(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インゴットを収容するインゴット収容手段と、該インゴット収容手段からインゴットを該保持手段に搬送するインゴット搬送手段と、を含む請求項1記載のウエーハ生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成されたウエーハ生成装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示すウエーハ生成装置2は、インゴットを保持する保持手段4と、保持手段4に保持されたインゴットの上面を研削して平坦化する平坦化手段6と、保持手段4に保持されたインゴットの上面から生成すべきウエーハの厚みに相当する深さにインゴットに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を位置づけてレーザー光線をインゴットに照射し剥離層を形成するレーザー照射手段8と、インゴットの上面を保持し剥離層からウエーハを剥離するウエーハ剥離手段10と、剥離されたウエーハを収容するウエーハ収容手段12と、から少なくとも構成される。
【0014】
図2を参照して保持手段4について説明する。ウエーハ生成装置2の基台14には、基台14の上面から下方に没入した矩形状のターンテーブル収容部16が形成され、ターンテーブル収容部16には円形状のターンテーブル18が回転自在に収容されている。ターンテーブル18は、基台14に内蔵されたターンテーブル用モータ(図示していない。)によって、ターンテーブル18の径方向中心を通ってZ軸方向に延びる軸線を回転中心として回転される。そして、図示の実施形態における保持手段4は、ターンテーブル18の上面に回転自在に配設された4個の円形状のチャックテーブル20から構成されている。各チャックテーブル20は、ターンテーブル18の回転によって、少なくとも平坦化手段6、レーザー照射手段8、ウエーハ剥離手段10、に位置づけられるのが好都合である。図示の実施形態では
図2に示すとおり、各チャックテーブル20は、ターンテーブル18の回転によって、待機位置P1、平坦化手段6の下方の平坦化位置P2、レーザー照射手段8の下方の剥離層形成位置P3、ウエーハ剥離手段10の下方のウエーハ剥離位置P4、に位置づけられる。各チャックテーブル20は、基台14に内蔵された4個のチャックテーブル用モータ(図示していない。)によって、各チャックテーブル20の径方向中心を通ってZ軸方向に延びる軸線を回転中心として回転される。ターンテーブル18の周方向に等間隔をおいて(90度の間隔をもって)配設されている4個のチャックテーブル20は、ターンテーブル18の上面に配置された十字形状の仕切壁18aによって区画されている。また、各チャックテーブル20の上面には、多孔質材料から形成され実質上水平に延在する円形状の吸着チャック22が配置され、各吸着チャック22は流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、保持手段4を構成する各チャックテーブル20は、吸引手段によって吸着チャック22の上面に吸引力を生成することにより、吸着チャック22の上面に載せられたインゴットを吸着して保持することができる。なお、Z軸方向は
図2に矢印Zで示す上下方向である。また、
図2に矢印Xで示すX軸方向はZ軸方向に直交する方向であり、
図2に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向及びZ軸方向に直交する方向である。X軸方向及びY軸方向が規定する平面は実質上水平である。
【0015】
図2に示すとおり、平坦化手段6は、基台14のY軸方向一端部の上面からZ軸方向に延びる矩形状の装着壁24と、Z軸方向において移動自在に装着壁24に装着された矩形状のZ軸方向可動板26と、Z軸方向可動板26をZ軸方向に移動させるZ軸方向移動機構28とを含む。装着壁24の片側面(
図2において手前側の面)には、X軸方向に間隔をおいてZ軸方向に延びる一対の案内レール24aが付設されている。Z軸方向可動板26には、装着壁24の各案内レール24aに対応してZ軸方向に延びる一対の被案内レール26aが形成されている。そして、装着壁24の案内レール24aにZ軸方向可動板26の被案内レール26aが係合することにより、Z軸方向可動板26はZ軸方向に移動自在に装着壁24に装着されている。Z軸方向移動機構28は、装着壁24の片側面に沿ってZ軸方向に延びるボールねじ30と、ボールねじ30の片端部に連結されたモータ32とを有する。ボールねじ30のナット部(図示していない。)は、Z軸方向可動板26に固定されている。そしてZ軸方向移動機構28は、ボールねじ30によりモータ32の回転運動を直線運動に変換してZ軸方向可動板26に伝達し、装着壁24の案内レール24aに沿ってZ軸方向可動板26をZ軸方向に移動させる。
【0016】
図2と共に
図3を参照して平坦化手段6についての説明を続けると、Z軸方向可動板26の外面にはY軸方向に突出する支持ブロック34が固定されている。支持ブロック34の上面にはモータ36が支持され、支持ブロック34の下面には下方に延びる円筒状のスピンドルハウジング38が支持されている。スピンドルハウジング38には、Z軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に円柱状のスピンドル40が回転自在に支持されている。スピンドル40の上端はモータ36に連結され、Z軸方向に延びる軸線を中心としてモータ36によってスピンドル40が回転される。
図3に示すとおり、スピンドル40の下端には円板状のホイールマウント42が固定されている。ホイールマウント42の下面にはボルト44によって環状の研削ホイール46が固定されている。研削ホイール46の下面の外周縁部には、周方向に間隔をおいて環状に配置された複数の研削砥石48が固定されている。
図3に示すとおり、チャックテーブル20が平坦化位置P2に位置づけられた際に、チャックテーブル20の回転中心を研削砥石48が通るように、研削ホイール46の回転中心はチャックテーブル20の回転中心に対して変位している。このため平坦化手段6においては、チャックテーブル20と研削ホイール46とが相互に回転しながら、チャックテーブル20に保持されたインゴットの上面と研削砥石48とが接触するとインゴットの上面全体を研削砥石48で研削することができ、したがってチャックテーブル20に保持されたインゴットの上面を研削して平坦化することができる。
【0017】
ウエーハ生成装置2は、平坦化手段6によって平坦化されたインゴットを洗浄する洗浄手段50を含むのが好適である。図示の実施形態では
図2に示すとおり、洗浄手段50は、平坦化手段6の装着壁24の側面に沿って基台14の上面に搭載された支持体52と、支持体52の上部からY軸方向に延びる第一の洗浄部54と、第一の洗浄部54と並んで支持体52の上部からY軸方向に延びる第二の洗浄部56とを有する。中空部材から形成され得る第一の洗浄部54の下面にはY軸方向に間隔をおいて複数の噴射孔(図示していない。)が形成されており、第一の洗浄部54は流路によって洗浄水供給手段(図示していない。)に接続されている。また、中空部材から形成され得る第二の洗浄部56の下面にもY軸方向に間隔をおいて複数の噴射孔(図示していない。)が形成されており、第二の洗浄部56は流路によって圧空源(図示していない。)に接続されている。そして洗浄手段50においては、
図4に示すとおり、第一の洗浄部54の各噴射孔から下方に向かって平坦化手段6側に傾斜して洗浄水55を噴射することによりインゴットから研削屑を除去し、第二の洗浄部56の各噴射孔から下方に向かって圧空57を噴射することによりインゴットから洗浄水55を除去することにより、平坦化手段6によって平坦化されたインゴットを洗浄することができる。
【0018】
図1、
図5及び
図6を参照してレーザー照射手段8について説明する。レーザー照射手段8は、平坦化手段6の装着壁24と並んで基台14の上面から上方に延びる枠体58と、枠体58の上部からY軸方向に延びる矩形状の案内板60と、Y軸方向において移動自在に案内板60に支持されたY軸方向可動部材62と、Y軸方向可動部材62をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構64とを含む。案内板60のX軸方向両端下部には、Y軸方向に延びる一対の案内レール60aが形成されている。
図6に示すとおり、Y軸方向可動部材62は、X軸方向に間隔をおいて配置された一対の被案内部66と、被案内部66の下端間に架け渡されX軸方向に延びる装着部68とを有する。各被案内部66の上部にはY軸方向に延びる被案内レール66aが形成されている。被案内部66の被案内レール66aと案内板60の案内レール60aとが係合することにより、Y軸方向可動部材62はY軸方向に移動自在に案内板60に支持されている。また、装着部68のY軸方向両端下部には、X軸方向に延びる一対の案内レール68aが形成されている。
図6に示すとおり、Y軸方向移動機構64は、案内板60の下方においてY軸方向に延びるボールねじ70と、ボールねじ70の片端部に連結されたモータ72とを有する。ボールねじ70の門型形状のナット部70aは装着部68の上面に固定されている。そしてY軸方向移動機構64は、ボールねじ70によりモータ72の回転運動を直線運動に変換してY軸方向可動部材62に伝達し、案内板60の案内レール60aに沿ってY軸方向可動部材62をY軸方向に移動させる。
【0019】
図6を参照してレーザー照射手段8についての説明を続ける。レーザー照射手段8は、更に、X軸方向に移動自在にY軸方向可動部材62の装着部68に装着されたX軸方向可動板74と、X軸方向可動板74をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構76とを含む。X軸方向可動板74のY軸方向両端部と装着部68の案内レール68aとが係合することにより、X軸方向可動板74はX軸方向に移動自在に装着部68に装着されている。X軸方向移動機構76は、装着部68の上方においてX軸方向に延びるボールねじ78と、ボールねじ78の片端部に連結されたモータ80とを有する。ボールねじ78のナット部78aは、装着部68の開口68bを通ってX軸方向可動板74の上面に固定されている。そしてX軸方向移動機構76は、ボールねじ78によりモータ80の回転運動を直線運動に変換してX軸方向可動板74に伝達し、装着部68の案内レール68aに沿ってX軸方向可動板74をX軸方向に移動させる。
【0020】
図6と共に
図7を参照してレーザー照射手段8についての説明を続ける。レーザー照射手段8は、更に、枠体58に内蔵されたレーザー発振器82と、レーザー発振器82とY軸方向に間隔をおいてY軸方向可動部材62の装着部68の下面に装着された第一のミラー84と、第一のミラー84とX軸方向に間隔をおいてX軸方向可動板74の下面で集光器86の真上に装着されパルスレーザー光線LBを集光器86に導く第二のミラー(図示していない。)と、X軸方向可動板74の下面にZ軸方向に移動自在に装着された集光器86と、集光器86とX軸方向に間隔をおいてX軸方向可動板74の下面に装着されたアライメント手段88と、集光器86をZ軸方向に移動して集光器86の集光点のZ軸方向位置を調整する集光点位置調整手段(図示していない。)とを含む。レーザー発振器82は、インゴットに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを発振するようになっている。集光器86は、レーザー発振器82が発振したパルスレーザー光線LBを集光する集光レンズ(図示していない。)を有し、集光レンズは第二のミラーの下方に位置している。アライメント手段88は、チャックテーブル20に保持されたインゴットを撮像してレーザー加工すべき領域を検出するようになっている。集光点位置調整手段は、たとえば、ナット部が集光器86に固定されZ軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじの片端部に連結されたモータ(図示していない。)とを有する構成でよい。このような構成の集光点位置調整手段においては、ボールねじによりモータの回転運動を直線運動に変換して集光器86に伝達し、Z軸方向に延びる案内レール(図示していない。)に沿って集光器86を移動させ、これによって集光レンズで集光するパルスレーザー光線LBの集光点のZ軸方向位置を調整する。そして、光軸がY軸方向に設定されてレーザー発振器82から発振されたパルスレーザー光線LBは、第一のミラー84によって光軸がY軸方向からX軸方向に変換されて第二のミラーに導かれ、次いで第二のミラーによって光軸がX軸方向からZ軸方向に変換されて集光器86の集光レンズに導かれた後、集光器86の集光レンズで集光されてチャックテーブル20に保持されたインゴットに照射される。また、Y軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62を移動させることにより集光器86をY軸方向に移動させた場合でも、そしてまた、X軸方向移動機構76でX軸方向可動板74を移動させることにより集光器86をX軸方向に移動させた場合でも、Y軸方向と平行に発振器82から発振されたパルスレーザー光線LBは、第一のミラー84によって光軸がY軸方向からX軸方向に変換されて第二のミラーに導かれ、第二のミラーに導かれたパルスレーザー光線LBは第二のミラーによって光軸がX軸方向からZ軸方向に変換されて集光器86に導かれる。以上のとおり構成されたレーザー照射手段8においては、チャックテーブル20に保持されたインゴットをアライメント手段88で撮像してレーザー加工すべき領域を検出し、集光点位置調整手段で集光器86をZ軸方向に移動してチャックテーブル20に保持されたインゴットの上面から生成すべきウエーハの厚みに相当する深さにインゴットに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBの集光点を位置づけた上で、X軸方向移動機構76でX軸方向可動板74を適宜移動させると共にY軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62をY軸方向に適宜移動させながら、チャックテーブル20に保持されたインゴットにパルスレーザー光線LBを照射することにより、インゴットの内部に剥離層を形成することができる。
【0021】
図1及び
図8を参照してウエーハ剥離手段10について説明する。レーザー照射手段8によって剥離層が形成されたインゴットに超音波振動を付与して剥離層を起点としてインゴットからウエーハを剥離するウエーハ剥離手段10は、基台14の上面に固定された支持体90と、Z軸方向に移動自在に支持体90に支持された基端部からX軸方向に延びるアーム92と、アーム92をZ軸方向に移動させるアーム移動機構94とを含む。アーム移動機構94は、支持体90の内部においてZ軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじの片端部に連結されたモータ96とを有する。アーム移動機構94のボールねじのナット部(図示していない。)は、アーム92の基端部に固定されている。そしてアーム移動機構94は、ボールねじによりモータ96の回転運動を直線運動に変換してアーム92に伝達し、支持体90に内蔵されたZ軸方向に延びる案内レール(図示していない。)に沿ってアーム92をZ軸方向に移動させる。
【0022】
図8及び
図9を参照してウエーハ剥離手段10についての説明を続ける。アーム92の先端部には、インゴットからウエーハを剥離する際にチャックテーブル20と協働して液体を収容する液槽体98が固定されている。液槽体98は、円形状の天面壁100と、天面壁100の周縁から垂下する円筒状の側壁102とを有し、下端側が開放されている。天面壁100には液槽体98の外部と内部とを連通する円筒状の液体供給部104が付設されている。液体供給部104は流路によって液体供給手段(図示していない。)に接続されている。また、
図9に示すとおり、側壁102の下端には環状のパッキン106が付設されている。そして、アーム移動機構94によりアーム92を下降させてチャックテーブル20の上面に側壁102の下端を密着させると、チャックテーブル20の上面と液槽体98の内面とで液体収容空間108が規定される。液体供給手段から液体供給部104を通って液体収容空間108に供給された液体110は、パッキン106によって液体収容空間108から漏れるのが防止される。
【0023】
図8及び
図9を参照してウエーハ剥離手段10についての説明を更に続けると、液槽体98の天面壁100にはエアシリンダ112が装着されている。エアシリンダ112のシリンダチューブ112aは天面壁100の上面から上方に延びている。
図9に示すとおり、エアシリンダ112のピストンロッド112bの下端部は、天面壁100の貫通開口100aを通過して天面壁100の下方に突出している。ピストンロッド112bの下端部には圧電セラミックス等から形成され得る円板状の超音波振動生成部材114が固定されている。超音波振動生成部材114の下面には円板状の吸着片116が固定されている。下面に複数の吸引孔(図示していない。)が形成されている吸着片116は、流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。吸引手段によって吸着片116の下面に吸引力を生成することにより、吸着片116はインゴットを吸着して保持することができる。そしてウエーハ剥離手段10においては、アーム移動機構94によりアーム92を下降させ、レーザー照射手段8によって剥離層が形成されたインゴットを保持したチャックテーブル20の上面に側壁102の下端を密着させると共に、エアシリンダ112のピストンロッド112bを下降させてインゴットの上面に吸着片116を吸着させた上で、液体収容空間108に液体110を収容した後、超音波振動生成部材114を作動させてインゴットに超音波振動を付与することにより、剥離層を起点としてインゴットからウエーハを剥離することができる。
【0024】
図1及び
図2を参照してウエーハ収容手段12について説明する。ウエーハ収容手段12は、ウエーハ剥離手段10によって剥離層を起点としてインゴットから剥離されたウエーハを、上下方向に間隔をおいて複数収容可能なカセットから構成され、基台14の上面に着脱自在に搭載されている。また、ウエーハ剥離手段10とウエーハ収容手段12との間には、ウエーハ剥離手段10によって剥離層を起点としてインゴットから剥離されたウエーハをウエーハ剥離手段10からウエーハ収容手段12に搬送するウエーハ搬送手段118が配置されている。
図2に示すとおり、ウエーハ搬送手段118は、基台14の上面から上方に延びる昇降手段120と、昇降手段120の先端に固定された第一のモータ122と、Z軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に第一のモータ122に基端部が連結された第一のアーム124と、第一のアーム124の先端部に固定された第二のモータ126と、Z軸方向に延びる軸線を中心として回転自在に第二のモータ126に基端部が連結された第二のアーム128と、第二のアーム128の先端部に固定された円板上の吸着片130とを含む。昇降手段120でZ軸方向に昇降される第一のモータ122は、第一のアーム124の基端部を通ってZ軸方向に延びる軸線を回転中心として昇降手段120に対して第一のアーム124を回転させる。第二のモータ126は、第二のアーム128の基端部を通ってZ軸方向に延びる軸線を中心として第一のアーム124に対して第二のアーム128を回転させる。上面に複数の吸引孔130aが形成されている吸着片130は、流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、ウエーハ搬送手段118においては、吸引手段によって吸着片130の上面に吸引力を生成することにより、ウエーハ剥離手段10によって剥離層を起点としてインゴットから剥離されたウエーハを吸着片130で吸着して保持することができると共に、昇降手段120、第一のモータ122及び第二のモータ126で第一のアーム124及び第二のアーム128を作動させることにより、吸着片130で吸着したウエーハをウエーハ剥離手段10からウエーハ収容手段12に搬送することができる。
【0025】
図1に示すとおり、ウエーハ生成装置2は、更に、インゴットを収容するインゴット収容手段132と、インゴット収容手段132からインゴットを保持手段4に搬送するインゴット搬送手段134とを含むのが好ましい。図示の実施形態におけるインゴット収容手段132は、Y軸方向に間隔をおいて基台14の上面に形成された円形状の4個の収容凹所132aから構成されている。インゴットの直径よりも若干大きい直径の4個の収容凹所132aのそれぞれにはインゴットが収容される。
【0026】
図1及び
図10を参照してインゴット搬送手段134について説明する。インゴット搬送手段134は、基台14の上面においてインゴット収容手段132に沿ってY軸方向に延びる枠体136と、Y軸方向に移動自在に枠体136に支持された基端部からX軸方向に延びるアーム138と、Y軸方向にアーム138を移動させるアーム移動機構140とを備える。枠体136には、Y軸方向に延びる長方形状の案内開口136aが形成されている。アーム移動機構140は、枠体136の内部においてY軸方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじの片端部に連結されたモータ142とを有する。アーム移動機構140のボールねじのナット部(図示していない。)は、アーム138の基端部に固定されている。そしてアーム移動機構140は、ボールねじによりモータ142の回転運動を直線運動に変換してアーム138に伝達し、枠体136の案内開口136aに沿ってアーム138をY軸方向に移動させる。
図10に示すとおり、アーム138の先端部にはZ軸方向に延びるエアシリンダ144が装着され、エアシリンダ144のピストンロッド144aの下端部には円板状の吸着片146が固定されている。下面に複数の吸引孔(図示していない。)が形成されている吸着片146は、流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、インゴット搬送手段134においては、吸引手段によって吸着片146の下面に吸引力を生成することにより、インゴット収容手段132に収容されたインゴットの上面を吸着片146で吸着して保持することができ、かつ、アーム移動機構140でアーム138を移動させると共に及びエアシリンダ144で吸着片146を移動させることにより、吸着片146で保持したインゴットをインゴット収容手段132から保持手段4に搬送することができる。
【0027】
図11には、上述したとおりのウエーハ生成装置2によって加工が施され得るインゴット150が示されている。図示のインゴット150は、六方晶単結晶SiCから全体として円柱形状に形成されており、円形状の第一の面152と、第一の面152と反対側の円形状の第二の面154と、第一の面152及び第二の面154の間に位置する周面156と、第一の面152から第二の面154に至るc軸(<0001>方向)と、c軸に直交するc面({0001}面)とを有する。図示のインゴット150においては、第一の面152の垂線158に対してc軸が傾いており、c面と第一の面152とでオフ角α(たとえばα=1、3、6度)が形成されている。オフ角αが形成される方向を
図11に矢印Aで示す。また、インゴット150の周面156には、結晶方位を示す矩形状の第一のオリエンテーションフラット160及び第二のオリエンテーションフラット162が形成されている。第一のオリエンテーションフラット160は、オフ角αが形成される方向Aに平行であり、第二のオリエンテーションフラット162は、オフ角αが形成される方向Aに直交している。
図11(b)に示すとおり、上方からみて、第二のオリエンテーションフラット162の長さL2は、第一のオリエンテーションフラット160の長さL1よりも短い(L2<L1)。なお、ウエーハ生成装置2によって加工が施され得るインゴットは、上記インゴット150に限定されず、たとえば、第一の面の垂線に対してc軸が傾いておらず、c面と第一の面とのオフ角が0度である(すなわち、第一の面の垂線とc軸とが一致している)単結晶SiCインゴットでもよく、あるいはGaN(窒化ガリウム)等の単結晶SiC以外の素材から形成されているインゴットでもよい。
【0028】
上述したとおりのウエーハ生成装置2によってインゴット150からウエーハを生成するウエーハ生成方法について説明する。ウエーハ生成装置2を用いるウエーハ生成方法では、まず、4個のインゴット150を準備し、
図12に示すとおり、準備した各インゴット150の端面(たとえば第二の面154)に適宜の接着剤を介して円板状のサブストレート164を装着させるサブストレート装着工程を実施する。サブストレート装着工程を実施するのは、第一のオリエンテーションフラット160及び第二のオリエンテーションフラット162が形成されたインゴット150をチャックテーブル20の円形状の吸着チャック22によって所定の吸引力で吸着して保持するためである。サブストレート164の直径は、インゴット150の直径よりも若干大きく、かつ、チャックテーブル20の吸着チャック22の直径よりも若干大きい。そして、サブストレート164を下方に向けてインゴット150をチャックテーブル20に載せた際に吸着チャック22がサブストレート164で覆われるため、吸着チャック22に接続された吸引手段を作動させると、吸着チャック22によって所定の吸引力でサブストレート164を吸着し、これによって第一のオリエンテーションフラット160及び第二のオリエンテーションフラット162が形成されたインゴット150をチャックテーブル20で保持することができる。なお、インゴットの直径が吸着チャック22よりも大きく、インゴットがチャックテーブル20に載せられた際に吸着チャック22の上面全部がインゴットで覆われる場合には、吸着チャック22による吸引の際に吸着チャック22の露出部分からエアーが吸込まれることがなく、吸着チャック22によって所定の吸引力でインゴットを吸着可能なため、サブストレート装着工程を実施しなくてもよい。
【0029】
サブストレート装着工程を実施した後、インゴット収容手段132にインゴット150を収容するインゴット収容工程を実施する。図示の実施形態では
図1に示すとおり、インゴット収容工程において、インゴット収容手段132の4個の収容凹所132aに、サブストレート164を下方に向けて4個のインゴット150を収容する。
【0030】
インゴット収容工程を実施した後、インゴット収容手段132から保持手段4にインゴット150をインゴット搬送手段134で搬送するインゴット搬送工程を実施する。インゴット搬送工程では、まず、インゴット搬送手段134のアーム移動機構140でアーム138をY軸方向に移動させ、インゴット収容手段132に収容されている4個のインゴット150のうち任意の1個のインゴット150(以下「第一のインゴット150a」という。)の上方に吸着片146を位置づける。次いで、インゴット搬送手段134のエアシリンダ144で吸着片146を下降させ、第一のインゴット150aの上面(たとえば第一の面152)に吸着片146の下面を密着させる。次いで、吸着片146に接続された吸引手段を作動させて吸着片146の下面に吸引力を生成し、第一のインゴット150aの上面に吸着片146の下面を吸着させる。次いで、第一のインゴット150aを吸着した吸着片146をエアシリンダ144で上昇させる。次いで、アーム移動機構140でアーム138をY軸方向に移動させ、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20の上方に第一のインゴット150aを吸着した吸着片146を位置づける。次いで、
図13に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着した吸着片146をエアシリンダ144で下降させ、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20の上面にサブストレート164の下面を接触させる。そして、吸着片146に接続された吸引手段の作動を停止させて吸着片146の吸引力を解除し、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20の上面に第一のインゴット150aを載せる。これによって、インゴット収容手段132から保持手段4を構成するチャックテーブル20に第一のインゴット150aをインゴット搬送手段134で搬送することができる。
【0031】
インゴット搬送工程を実施した後、保持手段4でインゴット150を保持する保持工程を実施する。保持工程では、第一のインゴット150aが載せられた吸着チャック22に接続されている吸引手段を作動させ吸着チャック22の上面に吸引力を生成し、チャックテーブル20によって第一のインゴット150aを吸着して保持する。
【0032】
保持工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させ、
図14に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させる。平坦化位置P2に位置づけられた第一のインゴット150aについては、保持手段4に保持されたインゴット150の上面を研削して平坦化する平坦化工程をこの段階では実施しなくてもよい。インゴット150は、通常、後述の剥離層形成工程におけるレーザー光線の入射を妨げない程度に端面(第一の面152及び第二の面154)が平坦化されていることから、インゴット収容手段132から搬送されて最初に平坦化位置P2に位置づけられたインゴット150については平坦化工程を実施しなくてもよい。そして、インゴット収容手段132に収容されている残り3個のインゴット150のうち任意の1個のインゴット150(以下「第二のインゴット150b」という。)について、インゴット搬送手段134でインゴット搬送工程を実施すると共に、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20で保持する保持工程を実施する。なお、
図14では便宜上、平坦化位置P2に位置する第一のインゴット150aと、待機位置P1に位置する第二のインゴット150bとを同じ向きに記載しているが、ターンテーブル18の回転や各チャックテーブル20の回転により、チャックテーブル20に吸着されたインゴット150は任意の向きとなり、この点は
図15等においても同様である。
【0033】
第二のインゴット150bについてインゴット搬送工程及び保持工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させる。これによって
図15に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20を平坦化位置P2から剥離層形成位置P3に移動させると共に、第二のインゴット150bを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させる。そして、第一のインゴット150aについては、保持手段4に保持されたインゴット150の上面から生成すべきウエーハの厚みに相当する深さにインゴット150に対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を位置づけてレーザー光線をインゴット150に照射し剥離層を形成する剥離層形成工程をレーザー照射手段8で実施する。一方、第二のインゴット150bについては、上述のとおりインゴット収容手段132から搬送されて最初に平坦化位置P2に位置づけられているので、平坦化工程を実施しなくてもよい。また、インゴット収容手段132に収容されている残り2個のインゴット150のうち任意の1個のインゴット150(以下「第三のインゴット150c」という。)について、インゴット搬送手段134でインゴット搬送工程を実施すると共に、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20で保持する保持工程を実施する。
【0034】
レーザー照射手段8で実施する剥離層形成工程について説明する。図示の実施形態における剥離層形成工程では、まず、レーザー照射手段8のX軸方向移動機構76(
図5及び
図6参照。)でX軸方向可動板74を移動させると共にY軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62をY軸方向に移動させ、アライメント手段88をインゴット150の上方に位置づけ、インゴット150の上方からアライメント手段88でインゴット150を撮像する。次いで、アライメント手段88で撮像したインゴット150の画像に基づいて、チャックテーブル用モータでチャックテーブル20を回転させ、かつ、X軸方向移動機構76でX軸方向可動板74を移動させると共にY軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62をY軸方向に移動させることにより、インゴット150の向きを所定の向きに調整すると共にインゴット150と集光器86とのXY平面における位置を調整する。インゴット150の向きを所定の向きに調整する際は、
図16(a)に示すとおり、第一のオリエンテーションフラット160をY軸方向に整合させると共に、第二のオリエンテーションフラット162をX軸方向に整合させることによって、オフ角αが形成される方向AをY軸方向に整合させると共に、オフ角αが形成される方向Aと直交する方向をX軸方向に整合させる。次いで、集光点位置調整手段で集光器86をZ軸方向に移動させ、
図16(b)に示すとおり、インゴット150の上面(図示の実施形態では第一の面152)から生成すべきウエーハの厚みに相当する深さに集光点FPを位置づける。次いで、X軸方向移動機構76でX軸方向可動板74を移動させることにより、オフ角αが形成される方向Aと直交する方向に整合しているX軸方向に、インゴット150に対して相対的に集光点FPを所定の送り速度で移動させながら、インゴット150に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBを集光器86からインゴット150に照射する剥離層形成加工を行う。
【0035】
剥離層形成加工を行うと、
図17(a)及び
図17(b)に示すとおり、パルスレーザー光線LBの照射によりSiCがSi(シリコン)とC(炭素)とに分離し次に照射されるパルスレーザー光線LBが前に形成されたCに吸収されて連鎖的にSiCがSiとCとに分離して形成される直線状の改質層166と、改質層166からc面に沿って改質層166の両側に伝播するクラック168とが形成される。なお、剥離層形成加工では、改質層166が形成される深さにおいて隣接するパルスレーザー光線LBのスポットが相互に重なるようにインゴット150に対して集光点FPを相対的にX軸方向に加工送りしながらパルスレーザー光線LBをインゴット150に照射して、SiとCとに分離した改質層166に再度パルスレーザー光線LBが照射されるようにする。隣接するスポットが相互に重なるには、パルスレーザー光線LBの繰り返し周波数Fと、集光点FPの送り速度Vと、スポットの直径Dとで規定されるG=(V/F)−DがG<0であることを要する。また、隣接するスポットの重なり率は|G|/Dで規定される。
【0036】
図16及び
図17を参照して説明を続けると、剥離層形成工程では剥離層形成加工に続いて、Y軸方向移動機構64でY軸方向可動部材62を移動させることにより、オフ角αが形成される方向Aに整合しているY軸方向に、インゴット150に対して相対的に集光点FPを所定インデックス量Liだけインデックス送りする。そして、剥離層形成工程において剥離層形成加工とインデックス送りとを交互に繰り返すことにより、オフ角αが形成される方向Aと直交する方向に沿って延びる直線状の改質層166を、オフ角αが形成される方向Aに所定インデックス量Liの間隔をおいて複数形成すると共に、オフ角αが形成される方向Aにおいて隣接するクラック168とクラック168とが重なるようにする。これによって、インゴット150の上面から生成すべきウエーハの厚みに相当する深さに、複数の改質層166およびクラック168からなる、インゴット150からウエーハを剥離するための剥離層170を形成することができる。インゴット150に剥離層170を形成するための剥離層形成工程は、たとえば以下の加工条件で実施することができる。
パルスレーザー光線の波長 :1064nm
繰り返し周波数 :80kHz
平均出力 :3.2W
パルス幅 :4ns
集光点の直径 :3μm
集光レンズの開口数(NA) :0.43
集光点のZ軸方向位置 :インゴットの上面から300μm
集光点の送り速度 :120〜260mm/s
インデックス量 :250〜400μm
【0037】
第一のインゴット150aについて剥離層形成工程を実施すると共に、第三のインゴット150cについてインゴット搬送工程及び保持工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させる。これによって
図18に示すとおり、剥離層170が形成された第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20を剥離層形成位置P3からウエーハ剥離位置P4に移動させ、第二のインゴット150bを吸着しているチャックテーブル20を平坦化位置P2から剥離層形成位置P3に移動させ、かつ、第三のインゴット150cを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させる。そして、第一のインゴット150aについては、インゴット150の上面を保持し剥離層170からウエーハを剥離するウエーハ剥離工程をウエーハ剥離手段10で実施する。また、第二のインゴット150bについてはレーザー照射手段8で剥離層形成工程を実施する。一方、第三のインゴット150cについては、上述のとおりインゴット収容手段132から搬送されて最初に平坦化位置P2に位置づけられているので、平坦化工程を実施しなくてもよい。また、インゴット収容手段132に収容されている残り1個のインゴット150(以下「第四のインゴット150d」という。)について、インゴット搬送手段134でインゴット搬送工程を実施すると共に、待機位置P1に位置づけられているチャックテーブル20で保持する保持工程を実施する。
【0038】
図9、
図19及び
図20を参照して、ウエーハ剥離手段10で実施するウエーハ剥離工程について説明する。図示の実施形態におけるウエーハ剥離工程では、まず、
図19(a)及び
図19(b)に示すとおり、アーム移動機構94でアーム92を下降させ、剥離層170が形成されたインゴット150を保持しているチャックテーブル20の上面に液槽体98の側壁102の下端を密着させる。次いで、
図9に示すとおり、ウエーハ剥離手段10のエアシリンダ112のピストンロッド112bを移動させ、インゴット150の上面に吸着片116の下面を密着させる。次いで、吸着片116に接続された吸引手段を作動させて吸着片116の下面に吸引力を生成し、インゴット150の上面に吸着片116の下面を吸着させて保持させる。次いで、液体供給部104に接続された液体供給手段を作動させ、超音波振動生成部材114が浸漬するまで液体供給部104から液体収容空間108に液体110(たとえば水)を供給する。次いで、超音波振動生成部材114を作動させ、インゴット150に超音波振動を付与すると、剥離層170を起点としてインゴット150から生成すべきウエーハ172を剥離することができる。次いで、アーム移動機構94でアーム92を上昇させ、液体収容空間108から液体110を排出する。液体収容空間108から排出された液体110は、基台14のターンテーブル収容部16においてウエーハ剥離手段10に隣接して形成された排水口16a(
図2参照。)を通ってウエーハ生成装置2の外部へと排出される。そして、
図20に示すとおり、インゴット150から生成したウエーハ172が液槽体98の側壁102の下端よりも下方に突出するまで、エアシリンダ112のピストンロッド112bを下降させる。なお、
図20に示すとおり、ウエーハ172が剥離されたインゴット150の剥離面174は凹凸となっており、剥離面174の凹凸の高さは、たとえば100μm程度である。
【0039】
第一のインゴット150aについてウエーハ剥離工程を実施した後、第一のインゴット150aから生成したウエーハ172をウエーハ剥離手段10からウエーハ収容手段12に搬送して収容するウエーハ搬送工程をウエーハ搬送手段118で実施する。ウエーハ搬送工程では、ウエーハ搬送手段118の第一のモータ122で第一のアーム124を作動させると共に、第二のモータ126で第二のアーム128を作動させ、ウエーハ剥離手段10によって剥離され吸着片116で吸着されているウエーハ172の下方にウエーハ搬送手段118の吸着片130を位置づける。次いで、ウエーハ搬送手段118の昇降手段120を作動させ、ウエーハ搬送手段118の吸着片130の上面をウエーハ172の下面に密着させる。次いで、ウエーハ剥離手段10の吸着片116に接続された吸引手段の作動を停止させてウエーハ剥離手段10の吸着片116の吸引力を解除すると共に、ウエーハ搬送手段118の吸着片130に接続された吸引手段を作動させてウエーハ搬送手段118の吸着片130の上面に吸引力を生成し、ウエーハ搬送手段118の吸着片130の上面にウエーハ172の下面を吸着させる。これによって、ウエーハ剥離手段10からウエーハ搬送手段118にウエーハ172が受け渡される。次いで、ウエーハ搬送手段118の昇降手段120、第一のモータ122及び第二のモータ126で第一のアーム124及び第二のアーム128を作動させることにより、ウエーハ搬送手段118の吸着片130で吸着したウエーハ172をウエーハ剥離手段10からウエーハ収容手段12に搬送して収容することができる。
【0040】
第一のインゴット150aについてウエーハ剥離工程を実施し、第一のインゴット150aから生成したウエーハ172についてウエーハ搬送工程を実施し、第二のインゴット150bについて剥離層形成工程を実施し、かつ、第四のインゴット150dについてインゴット搬送工程及び保持工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させる。これによって
図21に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20をウエーハ剥離位置P4から待機位置P1に移動させ、第二のインゴット150bを吸着しているチャックテーブル20を剥離層形成位置P3からウエーハ剥離位置P4に移動させ、第三のインゴット150cを吸着しているチャックテーブル20を平坦化位置P2から剥離層形成位置P3に移動させ、かつ、第四のインゴット150dを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させる。そして、第二のインゴット150bについてはウエーハ剥離手段10でウエーハ剥離工程を実施し、第二のインゴット150bから生成したウエーハ172についてはウエーハ搬送手段118でウエーハ搬送工程を実施する。また、第三のインゴット150cについてはレーザー照射手段8で剥離層形成工程を実施する。一方、第四のインゴット150dについては、上述のとおりインゴット収容手段132から搬送されて最初に平坦化位置P2に位置づけられているので、平坦化工程を実施しなくてもよい。なお、待機位置P1に位置づけられた第一のインゴット150aは、次にターンテーブル18が回転されるまで待機位置P1で待機することとなる。
【0041】
第二のインゴット150bについてウエーハ剥離工程を実施し、第二のインゴット150bから生成したウエーハ172についてウエーハ搬送工程を実施し、かつ、第三のインゴット150cについて剥離層形成工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させる。これによって
図22に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させ、第二のインゴット150bを吸着しているチャックテーブル20をウエーハ剥離位置P4から待機位置P1に移動させ、第三のインゴット150cを吸着しているチャックテーブル20を剥離層形成位置P3からウエーハ剥離位置P4に移動させ、かつ、第四のインゴット150dを吸着しているチャックテーブル20を平坦化位置P2から剥離層形成位置P3に移動させる。そして、第一のインゴット150aについては、保持手段4に保持されたインゴット150の上面を研削して平坦化する平坦化工程を平坦化手段6で実施する。第三のインゴット150cについてはウエーハ剥離手段10でウエーハ剥離工程を実施し、第三のインゴット150cから生成したウエーハ172についてはウエーハ搬送手段118でウエーハ搬送工程を実施する。第四のインゴット150dについてはレーザー照射手段8で剥離層形成工程を実施する。なお、待機位置P1に位置づけられた第二のインゴット150bは、次にターンテーブル18が回転されるまで待機位置P1で待機することとなる。
【0042】
図3を参照して、平坦化手段6で実施する平坦化工程について説明する。平坦化工程では、まず、ウエーハ172が剥離されたインゴット150を保持しているチャックテーブル20を上方からみて反時計回りに所定の回転速度(たとえば300rpm)でチャックテーブル用モータで回転させる。また、上方からみて反時計回りに所定の回転速度(たとえば6000rpm)で平坦化手段6のスピンドル40をモータ36で回転させる。次いで、平坦化手段6のZ軸方向移動機構28でZ軸方向可動板26を下降させ、インゴット150の剥離面174に研削砥石48を接触させる。剥離面174に研削砥石48を接触させた後は所定の研削送り速度(たとえば1.0μm/s)でZ軸方向可動板26をZ軸方向移動機構28によって下降させる。これによって、ウエーハ172が剥離されたインゴット150の剥離面174を研削して、剥離層形成工程におけるパルスレーザー光線LBの入射を妨げない程度にインゴット150の剥離面174を平坦化することができる。なお、インゴット150の剥離面174を研削して平坦化する際にインゴット150の剥離面174に厚み測定器(図示していない。)を接触させ、厚み測定器で測定したインゴット150の厚みが所定量(たとえば、剥離面174の凹凸高さの分の100μm)減少したことを検出した際に、インゴット150の上面が平坦化したことを検出することができる。また、平坦化工程では、インゴット150の剥離面174を研削している際に、研削水供給手段(図示していない。)から研削領域に研削水が供給されるところ、研削領域に供給された研削水は基台14のターンテーブル収容部16において平坦化手段6に隣接して形成された排水口16b(
図2参照。)を通ってウエーハ生成装置2の外部へと排出される。
【0043】
第一のインゴット150aについて平坦化工程を実施し、第三のインゴット150cについてウエーハ剥離工程を実施し、第三のインゴット150cから生成したウエーハ172についてウエーハ搬送工程を実施し、かつ、第四のインゴット150dについて剥離層形成工程を実施した後、上方からみて時計回りに90度だけターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させる。これによって
図23に示すとおり、第一のインゴット150aを吸着しているチャックテーブル20を平坦化位置P2から剥離層形成位置P3に移動させ、第二のインゴット150bを吸着しているチャックテーブル20を待機位置P1から平坦化位置P2に移動させ、第三のインゴット150cを吸着しているチャックテーブル20をウエーハ剥離位置P4から待機位置P1に移動させ、かつ、第四のインゴット150dを吸着しているチャックテーブル20を剥離層形成位置P3からウエーハ剥離位置P4に移動させる。この際は、
図4に示すとおり、洗浄手段50を作動させ、第一の洗浄部54の各噴射孔から下方に向かって平坦化手段6側に傾斜して洗浄水55を噴射して第一のインゴット150aから研削屑を除去すると共に、第二の洗浄部56の各噴射孔から下方に向かって圧空57を噴射して第一のインゴット150aから洗浄水55を除去することにより、平坦化手段6によって平坦化された第一のインゴット150aを洗浄すると共に乾燥させる。そして、第一のインゴット150aについてはレーザー照射手段8で剥離層形成工程を実施する。第二のインゴット150bについては平坦化手段6で平坦化工程を実施する。第四のインゴット150dについてはウエーハ剥離手段10でウエーハ剥離工程を実施し、第四のインゴット150dから生成したウエーハ172についてはウエーハ搬送手段118でウエーハ搬送工程を実施する。なお、待機位置P1に位置づけられた第三のインゴット150cは、次にターンテーブル18が回転されるまで待機位置P1で待機することとなる。
【0044】
そして、上方からみて時計回りに90度ずつターンテーブル18をターンテーブル用モータで回転させることにより各チャックテーブル20を待機位置P1、平坦化位置P2、剥離層形成位置P3及びウエーハ剥離位置P4に順に位置づけ、各チャックテーブル20に保持された各インゴット150に対して平坦化工程、剥離層形成工程、ウエーハ剥離工程を繰り返し実施すると共に、ウエーハ剥離手段10によって剥離された各ウエーハ172についてウエーハ搬送工程を実施することにより、各インゴット150から生成可能な数量のウエーハ172を生成し、生成したウエーハ172をウエーハ収容手段12に収容する。
【0045】
図示の実施形態では、各インゴット150から生成可能な数量のウエーハ172を生成した後、インゴット150の素材が僅かに残留しているサブストレート164をインゴット搬送手段134で基台14の上面端部に配置された適宜の回収容器176(
図1及び
図2参照。)に搬送して回収するサブストレート回収工程を実施することができる。サブストレート回収工程では、まず、インゴット搬送手段134のアーム移動機構140でアーム138をY軸方向に移動させ、待機位置P1に位置づけられたサブストレート164の上方に吸着片146を位置づける。次いで、インゴット搬送手段134のエアシリンダ144で吸着片146を下降させ、サブストレート164の上面に吸着片146の下面を密着させる。次いで、吸着片146に接続された吸引手段を作動させて吸着片146の下面に吸引力を生成することにより、サブストレート164の上面に吸着片146の下面を吸着させる。次いで、サブストレート164を吸着した吸着片146をエアシリンダ144で上昇させる。次いで、アーム移動機構140でアーム138をY軸方向に移動させ、回収容器176の上方に吸着片146を位置づける。次いで、吸着片146に接続された吸引手段の作動を停止させ、吸着片146の吸引力を解除してサブストレート164を回収容器176に収容する。そして、ターンテーブル用モータでターンテーブルを回転させて順次待機位置P1に位置づけられたサブストレート164についてサブストレート回収工程を実施することにより、すべてのサブストレート164を回収容器176に搬送して回収することができる。
【0046】
以上のとおり図示の実施形態では、インゴット150を保持する保持手段4と、保持手段4に保持されたインゴット150の上面を研削して平坦化する平坦化手段6と、保持手段4に保持されたインゴット150の上面から生成すべきウエーハ172の厚みに相当する深さにインゴット150に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線LBの集光点FPを位置づけてパルスレーザー光線LBをインゴット150に照射し剥離層170を形成するレーザー照射手段8と、インゴット150の上面を保持し剥離層170からウエーハ172を剥離するウエーハ剥離手段10と、剥離されたウエーハ172を収容するウエーハ収容手段12と、から少なくとも構成されているので、剥離層形成工程、ウエーハ剥離工程、ウエーハ搬送工程及び平坦化工程を順次実施することにより、インゴット150からウエーハ172を自動的に生成してウエーハ収容手段12に収容することができ、したがって生産効率が向上する。
【0047】
図示の実施形態では、インゴット150を収容するインゴット収容手段132と、インゴット収容手段132からインゴット150を保持手段4に搬送するインゴット搬送手段134とを含むので、インゴット収容手段132にインゴット150を収容してウエーハ生成装置2を稼働させることにより、インゴット収容手段132からインゴット150を保持手段4に搬送するインゴット搬送工程についても自動化することができる。
【0048】
また、図示の実施形態では、平坦化手段6によって平坦化されたインゴット150を洗浄する洗浄手段50を含むので、平坦化工程においてインゴット150の剥離面174を研削している際に洗浄手段50を作動させることにより、平坦化工程で発生する研削屑や研削領域に供給される研削水のレーザー照射手段8への飛散を防止することができると共に、平坦化工程を実施した後にターンテーブル18を回転させる際には洗浄手段50によって平坦化工程が実施されたインゴット150を洗浄することができる。
【0049】
さらに、図示の実施形態では、保持手段4を構成する4個のチャックテーブル20のそれぞれはターンテーブル18に配設されており、4個のチャックテーブル20はターンテーブル18の回転によって少なくとも平坦化手段6、レーザー照射手段8、ウエーハ剥離手段10、のそれぞれの下方に位置づけられるので、複数のインゴットについて同時に異なる工程(少なくとも平坦化工程、剥離層形成工程、ウエーハ剥離工程)を実施することができるので、効率的に複数の工程を実施することができる。
【0050】
なお、図示の実施形態では、剥離層形成工程においてオフ角αが形成される方向Aと直交する方向にインゴット2に対して集光点FPを相対的に移動させ、かつインデックス送りにおいてオフ角αが形成される方向Aにインゴット2に対して集光点FPを相対的に移動させる例を説明したが、インゴット2に対する集光点FPの相対的な移動方向はオフ角αが形成される方向Aと直交する方向でなくてもよく、また、インデックス送りにおけるインゴット2に対する集光点FPの相対的な移動方向はオフ角αが形成される方向Aでなくてもよい。また、ウエーハ剥離手段10によってインゴット150から剥離されたウエーハ172の剥離面を研削するウエーハ研削手段を設けてもよい。