも少なく、
前記監視用光源からの監視光と複数の前記第2の光コネクタ差し込み口の光結合先を切替える光スイッチを備えた、
請求項1に記載の光ファイバ監視システム。
前記第1のパネルは、前記局舎間光ファイバの一端の光コネクタが接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口と、前記第1の光コネクタ差し込み口と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口と、を有し、
前記第1の局舎に設けられ、前記第2の光コネクタ差し込み口を前記監視用光源と光学的に接続するか、あるいは、前記第2の光コネクタ差し込み口を前記第1の局舎の実回線に接続するかを切替可能な光スイッチをさらに備えた、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム。
前記第2の局舎に設けられ、前記局舎間光ファイバから前記第2のパネルを介して出力された監視光の光量の初期値を測定するための初期値測定用光パワーメータをさらに備えた、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム。
前記第1の光検知部で検知した漏洩光の光量と前記第2の光検知部で検知した漏洩光の光量との差である光量差と、予め設定した閾値とを比較することで、前記局舎間光ファイバの健全性を判断する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る光ファイバ監視システムの概略構成を示す図であり、(a)は局舎間光ファイバが使用されていない状態、(b)は局舎間光ファイバが使用されている状態を示す図である。また、
図2(a)は第1のラックの外観を示す図、
図2(b)は第2のラックの外観を示す図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、光ファイバ監視システム1は、第1の局舎2と第2の局舎3とを接続する局舎間光ファイバ4を監視するものである。第1の局舎2と第2の局舎3は、例えばデータセンタ(あるいはデータセンタを含む建物)である。
【0014】
第1の局舎2と第2の局舎3とは、複数本の局舎間光ファイバ4により通信可能に接続されている。ここでは、両局舎2,3間を接続する局舎間光ファイバ4の本数を1000本とした。局舎間光ファイバ4としては、長距離伝送に好適なシングルモード光ファイバを用いる。局舎間光ファイバ4の長さは、例えば最大で80km程度である。
【0015】
光ファイバ監視システム1は、第1の局舎2に設けられ、局舎間光ファイバ4の一端が光学的に接続されている第1の可視化パネル5と、第2の局舎3に設けられ、局舎間光ファイバ4の他端が光学的に接続されている第2の可視化パネル6と、第1の局舎2に設けられ、局舎間光ファイバ4に監視光を入射するための監視用光源72を搭載した光源パネル7と、を備えている。
【0016】
(第1の局舎2の説明)
第1の可視化パネル5は、基本的に通信の有無を検知し表示するものであるが、本実施の形態では、光量を検知し送信する機能をさらに有している。
【0017】
具体的には、第1の可視化パネル5は、局舎間光ファイバ4の一端の光コネクタ41が接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口51と、該第1の光コネクタ差し込み口51と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口52と、を有している。詳細は後述するが、第2の光コネクタ差し込み口52には、光源パネル7から延びる光源接続用光ファイバ9の一端の光コネクタ91(
図1(a)参照)、あるいは中継パネル8から延びる実回線接続用光ファイバ10の一端の光コネクタ101(
図1(b)参照)が接続される。
【0018】
図3(a),(b)に示すように、本実施の形態では、第2の光コネクタ差し込み口52として、2つの差し込み口を一体にした2連型のLC光コネクタ(光レセプタクル)を用いている。また、本実施の形態では、第1の光コネクタ差し込み口51として、MPOコネクタ(レセプタクル)を用いている。第2の光コネクタ差し込み口52は第1の可視化パネル5の前面に、第1の光コネクタ差し込み口51は第1の光コネクタ差し込み口51の背面に整列して設けられている。
【0019】
本実施の形態では、第1の可視化パネル5は、4つの可視化モジュール53と、マスター基板用モジュール54とを組み合わせて構成されている。各可視化モジュール53は、12個の第2の光コネクタ差し込み口52と、共通の(12回線用の)1つの第1の光コネクタ差し込み口51とを有しており、各第2の光コネクタ差し込み口52と第1の光コネクタ差し込み口51とが、可視化モジュール53の内部で光学的に接続されている。つまり、本実施の形態では、1つの第1の可視化パネル5で48回線に対応可能となっている。
【0020】
各可視化モジュール53は、第1の可視化パネル5の背面側に設けられた配線基板56に図示しない電気コネクタを介して接続されている。同様に、マスター基板用モジュール54は、配線基板56に電気コネクタ541を介して接続されており、各可視化モジュール53とマスター基板用モジュール54とが、配線基板56を介して接続されている。
【0021】
第1の可視化パネル5は、監視用光源72から局舎間光ファイバ4に入射される監視光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第1の光検知部55を有している。
【0022】
図4に示すように、第1の光検知部55は、第1の光コネクタ差し込み口51と第2の光コネクタ差し込み口52間を伝送される光の一部を漏洩させる光漏洩部551と、光漏洩部551で漏洩した漏洩光を検出する受光素子としてのPD(フォトダイオード)552と、PD552の電流信号を電圧信号に変換し増幅する増幅器553と、増幅器553で増幅した電圧信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ554と、を備えている。A/Dコンバータ554でデジタル信号に変換された光量の信号は、配線基板56を介してマスター基板用モジュール54に搭載された送信部542に送信される。光漏洩部551の具体的な構成は特に限定するものではないが、例えば、第2の光コネクタ差し込み口52内に設けられコア径の異なる光ファイバ同士を融着接続した融着接続部からなる光漏洩部551を用いることができる。なお、
図4では、1回線分の第1の光検知部55のみを示しているが、回線毎(第2の光コネクタ差し込み口52毎)に第1の光検知部55が設けられる。
【0023】
図3(a),(b)に戻り、第1の光検知部55は、漏洩光を検出した際に発光により通信の有無を表示する表示部555を有している。本実施の形態では、表示部555は発光ダイオードからなる。表示部555は、第2の光コネクタ差し込み口52と1対1で対応するように、各第2の光コネクタ差し込み口52の上方にそれぞれ設けられている。
【0024】
図3(b)に示すように、マスター基板用モジュール54には、図示しない通信ケーブルが接続される通信ポート543が設けられている。送信部542は、通信ポート543を介して、各可視化モジュール53から受信した光量の信号を監視装置11(
図1)に送信する。なお、送信部542が送信する光量の信号は、漏洩光の光量(光強度)であってもよいし、漏洩光の光量から求めた監視光の光量(光強度)であってもよい。
【0025】
光源パネル7は、第1の光コネクタ差し込み口51を介して第1の可視化パネル5に接続される局舎間光ファイバ4と同数の複数の監視用光源72を内蔵していると共に、監視用光源72と同数の光源側光コネクタ差し込み口71を有している。光源側光コネクタ差し込み口71は、光源パネル7の前面に設けられている。
【0026】
監視用光源72としては、光ファイバの屈曲による損失が比較的大きい光(つまり波長の長い光)を用いることが望ましい。より具体的には、監視用光源72としては、波長1500nm以上の監視光を出射するものを用いることが望ましい。本実施の形態では、監視用光源72として1550nmの監視光を出射するものを用いた。
【0027】
図1(a)に示すように、局舎間光ファイバ4が未使用状態であるときには、光源接続用光ファイバ9の一端の光コネクタ(LCコネクタ)91が第1の可視化パネル5の第2の光コネクタ差し込み口52に接続され、光源接続用光ファイバ9の他端の光コネクタ(LCコネクタ)92が光源パネル7の光源側光コネクタ差し込み口71に接続される。
図1(a)では1つの差し込み口52,71のみを示しているが、全ての差し込み口52,71同士が光源接続用光ファイバ9により接続される。また、
図2(a)では、図の簡略化のため光源接続用光ファイバ9を省略している。
【0028】
これにより、光源パネル7の各監視用光源72から出射された監視光は、光源接続用光ファイバ9を介して第1の可視化パネル5に入射され、第1の可視化パネル5の背面側(第1の光コネクタ差し込み口51)から局舎間光ファイバ4に出力されることになる。また、このとき、第1の可視化パネル5の第1の光検知部55にて監視光(漏洩光)の光量が検知され、監視装置11へと送信される。なお、
図1(a)では光源接続用光ファイバ9のコネクタ91,92が第1の可視化パネル5及び光源パネル7に直接接続されているが、可視化パネル5と光源パネル7は直接接続されている必要はなく、例えば、中継パネル等を介して接続されていてもよい。
【0029】
本実施の形態では、第1の局舎2内に設置された第1のラック21を備えており、この第1のラック21に、第1の可視化パネル5と、監視用光源72を搭載した光源パネル7と、が設置されている。なお、第1の可視化パネル5と光源パネル7とを別のラックに設置してもよいが、その場合、光源接続用光ファイバ9を長くする必要が生じ、配線作業が煩雑になるおそれがある。
【0030】
図2(a)に示すように、本実施の形態では、1つの第1のラック21に第1の可視化パネル5と光源パネル7を7対設置しており、1つの第1ラック21で336回線に対応している。
図1(a),(b)では省略しているが、第1の局舎2内には、
図2(a)と同様の第1のラック21が3つ備えられており、1000本の局舎間光ファイバ4に対応可能とされている。なお、局舎間光ファイバ4の数や、第1のラック21の数、第1のラック21に設置する第1の可視化パネル5や光源パネル7の数、及び各可視化パネル5の回線数(第2の光コネクタ差し込み口52の数)などは、あくまで一例であり、図示のものに限定されない。
【0031】
また、本実施の形態では、第1のラック21には、複数(少なくとも336回線分)の中継パネル8が搭載されている。中継パネル8の裏面には、第1の局舎2内の実回線である局舎内配線が接続される実回線接続用コネクタ81が設けられ、中継パネル8の表面には、実回線接続用コネクタ81と光学的に接続された複数の可視化パネル側光コネクタ差し込み口82が設けられている。
【0032】
図1(b)に示すように、局舎間光ファイバ4を使用している状態においては、実回線接続用光ファイバ10の一端の光コネクタ(LCコネクタ)101を第1の可視化パネル5の第2の光コネクタ差し込み口52に接続し、実回線接続用光ファイバ10の他端の光コネクタ(LCコネクタ)102を中継パネル8の可視化パネル側光コネクタ差し込み口82に接続する。これにより、局舎内配線が、中継パネル8、実回線接続用光ファイバ10、第1の可視化パネル5を介して局舎間光ファイバ4に接続されることになる。なお、中継パネル8を介さずに直接局舎内配線を第1の可視化パネル5に接続してもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、第1のラック21には、第1の可視化パネル5の第2の光コネクタ差し込み口52に接続される光ファイバ(光源接続用光ファイバ9や実回線接続用光ファイバ10)の配線を整えるための整線パネル12が設置されている。本実施の形態では、第1の可視化パネル5と光源パネル7の1対につき1つの整線パネル12を設け、2つの中継パネル8につき1つの整線パネル12を設けているが、整線パネル12の数は適宜変更可能である。整線パネル12を備えることで、配線がまとめられるため配線作業が容易になると共に、外観の向上を図ることができる。
【0034】
さらに、本実施の形態では、第1のラック21の最下方には、ネットワークスイッチ13が設置されている。ネットワークスイッチ13には、各第1の可視化パネル5の通信ポート543(
図3(b)参照)から延出された通信ケーブル(不図示)がそれぞれ接続されている。
【0035】
さらにまた、図示していないが、第1の局舎2には、サーバが設置されている。サーバは、通信ケーブルを介してネットワークスイッチ13と接続されており、各第1の可視化パネル5からネットワークスイッチ13を介して受信した光量の信号を、広域ネットワーク等のネットワークを介して監視装置11に送信する。
【0036】
(第2の局舎3の説明)
第2の可視化パネル6としては、上述の第1の可視化パネル5と同じものを用いることができる。第2の可視化パネル6は、局舎間光ファイバ4の他端の光コネクタ42が接続される複数の第3の光コネクタ差し込み口61と、該第3の光コネクタ差し込み口61と光学的に接続された複数の第4の光コネクタ差し込み口62と、を有している。第3の光コネクタ差し込み口61は、MPOコネクタのレセプタクルであり、第4の光コネクタ差し込み口62は、2つの差し込み口を一体にした2連型のLC光コネクタ(光レセプタクル)である。第4の光コネクタ差し込み口62は第2の可視化パネル6の前面に、第3の光コネクタ差し込み口61は第2の光コネクタ差し込み口61の背面に設けられている。また、第2の可視化パネル6は、局舎間光ファイバ4からの光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第2の光検知部(不図示)を有している。第2の光検知部は、
図4にて説明した第1の光検知部55と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0037】
図2(b)に示すように、第2の局舎3内には、第2のラック31が備えられており、この第2のラック31に、7個の第2の可視化パネル6が設置されている。つまり、1つの第2ラック31で336回線に対応している。
図1(a),(b)では省略しているが、第2の局舎3内には、
図2(b)と同様の構成の第2のラック31が3つ備えられ、1000本の局舎間光ファイバ4に対応可能とされている。
【0038】
また、第2のラック31には、複数(少なくとも336回線分)の中継パネル15が搭載されている。中継パネル15の裏面には、第2の局舎3内の実回線である局舎内配線が接続される実回線接続用コネクタ151が設けられ、中継パネル15の表面には、実回線接続用コネクタ151と光学的に接続された複数の可視化パネル側光コネクタ差し込み口152が設けられている。
【0039】
図1(a)に示すように、局舎間光ファイバ4が未使用状態であるときには、第2の可視化パネル6の第4の光コネクタ差し込み口62は開放される。
【0040】
また、
図1(b)に示すように、局舎間光ファイバ4を使用している状態においては、実回線接続用光ファイバ16の一端の光コネクタ(LCコネクタ)161を第2の可視化パネル5の第4の光コネクタ差し込み口62に接続し、実回線接続用光ファイバ16の他端の光コネクタ(LCコネクタ)162を中継パネル15の可視化パネル側光コネクタ差し込み口152に接続する。これにより、局舎内配線が、中継パネル15、実回線接続用光ファイバ16、第2の可視化パネル6を介して局舎間光ファイバ4に接続されることになる。
【0041】
また、本実施の形態では、第2のラック31には、第2の可視化パネル6と中継パネル15とを接続する実回線接続用光ファイバ16の配線を整えるための整線パネル12が設置されている。本実施の形態では、2つの中継パネル15につき1つの整線パネル12を設けている。
【0042】
さらに、本実施の形態では、第2のラック31の最下方には、ネットワークスイッチ17が設置されている。ネットワークスイッチ17には、各第2の可視化パネル6の通信ポート(不図示)から延出された通信ケーブル(不図示)が接続されている。
【0043】
さらにまた、図示していないが、第2の局舎3には、サーバが設置されている。サーバは、通信ケーブルを介して第2のラック31に設置されたネットワークスイッチ17と接続されており、各第2の可視化パネル6からネットワークスイッチ17を介して受信した光量の信号を、広域ネットワーク等のネットワークを介して監視装置11に送信する。
【0044】
また、本実施の形態では、第2のラック31には、局舎間光ファイバ4から第2の可視化パネル6を介して出力された監視光(漏洩光)の光量の初期値を測定するための初期値測定用光パワーメータ14をさらに備えている。監視光の光量の初期値を測定する際には、初期値測定用光パワーメータ14から延びる光ファイバ(不図示)を、第2の可視化パネル6の第4の光コネクタ差し込み口62に順次差し込み測定を行うとよい。なお、初期値測定用光パワーメータ14は必須ではなく、省略可能である。
【0045】
(監視装置11の説明)
監視装置11は、第1及び第2の可視化パネル5,6で検出した各回線の監視光(漏洩光)の光量を一括管理し、各回線の光量を基に、局舎間光ファイバ4の状態(健全性)を監視するものである。監視装置11は、例えば、任意の回線における第1の可視化パネル5で検出した光量と第2の可視化パネル6で検出した光量との差(光量差)と、予め設定した閾値とを比較することで、当該回線での局舎間光ファイバ4の健全性を判断する。監視装置11は、上述の光量差が閾値以下となったときに警報を発するように構成されてもよい。また、複数の閾値範囲を設定しておき、上述の光量差がいずれの閾値範囲に属するかを管理者に通知するように監視装置11を構成してもよい。
【0046】
本実施の形態では、第1及び第2の局舎2,3内に設けられるサーバとは別に監視装置11を備えたが、第1及び第2の局舎2,3内に設けられるサーバのいずれか一方を監視装置11として用いてもよい。
【0047】
また、監視装置11は、可視化パネル5,6の表示部555の発光を制御する機能を有していてもよい。これにより、例えば、回線使用開始時に接続切替を行う光コネクタ差し込み口52,62に対応する表示部555を発光(例えば通信の有無を表示する色と異なる色で発光)させて、誤接続や光ファイバの誤抜去等の不具合を抑制することが可能になる。
【0048】
(光ファイバ監視システム1の動作)
図1(a)に示すように、局舎間光ファイバ4が未使用状態であるときには、光源接続用光ファイバ9により光源パネル7(光源側光コネクタ差し込み口71)と第1の可視化パネル5(第2の光コネクタ差し込み口52)とを接続し、第2の可視化パネル6の第4の光コネクタ差し込み口62は開放状態としておく。これにより、光源パネル7からの監視光が第1の可視化パネル5、局舎間光ファイバ4を介して第2の可視化パネル6に到達することになる。また、このとき、第1の可視化パネル5の第1の光検知部55にて検知された監視光(漏洩光)の光量、及び第2の可視化パネル6の第2の光検知部にて検知された監視光(漏洩光)の光量が、監視装置11へと送信される。監視装置11で第1及び第2の可視化パネル6で検知した光量を監視することにより、局舎間光ファイバ4の健全性を常時監視することが可能である。
【0049】
局舎間光ファイバ4を未使用状態から使用状態に切替える際には、
図1(b)に示すように、第1の局舎2において、光源接続用光ファイバ9を抜去して、第1の可視化パネル5(第2の光コネクタ差し込み口52)と中継パネル8(可視化パネル側光コネクタ差し込み口82)とを実回線接続用光ファイバ10により接続する。また、第2の局舎3において、第2の可視化パネル6(第4の光コネクタ差し込み口62)と中継パネル15(可視化パネル側光コネクタ差し込み口152)とを実回線接続用光ファイバ16により接続する。これにより、両局舎の局舎内配線同士が、第1の可視化パネル5、局舎間光ファイバ4、第2の可視化パネル6を介して接続され、当該回線の使用が開始される。本実施の形態に係る光ファイバ監視システム1では、回線の使用中にも光量の検出を継続して行うことが可能であり、監視装置11にて局舎間光ファイバ4における不具合の発生や通信の有無を一括して監視することが可能である。
【0050】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る光ファイバ監視システム1では、第1の局舎2に設けられ、局舎間光ファイバ4の一端が光学的に接続されている第1の可視化パネル5と、第2の局舎3に設けられ、局舎間光ファイバ4の他端が光学的に接続されている第2の可視化パネル6と、第1の局舎2に設けられ、局舎間光ファイバ4に監視光を入射するための監視用光源72と、を備え、第1の可視化パネル5は、監視用光源72から局舎間光ファイバ4に入射される監視光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第1の光検知部55を有し、第2の可視化パネル6は、局舎間光ファイバ4からの光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第2の光検知部を有している。
【0051】
このように構成することで、未使用状態(在庫状態)の局舎間光ファイバ4の健全性(不具合の有無)を常時監視することが可能になる。これにより、作業者が第1及び第2の局舎2,3に赴かずとも局舎間光ファイバ4の健全性を確認することが可能になり、局舎間光ファイバ4の検査が容易になる。
【0052】
また、光ファイバ監視システム1によれば、可視化パネル5,6への光ファイバ9,10,16の接続替え作業のみで局舎間光ファイバ4を未使用状態から使用状態へ切り替えることが可能であり、回線の使用を開始する作業(開通作業)が容易である。
【0053】
さらに、局舎間光ファイバ4を使用状態とした後においても、通信光の状態(使用状態の局舎間光ファイバ4の健全性)を監視する光ファイバ監視システム1として引き続き使用できる。
【0054】
(変形例)
上記実施の形態では、回線数(第1の光コネクタ差し込み口51を介して第1の可視化パネル5に接続される局舎間光ファイバ4の数)と同数の監視用光源72を用いる場合を説明した。この場合、
図5(a)に示すように、光源パネル7においては、1つの監視用光源72が1つの光源側光コネクタ差し込み口71に光学的に接続されることとなり、光源側光コネクタ差し込み口71と監視用光源72とが1対1で対応することになる。ただし、監視用光源72の数は回線数と同数に限定されるものではなく、監視用光源72の数を回線数より少なくして、低コスト化を図ってもよい。
【0055】
例えば、
図5(b)に示すように、監視用光源72からの監視光を複数の第2の光コネクタ差し込み口52に分配する光分配器(スプリッタ)73を備えてもよい。
図5(b)では、光分配器73を内蔵した光源パネル7aを用い、光源パネル7aの内部にて、監視用光源72からの監視光を複数(ここでは4つ)の光源側光コネクタ差し込み口71に分配する場合を示しているが、光分配器73は光源パネル7と第1の可視化パネル5との間に備えられていてもよい。
【0056】
また、
図5(c)に示すように、監視用光源72の数を回線数より少なくし、監視用光源72と複数の第2の光コネクタ差し込み口52の光結合先を切替える光スイッチ74を備えてもよい。
図5(c)では、光スイッチ74を内蔵した光源パネル7bを用い、光源パネル7bの内部にて、光スイッチ74により監視用光源72と複数(ここでは4つ)の光源側光コネクタ差し込み口71の結合先を切り替える場合を示しているが、光スイッチ74は、光源パネル7と第1の可視化パネル5との間に備えられていてもよい。
【0057】
さらに、上記実施の形態では、第1の可視化パネル5と別体に光源パネル7を備えた場合を説明したが、第1の可視化パネル5に監視用光源72を内蔵してもよい。
【0058】
さらにまた、上記実施の形態では、回線使用開始時に、光源接続用光ファイバ9を抜去して実回線接続用光ファイバ10を接続する接続切替作業を手動で行ったが、この接続切替作業を自動化してもよい。
【0059】
この場合、
図6に示すように、第1の局舎2に、第2の光コネクタ差し込み口52を監視用光源72と光学的に接続するか、あるいは、第2の光コネクタ差し込み口52を第1の局舎2の実回線(局舎内配線)に接続するかを切替可能な光スイッチ76をさらに備えるとよい。
図6では、一例として、この光スイッチ76を光源パネル7内に搭載した場合を示している。
【0060】
光スイッチ76を光源パネル7内に搭載する場合、光源パネル7に、中継パネル8から延びる実回線接続用光ファイバ10の一端の光コネクタ101を接続する実回線接続用光ファイバ差し込み口75を設け、光源側光コネクタ差し込み口71と監視用光源72とを光学的に接続するか、あるいは、光源側光コネクタ差し込み口71と実回線接続用光ファイバ差し込み口75とを光学的に接続するかを切り替え可能に光スイッチ76を構成するとよい。
【0061】
図6の例では、光スイッチ76により光源側光コネクタ差し込み口71と監視用光源72とを光学的に接続すると、監視用光源72からの監視光が、光源接続用光ファイバ9を介して第1の可視化パネル5の第2の光コネクタ差し込み口52に入射される。また、光スイッチ76により光源側光コネクタ差し込み口71と実回線接続用光ファイバ差し込み口75とを光学的に接続すると、実回線接続用光ファイバ10の一端が光源接続用光ファイバ9を介して第1の可視化パネル5の第2の光コネクタ差し込み口52に光学的に接続されることとなり、第1の局舎2の実回線(局舎内配線)と局舎間光ファイバ4とが、光源パネル7と第1の可視化パネル5とを介して光学的に接続されることになる。なお、光スイッチ76は光源パネル7に内蔵されていなくともよく、例えば独立したパネルとして第1のラック21に設置されていてもよい。また、光スイッチ76は、監視装置11により切替制御を行えるように構成されてもよい。光スイッチ76を備えることで、回線使用開始時に光ファイバ9,10の抜き差しを行う作業が不要となり、利便性の向上を図ることが可能になる。
【0062】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0063】
[1]第1の局舎(2)と第2の局舎と(3)を接続する局舎間光ファイバ(4)を監視する光ファイバ監視システム(1)であって、前記第1の局舎(2)に設けられ、前記局舎間光ファイバ(4)の一端が光学的に接続されている第1の可視化パネル(5)と、前記第2の局舎(3)に設けられ、前記局舎間光ファイバ(4)の他端が光学的に接続されている第2の可視化パネル(6)と、前記第1の局舎(2)に設けられ、前記局舎間光ファイバ(4)に監視光を入射するための監視用光源(72)と、を備え、前記第1の可視化パネル(5)は、前記監視用光源(72)から前記局舎間光ファイバ(4)に入射される監視光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第1の光検知部(55)を有し、前記第2の可視化パネル(6)は、前記局舎間光ファイバ(4)からの光の一部を漏洩させ、漏洩光の光量を検知する第2の光検知部を有している、光ファイバ監視システム(1)。
【0064】
[2]前記第1の可視化パネル(5)は、前記局舎間光ファイバ(4)の一端の光コネクタ(41)が接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口(51)を有し、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)を介して前記第1の可視化パネル(5)に接続される前記局舎間光ファイバ(4)と同数の複数の前記監視用光源(72)を備えている、[1]に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0065】
[3]前記第1の可視化パネル(5)は、前記局舎間光ファイバ(4)の一端の光コネクタ(41)が接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口(51)と、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口(52)と、を有し、前記監視用光源(72)の数が、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)を介して前記第1の可視化パネル(5)に接続される前記局舎間光ファイバ(4)の数よりも少なく、前記監視用光源(72)からの監視光を複数の前記第2の光コネクタ差し込み口(52)に分配する光分配器を備えた、[1]に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0066】
[4]前記第1の可視化パネル(5)は、前記局舎間光ファイバ(4)の一端の光コネクタ(41)が接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口(51)と、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口(52)と、を有し、前記監視用光源(72)の数が、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)を介して前記第1の可視化パネル(5)に接続される前記局舎間光ファイバ(9)の数よりも少なく、前記監視用光源(72)からの監視光と複数の前記第2の光コネクタ差し込み口(52)の光結合先を切替える光スイッチを備えた、[1]に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0067】
[5]前記第1及び第2の可視化パネル(5,6)で検出した漏洩光の光量を基に、前記局舎間光ファイバ(4)の状態を監視する監視装置(11)を備え、前記第1及び第2の可視化パネル(5,6)は、通信ケーブルが接続される通信ポート(543)と、前記通信ポート(543)を介して漏洩光の光量の信号を前記監視装置(11)に送信する送信部(542)と、をそれぞれ有する、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0068】
[6]前記第1の局舎(2)内に設置された第1のラック(21)を備え、前記第1のラック(21)に、前記第1の可視化パネル(5)と、前記監視用光源(72)を搭載した光源パネル(7)と、が設置されている、[1]乃至[5]の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0069】
[7]前記第1のラック(21)に、前記第1の可視化パネル(5)に接続される光ファイバ(9,10)の配線を整えるための整線パネル(12)が設置されている、[6]に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0070】
[8]前記第1の可視化パネル(5)は、前記局舎間光ファイバ(4)の一端の光コネクタ(41)が接続される複数の第1の光コネクタ差し込み口(51)と、前記第1の光コネクタ差し込み口(51)と光学的に接続された複数の第2の光コネクタ差し込み口(52)と、を有し、前記第1の局舎(2)に設けられ、前記第2の光コネクタ差し込み口(52)を前記監視用光源(72)と光学的に接続するか、あるいは、前記第2の光コネクタ差し込み口(52)を前記第1の局舎(2)の実回線に接続するかを切替可能な光スイッチをさらに備えた、[1]乃至[7]の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0071】
[9]前記第2の局舎(3)に設けられ、前記局舎間光ファイバ(4)から前記第2の可視化パネル(6)を介して出力された監視光の光量の初期値を測定するための初期値測定用光パワーメータ(14)をさらに備えた、[1]乃至[8]の何れか1項に記載の光ファイバ監視システム(1)。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。