特許第6903114号(P6903114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903114
(24)【登録日】2021年6月24日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20210701BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20210701BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01L29/78 301Y
   H01L29/78 301Z
   H01L27/088 D
   H01L21/28 L
   H01L29/50 M
   H01L21/90 C
   H01L21/302 105A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-211993(P2019-211993)
(22)【出願日】2019年11月25日
(62)【分割の表示】特願2018-506746(P2018-506746)の分割
【原出願日】2016年6月27日
(65)【公開番号】特開2020-43356(P2020-43356A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-59716(P2016-59716)
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】八田 浩一
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0069532(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/132912(WO,A1)
【文献】 特開2016−035967(JP,A)
【文献】 特開2012−054342(JP,A)
【文献】 特開2008−306161(JP,A)
【文献】 特開2015−170812(JP,A)
【文献】 特開2013−187386(JP,A)
【文献】 特開2014−072226(JP,A)
【文献】 特開2005−136376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 21/3065
H01L 21/768
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/417
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン状に隆起したソース及びドレインがゲートにより覆われた構造を有するトランジスタの前記ゲートの表面の少なくとも一部を覆うように第1の絶縁膜を形成する第1の絶縁膜形成工程と、
前記第1の絶縁膜の上に、犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、
前記犠牲膜の上に、所望のパターンを有するハードマスク膜を形成するハードマスクパターン形成工程と、
前記ハードマスク膜の上にカットマスクを形成する工程と、
前記カットマスクをエッチングマスクとして用いて前記ハードマスク膜の一部のみを除去する工程と、
前記ハードマスク膜をエッチングマスクとして前記犠牲膜の一部を除去することにより、第1の開口を形成する第1の開口形成工程と、
前記第1の開口に前記第1の絶縁膜とは材料の異なる第2の絶縁膜を形成する第2の絶縁膜形成工程と、
前記第2の絶縁膜形成工程の後、前記犠牲膜を除去することにより、少なくとも前記ソースの一部又は前記ドレインと配線層とを電気的に接続する位置に第2の開口を形成する第2の開口形成工程と、
前記第2の開口にコンタクトプラグを形成するコンタクトプラグ形成工程と、
を有し、
前記所望のパターンは、前記コンタクトプラグを形成する位置のハードマスク膜を残存させたパターンである、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ハードマスクパターン形成工程は、
前記犠牲膜の上に、ラインアンドスペースパターンのハードマスク膜を形成する工程と、
前記ラインアンドスペースパターンのラインパターンの一部を切断することで、前記所望のパターンを形成する工程と、を含む、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2の絶縁膜形成工程の後であって、前記第2の開口形成工程の前に、前記ハードマスク膜を除去するハードマスク膜除去工程を有する、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ハードマスク膜は、前記犠牲膜に対して高いエッチング選択性を有する膜である、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜はSiN膜である、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記犠牲膜はSOC膜であり、前記第2の絶縁膜はSOD膜又はSiO膜であり、
前記第2の開口形成工程において、アッシングにより前記犠牲膜を除去する、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記犠牲膜はa−Si膜であり、前記第2の絶縁膜はSOD膜又はSiO膜であり、
前記第2の開口形成工程において、塩素又は臭素を含むガスを用いたドライエッチングにより、前記犠牲膜を除去する、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記犠牲膜はSOD膜であり、前記第2の絶縁膜はSiO膜であり、
前記第2の開口形成工程において、ウエットエッチングにより前記犠牲膜を除去する、
請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィン状に隆起したソース及びドレインが左右の2方向又は左右と上の3方向からゲートにより覆われた構造を有するフィン−電界効果型トランジスタ(FinFET)が知られている。
【0003】
FinFETでは、ソース及びドレインの上に形成されるPMD(Pre Metal Dielectric)膜等の絶縁膜の一部をエッチングにより開口し、開口した部分にコンタクトプラグを形成することで、ソース及びドレインと配線層とが電気的に接続される。しかしながら、パターンの微細化に伴って、露光精度や解像度に起因した位置ずれが生じ、所望の位置に開口を形成することが困難な場合がある。
【0004】
そこで、PMD膜の形成前に、PMD膜とは材料の異なる絶縁膜でゲートを覆い、高選択比エッチングにより、開口を形成する自己整合コンタクト(SAC:Self-Aligned Contact)という方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−531770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の方法では、高選択比エッチングにより開口を形成する際、ゲートを覆う絶縁膜の一部がエッチングされる場合がある。このようにゲートを覆う絶縁膜の一部がエッチングされると、開口した部分に形成されるコンタクトプラグとゲートとの配線間の距離が短くなるため、コンタクトプラグとゲートとの配線間においてリーク電流の増大や短絡が発生する。
【0007】
このため、リーク電流や短絡を抑制することが可能な半導体装置の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、フィン状に隆起したソース及びドレインがゲートにより覆われた構造を有するトランジスタの前記ゲートの表面の少なくとも一部を覆うように第1の絶縁膜を形成する第1の絶縁膜形成工程と、前記第1の絶縁膜の上に、犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜の上に、所望のパターンを有するハードマスク膜を形成するハードマスクパターン形成工程と、前記ハードマスク膜の上にカットマスクを形成する工程と、前記カットマスクをエッチングマスクとして用いて前記ハードマスク膜の一部のみを除去する工程と、前記ハードマスク膜をエッチングマスクとして前記犠牲膜の一部を除去することにより、第1の開口を形成する第1の開口形成工程と、前記第1の開口に前記第1の絶縁膜とは材料の異なる第2の絶縁膜を形成する第2の絶縁膜形成工程と、前記第2の絶縁膜形成工程の後、前記犠牲膜を除去することにより、少なくとも前記ソースの一部又は前記ドレインと配線層とを電気的に接続する位置に第2の開口を形成する第2の開口形成工程と、前記第2の開口にコンタクトプラグを形成するコンタクトプラグ形成工程と、を有し、前記所望のパターンは、前記コンタクトプラグを形成する位置のハードマスク膜を残存させたパターンである。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置の製造方法によれば、リーク電流や短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャート
図2】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(1)
図3】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(2)
図4】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(3)
図5】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(4)
図6】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(5)
図7】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(6)
図8】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(7)
図9】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程図(8)
図10】本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図(9)
図11】ハードマスクパターン形成工程の一例を示すフローチャート
図12A】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(1)
図12B】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(1)
図13A】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(2)
図13B】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(2)
図14A】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(3)
図14B】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(3)
図15A】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(4)
図15B】ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図(4)
図16】本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果を説明する図(1)
図17】本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果を説明する図(2)
図18】本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果を説明する図(3)
図19】本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果を説明する図(4)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0012】
以下では、半導体装置として、フィン状に隆起したソース及びドレインが左右と上の3方向からゲートにより覆われた構造を有するFinFETを製造する場合を例に説明するが、係る形態に限定されるものではない。半導体装置としては、例えばフィン状に隆起したソース及びドレインが左右の2方向からゲートにより覆われた構造を有するFinFETであってもよい。
【0013】
本実施形態の半導体装置の製造方法では、まず、フィン状に隆起したソース及びドレインと配線層とを電気的に接続するコンタクトプラグを形成する位置に犠牲膜を形成すると共に、コンタクトプラグを形成しない位置に犠牲膜とは材料の異なる絶縁膜を形成する。そして、絶縁膜を残存させた状態で犠牲膜を除去し、犠牲膜が除去された部分にコンタクトプラグを形成する。これにより、所望のソース及びドレイン(以下「ソース/ドレイン領域」ともいう。)と配線層とがコンタクトプラグを介して電気的に接続されたFinFETを製造することができ、また、リーク電流や短絡を抑制することができる。リーク電流や短絡を抑制できる理由については後述する。
【0014】
以下、本実施形態の半導体装置の製造方法について詳細に説明する。図1は、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。図2から図10は、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。なお、図2から図10では、ソース/ドレイン領域の図示を省略している。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態の半導体装置の製造方法は、第1の絶縁膜形成工程S10と、犠牲膜形成工程S20と、ハードマスクパターン形成工程S30と、第1の開口形成工程S40と、第2の絶縁膜形成工程S50と、ハードマスク膜除去工程S60と、第2の開口形成工程S70と、第1の絶縁膜除去工程S80と、コンタクトプラグ形成工程S90とを有する。
【0016】
まず、図2に示されるように、フィン状に隆起したソース及びドレインが左右と上の3方向からゲート102により覆われた構造を有するトランジスタのゲート102の表面の少なくとも一部を覆うように第1の絶縁膜106を形成する(第1の絶縁膜形成工程S10)。図2では、ゲート102の両側面に第1の絶縁膜106が形成されている。また、ゲート102の上面には、キャップ誘電体膜104が形成されている。なお、図2では、キャップ誘電体膜104の上面には第1の絶縁膜106が形成されていないが、第1の絶縁膜106はキャップ誘電体膜104の上面に形成されていてもよい。
【0017】
第1の絶縁膜106は、ソース/ドレイン領域と配線層とを電気的に接続するコンタクトプラグ120のための開口を形成する際、ゲート102がエッチングされることを防止する絶縁膜であり、コンタクトエッチストップ層(CESL:Contact Etch Stop Layer)である。第1の絶縁膜106は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)であることが好ましい。なお、コンタクトプラグ120については後述する。
【0018】
第1の絶縁膜106の形成方法は特に限定されるものではなく、形成する膜の材料や膜厚等に応じて任意に選択することができる。第1の絶縁膜106がSiN膜である場合、例えば化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いることができる。また、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)や分子層堆積(MDL:Molecular Layer Deposition)を用いてもよい。
【0019】
次に、図3に示されるように、第1の絶縁膜形成工程S10で形成した第1の絶縁膜106の上に、犠牲膜108を形成する(犠牲膜形成工程S20)。
【0020】
犠牲膜108は、後述する第2の開口形成工程S70で除去される膜であり、例えばダミープラグである。犠牲膜108は、第1の絶縁膜106とは材料の異なる膜であり、第1の絶縁膜106及び後述する第2の絶縁膜に対して高いエッチング選択性を有する膜であることが好ましい。第1の絶縁膜106がSiN膜である場合、例えばSOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスシリコン(a−Si)膜、SOD(Spin On Dielectric)膜を用いることができる。中でも、SiN膜に対して特に高いエッチング選択性を有するという観点から、SOC膜であることが好ましい。
【0021】
また、犠牲膜108を形成した後、犠牲膜108の上面を平坦化する平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理の方法は特に限定されるものではないが、犠牲膜108がSOC膜である場合、例えば犠牲膜108に紫外線(UV)を照射する方法を用いることができる。また、平坦化処理の後、平坦化された犠牲膜108の上面に更に犠牲膜108を形成してもよい。
【0022】
次に、図4に示されるように、犠牲膜形成工程S20で形成した犠牲膜108の上に、所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成する(ハードマスクパターン形成工程S30)。
【0023】
具体的には、犠牲膜形成工程S20で形成した犠牲膜108の上に、例えばSiN膜により形成される保護膜110を形成し、保護膜110の上に、コンタクトプラグ120を形成しない位置のハードマスク膜112が除去されたハードマスクパターン112aを形成する。即ち、後述するコンタクトプラグ120を形成する位置のハードマスク膜112を残存させたハードマスクパターン112aを形成するので、ラインアンドスペースパターン(L&Sパターン)を形成した後、ラインパターンの一部を切断する、所謂、1次元(1D)レイアウトによりハードマスクパターン112aを形成できる。このため、エッジ位置のずれ(EPE:Edge Placement Error)マージンが大きくなる。なお、ハードマスク膜112に所望のパターンを形成する方法の詳細については後述する。
【0024】
次に、図5に示されるように、ハードマスクパターン形成工程S30で形成した所望のパターンを有するハードマスク膜112をエッチングマスクとして犠牲膜108を除去することにより、第1の開口114を形成する(第1の開口形成工程S40)。
【0025】
犠牲膜108を除去する方法は特に限定されるものではなく、除去する膜の材料等に応じて任意に選択することができるが、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)を用いることが好ましい。
【0026】
次に、図6に示されるように、第1の開口形成工程S40で形成した第1の開口114に第2の絶縁膜116を形成する(第2の絶縁膜形成工程S50)。第1の開口114に第2の絶縁膜116を形成することにより、第1の開口形成工程S40で第1の絶縁膜106の一部がエッチングされていた場合であっても、エッチングされた部分に新たに第2の絶縁膜116が形成される。このため、エッチングされた部分がリーク電流や短絡の経路となることを防止することができる。
【0027】
第2の絶縁膜116は、ソース/ドレイン領域の上に形成される絶縁膜であり、例えばPMD膜である。第2の絶縁膜116は、第1の絶縁膜106及び犠牲膜108とは材料の異なる膜であり、犠牲膜108に対して高いエッチング選択性を有する膜であることが好ましい。犠牲膜108がSOC膜である場合、例えばSOD膜、シリコン酸化膜(SiO膜)であることが好ましい。犠牲膜108がa−Si膜である場合、例えばSOD膜又はSiO膜であることが好ましい。犠牲膜108がSOD膜である場合、例えばSiO膜であることが好ましい。
【0028】
次に、図7に示されるように、第2の絶縁膜形成工程S50で第2の絶縁膜116を形成した後、ハードマスク膜112及びハードマスク膜112の上に形成された第2の絶縁膜116を除去する(ハードマスク膜除去工程S60)。
【0029】
ハードマスク膜112を除去する方法は特に限定されるものではないが、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)、ドライエッチング、ウエットエッチングを用いることができる。具体的には、例えばCMPにより犠牲膜108の上面が露出するまで研磨することで、第2の絶縁膜116及びハードマスク膜112を除去できる。また、CMPによりハードマスク膜112の上面が露出するまで研磨した後、例えばドライエッチング、ウエットエッチングによりハードマスク膜112を除去してもよい。また、後述する第2の開口形成工程S70において、犠牲膜108の除去と同時にハードマスク膜112を除去することが可能な場合には、第2の開口形成工程S70の前にハードマスク膜除去工程S60を行わなくてもよく、ハードマスク膜除去工程S60を省略できる。
【0030】
次に、図8に示されるように、ハードマスク膜除去工程S60でハードマスク膜112を除去した後、犠牲膜108を除去することにより、第2の開口118を形成する(第2の開口形成工程S70)。これにより、ソース/ドレイン領域と配線層とを電気的に接続する位置に開口(第2の開口118)が形成される。
【0031】
犠牲膜108を除去する方法は特に限定されるものではなく、犠牲膜108及び第2の絶縁膜116の材料等に応じて任意に選択することができる。
【0032】
犠牲膜108がSOC膜であり、第1の絶縁膜106がSiN膜であり、第2の絶縁膜116がSOD膜又はSiO膜である場合、例えばアッシングを用いることが好ましい。アッシングによりSOC膜を除去する際、SiN膜、SOD膜及びSiO膜に対してSOC膜が高いエッチング選択性を有するので、SiN膜、SOD膜及びSiO膜はほとんど削れることがない。即ち、第1の絶縁膜106及びキャップ誘電体膜104はほとんど削れることがなく、形状を維持することができる。
【0033】
犠牲膜108がa−Si膜であり、第1の絶縁膜106がSiN膜であり、第2の絶縁膜116がSOD膜又はSiO膜である場合、例えば塩素又は臭素を含むガスを用いたドライエッチングを用いることが好ましい。塩素又は臭素を含むガスを用いたドライエッチングによりa−Si膜を除去する際、SiN膜、SOD膜及びSiO膜に対してa−Si膜が高いエッチング選択性を有するので、SiN膜、SOD膜及びSiO膜はほとんど削れることがない。即ち、第1の絶縁膜106及びキャップ誘電体膜104はほとんど削れることがなく、形状を維持することができる。
【0034】
犠牲膜108がSOD膜であり、第1の絶縁膜106がSiN膜であり、第2の絶縁膜116がSiO膜である場合、例えばウエットエッチングを用いることが好ましい。ウエットエッチングによりSOD膜を除去する際、SiN膜及びSiO膜に対してSOD膜が高いエッチング選択性を有するので、SiN膜及びSiO膜はほとんど削れることがない。即ち、第1の絶縁膜106及びキャップ誘電体膜104はほとんど削れることがなく、形状を維持することができる。
【0035】
次に、図9に示されるように、第2の開口形成工程S70で形成した第2の開口118の底部に残存する第1の絶縁膜106を除去する(第1の絶縁膜除去工程S80)。これにより、第2の開口118の底部においてソース/ドレイン領域が露出する。
【0036】
第1の絶縁膜106を除去する方法は特に限定されるものではないが、例えばRIEを用いることが好ましい。第2の開口118の底部においてソース/ドレイン領域を露出させる際、ゲート102の上部にある第1の絶縁膜106及びキャップ誘電体膜104も一部削れるが、第2の開口118を形成する工程(第2の開口形成工程S70)で第1の絶縁膜106及びキャップ誘電体膜104の形状を維持したので、最終的な削れ量を抑制することができる。これにより、第2の開口118とゲート102との配線間の距離が維持されるため、コンタクトプラグ120とゲート102との配線間のリーク電流や短絡を抑制できる。
【0037】
次に、図10に示されるように、第2の開口形成工程S70及び第1の絶縁膜除去工程S80で形成した底部においてソース/ドレイン領域が露出した第2の開口118にコンタクトプラグ120を形成する(コンタクトプラグ形成工程S90)。
【0038】
コンタクトプラグ120は、ソース/ドレイン領域と配線層とを電気的に接続する膜であり、例えば導電膜である。導電膜は特に限定されるものではないが、例えばタングステン(W)、銅(Cu)、ポリシリコン(Poly−Si)を用いることが好ましい。
【0039】
コンタクトプラグ120の形成方法は特に限定されるものではなく、導電膜の材料等に応じて任意に選択することができる。また、第2の開口118に、窒化チタン膜(TiN膜)とチタン膜(Ti膜)との積層膜等のバリアメタル膜を形成した後、コンタクトプラグ120を形成してもよい。
【0040】
以上の工程により、所望のソース/ドレイン領域と配線層とが電気的に接続されたFinFETを製造することができる。
【0041】
次に、ハードマスク膜112に所望のパターンを形成する方法(ハードマスクパターン形成工程S30)について説明する。図11は、ハードマスクパターン形成工程の一例を示すフローチャートである。図12から図15は、ハードマスクパターン形成工程の一例を示す工程図である。なお、図12Aは上面図であり、図12B図12Aにおける一点鎖線12A−12Bにおいて切断した断面図である。図13Aは上面図であり、図13B図13Aにおける一点鎖線13A−13Bにおいて切断した断面図である。図14Aは上面図であり、図14B図14Aにおける一点鎖線14A−14Bにおいて切断した断面図である。図15Aは上面図であり、図15B図15Aにおける一点鎖線15A−15Bにおいて切断した断面図である。なお、図12から図15では、ソース/ドレイン領域の図示を省略している。
【0042】
図11に示されるように、ハードマスクパターン形成工程S30は、ハードマスク膜形成工程S31と、L&Sパターン形成工程S32と、ラインパターン切断工程S33とを有する。
【0043】
まず、図12に示されるように、犠牲膜形成工程S20で形成した犠牲膜108の上に保護膜110を形成し、保護膜110の上にハードマスク膜112を形成する(ハードマスク膜形成工程S31)。
【0044】
ハードマスク膜112は、第1の開口形成工程S40で犠牲膜108をエッチングする際、エッチングマスクとして機能する膜であればよい。犠牲膜108がSOC膜である場合、例えばSiO膜とSiN膜との積層膜、SiO膜とTiN膜との積層膜等、SOC膜に対して高いエッチング選択性を有する膜であることが好ましい。犠牲膜108がSOD膜である場合、例えばシリコン膜(Si膜)、TiN膜等、SOD膜に対して高いエッチング選択性を有する膜であることが好ましい。
【0045】
ハードマスク膜112の形成方法は特に限定されるものではなく、形成する膜の材料や膜厚等に応じて任意に選択することができる。
【0046】
次に、図13に示されるように、ハードマスク膜形成工程S31で形成したハードマスク膜112にL&Sパターンを形成する(L&Sパターン形成工程S32)。
【0047】
具体的には、ソース/ドレイン領域に対応する位置がラインパターン112l、ゲート102に対応する位置がスペースパターン112sとなるように、ハードマスク膜112をパターニングする。
【0048】
ハードマスク膜112をパターニングする方法は特に限定されるものではないが、例えばハードマスク膜112の上にレジストパターンを形成し、レジストパターンをエッチングマスクとしてハードマスク膜112をエッチングする方法を用いることができる。レジストパターンは、ソース/ドレイン領域に対応する位置がラインパターン、ゲート102に対応する位置がスペースパターンとなるように、例えばフォトリソグラフィにより形成される。なお、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成する場合には、SAMP(Self-Aligned Multiple Pattering)によりハードマスク膜112にL&Sパターンを形成してもよい。
【0049】
次に、図14及び図15に示されるように、L&Sパターン形成工程S32で形成したL&Sパターンを有するハードマスク膜112のラインパターン112lの一部を切断する(ラインパターン切断工程S33)。
【0050】
具体的には、ハードマスク膜112のラインパターン112lにおけるソース/ドレイン領域と配線層とを電気的に接続するコンタクトプラグ120を形成しない位置のラインパターンを除去することにより、ハードマスク膜112のラインパターンの一部を切断する。
【0051】
ラインパターンの一部を切断する方法は特に限定されるものではないが、ハードマスク膜112の上にフォトリソグラフィによりカットマスクを形成し、カットマスクをエッチングマスクとしてハードマスク膜112をエッチングする方法を用いることができる。カットマスクは、ラインパターン112lにおける切断したい領域に対応する位置が開口したパターンとなるように形成される。
【0052】
また、ラインパターン切断工程S33において、例えば露光装置の解像限界よりも微細なパターンを形成する場合、複数のカットマスクを用いることもできる。即ち、複数のカットマスクを用いて所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成する。具体的には、図14に示されるように、まず、ハードマスク膜112の上に第1のカットマスクを形成し、第1のカットマスクをエッチングマスクとしてL&Sパターンを有するハードマスク膜112のラインパターン112lの一部を切断する。続いて、図15に示されるように、第1のカットマスクとは異なる第2のカットマスクをエッチングマスクとしてL&Sパターンを有するハードマスク膜112のラインパターンの他の一部を切断する。これにより、露光装置の解像限界よりも微細なパターンを有するハードマスク膜112を形成することができる。
【0053】
なお、図14及び図15では、2つの異なるカットマスクを用いてラインパターン112lの一部を切断することにより所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成する形態を説明したが、係る形態に限定されるものではない。例えば3つ以上の異なるカットマスクを用いてラインパターン112lの一部を切断することにより所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成してもよい。また、1つのカットマスクを用いてラインパターン112lの一部を切断することにより所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成してもよい。
【0054】
以上の工程により、所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成することができる。
【0055】
次に、L&Sパターンを形成した後、ラインパターン112lの一部を切断することにより、所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成する場合の作用・効果について、図16から図19に基づき説明する。
【0056】
図16から図19は、本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果を説明する図である。具体的には、図16は本実施形態のハードマスクパターン形成工程を説明する概略斜視図であり、図17図16に示すハードマスクパターン形成工程により得られたハードマスクパターンを説明する図である。また、図18は従来のハードマスクパターン形成工程を説明する概略斜視図であり、図19図18に示すハードマスクパターン形成工程により得られたハードマスクパターンを説明する図である。
【0057】
本実施形態では、前述したように、コンタクトプラグ120を形成しない位置のハードマスク膜112を除去し、コンタクトプラグ120を形成する位置のハードマスク膜112を残存させるようにハードマスク膜112をパターニングする。
【0058】
具体的には、図16に示されるように、まず、ハードマスク膜112にL&Sパターンを有するエッチングマスク152を用いてハードマスク膜112にL&Sパターンを転写する(工程LE1)。続いて、第1のカットマスク154をエッチングマスクとして工程LE1で形成されたハードマスク膜112のラインパターン112lの一部を切断する(工程LE2)。続いて、第1のカットマスク154とは異なる第2のカットマスク156をエッチングマスクとして工程LE2で切断されたラインパターン112lの他の一部を切断する(工程LE3)。これにより、コンタクトプラグ120を形成する位置にハードマスク膜112が残存したハードマスクパターン112aが得られる。
【0059】
ところで、位置合わせ(アライメント)精度の影響により、工程LE1、工程LE2及び工程LE3の各工程で用いられるエッチングマスクの位置がずれる場合がある。しかしながら、本実施形態の半導体装置の製造方法では、工程LE1、工程LE2及び工程LE3の各工程で用いられるエッチングマスクの位置がX方向にずれた場合であっても、図17に示されるように、X方向に隣接するハードマスク膜112(例えば、図17におけるハードマスク膜112Aとハードマスク膜112B)が一つのカットマスクを用いて形成されているため、X方向に隣接するハードマスク膜112間の距離L1が変化せず、互いに接触することがない。その結果、EPEマージンが大きくなる。
【0060】
これに対して、従来では、コンタクトプラグ120を形成する位置のハードマスク膜112を除去し、コンタクトプラグ120を形成しない位置のハードマスク膜112を残存させるようにハードマスク膜112をパターニングする。
【0061】
具体的には、図18に示されるように、第1の開口パターンを有する第1のエッチングマスク192を用いてハードマスク膜112に第1の開口パターンを転写する(工程LE1)。続いて、第1の開口パターンとは異なる第2の開口パターンを有する第2のエッチングマスク194を用いて、工程LE1で第1の開口パターンが形成されたハードマスク膜112に第2の開口パターンを転写する(工程LE2)。続いて、第1の開口パターン及び第2の開口パターンとは異なる第3の開口パターンを有する第3のエッチングマスク196を用いて、工程LE2で第2の開口パターンが形成されたハードマスク膜112に第3の開口パターンを転写する(工程LE3)。これにより、コンタクトプラグ120を形成する位置のハードマスク膜112が除去されたハードマスクパターン112aが得られる。
【0062】
このため、従来の方法では、アライメント精度の影響により工程LE1、工程LE2及び工程LE3の各工程で用いられるエッチングマスクの位置がX方向にずれた場合、図19に示されるように、X方向に隣接する開口(例えば、図19における開口112Cと開口112D)が異なるエッチングマスクを用いて形成されているため、X方向に隣接する開口間の距離L2が縮まるようにX方向に移動する場合がある。その結果、EPEマージンが小さくなる。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態の半導体装置の製造方法では、フィン状に隆起したソース及びドレインと配線層とを電気的に接続するコンタクトプラグ120を形成する位置に犠牲膜108を形成すると共に、コンタクトプラグ120を形成しない位置に犠牲膜108とは材料の異なる第2の絶縁膜116を形成する。そして、第2の絶縁膜116を残存させた状態で犠牲膜108を除去し、犠牲膜108が除去された部分にコンタクトプラグ120を形成する。これにより、所望のソース/ドレイン領域と配線層とが電気的に接続されたFinFETを製造することができ、リーク電流や短絡を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ハードマスクパターン形成工程S30において、コンタクトプラグ120を形成しない位置のハードマスク膜112が除去されたハードマスクパターン112aを形成する。このため、所望のパターンを有するハードマスク膜112を形成する際、例えばL&Sパターンを形成し、ラインパターンの一部を切断する、所謂、1Dレイアウトにより、ハードマスク膜112をパターニングすることができる。その結果、EPEマージンが大きくなる。
【0065】
以上、半導体装置の製造方法を上記実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【0066】
本願は、日本特許庁に2016年3月24日に出願された基礎出願2016−059716号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。
【符号の説明】
【0067】
102 ゲート
104 キャップ誘電体膜
106 第1の絶縁膜
108 犠牲膜
110 保護膜
112 ハードマスク膜
112a ハードマスクパターン
112l ラインパターン
112s スペースパターン
114 第1の開口
116 第2の絶縁膜
118 第2の開口
120 コンタクトプラグ
152 エッチングマスク
154 第1のカットマスク
156 第2のカットマスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19