(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール(A)と、酸化防止剤(B)と、ポリイソシアネート(C)とを含む軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物であって、ポリオール(A)が、ヒマシ油及びヒマシ油変性ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオール(A−1)と、ポリオール(A−1)以外の高分子ポリオール(A−2)との混合物であり、ポリオール(A−1)の数平均分子量が400〜2000であり、高分子ポリオール(A−2)が数平均分子量1000〜10000、公称官能基数2以上のポリエーテルポリオールであり、ポリオール(A−1)をポリオール(A)中に10〜50質量%含有すること、酸化防止剤(B)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であり、かつポリオール(A)に対して0.1〜5質量%含有すること、並びにポリイソシアネート(C)が、ジフェニルメタンジイソシアネートを50〜80質量%の範囲で含むポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートであり、該ジフェニルメタンジイソシアネートに含まれる2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが該ジフェニルメタンジイソシアネートの総量に対し10〜50質量%含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであって、その課題は、車両用エンジンルーム内や発電機の防振・防音材、ホットカーペット等に用いられる、優れた耐熱性を有する軟質ポリウレタンフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下に示す実施形態を含むものである。
【0008】
(1)ポリオール(A)と、酸化防止剤(B)と、ポリイソシアネート(C)とを含む軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物であって、ポリオール(A)が、ヒマシ油及びヒマシ油変性ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオール(A−1)をポリオール(A)中に10〜50質量%含有すること、酸化防止剤(B)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であり、かつポリオール(A)に対して0.1〜5質量%含有すること、並びにポリイソシアネート(C)が、ジフェニルメタンジイソシアネートを50〜80質量%の範囲で含み、該ジフェニルメタンジイソシアネートに含まれる2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが該ジフェニルメタンジイソシアネートの総量に対し10〜50質量%含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物。
【0009】
(2)ポリオール(A)が、ヒマシ油及びヒマシ油変性ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオール(A−1)と、ポリオール(A−1)以外の高分子ポリオール(A−2)とを含有し、ポリオール(A−1)の数平均分子量が400〜2000であり、高分子ポリオール(A−2)が数平均分子量1000〜10000、公称官能基数2以上のポリエーテルポリオールであることを特徴とする上記(1)に記載の軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)に記載の軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物と、触媒、整泡剤、及び発泡剤の混合物を発泡させることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0011】
(4)上記(3)で得られた軟質ポリウレタンフォームの見掛けフォーム密度が70〜300kg/m
3 、かつスキン付フォーム試験片の25%圧縮硬さが150〜950N/314cm
2 であって、150℃で150時間の耐熱試験前後でのフォームの伸び保持率が75%以上であることを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、軟質ポリウレタンフォームにおいて、優れた耐熱性を得ることが可能となり、主として車両用エンジンルーム内や発電機用の防振・防音材として非常に有用である。
【0013】
すなわち本発明は、以下に示すとおり、軟質ポリウレタンフォームを構成する特定のポリオール成分及び酸化防止剤を用いて製造される軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物は、ヒマシ油及びヒマシ油変性ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオール(A−1)を含むポリオール(A)と、酸化防止剤(B)としてヒンダードフェノール系酸化防止剤と、ポリイソシアネート(C)を含む、軟質ポリウレタンフォーム成型用組成物である。
【0016】
ヒマシ油及びヒマシ油変性ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオール(A−1)としては例えば精製ヒマシ油、半精製ヒマシ油、未精製ヒマシ油、水素を付加させた水素添加ヒマシ油等ヒマシ油の誘導体が挙げられるが、CPRが8以下であることが好ましい。ここで、CPRとはポリオール中に残存するアルカリ金属量を示す指標であり、アルカリ金属に由来する塩基性によってウレタン反応に影響を与える。CPRが8を超える場合には、得られる軟質ポリウレタンフォームの独泡性が強くなり、成型収縮を生じる場合がある。本発明において具体的に使用可能なヒマシ油系ポリオール(A−1)としては、伊藤製油社製のURIC H−24やURIC H−30等があるがこれらに限定されない。ヒマシ油系ポリオール(A−1)はポリオール(A)中に10〜50質量%使用する。10質量%未満では耐熱性を十分に発現することができず、また、50質量%を超えると成形性が悪化する。ヒマシ油系ポリオール(A−1)の数平均分子量は400〜2000であることが好ましい。400未満の場合、軟質ポリウレタンフォームの防音性能が低下する恐れがあり、2000を超えると軟質ポリウレタンフォームの圧縮残留歪が低下する恐れがある。
【0017】
本発明においては、ポリオール成分として、高分子ポリオール(A−2)を使用することができる。
【0018】
高分子ポリオール(A−2)は、本発明においては、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれることが好ましい。さらに、数平均分子量1000〜10000で、公称官能基数2以上のものがより望ましい。数平均分子量が下限未満では、得られるフォームの柔軟性が不足しやすく、上限を超えると、軟質ポリウレタンフォームの硬度が低下しやすい。また、公称官能基数が2未満の場合、圧縮残留歪みが悪くなるといった問題が発生する。なお、公称官能基数とは、ポリオールの平均官能基数(分子当たりの活性水素原子の数)を示す。
【0019】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレンエチレンポリオールやポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)等が使用され、ポリエステルポリオールとしては、重縮合型ポリエステル系ポリオールのアジピン酸エチレングリコールポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールのポリカプロラクトンポリオール等が使用される。
【0020】
本発明に使用する酸化防止剤(B)としては、ヒンダードフェノール系化合物を用いる。ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、2,4,6−トリス(3’,5’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン等が挙げられる。イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を用いた場合には耐熱性の効果が十分得られない。酸化防止剤の量は、ポリオール(A)に対して0.1〜5質量%使用する。上限を超えると発泡体の成型安定性が低下し、下限未満では耐熱性の効果が十分に得られない。
【0021】
本発明における軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリイソシアネート(C)は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下2,2’−MDI)、等のジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDI)とポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(以下P−MDI)をイソシアネート源として用いることを特徴とする。本発明においては、上記したMDI、MDIとP−MDIの混合物、ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビュウレット変性体等の各種変性体も使用し得る。
【0022】
本発明にかかるMDI含有率は50〜80質量%の範囲である。MDI含有率が80質量%を超えると得られるポリイソシアネート組成物の低温における貯蔵安定性や得られる軟質フォームの耐久性が低化する。他方、50質量%未満では架橋密度の上昇に伴い、軟質ポリウレタンフォームの伸びが低下し、十分なフォーム強度を得ることができない。
【0023】
さらに、MDI総量に対する2,2’−MDIの含有率と2,4’−MDIの含有率との合計(以下アイソマー含有率)は10〜50質量%である。
【0024】
本発明にかかるMDI総量に対する2,2’−MDI及び2,4’−MDIの含有量が10質量%未満では得られるポリイソシアネート組成物の低温での貯蔵安定性が損なわれ、イソシアネート保管場所や配管、発泡成形機内の常時加温が必要となる。また軟質ポリウレタンフォームの成形安定性が損なわれ、発泡途中でのフォーム崩壊等が発生する。他方、50質量%を超えると反応性が低下し成形サイクルが延長する、フォームの独泡率が高くなり成型後に収縮する等の問題が生じる。
【0025】
また、フォームを得る際、従来公知の触媒、整泡剤、発泡剤を使用することができる。
【0026】
触媒としては、当該分野において公知である各種のウレタン化触媒を使用できる。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモリホリン、N−エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン、さらにこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物も挙げられる。また、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の活性水素を有すアミン触媒も好ましい。
【0027】
触媒の添加量は、ポリオール(A)に対して、0.01〜10質量%が好ましい。下限値未満ではキュアー不足になりやすく、上限値を超えると成形性が悪化することがある。
【0028】
本発明に使用する整泡剤としては、通常の界面活性剤が使用され、有機珪素系の界面活性剤が好適に使用できる。例えば、東レ・ダウコーニング社製のSZ−1327、SZ−1325、SZ−1336、SZ−3601、モメンティブ社製のY−10366、L−5309、エボニック社製B−8724LF2、B−8715LF2、信越化学社製のF−122等が挙げられる。これら整泡剤の量はポリオール(A−1)を含むポリオール(A)に対し0.1〜3質量%が好ましい。
【0029】
本発明に使用する発泡剤としては、主として水を用いる。水はイソシアネート基との反応で炭酸ガスを発生し、これにより発泡することができる。また、水と付加的に任意の発泡剤を使用してもよい。例えば、少量のシクロペンタンやイソペンタン等の低沸点有機化合物を併用してもよいし、ガスローディング装置を用いて原液中に空気や窒素ガスや液化二酸化炭素を混入溶解させて発泡することもできる。発泡剤の添加量は得られる製品の設定密度による。通常は、ポリオール(A−1)を含むポリオール(A)に対して0.5〜10質量%であるが、防音材や防振材として考えた場合、0.5〜2.5重量%であることが好ましい。上限を超えると発泡が安定し難くなる場合があり、下限未満では発泡が有効になされない場合がある。
【0030】
そして、本発明における軟質ポリウレタンフォームの製造には、低分子アミノアルコール類等の架橋剤や、炭酸カルシウムや硫酸バリウムのような充填剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤等の公知の各種添加剤、助剤を必要に応じて使用することができる。
【0031】
次に、軟質ポリウレタンフォームの製造方法について説明する。本発明の軟質ポリウレタンフォームの製造方法により、見掛け密度70〜300kg/m
3、かつスキン付きフォーム試験片の25%圧縮硬さが150〜950N/314cm
2、150℃、150時間の耐熱試験前後でのフォームの伸び保持率が75%以上である軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール(A)、酸化防止剤(B)、ポリイソシアネート(C)、触媒、整泡剤、及び発泡剤の混合液を反応発泡させて製造される。
【0032】
本発明のポリイソシアネート組成物中の全イソシアネート基と水を含む活性水素基含有化合物中の全活性水素基との混合発泡時におけるモル比(NCO/活性水素)としては0.7〜1.4(イソシアネートインデックス(NCO INDEX)=70〜140)であることが好ましく、フォームの耐久性や成形サイクルの良好な範囲として0.7〜1.2(NCO INDEX=70〜120)がより好ましい。
【0033】
NCO INDEXが70未満では耐久性の低下や独泡性に過度の上昇が生じ、120より高い場合は未反応イソシアネートが長く残存することによる成形サイクルの延長、高分子量化の遅延によるフォーム発泡途中でのセル崩壊等が生じる場合がある。
【0034】
軟質ポリウレタンフォームの製造方法としては、前記ポリオール(A)、酸化防止剤(B)、ポリイソシアネート成分(C)、触媒、整泡剤、及び発泡剤の混合液の発泡原液を金型内に注入し、その後発泡硬化させることを特徴とする軟質ポリウレタンモールドフォーム(以下、軟質モールドフォーム)の製造方法が使用できる。
【0035】
上記発泡原液を金型内に注入する際の金型温度としては、通常30〜80℃、好ましくは45〜65℃である。上記発泡原液を金型内に注入する際の金型温度が30℃未満であると、反応速度低下による生産サイクルの延長につながり、一方、80℃より高いと、ポリオールとイソシアネートの反応に対し、水とイソシアネートとの反応が過度に促進されることにより、発泡途中においてフォームが崩壊する場合がある。
【0036】
上記発泡原液を発泡硬化させる際の硬化時間としては、一般的な軟質モールドフォームの生産サイクルを考慮すると10分以下が好ましく、7分以下がより好ましい。
【0037】
軟質モールドフォームを製造する際には、通常の軟質モールドフォームの場合と同様、高圧発泡機や低圧発泡機等を用いて、上記各成分を混合することができる。
【0038】
イソシアネート成分とポリオール成分とは発泡直前で混合することが好ましい。その他の成分は、原料の貯蔵安定性や反応性の経時変化に影響を与えない範囲でイソシアネート成分またはポリオール成分と予め混合することができる。それら混合物は混合後直ちに使用しても、貯留した後、必要量を適宜使用してもよい。混合部に2成分を超える成分を同時に導入可能な発泡装置の場合、ポリオール、発泡剤、イソシアネート、触媒、整泡剤、添加剤等を個別に混合部に導入することもできる。
【0039】
また、混合方法は発泡機のマシンヘッド混合室内で混合を行うダイナミックミキシング、送液配管内で混合を行うスタティックミキシングの何れでも良く、また両者を併用してもよい。物理発泡剤等のガス状成分と液状成分との混合はスタティックミキシングで、液体として安定に貯留可能な成分同士の混合はダイナミックミキシングで実施される場合が多い。本発明に使用される発泡装置は、混合部の溶剤洗浄が必要のない高圧発泡装置であることが好ましい。
【0040】
このような混合により得られた混合液を金型(モールド)内に吐出し、発泡硬化させ、その後脱型が行われる。上記脱型を円滑に行うため、金型に予め離型剤を塗布しておくことも好適である。使用する離型剤としては、成形加工分野で通常用いられる離型剤を用いればよい。
【0041】
脱型後の製品はそのままでも使用できるが、従来公知の方法で圧縮下又は、減圧下でフォームのセル膜を破壊し、以降の製品外観、寸法を安定化させることが好ましい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、文中の「部」、「%」は質量基準である。
【0043】
[成形性評価]
表中、成形性「○」の評価は以下に示すように現象が生じることなく軟質ポリウレタンフォームが成形できることを意味する
崩壊:ウレタンフォームが最高の高さに達した後に大きく沈んでいく状態
収縮:生成したウレタンフォームが発泡直後またはキュアー後に収縮する現象
【0044】
[見掛け密度]
JIS K6400記載の方法により求めた。
【0045】
[スキン付き試験片フォームの25%圧縮硬さ(25%ILD)]
JIS K6400記載のB法により求めた。
【0046】
[フォームの伸び]
JIS K6400記載の方法で測定した。
【0047】
[耐熱性評価]
モールド成型した軟質ポリウレタンフォームをJIS K6400記載のダンベル状に打ち抜き、150℃のオーブンの中で150時間耐熱試験を行い、耐熱試験前後でのフォームの伸び保持率を算出する方法で行った。具体的には以下の計算式に基づき保持率を算出した。
耐熱試験前後伸び保持率(%)
=耐熱試験
後伸び(%)/耐熱試験
前伸び(%)×100
【0048】
[ポリオールプレミックスの調製]
(ポリオールプレミックス調製例)
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応器を窒素置換した後、ポリオール1を90g、ポリオール2(ヒマシ油系ポリオール)を10g、添加剤1(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)を0.6g、触媒1を0.71g、触媒2を0.1g、整泡剤1を0.5g、水を2g仕込み、23℃にて0.5時間撹拌させることにより、ポリオールプレミックス(P−1)を得た。その他のポリオールプレミックス(P−2〜P−11)もP−1と同様に調製した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
[実施例1〜5、比較例1〜11]
表2〜5に示す原料のうち、ポリイソシアネート化合物以外の全原料の混合物(ポリオールプレミックス)の液温を24℃〜26℃に調整し、ポリイソシアネート成分を液温24℃〜26℃に調整した。ポリオールプレミックスにポリイソシアネート成分を所定量加えて、ミキサー(毎分7000回転)で7秒間混合し金型内に注入し軟質ポリウレタンフォームを発泡させた後、金型より取り出して、得られた軟質ポリウレタンフォームの物性を測定した。なお、表2〜5におけるNCO Indexは、配合物中に存在する活性水素原子数に対するNCO基の比率である。
【0051】
[発泡条件]
金型温度:60〜65℃
金型形状:400mm×400mm×10mm
金型材質:アルミニウム
キュアー条件:60〜65℃×5分
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
[使用原料]
ポリオール1:平均官能基数=3.0、水酸基価=33(mgKOH/g)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、旭硝子ウレタン社製EL−823
ポリオール2:平均官能基数=2.7、水酸基価=160(mgKOH/g)の未精製ヒマシ油、伊藤製油社製URIC H−24
添加剤1:イルガノックス1135(Irganox1135:ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、BASFジャパン社製)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
添加剤2:スミライザーTP−D(SUMILIZER TP−D、住友化学社製)、イオウ系酸化防止剤
添加剤3:イルガフォス168(Irgafos168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASFジャパン社製)、リン系酸化防止剤
触媒1:トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液、東ソー社製TEDA−L33
触媒2:ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液、東ソー社製TOYOCAT ET
整泡剤:シリコーン系整泡剤、モメンティブ社製L−5309
イソシアネート1:MDI含有率70質量%、アイソマー含有率18質量%のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(CEF−300、東ソー社製)
イソシアネート2:トルエンジイソシアネート系ポリイソシアネート(コロネートT−80、東ソー社製)
イソシアネート3:MDI含有率48質量%、アイソマー含有率18質量%のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(CEF−531、東ソー社製)
イソシアネート4:MDI含有率95質量%、アイソマー含有率18質量%のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(CEF−532、東ソー社製)
イソシアネート5:MDI含有率70質量%、アイソマー含有率5質量%のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(CEF−533、東ソー社製)
イソシアネート6:MDI含有率70質量%、アイソマー含有率60質量%のポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(CEF−534、東ソー社製)
【0057】
表2の比較例1に示すように、高分子ポリオール(ポリオール1)とヒマシ油系ポリオール(ポリオール2)の比率が95:5の場合には、耐熱試験後の伸びが低く十分な耐熱性が得られない。また比較例2に示すように、高分子ポリオール(ポリオール1)とヒマシ油系ポリオール(ポリオール2)の比率が45:55の場合には軟質ポリウレタンフォームは収縮する。
【0058】
表3の比較例3に示したように、高分子ポリオール(ポリオール1)とヒマシ油系ポリオール(ポリオール2)の比率が60:40で使用した場合でも酸化防止剤を未使用の場合には、十分な耐熱性が得られない。また、比較例4に示したように酸化防止剤の使用量が5質量%を超えた場合、軟質ポリウレタンフォームの安定性が低下し崩壊する。
【0059】
表4は添加剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤(添加剤1)の他に、イオウ系酸化防止剤(添加剤2)、リン系酸化防止剤(添加剤3)を添加して軟質ポリウレタンフォームを製造したものの物性測定結果である。比較例5〜6に示したように、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の各添加剤を使用した場合には、十分な耐熱性が得られない。
【0060】
表5の比較例7に示したようにイソシアネート成分としてトルエンジイソシアネート系ポリイソシアネート(イソシアネート2)を用いた場合、十分な耐熱性を得ることができない。比較例8〜
11に示したように、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートのMDI含有率、並びにアイソマー含有率が請求の範囲を超える場合、良好な成形性の軟質ポリウレタンフォームは得られない。
【0061】
以上の実施例及び比較例を対比することにより、本発明においては、耐熱性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られることは明確であり、本発明の構成の有意性と顕著な卓越性を理解できる。