特許第6904047号(P6904047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904047活性エネルギー線硬化性接着剤組成物およびこれを用いてなるアクリル系樹脂部材用接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904047
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性接着剤組成物およびこれを用いてなるアクリル系樹脂部材用接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20210701BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C09J4/02
   C09J11/06
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-94577(P2017-94577)
(22)【出願日】2017年5月11日
(65)【公開番号】特開2017-210607(P2017-210607A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年11月22日
(31)【優先権主張番号】特願2016-100155(P2016-100155)
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 修平
(72)【発明者】
【氏名】小西 敦子
【審査官】 川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−007694(JP,A)
【文献】 特開2007−023147(JP,A)
【文献】 特開平10−287718(JP,A)
【文献】 特開2009−001655(JP,A)
【文献】 特開2010−007004(JP,A)
【文献】 特開平07−310067(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/141275(WO,A1)
【文献】 特開2016−020477(JP,A)
【文献】 特開2014−015573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 4/00,175/04
C08F 290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)、及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)が環状構造を有し、ベンジル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート又は、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含有し、
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が、エーテル構造及び/又はカーボネート構造を有し、重量平均分子量が1000〜10000であり、
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の含有割合(重量比)が、(A):(B)=90:10〜70:30であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項2】
さらに、光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項3】
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の20℃における粘度が、1〜10,000mPa・sであることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜いずれか記載の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いてなることを特徴とするアクリル系樹脂部材用接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関し、更に詳しくは、アクリル系樹脂との接着性に優れ、硬度にも優れた接着剤層を得ることができ、塗工性にも優れた接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル等の光学機器や、光学的記録媒体などの光学部材には透明基材が必要とされ、従来よりガラス基材が用いられているが、近年、耐衝撃性や軽量化の観点から、電子機器のディスプレイに用いられているガラス製の保護カバーやガラス基板をアクリル系樹脂からなるカバーや基板に置き換えるといった、いわゆるガラス代替としてのアクリル系樹脂の用途が拡大しており、アクリル系樹脂と他の基材(部材)との接着性に優れた活性エネルギー線硬化性接着剤が市場から求められている。このような用途に用いられる接着剤には、高い接着性が要求され、ときに接着した部材どうしが剥離不可能なレベルの接着性をも要求されるほどである。
【0003】
しかしながら、ポリメチルメタクリレート等からなるアクリル系樹脂は透明性が高く、かつ高硬度であるといったガラス代替に適した特徴を持つ一方、一般的に難接着性の部材であることが知られている。
【0004】
さらに、用途によっては、接着剤層自体の硬度も要求される。例として、機能性を付与したハードコート膜とアクリル系樹脂基材との接着において、ハードコート膜の膜厚が薄い場合、下地となる接着剤層の硬度の影響を大きく受けるため、ハードコート膜本来の硬度を引き出すためにも、より硬度に優れた活性エネルギー線硬化性接着剤が求められる。
【0005】
これまでに、アクリル系樹脂への接着に適用可能な活性エネルギー線硬化型粘着剤として、イソシアネート基含有ウレタンアクリレートとエチレン性不飽和結合を有する化合物とを含む紫外線硬化型粘着剤用樹脂組成物(例えば、特許文献1)や、分岐構造を有する脂肪族ジオール化合物を原料とするポリエステルウレタンアクリレート化合物とエチレン性不飽和結合を有する化合物とを含有する紫外線硬化型粘着剤用樹脂組成物(例えば、特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−56966号公報
【特許文献2】特開2014−5368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1に開示の技術は、樹脂組成物に紫外線を照射するだけでは十分な接着性が得られず、最終接着力に到達するまでの養生に時間がかかるものであり、また、イソシアネート基が系内に残存するため保存安定性に劣るという問題点もあった。また、引用文献2に開示の技術は、硬度や耐湿熱性が不十分であった。
【0008】
アクリル系樹脂部材との接着用の活性エネルギー線硬化性接着剤においては、アクリル系樹脂に対する接着性の他にも、塗工適性や硬化性、硬度、透明性、耐湿熱性、保存安定性など要求される項目が多く、これらの全てにバランスよく優れた活性エネルギー線硬化性接着剤はこれまでに得られていないものであった。
【0009】
そこで、本発明はこのような背景下において、塗工性、およびアクリル系樹脂との接着性に優れる接着剤組成物であり、硬化した際の硬度にも優れる接着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
しかるに、本発明者らは鋭意検討の結果、エチレン性不飽和基を一つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有する接着剤組成物であって、エチレン性不飽和基を一つ有する不飽和化合物(A)が環状構造を有するものであり、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)がエーテル構造及び/又はカーボネート構造を有するものであり、かつこれらを特定割合で含有する接着剤組成物が、アクリル系樹脂への高い接着性を示し、かつ塗工性や硬化後の接着剤層の硬度にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)、及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有する活性エネルギー線硬化性接着剤組成物であって、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)が環状構造を有し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)がエーテル構造及び/又はカーボネート構造を有し、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の含有割合(重量比)が、(A):(B)=99:1〜50:50である活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に関するものである。
【0012】
また、本発明では、前記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いてなるアクリル系樹脂部材用接着剤組成物も提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化性粘着剤組成物は、各種樹脂部材との接着性、特には、アクリル系樹脂との接着性に優れており、更に、塗工性や硬化後の接着剤層の硬度にもバランスよく優れる効果を有するものであり、そのため、特にアクリル系樹脂からなる部材(アクリルフィルム等)と他の部材とを接着する、アクリル系樹脂部材用接着剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸またはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルまたはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルまたはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリレート系モノマーを少なくとも1種含有する重合成分を重合して得られる樹脂である。
【0015】
〔エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)〕
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)を必須成分として含有し、該エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)は環状構造を有するものであることが必要である。
【0016】
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等のベンゼン環を有する(メタ)アクリレート化合物;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(メタ)メタクリレート、アクリロイルモルホリン等の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリレート化合物;
等が挙げられる。
これらのエチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)は単独、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
これらの中でも、アクリル系樹脂との接着性の点で、環状構造としてベンゼン環または環状エーテル構造を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましく、特に好ましくは、ベンジル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、更に好ましくは、アクリル系樹脂に対する接着性と硬化した際の硬度とにバランスよく優れる点で、ベンジル(メタ)アクリレートである。
【0018】
上記エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)は、後述するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)に対して別途配合されるものであってもよいし、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の製造時に希釈剤として配合されるものであってもよいが、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)に対して別途配合されることが好ましい。
【0019】
〔ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)〕
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)は、エーテル構造及び/又はカーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物である。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)としては、化合物中にエーテル構造及び/又はカーボネート構造を有するものであればよいが、好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が、エーテル構造及び/又はカーボネート構造を有するポリオール由来の構造を有するものであり、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が多価イソシアネート系化合物(b1)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)および、ポリオール系化合物(b3)の反応生成物として得られるものであり、前記ポリオール系化合物(b3)が、エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)(但し、カーボネート構造を有する化合物を除く。)、カーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)(但し、エーテル構造を有する化合物を除く。)、エーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)から選ばれる少なくとも1種を含むポリオール系化合物であることが特に好ましい。
【0020】
上記多価イソシアネート系化合物(b1)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナト)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの三量体化合物又は多量体化合物;アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート等が挙げられる。
これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
これらの中でも、黄変が少ない点で、脂肪族系ジイソシアネート、脂環式系ジイソシアネートが好ましく用いられ、特に好ましくは、反応性及び汎用性にも優れる点で、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが用いられる。
【0022】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を1個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート等のエチレン性不飽和基を2個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を3個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物等があげられる。
これら水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)は、単独、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1個有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物が、被着体への接着性と接着剤層とした際の硬度のバランスが良好となる点で好ましく、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは、反応性及び汎用性に優れる点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0024】
上記エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)(但し、カーボネート構造を有する化合物を除く。)(以下、「エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)」と記載することがある。)としては、ポリエーテル系ポリオールが挙げられ、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のオキシアルキレン構造を有するポリアルキレングリコールやこれらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体等の直鎖構造のポリエーテル系ポリオールや、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール、エチレンジアミンのような3価以上のアミン等を原料とし分岐構造(分岐したポリエーテル鎖を含む構造)を含有するポリエーテル系ポリオールが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、アクリル系樹脂との接着性と、硬化した際の硬度とのバランスの点から直鎖構造のポリエーテル系ポリオールが好ましく、更にはポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコールが好ましい。
【0026】
上記エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)は、単独、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
上記カーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)(但し、エーテル構造を有する化合物を除く。)(以下、「カーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)」と記載することがある。)としては、ポリカーボネート系ポリオールが挙げられ、具体的には、例えば、多価アルコールと炭酸エステルの反応物、多価アルコールとホスゲンとの反応物、多価アルコールと環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
【0028】
上記ポリカーボネート系ポリオールの原料として用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
【0029】
上記ポリカーボネート系ポリオールの原料として用いられるアルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等があげられる。
【0030】
また上記エーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)としては、例えば、ポリカーボネート系ポリオールの原料の多価アルコールとして、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテル構造を有する多価アルコールを用いて、ポリカーボネート系ポリオールを製造して得られるエーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物が挙げられる。
【0031】
上記カーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)、エーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)の中でも、アクリル系樹脂との接着性に優れる点から、直鎖構造(分岐したポリカーボネート鎖を含まない構造)のポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
【0032】
上記エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)、カーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)、およびエーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明においては、部材(特にはアクリル系樹脂部材)との接着性の点からは、エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)を用いることが好ましく、また、硬化した際の硬度の点からは、ポリカーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)を用いることが好ましい。
【0034】
また、本発明において、エーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を用いる場合においては、ポリオール系化合物(b3)として、エーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)を用いて製造してなるものであってよいし、エーテル構造を有するポリオール系化合物(b3−1)と、ポリカーボネート構造を有するポリオール系化合物(b3−2)及び/又はエーテル構造及びカーボネート構造の両方を有するポリオール系化合物(b3−3)とを併用して製造してなるものであってもよい。
【0035】
本発明においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリオール系化合物(b3)として、エーテル構造およびカーボネート構造を有しないその他のポリオール系化合物を併用することもでき、その他のポリオール系化合物としては、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。
【0036】
本発明においては、ポリオール系化合物(b3)の数平均分子量は、好ましくは300〜10,000であり、特に好ましくは400〜5,000、更に好ましくは500〜2,000である。かかる数平均分子量が小さすぎると被着体との接着力が低下する傾向があり、大きすぎると得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の不飽和基濃度が低下し、接着剤組成物とした際に、硬化性や硬化した際の硬度が不十分となる傾向がある。
なお、上記の数平均分子量は各々のポリオールの水酸基価より計算される。
【0037】
また、本発明においては、ポリオール系化合物(b3)の含有する水酸基の数は、好ましくは2〜5個、特に好ましくは2〜3個、更に好ましくは2個である。水酸基の数が多すぎると、反応中にゲル化が起こりやすくなる傾向がある。
【0038】
上記ポリオール系化合物(b3)の水酸基価としては、10〜400mgKOH/gであることが好ましく、特に好ましくは20〜300mgKOH/g、更に好ましくは50〜200mgKOH/gである。かかる水酸基価が高すぎるとウレタン(メタ)アクリレート系化合物が低分子量化し被着体との接着力が低下する傾向があり、低すぎると得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物及びそれを含有してなる接着剤組成物が高粘度化し、塗工性が低下するため、作業性が低下する傾向がある。
【0039】
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)は、例えば、
(1)上記の多価イソシアネート系化合物(b1)、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、ポリオール系化合物(b3)を、反応器に一括又は別々に仕込み反応させる方法、
(2)多価イソシアネート系化合物(b1)とポリオール系化合物(b3)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)を反応させる方法、
(3)多価イソシアネート系化合物(b2)と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)とを予め反応させて得られる反応生成物に、ポリオール系化合物(b3)を反応させる方法、
等が挙げられるが、反応の安定性や副生成物の低減等の点から(2)の方法が好ましい。
【0040】
多価イソシアネート系化合物(b1)とポリオール系化合物(b3)との反応には、公知の反応手段を用いることができる。その際、例えば、多価イソシアネート系化合物(b1)中のイソシアネート基:ポリオール系化合物(b3)中の水酸基とのモル比を通常2n:(2n−2)(nは2以上の整数)程度にすることにより、イソシアネート基を残存させた末端イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を得ることができ、該化合物を得た後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応を可能にする。
【0041】
上記多価イソシアネート系化合物(b1)中のイソシアネート基:とポリオール系化合物(b3)の水酸基との反応比率(モル比)は、(b1)のイソシアネート基:(b3)の水酸基=1.2:1〜2:1であることが好ましく、更には1.5:1〜2:1であることが好ましい。
【0042】
上記多価イソシアネート系化合物(b1)とポリオール系化合物(b3)とを予め反応させて得られる反応生成物と、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応にも、公知の反応手段を用いることができる。
【0043】
反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応モル比は、例えば、多価イソシアネート系化合物(b1)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:2程度であり、多価イソシアネート系化合物(b1)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)が1:3程度である。
【0044】
この反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.1重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が得られる。
【0045】
上記反応時の、反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜30時間、好ましくは3〜20時間である。
【0046】
かかる多価イソシアネート系化合物(b1)とポリオール系化合物(b3)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫等の有機金属化合物、オクテン酸亜鉛、オクテン酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒、無機ジルコニウム、有機ジルコニウム、ジルコニウム単体等のジルコニウム系触媒、2−エチルヘキサン酸亜鉛/ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等の2種類以上の触媒を併用したものがあげられ、なかでも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。なお、これらの触媒は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0047】
また、ポリオール系化合物(b3)と多価イソシアネート系化合物(b1)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)との反応においては、必要に応じてイソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いてもよい。
【0048】
かくして本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)が製造される。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の重量平均分子量は、1,000〜10,000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると接着力が低下する傾向があり、大きすぎると得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基濃度が低下し、十分な硬化性や硬度が得られない傾向がある。

【0049】
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
【0050】
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の粘度は、60℃における粘度で、1,000〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは2,000〜500,000mPa・s、更に好ましくは3,000〜100,000mPa・sである。かかる粘度が高すぎると取り扱いが困難になる傾向があり、低すぎると塗工の際に膜厚の制御が困難になる傾向がある。
なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
【0051】
〔活性エネルギー線硬化性接着剤組成物〕
上記エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を混合することにより本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が得られる。
【0052】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物中における、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との含有比率(重量比)は、(A):(B)=90:10〜70:30である。

【0053】
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)に対するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の含有量が多すぎるとアクリル系樹脂部材への接着性が低下し、本発明の目的を達成できず、少なすぎても、十分な塗工性や硬化性、硬度が得られず、場合によっては硬化不良となり本発明の目的を達成できない。また、硬化不良の場合、未反応の残存モノマーにより、高湿熱条件下における塗膜の物性(接着強度や硬度)が低下したり、クラックの発生などにより塗膜外観が悪くなる傾向がある。
【0054】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物においては、活性エネルギー線による硬化を効率的に行なうために、更に光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
【0055】
上記光重合開始剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。なお、これら光重合開始剤は、単独で用いるか、又は2種以上を併用することができる。
【0056】
また、これら光重合開始剤の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。
【0057】
かかる光重合開始剤の含有量については、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計(後述するエチレン性不飽和化合物(D)を含有する場合は、さらに(D)との合計)100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは1〜10重量部、更に好ましくは2〜5重量部である。かかる含有量が少なすぎると硬化速度が低下したり、接着力が低下する傾向があり、多すぎても硬化性は向上せず、高温高湿度条件下において黄変が発生する可能性がある。
【0058】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)以外のエチレン性不飽和化合物(D)(以下、エチレン性不飽和化合物(D))と記載することがある。)を用いてもよく、かかるエチレン性不飽和化合物としては、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマーのいずれであってもよい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
かかる、エチレン性不飽和化合物(D)の含有量は、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)とエチレン性不飽和化合物(D)との合計100重量部に対して、0〜70重量%であることが好ましく、特に好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは0〜30重量%である。かかる含有量が多すぎると被着体との接着性、特にはアクリル系樹脂との接着性が低下する傾向がある。
【0060】
上記単官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を1つ含有するモノマーであればよく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(フォルマル)(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等が挙げられる。
【0061】
また、上記の単官能モノマーの他にアクリル酸のマイケル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも挙げられ、アクリル酸のマイケル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。また、特定の置換基をもつカルボン酸である2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
【0062】
上記2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等が挙げられる。
【0063】
上記3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3個以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0064】
これらのエチレン性不飽和化合物(D)の中でも、塗膜の柔軟性に優れる点で単官能モノマーを使用することが好ましく、黄変が少なく柔軟性によく優れる点で、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0065】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)、光重合開始剤(C)、エチレン性不飽和化合物(D)以外に、必要に応じてアクリル系樹脂やポリウレタン化合物などの樹脂や、シリカゲルなどの無機粒子を添加することが可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、レベリング剤、安定剤、補強剤、艶消し剤を含有させることも可能である。更に、架橋剤として、熱により架橋を引き起す作用をもつ化合物、具体的にはエポキシ化合物、アジリシン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物、キレート化合物等も使用できる。
【0066】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、未反応成分の抑制、接着力の向上の点からポリチオール化合物を含有することができる。
ポリチオール化合としては、特に制限されないが、分子内にメルカプト基を2〜6個有する化合物が好ましく、例えば、炭素数2〜20程度のアルカンジチオール等の脂肪族ポリチオール類、キシリレンジチオール等の芳香族ポリチオール類、アルコール類のハロヒドリン付加物のハロゲン原子をメルカプト基で置換してなるポリチオール類、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール類、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類と、チオグリコール酸、β−メルカプトプロピオン酸、又はβ−メルカプトブタン酸とのエステル化物からなるポリチオール類等を挙げることができ、これらは1種を単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0067】
ポリチオール化合物の含有量は、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)との合計(上記、エチレン性不飽和化合物(D)を含有する場合は、さらに(D)との合計)100重量部に対し、0.01〜10重量部以下であることが好ましく、0.1〜5重量部以下であることが特に好ましい。
【0068】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、必要に応じて、塗工時の粘度を調整するために溶剤を使用してもよいが、接着剤層への溶剤の残存や、溶剤の乾燥時に硬化成分が揮発する可能性があるので、実質的に溶剤を含有しない無溶剤型の接着剤組成物として用いることが好ましい。
なお、実質的に溶剤を含有しないとは、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物全体に対して通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下であることを指す。
【0069】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の、20℃における粘度は、塗工性等の観点から、1〜10,000mPa・sであることが好ましく、特には3〜1,000mPa・s、更には5〜500mPa・sであることが好ましい。粘度が小さすぎると基材への塗工時に液ヨリやはじきが生じ易くなり塗工性が低下する傾向があり、大きすぎると基材への、モノマー成分(エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)やエチレン性不飽和化合物(D))の浸透力が損なわれ、十分な接着性を得ることができない傾向があり、また塗工性も低下する傾向がある。
なお、上記粘度の測定法はE型粘度計による。
かくして本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物が得られる。
【0070】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、各種基材上に塗布し、塗布面に被着体を貼り合わせた後に、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
【0071】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を塗工する対象である基材としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂やそれらの成型品(フィルム、シート、カップ、等)、金属基材(金属蒸着層、金属板(銅、ステンレス鋼(SUS304、SUSBA等)、アルミニウム、亜鉛、マグネシウ等))、ガラス等、またはそれらの複合基材が挙げられる。
【0072】
被着体としては、例えば、各種金属面を有する物品;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂やそれらの成型品(板、フィルム、シート、カップ等)等があげられる。
【0073】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、特に(メタ)アクリル系樹脂に対しても接着性に優れるため、アクリル系樹脂部材用接着剤組成物として有用である。この際、アクリル系樹脂部材に接着剤層を設けてもよいし、アクリル系樹脂部材と接着させる部材側に接着剤層を設けてもよい。
【0074】
上記活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、カーテン、フロー、スリット、ダイ、グラビア、コンマ、ディスペンサー、スクリーン印刷、インクジェット印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
【0075】
かかる活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤(C)を用いなくても硬化し得る。
【0076】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30〜3,000mJ/cm2程度照射すればよい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0077】
また、硬化後の接着剤層の厚みとしては、通常1〜50μmであることが好ましく、特には2〜20μm、更には3〜10μmであることが好ましい。
【0078】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、各種活性エネルギー線硬化性接着剤の成分として有用であるが、特には、アクリル系樹脂部材との接着に用いる接着剤、具体的には、液晶パネル部材など光学部材としてのアクリル板と保護シートとの接着剤として有用である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
【0080】
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)の製造>
〔製造例1〕
内温計、撹拌機、冷却管を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート301g(1.35モル)、ポリカーボネートジオール540g(直鎖構造;水酸基価140.5mgKOH/g;水酸基価から計算される数平均分子量799;0.68モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.1gを仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が6.8%以下となった時点で60℃まで冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレート159g(1.37モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.4gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)(重量平均分子量;5,000、粘度;50,000mPa・s/60℃)を得た。
【0081】
〔製造例2〕
内温計、撹拌機、冷却管を備えたフラスコに、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート408g(1.56モル)、ポリエーテルジオール349g(直鎖構造;水酸基価167mgKOH/g;水酸基価から計算される数平均分子量672;0.52モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.1gを仕込み、70℃で反応させた。残存イソシアネート基が11.5%以下となった時点で60℃まで冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレート243g(2.10モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.4gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、エーテル構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)(重量平均分子量;3,000、粘度;12,000mPa・s/60℃)を得た。
【0082】
〔比較製造例1〕
内温計、撹拌機、冷却管を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート169g(0.76モル)、エーテル構造及び/又はカーボネート構造を有しないポリエステルジオール741g(水酸基価57.6mgKOH/g;水酸基価から計算される数平均分子量1948;0.38モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.1gを仕込み、60℃で反応させた。残存イソシアネート基が3.5%以下となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート90.5g(0.78モル)、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.4gをさらに仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、エーテル構造もカーボネート構造も含まないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−1)(重量平均分子量;10,000、粘度;15,000mPa・s/60℃)を得た。
【0083】
〔比較製造例2〕
内温計、撹拌機、冷却管を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート483g(2.17モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート517g(4.45モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.1gを仕込み、重合禁止剤としてメトキシフェノール0.4gを加え、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)(重量平均分子量;780、粘度;3,500mPa・s/60℃)を得た。
【0084】
〔実施例1〕
エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)としてベンジルアクリレート(A−1)90部、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)として上記製造例1で得られたカーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)10部、光硬化開始剤(C)として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン社製、商品名:Irgacure184)4部を室温にて混合・溶解させ、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;6.0mPa・s/20℃)を得た。
【0085】
〔実施例2〕
ベンジルアクリレート(A−1)の配合量を80部、カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)の配合量を20部に変更した以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;15.0mPa・s/20℃)を得た。
【0086】
〔実施例3〕
カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)に代えて、上記製造例2で得られたエーテル構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;5.0mPa・s/20℃)を得た。
【0087】
〔実施例4〕
カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)に代えて、上記製造例2で得られたカーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)を用いた以外は実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;15.0mPa・s/20℃)を得た。
【0088】
〔実施例5〕
ベンジルアクリレート(A−1)に代えて、テトラヒドロフルフリルアクリレート(A−2)を用いた以外は実施例4と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;19.5mPa・s/20℃)を得た。
【0089】
〔実施例6〕
ベンジルアクリレート(A−1)に代えて、フェノキシベンジルアクリレート(A−3)を用いた以外は実施例4と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度; mPa・s/20℃)を得た。
【0090】
〔比較例1〕
カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)に代えて、上記比較製造例1で得られたエーテル構造もカーボネート構造も含まないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−1)を用いた以外は実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;20.1mPa・s/20℃)を得た。
【0091】
〔比較例2〕
カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)に代えて、上記比較製造例2で得られたエーテル構造もカーボネート構造も含まないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B’−2)を用いた以外は実施例2と同様にして、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;4.9mPa・s/20℃)を得た。
【0092】
〔比較例3〕
ベンジルアクリレート(A−1)の配合量を100部とし、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;2.3mPa・s/20℃)を得た。
【0093】
〔比較例4〕
カーボネート構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−1)に代えて、上記製造例2で得られたエーテル構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)を使用し、ベンジルアクリレート(A−1)の配合量を40部とし、エーテル構造を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B−2)の配合量を60部とした以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;667mPa・s/20℃)を得た。
【0094】
〔比較例5〕
ベンジルアクリレート(A−1)に代えてテトラヒドロフルフリルアクリレート(A−2)を用い、その配合量を100部とし、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;3.1mPa・s/20℃)を得た。
【0095】
〔比較例6〕
ベンジルアクリレート(A−1)に代えてフェノキシベンジルアクリレート(A−3)を用い、その配合量を100部とし、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を使用しなかった以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性接着剤組成物(粘度;21.3mPa・s/20℃)を得た。
【0096】
上記実施例1〜6、比較例1〜6で得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物について、下記の通り評価した。結果を表1に示す。
【0097】
〔評価用サンプルの作製〕
易接着ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡製;コスモシャインA4300、厚み125μm)上に、上記で得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物をバーコーターによって厚み5μmとなるよう塗布し、塗布面をポリメタクリル酸メチル板(アクリル系樹脂部材)にローラーで貼付した。このとき、接着性試験において引き剥がすことができるよう、PETフィルム端部に接着剤組成物を塗工しない面を設けた。その後、PETフィルム側から高圧水銀灯にて積算光量1000mJ/cm2となるよう紫外線照射し、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を硬化させ、易接着PETフィルム/アクリル系樹脂部材接着サンプルを作製した。
【0098】
〔接着性〕
上記で作製した評価用サンプルのアクリル系樹脂板に接着されていないPETフィルムの端部をチャックで固定し、島津オートグラフAG−X(島津製作所)による90°ピール試験にて接着性を評価した。なお、試験におけるPET基材の幅は25mmとし、ピール速度300mm/分にて測定した。
【0099】
(評価基準)
◎・・・接着力が強いためにPET基材が破れた(材破)、あるいは、平均接着力が30.0N/25mm以上を示した。
○・・・平均接着力が10.0N/25mm以上かつ30.0N/25mm未満を示した。
△・・・平均接着力が5.0N/25mm以上かつ10.0N/25mm未満を示した。
×・・・平均接着力が5.0N/25mm未満を示した。
【0100】
〔鉛筆硬度〕
易接着PETフィルム(東洋紡製;コスモシャインA4300、厚み125μm)上に上記で得られた活性エネルギー線硬化性接着剤組成物をバーコーターによって厚み5μmとなるよう塗布し、その後高圧水銀灯ランプ80W、1灯を用いて、18cmの高さから3.4m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量800mJ/cm2)を行い、硬化塗膜を形成した。得られた硬化塗膜について、JIS K 5600−5−4に準じて鉛筆硬度を測定した。
【0101】
(判定基準)
○・・・B以上
△・・・3Bまたは2B
×・・・4B以下
【0102】
〔耐熱性〕
実施例4の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物について、ハーゼン色数(APHA)を、分光色差計「SE6000:日本電色工業株式会社製)」を用いて測定した。さらに、該活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を密閉式のガラス試験容器に入れ、耐熱条件:60℃環境下で4週間保管し、耐熱試験後のAPHAの値を測定した。
その結果、耐熱試験前のAPHAが9、耐熱試験後のAPHAが14であり、耐熱試験後においても接着剤組成物の黄変が少ないものであった。
【0103】
【表1】
【0104】
上記評価結果より、実施例1〜6の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、アクリル系樹脂部材との接着性に優れ、かつ得られる硬化塗膜の鉛筆硬度も高いものであった。これに対して、エーテル構造もカーボネート構造も有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いてなる比較例1、2はそれぞれ、硬度または接着性に劣るものであった。また、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物とウレタン(メタ)アクリレート系化合物の含有割合が本発明の規定の範囲を満たさない比較例3〜6の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、アクリル系樹脂部材との接着性と硬化塗膜の硬度とのバランスに欠けるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、各種接着剤成分、特に光学部材用、光学フィルム用の接着剤成分として有用である。特にアクリル系樹脂との接着性に優れ、塗工性、硬化性、硬化した際の硬度、透明性、耐湿熱性、保存安定性にもバランスよく優れるため、アクリル系樹脂部材用接着剤として有用であり、液晶ディスプレイとアクリル系保護フィルムの接着に非常に好適に用いることができる。