(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記色情報取得機構は、前記光学測定機構から前記処理液に照射される光よりも照射強度が低い判別用光を前記処理液に照射する照射部を有する、請求項3又は4記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記処理液への光の照射が不可であると決定した場合において、前記照射可否を示す情報として、処理液の色が異常である旨を示す警告、及び、処理中の基板を特定する情報を出力する、請求項1〜6のいずれか一項記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記処理液への光の照射が不可であると決定した場合において、光学測定機構による光の出力を遮断する遮断制御、新たな基板の搬入を停止する搬入停止制御、前記流路への前記処理液の送液を停止する送液停止制御、及び、前記流路を流れる前記処理液を廃棄する排液制御の少なくともいずれか一つを更に実行するように構成されている、請求項1〜7のいずれか一項記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、処理液に照射される光の波長帯と処理液の色との組み合わせによっては、処理液が光を吸収することにより処理液が変質する(薬液変性を行う)おそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、処理液に対して光を照射する構成において、処理液が変質することを適切に防止することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、流路を流れる基板の処理液に対して光を照射し、該光の変化に基づき処理液の状態を取得する光学測定機構と、流路における、光学測定機構から処理液に光が照射される箇所よりも処理液の供給源側の処理液に基づき、光学測定機構による処理液への光の照射可否を決定する照射可否決定機構と、を備え、照射可否決定機構は、処理液の色情報を取得する色情報取得機構と、制御部と、を有し、制御部は、処理液の色情報が、光学測定機構によって照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定することと、判定結果に基づき処理液への光の照射可否を決定し該照射可否を示す情報を出力することと、を実行するように構成されている。
【0007】
このような基板処理装置では、光学測定機構によって処理液へ光が照射される箇所よりも上流側の処理液に基づいて、処理液の色情報が、照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かが判定され、該判定結果に基づき処理液への光の照射可否が決定される。処理液の色と照射される光の波長帯との組み合わせによっては、処理液が光を吸収することにより処理液が変質するおそれがある。この点、処理液へ光を照射する前段階において、処理液の色情報が光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かが判定されることにより、処理液が、照射される光によって変質するものであるか否かを判定することができる。そして、当該判定結果に基づき処理液への光の照射可否が決定され該照射可否を示す情報が出力されることによって、例えば、流路を流れる処理液が光学測定機構からの光によって変質するおそれがある場合には、光学測定機構からの光の照射を停止する等の対応が可能となり、処理液が変質することを適切に防止することができる。以上より、本開示によれば、処理液に対して光を照射する構成において、何らかのミスにより通常とは異なる処理液が流れてきた場合等においても、処理液が変質することを適切に防止することができる。
【0008】
色情報取得機構は、測色計又は撮像装置を有していてもよい。色情報取得機構が測色計又は撮像装置を有していることにより、処理液の色情報を適切に把握することができる。
【0009】
色情報取得機構は、光学測定機構から処理液に照射される光の波長と近似する波長の判別用光を処理液に照射する照射部を有し、制御部は、照射部によって処理液に照射された判別用光が処理液において一定以上吸収された場合に、処理液の色情報が、光学測定機構によって照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定してもよい。判別用光が処理液において一定以上吸収される場合には、該判別用光と波長が近似する、光学測定機構から処理液に照射される光についても、処理液に吸収されやすいと考えられる。このため、判別用光が前記処理液において一定以上吸収された場合に、処理液の色情報が、光学測定機構によって照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定し、処理液への光の照射が不可であると決定することにより、上述した照射可否の決定を簡易且つ高精度に行うことができる。
【0010】
照射部は、判別用光として、光学測定機構から処理液に照射される光よりも長波長の光を照射してもよい。判別用光を長波長の光、すなわちエネルギーの低い光とすることにより、判別用光を照射する段階(判定段階)において、処理液が変質することを抑制できる。
【0011】
色情報取得機構は、光学測定機構から処理液に照射される光よりも照射強度が低い判別用光を処理液に照射する照射部を有していてもよい。これにより、判別用光を照射する段階(判定段階)において、処理液が変質することを抑制できる。
【0012】
照射部は、複数パターンの波長の判別用光を処理液に照射してもよい。これにより、処理液が吸収しやすい波長帯をより細かく特定することができる。
【0013】
制御部は、処理液への光の照射が不可であると決定した場合において、照射可否を示す情報として、処理液の色が異常である旨を示す警告、及び、処理中の基板を特定する情報を出力してもよい。これにより、当該照射可否を示す情報に基づき、処理液の変質を防ぐ処理を適切に実行することができる。
【0014】
制御部は、処理液への光の照射が不可であると決定した場合において、光学測定機構による光の出力を遮断する遮断制御、新たな基板の搬入を停止する搬入停止制御、流路への処理液の送液を停止する送液停止制御、及び、流路を流れる処理液を廃棄する排液制御の少なくともいずれか一つを更に実行するように構成されていてもよい。これにより、処理液の変質及び処理液の変質の影響が基板に及ぶことを適切に防止することができる。すなわち、遮断制御が行われることにより処理液に対して光が照射されないこととなるため処理液の変質を防止できる。また、搬入停止制御が行われることにより、変質した処理液が基板に塗布されることを防止できる。また、送液停止制御が行われることにより、光の照射によって変質するおそれのある処理液が送液されることを防止できる。また、排液制御が行われることにより、変質するおそれがある処理液を適切に廃棄することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る基板処理方法は、流路を流れる基板の処理液の色情報を取得することと、処理液の色情報が、光学測定機構から処理液に対して照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定することと、所定の色情報でないと判定された場合にのみ、光学測定機構から処理液に対して光を照射し、該光の変化に基づき処理液の状態を取得することと、を含む。
【0016】
処理液の色情報を取得することは、光学測定機構から処理液に照射される光の波長と近似する波長の判別用光を処理液に照射することによって行われ、所定の色情報であるか否かを判定することは、判別用光が処理液において一定以上吸収された場合に、処理液の色情報が所定の色情報であると判定することによって行われる。
【0017】
本開示の一態様に係る記録媒体は、上述した基板処理方法を基板処理機構に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る基板処理装置、基板処理方法、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、処理液に対して光を照射する構成において、処理液が変質することを適切に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
[基板処理システムの構成]
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、レジスト膜の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0022】
塗布・現像装置2(基板処理装置)は、露光装置3による露光処理の前に、ウエハW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。本実施形態において、ウエハWは円板状を呈するが、円形の一部が切り欠かれていたり、多角形などの円形以外の形状を呈するウエハを用いてもよい。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。
【0023】
図1〜
図3に示すように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6と、コントローラ100(制御部)とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0024】
キャリアブロック4は、キャリアステーション12と搬入・搬出部13とを有する。搬入・搬出部13は、キャリアステーション12と処理ブロック5との間に介在している。キャリアステーション12は、複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、例えば円形の複数枚のウエハWを密封状態で収容し、ウエハWを出し入れするための開閉扉(不図示)を側面11a側に有する。キャリア11は、側面11aが搬入・搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。搬入・搬出部13は、キャリアステーション12上の複数のキャリア11にそれぞれ対応する複数の開閉扉13aを有する。側面11aの開閉扉と開閉扉13aとを同時に開放することで、キャリア11内と搬入・搬出部13内とが連通する。搬入・搬出部13は受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0025】
処理ブロック5は、BCTモジュール(下層膜形成モジュール)14と、COTモジュール(レジスト膜形成モジュール)15と、TCTモジュール(上層膜形成モジュール)16と、DEVモジュール(現像処理モジュール)17とを有する。これらのモジュールは、床面側からDEVモジュール17、BCTモジュール14、COTモジュール15、TCTモジュール16の順に並んでいる。
【0026】
BCTモジュール14は、ウエハWの表面上に下層膜を形成するように構成されている。BCTモジュール14は、複数の塗布ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA2とを内蔵している。塗布ユニットは、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面に塗布するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。BCTモジュール14において行われる熱処理の具体例としては、塗布液を硬化させるための加熱処理が挙げられる。
【0027】
COTモジュール15は、下層膜上に熱硬化性且つ感光性のレジスト膜を形成するように構成されている。COTモジュール15は、複数の塗布ユニットU1と、複数の熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。塗布ユニットU1は、レジスト膜形成用の塗布液(レジスト剤)を下層膜の上に塗布するように構成されている。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。COTモジュール15において行われる熱処理の具体例としては、塗布液を硬化させるための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。
【0028】
TCTモジュール16は、レジスト膜上に上層膜を形成するように構成されている。TCTモジュール16は、複数の塗布ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。塗布ユニットは、上層膜形成用の塗布液をウエハWの表面に塗布するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。TCTモジュール16において行われる熱処理の具体例としては、塗布液を硬化させるための加熱処理が挙げられる。
【0029】
DEVモジュール17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成されている。DEVモジュール17は、複数の現像ユニット(不図示)と、複数の熱処理ユニット(不図示)と、これらのユニットにウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している。現像ユニットは、レジスト膜を部分的に除去してレジストパターンを形成するように構成されている。熱処理ユニットは、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行う。DEVモジュール17において行われる熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0030】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面からTCTモジュール16に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0031】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面からDEVモジュール17の上部に亘るように設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0032】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0033】
コントローラ100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成され、塗布・現像装置2を制御する。コントローラ100は、制御条件の設定画面を表示する表示部(不図示)と、制御条件を入力する入力部(不図示)と、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からプログラムを読み取る読取部(不図示)とを有する。記録媒体は、塗布・現像装置2に処理を実行させるためのプログラムを記録している。このプログラムがコントローラ100の読取部によって読み取られる。記録媒体としては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。コントローラ100は、入力部に入力された制御条件と、読取部により読み取られたプログラムとに応じて塗布・現像装置2を制御する。
【0034】
[塗布ユニットの構成]
続いて、
図4を参照して、塗布ユニットU1についてさらに詳しく説明する。塗布ユニットU1は、
図4に示されるように、回転保持部20と、駆動部30と、液供給システム40とを備える。
【0035】
回転保持部20は、回転部21と、保持部23とを有する。回転部21は、上方に突出したシャフト22を有する。回転部21は、例えば電動モータ等を動力源としてシャフト22を回転させる。保持部23は、シャフト22の先端部に設けられている。保持部23上には、ウエハWが水平に配置される。保持部23は、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持する。すなわち、回転保持部20は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面に対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。本実施形態では、回転軸は、円形状を呈するウエハWの中心を通っているので、中心軸でもある。本実施形態では、
図4に示されるように、回転保持部20は、上方から見て時計回りにウエハWを回転させる。
【0036】
駆動部30は、ノズルNを駆動するように構成されている。駆動部30は、ガイドレール31と、スライドブロック32と、アーム33とを有する。ガイドレール31は、回転保持部20(ウエハW)の上方において水平方向に沿って延びている。スライドブロック32は、ガイドレール31に沿って水平方向に移動可能となるように、ガイドレール31に接続されている。アーム33は、スライドブロック32とノズルNとを接続している。ノズルNは、アーム33の下端に配置されている。駆動部30は、例えば電動モータ等を動力源として、スライドブロック32を移動させ、これに伴ってノズルNを移動させる。平面視において、ノズルNは、ウエハWの回転軸に直交する直線上を、ウエハWの径方向に沿って移動する。
【0037】
液供給システム40は、コントローラ100からの制御信号を受けて塗布液(処理液)を、ノズルNからウエハWの表面Waに吐出させる。ノズルNは、ウエハWの表面Waに向けて下方に開口している。塗布液は、ウエハWの表面Waに塗布膜R(
図4参照)を形成するために用いられる液である。塗布液としては、例えば、レジストパターンを形成するためのレジスト液や、反射防止膜(例えば、下層反射防止コーティング(BARC)膜、シリコン含有反射防止コーティング(SiARC)膜)を形成するための液などが挙げられる。ウエハWの表面Waに吐出された塗布液が乾燥すると、
図4に示されるように、ウエハWの表面Waに塗布膜Rが形成される。液供給システム40の詳細については後述する。
【0038】
[液供給システムの詳細な構成及びコントローラの機能]
液供給システム40の詳細な構成、及び、液供給システム40を制御するコントローラ100の機能について、
図5を参照して説明する。
【0039】
液供給システム40は、液ボトルBと、液タンクLEと、ポンプ装置P1と、フィルタ装置F1と、配管D1〜D6(流路)と、バルブVと、三方弁Vt1〜Vt3と、第1レーザユニット50(光学測定機構)と、第2レーザユニット60(色情報取得機構)と、キュベット150,160とを備える。
【0040】
配管D1の上流端は、N
2ガス源に接続されている。配管D1の下流端は、液ボトルBの上蓋近傍に位置するように、液ボトルBの上蓋部分に接続されている。液ボトルBは、塗布液の供給源として機能する。
【0041】
配管D2の上流端は、液ボトルBの下底近傍に位置するように、液ボトルBの上蓋部分に接続されている。配管D2の下流端は、液タンクLEの上蓋寄りに位置するように、液タンクLEの上蓋部分に接続されている。配管D2上には、キュベット160が設けられている。液タンクLEは、液ボトルBから排出された塗布液を一時的に貯留する貯留部として機能する。
【0042】
配管D3(送液ラインの一形態)の上流端は、液タンクLEの下底部分に接続されている。配管D3の下流端は、ノズルNに接続されている。配管D3上には、上流側から順に、フィルタ装置F1、三方弁Vt1、ポンプ装置P1、三方弁Vt2、キュベット150、バルブV、及び三方弁Vt3が設けられている。
【0043】
フィルタ装置F1は、塗布液に含まれるパーティクルなどの異物を除去する。ポンプ装置P1は、液タンクLE内の塗布液を吸引してノズルNに向けて送り出す。バルブVは、空気を利用して弁を開閉(オン/オフ)させるエアオペレートバルブである。バルブVは、弁の開放時にノズルNから塗布液を吐出させると共に、弁の閉鎖時にノズルNからの塗布液の吐出を停止させる。バルブVは、ノズルNから吐出される塗布液の流量を所定の大きさに制御する機能を有していてもよい。バルブVは、ノズルNからの塗布液の吐出を停止させる際に、ノズルNに塗布液が滞留しないようノズルN内の塗布液を吸引する機能(サックバック機能)を有していてもよい。
【0044】
配管D3は、部分D3a〜D3dを有する。部分D3aは、液タンクLEとフィルタ装置F1との間で延びている。部分D3bは、三方弁Vt1とポンプ装置P1との間で延びている。部分D3cは、三方弁Vt2とバルブVとの間で延びている。部分D3dは、三方弁Vt3とノズルNとの間で延びている。
【0045】
三方弁Vt1は、フィルタ装置F1の出口側(下流側)に設けられている。三方弁Vt1は、フィルタ装置F1と部分D3bとの間において液体の流通を可能とさせつつフィルタ装置F1及び部分D3bと配管D4との間における液体の流通を阻止する状態と、フィルタ装置F1と配管D4との間において液体の流通を可能とさせつつ部分D3bとフィルタ装置F1及び配管D4との間における液体の流通を阻止する状態との間で動作する。
【0046】
三方弁Vt2は、ポンプ装置P1の出口側(下流側)に設けられている。三方弁Vt2は、ポンプ装置P1と部分D3cとの間において液体の流通を可能とさせつつポンプ装置P1及び部分D3cと配管D5との間における液体の流通を阻止する状態と、ポンプ装置P1と配管D5との間において液体の流通を可能とさせつつ部分D3cとポンプ装置P1及び配管D5との間における液体の流通を阻止する状態との間で動作する。
【0047】
三方弁Vt3は、バルブVの出口側(下流側)に設けられている。三方弁Vt3は、バルブVと部分D3dとの間において液体の流通を可能とさせつつバルブV及び部分D3dと配管D6との間における液体の流通を阻止する状態と、バルブVと配管D6との間において液体の流通を可能とさせつつ部分D3dとバルブV及び配管D6との間における液体の流通を阻止する状態との間で動作する。
【0048】
配管D4の上流端は、三方弁Vt1に接続されている。配管D5の上流端は、三方弁Vt2に接続されている。配管D6の上流端は、三方弁Vt3に接続されている。配管D4〜D6を流れる液体はそれぞれ、配管D4〜D6を通じて系外(システム外)に排出される。
【0049】
キュベット150は、部分D3cに設けられ、部分D3cを流れる塗布液の流路部であって、後述する第1レーザユニット50からのレーザ光を透過する。キュベット160は、配管D2に設けられ、配管D2を流れる塗布液の流路部であって、後述する第2レーザユニット60からのレーザ光を透過する。キュベット150,160は、レーザ光を透過できるように例えば透明な石英により構成されている。
【0050】
液供給システム40は、
図6に示すように、第1レーザユニット50から、配管(詳細には部分D3c)を流れる塗布液にレーザ光を照射する。液供給システム40では、塗布液を透過したレーザ光の強度から、塗布液に含まれる異物(パーティクル又は気泡等)の状態を推定する。異物の状態とは、例えば、異物の粒径、異物の数、及び異物の種別を示す情報である。例えば、取得されたレーザ光の強度が小さい場合には、異物の粒径が大きい又は異物の数が多いと推定される。
【0051】
ここで、塗布液の色とレーザ光の波長帯との組み合わせによっては、塗布液がレーザ光を吸収することにより塗布液が変質(発光・発熱・化学変化等を伴う変化)するおそれがある。このことは、第1レーザユニット50から塗布液にレーザ光が照射される前に、塗布液の色情報を把握することにより回避することが可能となる(詳細は後述)。塗布液の色情報を把握するための構成として、液供給システム40では、
図6に示すように、第1レーザユニット50から塗布液にレーザ光が照射される箇所よりも上流において、第2レーザユニット60から塗布液にレーザ光が照射される構成を採用している。第2レーザユニット60から照射されるレーザ光は、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光と波長が近似したレーザ光とされる。このため、第2レーザユニット60から塗布液に照射されたレーザ光の吸収度合いが高い(例えば塗布液がレーザ光を透過しない)場合には、当該塗布液が、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光を吸収しやすい(第1レーザユニット50からのレーザ光によっては変質しやすい)と推定することができる。一方、第2レーザユニット60から塗布液に照射されたレーザ光の吸収度合いが低い(例えば塗布液がレーザ光を透過する)場合には、当該塗布液が、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光を吸収しにくい(第1レーザユニット50からのレーザ光によっては変質しにくい)と推定することができる。以下では、第1レーザユニット50、第2レーザユニット60、及び液供給システム40を制御するコントローラ100の機能の詳細について説明する。
【0052】
図5に戻り、第1レーザユニット50は、配管D3の部分D3cを流れる塗布液に対してレーザ光を照射し、該光の変化に基づき塗布液の状態を取得する。
図5に示すように、第1レーザユニット50は、レーザ光を透過するキュベット150にレーザ光を照射することにより、該キュベット150を介して塗布液にレーザ光を照射する。第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の波長は例えば532ナノメートルである。また、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の照射強度は例えば800W程度とされる。第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の波長及びエネルギーは一例であり、これに限定されるものではない。
【0053】
第1レーザユニット50のより詳細な構成について、
図7を参照して説明する。第1レーザユニット50は、光源51と、シャッタ52と、ファイバ53と、コリメータ54と、対物レンズ55と、受光用レンズ56と、受光素子57とを有している。光源51は、レーザ光を照射する光供給部である。光源51から出射されたレーザ光はファイバ53に導光される。ファイバ53の下端にはコリメータ54が設けられている。シャッタ52は、ファイバ53の上流側と下流側との間の光路を遮蔽する遮蔽位置(
図7中の二点鎖線で示した位置)と、当該光路から退避する開放位置(
図7中の実線で示した位置)との間で移動し、当該光路を開閉する。第1レーザユニット50では、コントローラ100の制御に応じてアクチュエータがシャッタ52を移動させることにより、上記光路の開閉が行われる。コリメータ54から出射された平行光は集光レンズである対物レンズ55を経てキュベット150(すなわちキュベット150を流れる塗布液)に照射される。キュベット150に照射された光は受光用レンズ56を介して受光素子57に導光される。受光素子57は、受信した光に応じた電気信号をコントローラ100に出力する。このような構成によれば、キュベット150を流れる塗布液中の異物の状体に応じて受光素子57から出力される電気信号が変化することになるため、当該電気信号に応じて塗布液の状態(どの程度異物を含むか等)を把握することができる。
【0054】
図5に戻り、第2レーザユニット60は、配管D2を流れる塗布液に対してレーザ光(判別用光)を照射することにより、塗布液の色情報を取得する。塗布液の色情報とは、例えば、塗布液が、第2レーザユニット60から照射されるレーザ光を吸収しやすい色であるか否かを示す情報である。
図5に示すように、第2レーザユニット60は、レーザ光を透過するキュベット160にレーザ光を照射することにより、該キュベット160を介して塗布液にレーザ光を照射する。第2レーザユニット60は、光源61(照射部)を有している。光源61は、レーザ光を照射する光供給部である。光源61は、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光の波長と近似する波長のレーザ光を塗布液に照射し、より詳細には、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光の波長よりも長波長の光を照射する。光源61は、例えば第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の波長が532ナノメートルである場合に、600〜800ナノメートル程度のレーザ光を照射してもよい。また、光源61は、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光よりも照射強度が低いレーザ光を塗布液に照射してもよい。光源61は、例えば第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の照射強度が1Wである場合に、100mW程度の照射強度のレーザ光を照射してもよい。
【0055】
第2レーザユニット60は、
図7に示す第1レーザユニット50と同様の構成を有している。すなわち、第2レーザユニット60は、光源61に加えて、シャッタ、ファイバ、コリメータ、対物レンズ、受光用レンズ、及び受光素子等の構成(いずれも不図示)を有している。このような構成によれば、キュベット160を流れる塗布液のレーザ光の吸収度合いに応じて、受光素子からコントローラ100に出力される電気信号が変化することとなる。このため、当該電気信号に応じて塗布液の色情報(例えば、塗布液が判別用光を吸収しやすい色であるか否かを示す情報)を把握することができる。なお、上述したように、判別用光としては、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光の波長と近似する波長のレーザ光が用いられるため、「塗布液が、判別用光を吸収しやすい」とは、「塗布液が、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光を吸収しやすい」と同義である。すなわち、第2レーザユニット60の受光素子から出力される電気信号に基づいて、塗布液が、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光を吸収しやすいか否かを把握することができる。第2レーザユニット60は、以下で説明するコントローラ100と共に照射可否決定機構を構成している。すなわち、第2レーザユニット60及びコントローラ100は、配管(流路)における、第1レーザユニット50から塗布液にレーザ光が照射される箇所よりも上流の塗布液(具体的には配管D2を流れる塗布液)に基づき、第1レーザユニット50による塗布液へのレーザ光の照射可否を決定する照射可否決定機構を構成する。
【0056】
コントローラ100は、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定することと、判定結果に基づき塗布液へのレーザ光の照射可否を決定し該照射可否を示す情報を出力することと、を実行するように構成されている。
【0057】
また、コントローラ100は、第2レーザユニット60の光源61によって塗布液に照射されたレーザ光(判別用光)が塗布液において一定以上吸収された場合に、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定する。
【0058】
また、コントローラ100は、塗布液へのレーザ光の照射が不可であると決定した場合において、照射可否を示す情報として、塗布液の色が異常である旨を示す警告、及び、処理中のウエハWを特定する情報を出力してもよい。
【0059】
また、コントローラ100は、塗布液へのレーザ光の照射が不可であると決定した場合において、第1レーザユニット50によるレーザ光の出力を遮断する遮断制御、新たな基板の搬入を停止する搬入停止制御、前記流路への前記処理液の送液を停止する送液停止制御、及び、前記流路を流れる前記処理液を廃棄する排液制御を更に実行するように構成されていてもよい。
【0060】
図5に示すように、コントローラ100は、機能モジュールとして判定部101と、出力部102と、遮断制御部103と、搬入停止制御部104と、送液停止制御部105と、排液制御部106とを有する。
【0061】
判定部101は、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定する。判定部101は、第2レーザユニット60の光源61によって塗布液に照射されたレーザ光(判別用光)が塗布液において一定以上吸収された場合に、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定する。判定部101は、第2レーザユニット60の受光素子から、電気信号を受信する。当該電気信号は、例えば、塗布液におけるレーザ光の吸収度合いが大きいほど小さな信号となり、吸収度合いが小さいほど大きな信号となる。このため、判定部101は、第2レーザユニット60の受光素子から送信される電気信号に基づき、塗布液におけるレーザ光の吸収度合いを特定することができる。判定部101は、吸収度合いが所定値よりも大きい塗布液について、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報を有する塗布液である(すなわち、第1レーザユニット50のレーザ光によって変質する塗布液である)と判定する。
【0062】
出力部102は、判定部101の判定結果に基づき、第1レーザユニット50による塗布液へのレーザ光の照射可否を決定し、該照射可否を示す情報を出力する。出力部102は、判定結果において、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定されている場合に照射不可と決定し、所定の色情報でないと判定されている場合に照射可と決定する。出力部102は、照射可否を示す情報を、少なくとも、遮断制御部103、搬入停止制御部104、送液停止制御部105、及び排液制御部106に出力する。出力部102は、照射可否を示す情報として、例えば、塗布液の色が異常である旨を示す警告、及び、処理中のウエハWを特定する情報を出力する。
【0063】
遮断制御部103は、出力部102によって照射不可であると決定された場合において、第1レーザユニット50によるレーザ光の出力を遮断する遮断制御を実行する。具体的には、遮断制御部103は、第1レーザユニット50のシャッタ52がファイバ53の光路を遮蔽する位置に移動するように、第1レーザユニット50のアクチュエータを制御する。
【0064】
搬入停止制御部104は、出力部102によって照射不可であると決定された場合において、新たなウエハWの搬入を停止する搬入停止制御を実行する。具体的には、搬入停止制御部104は、新たなウエハWが塗布ユニットU1に搬入されないように、搬送アームA3(
図3参照)のアクチュエータを制御する。
【0065】
送液停止制御部105は、出力部102によって照射不可であると決定された場合において、ノズルNへ向かう流路である配管D3の部分D3dへの塗布液の送液を停止する送液停止制御を実行する。具体的には、送液停止制御部105は、バルブVの弁を閉鎖するように制御することにより、配管D3の部分D3dへの塗布液の送液を停止し、ノズルNからの塗布液の吐出を停止させる。
【0066】
排液制御部106は、出力部102によって照射不可であると決定された場合において、配管D3を流れる塗布液を廃棄する排液制御を実行する。具体的には、排液制御部106は、フィルタ装置F1と配管D4との間においてフィルタ装置F1からの塗布液が配管D4から廃棄されるように三方弁Vt1を動作させる。また、排液制御部106は、ポンプ装置P1と配管D5との間においてポンプ装置P1からの塗布液が配管D5から廃棄されるように三方弁Vt2を動作させる。また、排液制御部106は、バルブVと配管D6との間においてバルブVからの塗布液が配管D6から廃棄されるように三方弁Vt3を動作させる。
【0067】
コントローラ100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えばコントローラ100は、
図8に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマー125とを有する。
【0068】
入出力ポート124は、第1レーザユニット50、第2レーザユニット60、搬送アームA3、三方弁Vt1〜Vt3、及びバルブV等との間で電気信号の入出力を行う。タイマー125は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体を有する。記録媒体は、後述の基板処理手順を実行させるためのプログラムを記録している。記録媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記録媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。
【0069】
なお、コントローラ100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0070】
(基板処理手順)
次に、基板処理方法の一例として、上述した塗布液の色情報の判定等を含む基板処理手順を説明する。
図9に示すように、コントローラ100は、ステップS1,S2,S3,S4,S5,S6,S7を順に実行する。
【0071】
ステップS1では、判定部101が、第2レーザユニット60から、塗布液の色情報を取得する。塗布液の色情報とは、塗布液における判別用光の吸収度合いに基づいて第2レーザユニット60で特定されている情報であり、塗布液が判別用光(及び、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光)を吸収しやすい色であるか否かを示す情報である。
【0072】
ステップS2では、判定部101が、取得した塗布液の色情報に基づき、当該塗布液が第1レーザユニット50から照射されるレーザ光によって変質する塗布液であるか否かを判定する。すなわち、判定部101は、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50から照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定する。ステップS2において、塗布液が第1レーザユニット50から照射されるレーザ光によって変質しない塗布液であると判定された場合には、第1レーザユニット50からレーザ光が照射可能であると判断され、処理を終了する。一方で、ステップS2において、塗布液が第1レーザユニット50から照射されるレーザ光によって変質する塗布液であると判定された場合には、第1レーザユニット50からレーザ光が照射不可であると判断され、照射不可であることを示す情報が出力される。つづいて、ステップS3〜S7が順に実行される。
【0073】
ステップS3では、遮断制御部103が、第1レーザユニット50からのレーザ光の出力が遮断される(レーザOFFとなる)ように、遮断制御を実行する。具体的には、遮断制御部103は、第1レーザユニット50のシャッタ52がファイバ53の光路を遮蔽する位置に移動するように、第1レーザユニット50のアクチュエータを制御する。
【0074】
ステップS4では、出力部102が、エラー情報を出力(エラー発報)する。具体的には、出力部102は、塗布液の色情報(レーザ光の吸収度合い)に応じて、塗布液が異種薬液である疑いがあること、及び、第1レーザユニット50(メインレーザ)での正常測定が不可であること等を報知する。また、第1レーザユニット50からのレーザ光の出力遮断が完了していない場合(レーザONの場合)には、出力部102は、塗布液が変質する可能性がある旨を報知する。
【0075】
ステップS5では、送液停止制御部105が、送液機能を停止する送液停止制御を実行する。具体的には、送液停止制御部105は、バルブVの弁を閉鎖するように制御することにより、配管D3の部分D3dへの塗布液の送液を停止し、ノズルNからの塗布液の吐出を停止させる。
【0076】
ステップS6では、排液制御部106が、流路を切り替えるライン切り替えを行い、配管D3を流れる塗布液を廃棄する排液制御を実行する。具体的には、排液制御部106は、フィルタ装置F1と配管D4との間において塗布液の流通が可能なフィルタ装置F1からの塗布液が配管D4から廃棄されるように三方弁Vt1を動作させる。また、排液制御部106は、ポンプ装置P1と配管D5との間においてポンプ装置P1からの塗布液が配管D5から廃棄されるように三方弁Vt2を動作させる。また、排液制御部106は、バルブVと配管D6との間においてバルブVからの塗布液が配管D6から廃棄されるように三方弁Vt3を動作させる。
【0077】
ステップS7では、搬入停止制御部104が、新たなウエハWの搬入が停止されるように搬入停止制御を実行する。具体的には、搬入停止制御部104は、新たなウエハWが塗布ユニットU1に搬入されないように、搬送アームA3(
図3参照)のアクチュエータを制御する。
【0078】
なお、上述したステップS3〜S7は、必ずしも全て実行されなくてもよいし、上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、バルブVを制御することのみによって塗布液へのレーザ光の照射(第1レーザユニット50からのレーザ光の照射)を回避できる場合には、ステップS3の遮断制御を行わなくてもよい。また、ステップS3の遮断制御を実行する場合においては、ステップS5の送液停止制御を必ずしも実行しなくてもよい。また、ステップS4後において、必ずしもステップS6の排液制御を行わなくてもよい。
【0079】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態に係る塗布・現像装置2は、配管D3を流れるウエハWの塗布液に対してレーザ光を照射し、該レーザ光の変化に基づき塗布液の状態を取得する第1レーザユニット50と、流路における、第1レーザユニット50から塗布液にレーザ光が照射される箇所よりも塗布液の供給源である液ボトルB側の塗布液(具体的には配管D2を流れる塗布液)に基づき、第1レーザユニット50による塗布液へのレーザ光の照射可否を決定する照射可否決定機構と、を備え、照射可否決定機構は、塗布液の色情報を取得する第2レーザユニット60と、コントローラ100と、を有し、コントローラ100は、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射される光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かを判定することと、判定結果に基づき塗布液へのレーザ光の照射可否を決定し該照射可否を示す情報を出力することと、を実行するように構成されている。
【0080】
このような塗布・現像装置2では、第1レーザユニット50によって塗布液へレーザ光が照射される箇所よりも上流側の塗布液に基づいて、塗布液の色情報が、照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かが判定され、該判定結果に基づき塗布液へのレーザ光の照射可否が決定される。塗布液の色と照射されるレーザ光の波長帯との組み合わせによっては、塗布液が光を吸収することにより塗布液が変質するおそれがある。この点、塗布液へレーザ光を照射する前段階において、塗布液の色情報がレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であるか否かが判定されることにより、塗布液が、照射されるレーザ光によって変質するものであるか否かを判定することができる。そして、当該判定結果に基づき塗布液へのレーザ光の照射可否が決定され該照射可否を示す情報が出力されることによって、例えば、流路を流れる塗布液が第1レーザユニット50からのレーザ光によって変質するおそれがある場合には、第1レーザユニット50からのレーザ光の照射を停止する等の対応が可能となり、塗布液が変質することを適切に防止することができる。
【0081】
第2レーザユニット60は、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光の波長と近似する波長のレーザ光(判別用光)を塗布液に照射する光源61を有し、コントローラ100は、光源61によって塗布液に照射された判別用光が塗布液において一定以上吸収された場合に、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定する。判別用光が塗布液において一定以上吸収される場合には、該判別用光と波長が近似する、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光についても、塗布液に吸収されやすいと考えられる。このため、判別用光が塗布液において一定以上吸収された場合に、塗布液の色情報が、第1レーザユニット50によって照射されるレーザ光の波長を吸収し易い所定の色情報であると判定し、塗布液へのレーザ光の照射が不可であると決定することにより、上述した照射可否の決定を簡易且つ高精度に行うことができる。
【0082】
第2レーザユニット60の光源61は、判別用光として、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光よりも長波長のレーザ光を照射する。判別用光を長波長のレーザ光、すなわちエネルギーの低いレーザ光とすることにより、判別用光を照射する段階(判定段階)において、塗布液が変質することを抑制できる。
【0083】
第2レーザユニット60の光源61は、第1レーザユニット50から塗布液に照射されるレーザ光よりも照射強度が低い判別用光を塗布液に照射する。これにより、判別用光を照射する段階(判定段階)において、塗布液が変質することを抑制できる。
【0084】
コントローラ100は、塗布液へのレーザ光の照射が不可であると決定した場合において、照射可否を示す情報として、塗布液の色が異常である旨を示す警告、及び、処理中のウエハWを特定する情報を出力する。これにより、当該照射可否を示す情報に基づき、塗布液の変質を防ぐ処理を適切に実行することができる。
【0085】
コントローラ100は、塗布液へのレーザ光の照射が不可であると決定した場合において、第1レーザユニット50によるレーザ光の出力を遮断する遮断制御、新たなウエハWの搬入を停止する搬入停止制御、流路への塗布液の送液を停止する送液停止制御、及び、流路を流れる塗布液を廃棄する排液制御の少なくともいずれか一つを更に実行するように構成されている。これにより、塗布液の変質、及び塗布液の変質の影響がウエハWに及ぶことを適切に防止することができる。すなわち、遮断制御が行われることにより塗布液に対してレーザ光が照射されないこととなるため塗布液の変質を防止できる。また、搬入停止制御が行われることにより、変質した塗布液がウエハWに塗布されることを防止できる。また、送液停止制御が行われることにより、レーザ光の照射によって変質するおそれのある処理液が送液されることを防止でき、プロセス不良を防止することができる。また、排液制御が行われることにより、変質するおそれがある処理液を適切に廃棄することができ、流路の下流側を異種塗布液で汚すことを防止することができる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、色情報取得機構として第2レーザユニット60を用いるとして説明したがこれに限定されず、
図10に示すように、色情報取得機構として測色計260を用いてもよい。測色計260は、例えば塗布液の色を256色の中から一意に特定するものである。色情報取得機構として測色計260を用いる場合には、例えば予めNG色(第1レーザユニット50からのレーザ光を吸収しやすい色)を設定しておき、測色計260において特定された塗布液の色が当該NG色である場合に第1レーザユニット50からのレーザ光の照射を停止してもよい。また、色情報取得機構として、測色計260に替えて撮像装置を用いてもよい。このように、測色計又は撮像装置により塗布液の色情報を取得することにより、簡易な構成によって塗布液の色情報を適切に把握することができる。
【0087】
また、色情報取得機構としての第2レーザユニット60の光源61(照射部)は、複数パターンの波長のレーザ光(判別用光)を塗布液に照射するものであってもよい。第2レーザユニット60の光源61は、1か所に対して、波長を変えながら複数のレーザ光を照射してもよいし、複数個所に設けられてそれぞれの箇所で互いに波長が異なるレーザ光を照射してもよい。このように、複数パターンの波長のレーザ光が塗布液に照射されることにより、塗布液が吸収し易い波長帯をより細かく特定することができる。このことで、第1レーザユニット50からのレーザ光の照射を停止するか否かの判断や、エラー情報の発報内容についてより精度を高くすることができる。