(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流路形成部材を有する包装袋では、例えば、流路形成部材の外周面に積層体が接着されていると、開封補助線をレーザー加工により形成する際に、流路形成部材の陰になってレーザー光が到達しない領域が生じてしまう。加工用のレーザー光が流路形成部材に遮られてしまうと、加工不良が生じ、開封時にプルタブを本体から切り離すことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、注出口の開封性が良好な包装袋、加工用のレーザー光が流路形成部材に遮られることなく所定の加工位置に到達し、良好なレーザー加工を行うことのできる注出口付き包装袋の製造方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における注出口付き包装袋は、注出口に流路形成部材を有した注出口付き包装袋であって、互いに重ね合わせられる一対のフィルムと、前記一対のフィルムの周囲に設けられた第1シール部と、前記第1シール部によって囲まれた前記一対のフィルムの間に形成される
第1未シール部と、前記
第1未シール部に
後端が露出するように設けられ前記注出口の流路となる円筒形状の流路形成部材と、
前記第1未シール部に前記流路形成部材を介して連通する第2未シール部と、前記流路形成部材の長さ方向の一部において周方向に亘って設けられた前記一対のフィルムに対する第2シール部と、前記流路形成部材と前記
第2未シール部を横断するように前記一対のフィルムにレーザー光を照射することで形成された開封補助線と、を備え、開封後に前記一対のフィルムから前記流路形成部材の先端が露出する構造とされており、前記
第2未シール部は、前記開封補助線が形成された位置において、前記流路形成部材の径方向両側の前記第1シール部のシール端と、前記流路形成部材
の先端との間に形成される隙間を含
み、前記流路形成部材は、前記先端が、前記第2未シール部内に露出しているとともに、平面視略円形状を呈する前記第2未シール部の円周上であって当該円周に略直交するように配置されている、前記流路形成部材の長さ方向から見たとき、前記開封補助線が形成された位置における前記シール端が、レーザー光源と前記隙間とを結ぶ前記流路形成部材の接線よりも当該流路形成部材の径方向外側に位置している。
【0008】
本発明の一態様における注出口付き包装袋において、前記流路形成部材の長さ方向から見たとき、前記開封補助線が形成された位置における前記シール端が、前記流路形成部材の接線上に位置している、あるいは前記流路形成部材の接線よりも当該流路形成部材の径方向外側に位置している構成としてもよい。
【0009】
本発明の一態様における注出口付き包装袋において、前記開封補助線が形成された位置における前記シール端と前記流路形成部材との間の間隔が、前記流路形成部材の直径の15%以上60%以下の長さである構成としてもよい。
【0010】
本発明の一態様における注出口付き包装袋において、開封後に前記一対のフィルムから露出する前記流路形成部材の前記先端の長さは、前記流路形成部材の全体の長さのうち20%以上50%以下である構成としてもよい。
【0011】
本発明の一態様における注出口付き包装袋において、
前記フィルムの法線方向から見たとき、前記隙間は、前記長さ方向の先端側へ行くにしたがって広がっている構成としてもよい。
【0012】
本発明の一形態における注出口付き包装袋の製造方法は、注出口に流路形成部材を有した注出口付き包装袋の製造方法であって、重ねて配置される一対のフィルムの間に流路形成部材を配置し、これらのシール箇所を前記一対のフィルムの厚さ方向の両側から押圧しながらヒートシールすることで、前記一対のフィルムの周囲に第1シール部を形成するとともに前記流路形成部材の長さ方向の一部において周方向に亘って第2シール部を形成し、前記流路形成部材の周囲に未シール部を得る工程と、シールされた前記一対のフィルムに対して、前記流路形成部材及び前記未シール部を横断するようにレーザー加工を施すことによって開封補助線を形成する工程と、を備え、前記未シール部を得る工程では、前記開封補助線が形成された位置において、前記流路形成部材の径方向両側の前記第1シール部のシール端と、前記流路形成部材との間に隙間を形成するように前記未シール部を形成
し、前記レーザー加工を施す工程において、前記流路形成部材の径方向に沿って、前記流体形成部材の径方向両側の前記未シール部及び前記シール端を横断するようにレーザー光を照射
し、前記流路形成部材の長さ方向から見たとき、前記開封補助線が形成された位置における前記シール端が、レーザー光源と前記隙間とを結ぶ前記流路形成部材の接線よりも当該流路形成部材の径方向外側に位置している。
【0013】
また、本発明の一態様における注出口付き包装袋は、前記レーザー加工を施す工程において、前記流路形成部材の径方向に沿って、前記流体形成部材の径方向両側の前記未シール部及び前記シール端を横断するようにレーザー光を照射する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、注出口の開封性が良好な包装袋、加工用のレーザー光が流路形成部材に遮られることなく所定の加工位置に到達し、良好なレーザー加工を行うことのできる注出口付き包装袋の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
[包装袋]
図1は、本実施形態における注出口付き包装袋5の構成を示す平面図である。
図2は、包装袋5の注出口付近の構成を拡大して示す図である。
図1に示すように、本実施形態の包装袋5は、互いに平面形状が同一である2枚の胴部フィルム(フィルム)2,2と、折り線3aを中心にして2つ折りにされた底部フィルム3とから構成されたスタンディングパウチである。
【0018】
図1に示すように、底部フィルム3は、折り線3aが内向きとなるように折り重ねられて一対の胴部フィルム2,2の下部同士の間に介装されている。これら一対の胴部フィルム2,2と底部フィルム3とが重ねられ、充填口13を除いて、これら各胴部フィルム2,2の周縁がヒートシールされることで一体に形成されている。具体的に、包装袋5は、左右両側の側端がシールされることで形成された側端シール部5b、5bと、各胴部フィルム2,2の下部側と底部フィルム3とが互いに対向する対向面の下端縁部同士がシールされることで形成された底部シール部5aと、を有している。
図1では、シール部の範囲を明示するためにハッチングを付した。
【0019】
胴部フィルム2,2の上端側に位置する充填口13は、内容物の充填のために開放されており、この充填口13を通して、包装袋5の収容部1aに内容物を充填することが可能である。なお、第1未シール部15Aに形成される収容部1a内に内容物が充填された後は、他の部分と同じようにシールされることにより、充填口13が閉鎖される。第1未シール部15Aは、胴部フィルム2,2がシール(接着または接合)されることなく、相互に分離可能に重なり合った部分である。収容部1a内に内容物が充填された後の包装袋5は、内容物の重さによって底部フィルム3が下方へ押し広げられることで底面積が増え、スタンディング可能となる。
【0020】
図1に示すように、包装袋5の上側の隅部すなわち上辺14aと側辺14bとの間には、注出口14の流路となる第2未シール部(未シール部)15Bが包装袋5の斜め上方を向くように設けられている。
【0021】
隙間形成シール部(第1シール部)15a,15bは、注出口14の先端部を除去して流路を開口したときに流路の両側部をそれぞれ区画しており、一方の隙間形成シール部15aと他方の隙間形成シール部15bとの間の第2未シール部15B内に配置された流路形成部材4が、注出口14の流路となる。流路形成部材4としては、例えば、円筒形状のストロー等が挙げられる。第2未シール部15Bの先端部は、封止シール部(第1シール部)15cによって閉鎖されている。
【0022】
このような流路形成部材4は、その長さ方向が
図1に示す流路方向Aに沿うように配置され、
図2に示すポイントシール19によって少なくとも一方の胴部フィルム2の一部に部分的に熱溶着されて、固定されている。
【0023】
本実施形態の流路形成部材4は、さらに第2シール部25によって各胴部フィルム2,2に固定されている。第2シール部25は、流路形成部材4の長さ方向の少なくとも一部においてその周方向に亘って形成されている。第2シール部25は、一対の胴部フィルム2,2が流路形成部材4の外周面に隙間なく密着することで形成されるため、第1未シール部15Aと第2未シール部15Bとが流路形成部材4を通じて連通した状態となっている。流路形成部材4のうち、第2シール部25が形成された以外の領域は胴部フィルム2,2に接着されていない。流路形成部材4の先端4aは、第2未シール部15B内に露出しており、胴部フィルム2,2には接着されていない。
【0024】
注出口14には、開封を容易にするため、流路となる流路形成部材4及び第2未シール部15Bを横断するように形成された開封補助線9が設けられている。開封補助線9は、開封時に流路形成部材4の先端4aが胴部フィルム2,2から露出するように、流路形成部材4の長さ方向内側に形成されている。
【0025】
また、注出口14には、さらに開封補助線9の一端側に切り抜き線17aによって形成されたタブ16aと、開封補助線9の他端側に切り抜き線17bによって形成されたタブ16bと、が設けられている。以下の説明においてタブ16a及びタブ16bを区別しないときは、単にタブ16と言うことがある。
【0026】
開封補助線9は、第2未シール部15Bを区画する隙間形成シール部15a、15bと、上記切り抜き線17a,17bと、をそれぞれ一方向に横切る長さで形成されており、当該開封補助線9が一方の切り抜き線17aと他方の切り抜き線17bとに接続されることで、開封時にタブ16の切り離しが可能となっている。開封補助線9は、注出口14を含む2枚の胴部フィルム2,2のそれぞれに設けられている。
【0027】
このような開封補助線9は、ハーフカット線から構成されている。ハーフカット線は、胴部フィルム2の厚さ方向の一部が長手方向に連続して切断された構造を有する。厚さ方向の少なくとも一部で胴部フィルム2がつながっているため、開封前にハーフカット線を通して内容物が漏れることはない。胴部フィルム2の厚さ方向において開封補助線9が形成される範囲は特に限定されないが、切断部が胴部フィルム2の内側または外側(その一方または両方)に露出されないことが好ましい。胴部フィルム2の内部にハーフカット線を形成する方法として、レーザー加工が挙げられる。胴部フィルム2の表面にハーフカット線を形成する方法として、レーザー加工や刃物などが挙げられる。
【0028】
包装袋5の寸法は特に限定されるものではないが、詰め替え用容器として好適な範囲としては、包装袋5の高さ(Y方向長さ)が100〜500mm程度、包装袋5の幅(両側端間の最大幅:X方向長さ)は70〜300mm程度、内容物の充填量は100〜5000cm
3程度である。内容物は、特に限定されるものではないが、液状物、粉体や顆粒体等の固体、あるいは粘稠体、液体等、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0029】
胴部フィルム2および底部フィルム3として使用するフィルムとしては、従来から使用されているもの、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムを基材フィルム29とし、これらの基材フィルム29に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラントフィルムとして積層した積層体20が用いられる。
【0030】
積層体20を製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法などが挙げられる。基材フィルム29とシーラントフィルム18との間には接着強度の向上のため、接着剤やアンカー剤等を設けることができる。この場合、包装袋5の強度を高めるために基材フィルムを複数枚積層してもよい。あるいは気体や紫外線のバリア性を高めるため、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、セラミック等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを積層してもよい。
【0031】
(注出口付近の構造)
次に、包装袋5の注出口付近の構造について詳しく説明する。なお、以下の説明において、
図1及び
図2を適宜参照する。
図3は、開封補助線における注出口付近の断面図である。
図1及び
図2に示したように、本実施形態では、流路形成部材4の長さ方向中央部分よりも第1未シール部15A側の端部4b寄りに第2シール部25が設けられており、流路形成部材4の長さ方向中央部分よりも先端4a側が第2未シール部15B内に露出した状態となっている。
【0032】
第2シール部25が形成された箇所では、流路形成部材4の周方向に亘って胴部フィルム2,2が密着しており、流路形成部材4の外周面と胴部フィルム2,2との間には隙間がない状態となっている。
【0033】
第2未シール部15Bは、第2シール部25から流路形成部材4の先端4a側に向かって拡がりをなす平面視略円形状を呈しており、一例として本実施形態では、最大幅が流路形成部材4の直径の2倍程度の寸法に設定されている。
【0034】
第2未シール部15Bは、
図2及び
図3に示すように、開封補助線9に沿う位置において、流路形成部材4の径方向両側であって隙間形成シール部15aのシール端15dと流路形成部材4の外周面との間、および隙間形成シール部15bのシール端15eと流路形成部材4の外周面との間のそれぞれに空間を形成する隙間7,7を有している。ここでシール端15d,15eとは、一対の胴部フィルム2,2どうしがシールされた領域の端部である。
【0035】
本実施形態では、
図3に示すように流路形成部材4の長さ方向から見たとき、開封補助線9が形成された位置におけるシール端15d、15eが、流路形成部材4の接線f,fよりも当該流路形成部材4の径方向外側に位置している。
【0036】
第2未シール部15Bのうち、開封補助線9に沿う隙間7,7の長さ、つまり、開封補助線9が形成された位置における流路形成部材4とシール端15d,15eとのそれぞれの間の長さL,Lは、それぞれ、流路形成部材4の直径の15%以上60%以下の長さである。より好ましくは、20%以上50%以下の長さである。本実施形態においては、隙間7,7の長さL,Lが互いに略等しい寸法となっているが、異なっていてもよい。
【0037】
図2に示すように、本実施形態の開封補助線9は、開封後に一対の胴部フィルム2,2から流路形成部材4が所定の長さ分が露出するように、その位置が設定されている。具体的に開封補助線9の位置は、流路形成部材4の長さ方向において、流路形成部材4の先端4aから20%以上50%以下の範囲内に位置するように設定されている。これにより、流路形成部材4の全体の長さのうち、先端4aから20%以上50%以下の長さが、開封後に胴部フィルム2,2から露出することになる。
【0038】
本実施形態では、流路形成部材4を、平面視略円形状を呈する第2未シール部15Bの円周上であって当該円周に略直交するように配置している。これにより、流路形成部材4の径方向両側には、シール端15d,15eとの間にそれぞれ隙間7,7が必然的に存在することになる。
なお、流路形成部材4の径方向両側のシール端15d,15eとの間に隙間7,7を設けることができれば、第2未シール部15Bの平面視形状は特に問わない。円形状に限られず、他の形状であってもよい。例えば、楕円状、台形状、矩形状であってもよい。
【0039】
[注出口付き包装袋の製造方法]
次に、本発明に係る注出口付き包装袋の製造方法について述べる。
図4は、本実施形態における注出口付き包装袋5の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5は、注出口付き包装袋5を連続的に製造するための製袋機10の構成を示す図である。
図6は、流路形成部材供給工程S3を説明するための図である。
図7は、開封補助線形成工程S5を説明するための図である。
【0040】
図4に示すように、本実施形態の注出口付き包装袋5の製造方法は、凹部形成工程S1、積層体複葉化工程S2、流路形成部材供給工程S3、シール工程S4、開封補助線形成工程S5、分離工程S6を主に実施する。本実施形態では、シール工程S4及び開封補助線形成工程S5を中心に詳しく述べる。
【0041】
(1) 凹部形成工程S1
まず、繰り出しロール21から繰り出された積層体20に対して、流路形成部材4,4を配置するための凹部24,24を形成する。具体的には、凹部形成手段49における予熱部49aにより、積層体20の搬送方向に沿って所定の間隔で流路形成部材4の配置領域を予熱し、凹部形成部49bにより、積層体20に一対の凹部24を形成する。本実施形態の製袋機10は2面取りのため、幅方向に2つの凹部24を形成する。凹部形成手段49を設けない場合は凹部形成工程S1を省略できる。
【0042】
(2) 積層体複葉化工程S2
積層体複葉化工程S2では、
図5に示す製袋機10における積層体複葉化手段42のカッター42aにより、不図示の繰り出しローラーから繰り出された積層体20を幅方向中央で切断し、2枚の胴部フィルム2,2とする。その後、胴部フィルム2,2を互いのシーラント層18A側を対向させた状態で互いに上下方向に離間させて搬送する。
【0043】
(3) 流路形成部材供給工程S3
次に、下方において搬送される一方の胴部フィルム2におけるシーラント層18A上の所定の位置に流路形成部材4を供給する(
図6)。具体的には、流路形成部材供給手段44における流路形成部材待機部54から流路形成部材供給弁58を介して一つずつ流路形成部材搬送手段52へと供給された流路形成部材4を、設置部53により吸引して保持し、胴部フィルム2上へと移動させて配置する。その後、ポイントシール部55により、流路形成部材4の一部を胴部フィルム2に熱溶着させて仮止めする。
【0044】
(4) シール工程S4
次に、
図7に示すように、流路形成部材4が配置された一方の胴部フィルム2上に他の胴部フィルム2を重ね合せるとともに、底部基材挿入手段22によって各胴部フィルム2,2の幅方向両側端部間に底部フィルム3を挿入して搬送し、各胴部フィルム2,2及び底部フィルム3の所望とする領域を順次シールする。
【0045】
先ず、流路形成部材シール手段56によって、重ね合わされた一対の胴部フィルム2,2のうち、流路形成部材4が介在する部分をシールすることにより第2シール部25を形成する。具体的には、流路形成部材4が介在する部分を不図示のヒーターによる加熱した後、不図示の冷却部により冷却することにより、流路形成部材4の周囲と胴部フィルム2,2とがシールされて、流路形成部材4が胴部フィルム2,2に固定される。
【0046】
ここで、
図1に示した注出口14の上辺14a及び側辺14bを含む流路形成部材周囲の領域をシールすることによって、隙間形成シール部15a及び隙間形成シール部15bを形成し、流路形成部材4の径方向両側に
図1に示した隙間7,7を有する第2未シール部15Bを得る。
【0047】
その後、縦シール手段45により、胴部フィルム2,2及び底部フィルム3の搬送方向に沿ってそれらの積層部分の縦シールを行う。具体的には、搬送方向に沿う縦シールを行う領域を不図示のヒーターにより加熱した後、不図示の冷却部により冷却することによって、胴部フィルム2,2の包装袋5の底部シール部5aとなる領域をヒートシールする。
【0048】
続けて、横シール手段46により、胴部フィルム2,2の幅方向に沿って横シールを行う。具体的には、胴部フィルム2,2の幅方向に沿う横シールを行う領域を不図示のヒーターにより加熱した後、不図示の冷却部により冷却することによって、胴部フィルム2,2の両側の側端シール部5b,5bとなる領域をヒートシールする。このようにして、
図1に示した収容部1aとなる第1未シール部15Aを得る。
【0049】
各シール作業の際、積層体複葉化手段42及び底部基材挿入手段22から連続送りにて供給され互いに重ね合わされた胴部フィルム2,2、底部フィルム3に対して、バッファ手段41,41により可変量のバッファを形成し、間欠駆動手段43,48により所定の間隔で間欠的に搬送する。
【0050】
(5) 開封補助線形成工程S5
次に、
図5に示すように、レーザー光源57から下方へ向けてレーザー光を照射し、胴部フィルム2,2に対して幅方向で相対的に開封補助線9,9を形成する。具体的には、流路形成部材4の径方向に沿って、流路形成部材4及び第2未シール部15Bを横断するようにレーザーを複数回走査しながら照射して、開封補助線9,9を形成する(
図7)。
【0051】
具体的には、
図1〜
図3に示した一方の隙間形成シール部15Aから他方の隙間形成シール部15Bにかけて、流路形成部材4とその径方向両側の隙間7,7を横断するようにレーザーを走査し、予め形成しておいた各切り抜き線17a,17bを横切る範囲にレーザー光を照射する。レーザーを往復させる回数は任意であるが、レーザーの出力や製袋速度、胴部フィルム2,2の種類等に応じて設定することが好ましい。また、レーザーの走査速度は、レーザー出力との兼ね合いで適宜決定すればよい。レーザーは2Dレーザー光、3Dレーザー光のいずれでも用いることができる。
【0052】
図8は、胴部フィルム2,2と流路形成部材4との間に隙間のない状態でレーザー加工を施す図である。
図9は、開封補助線の未形成部分がある場合の開封時の様子を示す図である。
図10は、胴部フィルム2,2と流路形成部材4との間に隙間7のある状態でレーザー加工を施す図である。
【0053】
図8及び
図10に示すように、製袋機10は、2面取りの為、搬送される胴部フィルム2,2の上方に設置されたレーザー光源57から、下方の胴部フィルム2,2へ向けてレーザー光を照射することになる。
【0054】
ここで、
図8に示すように、流路形成部材4の径方向両側において胴部フィルム2,2と流路形成部材4との間に隙間7のない状態でレーザー加工を施す場合、レーザー光の一部が流路形成部材4によって遮られてしまい、流路形成部材4に対して胴部フィルム2,2が接着している領域に十分にレーザー光が到達せず、加工不良が生じるという問題があった。
この場合、開封補助線9を良好に形成することができず、
図9に示すように、開封時にタブ16を取り外すことができないという問題が生じていた。
【0055】
一方、本実施形態では、
図10に示すように、開封補助線9が形成された位置における流路形成部材4の径方向両側において胴部フィルム2,2と流路形成部材4との間に隙間7を設け、シール端15d、15eが流路形成部材4の接線f,fよりも当該流路形成部材4の径方向外側に位置する構成となっている。
この場合、胴部フィルム2,2のシール端15d、15eが流路形成部材4から離れたところに位置するため、レーザー光が流路形成部材4によって遮られることがなく、所定の加工範囲における胴部フィルム2,2に対して一様にレーザー光を照射させることができる。
【0056】
(5)分離工程S6
次に、
図5に示すように、ヒートシールされた胴部フィルム2,2の幅方向中央部分をカッター47aによって半裁するとともに、胴部フィルム2,2の幅方向に沿う分離線(不図示)に倣って切断することによって2つの包装袋5,5に分離する。
このようにして注出口付きの包装袋5を複数製造する。
【0057】
以上述べたように、本実施形態では、開封補助線9が形成された位置における、流路形成部材4の径方向両側のシール端15d、15eとの間に隙間7,7を設けたことにより、胴部フィルム2,2どうしのシール端15d、15eの位置が流路形成部材4から離れた位置となっている。
図10に示したように、本実施形態ではシール端15d、15eが、流路形成部材4の接線f,fよりも当該流路形成部材4の径方向外側に位置していることから、レーザー加工を施す際に、加工用のレーザー光が流路形成部材4に遮られることがなくなり、シール端15d、15eを含む所望の加工範囲に亘ってレーザー光を照射することができる。これにより、加工不良を生じさせることなく、胴部フィルム2,2に対して安定的に開封補助線9を形成することができる。
【0058】
また、本実施形態では、予め形成しておいた各切り抜き線17a,17bを横切る範囲にレーザー光を照射している。これにより、形成される開封補助線9の端部が切り抜き線17a,17bに接続するので、タブ16を切り裂いて注出口14を開封する際に、一方の切り抜き線17aから開封補助線9及び他方の切り抜き線17bにかけて開封することができ、タブ16を側端シール部5bから切り離すことができる。
このように、本実施形態の製造方法によれば、タブ16を容易に切り離すことのできる開封性の良い包装袋5が得られる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。
【0060】
上記実施形態では、開封補助線形成工程を分離工程の前に実施しているが、これに限らず、例えば、開封補助線形成工程を分離工程の後に実施してもよい。
また、
図10に示すように、上記実施形態ではシール端15d、15eが、流路形成部材4の接線f,fよりも当該流路形成部材4の径方向外側に位置しているが、これに限らず、流路形成部材4の接線f,f上にシール端15d、15eが位置していてもよい。