【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、オキシダーゼに着眼し、研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の冷凍用米飯の製造方法、冷凍米飯の製造方法、およびこれらの方法により得ることできる米飯に関する。
[1]
米にポリフェノールオキシダーゼを作用させることを含む、冷凍用米飯の製造方法。
[2]
米1gあたり、10〜200ユニットのポリフェノールオキシダーゼを添加する、[1]
に記載の方法。
[3]
米1gあたり、20〜60ユニットのポリフェノールオキシダーゼを添加する、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
増粘剤をさらに添加する、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
【0010】
[5]
増粘剤が、アラビアガムである、請求項4に記載の方法。
[6]
米1gあたり、3〜17mgの増粘剤を添加する、[4]または[5]に記載の方法。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の方法により得られた、冷凍用米飯。
[8]
[1]〜[6]のいずれかに記載の方法により得られた米飯を凍結してなる、冷凍米飯。
【0011】
本発明によれば、電子レンジの加熱調理などによる解凍後に、米飯本来(または米飯独自)の食感を有する、冷凍米飯の提供が可能となる。
【0012】
本発明において「米」とは、目的とする米飯食品の製造に通常用いられる種類の米をいい、特に限定されない。本発明の一態様において、様々な米飯食品に適しているジャポニカ米を用いることが好ましく、うるち米を用いることがより好ましい。そして、白米、分搗き米、無洗米などの精米、および玄米などのいずれの精製度の(生)米でも用いることができる。なお、黒米、赤米、小麦、大麦、大麦(押し麦)、大麦(米粒麦)、大麦(もち麦)、はとむぎ、粟、稗、黍、たかきび、大豆、黒豆、小豆、緑豆、トウモロコシ、ソバ、黒ごま、白ごま、クコ、アマランサス、キヌアなどの雑穀類を添加(配合)することもできる。
【0013】
本発明において「米飯」とは、米に水などを加えて炊いた、または蒸したものをいう。
米飯の炊飯方法は、一般的な方法を採用することができ、ポリフェノールオキシダーゼは一般的な炊飯条件(温度・時間)を経ることで十分な反応・効果が得られる。またその効果は米や一緒に炊飯される素材などのポリフェノール含量に比例する。
本発明の一態様において、米飯食品の風味を向上させる観点から、出汁やブイヨンなどで炊飯した味付き飯などを用いることが好ましい。本発明の別の態様において、ソースの種類を選択して組合せることにより、様々な種類の米飯食品を製造できることから、生米を水で炊飯した白飯を用いることもできる。
【0014】
ポリフェノールオキシダーゼは、フェノール類の酸化を触媒する酵素である。ポリフェノールオキシダーゼは、植物由来、微生物由来のものなど種々の起源のものが知られているが、本発明で用いる酵素は、この活性を有している酵素であればよく、その起源としてはいずれのものでもよい。例えば、「ラッカーゼY120」、「ラッカーゼM120」の商品名で、天野エンザイム株式会社より市販されている、Trametes sp.由来のポリフェノールオキシダーゼを用いることができる。
ポリフェノールオキシダーゼの添加量は、米の種類および米飯製品に求められる食感等により異なるが、典型的には白米を水で炊飯する場合、米1gあたり10〜200ユニット、好ましくは15〜180ユニット、より好ましくは20〜60ユニット、さらに好ましくは30〜40ユニットである。10ユニット以上で、酵素による食感改善効果が十分に得られ、好ましい。200ユニットよりも少ない場合、米が甘くなりすぎず、また、酵素由来の臭いが強くなく、好ましい。60ユニット程度までの添加量とすることにより、良好な食感に加え、甘味が程よく、酵素由来の臭いも問題とならず、非常に好ましい。
【0015】
米の種類、および炊飯時に配合する素材のポリフェノール含量を考慮して、適宜添加量を調整することができる。
例えば、黒米や赤米などのポリフェノールを多く含む米の場合や、ターメリックなどのポリフェノールを含む素材を配合して炊飯する場合には、ポリフェノールオキシダーゼの好ましい添加量は少なくなる。
【0016】
炊飯倍率、すなわち生米の重量に対する炊飯の後の米飯の重量の比率は、好ましくは100〜600%、より好ましくは110〜500%、更に好ましくは120〜400%、特に好ましくは150〜300%である。
【0017】
本発明の一態様において、弾力性のから、アラビアガム、ペクチン、プルラン、カラギンナン、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、ペクチン、ラーチガム、ローストビーンガム、グアーガム、サイリウムシードガム、キンスシードガム、寒天、アルギン酸、ファーレセレラン、キサンタンガム、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、タピオカデンプン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、大豆タンパク、力ルポメチルセルロース、メチルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸ソーダ、アルギン酸エステル、α化澱粉、澱粉リン酸エステルナトリウムなどの増粘剤を炊飯時に添加(配合)することができる。
本発明の一態様において、増粘剤の添加量は、米1gあたり3〜17mg、好ましくは5〜15mg、より好ましくは7〜13mgである。
【0018】
本発明の一態様において、米飯の艶、風味、ほぐれ性などを向上させる観点から、菜種油、コーン油、綿実油、パーム油、大豆油、ひまわり油、紅花油、米油、ごま油、オリーブ油、豚脂、牛脂、乳脂、中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)、などから選択される1種または2種以上の食用油脂、炊飯油脂を炊飯時に添加(配合)することができる。例えば、昭和N炊飯油(昭和化工株式会社)などの米飯様に調整された異なる油の混合物を用いることができる。
油脂の添加量は、目的とする米飯食品の種類により適宜選択することができるが、米1gあたり20〜60mg、好ましくは30〜50mg程度である。
本発明の好ましい態様において、炊飯釜からの剥離性向上の観点から、油脂とともに乳化剤を添加(配合)することができる。例えば、ライスグッド(理研ビタミン株式会社)、ヨークランPF(キユーピータマゴ株式会社)などの米飯用乳化油脂を使用することもできる。
【0019】
本発明の一態様において、炊飯時の焦げ付き抑制、米飯のほぐれ向上の観点から、アミラーゼ、プロテアーゼ、パパインなどの他の酵素を炊飯時に添加(配合)することができる。
本発明の一態様において、米飯の冷凍耐性および硬さ向上の観点から、トレハロース、オリゴ糖、糖アルコールなどの食品添加物を炊飯時に添加(配合)することができる。
本発明の一態様において、老化抑制の観点から、不凍タンパク質を添加(配合)することができる。
【0020】
本発明の一態様において、風味づけ・味つけおよび硬さ向上の観点から食塩、風味づけ・味付け向上の観点からグルタミン酸ナトリウム、オニオンペースト、チキンコンソメなどの調味料、風味料を適宜添加(配合)することができる。
本発明において「冷凍米飯」は、所定の形状などに凍結した米飯であっても、バラ状に凍結した米飯であってもよい。