特許第6903948号(P6903948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903948T型フィルタ、発信回路、及びインダクタンス素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903948
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】T型フィルタ、発信回路、及びインダクタンス素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20210701BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20210701BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20210701BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20210701BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20210701BHJP
   H03H 7/075 20060101ALI20210701BHJP
   H04B 1/18 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01F17/00 Z
   H01F27/00 S
   H01F5/00 F
   H01F27/28 K
   H01F41/04 E
   H03H7/075 A
   H04B1/18 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-35642(P2017-35642)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-142619(P2018-142619A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】日本電産リード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】楠田 達文
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/010838(WO,A1)
【文献】 特開2011−100886(JP,A)
【文献】 特開平05−191130(JP,A)
【文献】 特開2000−100625(JP,A)
【文献】 特開昭61−090816(JP,A)
【文献】 特開2002−314321(JP,A)
【文献】 特開平05−027697(JP,A)
【文献】 特開平02−017333(JP,A)
【文献】 特開2002−118416(JP,A)
【文献】 特開2007−170936(JP,A)
【文献】 特開2006−311203(JP,A)
【文献】 実開昭59−117112(JP,U)
【文献】 特開平04−252523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 5/00
H01F 27/00
H01F 27/28
H01F 41/04
H03H 7/075
H04B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルが互いに離間した多重螺旋を構成するように配置されたコイル部、及び前記多重螺旋の一端部で、前記複数のコイルを連結すると共に導通させる導通連結部とを備え、前記導通連結部は、前記多重螺旋と同心の筒状形状を有するインダクタンス素子と、
キャパシタとを備え、
前記コイルの数は二つであり、前記キャパシタの一方端子が前記導通連結部に接続されていることによって前記二つのコイルが直列接続され、当該二つのコイルの接続点に前記キャパシタの一方端子が接続されたT型フィルタ。
【請求項2】
複数のコイルが互いに離間した多重螺旋を構成するように配置されたコイル部、及び前記多重螺旋の一端部で、前記複数のコイルを連結すると共に導通させる導通連結部とを備え、前記導通連結部は、前記多重螺旋と同心の筒状形状を有するインダクタンス素子と、
キャパシタとを備え、
前記キャパシタの一方端子が前記複数のコイルのうち一つに接続され、前記キャパシタの他方端子が前記一つのコイルにおける前記一方端子の接続箇所から所定距離離間した位置又は前記導通連結部に接続された発振回路。
【請求項3】
請求項1に記載のT型フィルタにおけるインダクタンス素子の製造方法であって、
導通性の筒状体の周面に沿うように、前記筒状体の一端部と、前記筒状体の他端部から前記一端部方向へ所定長さ離間した所定位置との間の領域に互いに離間した螺旋状の複数のスリットを形成することによって、前記間の領域に前記螺旋状の複数のコイルを形成して前記コイル部とし、前記他端部から前記所定位置までの領域を前記導通連結部とするT型フィルタにおけるインダクタンス素子の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の発振回路におけるインダクタンス素子の製造方法であって、
導通性の筒状体の周面に沿うように、前記筒状体の一端部と、前記筒状体の他端部から前記一端部方向へ所定長さ離間した所定位置との間の領域に互いに離間した螺旋状の複数のスリットを形成することによって、前記間の領域に前記螺旋状の複数のコイルを形成して前記コイル部とし、前記他端部から前記所定位置までの領域を前記導通連結部とする発振回路におけるインダクタンス素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコイルを備えたインダクタンス素子、このインダクタンス素子を用いたT型フィルタ、発振回路、及びこのインダクタンス素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば無線通信装置等の種々の電子回路で発振回路、同調回路、及び整合回路等、コイルを必要とする回路が広く用いられている。発振回路、同調回路、及び整合回路等が扱う周波数は、LC回路の共振周波数fの影響を受ける。共振周波数fは、コイルのインダクタンスL、キャパシタの静電容量Cに対して、f=1/{2π(LC)1/2}で表される。近年、回路で扱う周波数が増大し、共振周波数fの高い回路が必要とされている。共振周波数fを大きくするためにはインダクタンスLを小さくする必要がある。
【0003】
インダクタンスLの小さなコイルを作成するためには、コイルの長さや直径を小さくする必要がある。このような小さなコイルの製造方法として、リング状の銅配線パターンが形成されたセラミック板を複数積層し、セラミック板を貫通するスルーホールによって隣接するリング状パターンを電気接触させて導通させる製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−232714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の製造方法では、複数のセラミック板を極めて高精度に位置決めする必要があり、位置決めがずれると各リング状パターンが導通しない不良が生じる。また、このような製造方法で作成されたチップコイルは、コイルの巻数の数だけ積層する必要があり、その数だけスルーホールとリング状パターンとの接触接続箇所が生じるため、リング状パターン相互間で接触不良が生じやすいという不都合があった。また、このチップコイルは単一のコイルとなるが、一つの部品に集積できる部品を増やしたいというニーズもある。
【0006】
本発明の目的は、不良が生じるおそれを低減することが容易であると共にコイルの集積度を向上することが容易なインダクタンス素子、このインダクタンス素子を用いたT型フィルタ、発振回路、及びこのインダクタンス素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインダクタンス素子は、複数のコイルが互いに離間した多重螺旋を構成するように配置されたコイル部と、前記多重螺旋の一端部で、前記複数のコイルを連結すると共に互いに導通させる導通連結部とを備える。
【0008】
このような構成のインダクタンス素子は、互いに離間して多重螺旋を構成するように配置された複数のコイルを導通連結部によって支持することができる。このような多重螺旋は、背景技術に記載の製造方法のようにリング状の銅配線パターンが形成されたセラミック板を複数積層しなくても、製造することができる。従って、積層間での接触不良が生じるおそれがないから、不良が生じるおそれを低減することが容易である。また、複数のコイルが互いに離間した多重螺旋を構成するように配置されるから、単一の素子に複数のコイルを集積することができる。従って、このような構成のインダクタンス素子は、コイルの集積度を向上することが容易である。
【0009】
また、前記導通連結部は、前記多重螺旋と同心の筒状形状を有することが好ましい。
【0010】
このような形状のインダクタンス素子は、筒状形状を有する筒状体を加工することによって、形成することが可能になるので、製造が容易になる。
【0011】
また、前記多重螺旋は、前記導通連結部をその軸方向に延長した筒状体の周面に沿う螺旋状のスリットにより前記各コイルが分離された形状を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、筒状体の周面に沿うように複数の螺旋状のスリットを形成することによってインダクタンス素子を形成することができるので、複数のコイルを一体に容易に形成することができる。
【0013】
また、前記複数のコイルのうち一つを一次コイルとし、前記複数のコイルのうち前記一次コイルとは異なる少なくとも一つを二次コイルとするトランスであることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、複数のコイルが多重螺旋を構成するため、各コイル相互間で相互インダクタンスが生じる結果、複数のコイルのうち一つを一次コイルとし、他のコイルを二次コイルとすることによって、このインダクタンス素子をトランスとして機能させることができる。
【0015】
また、前記コイル部の長さは0.5mm〜1mm、前記コイル部の直径は50μm〜500μmであることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、各コイルの自己インダクタンスを30pH〜100pH程度とすることができる。このような小さな値の自己インダクタンスを有するコイルは、高周波回路に適用することが容易である。
【0017】
また、本発明に係るT型フィルタは、上述のインダクタンス素子と、キャパシタとを備え、前記コイルの数は二つであり、前記キャパシタの一方端子が前記導通連結部に接続されていることによって前記二つのコイルが直列接続され、当該二つのコイルの接続点に前記キャパシタの一方端子が接続されている。
【0018】
この構成によれば、単一のインダクタンス素子と、キャパシタとを組み合わせることによってT型フィルタを構成することができるので、T型フィルタ回路を構成することが容易である。
【0019】
また、本発明に係る発振回路は、上述のインダクタンス素子と、キャパシタとを備え、前記キャパシタの一方端子が前記複数のコイルのうち一つに接続され、前記キャパシタの他方端子が前記一つのコイルにおける前記一方端子の接続箇所から所定距離離間した位置又は前記導通連結部に接続されている。
【0020】
この構成によれば、単一のインダクタンス素子と、キャパシタとを組み合わせることによって発振回路を構成することができるので、発振回路を構成することが容易である。
【0021】
また、本発明に係るインダクタンス素子の製造方法は、上述のインダクタンス素子の製造方法であって、導電性の筒状体の周面に沿うように、前記筒状体の一端部と、前記筒状体の他端部から前記一端部方向へ所定長さ離間した所定位置との間の領域に互いに離間した螺旋状の複数のスリットを形成することによって、前記間の領域に前記螺旋状の複数のコイルを形成して前記コイル部とし、前記他端部から前記所定位置までの領域を前記導通連結部とする。
【0022】
この製造方法によれば、導電性の筒状体に対して、その周面に沿うように螺旋状の複数のスリットを形成することによって複数のコイルを形成してコイル部とし、スリットを形成していない領域を導通連結部とすることができるので、上述のインダクタンス素子を形成することが容易である。また、この製造方法によれば、インダクタンス素子全体を一体の部品として製造することができる。従って、背景技術に記載の製造方法のように、リング状の銅配線パターンが形成されたセラミック板を複数積層する必要がないので、積層間での接触不良が生じるおそれがない。従って、この製造方法によれば、インダクタンス素子の不良が生じるおそれを低減することが容易である。
【0023】
また、前記スリットの形成を、エッチング又はレーザ加工によって行うことが好ましい。
【0024】
エッチング又はレーザ加工は、筒状体に対して螺旋状のスリットを形成する加工手段として適している。
【発明の効果】
【0025】
このような構成のインダクタンス素子、このインダクタンス素子を用いたT型フィルタ、及び発振回路は、不良が生じるおそれを低減することが容易であると共にコイルの集積度を向上することが容易となる。また、このような製造方法は、このインダクタンス素子の製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の外観を示す正面図である。
図2図1に示すインダクタンス素子の電気的構成を示す回路図である。
図3】本発明の第二実施形態に係るT型フィルタの構成の一例を示す正面図である。
図4図3に示すT型フィルタの電気的構成の一例を示す回路図である。
図5】本発明の第三実施形態に係る発振回路の構成の一例を示す正面図である。
図6図5に示す発振回路の電気的構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第一実施形態)
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子の外観を示す正面図である。図1に示すインダクタンス素子1は、複数のコイル2,3が互いに離間した多重螺旋を構成するように配置されたコイル部11と、多重螺旋の一端部で、コイル2,3を連結すると共に互いに導通させる、多重螺旋と同心の筒状部12(導通連結部)とを備えて構成されている。インダクタンス素子1は、コイルの数が二つの二重螺旋構造を有する例を示している。
【0029】
なお、図1では、インダクタンス素子1は、二つのコイル2,3を備え、コイル部11が二重螺旋を構成する例を示したが、コイルは三つ以上であってもよく、コイル部11は三重以上の多重螺旋構造であってもよい。また、コイル2とコイル3の長さ及び巻数が等しい例を示したが、各コイルの長さ及び巻数は互いに異なっていてもよい。
【0030】
図2は、図1に示すインダクタンス素子1の電気的構成を示す回路図である。インダクタンス素子1は、コイル2の端部がコイル2の一方の端子21となり、コイル3の端部がコイル3の一方の端子31となり、筒状部12がコイル2,3の共通端子となる。コイル2とコイル3は、同軸で互いに組み合わさるように螺旋状に巻回されて二重螺旋を構成しているので、コイル2とコイル3とを磁束が貫くことによって、相互インダクタンスが生じる。
【0031】
従って、インダクタンス素子1は、コイル2,3のうち一方を一次コイル、他方を二次コイルとするトランスを構成する。また、インダクタンス素子1は、単一の素子で二つのコイル2,3を集積可能であるから、コイルの集積度を向上することが容易である。また、インダクタンス素子1は、単一の素子でトランスを構成することができる。
【0032】
コイル部11の長さAは0.5mm〜1mm、コイル部11の直径Dは50μm〜500μmが好ましい。例えば、コイル部11の長さAを1mm、コイル2,3の各巻数を5回、コイル部11の直径Dを130μmとすれば、コイル2,3の自己インダクタンスは、それぞれ44pHとなる。
【0033】
44pHのインダクタンスに1pFのキャパシタを組み合わせてLC共振回路を構成すると、その共振周波数fは24GHzとなる。コイル2,3の巻数を3回とし、直径Dを調整すれば、1pFのキャパシタと組み合わせて共振周波数fを70GHzとすることも可能である。
【0034】
次に、インダクタンス素子1の製造方法について説明する。インダクタンス素子1を製造する場合、まずニッケルあるいはニッケル合金等の導電性を有する筒状の筒状体を準備する。次に、その筒状体の周面に沿うように、筒状体の一端部(図1の例では右端部)と、筒状体の他端部(図1の例では左端部)からその一端部方向へ所定長さ離間した所定位置Bとの間の領域に互いに離間した螺旋状の複数のスリットを形成することによって、その領域に螺旋状の複数のコイル2,3を形成してコイル部11とし、他端部から所定位置Bまでの領域に筒状部12を形成する。
【0035】
スリットの形成方法としては、エッチング又はレーザ加工を好適に用いることができる。なお、導電性の筒状体にスリットを形成して複数のコイルを形成する例に限られず、例えば電鋳や三次元プリンタを用いてインダクタンス素子1を形成してもよい。また、導通連結部の一例として筒状形状の筒状部12を示したが、導通連結部は、多重螺旋の一端部で複数のコイルを連結すると共に導通させるものであればよく、筒状形状のものに限らない。
【0036】
図1に示すインダクタンス素子1は、上述の製造方法によって、インダクタンス素子1全体を一体の部品として製造することができる。従って、背景技術に記載の製造方法のようにリング状の銅配線パターンが形成されたセラミック板を複数積層して各層の配線パターンを接触させる必要がないので、積層間での接触不良が生じるおそれがない。従って、図1に示すインダクタンス素子1及びその製造方法によれば、インダクタンス素子1の不良が生じるおそれを低減することが容易である。
(第二実施形態)
【0037】
次に、本発明の第二実施形態に係るT型フィルタについて説明する。図3は、本発明の第二実施形態に係るT型フィルタの構成の一例を示す正面図である。図3に示すT型フィルタ5は、インダクタンス素子1と、キャパシタ4とを備えている。キャパシタ4は、略直方体形状のチップ本体41と、チップ本体41の両端部に形成された電極42,43とを備えている。そして、キャパシタ4の電極42と筒状部12とが接続部6によって接続されて構成されている。
【0038】
接続部6による筒状部12と電極42との接続手段としては、例えば電気溶接、銀蝋などの蝋付け、導電性接着剤による接着、及びハンダ付け等、種々の接続手段を用いることができる。筒状部12と電極42とは、直接接続される例に限られず、プリント配線基板や金具等の接続部材を含む接続部6によって接続されていてもよい。
【0039】
図4は、図3に示すT型フィルタ5の電気的構成の一例を示す回路図である。図4に示すように、図3に示すT型フィルタ5によれば、コイル2,3が直列接続され、コイル2,3の接続点である筒状部12にキャパシタ4の電極42が接続され、キャパシタ4の電極43がフィルタの端子を構成するT型フィルタが得られる。
【0040】
この場合、単一のインダクタンス素子1と、キャパシタ4とを組み合わせることによってT型フィルタ5を構成することができるので、T型フィルタ回路を構成することが容易である。
(第三実施形態)
【0041】
次に、本発明の第三実施形態に係る発振回路について説明する。図5は、本発明の第三実施形態に係る発振回路の構成の一例を示す正面図である。図5に示す発振回路7は、インダクタンス素子1と、キャパシタ4とを備えている。図5に示すインダクタンス素子1は、コイル3の巻数及び長さがコイル2よりも短い例を示している。そして、キャパシタ4の電極42と筒状部12とが接続部6によって接続され、キャパシタ4の電極43とコイル3の端子31とが接続部8によって接続されている。
【0042】
接続部8としては、接続部6と同様の接続手段を用いることができる。図5に示す発振回路7は、接続部6,8が、プリント配線基板や金具等の接続部材を介してキャパシタ4とインダクタンス素子1とを接続する例を示している。
【0043】
図6は、図5に示す発振回路7の電気的構成の一例を示す回路図である。図6に示すように、図5に示す発振回路7によれば、コイル3とキャパシタ4とが並列接続されてLC共振回路を構成し、さらにコイル3とコイル2とがトランスを構成し、全体として発振回路が構成される。さらに破線で示すように、筒状部12を回路グラウンドに接続し、端子31をアンテナに接続することによって、無線同調回路を構成することができる。
【0044】
電極43は必ずしもコイル3の端子31と接続される例に限られず、コイル3の中間位置に接続されていてもよい。また、電極42も必ずしも筒状部12と接続される例に限られず、電極43とコイル3との接続箇所から、所望のインダクタンスに応じた所定距離離間したコイル3の位置に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 インダクタンス素子
2,3 コイル
4 キャパシタ
5 T型フィルタ
6,8 接続部
7 発振回路
11 コイル部
12 筒状部(導通連結部)
21,31 端子
41 チップ本体
42,43 電極
A 長さ
B 所定位置
D 直径
f 共振周波数
図1
図2
図3
図4
図5
図6