(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、小児などの微量検体の対応、患者への負担軽減、環境配慮からの廃液量抑制、あるいは試薬コスト削減などを目的として分析項目あたりの反応液量を低減することが重視されている。分析においては、検体/試薬の比率の確保が必要となるため、検体における分注量の微量化が進められている。
【0009】
また、分注配管の圧力伝達媒体であるシステム水の体積変化は、シリンジをはじめとする各部位の装置内部温度のばらつき、システム水の供給温度を発端とする流体温度、および周囲温度に起因する配管温度差によって生じる。よって、配管内の体積変化は、分注動作時のシステム水の配管内移動量に伴い変化する。
【0010】
分注動作時のシステム水の移動量において、検体の吸引吐出動作に対し、洗浄動作は、数十倍以上の移動量となり、分注動作時に洗浄が含まれた場合と含まれない場合とでは体積変化量が大きく異なる。
【0011】
また、洗浄動作の有無での体積変化は、洗浄時間を分注量に関わらず一定として考えた場合、体積変化量も一定となるため、分注量が影響を受ける割合は、分注量の微量化に伴い大きくなる。
【0012】
現実的に、プロ−ブの汚れ範囲は、実分注量に対してダミ−量を吸引して吐出する場合を考えると洗浄時間は、体積比率にて減らすことが困難であり、洗浄動作の分注正確性影響は、分注量の微量化に伴う課題となる。
【0013】
また、こうした流路中のシステム水の体積変化を抑えるために流路中全体の温度制御を実施する技術がある。しかしながら、自動分析装置内には熱的変動要因が多く、全体流路の制御は難しい。
【0014】
さらに、シリンジ機構とノズル駆動機構とをできるだけ近づける構成にすることによって、影響配管長を短くすることも効果がある。しかし、この場合、シリンジ機構は、駆動シ−ル部の交換メンテナンスや動作の状態を視認する必要があるために、装置上では、アクセス性のよい場所に配置が制限される。
【0015】
よって、ノズル駆動機構も他の装置レイアウトの制約を含めると2つの機構を近接した配置構成を実現しにくいケ−スが多くなる。また、系全体の温度制御を考えた場合には、シリンジ機構自体が駆動部を持つため熱影響を及ぼすポテンシャルもある。
【0016】
本発明の目的は、温度変化に伴う検体または試薬などの分注精度の低下を抑えることのできる技術を提供することにある。
【0017】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0019】
すなわち、代表的な自動分析装置は、分注ノズル、シリンジポンプ、第1の配管、第1の電磁弁、第2の配管、分岐管、第3の配管、および筐体を有する。分注ノズルは、サンプルを保持するサンプル容器からサンプルを吸引および反応容器にサンプルを吐出する。
【0020】
シリンジポンプは、流体の体積変化量を制御する。第1の配管は、分注ノズルとシリンジポンプとを接続する。第1の電磁弁は、流体を流したり、止めたりする。第2の配管は、第1の電磁弁とシリンジポンプとを接続する。
【0021】
分岐管は、流体を分岐させる。第3の配管は、第1の電磁弁と分岐管とを接続する。筐体は、少なくともシリンジポンプ、第1の配管、第1の電磁弁、第2の配管、分岐管、および第3の配管を収納する。
【0022】
また、第3配管は、流体の熱交換を行う熱交換部を有する。
【0023】
特に、記第3の配管および熱交換部にそれぞれ保持される流体の量は、電磁弁を開いて分注ノズルを洗浄する際に電磁弁を通過する流体の量よりも多い。
【0024】
また、熱交換部は、筐体の内部温度と熱交換部内の流体の温度との差をなくす熱交換能力を有する。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0026】
精度の高い検体成分の分析を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
以下、実施の形態を詳細に説明する。
〈自動分析装置の構成例〉
【0029】
図1は、本実施の形態による自動分析装置1における構成の一例を示す上面図である。
【0030】
自動分析装置1は、
図1に示すように、試薬ディスク63、搬送機構65、反応ディスク61、サンプル分注機構12、第1試薬分注機構66、第2試薬分注機構67、反応容器洗浄機構11、分光光度計10、装置制御部20、電源ユニット45、給水タンク36、後述する分注部、およびファン46を有している。なお、装置制御部20、電源ユニット45、給水タンク36、分注部、およびファン46については、後述する
図2に示している。
【0031】
試薬ディスク63、反応ディスク61、サンプル分注機構12、第1試薬分注機構66、第2試薬分注機構67、反応容器洗浄機構11、および分光光度計10は、例えば直方体の形状からなる筐体40の上面に設けられている。また、搬送機構65は、筐体40の背面側に設けられている。
【0032】
搬送機構65は、サンプルである試料を保持するサンプル容器64を搬送する。試薬ディスク63は、試薬を保持する試薬ボトル62を搭載する。反応ディスク61は、試料と試薬とが反応する反応容器60を環状に配列する。
【0033】
サンプル分注機構12は、サンプル容器64から吸引した試料を反応容器60に分注する。第1試薬分注機構66および第2試薬分注機構67は、試薬ディスク63内の試薬ボトル62から吸引した試薬を反応容器60に分注する。反応容器洗浄機構11は、反応容器60を洗浄する。分光光度計10は、反応ディスク61の外周付近に設置され、反応液の吸光度を測定する。電源部となる電源ユニット45は、自動分析装置1における動作電源を生成する。
〈筐体内部の構成例〉
【0034】
続いて、筐体40の内部における構成について説明する。
【0035】
図2は、
図1の自動分析装置1が有する筐体40内部における主要構成の一例を示す説明図である。この
図2では、筐体40の正面図を示している。
【0036】
筐体40内には、分注部、装置制御部20、電源ユニット45、およびファン46が設けられている。分注部は、高圧ポンプ17、分岐管30、電磁弁18、第3の配管33、熱交換部41、シリンジポンプ16、第2の配管32、第1の配管31、循環ポンプ50、電磁弁51、および配管52〜55を有する。
【0037】
また、筐体40の外部には、給水タンク36が設けられている。この給水タンク36は、流体であるイオン交換水などの圧力伝達媒体用の水が貯蔵されている。給水タンク36は、例えば自動分析装置1が設置される室内などに設けられる。あるいは、屋外に設けるようにしてもよい。
【0038】
装置制御部20は、自動分析装置1全体の動作を制御するとともに、外部とのデータの交換を行う。循環ポンプ50は、給水タンク36に配管53を通じて接続されており、圧力伝達媒体用の水を循環させる。
【0039】
循環ポンプ50の一方の出力部には、第2の電磁弁である電磁弁51が接続されている。この電磁弁51は、装置制御部20によってオン/オフが制御され、洗浄槽35に対して給水タンク36の水を流したり、止めたりする。循環ポンプ50の一方の出力部、電磁弁51、および洗浄槽35は、配管52を通じて接続されている。
【0040】
高圧ポンプ17は、循環ポンプ50と配管54を通じて接続されており、循環ポンプ50から吐出された圧力伝達媒体用の水を加圧する。分岐管30は、1つの入り口と複数の出口とを有する分岐管であり、該分岐管30の入り口には、配管55を通じて高圧ポンプ17が接続されている。
【0041】
分岐管30の複数の出口のうち、ある1つの出口は、第3の配管33を通じて電磁弁18が接続されている。分岐管30の他の出口は、第1試薬分注機構66および第2試薬分注機構67など別の系に図示しない配管を通じて接続されている。
【0042】
また、第1の電磁弁となる電磁弁18には、第2の配管32を通じてシリンジポンプ16に接続されている。電磁弁18は、装置制御部20によってオン/オフが制御され、分岐管30からの圧力伝達媒体用の水を流したり、止めたりする。
【0043】
シリンジポンプ16は、装置制御部20の制御に基づいて、圧力伝達媒体用の水の規定量の吸引吐出を行う。シリンジポンプ16は、第1の配管31を通じて分注ノズル13に接続されている。
【0044】
サンプル分注機構12にて移動される分注ノズル13の可動範囲には、反応容器60を搭載した反応ディスク61、ノズル洗浄用の洗浄槽35、および
図1に示す搬送機構65上のサンプル容器64などが含まれる。
【0045】
また、
図2に示すように、筐体40の右側面においては、ファン46が設けられている。このファン46は、筐体40内部に空気を取り入れる、あるいは筐体40内部の空気を排出することにより、筐体40内の温度を均一化させる。
【0046】
筐体40内部において、
図2に示すように、左下方には、装置制御部20が設けられており、該装置制御部20の右側には、電源ユニット45が設けられている。
【0047】
ここで、分岐管30の出口と電磁弁18とを接続する第3の配管33は、その一部が熱交換部41を形成する。この熱交換部41は、例えば第3の配管33を延長させて、延長させた配管を複数巻きにした旋回部によって形成されている。
【0048】
熱交換部41は、筐体40内の上方に設けられる。より望ましくは、
図2に示すように、装置制御部20あるいは電源ユニット45の少なくともいずれか一方の直上に設ける。なお、巻き回数については、複数回に限定されるものではなく、1回であってもよい。
【0049】
また、第3の配管33の内部容量、特に熱交換部41以降の内部容量は、電磁弁18を開いている、すなわちオンしている時間に該電磁弁18を流れる水の量より大きくなるように設定されている。
【0050】
さらに、熱交換部41を含めた第3の配管33の長さは、第2の配管32と第1の配管31との長さの和よりも長くなるように形成されている。言い換えれば、熱交換部41を含めた第3の配管33は、周囲空気との熱交換効率が高いように配管の表面積が大きくなる形状となっている。
【0051】
〈熱交換部の形状および固定について〉
【0052】
続いて、第3の配管33における熱交換部41の固定技術について説明する。
【0053】
図3は、
図2の自動分析装置1が有する第3の配管の構成の一例を示す説明図である。
【0054】
この
図3では、熱交換部41の固定技術を分かりやすくするために、筐体40および熱交換部41に着目した図を示しており、その他の構成については、省略している。
【0055】
上述したように、熱交換部41は、第3の配管33を延長させて、延長させた配管を複数巻きにした旋回部によって形成されており、該熱交換部41は、熱交換部収納部42に収納されている。熱交換部収納部42は、図示するように、深さの浅いトレイ状からなる。なお、
図3では、熱交換部41が配管を複数回巻きにした旋回部によって構成される例について示したが、配管を旋回させる際の形状については、これに限定されるものではない。
【0056】
熱交換部収納部42には、熱交換部41、すなわち熱交換部を形成する旋回部の配管を固定する複数のクリップ42aが設けられており、該クリップ42aによって熱交換部41を固定している。
【0057】
筐体40の前面は、
図3に示すように、左側から右側にかけて、例えば3つの扉40a〜40cによって構成されている。熱交換部収納部42は、筐体40正面の左側の上部に位置するように取り付けられている。
【0058】
トレイ状からなる熱交換部収納部42の開口面は、筐体40の扉40aに向けられて取り付けられており、該開口部は、扉40aが閉じられる状態において、該扉40aの背面によって塞がれる。これによって、熱交換部41は、熱交換部収納部42に密閉された状態となる。
【0059】
このように、熱交換部41が熱交換部収納部42に収納されることにより、
図2のファン46などによる送風あるいは排気風が熱交換部41に直接当たることを防止することができる。その結果、熱交換部41が極度に暖められたり、冷やされたりすることを抑制するができる。
【0060】
また、筐体40内部において、熱交換部41の下方には、発熱部である装置制御部20および電源ユニット45が設けられている。これらは、
図3の点線にて示している。これら発熱体からの上昇気流によって熱交換の効率を向上させることができる。
【0061】
さらに、発熱部の上方に熱交換部41を設けたことにより、自動分析装置1が起動された際において、筐体40内部が冷えた状態であっても、温度上昇が早く、正確な分注を実現する効果を最初から発揮することができる。
【0062】
ここで、自動分析装置においては、筐体40内に図示しないコンプレッサを有するものがある。このコンプレッサは、自動分析装置1が有する図示しない試薬保管庫を冷却する冷却装置が有する。
【0063】
コンプレッサは、発熱量が非常に多い。そのため、熱交換部41は、コンプレッサからできる限り離れた位置に設置されることが望ましく、特にコンプレッサとは対極となる位置に設けることが望ましい。よって、
図3の場合であれば、例えばコンプレッサは、筐体40の扉40c側に設けられているとよい。
【0064】
なお、熱交換部収納部42の形状については、特に制限はなく、例えば中空の直方体の形状などの熱交換部41を収納して直接ファン46の風が当たらないようにすることができる形状であればよい。
〈分注動作例および熱交換部の作用〉
【0065】
続いて、自動分析装置1における検体の分注動作および熱交換部41の作用について、
図1および
図2を用いて説明する。なお、自動分析装置1における分注動作は、主に装置制御部20の制御に基づいて行われる。
【0066】
分注は、分注系の流路内が圧力伝達媒体用の水で満たされた状態により行われる。まず、分注ノズル13の先端が空中にある状態にてシリンジポンプ16を吸引し、分注ノズル13の内部に微量の空気を入れる。そして、サンプル容器64に分注ノズル13を挿入して、分注量よりも多い量の吸引動作を行う。
【0067】
続いて、洗浄槽35に分注ノズル13を移動させ、シリンジポンプ16を微量吐出動作させるとともに、洗浄槽35にて外洗水を分注ノズル13の外側に吹きかける。その後、分注ノズル13を反応ディスク61上の1つの反応容器60に挿入して、分注量に相当する分だけシリンジポンプ16を吐出動作させる。
【0068】
次の分析が同じ検体で行われる場合は、分注ノズル13を同じサンプル容器64に挿入して、分注量よりも多い量の吸引動作を行う。そして、洗浄槽35に分注ノズル13を移動し、シリンジポンプ16を微量吐出動作させるとともに、洗浄槽35にて外洗水を分注ノズル13の外側に吹きかける。
【0069】
続いて、分注ノズル13を反応ディスク61が回転することにより動いた、前回とは別の反応容器60に挿入して、分注量に相当する分だけシリンジポンプ16を吐出動作させる。
【0070】
次の分析が異なる検体で行われる場合は、搬送機構65を駆動させて別のサンプル容器64を分注ノズル13の吸引位置に移動する。分注ノズル13は、洗浄槽35に移動して、外洗水をノズル外側に吹きかけると共に、電磁弁18を開いて加圧した水が流路内を通って分注ノズル13から吐出されるようにする。
【0071】
その後、分注ノズル13の先端が空中にある状態にてシリンジポンプ16を吸引して、分注ノズル13の内部に微量の空気を入れて分注動作を開始する。
【0072】
上述したように、熱交換部41を含めた第3の配管33の内部容量の内部容量は、電磁弁18がオンしている時間に該電磁弁18を流れる水の量より大きくなるように設定されている。また、熱交換部41を含めた第3の配管33の長さは、第2の配管32と第1の配管31との長さの和よりも長い。
【0073】
これらにより、熱交換部41を含めた第3の配管33は、間隔の間に熱交換部41内部の水温が周囲空気の温度とほぼ一致させる能力を有する。その結果、給水タンク36から供給される水の温度と筐体40内部の温度が異なっていても、精度のよい分注を行うことができる。
【0074】
すなわち、給水タンク36内の水温が低い場合に、電磁弁18を開いて第2の配管32および第1の配管31に水が流入すると、筐体40内部の温度が水温より高い場合には、第2の配管32および第1の配管31内にて水温が上昇して、水の体積の膨張が起こる。
【0075】
分注ノズル13がサンプル容器64から吸引したサンプルを反応容器60に吐出するまでの間に、第2の配管32および第1の配管31の内部の水が膨張すると、分注ノズル13に吸引したサンプルの一部が分注ノズル13の先端からはみ出してしまい、反応容器60に吐出する量が期待している分注量より大きくなってしまう。
【0076】
一方、
図2に示す自動分析装置1では、熱交換部41によってほぼ筐体40内部の温度とほぼ一致する温度に温められた水が電磁弁18を通して第2の配管32および第1の配管31に入ることになる。よって、第2の配管32および第1の配管31の配管内における水の膨張が起こらない。
【0077】
そのため、供給される水の温度に影響されずに、精度の高い分注を行うことが可能となる。その結果、評価対象の成分の濃度を精度よく分析することができる。
【0078】
特に、同一検体にて複数項目の分析を行う場合は、最初の項目のための分注と2つめ以降の項目のための分注とに時間差が生じてしまう。それにより、配管内での水の膨張速度が変化することにより、最初の項目の分析精度が低下するという問題が発生することがある。
【0079】
しかしながら、上述したように
図2に示す自動分析装置1では、熱交換部41によって筐体40内部の温度とほぼ一致する温度に水を温めることが可能となるので、水の膨張が起こらず、最初の項目でも高精度の分析を行うことができる。
【0080】
また、
図2の自動分析装置1は、熱交換部41の長さを長く取っているために、電磁弁18を開いている間に流入する水の量よりも多い量を熱交換部41内にて熱交換しておくことができる。
【0081】
これによって、第2の配管32および第1の配管31に入る水は、ほぼ全量が筐体40内部の温度とほぼ同一になっているので、配管内での水の膨張が発生せずに高い精度での分析を行うことができる。
【0082】
図4は、
図2の自動分析装置1が有する熱交換部41の長さとその効果を測定した実験データの一例を示す説明図である。
【0083】
図4において、横軸は、熱交換部41の長さであり、電磁弁18を開いている間に流入する水の量と一致する容量となる長さを単位としている。縦軸は、最初の項目の分注で発生する分注量のかい離である。
【0084】
図4から、熱交換部41の長さが、電磁弁18を開いている間に流入する量に対して1倍以上なら分注量かい離が小さくなることが分かる。
【0085】
また、上述したように、第2の配管32と第1の配管31の長さの和は、第3の配管33の長さより短く設定されている。よって、第2の配管32と第1の配管31の中にある水の体積は第3の配管33よりも小さいため、温度変化で水の体積変化が生じてもその影響が小さく、高精度の分析が可能である。
【0086】
また、
図2の自動分析装置1は、上述したように熱交換部41を筐体40内の上部に設けられた熱交換部収納部42に収納されている。そのため、筐体40内部にて温度分布が生じた場合であっても、比較的温度の高い位置に設けられているので、効率よく熱交換を行うことができる。
【0087】
それにより、電磁弁18を通過する水の温度を迅速に筐体40内部の温度に近づけることができるので、高精度に分析を行うことができる。
【0088】
また、熱交換部41は、分岐管30に接続された第3の配管33を有することにより、試薬分注など他の機構の動作が並列して行われていても熱交換部41内部の水には影響がない。
【0089】
そのため、電磁弁18に温度コントロールされた水を効率よく供給することができるとともに、無駄に熱交換部41の容量を大きくする必要がなく、小さいスペースに熱交換部41を設置することができる。それに加えて、機構ごとに高圧ポンプ17を個別に設ける必要がない。
【0090】
また、熱交換部41は、第3の配管33を丸めた単純な構造からなるので、特別な温度制御機構などが不要となる。それにより、部品数が少なく低コストで信頼性の高い自動分析装置1を提供することができる。
【0091】
ここで、自動分析装置1では、サンプル容器64から吸引したサンプルを反応容器60に吐出する前に洗浄槽35にて分注ノズル13の外側に洗浄水を吹きかける。そのため、配管内の水の膨張が起こっていても分注ノズル13から飛び出したサンプルは、洗浄水で取り除かれるために分注量のかい離につながらない。
【0092】
影響を受けるのは、洗浄槽35から反応容器60に分注ノズル13を移動する限られた時間だけになるので、かい離の小さい分注が可能であり、精度の高い分析を実現することができる。
【0093】
また、自動分析装置1では、給水タンク36から供給される水の温度が筐体40内部の温度よりも高い場合であっても対応することができる。例えば給水タンクが屋外などに設置されている場合、外気温が高い夏場などでは、給水タンク36内の水温が上昇する。
【0094】
そのような場合には、配管内にて水の収縮が発生して、分注ノズル13がサンプルを吸引してから吐出するまでの間に、分注ノズル13の先端のサンプルが奥に引き込まれる。
【0095】
しかし、
図2に示す自動分析装置1では、反応容器60への吐出前に洗浄槽35にて微量吐出を行いながら外洗水を吹きかける。この動作は、例えば装置制御部20が循環ポンプ50および電磁弁51の動作を制御することによって行われる。
【0096】
具体的には、循環ポンプ50を動作させることによって給水タンク36の水を吸引するとともに、電磁弁51をオンさせることによって外洗水となる水を吹きかける。これにより、引き込まれた水分が押し出された状態で飛び出た水分が取り除かれる。したがって、それまでの収縮分が分注量のかい離につながらない。
【0097】
影響を受けるのは、洗浄槽35から反応容器60に分注ノズル13を移動する限られた時間だけになるので、給水温度が高い場合でもかい離の小さい分注を可能とすることができる。
【0098】
以上により、精度の高い分析を行うことのできる自動分析装置1を実現することができる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0100】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0101】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。