(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液保持性且つ液透過性の肌当接シートと、コアラップを含む吸収体と、液不透過性の着衣当接シートと、着衣に固定するための固定部とをその順で備える温感シートであって、
前記温感シートが、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む温感組成物を含み、発熱剤を含まず、
前記溶媒が、エチレングリコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコールからなる群から選択されるアルコール、水、及び油脂並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
ことを特徴とする、前記温感シート。
液保持性且つ液透過性の肌当接シートと、高分子吸収剤及びパルプ繊維を含む吸収体と、液不透過性の着衣当接シートと、着衣に固定するための固定部とをその順で備える温感シートであって、
前記温感シートが、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む温感組成物を含み、発熱剤を含まず、
前記溶媒が、エチレングリコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコールからなる群から選択されるアルコール、水、及び油脂並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
ことを特徴とする、前記温感シート。
液保持性且つ液透過性の肌当接シートと、高分子吸収剤を含む吸収体と、液不透過性の着衣当接シートと、着衣に固定するための固定部とをその順で備える温感シートであって、
前記温感シートが、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む温感組成物を含み、発熱剤を含まず、
前記溶媒が、エチレングリコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール及びミリスチルアルコールからなる群から選択されるアルコール、水、及び油脂並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
ことを特徴とする、前記温感シート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
具体的には、本開示は以下の態様に関する。
[態様1]
液保持性且つ液透過性の肌当接シートと、液不透過性の着衣当接シートと、着衣に固定するための固定部とをその順で備える温感シートであって、
上記温感シートが、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む温感組成物を含み、発熱剤を含まない、
ことを特徴とする、上記温感シート。
【0009】
上記温感シートは、発熱剤を含まず、温感剤を含む所定の温感組成物を含むので、着用者の肌を外部から直接加熱することなく、着用者に温感を付与することができる。従って、温感シートを着用者の着衣に固定して使用した際に、着用者の肌の、温感シートに接している温感剤接触部分に低温やけどが生じにくい一方で、着用者に十分な温感を付与することができる。また、上記温感シートは、着用者の肌を外部から直接加熱することなく、着用者に温感を付与することができるので、温感シートを着用者の着衣に固定して使用した後、固定部が軟化しにくく、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくい。
【0010】
[態様2]
上記温感剤が、TRPV1レセプターに対するアゴニストである、態様1に記載の温感シート。
上記温感シートでは、温感剤がTRPV1レセプターに対するアゴニストであるため、温感シートの使用の際に、着用者が、TRPV1レセプターの活性化温度閾値といわれる、43℃超の温度を感じることができ、着用者が温感をより覚えやすい。また、上記温感剤により、着用者の肌の、温感剤に接していた温感剤接触部分のTRPV1レセプターが活性化される結果、交感神経系を介して、温感剤接触部分から熱が生じ、着用者の肌の、温感剤接触部分の温度を上昇させることができる。
【0011】
[態様3]
上記肌当接シートが、上記温感組成物を含む、態様1又は2に記載の温感シート。
上記温感シートでは、着用者の肌に接する肌当接シートが所定の温感組成物を含むので、温感シートの使用の際に、着用者が着用後の早い段階から温感を覚えやすい。
【0012】
[態様4]
上記温感組成物が、上記溶媒を、50.0〜99.9質量%の比率で含む、態様1〜3のいずれか一項に記載の温感シート。
上記温感シートでは、温感組成物が所定割合の溶媒を含むので、温感シートの使用の際に、着用者が、着用後の早い段階から、そして長時間にわたって温感を覚えやすい。
【0013】
[態様5]
上記肌当接シートの通気度が、上記着衣当接シートの通気度よりも高い、態様1〜4のいずれか一項に記載の温感シート。
【0014】
上記温感シートでは、肌当接シートの通気度が、着衣当接シートの通気度よりも高いので、温感組成物に含まれる溶媒が、肌当接シートを通って外部に移動するため、固定部が上記溶媒による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。また、温感剤により、着用者の肌の、温感剤に接していた温感剤接触部分から熱、並びに汗等の水分を生じた場合に、当該熱及び汗等の水分が、着衣当接シートを通って固定部に到達しにくいので、固定部が上記熱及び汗等の水分による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0015】
[態様6]
上記肌当接シートの熱伝導率が、上記着衣当接シートの熱伝導率よりも低い、態様1〜5のいずれか一項に記載の温感シート。
上記温感シートでは、肌当接シートの熱伝導率が、着衣当接シートの熱伝導率よりも低いので、着用者の肌の、温感剤接触部分から熱が生じた場合に、当該熱が、肌当接シートを通って、温感シートの内部、ひいては温感シートの固定部に到達しにくくなる。その結果、固定部が上記熱による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0016】
[態様7]
上記肌当接シートと、上記着衣当接シートとの間に、中間層をさらに含む、態様1〜6のいずれか一項に記載の温感シート。
上記温感シートでは、肌当接シートと、着衣当接シートとの間に中間層をさらに含むので、着用者の肌の、温感剤接触部分から生じた熱及び汗等の水分が、肌当接シートを通って、温感シートの内部、ひいては温感シートの固定部に到達しにくいので、固定部が上記熱及び汗等による水分等による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0017】
[態様8]
上記中間層の通気度が、上記着衣当接シートの通気度よりも高い、態様7に記載の温感シート。
上記温感シートでは、中間層の通気度が着衣当接シートの通気度よりも高いので、温感組成物に含まれる溶媒が、肌当接シートを通って外部に移動するため、固定部が上記溶媒による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。また、温感剤により、着用者の肌の、温感剤に接していた温感剤接触部分から熱、並びに汗等の水分を生じた場合に、当該熱及び汗等の水分が、着衣当接シートを通って固定部に到達しにくいので、固定部が上記熱及び汗等の水分による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0018】
[態様9]
上記中間層の熱伝導率が、上記着衣当接シートの熱伝導率よりも低い、態様7又は8に記載の温感シート。
上記温感シートでは、中間層の熱伝導率が着衣当接シートの熱伝導率よりも低いので、着用者の肌の、温感剤接触部分から生じた熱が、肌当接シート及び中間層を通って、温感シートの固定部に到達しにくいので、固定部が上記溶媒、水分等による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0019】
[態様10]
上記温感組成物と、上記固定部とが、上記温感シートの厚さ方向に重複する位置に配置されている、態様1〜9のいずれか一項に記載の温感シート。
上記温感シートでは、温感組成物と、固定部とが、温感シートの厚さ方向に重複する位置に配置されているので、温感組成物を着用者の肌に接触させ続けやすい一方で、温感シートの使用後、固定部が着衣に残存しにくい。
【0020】
[態様11]
上記溶媒が、水、アルコール及び油脂、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、態様1〜10のいずれか一項に記載の温感シート。
上記温感シートでは、溶媒が所定の群から選択されるため、温感剤が、着用者の皮膚に迅速に温感を付与することができる。
【0021】
本開示の温感シートについて、以下、詳細に説明する。
図1〜
図6は、本開示の実施形態の1つ(以下、「第1実施形態」と称する)に従う温感シート1が個包装された、温感シートの個包装体3を説明するための図である。具体的には、
図1は、温感シートの個包装体3の斜視図である。
図2は、温感シート1の斜視図である。
図3及び
図4は、それぞれ、温感シート1の平面図及び背面図である。
図5は、温感シート1の分解斜視図である。
図6は、温感シート1の着用状態を説明するための図である。なお、以下、「温感シートの個包装体」を、単に『個包装体』と称する場合がある。
【0022】
第1実施形態に従う温感シート1は、液保持性且つ液透過性の肌当接シート7と、中間層9と、液不透過性の着衣当接シート11と、温感シート1を着衣に固定するための固定部13と、固定部13を仮固定するための剥離シート15とをその順で備え、長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有する。肌当接シート7は、肌当接シート7の全面に、温感組成物(図示せず)を含む。また、肌当接シート7は、肌当接面31と、肌非当接面33とを有する。
【0023】
温感シート1では、肌当接シート7と、中間層9と、液不透過性の着衣当接シート11と、剥離シート15とのそれぞれは、平面方向(長手方向L及び幅方向W)の外縁の形状が同一であり、肌当接シート7と、中間層9と、液不透過性の着衣当接シート11と、剥離シート15とが、それらの外縁が厚さ方向Tに重複するように積み重ねられている。
温感シート1は、長手方向Lの中心に、幅方向Wと平行に延びる折軸Fを備える。なお、個包装体3では、温感シート1は、折軸Fを基準として、肌当接シート7の肌当接面31を内側にして折り畳まれ、包装シート5に包装されている。
【0024】
固定部13は、複数の固定部部分14から構成されている。複数の固定部部分14のそれぞれは、幅方向Wに延びており、温感シート1の幅方向Wの両端部まで達している。複数の固定部部分14は、長手方向Lに所定の間隔をあけて配置されている。
剥離シート15は、着衣当接シート11と外縁の形状が同一であり、固定部13(複数の固定部部分14)の全体を覆うように配置されている。
【0025】
図1に示されるように、温感シート1は、2つ折りされた状態で、包装シート5に包装され、個包装体3が形成されている。具体的には、個包装体3は、折軸Fを基準として、肌当接シート7の肌当接面31を内側にして2つ折りされた温感シート1を、2枚の包装シート5で挟み、2枚の包装シート5の周縁部にシール部101を設けることにより形成されている。
【0026】
着用者は、温感シートの個包装体3の切欠部103から、個包装体3を開封し、個包装体3から温感シート1を取り出し、温感シート1から剥離シート15を剥離する。次いで、
図6に示されるように、着用者は、温感シート1の固定部13を、着衣21、具体的にはショーツの内面に固定し、温感シート1の肌当接面31が着用者の肌に接した状態で、温感シート1を使用する。
【0027】
温感シート1は、
図3及び
図4に示されるように、温感シート1の外周縁23から所定の距離範囲内にある領域である周縁部25を有する。温感シート1は、周縁部25に、エンボス部を有しない。そうすることにより、着用者が、温感シート1の着用の際、並びに温感シート1の使用中において、温感シート1の周縁部25に硬さを感じにくく、温感シート1が、初期及び使用時の両方において、着用感に優れる。
【0028】
温感シート1の肌当接シート7の、周縁部25を含む全面には、温感組成物(図示せず)が塗工されている。換言すると、温感シート1は、周縁部25に、温感組成物(図示せず)を含む。そうすることにより、温感組成物が、着用者の肌の、温感剤が接触している温感剤接触部分のTRPチャネルを効率よく活性化し、着用者に温感を効率よく付与することができる。
【0029】
温感シート1は、発熱剤を含まない。発熱剤を含む温熱シートでは、発熱剤を着用者の肌に接触させ続けることを目的とし、固定部が、発熱剤と、温熱シートの厚さ方向に重複する位置に配置されるのが一般的であり、発熱剤の影響を受け、固定部の温度が上昇し、固定部が軟化しやすい。従って、温熱シートの使用を終え、温熱シートを着衣から取り外す際に、軟化した固定部が、着衣に残りやすくなる。
一方、第1実施形態に従う温感シート1では、温感シート1自体が発熱しないので、温感シート1の固定部13が軟化しにくく、温感シート1の使用を終え、温感シート1を着衣21から取り外す際に、温感シート1の固定部13が、着衣21に残りにくい。
【0030】
本開示の温感シートでは、温感組成物は、TRPチャネルを活性化する温感剤と、溶媒とを含む。上記温感剤としては、TRPチャネルを活性化するものであれば、特に制限されず、例えば、TRPV1レセプターに対するアゴニスト、TRPV3レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、TRPV1に対するアゴニストが好ましい。TRPV1レセプターは活性化温度閾値が43℃超と高く、着用者に高い温感を付与することができるからである。
上記温感剤が活性化すべきTRPチャネルとしては、ヒトのTRPチャネルが挙げられる。
【0031】
上記温感剤としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド類(ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等)、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β−ブトキシエチル、N−アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体(例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル)、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロン、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0032】
上記温感剤は、着用者の安心感の観点から、植物由来の化合物であることが好ましい。
上記温感組成物は、上記温感剤を、好ましくは0.0001〜5.0質量%、より好ましくは0.0005〜3.0質量%、さらに好ましくは0.1〜1.0質量%、そしてさらにいっそう好ましくは0.3〜0.7質量%含む。温感剤の効果の観点からである。
【0033】
上記溶媒としては、水、アルコール及び油脂、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。上記温感組成物は、上記溶媒を、好ましくは50.0〜99.9質量%、より好ましくは90.0〜99.9質量%の比率で含む。そうすることにより、温感シートの使用の際に、着用者が、着用後の早い段階から、そして長時間にわたって温感を覚えやすい。
【0034】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。上記油脂としては、トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油等の天然油等が挙げられる。
【0035】
上記温感組成物は、上述の温感剤及び溶媒以外に、着用者に温感を付与する効果を阻害しない範囲で、下記に示されるような、少なくとも1種の他の成分とを含むことができる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン、シリコーン系レジン等が挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、酸化防止剤、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0036】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ビタミン、例えば、天然ビタミン又は合成ビタミンが挙げられる。上記ビタミンとしては、例えば、水溶性ビタミン、例えば、ビタミンB群、例えば、ビタミンB
1,ビタミンB
2,ビタミンB
3,ビタミンB
5,ビタミンB
6,ビタミンB
7,ビタミンB
9,ビタミンB
12等、ビタミンCが挙げられる。
上記ビタミンとしては、例えば、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA群、ビタミンD群、ビタミンE群、およびビタミンK群等が挙げられる。
上記ビタミンにはまた、それらの誘導体も含まれる。
【0037】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等、並びにペプチドが挙げられる。
【0038】
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、ゼオライト、例えば、天然ゼオライト、例えば、方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、及びソモソナイト、並びに、合成ゼオライトが挙げられる。
上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、コレステロール、ヒアルロン酸、レシチン、セラミド、プラセンタ、コラーゲン、エラスチン、スクワラン、ワセリン、トレハロース等が挙げられる。
【0039】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、薬剤、例えば、皮膚収斂剤、抗ニキビ剤、抗シワ剤、抗セルライト剤、美白剤、抗菌剤、抗カビ剤等が挙げられる。
上記皮膚収斂剤としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸アルミニウム、タンニン酸等、油溶性皮膚収斂剤、例えば、油溶性ポリフェノールが挙げられる。上記油溶性ポリフェノールとしては、天然の油溶性ポリフェノール、例えば、オオバクエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、カモミラエキス、ゴボウエキス、サルビアエキス、シナノキエキス、セイヨウボダイジュエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、サルビアエキス、テウチグルミエキス、ハイビスカスエキス、ビワ葉エキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
【0040】
上記抗ニキビ剤としては、例えば、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、イオウ、エリスロマイシン、亜鉛等が挙げられる。
上記抗シワ剤としては、例えば、乳酸、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フィチン酸、リポ酸、リソフォスファチド酸が挙げられる。
【0041】
上記抗セルライト剤としては、例えば、キサンチン化合物、例えば、アミノフィリン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン等が挙げられる。
上記美白剤としては、例えば、ナイアシンアミド、コウジ酸、アルブチン、グルコサミン及び誘導体、フィトステロール誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、並びにクワ抽出物及び胎盤抽出物が挙げられる。
【0042】
また、上記少なくとも1種の他の成分としては、例えば、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤、香料、色素、染料、顔料、植物抽出エキス等が挙げられる。上記抗炎症成分としては、例えば、天然由来の抗炎症剤、例えば、ボタン、オオゴン、オトギリソウ、カモミール、甘草、モモノハ、ヨモギ、シソエキス等、合成抗炎症剤、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、肌を弱酸性に保つためのもの、例えば、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
【0043】
上記温感組成物、並びに温感シートは、発熱剤を含まない。そうすることにより、温感シート自体が発熱せず、温感シートの固定部が軟化しにくく、温感シートの使用を終え、温感シートを着衣から取り外す際に、温感シートの固定部が、着衣に残りにくい。
【0044】
上記発熱剤としては、発熱剤自体が発熱するものであれば、特に制限されず、例えば、金属粉(例えば、鉄粉)の酸化熱、酸及びアルカリの中和熱、無機塩の水和熱等の化学エネルギーを利用するものが挙げられる。
上記温感組成物、並びに温感シートは、いわゆる冷感剤、例えば、TRPM8レセプター又はTRPA1レセプターに対するアゴニストを含んでもよい。
【0045】
本開示の温感シートは、温感組成物を、温感剤の坪量が、好ましくは0.001〜10g/m
2、より好ましくは0.003〜5g/m
2、さらに好ましくは0.01〜2.5g/m
2、そしてさらにいっそう好ましくは0.05〜1.5g/m
2となるような坪量で含む。着用者に温感を付与する観点からである。
【0046】
本開示の温感シートが肌当接シート及び着衣当接シートの間に追加のシートを含まない場合には、上記温感組成物は肌当接シートに含まれる。本開示の温感シートが肌当接シート及び着衣当接シートの間に追加のシート、例えば、中間層を含む場合には、上記温感組成物は、追加のシートに含まれていてもよい。温感シートの使用を開始してから早期に温感を付与する観点からは、上記温感組成物は、少なくとも肌当接シートに含まれることが好ましい。
【0047】
本開示の温感シートでは、肌当接シートの通気度が、着衣当接シートの通気度よりも、好ましくは高く、より好ましくは300cm
3/cm
2/s以上高く、より好ましくは500cm
3/cm
2/s以上高く、そしてさらに好ましくは700cm
3/cm
2/s以上高い。そうすることにより、温感組成物に含まれる溶媒が、肌当接シートを通って外部に移動するため、固定部が上記溶媒による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。また、温感剤により、着用者の肌の、温感剤に接していた温感剤接触部分から熱を生じた場合に、温感剤接触部分から生じた熱、並びに汗等の水分が、着衣当接シートを通って固定部に到達しにくいので、固定部が熱及び汗等の水分による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0048】
上記肌当接シートは、好ましくは300〜2,000cm
3/cm
2/s、より好ましくは500〜1,500cm
3/cm
2/s、そしてさらに好ましくは700〜1,300cm
3/cm
2/sの通気度を有する。温感組成物に含まれる溶媒を、肌当接シートから排出させる観点からである。
上記着衣当接シートは、好ましくは0〜500cm
3/cm
2/s、より好ましくは0〜300cm
3/cm
2/s、そしてさらに好ましくは0〜50cm
3/cm
2/sの通気度を有する。温感組成物に含まれる溶媒、並びに着用者の肌の温感剤接触部分から生じた熱及び汗等の水分を、固定部に到達させにくくする観点からである。
【0049】
なお、本明細書では、通気度は、カトーテック株式会社のKES−F8−AP1通気性試験器を用いて、以下の通りに測定される。
(1)KES−F8−AP1通気性試験器及びサンプルを、恒温恒湿室(温度:25±5℃,相対湿度:65±5%)で24時間静置する。
(2)上記サンプルの通気抵抗値を、ピストン速度:2cm/秒で測定する。
(3)上述の測定を、異なるサンプルで5回繰り返し、その平均値を、サンプルの通気抵抗値R(kPa・s/m)として採用する。
(4)通気抵抗値Rを、下記計算式:
AP(cm
3/cm
2/s)=12.5/R
に従って、通気度AP(cm
3/cm
2/s)に換算する。
【0050】
本開示の温感シートが、肌当接シートと着衣当接シートとの間に中間層をさらに含む場合には、中間層の通気度が着衣当接シートの通気度よりも、好ましくは高く、より好ましくは300cm
3/cm
2/s以上高く、より好ましくは500cm
3/cm
2/s以上高く、そしてさらに好ましくは700cm
3/cm
2/s以上高い。そうすることにより、温感組成物に含まれる溶媒が、肌当接シートを通って外部に移動するため、固定部が上記溶媒による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。また、温感剤により、着用者の、温感剤に接していた温感剤接触部分が熱を生じた場合に、当該熱及び汗等の水分が、着衣当接シートを通って固定部に到達しにくいので、固定部が上記熱及び汗等の水分による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0051】
上記中間層は、好ましくは50〜2,000cm
3/cm
2/s、より好ましくは100〜1,500m
3/m
2/分、そしてさらに好ましくは150〜1,300m
3/m
2/分の通気度を有する。温感組成物に含まれる溶媒、並びに温感剤に接していた温感剤接触部分から生じた熱を、肌当接シートから排出させる観点からである。
【0052】
本開示の温感シートでは、肌当接シートの熱伝導率が、着衣当接シートの熱伝導率よりも低いことが好ましい。そうすることにより、着用者の肌の、温感剤接触部分から生じた熱が、肌当接シートを通って、温感シートの内部、ひいては温感シートの固定部に到達しにくいので、固定部が上記溶媒、水分等による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0053】
なお、本明細書では、熱伝導率は、定常法の一種である、温度傾斜法により測定される。
具体的には、サンプルの一方の面をSUS製の棒で加熱し、サンプルの他方の面をCu製の棒で冷却し、サンプルの厚さ方向に定常状態の温度勾配を設け、移動する熱量を、温度差で除することにより熱伝導率を算出する。
【0054】
本開示の温感シートが、肌当接シートと着衣当接シートとの間に、追加のシートとして中間層をさらに含む場合には、中間層の熱伝導率が着衣当接シートの熱伝導率よりも低いことが好ましい。そうすることにより、着用者の肌の、温感剤接触部分から熱を生じた場合に、肌当接シートを通って、温感シートの内部、ひいては温感シートの固定部に到達しにくいので、固定部が上記溶媒、水分等による影響を受けにくくなり、温感シートを廃棄する際に、固定部が着衣に残存しにくくなる。
【0055】
本開示の温感シートにおいて、肌当接シートの素材としては、液保持性及び液透過性、好ましくは温感組成物に対する液透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、布帛、例えば、不織布、織布、編物等が挙げられ、製法の観点から不織布が好ましい。
上記不織布としては、例えば、エアレイドパルプ、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
【0056】
上記不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、及び半合成繊維が挙げられる。上記天然繊維としては、パルプ繊維及び再生セルロース繊維が挙げられる。
上記再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン,ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン繊維(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル及びテンセル等が挙げられる。
上記半合成繊維としては、半合成セルロース繊維、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
【0057】
上記合成繊維としては、例えば、熱融着性繊維、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタレート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート,ポリペンチレンテレフタレート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6若しくはナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。
【0058】
上記肌当接シートは、好ましくは10〜100g/m
2、そしてより好ましくは20〜50g/m
2の坪量を有する。
上記肌当接シートは、その肌当接面に粘着性を有しない、例えば、粘着剤を有しないことが好ましい。
【0059】
本開示の温感シートにおいて、着衣当接シートの素材としては、液不透過性を有するものであれば特に制限されず、例えば、フィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、通気性を有する樹脂フィルム、スパンボンド又はスパンレース等の不織布に通気性を有する樹脂フィルムを接合したもの、SMS等の複層不織布等が挙げられる。
上記着衣当接シートは、好ましくは10〜50g/m
2、そしてより好ましくは15〜30g/m
2の坪量を有する。
【0060】
本開示の温感シートにおいて、温感シートが、肌当接シートと着衣当接シートとの間に、追加のシートとして中間層をさらに含む場合には、中間層は、シート、又は衛材分野における吸収体であることができる。
上記中間層がシート、すなわち、中間シートである場合には、中間シートの素材としては、例えば、布帛、例えば、不織布、織布、編物等が挙げられる。上記中間シートの素材は、セルロース系繊維から構成される布帛、例えば、不織布、織布、編物等であることが好ましく、温感組成物を保持する観点からは、パルプ繊維から構成されるティッシュ、エアレイドパルプ等であることがより好ましい。上記中間シートは、高分子吸収剤を含まないことが好ましい。
【0061】
上記中間層が吸収体である場合には、上記吸収体としては、コアラップが、パルプ繊維及び高分子吸収剤を含む吸収コアを覆っているもの、コアラップが、高分子吸収剤を含む吸収コア又は高分子吸収剤から成る吸収コアを覆っているもの等が挙げられる。上記コアラップとしては、上述の中間シートが挙げられる。
上記中間層は、好ましくは10〜200g/m
2、そしてより好ましくは15〜150g/m
2の坪量を有する。
【0062】
上記中間層が高分子吸収剤を含む場合には、高分子吸収剤が温感組成物の温感剤、溶媒、特に水を吸収し、温感組成物が一度に肌へ作用することを防ぎ、長時間、安定的に、温感剤の効果を発揮することができる。
【0063】
本開示の温感シートにおいて、固定部としては、ホットメルト接着剤、例えば、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。
【0064】
第1実施形態では、肌当接シート7と、中間層9と、液不透過性の着衣当接シート11と、剥離シート15とのそれぞれが、平面方向(長手方向L及び幅方向W)の外縁の形状が同一であったが、本開示の温感シートでは、肌当接シートと、中間層と、液不透過性の着衣当接シートと、剥離シート15とのそれぞれは、異なる外縁の形状を有していてもよい。
【0065】
本開示の温感シートは、包装シートで包装されていることが好ましい。具体的には、本開示の温感シートは、一又は複数の温感シートが包装シートで包装された包装体であることが好ましく、そして1つの温感シートが包装シートで包装された個包装体であることがより好ましい。
【0066】
上記包装シートの素材としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。上記包装シートは、上記個包装体の気密性を高める観点から、気密層を含むことが好ましく、そして当該気密層の素材としては、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン6、アルミ箔、基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。
【0067】
本開示の温感シートは、液不透過性の着衣当接シートの着衣当接面に、着衣に固定するための固定部を備え、そして上記固定部を着衣の内面に固定して使用する、着衣固定タイプである。上記着衣としては、着用者の肌に直接接する部分を有するものであれば特に制限されず、着用者にフィットして用いられるものが挙げられる。上記着衣としては、例えば、下着(例えば、ショーツ、シャツ、ブラジャー等)、上着(例えば、上衣、下衣)、靴下、手袋、マフラー、フェイスマスク、アイマスク等が挙げられる。
【0068】
本開示の温感シートが温感を付与しうる部位としては、特に制限されず、例えば、頭(例えば、顔部、例えば、眼部)、首、上肢(例えば、胸部、腹部、鼠径部、背中部、腰部、上腕部、前腕部、手部)、下肢(例えば、大腿部、下腿部、足部)等が挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
第1実施形態に従う温感シートNo.1を製造した。具体的には、肌当接シートとしての、エアスルー不織布(坪量:30g/m
2)と、中間層としての、エアレイドパルプ(坪量:100g/m
2)と、着衣当接シートとしての、ポリエチレンフィルム(坪量:24g/m
2)を、ホットメルト接着剤と間に挟んで接合し、次いで、温感組成物として、バニリルブチルエーテルを0.3質量%を含む水溶液を、肌当接シートの全体に、バニリルブチルエーテルの坪量が1.0g/m
2となるように塗工することにより、温感シートNo.1を製造した。
【0070】
[実施例1及び比較例1]
温感シートNo.1と、温熱シートNo.1とを、複数の被験者に着用してもらったところ、温感シートNo.1は、温熱シートNo.1と比較して軟らかく、着用感に優れるとの回答があった。また、温感シートNo.1は、温感に優れるとの回答を得た。