(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のセラミックス接合体、静電チャック装置、セラミックス接合体の製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0018】
[セラミックス接合体]
(第1の実施形態)
以下、
図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係るセラミックス接合体について説明する。
なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率等は適宜異ならせてある。
【0019】
図1は、本実施形態のセラミックス接合体を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態のセラミックス接合体1は、導電性物質を含む一対のセラミックス板2,3と、一対のセラミックス板2,3の間に介在する導電層4および絶縁層5と、を備えている。
以下、セラミックス板2を第1のセラミックス板2、セラミックス板3を第2のセラミックス板3と言う。
図1に示すように、セラミックス接合体1は、第1のセラミックス板2と、導電層4および絶縁層5と、第2のセラミックス板3とがこの順に積層されている。すなわち、セラミックス接合体1は、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3が、導電層4および絶縁層5を介して、接合一体化されてなる接合体である。
【0020】
図1に示すように、第1のセラミックス板2と絶縁層5との界面、および第2のセラミックス板3と絶縁層5との界面には気孔6が存在する。第1のセラミックス板2と絶縁層5との界面、および第2のセラミックス板3と絶縁層5との界面における気孔率は4%以下であり、3%以下であることが好ましい。前記の気孔率が4%を超えると、セラミックス板2,3と導電層4の接合界面において、絶縁破壊(放電)が生じることを抑制することができない。
【0021】
第1のセラミックス板2と絶縁層5との界面、および第2のセラミックス板3と絶縁層5との界面における気孔率の測定方法は、次の通りである。日本電子社製の電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で、第1のセラミックス板2、第2のセラミックス板3および絶縁層5の厚み方向の切断面を観察し、画像解析ソフトによりその切断面の画像を解析して、気孔6の面積を算出する。得られた算出結果から、絶縁層5の面積と気孔6の面積を用い、下記の式(1)に従って、気孔率(%)を算出する。
気孔率=気孔の面積/(絶縁層の面積+気孔の面積)×100 (1)
【0022】
第1のセラミックス板2、第2のセラミックス板3および絶縁層5は、後述するような絶縁性物質から構成される。第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径に対する絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の比((絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径)/(第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径))は1より大きく、1.3以上であることが好ましい。前記の比が1未満では、セラミックス板2,3と導電層4の接合界面において、絶縁破壊(放電)が生じることを抑制することができない。
【0023】
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3は、その重ね合わせ面の形状を同じくする。
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3の厚さは、特に限定されず、セラミックス接合体1の用途に応じて適宜調整される。
【0024】
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3は、同一組成または主成分が同一である。第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3は、絶縁性物質と導電性物質の複合体からなる。第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3に含まれる絶縁性物質は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等が挙げられる。また、第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3に含まれる導電性物質は、特に限定されないが、例えば、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiO
2)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、炭素(C)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー、希土類酸化物、希土類フッ化物等が挙げられる。
【0025】
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3の材料は、体積固有抵抗値が10
13Ω・cm以上かつ10
15Ω・cm以下程度であり、機械的な強度を有し、しかも腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するものであれば、特に限定されない。このような材料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化アルミニウム(Al
2O
3)−炭化ケイ素(SiC)複合焼結体等が挙げられるが、高温での誘電特性、高耐食性、耐プラズマ性、耐熱性の観点から、酸化アルミニウム(Al
2O
3)−炭化ケイ素(SiC)複合焼結体が好ましい。
【0026】
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径は、0.5μm以上かつ3.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上かつ2.0μm以下であることがより好ましい。
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であれば、緻密で耐電圧性が高く、耐久性の高い第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を得ることができる。
【0027】
第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の測定方法は、次の通りである。日本電子社製の電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で、第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3の厚み方向の切断面を観察し、インターセプト法により絶縁性物質200個の粒子径の平均を平均一次粒子径とする。
【0028】
導電層4は、高周波電力を通電してプラズマを発生させてプラズマ処理するためのプラズマ発生用電極、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料を固定するための静電チャック用電極、通電発熱させて板状試料を加熱するためのヒータ電極等として用いられるものである。導電層4の形状(導電層4を平面視した(厚さ方向から見た)場合の形状)や、大きさ(厚さや、導電層4を平面視した(厚さ方向から見た)場合の面積)は、特に限定されず、セラミックス接合体1の用途に応じて適宜調整される。
【0029】
導電層4は、導電性物質と絶縁性物質からなる。
【0030】
導電層4に含まれる導電性物質は、炭化モリブデン(Mo
2C)、モリブデン(Mo)、炭化タングステン(WC)、タングステン(W)、炭化タンタル(TaC)、タンタル(Ta)、炭化ケイ素(SiC)、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。導電層4に含まれる導電性物質が前記物質からなる群から選択される少なくとも1種であることにより、導電層の導電率を担保することができる。
【0031】
導電層4に含まれる絶縁性物質は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等が挙げられる。導電層4に含まれる絶縁性物質は、第1のセラミック板2および第2のセラミック板3の主成分に合わせることが好ましい。
導電層4が、導電性物質と絶縁性物質からなることにより、第1のセラミック板2および、第2のセラミック板3との接合強度並びに、電極としての機械的強度が強くなる。
導電層4に含まれる絶縁性物質が、酸化アルミニウム(Al
2O
3)であることにより、高温での誘電特性、高耐食性、耐プラズマ性、耐熱性が保たれる。
【0032】
導電層4における導電性物質と絶縁性物質の含有量の比(配合比)は、特に限定されず、セラミックス接合体1の用途に応じて適宜調整される。
【0033】
絶縁層5は、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3の境界部、すなわち導電層4形成部以外の外縁部領域を接合するために設けられたものである。絶縁層5の形状(絶縁層5を平面視した(厚さ方向から見た)場合の形状)は、特に限定されず、導電層4の形状に応じて適宜調整される。
本実施形態のセラミックス接合体1では、絶縁層5の厚さは、導電層4の厚さと等しくなっている。
【0034】
絶縁層5は、絶縁性物質からなる。
絶縁層5を構成する絶縁性物質は、特に限定されないが、第1のセラミック板2および第2のセラミック板3の主成分と同じにすることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等が挙げられる。絶縁層5を構成する絶縁性物質は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)であることが好ましい。絶縁層5を構成する絶縁性物質が、酸化アルミニウム(Al
2O
3)であることにより、高温での誘電特性、高耐食性、耐プラズマ性、耐熱性が保たれる。
【0035】
絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径は、1.6μm以上かつ10.0μm以下であることが好ましく、1.6μm以上かつ6.0μm以下であることがより好ましい。
絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径が1.6μm以上であれば、充分な耐電圧性を得ることができる。一方、絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径が10.0μm以下であれば、研削等の加工性がよい。
【0036】
絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の測定方法は、第1のセラミックス板2および第2のセラミックス板3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の測定方法と同様である。
【0037】
本実施形態のセラミックス接合体1によれば、導電性物質を含む一対のセラミックス板2,3と、セラミックス板2,3の間に介在する導電層4および絶縁層5と、を備え、セラミックス板2,3と絶縁層5との界面における気孔率が4%以下、セラミックス板2,3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径に対する絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の比が1より大きいため、セラミックス板2,3と導電層4の接合界面において、絶縁破壊(放電)が生じることを抑制することができる。
【0038】
[セラミックス接合体の製造方法]
本実施形態のセラミックス接合体の製造方法は、導電性物質を含む第1のセラミックス板の一方の面に研削加工または研磨加工を施し、第1のセラミックス板の一方の面の算術平均粗さ(Ra)を0.25μm以下とする工程(以下、「第1の工程」と言う。)と、研削加工または研磨加工を施した第1のセラミックス板の一方の面に、導電層形成用ペーストを塗布して導電層塗膜を形成するとともに、絶縁層形成用ペーストを塗布して絶縁層塗膜を形成する工程(以下、「第2の工程」と言う。)と、導電性物質を含む第2のセラミックス板の一方の面に研削加工または研磨加工を施し、第2のセラミックス板の一方の面の算術平均粗さ(Ra)を0.25μm以下とする工程(以下、「第3の工程」と言う。)と、導電層塗膜および絶縁層塗膜の第1のセラミックス板と接する面とは反対側の面に、研削加工または研磨加工を施した第2のセラミックス板の一方の面が接するように、第2のセラミックス板を積層する工程(以下、「第4の工程」と言う。)と、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体を、加熱しながら、厚さ方向に加圧する工程(以下、「第5の工程」と言う。)と、を有する。
【0039】
以下、
図1を参照しながら、本実施形態のセラミックス接合体の製造方法について説明する。
【0040】
第1の工程では、第1のセラミックス板2の一方の面(絶縁層5と対向する面)2aに研削加工または研磨加工を施し、第1のセラミックス板2の一方の面2aの算術平均粗さ(Ra)を0.25μm以下とする。
第1のセラミックス板2の一方の面2aの算術平均粗さ(Ra)は0.25μm以下であり、0.20μm以下であることが好ましい。
【0041】
第1のセラミックス板2の一方の面2aの算術平均粗さ(Ra)は、東京精密社製の触針式の表面粗さ計を用いて、JIS B 0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」に準じて測定する。
【0042】
第1のセラミックス板2の一方の面2aの算術平均粗さ(Ra)を0.25μm以下とするには、研削加工または研磨加工にて、適宜の粒子径の砥粒を用いることが好ましい。砥粒の粒子径としては、例えば、粒度JIS表示♯200から♯4000の範囲を用いることが好ましい。
【0043】
第2の工程では、スクリーン印刷法等の塗工法により、研削加工または研磨加工を施した第1のセラミックス板2の一方の面2aに導電層形成用ペーストを塗布し、導電層4となる塗膜(導電層塗膜)を形成する。
導電層形成用ペーストとしては、導電層4を形成する導電性物質および絶縁性物質を、溶媒に分散させたものが用いられる。
導電層形成用ペースに含まれる溶媒としては、イソプロピルアルコール等が用いられる。
【0044】
また、第2の工程では、スクリーン印刷法等の塗工法により、研削加工または研磨加工を施した第1のセラミックス板2の一方の面2aに絶縁層形成用ペーストを塗布し、絶縁層5となる塗膜(絶縁層塗膜)を形成する。
絶縁層形成用ペーストとしては、絶縁層5を形成する絶縁性物質を、溶媒に分散させたものが用いられる。
絶縁層形成用ペースに含まれる溶媒としては、イソプロピルアルコール等が用いられる。
【0045】
第3の工程では、第1の工程と同様にして、第2のセラミックス板3の一方の面(絶縁層5と対向する面)3aに研削加工または研磨加工を施し、第2のセラミックス板3の一方の面3aの算術平均粗さ(Ra)を0.25μm以下とする。
第2のセラミックス板3の一方の面3aの算術平均粗さ(Ra)は0.25μm以下であり、0.20μm以下であることが好ましい。
【0046】
第4の工程では、導電層塗膜および絶縁層塗膜の第1のセラミックス板2と接する面とは反対側の面に、研削加工または研磨加工を施した第2のセラミックス板3の一方の面3aが接するように、第2のセラミックス板3を積層する。
【0047】
第5の工程では、第1のセラミックス板2、導電層4となる塗膜、絶縁層5となる塗膜、および第2のセラミックス板3を含む積層体を、加熱しながら、厚さ方向に加圧する。積層体を、加熱しながら、厚さ方向に加圧する際の雰囲気は、真空、あるいはAr、He、N
2等の不活性雰囲気が好ましい。
【0048】
前記の積層体を加熱する温度(熱処理温度)は、1600℃以上かつ1900℃以下であることが好ましく、1650℃以上かつ1850℃以下であることがより好ましい。
積層体を加熱する温度が1600℃以上かつ1900℃以下であれば、それぞれの塗膜に含まれる溶媒を揮発させて、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3の間に、導電層4および絶縁層5を形成することができる。また、導電層4および絶縁層5を介して、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3を接合一体化することができる。
【0049】
前記の積層体を厚さ方向に加圧する圧力(加圧力)は、1.0MPa以上かつ50.0MPa以下であることが好ましく、5.0MPa以上かつ20.0MPa以下であることがより好ましい。
積層体を厚さ方向に加圧する圧力が1.0MPa以上かつ50.0MPa以下であれば、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3の間に、互いに密着した導電層4および絶縁層5を形成することができる。また、導電層4および絶縁層5を介して、第1のセラミックス板2と第2のセラミックス板3を接合一体化することができる。
【0050】
[静電チャック装置]
以下、
図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る静電チャック装置について説明する。
【0051】
図2は、本実施形態の静電チャック装置を示す断面図である。なお、
図2において、
図1に示したセラミックス接合体と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態の静電チャック装置100は、円板状の静電チャック部材102と、静電チャック部材102を所望の温度に調整する円板状の温度調節用ベース部材103と、これら静電チャック部材102および温度調整用ベース部材103を接合・一体化する接着剤層104と、を有している。本実施形態の静電チャック装置100では、静電チャック部材102が、例えば、上述の実施形態のセラミックス接合体1またはセラミックス接合体1からなる。ここでは、静電チャック部材102がセラミックス接合体1からなる場合について説明する。
以下の説明においては、載置板111の載置面111a側を「上」、温度調整用ベース部材103側を「下」として記載し、各構成の相対位置を表すことがある。
【0052】
[静電チャック部材]
静電チャック部材102は、上面が半導体ウエハ等の板状試料を載置する載置面111aとされたセラミックスからなる載置板111と、載置板111の載置面111aとは反対の面側に設けられた支持板112と、これら載置板111と支持板112との間に挟持された静電吸着用電極113と、載置板111と支持板112とに挟持され静電吸着用電極113の周囲を囲む環状の絶縁材114と、静電吸着用電極113に接するように温度調節用ベース部材103の固定孔115内に設けられた給電用端子116と、を有している。
静電チャック部材102において、載置板111が上記の第2のセラミックス板3に相当し、支持板112が上記の第1のセラミックス板2に相当し、静電吸着用電極113が上記の導電層4に相当し、絶縁材114が上記の絶縁層5に相当する。
【0053】
[載置板]
載置板111の載置面111aには、半導体ウエハ等の板状試料を支持するための多数の突起が立設され(図示略)ている。さらに、載置板111の載置面111aの周縁部には、ヘリウム(He)等の冷却ガスが漏れないように、この周縁部を一周するように、断面四角形状の環状突起部が設けられていてもよい。さらに、この載置面111a上の環状突起部に囲まれた領域には、環状突起部と高さが同一であり横断面が円形状かつ縦断面が略矩形状の複数の突起部が設けられていてもよい。
【0054】
載置板111の厚さは、0.3mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがより好ましい。載置板111の厚さが0.3mm以上であれば、耐電圧性に優れる。一方、載置板111の厚さが3.0mm以下であれば、静電チャック部材102の静電吸着力が低下することがなく、載置板111の載置面111aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材103との間の熱伝導性が低下することもなく、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
【0055】
[支持板]
支持板112は、載置板111と静電吸着用電極113を下側から支持している。
【0056】
支持板112の厚さは、0.3mm以上かつ3.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがより好ましい。支持板112の厚さが0.3mm以上であれば、充分な耐電圧を確保することができる。一方、支持板112の厚さが3.0mm以下であれば、静電チャック部材102の静電吸着力が低下することがなく、載置板111の載置面111aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材103との間の熱伝導性が低下することもなく、処理中の板状試料の温度を好ましい一定の温度に保つことができる。
【0057】
[静電吸着用電極]
静電吸着用電極113では、電圧を印加することにより、載置板111の載置面111aに板状試料を保持する静電吸着力が生じる。
【0058】
静電吸着用電極113の厚さは、5μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、10μm以上かつ100μm以下であることがより好ましい。静電吸着用電極113の厚さが5μm以上であれば、充分な導電性を確保することができる。一方、静電吸着用電極113の厚さが200μm以下であれば、載置板111の載置面111aに載置される板状試料と温度調整用ベース部材3との間の熱伝導性が低下することがなく、処理中の板状試料の温度を望ましい一定の温度に保つことができる。また、プラズマ透過性が低下することがなく、安定にプラズマを発生させることができる。
【0059】
[絶縁材]
絶縁材114は、静電吸着用電極113を囲繞して腐食性ガスおよびそのプラズマから静電吸着用電極113を保護するためのものである。
絶縁材114により、載置板111と支持板112とが、静電吸着用電極113を介して接合一体化されている。
【0060】
[給電用端子]
給電用端子116は、静電吸着用電極113に電圧を印加するためのものである。
給電用端子116の数、形状等は、静電吸着用電極113の形態、すなわち単極型か、双極型かにより決定される。
【0061】
給電用端子116の材料は、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではない。給電用端子116の材料としては、熱膨張係数が静電吸着用電極113および支持板112の熱膨張係数に近似したものであることが好ましく、例えば、コバール合金、ニオブ(Nb)等の金属材料、各種の導電性セラミックスが好適に用いられる。
【0062】
[導電性接着層]
導電性接着層117は、温度調節用ベース部材103の固定孔115内および支持板112の貫通孔118内に設けられている。また、導電性接着層117は、静電吸着用電極113と給電用端子116の間に介在して、静電吸着用電極113と給電用端子116を電気的に接続している。
【0063】
導電性接着層117を構成する導電性接着剤は、炭素繊維、金属粉等の導電性物質と樹脂を含む。
【0064】
導電性接着剤に含まれる樹脂としては、熱応力により凝集破壊を起こし難いものであれば特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポシキ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、伸縮度が高く、熱応力の変化によって凝集破壊し難い点から、シリコーン樹脂が好ましい。
【0065】
[温度調整用ベース部材]
温度調整用ベース部材103は、金属およびセラミックスの少なくとも一方からなる厚みのある円板状のものである。温度調整用ベース部材103の躯体は、プラズマ発生用内部電極を兼ねた構成とされている。温度調整用ベース部材103の躯体の内部には、水、Heガス、N
2ガス等の冷却媒体を循環させる流路121が形成されている。
【0066】
温度調整用ベース部材103の躯体は、外部の高周波電源122に接続されている。また、温度調整用ベース部材103の固定孔115内には、その外周が絶縁材料123により囲繞された給電用端子116が、絶縁材料123を介して固定されている。給電用端子116は、外部の直流電源124に接続されている。
【0067】
温度調整用ベース部材103を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限されるものではない。温度調整用ベース部材3を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)等が好適に用いられる。
温度調整用ベース部材103における少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理またはポリイミド系樹脂による樹脂コーティングが施されていることが好ましい。また、温度調整用ベース部材103の全面が、前記のアルマイト処理または樹脂コーティングが施されていることがより好ましい。
【0068】
温度調整用ベース部材103にアルマイト処理または樹脂コーティングを施すことにより、温度調整用ベース部材103の耐プラズマ性が向上するとともに、異常放電が防止される。したがって、温度調整用ベース部材103の耐プラズマ安定性が向上し、また、温度調整用ベース部材103の表面傷の発生も防止することができる。
【0069】
[接着剤層]
接着剤層104は、静電チャック部102と、冷却用ベース部103とを接着一体化するものである。
【0070】
接着剤層104の厚さは、100μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、130μm以上かつ170μm以下であることがより好ましい。
接着剤層104の厚さが上記の範囲内であれば、静電チャック部102と冷却用ベース部103との間の接着強度を充分に保持することができる。また、静電チャック部102と冷却用ベース部103との間の熱伝導性を充分に確保することができる。
【0071】
接着剤層104は、例えば、シリコーン系樹脂組成物を加熱硬化した硬化体、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で形成されている。
シリコーン系樹脂組成物は、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するケイ素化合物であり、耐熱性、弾性に優れた樹脂であるので、より好ましい。
【0072】
このようなシリコーン系樹脂組成物としては、特に、熱硬化温度が70℃〜140℃のシリコーン樹脂が好ましい。
ここで、熱硬化温度が70℃を下回ると、静電チャック部102と冷却用ベース部103とを対向させた状態で接合する際に、接合過程で硬化が充分に進まないことから、作業性に劣ることになるため好ましくない。一方、熱硬化温度が140℃を超えると、静電チャック部102および冷却用ベース部103との熱膨張差が大きく、静電チャック部102と冷却用ベース部103との間の応力が増加し、これらの間で剥離が生じることがあるため好ましくない。
【0073】
本実施形態の静電チャック装置100によれば、静電チャック部材102がセラミックス接合体1からなるため、静電チャック部材102において、絶縁破壊(放電)が生じることを抑制することができる。
【0074】
以下、本実施形態の静電チャック装置の製造方法について説明する。
【0075】
上述のようにして得られたセラミックス接合体1からなる静電チャック部材102を用意する。
【0076】
冷却用ベース部103の一主面103aの所定領域に、シリコーン系樹脂組成物からなる接着剤を塗布する。ここで、接着剤の塗布量を、静電チャック部102と冷却用ベース部103とが接合一体化できるように調整する。
この接着剤の塗布方法としては、ヘラ等を用いて手動で塗布する他、バーコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0077】
冷却用ベース部103の一主面103aに接着剤を塗布した後、静電チャック部102と、接着剤を塗布した冷却用ベース部103とを重ね合わせる。
また、立設した給電用端子116を、冷却用ベース部103中に穿孔された固定孔115に挿入し嵌め込む。
次いで、静電チャック部102を冷却用ベース部103に対して所定の圧力にて押圧し、静電チャック部102と冷却用ベース部103を接合一体化する。これにより、静電チャック部102と冷却用ベース部103が接着剤層104を介して接合一体化されたものとなる。
【0078】
以上により、静電チャック部102および冷却用ベース部103は、接着剤層104を介して接合一体化された本実施形態の静電チャック装置100が得られる。
【0079】
なお、本実施形態に係る板状試料としては、半導体ウエハに限るものではなく、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等の平板型ディスプレイ(FPD)用ガラス基板等であってもよい。また、その基板の形状や大きさに合わせて本実施形態の静電チャック装置を設計すればよい。
【実施例】
【0080】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
[実施例1]
「セラミックス接合体の作製」
91質量%の酸化アルミニウム粉末と、9質量%の炭化ケイ素粉末との混合粉末を成型、焼結し、直径450mm、厚さ5.0mmの円盤状の酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体からなるセラミックス板(第1のセラミックス板、第2のセラミックス板)を作製した。
第1のセラミックス板の一方の面(絶縁層と接する面)に研磨加工を施し、第1のセラミックス板の一方の面の算術平均粗さ(Ra)を0.2μmとした。また、第2のセラミックス板の一方の面(絶縁層と接する面)に研磨加工を施し、第2のセラミックス板の一方の面(絶縁層と接する面)の算術平均粗さ(Ra)を0.2μmとした。
次いで、スクリーン印刷法により、第1のセラミックス板の一方の面に導電層形成用ペーストを塗布し、導電層塗膜を形成するとともに、スクリーン印刷法により、第1のセラミックス板の一方の面に絶縁層形成用ペーストを塗布し、絶縁層塗膜を形成した。
導電層形成用ペーストとしては、酸化アルミニウム粉末と炭化モリブデン粉末を、イソプロピルアルコールに分散させたものを用いた。導電層形成用ペーストにおける酸化アルミニウム粉末の含有量を25質量%とし、炭化モリブデン粉末の含有量を25質量%とした。絶縁層形成用ペーストとしては、平均一次粒子径が2.0μmの酸化アルミニウム粉末を、イソプロピルアルコールに分散させたものを用いた。絶縁層形成用ペーストにおける酸化アルミニウム粉末の含有量を50質量%とした。
次いで、導電層塗膜および絶縁層塗膜の第1のセラミックス板と接する面とは反対側の面に、研削加工または研磨加工を施した第2のセラミックス板の一方の面が接するように、第2のセラミックス板を積層した。
次いで、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体を、アルゴン雰囲気下、加熱しながら、厚さ方向に加圧した。熱処理温度を1700℃、加圧力を10MPa、熱処理および加圧する時間を2時間とした。
以上の工程により、
図1に示すような実施例1のセラミックス接合体を得た。
【0082】
(気孔率の測定)
得られたセラミックス接合体において、第1のセラミックス板と絶縁層との界面、および第2のセラミックス板と絶縁層との界面における気孔率を測定した。結果を表1に示す。
第1のセラミックス板と絶縁層との界面、および第2のセラミックス板と絶縁層との界面における気孔率を、次のように測定した。日本電子社製の電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で、第1のセラミックス板、第2のセラミックス板および絶縁層の厚み方向の切断面を観察し、画像解析ソフトによりその切断面の画像を解析して、気孔の面積を算出した。得られた算出結果から、絶縁層の面積と気孔の面積を用い、下記の式(1)に従って、気孔率(%)を算出した。
気孔率=気孔の面積/(絶縁層の面積+気孔の面積)×100 (1)
【0083】
(絶縁性物質の平均一次粒子径の測定)
得られたセラミックス接合体において、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定した。また、絶縁層を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径(表1にて、「Al
2O
3粉末の平均一次粒子径」と記す。)を測定した結果、2.0μmであった。さらに、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比(表1にて、「Al
2O
3粉末の平均一次粒子径の比」と記す。)を算出した結果、1.3であった。結果を表1に示す。
第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径、並びに絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を、次のように測定した。日本電子社製の電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板の厚み方向の切断面を観察し、インターセプト法により絶縁性物質200個の粒子径の平均を平均一次粒子径とした。
【0084】
(絶縁性評価)
以下のようにして、セラミックス接合体の絶縁性を評価した。
セラミックス接合体の側面(セラミックス接合体の厚さ方向の側面)において、第1のセラミックス板、導電層、絶縁層および第2のセラミックス板に接するようにカーボンテープを貼付した。
第1のセラミックス板を、その厚さ方向に貫通し、第1のセラミックス板の導電層と接する面とは反対側の面から導電層に至る貫通電極を形成した。
カーボンテープと貫通電極を介して、セラミックス接合体に電圧を印加し、セラミックス接合体が絶縁破壊する電圧を測定した。具体的には、3000Vの電圧を印加した状態でRF電圧を印加し10分保持し、その後500Vずつ徐々に電圧を印加して、10分保持し、測定した電流値が0.1mA(ミリアンペア)を超えたところを絶縁破壊とした。結果を表1に示す。
【0085】
[実施例2]
第1のセラミックス板の一方の面および第2のセラミックス板の一方の算術平均粗さ(Ra)を0.07μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、実施例2のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0086】
[実施例3]
第1のセラミックス板の一方の面および第2のセラミックス板の一方の算術平均粗さ(Ra)を0.01μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、実施例3のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0087】
[実施例4]
95.5質量%の酸化アルミニウム粉末と、4.5質量%の炭化ケイ素粉末との混合粉末を成型、焼結し、直径450mm、厚さ5.0mmの円盤状の酸化アルミニウム−炭化ケイ素複合焼結体からなるセラミックス板(第1のセラミックス板、第2のセラミックス板)を作製した。
絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を3.0μmとし、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比を2.0としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、実施例4のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0088】
[実施例5]
絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を3.3μmとし、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比を2.2とし、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体の熱処理温度を1750℃としたこと以外は実施例4と同様にして、実施例5のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、実施例5のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0089】
[実施例6]
絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を5.8μmとし、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比を3.9とし、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体の熱処理温度を1800℃としたこと以外は実施例4と同様にして、実施例6のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、実施例6のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0090】
[比較例1]
第1のセラミックス板の一方の面および第2のセラミックス板の一方の算術平均粗さ(Ra)を0.3μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、比較例1のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0091】
[比較例2]
絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を1.5μmとし、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比を1.0とし、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体の熱処理温度を1650℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、比較例2のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0092】
[比較例3]
絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を1.0μmとし、第1のセラミックス板および第2のセラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比を0.7とし、第1のセラミックス板、導電層塗膜、絶縁層塗膜および第2のセラミックス板を含む積層体の熱処理温度を1600℃としたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3のセラミックス接合体を得た。
実施例1と同様にして、比較例3のセラミックス接合体の気孔率およびAl
2O
3粉末の平均一次粒子径を測定し、絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
表1の結果から、気孔率が4.5%(4%を超える)の比較例1のセラミックス接合体は絶縁耐圧が低いが、気孔率が3.0%以下の実施例1〜実施例6のセラミックス接合体は絶縁耐圧が高いことが分かった。
また、セラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比が1.0以下の比較例2および比較例3のセラミックス接合体は、絶縁耐圧が低いことが分かった。これに対して、セラミックス板を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径に対する絶縁層を構成するAl
2O
3粉末の平均一次粒子径の比が1を超える実施例1〜実施例6のセラミックス接合体は、絶縁耐圧が高いことが分かった。
【課題】セラミックス板と導電層の接合界面において、絶縁破壊(放電)が生じることを抑制したセラミックス接合体、静電チャック装置およびセラミックス接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】導電性物質を含む一対のセラミックス板2,3と、一対のセラミックス板2,3の間に介在する導電層4および絶縁層5と、を備え、一対のセラミックス板2,3と絶縁層5との界面における気孔率が4%以下、セラミックス板2,3を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径に対する絶縁層5を構成する絶縁性物質の平均一次粒子径の比が1より大きいセラミックス接合体1。