特許第6902409号(P6902409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000002
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000003
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000004
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000005
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000006
  • 特許6902409-プラズマ処理装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6902409
(24)【登録日】2021年6月23日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210701BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20210701BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20210701BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/205
   C23C16/44 B
   H05H1/46 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-122877(P2017-122877)
(22)【出願日】2017年6月23日
(65)【公開番号】特開2019-9251(P2019-9251A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】砂金 優
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−252201(JP,A)
【文献】 特開2010−121216(JP,A)
【文献】 特開2014−016035(JP,A)
【文献】 特開2015−128110(JP,A)
【文献】 国際公開第00/075972(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/44
H01L 21/205
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体にプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置であって、
被処理体の搬入出用の搬送路が形成された側壁を有する処理容器と、
前記処理容器内に設けられた載置台と、
前記載置台を囲むように前記側壁の内面に沿って設けられたシールド部材であり、前記搬送路に面する開口が形成された該シールド部材と、
前記シールド部材の開口用の昇降可能なシャッターと、
前記シャッターを昇降させる第1駆動部と、
前記シャッターを前記シールド部材に対して前後方向に移動させる第2駆動部と、
前記開口を囲むように前記シールド部材に配置された導電部材と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項2】
被処理体にプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置であって、
被処理体の搬入出用の搬送路が形成された側壁を有する処理容器と、
前記処理容器内に設けられた載置台と、
前記載置台を囲むように前記側壁の内面に沿って設けられたシールド部材であり、前記搬送路に面する開口が形成された該シールド部材と、
前記シールド部材の開口用の昇降可能なシャッターと、
前記シャッターを昇降させる第1駆動部と、
前記シャッターを前記シールド部材に対して前後方向に移動させる第2駆動部と、
前記開口に対応する前記シャッターの領域を囲むように前記シャッターに配置された導電部材と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記開口に対応する前記シャッターの領域を囲むように前記シャッターに配置された導電部材を備える、請求項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第2駆動部は、前記シャッターを前記シールド部材に向けて押圧する1つの駆動軸を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1駆動部は、前記シャッターの接続部に接続され前記シャッターを昇降させる昇降用駆動軸を有し、
前記駆動軸は、前記接続部を押圧する、請求項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2駆動部は、前記シャッターを前記シールド部材に向けて押圧する複数の駆動軸を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスといった電子デバイスの製造においては、プラズマ処理装置を用いて被処理体に対してプラズマ処理が行われる。プラズマ処理は、処理ガスのプラズマによるエッチングや成膜といった種々の処理を含む。
【0003】
プラズマ処理に用いられるプラズマ処理装置は、プラズマ処理空間を画成する処理容器を備えている。この処理容器の側壁には、被処理体の搬入出用の搬送路が形成されている。また、処理容器の側壁内面を保護するシールド部材(デポシールド)が、当該側壁内面に沿って設けられている。このシールド部材には、被処理体の搬入出のために、搬送路に対面する開口が形成されている。さらに、シールド部材の開口を開閉するよう昇降可能なシャッターが、側壁内面とシールド部材との間に設けられている。シャッターは、シールド部材の開口を閉じるときに、シールド部材の接触部のみに接する。接触部は、導電性を有する合金である。このようなプラズマ処理装置は、例えば、特開2015−95543号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−95543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載のプラズマ処理装置は、シャッターとシールド部材との接触部を合金で形成することで、シャッターとシールド部材との電気的な接続を安定化させている。このような電気的な安定は、均一なプラズマ空間を形成することに寄与する。しかしながら、特許文献1記載のプラズマ処理装置は、より均一なプラズマ空間を形成するという観点から改善の余地がある。本技術分野では、均一なプラズマ空間を形成するプラズマ処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面においては、被処理体にプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置が提供される。このプラズマ処理装置は、処理容器、載置台、シールド部材、開口用の昇降可能なシャッター、第1駆動部及び第2駆動部を備える。処理容器は側壁を有しており、当該側壁には被処理体の搬入出用の搬送路が形成されている。載置台は、処理容器内に設けられている。シールド部材は、載置台を囲むように前記側壁の内面に沿って設けられている。シールド部材には、搬送路に面する開口が形成されている。第1駆動部は、シャッターを昇降させる。第2駆動部は、シャッターをシールド部材に対して前後方向に移動させる。
【0007】
上記一側面に係るプラズマ処理装置では、シャッターは、第1駆動部により昇降し、第2駆動部によりシールド部材に対して前後方向に移動する。例えば開口を閉とする場合、シャッターは、第1駆動部により開口と対向する位置まで昇降する。当該位置において、シャッターは、第2駆動部によりシールド部材と近接する方向へ移動し、シールド部材に押し当てられる。このように、第2駆動部を備えることでシャッターをシールド部材に当接させることができるため、シャッターとシールド部材との電気的な接続を安定化させることができる。よって、このプラズマ処理装置は、均一なプラズマ空間を形成することができる。
【0008】
一実施形態においては、第2駆動部は、シャッターを押圧する1つの駆動軸を有してもよい。この実施形態によれば、1つの駆動軸によってシャッターをシールド部材に当接させることができる。
【0009】
一実施形態においては、第1駆動部は、シャッターの接続部に接続されシャッターを昇降させる昇降用駆動軸を有し、駆動軸は接続部を押圧してもよい。この実施形態によれば、接続部以外が押圧される場合と比べて、シャッターと昇降用駆動軸との接続部において発生する応力を小さくすることができる。
【0010】
一実施形態においては、第2駆動部は、シャッターを押圧する複数の駆動軸を有してもよい。この実施形態によれば、1つの駆動軸がシャッターを押圧する場合と比べて、シャッターをシールド部材に均一に押し当てることができる。
【0011】
一実施形態においては、プラズマ処理装置は、開口を囲むようにシールド部材に配置された導電部材を備えてもよい。この実施形態によれば、シャッターとシールド部材との電気的な接続を一層安定化させることができる。
【0012】
一実施形態においては、プラズマ処理装置は、開口に対応するシャッターの領域を囲むようにシャッターに配置された導電部材を備えてもよい。この実施形態によれば、シャッターとシールド部材との電気的な接続を一層安定化させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、均一なプラズマ空間が得られるプラズマ処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図2】一実施形態に係るシールド部材及びシャッターを示す断面図である。
図3】一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
図4図3に示すシールド部材の一部を拡大して示す破断斜視図である。
図5】一実施形態に係るシャッターの斜視図である。
図6】一実施形態に係るシャッターでシールド部材の開口を閉じる動作を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図1においては、プラズマ処理装置の縦断面が概略的に示されている。図1に示すプラズマ処理装置10は、被処理体(以下、「ウエハW」という)にプラズマ処理を行うための装置である。
【0017】
プラズマ処理装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、その内部において処理空間Sを画成している。プラズマ処理装置10では、処理空間SにウエハWが収容され、当該ウエハWに対するプラズマ処理が施される。
【0018】
一実施形態において、処理容器12は、側壁12a、底部12b、及び、天部12cを含んでいる。側壁12aは、略円筒形状を有している。この側壁12aは、その中心軸線である軸線Zを中心にして鉛直方向に延在している。以下、本明細書では、軸線Zが延在する方向を、「軸線Z方向」、「鉛直方向」、「上下」ということがある。また、軸線Zに対して放射方向を「径方向」ということがある。さらに、軸線Zを中心とする円弧に沿った方向を「周方向」ということがある。
【0019】
側壁12aの下端側には底部12bが設けられており、当該側壁12aの上端側には天部12cが設けられている。また、側壁12aには、ウエハWを処理容器12内に搬入し、処理容器12の内部からウエハWを搬出するための搬送路CPが形成されている。この搬送路CPは、ゲートバルブGVによって開閉することが可能となっている。
【0020】
プラズマ処理装置10は、載置台20を更に備えている。載置台20は、処理容器12内に設けられている。この載置台20を囲むように、処理容器12の側壁12aの内面に沿ってシールド部材60が設けられている。シールド部材60は、プラズマ処理によって発生する反応生成物が側壁12aの内面に堆積することを防止するための部材である。シールド部材60は、略円筒形状の部材であり、その中心軸線は軸線Zに略一致している。このシールド部材60には、搬送路CPに対面する開口OP(図2及び図3参照)が形成されている。
【0021】
また、処理容器12内には、シールド部材60の開口用の昇降可能なシャッター70が設けられている。シャッター70は、駆動装置40(第1駆動部)によって昇降される。
【0022】
駆動装置40は、シールド部材60に沿ってシャッター70を上下方向に移動させる。駆動装置40は、駆動軸80(昇降用駆動軸)と駆動回路41とを備える。駆動軸80は、その先端がシャッター70の接続部に接続される。駆動回路41は、駆動軸80に制御信号を出力して駆動軸80を移動させる。駆動軸80は、駆動回路41からの制御信号によりシャッター70を昇降させる。具体的な一例として、シャッター70は、ウエハWの搬入出時など、開口OPを搬送路CPに対して開放する場合には、第1領域に位置する。一方、シャッター70は、プラズマ処理時など、開口OPを閉鎖する場合には、第1領域よりも上方の第2領域に位置する。
【0023】
さらに、シャッター70は、第2領域に位置したときに、駆動装置45(第2駆動部)によってシールド部材60に対して前後方向に移動する。駆動装置45は、シャッター70をシールド部材60に対して前後方向に移動させる。
【0024】
駆動装置45は、上方駆動軸82と下方駆動軸83と駆動回路46とを備える。上方駆動軸82及び下方駆動軸83は、シールド部材60の開口OPに対向した位置に配置される。より具体的な一例として、上方駆動軸82と下方駆動軸83は、搬送路CP内に配置される。駆動回路46は、上方駆動軸82及び下方駆動軸83に制御信号を出力して上方駆動軸82及び下方駆動軸83を移動させる。上方駆動軸82及び下方駆動軸83は、駆動回路46からの制御信号により、開口OPへ向けて移動する。これにより、上方駆動軸82及び下方駆動軸83は、第2領域に位置したシャッター70をシールド部材60に向けて押圧する。下方駆動軸83は、駆動軸80とシャッター70との接続部を押圧するように配置されてもよい。第2領域に位置したシャッター70は、駆動装置45によってシールド部材60に押し当てられる。シールド部材60及びシャッター70の詳細については、後述する。
【0025】
載置台20は、下部電極LE、及び、静電チャックESCを含んでいる。下部電極LEは、マッチングユニットMUを介して、高周波電源RFGに接続されている。高周波電源RFGは、イオン引き込み用の高周波電力(高周波バイアス電力)を発生する。静電チャックESCは、下部電極LE上に設けられている。静電チャックESCは、その上面に載置されたウエハWをクーロン力によって吸着して、当該ウエハWを保持する。
【0026】
一例において、下部電極LEは、第1プレート22a及び第2プレート22bを含んでいる。第1プレート22aは、略円盤状の部材である。また、第1プレート22aは、導電性の部材であり、例えば、アルミニウムから構成されている。この第1プレート22aは、略筒状の支持部SP1によって支持されている。支持部SP1は、底部12bから上方に延びており、第1プレート22aの下面の周縁領域に当接している。この支持部SP1は、石英といった絶縁体から構成されている。
【0027】
第2プレート22bは、第1プレート22a上に設けられている。第2プレート22bは、略円盤状の部材である。また、第2プレート22bは、導電性の部材であり、例えば、アルミニウムから構成されている。この第2プレート22bは、第1プレート22aに導通している。
【0028】
第1プレート22aには、マッチングユニットMUを介して高周波電源RFGが電気的に接続されている。高周波電源RFGは、ウエハWに引き込むイオンのエネルギーを制御するのに適した一定の周波数、例えば、13.65MHzの高周波バイアス電力を出力する。マッチングユニットMUは、高周波電源RFG側のインピーダンスと、主に電極、プラズマ、処理容器12といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。この整合器の中に自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。
【0029】
第2プレート22bの内部には、冷媒室RCが設けられている。この冷媒室RCには、チラーユニットから配管PP1,PP2を介して所定の温度の冷媒、例えば、冷却水が循環するように供給される。このように循環される冷媒によって、静電チャックESC上のウエハWの温度が、制御され得る。さらに、伝熱ガス供給部からの伝熱ガス、例えば、Heガスが供給管PP3を介して静電チャックESCの上面とウエハWの裏面との間に供給される。
【0030】
静電チャックESCは、第2プレート22bの上面の上に設けられている。静電チャックESCは、略円盤形状を有している。静電チャックESCは、ウエハWを静電吸着力で保持する。そのため、静電チャックESCは、誘電体膜の間に挟まれた電極膜EFを含んでいる。電極膜EFには、直流電源DSがスイッチSWを介して電気的に接続されている。静電チャックESCは、直流電源DSから印加される直流電圧により発生するクーロン力によって、その上面にウエハWを吸着し、当該ウエハWを保持することができる。
【0031】
また、静電チャックESCの誘電体膜内には、ヒータHC及びヒータHEが設けられている。ヒータHCは、静電チャックESCの中央領域に設けられている。ヒータHCには、ヒータ電源HP1が接続されている。ヒータ電源HP1は、ヒータHCに対して交流電力を供給する。ヒータHEは、ヒータHCよりも径方向外側に設けられている。ヒータHEには、ヒータ電源HP2が接続されている。ヒータ電源HP2は、ヒータHEに交流電力を供給する。
【0032】
また、静電チャックESC及び下部電極LEには、これらを鉛直方向に貫通する貫通孔が形成されており、当該貫通孔には、プッシャーピンLPが通されている。プッシャーピンLPは、ウエハWの搬入出時に上昇し、その上端においてウエハWを支持する。
【0033】
また、静電チャックESCの径方向外側には、フォーカスリングFRが設けられている。フォーカスリングFRは、静電チャックESCを囲むように、静電チャックESCのエッジ及びウエハWのエッジに沿って環状に延在している。フォーカスリングFRは、石英といった誘電体から構成されている。フォーカスリングFRは、ウエハWのエッジの外側におけるシース電位を調整するために設けられており、ウエハWのプラズマ処理の面内均一性に寄与する。
【0034】
フォーカスリングFRの下方には、筒状部TP1が設けられている。筒状部TP1は、アルミナといった絶縁体から構成されている。筒状部TP1は、円筒形状を有しており、下部電極LEの外周面に沿って延在している。
【0035】
筒状部TP1とフォーカスリングFRとの間には、環状部APが設けられている。環状部APは、アルミナといった絶縁体から構成されている。環状部APは、第2プレート22bの外周面に沿って環状に延在している。この環状部APの上面は、フォーカスリングFRの下面に接している。また、環状部APの下面は、筒状部TP1の上端に接している。
【0036】
環状部APの周縁部の下方には、筒状部TP2が設けられている。筒状部TP2は、略円筒形状を有している。この筒状部TP2は、筒状部TP1及び支持部SP1の外周に沿って延在している。筒状部TP2は、導電性の材料、例えば、アルミニウムから構成されている。なお、筒状部TP2の表面には、イットリア(Y)製の膜が形成されていてもよい。或いは、筒状部TP2の表面には、酸化処理が施されていてもよい。
【0037】
筒状部TP2の外周面及び環状部APの外周面から側壁12a及びシールド部材60までの間の空間は、排気路VLになっている。排気路VLは、底部12bまで延びており、当該底部12bに取り付けられた排気管を介して排気装置30に接続されている。排気装置30は、圧力調整器、及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有している。この排気装置30を動作させることにより、載置台20の外周から排気路VLを介してガスを排気することが、また、処理容器12内の処理空間Sを所望の真空度まで減圧することができる。
【0038】
鉛直方向において排気路VLの中間には、バッフル板BPが設けられている。バッフル板BPは、軸線Zを中心として環状に延在する板状の部材である。このバッフル板BPには、複数の貫通孔が形成されている。これら貫通孔は、鉛直方向においてバッフル板BPを貫通している。このバッフル板BPの内側縁部は、筒状部TP2と環状部APとの間に設けられている。また、バッフル板BPの外側縁部は、シールド部材60によって支持されている。
【0039】
また、プラズマ処理装置10は、プラズマ生成部PG及びガス供給部GSを更に備えている。プラズマ生成部PGは、ガス供給部GSから供給されるガスを励起させるためのエネルギーを処理容器12内に導入する。一実施形態において、プラズマ生成部PGは、天部12cに設けられている。一例において、プラズマ生成部PGは、マイクロ波を処理容器12内に導入する。プラズマ生成部PGは、容量結合型のプラズマ源であってもよい。この場合には、プラズマ生成部PGは、上部電極であってもよい。プラズマ生成部PGが上部電極である場合には、プラズマ生成用の高周波電力を発生する高周波電源は、上部電極及び下部電極LEのうち一方に接続され得る。或いは、プラズマ生成部PGは、誘導結合型のプラズマ源であってもよい。或いは、プラズマ生成部PGは、マイクロ波供給部であってもよい。
【0040】
ガス供給部GSは、処理容器12内にガスを供給する。このガスがプラズマ生成部PGによって与えられるエネルギーによって励起され、励起されたガスによりプラズマ処理が行われる。一例においては、図1に示すように、ガス供給部GSは、ガス導入管50を有する。ガス導入管50は、処理容器12の外部から内部まで延在している。ガス導入管50には、ガスソース52が接続されている。ガスソース52は、ウエハWに対して行うプラズマ処理に応じたガスを流量制御された状態で供給する。なお、ガス供給部GSは、図1に示された形態に限定されるものではない。例えば、ガス供給部GSは、ガス導入管50に代えて、又は、これに加えて、天部12cからガスを供給するものであってもよい。また、プラズマ生成部PGが上部電極である場合には、ガス供給部GSは、上部電極によって構成されるシャワーヘッドであってもよい。
【0041】
以下、シールド部材60及びシャッター70の詳細について説明する。図2は、一実施形態に係るシールド部材及びシャッターを示す断面図であり、シャッターが第2領域に位置してシールド部材の開口を閉鎖している状態を示している。また、図3は、一実施形態に係るシールド部材の斜視図であり、図4は、図3に示すシールド部材の一部を拡大して示す破断斜視図である。また、図5は、一実施形態に係るシャッターの斜視図である。
【0042】
図3に示すように、シールド部材60は、本体60mを有している。本体60mは、略円筒形状を有しており、図1に示すように、その中心軸線が軸線Zに略一致するように側壁12aに沿って設けられている。本体60mは、例えば、アルミニウムから構成されている。本体60mの表面には、イットリア(Y)膜が形成されていてもよく、或いは、酸化処理が施されていてもよい。
【0043】
一実施形態において、図2図3及び図4に示すように、本体60mは、フランジ部60fを含んでいる。フランジ部60fは、本体60mの最上部を構成している。フランジ部60fは、本体60mの外径を当該本体60mの最上部において拡大している。このフランジ部60fは、図2に示すように、側壁12aによって支持されている。具体的には、側壁12aは上下に分離可能な二つのパーツを含んでおり、これら二つのパーツ間にフランジ部60fは挟持されている。
【0044】
また、本体60mは、図2図3及び図4に示すように、下部60bを含んでいる。下部60bは、本体60mの最下部を構成している。下部60bは、高さ方向、即ち軸線Zが延在する方向(以下、「軸線Z方向」という)に所定の厚みを有する。
【0045】
本体60mには、開口OPが形成されている。この開口OPは、図2に示すように、搬送路CPに面するように設けられている。図2図3及び図4に示すように、本体60mは、この開口OPを上方及び周方向の両側から囲む薄肉部60cを含んでいる。また、本体60mは、薄肉部60cの上側及び周方向の両側において本体60mを構成する厚肉部60dを含んでいる。この薄肉部60cの径方向の厚みは、厚肉部60dの当該径方向の厚みよりも薄く、下部60bの当該径方向の厚みと同じになっている。また、薄肉部60cの内周面、厚肉部60d及び下部60bの内周面は連続しており、本体60mの内周面60iを構成している。薄肉部60cの外周面60w、及び下部60bの外周面は連続している。薄肉部60cの外周面60wは、厚肉部60dの外周面よりも、軸線Zに近づけられている。
【0046】
薄肉部60cは、端面60t1及び一対の端面60t2を有している。端面60t1は、開口OPの上方において周方向に延びており、下方を向いた面となっている。また、一対の端面60t2は、端面60t1の周方向の両縁から鉛直方向に延びており、周方向に交差する面となっている。これら端面60t1,60t2と薄肉部60cの外周面60wとの間の境界である縁60eは、開口OPを上方から画成するよう周方向に延在しており、また、開口OPを周方向の両側から画成するよう鉛直方向に延在している。また、開口OPは、下部60bの縁60gによって下方から画成されている。この縁60gは、下部60bの外周面の上縁を構成している。
【0047】
図4に示すように、厚肉部60dは、端面60p1及び一対の端面60p2を有している。端面60p1は、周方向に延びる面であり、下方を向いた面となっている。端面60p1は、端面60t1よりも上方且つ径方向外側において延在している。また、一対の端面60p2は、端面60p1の周方向の両縁から鉛直方向に延びており、周方向に交差する面となっている。一対の端面60p2は、一対の端面60t2よりも周方向において開口OPから離れており、また、一対の端面60t2よりも径方向外側において延在している。
【0048】
下部60bの外周面は、薄肉部60cの外周面60wと同じ周面にある。即ち、下部60bの外周面の軸線Zからの距離は、薄肉部60cの外周面60wの軸線Zからの距離と同じである。この下部60bの外周面、薄肉部60cの外周面60w、及び、厚肉部60dの端面60p1,60p2は、シャッター70が収容される空間を画成している。
【0049】
また、図2及び図4に示すように、同様に、薄肉部60cの外周面60wには、それぞれ、周方向に延在する溝及び一対の軸線Z方向に延在する溝が形成されている。周方向に延在する溝の溝内には、導電部材61が嵌め込まれている。軸線Z方向に延在する溝の溝内には、導電部材63が嵌め込まれている。これらの導電部材61、63の外周面は、被接触面61b、63bを構成している。また、導電部材61、63は、薄肉部60cに対してねじ留めすることが可能となっている。即ち、導電部材61、63は、薄肉部60cから取り外し可能となっている。導電部材61、63は、例えば合金(一例としてハステロイ(登録商標))で形成される。
【0050】
同様に、下部60bの外周面には、周方向に延在する溝が形成されている。この溝内には、導電部材62が嵌め込まれている。この導電部材62の外周面は、被接触面62bを構成している。また、導電部材62は、下部60bに対してねじ留めすることが可能となっている。即ち、導電部材62は、下部60bから取り外し可能となっている。導電部材62は、例えば合金(一例としてハステロイ(登録商標))で形成される。
【0051】
図2に示すように、シャッター70は、第1部分70a、第2部分70b及び第3部分70cを有している。第2部分70bは、シャッター70が開口OPを閉鎖するときに、当該開口OPに対面する部分である。シャッター70は、例えば、アルミニウムから構成されている。シャッター70の表面には、イットリア(Y)製の膜が形成されていてもよい。或いは、シャッター70の表面には、酸化処理が施されていてもよい。
【0052】
図2及び図5に示すように、シャッター70は、周方向に延在する板状をなしている。シャッター70は、内面、及び、当該内面よりも軸線Zから遠い外面を含んでいる。シャッター70の内面の曲率半径は、軸線Zからの開口OPまでの距離と略一致している。また、シャッター70は、端面70t1、一対の端面70t2及び端面70t3を含んでいる。端面70t1は、シャッター70の上端の面であり、周方向に延びており、上方を向いた面となっている。また、一対の端面70t2は、端面70t1の周方向の両縁から鉛直方向に延びており、周方向に交差する面となっている。また、端面70t3は、シャッター70の下端の面であり、周方向に延びており、下方を向いた面となっている。
【0053】
シャッター70の第1部分70aの内周面側には、溝70gが形成されている。この溝70gは、周方向に延在している。溝70gには、導電部材72aが嵌め込まれている。この導電部材72aは、弾性を有する部材であってもよい。導電部材72aは、例えば合金(一例としてハステロイ(登録商標))で形成される。一例においては、導電部材72aは、周方向に延びる弧を中心としたスパイラル状に形成されている。
【0054】
シャッター70の第3部分70cの内周面側には、溝70hが形成されている。この溝70hは、周方向に延在している。溝70hには、導電部材72bが嵌め込まれている。この導電部材72bは、例えば合金(一例としてハステロイ(登録商標))で形成される。一例においては、導電部材72bは、周方向に延びる弧を中心としたスパイラル状に形成されている。
【0055】
シャッター70の第2部分70bの内周面側の両側には、一対の溝70iが形成されている。この一対の溝70iは、それぞれ鉛直方向に延在している。一対の溝70iには、それぞれ一対の導電部材72cが嵌め込まれている。この一対の導電部材72cは、例えば合金(一例としてハステロイ(登録商標))で形成される。一例においては、一対の導電部材72cは、鉛直方向に延びる直線を中心としたスパイラル状に形成されている。
【0056】
一例として、シャッター70に、開口OPに対応するシャッター70の領域の周囲に直線状の導電部材がそれぞれ配置される例を説明したが、シャッター70に、開口OPに対応するシャッター70領域を囲むように、環状の導電部材が配置されてもよい。また、シャッター70の下端部には、昇降用の駆動軸80が連結される接続部がある。
【0057】
図6は、一実施形態に係るシャッターでシールド部材の開口を閉じる動作を概略的に示す図である。図6の(a)は、シャッター70が第1領域に位置する状態、図6の(b)は、シャッター70が第2領域に位置する状態、図6の(c)は、シールド部材60にシャッターが押し当てられた状態を示す。かかるシャッター70によって開口OPを閉鎖する際には、図6の(a),(b)に示すように、シャッター70は、駆動軸80によって第1領域から上方の第2領域に移動する。第2領域においてシャッター70が配置されると、図2に示すように、シャッター70の第2部分70bは、開口OPに対面するようになっている。この状態において、第1部分70aの端面70t1は、シールド部材60の端面60p1に対して間隙を介して対面する。また、シャッター70の一対の端面70t2はそれぞれ、シールド部材60の一対の端面60p2に間隙を介して対面する。また、シャッター70の第1部分70aの内周面及び第2部分70bが、シールド部材60の薄肉部60cの外周面60wと、径方向において間隙を介して対面する。さらに、シャッター70の第3部分70cの内周面が、シールド部材60の下部60bの外周面と、径方向において間隙を介して対面する。これにより、開口OPの上下方及び周方向の両側においては、ラビリンス構造の間隙が形成される。また、シャッター70の第1部分70a及び第2部分70bの両側はシールド部材60の薄肉部60cの外周面60wに径方向外側から対面し、シャッター70の第3部分70cはシールド部材60の下部60bの外周面に径方向外側から対面する。
【0058】
図6の(b)に示される状態において、図6の(c)に示すように、上方駆動軸82及び下方駆動軸83によって、第2領域に位置したシャッター70をシールド部材60に向けて押圧する。これにより、導電部材72a,72b及び72cは、それぞれ被接触面61b,62b及び63bに確実に当接する。このように、シャッター70とシールド部材60は、導電部材72a,72b及び72cと被接触面61b,62b及び63bにおいて互いに当接し、シャッター70とシールド部材60とが開口OPの全周に亘って導通するので、シャッター70とシールド部材60との電気的な接続を安定化させることができる。このため、プラズマ処理時などのプラズマリークを抑制し、より均一なプラズマ空間が得られる。
【0059】
また、シャッター70によれば、導電部材72a,72b及び72cが消耗した際には、導電部材72a,72b及び72cのみを取り替えることができる。したがって、シャッター70の全体をハステロイ(登録商標)などの導電部材から構成するよりも、シャッター70を安価に提供することができる。
【0060】
また、開口OPを開とする際には、まず、駆動装置45は、上方駆動軸82及び下方駆動軸83によるシャッター70の押圧を解除する。そして、シャッター70は、駆動軸80により下方へ移動され、第2領域から第1領域へ戻る。これにより、開口OPが開とされる。
【0061】
上述のように、本開示の一側面に係るプラズマ処理装置10では、シャッター70は、駆動装置40により昇降し、駆動装置45によりシールド部材60に対して前後方向に移動する。例えば開口OPを閉とする場合、シャッター70は、駆動装置40により開口OPと対向する位置まで昇降する。当該位置において、シャッター70は、駆動装置45によりシールド部材60と近接する方向へ移動し、シールド部材60に押し当てられる。このように、駆動装置45を備えることでシャッター70をシールド部材60に当接させることができるため、シャッター70とシールド部材60との電気的な接続を安定化させることができる。よって、このプラズマ処理装置10は、均一なプラズマ空間を形成することができる。
【0062】
また、駆動装置40は、シャッター70の接続部に接続されシャッター70を昇降させる駆動軸80を有し、下方駆動軸83は接続部を押圧する。このため、接続部以外が押圧される場合と比べて、シャッター70と駆動軸80との接続部において発生する応力を小さくすることができる。
【0063】
また、駆動装置45は、シャッター70を押圧する複数の駆動軸(82,83)を有する。このため、1つの駆動軸がシャッター70を押圧する場合と比べて、シャッター70をシールド部材60に均一に押し当てることができる。
【0064】
また、プラズマ処理装置10は、開口OPを囲むようにシールド部材60に配置された導電部材(61,62,63)を備える。このため、シャッター70とシールド部材60とが開口OPの全周に亘って導通するので、シャッター70とシールド部材60との電気的な接続を一層安定化させることができる。
【0065】
また、プラズマ処理装置は、開口OPに対応するシャッター70の領域を囲むようにシャッター70に配置された導電部材(72a,72b,72c)を備える。このため、シャッター70とシールド部材60とが開口OPの全周に亘って導通するので、シャッター70とシールド部材60との電気的な接続を一層安定化させることができる。
【0066】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。
【0067】
例えば、駆動装置40は、駆動軸80を複数備えてもよい。駆動装置45は、上方駆動軸82及び下方駆動軸83の何れか一方のみを備えてもよいし、さらに別な駆動軸を備えてもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、シャッター70はシールド部材60の内部に画成されている空間に収容される例が説明したが、シャッター70はシールド部材60の外側に配置されるように構成されていてもよい。この場合には、シャッター70の側面において干渉回避のための隙間を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0069】
10…プラズマ処理装置、12…処理容器、20…載置台、40…駆動装置(第1駆動部)、45…駆動装置(第2駆動部)、60…シールド部材、60b…下部、60c…薄肉部、60d…厚肉部、60i…内周面、60m…本体、60w…外周面、61…導電部材、61b…被接触面、62…導電部材、62b…被接触面、63…導電部材、70…シャッター、70a…第1部分、70b…第2部分、70c…第3部分、72a…導電部材、72b…導電部材、72c…導電部材、80…駆動軸(昇降用駆動軸)、82…上方駆動軸、83…下方駆動軸、OP…開口、W…ウエハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6