【実施例】
【0051】
(実施例1)
ガラスエポキシ多層材料(日立化成株式会社製、商品名:E−679)を用いて、基板サイズ500mm×500mm、板厚3.0mmの26層配線板を形成した。直径0.15mmのドリルにて、貫通スルーホール間の最小ピッチ0.40mmのパターンで20000穴の穴明けを行い、穴の内壁を銅めっきして電気的に接続し、全ての穴内を穴埋め樹脂(太陽インキ製造株式会社製、商品名:THP−100DX1)を用いて樹脂埋めを行った後、厚付け無電解銅めっきによる40μmの蓋めっきを行った。また、プリント配線板の表面層の片方の面には、貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。この基板を、第一のプリント配線板とした。
【0052】
次に、第一のプリント配線板と同じ材料とプロセスを用いて、板厚3.0mmの26層配線板を形成し、第二のプリント配線板とした。この際、第二のプリント配線板の表面層の片方の面には、20000穴の貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。
【0053】
次に、サイズ510mm×510mmで、片面に厚み0.025mmのPETフィルムが付いた公称厚み0.065mmの絶縁フィルム(日立化成株式会社製、商品名:AS−300HS)を、第一のプリント配線板の電気的接続パッドを配置した面に、絶縁フィルムが電気的接続パッドに接するように載せ、真空ラミネータを用いて、温度85℃、圧力0.5MPa、加圧時間30秒(真空引き30秒)の条件で、貼り付けを行った。
【0054】
次に、第一のプリント配線板において、絶縁フィルムを貼り付けた面から、CO
2レーザ加工機を用いて、電気的接続パッドが露出するように絶縁フィルムの穴明けを行った。この際、絶縁フィルムに明ける穴の仕上がり穴径は0.25mmとし、プリント配線板の表面パターンと穴位置の位置合わせは、レーザ加工機に備わったカメラによりプリント配線板4隅に設けた位置合わせ用の表面パッド位置を読み取り、レーザ加工機の制御用ソフトウェアにて、XおよびY方向のオフセット、XおよびY方向のスケール、回転の補正を行った。
【0055】
次に、スクリーン印刷機を用いて、スクリーン印刷法にて前記の穴に導電性ペースト(タツタ電線株式会社製、商品名:MPA500)を充填した。充填した穴数は20000穴であった。この際、スクリーン版は、厚み0.1mmのメタルマスクとし、印刷領域として480mm×480mmの開口を設けたものとした。また、導電性ペーストを配置しない部分のプリント配線板表面の保護マスクとして、絶縁フィルム表面に付着しているPETフィルムを使用した。
【0056】
次に、絶縁フィルム表面に付着している0.025mmのPETフィルムを絶縁材から剥離した。
【0057】
次に、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板を重ね合わせ、真空プレス機にて温度180℃、時間90分、圧力3MPaのプレス条件にて加熱・加圧プレスを行い、接着した。この際、第一のプリント配線板の導電性ペーストが配置された面と、第二のプリント配線板の導電性ペーストが配置されていない面が対向するように第二のプリント配線板を重ねて配置した。第一のプリント配線板と第二のプリント配線板の位置合せは、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板の平面上の490mm×490mmの基板4隅の位置に直径5.0mmのドリルにてあらかじめ明けておいた位置合わせ穴に、長さ5mm、直径5.0mmのピンを挿入することで行った。
【0058】
(実施例2)
第一のプリント配線板と第二のプリント配線板に、ポリイミド多層材料(日立化成株式会社製、商品名:I−671)を用いたこと以外は実施例1と同様に多層配線板の製造を行った。
【0059】
(実施例3)
絶縁フィルムとして日立化成株式会社製、商品名:AS−9500を用いたこと以外は実施例1と同様に多層配線板の製造を行った。
【0060】
(実施例4)
絶縁フィルム穴明けの際にドリル加工を用いたこと以外は実施例1と同様に基板の製造を行った。加工するドリルとして直径0.25mm、先端角140度のドリルを用い、穴明けの深さ制御は、穴明け機に備えたセンサにより基板表面の位置を検知し、表面からの加工量を0.130mmとして行った。また、機械に備えたカメラによりプリント配線板4隅に設けた位置合わせ用の表面パッド位置を読み取り、加工機の制御用ソフトウェアにて、XおよびY方向のオフセット、XおよびY方向のスケール、回転の補正を行った。
【0061】
(実施例5)
導電性ペースト充填の直後に、電気乾燥機にて温度70℃、時間10分の乾燥処理を実施した以外は実施例1と同様に多層配線板の製造を行った。
【0062】
(実施例6)
導電性ペースト充填の直後に、電気乾燥機にて温度150℃、時間90分の乾燥処理を実施した以外は実施例1と同様に多層配線板の製造を行った。
【0063】
(実施例7)
第一のプリント配線板として、板厚3.0mm、絶縁ワイヤを用いた信号層数4層、全層数18層のマルチワイヤ配線板を用いた以外は実施例1と同様に多層配線板の製造を行った。
【0064】
(実施例8)
ガラスエポキシ多層材料(日立化成株式会社製、商品名:E−679)を用いて、基板サイズ500mm×500mm、板厚2.0mmの18層配線板を形成した。直径0.15mmのドリルにて、貫通スルーホール間の最小ピッチ0.40mmのパターンで20000穴の穴明けを行い、全ての穴内を穴埋め樹脂(太陽インキ製造株式会社製、商品名:THP−100DX1)を用いて樹脂埋めを行った後、厚付け無電解銅めっきによる40μmの蓋めっきを行った。また、基板の表面層の片方の面には、貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの穴を設けた。この基板を、第一のプリント配線板とした。
【0065】
次に、第一のプリント配線板と同じ材料構成とプロセスを用いて、板厚2.0mmの18層配線板を形成し、第二のプリント配線板とした。この際、第二のプリント配線板の表面層の片方の面には、20000穴の貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。
【0066】
次に、第一のプリント配線板と同じ材料構成とプロセスを用いて、板厚2.0mmの18層配線板を形成し、第三のプリント配線板とした。この際、第二のプリント配線板の表面層の両面において、20000穴の貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。
【0067】
次に、サイズ510mm×510mmで、片面に厚み0.025mmのPETフィルムが付いた公称厚み0.075mmの絶縁フィルム(日立化成株式会社製、商品名:AS−300HS)を、第一のプリント配線板の電気的接続パッドを配置した面に、絶縁フィルムが電気的接続パッドに接するように載せ、真空ラミネータを用いて、温度85℃、圧力0.5MPa、加圧時間30秒(真空引き30秒)の条件で、貼り付けを行った。
【0068】
次に、サイズ510mm×510mmで、片面に厚み0.025mmのPETフィルムが付いた公称厚み0.065mmの絶縁フィルム(日立化成株式会社製、商品名:AS−300HS)を、第三のプリント配線板の電気的接続パッドを配置した面の片側に、絶縁フィルムが電気的接続パッドに接するように載せ、真空ラミネータを用いて、温度85℃、圧力0.5MPa、加圧時間30秒(真空引き30秒)の条件で、貼り付けを行った。
【0069】
次に、第一のプリント配線板と第三のプリント配線板それぞれについて、絶縁フィルムを貼り付けた面から、CO
2レーザ加工機を用いて、接続パッドが露出するように絶縁フィルムの穴明けを行った。この際、仕上り穴径は0.30mmとし、プリント配線板の表面パターンと穴位置の位置合わせは、レーザ加工機に備わったカメラによりプリント配線板4隅に設けた位置合わせ用の表面パッド位置を読み取り、レーザ加工機の制御用ソフトウェアにて、XおよびY方向のオフセット、XおよびY方向のスケール、回転の補正を行った。
【0070】
次に、第一のプリント配線板と第三のプリント配線板それぞれについて、スクリーン印刷機を用いて、スクリーン印刷法にて前記の穴に導電性ペースト(タツタ電線株式会社製、商品名:MPA500)を充填した。この際、スクリーン版は、厚み0.1mmのメタルマスクとし、印刷領域として480mm×480mmに開口を設けたものとした。また、導電性ペーストを配置しない部分のプリント配線板表面の保護マスクとして、絶縁フィルム表面に付着しているPETフィルムを使用した。
【0071】
次に、絶縁フィルム表面に付着しているPETフィルムを絶縁材から剥離した。
【0072】
次に、第一のプリント配線板と、第三のプリント配線板と、第二のプリント配線板とを重ね合わせ、真空プレス機にて温度180℃、時間90分、圧力3MPaのプレス条件にて加熱・加圧プレスを行い、接着した。この際、第一のプリント配線板の導電性ペーストが配置された面に、第三のプリント配線板の導電性ペーストが配置されていない面が対向するように第三のプリント配線板を重ねて配置し、さらに、第三のプリント配線板の導電性ペーストが配置された面に、第二のプリント配線板の導電性ペーストが配置されていない面が対向するように第二のプリント配線板を重ねて配置し、プリント配線板同士の位置合せは、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板と第三のプリント配線板の平面上の490mm×490mmの基板4隅の位置に直径5.0mmのドリルにてあらかじめ明けておいた穴に、長さ5mm、直径5.0mmのピンを挿入することで行った。
【0073】
(比較例1)
ガラスエポキシ多層材料(日立化成株式会社製、商品名:E−679)を用いて、基板サイズ500mm×500mm、板厚3.0mmの26層配線板を形成した。直径0.15mmのドリルにて、貫通スルーホール間の最小ピッチ0.40mmのパターンで20000穴の穴明けを行い、穴の内壁を銅めっきして電気的に接続し、全ての穴内を穴埋め樹脂(太陽インキ製造株式会社製、商品名:THP−100DX1)を用いて樹脂埋めを行った後、厚付け無電解銅めっきによる40μmの蓋めっきを行った。また、基板の表面層の片方の面には、貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。この基板を、第一のプリント配線板とした。
【0074】
次に、第一のプリント配線板と同じ材料とプロセスを用いて、板厚3.0mmの26層配線板を形成し、第二のプリント配線板とした。この際、第二のプリント配線板の表面層の片方の面には、20000穴の貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。
【0075】
次に、公称厚み0.06mmのプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:E−679F)を用い、このプリプレグに、CO
2レーザ加工機を用いて、仕上り穴径0.25mmの穴明けを行った。
【0076】
次に、メタルマスクを用いてプリプレグに設けた穴に導電性ペースト(タツタ電線株式会社製、商品名:MPA500)を充填した。
【0077】
次に、第一のプリント配線板と、導電性ペーストを穴内に充填したプリプレグと、第二のプリント配線板を重ね合わせ、真空プレス機にて温度180℃、時間90分、圧力3MPaのプレス条件にて加熱・加圧プレスを行い、接着した。この際、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板の接続パッドが配置された面が対向するように配置し、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板の間にプリプレグが挟まるように重ね合わせた。第一のプリント配線板と、プリプレグ、第二のプリント配線板の位置合せは、第一のプリント配線板と、プリプレグ、第二のプリント配線板の平面上の490mm×490mmの基板4隅の位置に直径5.0mmのドリルにてあらかじめ明けておいた位置合わせ穴に、長さ5mm、直径5.0mmのピンを挿入することで行った。
【0078】
(比較例2)
ガラスエポキシ多層材料(日立化成株式会社製、商品名:E−679)を用いて、基板サイズ500mm×500mm、板厚3.0mmの26層配線板を形成した。直径0.15mmのドリルにて、貫通スルーホール間の最小ピッチ0.40mmのパターンで20000穴の穴明けを行い、穴の内壁を銅めっきして電気的に接続し、全ての穴内を穴埋め樹脂(太陽インキ製造株式会社製、商品名:THP−100DX1)を用いて樹脂埋めを行った後、厚付け無電解銅めっきによる40μmの蓋めっきを行った。また、基板の表面層の片方の面には、貫通穴の位置に直径0.25mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。この基板を、第一のプリント配線板とした。
【0079】
次に、第一のプリント配線板と同じ材料とプロセスを用いて、板厚3.0mmの26層配線板を形成し、第二のプリント配線板とした。この際、第二のプリント配線板の表面層の片方の面には、20000穴の貫通穴の位置に直径0.30mmの電気的接続パッドを配置した。また、基板4隅の490mm×490mmの位置に、直径5.0mmの位置合わせ穴を設けた。
【0080】
次に、第一のプリント配線板の電気的接続パッド上に、共晶はんだペースト(千住金属工業株式会社製、商品名:M705−WSG36−T5K)を、メタルマスクを用いてスクリーン印刷し、ピーク温度235℃、時間5秒の条件にてリフロー処理を行い、高さ0.13mmの山形のはんだバンプを形成した。
【0081】
次に、第一のプリント配線板と、公称厚み0.060mmの絶縁フィルムAS−300HSと、第二のプリント配線板を重ね合わせ、真空プレス機にて温度180℃、時間90分、圧力3MPaのプレス条件にて加熱・加圧プレスを行い、接着した。この際、第一のプリント配線板に形成したはんだバンプと、第二のプリント配線板の電気的接続パッドが対向するようにプリント配線板を重ね合わせ、第一のプリント配線板と、第二のプリント配線板の間には、公称厚み0.075mmの絶縁フィルムAS−300HSが挟まるように配置し、プリント配線板同士の位置合せは、第一のプリント配線板と第二のプリント配線板の平面上の490mm×490mmの4隅の位置に直径5.0mmのドリルにてあらかじめ明けておいた位置合わせ穴に、長さ5mm、直径5.0mmのピンを挿入することで行った。
【0082】
(比較例3)
公称厚み0.06mmのプリプレグ(日立化成株式会社製、商品名:E−679F)を用い、第一のプリント配線板の電気的接続パッドを配置した面に、プリプレグが電気的接続パッドに接するように載せ、真空プレス機を用いて、温度150℃、圧力1.0MPa、加圧時間30分、真空引き有りの条件で、貼り付けを行った。また、導電性ペーストの印刷において、ペーストを配置する穴の位置のみを絶縁フィルムの穴径と同径で開口したメタルマスクを用いた。これ以外は、実施例1と同様の条件で多層配線板の製造を行った。
【0083】
実施例、比較例にて製造した多層配線板の特性を、下記にて評価した。
【0084】
評価パターンとして、400穴の接合点と、接合した第一のプリント配線板、第二のプリント配線板、第三のプリント配線板の内層接続とを含むディジーチェーンパターンを10個用いた。初期の接続抵抗値は、1つのディジーチェーンパターンの始端と終端にて、ミリオームメータを用いて抵抗値の測定を行い、その後、測定した抵抗値を400穴で割り、1点あたりの接続抵抗値を求め、さらには全10個のパターンについて平均を求めた。
【0085】
リフロー耐熱後の接続抵抗値は、初期接続抵抗値を測定した10個のディジーチェーンパターンにおいて評価した。リフロー装置を用いて、ピーク温度235℃、時間5秒の条件にて3回処理を行った。リフロー処理後に、ミリオームメータを用いて接続抵抗値の測定を行い、さらには全10個のパターンについて平均を求めた。
【0086】
実施例における評価結果を、表1、表2に示す。
【表1】
【表2】
【0087】
比較例における評価結果を、表3に示す。
【表3】
【0088】
表1〜3に示すように、比較例の製造方法で作製した多層配線板は、初期接続抵抗値において断線が認められたのに対し、実施例の製造方法で作製した多層配線板は、初期接続抵抗値およびリフロー耐熱後の接続抵抗値において断線は認められず、本発明の多層配線板の製造方法によれば、接続信頼性に優れた、微小な接合端子ピッチを備えた高密度多層配線板を提供することができる。