(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記局所圧縮は、前記エネルギー照射量分布の関数として前記メリット関数内で示され、前記制御ユニットは、該メリット関数を用いた最適化の目的で該エネルギー照射量分布を変化させるように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
前記局所圧縮は、前記エネルギー照射量分布が基底系として少なくとも2つの異なるべき(power)において機能する、べき級数展開を用いて前記メリット関数内で示される、
ことを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
前記光学要素の前記面にわたって局所分解方式で前記圧縮を示し、多項式基底を用いて表される圧縮分布に基づいて、該光学要素の該面の形状の得られる変化を確定し、かつ
形状の前記得られる変化から前記変換項として線形演算子を確定する、
ことによって前記変換項を決定するように構成された決定ユニットを更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項8に記載のデバイス。
前記光学要素の前記面にわたって局所分解方式で前記圧縮を表す圧縮分布が、多項式基底を用いて表され、前記変換項は、該多項式基底を用いて表された該圧縮分布に基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電子照射を用いて光学要素の面形状を変化させるためのデバイス及び方法に関する。更に、本発明は、各場合に上述の方法を用いて生成された光学要素を含むマイクロリソグラフィのための投影レンズ及び同じくマイクロリソグラフィのための基板を検査するための検査ユニット、例えばレチクル検査ユニット又はウェーハ検査ユニットに関する。
【0003】
従来技術から、アモルファス材料の場合には電子による照射の結果として材料高密度化が発生する可能性があることが既知である。この点に関して、面の近傍における電子結合を電子ビームのエネルギー注入の結果として再分配し、その結果、材料の圧縮(compaction)を起こす方法が存在する。この効果は、光学要素を処理するために用いることができる。
【0004】
例としてWO 2011/020 655 A1は、ミラーのための基板又は既に反射コーティングが設けられている基板の全面の電子を用いた照射による均質な圧縮を示している。面の近傍における均質な高密度化は、光学面形状の顕著な変化なしに面の均一な凹み(recess)を引き起こす。この措置は、例えばEUV放射線(極紫外波長範囲内の放射線)を用いるマイクロリソグラフィのための投影レンズ内での使用中の高エネルギー放射線によるミラーの部分領域内の更なる圧縮を阻止することを可能にする。
【0005】
DE 10 2012 212 199 A1は、ガラス又はセラミックで構成されたマイクロ又はナノ構造化構成要素の電子照射による面構造化を開示している。この目的を達成するために、生成すべき最小構造の領域内の直径を有する電子ビームは、局所高密度化を達成し、それによって所望の面構造化に対応する面の局所くぼみ(depression)を達成するために面の選択部分領域上に向けることができる。更に、マイクロリソグラフィのための投影露光装置の光学要素の電子ビームを用いた処理の説明が提示されている。適切に実施された高密度化及びそれに伴う光学要素の光学面の形状変化によって、老化効果によって引き起こされる投影露光装置の結像収差を補償することができる。
【0006】
電子照射を制御するために、照射によって光学要素内に導入されることになり、それによって引き起こされる材料高密度化に起因して光学要素の面形状の所望の補正を引き起こすのに適するエネルギー照射量分布(energy dose distribution)を最初に決定するのが従来の慣例である。従来技術によると、エネルギー照射量分布は、面形状の変化に対する入射エネルギー照射量分布の効果のシミュレーションによって決定される。このシミュレーションは、電子照射によって引き起こされる局所圧縮と、それによって引き起こされる光学要素の面凹みとの間の線形関係の仮定に基づくものである。
【0007】
電子照射による光学要素の面の処理中の1つの問題は、実際に達成される面形状補正が所望の形状補正から外れることであり、この外れは、例えば、導入される材料応力に起因する光学要素の変形によって引き起こされる。この外れは、特に、EUVリソグラフィのための投影露光装置のミラー要素の補正中の狭い許容誤差事前定義に起因して問題を起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を解決し、特に、電子照射を用いて光学要素の事前定義された所望の面形状変化を高精度で実現することができるデバイス及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、本発明により、例えば、電子照射を用いて光学要素の面形状を変化させるためのデバイスによって達成することができ、デバイスは、光学要素内に局所的な材料高密度化を生成する目的で、電子を面上に局所分解式エネルギー照射量分布を用いて放射するように構成された電子照射ユニットと、電子照射ユニットを制御するために光学要素の面形状の事前定義の所望の変化から局所分解式エネルギー照射量分布に関する事前定義をメリット関数が最小値を有する時の変数又は引数(argument)を求める段階を含むメリット関数の最小化を用いた最適化によって決定するように構成された制御ユニットとを含む。この場合に、局所分解式エネルギー照射量分布に関する事前定義は、光学要素の面形状の所望の変化と、決定された事前定義に起因してもたらされる実変化との間の差が最小化されるように決定される。メリット関数は、面の面積要素(area element)の領域内の材料高密度化を示す局所圧縮を得られる光学要素の面の形状変化へと変換するための変換項を含む。この場合に、変換項は、面積要素の領域内の局所圧縮によって引き起こされる面くぼみと、局所圧縮によって面に対して平行に作用する力に起因してもたらされる面積要素の面積の複数倍の(multiple of)面積を有する面の少なくとも1つのセクションの変形との両方を考慮するように構成される。
【0011】
本発明は、光学要素の材料内における局所圧縮の場合に、局所面くぼみに加えて、光学要素の本体内に局所圧縮領域を大幅に越える面の変形を招く恐れがある応力も誘導されるという洞察に基づいている。面に対して平行に作用する力に起因してもたらされる光学要素の変形を考慮する最適化計算を用いた局所分解式エネルギー照射量分布に関する本発明による事前定義の決定は、大幅に改善された精度を伴う光学要素の面形状の事前定義の所望の変化を実現することを可能にする。
【0012】
言い換えれば、局所分解式エネルギー照射量分布の決定は、最適化問題を解くことによって実施される。この場合に、局所分解エネルギー照射量に依存する面変化は、事前定義の所望の変化に対して計算されてそれに適応される。最適化は、所望の変化を入力として用いてこの所望の変化を達成するのに最適な局所分解式エネルギー照射量分布を結果として出力する。この場合に、ターゲット関数とも呼ぶメリット関数の値は、その変数又は引数を変化させることによって最大化される。
【0013】
エネルギー照射量は、電子照射を用いて光学要素内に導入される単位面積当たりのエネルギーを意味すると理解すべきである。エネルギー照射量に適する単位は、例えばJ/mm
2である。上述の局所分解式エネルギー照射量分布は、光学要素の面の面座標x,yの関数としての単位面積当たりの導入エネルギーの分布e(x,y)を意味すると理解すべきである。
【0014】
面積要素は、例えば、電子照射ユニットによる照射中に均一なエネルギー照射量が入射する光学要素の面の面積セクションとすることができる。この点に関して、面積要素は、例えば、電子照射ユニットによって面上に放射される電子ビームの断面の広がりを有することができる。
【0015】
上述したように、変換項は、局所圧縮によって引き起こされ、直接圧縮領域内で発生する光学要素の面のくぼみだけではなく、直接くぼみによる影響を受ける領域と比較して複数倍大きい(larger by a multiple)面の少なくとも1つのセクションの変形、特に光学要素の面全域の変形も考慮する。この変形は、電子照射によって始まる圧縮が全ての空間方向の材料高密度化を示すことに起因する。面に対して平行に延びる方向の材料高密度化は光学要素内に応力(stress)を発生させ、この応力は、続いて上述の変形を引き起こす。
【0016】
変換項は、特に、以下で圧縮感度演算子とも呼ぶ線形演算子Aとすることができる。この場合に、得られる面全域の形状変化h(x,y)と局所分解圧縮g(x,y)との間に次式の線形関係が仮定される。
【数1】
【0017】
この関係と面形状の所望の変化bとを用いて、例えば次式の表現をメリット関数として用いることができる。
【数2】
【0018】
続いて最適化問題が例えば次式として生じる。
【数3】
【0019】
制御ユニットによって決定されるエネルギー照射量分布の事前定義e(x,y)に基づいて、例えば、電子照射ユニットを用いて光学要素の面上の個々の面場所に向けて放射される電子ビームのそれぞれの滞留時間を決定することができる。これに代えて、面の個々の場所に対する強度制御電子ビームの強度を決定することもできる。強度は、単位時間当たりに面積要素上に入射する電子の個数を表す。
【0020】
本発明による一実施形態によると、局所圧縮は、メリット関数内でエネルギー照射量分布の関数として表され、制御ユニットは、メリット関数の最適化の目的でエネルギー照射量分布を変化させるように構成される。その結果、この場合に、エネルギー照射量分布は、最適化が基づくメリット関数の変数である。この場合に、一例示的実施形態によると、圧縮g(x,y)は、メリット関数内で次式のようにエネルギー照射量分布e(x,y)の関数として示される。
【数4】
【0021】
この場合に、パラメータc
cp及びαは、電子エネルギー、光学要素の層の組成、及び層厚に依存する定数である。圧縮g(x,y)とエネルギー照射量分布e(x,y)の間のこの関係は、簡単な方式で計算的に実施することができる。
【0022】
本発明による更に別の実施形態によると、局所圧縮は、エネルギー照射量分布が少なくとも2つの異なるべき(power)において基底系(basis system)として機能する、べき級数展開を用いてメリット関数内で示される。局所圧縮g(x,y)は、エネルギー照射量分布e(x,y)の関数として展開係数a
iを用いて次式のように表すこともできる。
【数5】
【0023】
特に、1つの好ましい実施形態では、局所圧縮g(x,y)は次式のように表される。
【数6】
式中のeはエネルギー照射量分布であり、a
1及びa
2は、べき乗級数展開の展開係数である。べき乗級数展開又は多項式の使用は、用いられるべき数の個数に依存してエネルギー照射量分布e(x,y)による局所圧縮g(x,y)の表現の所要の精度を得ることを可能にする。
【0024】
本発明による一実施形態では、制御ユニットは、メリット関数の値の最適化の目的で局所圧縮を変化させるように構成される。従って、局所圧縮は、最適化が基づくメリット関数の変数である。この場合に、局所圧縮は、例えば上述の局所分解圧縮g(x,y)の形式で表すことができる。
【0025】
本発明による一実施形態によると、変換項は積分演算子である。得られる形状変化h(x,y)と局所分解圧縮g(x,y)の間に上記で既に説明した線形関係Ag=hを仮定することができる。従って、この例示的実施形態では次式が成り立つ。
【数7】
式中のA(x,y,x′,y′)は、線形演算子Aに関連する積分カーネル(積分核)であり、
【数8】
は、照射される面積である。
【0026】
一実施形態によると、制御ユニットは、有限要素法を用いて変換項を決定するように構成された決定ユニットを含む。有限要素法(FEM)は、当業者に既知の偏微分方程式を解くための数値法である。FEMは、固体の場合にエネルギー注入の結果としての変形を計算するために用いることができる。面全域の形状に対する面の様々な場所における複数の局所圧縮の効果及び従って対応する変換項は、FEMを用いて決定することもできる。
【0027】
更に別の実施形態では、決定ユニットは、光学要素の幾何学形状及び/又は光学配置内での光学要素の使用場所を考慮しながら変換項を決定するように構成される。従って、幾何学形状、使用場所、又はこれらの両方の変数は、決定ユニットに対する入力変数である。特に、光学的有効区域の形状、光学的有効区域を囲むエッジの形状、又はそれ以外に光学要素の3次元形状全体を考慮することができる。更に、各場合に使用場所に依存する光学要素の剛体自由度は、変換項の決定に影響を与える可能性がある。使用場所がそれに関して考慮される光学配置は、例えば、リソグラフィのための投影露光装置の光学系、特にそのような露光装置の投影レンズとすることができる。
【0028】
更に、本発明の一実施形態では、決定ユニットは、光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で表す圧縮分布に基づいて変換項の決定を実施するように構成される。この場合に、圧縮分布は、多項式基底(polynomial basis)を用いて表される。特に、チェビシェフ(Chebyshev)多項式は、圧縮分布を表すための基底系としての役割を達成することができる。チェビシェフ多項式で構成される基底関数系は、ほぼ長方形の面に特に適する。これに代えて、圧縮分布を表すための基底関数としてBスプライン(基底スプライン)を用いることもできる。
【0029】
更に別の実施形態によると、デバイスは、光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で表し、多項式基底を用いて表される圧縮分布に基づいて、得られる光学要素の面の形状変化を確定する段階と、得られる形状変化から変換項としての線形演算子を確定する段階とによって変換項を決定するように構成された決定ユニットを含む。得られる形状変化は、本明細書では下記で得られる総変化h(x,y)と呼ぶ変数とすることができ、圧縮分布は、変数g(x,y)とすることができ、多項式基底は、チェビシェフ多項式T
nm(x,y)又はチェビシェフ多項式T
nm(x,y)とカットオフ関数Ψとを含む組合せΨT
nmとすることができ、線形演算子は、変数Aとすることができる。
【0030】
上述の目的は、例えば、電子照射を用いて光学要素の面の形状を変化させる方法によって更に達成することができる。本方法は、メリット関数の最小化を用いる最適化により、光学要素の面形状の事前定義の所望の変化から電子照射のための局所分解式エネルギー照射量分布に関する事前定義を光学要素の面形状の所望の変化と決定された事前定義に起因してもたらされる実変化との間の差が最小化されるように決定する段階を伴う。メリット関数は、面の面積要素の領域内に電子照射によって生成される材料高密度化を示す局所圧縮を得られる光学要素の面の形状変化へと変換するための変換項を含む。この場合に、変換項は、面積要素の領域内の局所圧縮によって引き起こされる面くぼみと、局所圧縮によって面に対して平行に作用する力に起因してもたらされる面積要素の面積の倍数である面積を有する面の少なくとも1つのセクションの変形との両方を考慮するように構成される。更に、本方法は、光学要素内に局所圧縮を生成する目的で、電子を決定された事前定義に対応する局所分解式エネルギー照射量分布を用いて光学要素の面上に放射する段階を伴う。
【0031】
本発明によるデバイスと同様に、メリット関数内の変換項は、局所圧縮によって引き起こされる局所面くぼみだけではなく、応力によって引き起こされる面の部分的なセクション又は面全域の変形も考慮する。この措置によって、電子照射による面の高精度変化を可能にする局所分解式エネルギー照射量分布が、メリット関数を用いる最適化によって決定される。
【0032】
本発明による一実施形態によると、局所圧縮は、メリット関数内でエネルギー照射量分布の関数として表され、メリット関数を用いる最適化中にエネルギー照射量分布が変えられる。
【0033】
更に別の実施形態によると、メリット関数による最適化中に局所圧縮が変えられる。本発明による更に別の実施形態では、変換項は、有限要素法を用いて決定される。
【0034】
一実施形態によると、光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で表す圧縮分布は多項式基底を用いて表され、変換項は、多項式基底を用いて表される圧縮分布に基づいて決定される。例として、圧縮分布又は局所分解局所圧縮を示すための多項式基底としてチェビシェフ多項式又はBスプライン(基底スプライン)で構成される基底関数系を用いることができる。
【0035】
更に別の実施形態によると、変換項は、光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で表す圧縮分布を多項式基底を用いて表し、得られる光学要素の面の形状変化を多項式基底を用いて表された圧縮分布に基づいて確定し、得られる形状変化から変換項としての線形演算子を確定することによって決定される。
【0036】
本発明の一実施形態では、光学要素は、マイクロリソグラフィのための投影レンズの一部である。特に、光学要素は、レンズ要素又はミラーとして設計することができる。更に別の実施形態では、光学要素は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置の照明系の一部である。更に、光学要素は、回折構造を有することもできる。
【0037】
一実施形態によると、光学要素は、極紫外放射線を反射するためのミラーである。従って、ミラーは、100nmよりも短い波長、特に約13.5nm又は約6.7nmの波長を有する電磁放射線を反射することに向けて設計される。この目的を達成するために、ミラーには、相応に構成された反射コーティングが設けられる。この実施形態によると、面形状の変化は、完成したミラー又は一時的に伝導性コーティングが設けられた基板の両方の上で実施することができ、EUV範囲に対して十分な精度で面形状を変化させることを可能にする。
【0038】
更に、本発明により、マイクロリソグラフィのための投影レンズを提供する。この投影レンズは、上記で説明した本発明による方法又は本発明によるデバイスの例示的実施形態のうちの1つを用いて生成された光学要素を少なくとも1つ含む。特に、少なくとも1つの光学要素は、極紫外放射線を反射するためのミラーとすることができる。従って、投影レンズは、EUVマイクロリソグラフィにおける使用に向けて設計することができる。同様に、マイクロリソグラフィのための投影露光装置のための照明系を提供することもできる。この場合に、照明系は、上記で説明した本発明による方法又は本発明によるデバイスの例示的実施形態のうちの1つを用いて生成された光学要素を少なくとも1つ含む。
【0039】
更に、本発明により、マイクロリソグラフィのための基板を検査するための検査ユニットを提供する。基板は、レチクル又はウェーハとすることができる。従って、検査ユニットは、レチクル検査ユニット又はウェーハ検査ユニットとして構成することができる。この検査ユニットは、上記で説明した本発明による方法又は本発明によるデバイスの例示的実施形態のうちの1つを用いて生成された光学要素を少なくとも1つ含む。このようにして生成された光学要素は、特に検査ユニットの結像レンズの一部とすることができる。
【0040】
上述した本発明によるデバイスの実施形態、例示的実施形態、又は実施形態変形等に関して明示した特徴は、本発明による方法に相応に当てはめることができ、その逆もまた同様である。本発明による実施形態のこれら及びその他の特徴を図の説明及び特許請求の範囲に説明する。個々の特徴は、本発明の実施形態として別個又は組合せのどちらにおいても実施することができる。更に、これらの特徴は、個々に独立して保護可能な有益な実施形態を表すことができ、これらの特徴に対する保護を適切な場合に本出願の係属中のみ又はその後に請求する。
【0041】
本発明の上記及び更に別の有利な利点を添付の概略図面の参照を伴う以下に続く本発明による例示的実施形態の詳細説明において例示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
下記で示す例示的実施形態、実施形態、又は実施形態変形では、互いに機能的又は構造的に同様の要素に可能な限り同じ又は同様の参照記号を付与している。従って、特定の例示的実施形態の個々の要素の特徴を理解するために、他の例示的実施形態又は本発明の全般的な説明を参照されたい。
【0044】
説明を容易にするために、図面内に直交xyz座標系を示し、この座標系から図に例示する構成要素のそれぞれの位置関係が明らかになる。
図1では、y方向は作図面に対して垂直にこの平面内へとに延び、x方向は右に向けて、z方向は上向きに延びる。
【0045】
本発明によるデバイスの例示的実施形態並びに本発明による方法の対応する例示的実施形態の構成要素及び機能を下記に示す。
【0046】
図1は、電子照射を用いて光学要素14の面12の形状を変化させるためのデバイス10の1つの例示的実施形態を略示している。例として、EUV波長範囲、すなわち、100nmよりも短い波長、特に約13.5nmの波長又は約6.7nmの波長を有する電磁放射線のためのミラーが光学要素14として設けられる。このミラーは、
図3を参照しながら下記で例示するように、EUVマイクロリソグラフィのための投影露光装置の投影レンズ又は照明系のためのミラーとすることができる。しかし、デバイス10は、例えば、他の波長範囲のためのミラー、回折構造を有するレンズ要素、又は光学要素等の他の光学要素に対する高精度の面形状の生成又は面形状の変化にも適する。
【0047】
デバイス10は、面12の選択可能な場所の上に向けられて集束する電子ビーム18を発生させるための電子照射ユニット16を含む。電子ビーム18は、特に、面12の近傍における光学要素14の材料の程度の差はあるが、大幅に目立つ局所圧縮がエネルギー照射量に依存して引き起こされるようにエネルギー的に構成される。エネルギー照射量は、電子ビーム18によって光学要素14内に導入される単位面積当たりのエネルギーを意味すると理解すべきである。この場合に、エネルギー照射量は、特に選択場所における電子ビームの滞留持続時間とこの電子ビームの強度とに依存する。
【0048】
局所圧縮は、面積要素21の領域内の局所面くぼみ20を引き起こす。例示目的で、
図1では面くぼみ20を大幅に誇張して描示している。圧縮は、特にアモルファス材料において電子結合の再分配の結果として発生する。この場合に、局所圧縮は全ての空間方向に起こされ、すなわち、面積要素21の領域内の負のz方向の局所面くぼみ20だけではなく、面12に対して平行、すなわち、おおよそx/y平面に沿う圧縮も発生する。この場合に、面12に対して平行に作用する力25が生じ、その結果、光学要素14内に応力が誘導される。これらの応力は、局所圧縮による影響を受ける面積要素21よりも著しく大きい面セクション23の変形を引き起こす可能性がある。面セクション23は、面12の一部、又はそれ以外に面12全域を含む可能性がある。
【0049】
電子ビーム18を発生させるために、電子照射ユニット16は、電子源22と加速ユニット24を含む。例として、白熱カソード、結晶カソード、又は電界放出カソードを電子源22として用いることができる。加速ユニット24は、電子源22によって放出された電子を加速して集束させる。この目的を達成するために、加速ユニット24は、電子源22に対して高い正の静電位を有し、更に、加速された電子に対する小さい出口開口部を有するアノードを有することができる。電子ビーム18を集束させてその強度を設定するために、加速ユニット24は、制御電極、例えばウェーネルト円筒(Wehnelt cylinder)を更に含む。強度又はビーム電流は、電子ビームに対して垂直な仮想区域を通過する電子の個数を示す。
【0050】
加速ユニット24から到着する電子ビーム18を集束させるために、電子照射ユニット16は、適切に構成された電気構成要素又は磁気構成要素を有する集束ユニット26を更に含む。
【0051】
電子ビーム18は、電子照射ユニット16の偏向ユニット28によってx方向とy方向の両方に偏向することができる。この目的のために、偏向ユニット28も同様に、適切に構成された電気構成要素と磁気構成要素を含む。偏向ユニット28の設定に依存して、電子ビーム18は、光学要素14の面12上の特定の場所(x,y)に入射する。このようにして、面12の複数の異なる場所を順次照射することができ、それによって面12にわたる局所分解式エネルギー照射量分布を得ることができる。本明細書では、局所分解式エネルギー照射量分布は、光学要素14の面12の面座標x,yの関数としての単位面積当たりに導入されたエネルギーe(x,y)の分布を意味すると理解すべきである。この場合に、照射は、例えば、ラスター状(raster−like)の方式で又はそれ以外に面全域にわたって連続的に実施することができる。更に、例えば、線状、円状、又は楕円状などでの照射すべき様々な場所の不規則又は規則的な配置が可能である。
【0052】
空気による電子ビーム18の電子の吸収を回避するために、電子照射ユニット16は、電子源22、加速ユニット24、集束ユニット26、偏向ユニット28、及び光学要素14、又は光学要素14の少なくとも面12が内部に配置された真空チャンバ30を更に有する。
【0053】
デバイス10は、電子照射ユニット16を制御するための制御ユニット32を更に含む。制御ユニット32は、特に、電子ビーム18による面12の照射に向けて、光学要素14の面12に対して事前定義された所望の変化34からこの変化を非常に正確に達成する局所分解式エネルギー照射量分布36を決定するように構成される。
【0054】
この目的のために、制御ユニット32は、メリット関数の値を最適化するための最適化モジュール38を含む。更に、デバイス10は、変換項42を決定するための決定ユニット40を含む。変換項42は、局所面くぼみ20並びに面12に対して平行に作用する力25によって引き起こされる面12の変形を考慮しながら局所圧縮を得られる面12の形状変化へと変換するためのメリット関数内で用いられる。最適化モジュール38及び決定ユニット40の構成及び機能については後でより詳細に説明する。
【0055】
更に、制御ユニット32は、変換モジュール44を含む。この例示的実施形態では、変換モジュール44は、決定された局所分解式エネルギー照射量分布36を特定の面座標x,yに対する電子ビーム18の局所分解式滞留持続時間46へと変換する。場所依存式滞留持続時間46は、後に偏向ユニット28を相応に設定するために用いられる。このようにして、面12上の決定されたエネルギー照射量分布36及び従ってそれに対応する光学要素14の面12の高精度形状変化が得られる。
【0056】
別の例示的実施形態では、変換モジュール44は、滞留持続時間の代わりに又はそれに加えて、決定された場所依存エネルギー照射量分布36から電子ビーム18の局所分解式強度を発生させる。更に、これに加えて又はこれに代えて、集束ユニット26を用いた集束の場所依存設定、又は加速ユニット24を用いた電子の加速度又は運動エネルギーの場所依存設定を行うことができる。
【0057】
図2は、最適化モジュール38を有する制御ユニット32の構成及び機能をより詳細に例示している。b(x,y)によって表される面12の事前定義の所望の変化34に対するe(x,y)によって表される適切な局所分解式エネルギー照射量分布36を確定するために、最適化アルゴリズム48を有する最適化モジュール38は、ターゲット関数とも呼ぶメリット関数50を用いて最適化を実施する。この例示的実施形態では、メリット関数50が最小値を生じるような場所依存圧縮g(x,y)が求められ、従って、間接的に場所依存エネルギー照射量分布e(x,y)が求められる。この場合に、局所圧縮の結果としての面12の非局所応力変形も、特に変換項42を用いて考慮される。
【0058】
メリット関数50のいくつかの実施形態を下記で示す。局所圧縮は、面12の長さスケールよりも著しく小さい長さスケールで発生することから、圧縮g(x,y)と得られる面12の総変化h(x,y)との間で次式の線形関係を仮定することができる。
【数9】
(1)
【0059】
この場合に、変換項42を線形演算子Aと表記する。この例示的実施形態では、線形演算子Aは次式の積分演算子である。
【数10】
(2)
式中のA(x,y,x′,y′)は、線形演算子Aに関係する積分カーネルであり、
【数11】
は、照射される面積である。エッジの漸減に起因して、照射される面積
【数12】
は、面12のフットプリント面積又は基本面積Ωよりも幾分大きい。別の例示的実施形態では、非線形演算子Aを用いることもできる。
【0060】
式(1)及び面12の形状の所望の変化b(x,y)を用いて、メリット関数50の面12は次式のように書かれる。
【数13】
(3)
式中では、ノルムとして面12の基本面積Ωについての二乗可積分関数に対するL
2ノルムが用いられる。:
【数14】
(4)
【0061】
所望の面変化又はそれ以外に面変化に対応する波面変化のいずれかは、事前定義の所望の変化b(x,y)として用いることができる。従って、最適化問題として、事前定義の所望の変化b(x,y)に対して次式が成り立つような常に正の圧縮g(x,y)≧0が求められる。
【数15】
(5)
【0062】
メリット関数50の更に別の実施形態は、圧縮が常に正であり、正のデフォーカスが常に誘導される状況を考慮する。面変形のこの好ましい方向を補償するために、光学要素14の調節可能な剛体自由度が最適化に考慮される。通常、剛体自由度は、光学要素14の幾何学形状と、例えば投影レンズ等の光学系内での光学要素14の使用場所とに依存する。
【0063】
剛体自由度を考慮するために、基底として採用するのは、次式のスカラー積を有する波面変化のヒルベルト(Hilbert)空間Hである。
【数16】
(6)
【0064】
剛体自由度の使用によって排除することができる調節可能な波面変化又は誤差は、Hの部分空間H
Bを形成する。部分空間HB上へのプロジェクタ(projector)P
Bを用いて、メリット関数50内で剛体自由度を考慮することができる。この場合に、最適化問題として、波面変化の形態にある事前定義の所望の面変化b(x,y)に対して次式が成り立つような圧縮g(x,y)≧0が求められる。
【数17】
(7)
式中の(1−P
B)は、剛体自由度によって排除することができない波面変化又は誤差の部分空間上へのP
Bに対する補完的なプロジェクタである。適切な基底を用いてかつ光学要素14の幾何学形状及び使用場所を考慮する
【数18】
の計算が、例えば決定ユニット40によって実施される。この計算については、後により詳細に説明する。
【0065】
最適化問題の一構成では、剛体自由度に対する移動量制限が制約52を用いてによって追加考慮される。移動量vは、ベクトル空間Vの要素である。波面変化の空間内の移動量vの効果を感度行列Mによって表す。その結果、制約として、系の少なくとも1つの解に関して次式が成り立つ。
【数19】
(8)
v
min<v<v
maxが成り立ち、式中のv
min及びv
maxは、移動量制限を表す。
【0066】
最適化問題の更に別の構成では、最大圧縮及びその勾配は、制約54によって制限される。
【数20】
(9)
【0067】
従って、一例示的実施形態によると、最適化問題として、波面変化の形態にある所望の面変化b(x,y)に対して次式が成り立つような圧縮g(x,y)≧0が求められる。
【数21】
(10)
マニピュレータ移動量は、次式による系の少なくとも1つの解に対するv
min<v<v
maxを表す。
【数22】
(11)
更に、g(x,y)の最大ノルム及びその微分は、次式のとおりに制限される。
【数23】
(12)
【0068】
上記で説明した例示的実施形態では、メリット関数50の値を最適化するために局所分解圧縮g(x,y)が変えられる。それによって結果として最適な局所分解圧縮g(x,y)が存在する。決定された圧縮g(x,y)から、例として次式を用いて関連の局所分解式エネルギー照射量分布e(x,y)を決定することができる。
【数24】
(13)
この場合に、パラメータc
cp及びαは、電子エネルギー、光学要素の層の組成、及び層厚に依存する定数である。圧縮g(x,y)とエネルギー照射量分布e(x,y)との間のこの関係は、複雑でない方式で計算的に実施することができる。
【0069】
これに代えて、局所圧縮g(x,y)からエネルギー照射量分布e(x,y)を決定するために、エネルギー照射量分布に基づく次式のべき級数展開又は多項式を用いることもできる。
【数25】
(14)
式中のa
iは展開係数である。好ましくは、この場合に、エネルギー照射量分布の少なくとも2つの異なるべきが用いられる。特に、1つの好ましい例示的実施形態では、最適化を簡素化するために、局所圧縮g(x,y)は、次式のとおりにエネルギー照射量分布e(x,y)の関数として表される。
【数26】
(15)
【0070】
他の例示的実施形態では、メリット関数50内の局所圧縮g(x,y)は、エネルギー照射量分布e(x,y)によって置換される。例として、式(13)、(14)、又は(15)のうちの1つをこの目的のために用いることができる。1つの最適化では、圧縮g(x,y)の代わりにエネルギー照射量分布e(x,y)が変えられる。この目的で、対応する制約52及び54の適応が実施される。
【0071】
上記で説明した圧縮g(x,y)とエネルギー照射量分布e(x,y)との間の決定論的関数関係の代わりに、確率的手法を用いることもできる。関数関係は、引き換えにランダム変動を追加的に有する。続いて、例えばメリット関数の期待値及び分散に関して最適化を実施することができる。
【0072】
変換項42又は線形演算子Aを決定するために、一実施形態は、最初に局所圧縮g(x,y)及び事前定義の波面変化又は所望の変化b(x,y)に対する適切な基底関数系を決定する段階を伴う。以下では圧縮分布とも呼ぶ局所分解圧縮g(x,y)に対する基底関数系を有する適切な関数空間の選択は、光学要素14の幾何学形状を考慮しながら例えば決定ユニット40が実施することができる。この点に関して、例えばほぼ長方形の面12に対して、チェビシェフ多項式で構成される関数セットを次式の基底として選択することができる。
【数27】
(16)
【0073】
この場合に、関数T
nmに対する定義範囲は、照射される面積
【数28】
を包含するように拡張される。それに加えて、面12上で値1を有し、照射される面積
【数29】
のエッジにおいてゼロに向かう傾向を有するカットオフ関数Ψが各基底関数T
nmに乗じられる。このようにして達成されることは、基底系によって表現可能な圧縮もエッジにおいて消失することである。この場合に、圧縮分布g(x,y)は、これらの関数の線形結合ΨT
nmとして表すことができる。更に別の関数セットは、例えばBスプラインとすることができる。
【0074】
例として、ヒルベルト空間H内の波面変化の形状にある事前定義の所望の面変化b(x,y)に対する基底としてゼルニケ(Zernike)多項式の線形結合から構築された正規直交系が選択される。
【0075】
圧縮分布g(x,y)に対する基底系と事前定義の波面変化b(x,y)とを用いて、変換項42又は線形演算子Aを行列で表すことができる。この目的を達成するために、最初に決定ユニット40は、圧縮分布g(x,y)の基底関数ΨT
nmに関して有限要素計算を用いて、得られる面12の総変化h(x,y)を決定する。有限要素計算の結果を用いて、決定ユニット40は、剛体自由度、光学要素14の幾何学形状、及びその使用場所を考慮しながら変換項42を決定する。この場合に、最初にプロジェクタP
Bを確定することができる。決定された変換項42は、その後、制御ユニット32の最適化モジュール38に伝達され、メリット関数50内での最適化中に用いられる。
【0076】
面12の形状を変化させるために、最初に、所望の面変化b(x,y)の形態にある波面変化が制御ユニット32に伝達される。この場合に、所望の面変化は、上記で説明したようにゼルニケ多項式の線形結合として表すことができる。所望の面変化34は、面12の測定を用いて事前に確定済みとすることができる。例として、この目的に向けて位相シフト法又は当業者に既知のいずれかその他の方法を用いることができる。
【0077】
入力として所望の面変化34を用いて、最適化モジュール38は最適化アルゴリズム48を実施する。この場合に、メリット関数50は、既に事前に確定済みの変換項42を用いて制約52及び54を考慮することで最小化される。最適化の結果又は出力として、所望の変化に対する適切な局所分解式エネルギー照射量分布36が決定される。決定されたエネルギー照射量分布36は、その後、変換モジュール44によって面12の様々な場所に対する電子ビーム18の場所依存滞留持続時間46へと変換される。場所依存滞留持続時間46は、最終的に電子照射ユニット16を制御するために制御ユニット32によって用いられる。これに代えて、電子ビーム18の場所依存強度を事前定義することもできる。
【0078】
上記のように実施される面12の電子照射は、局所面くぼみ20と面12に対して平行な応力による面の変形とによって望まれる所望の変化34を非常に正確に達成する圧縮分布を引き起こす。最適化モジュール38による実際の最適化中には、局所圧縮から得られる総変化を確定するためにFEMは実施されないことから、複数の光学要素に対してであっても形状変化を素早く実施することができる。デバイス10は、特に投影レンズミラー又はEUVマイクロリソグラフィにおける他の光学系のためのミラーの高精度処理に適する。
【0079】
図3は、ミラー14−1、14−2、又は14−3の形態にある少なくとも1つ光学要素14を含む投影レンズ110を含むマイクロリソグラフィのための投影露光装置100の概略断面図を示し、この光学要素は、上記の実施形態のうちの1つにおいて面形状を変化させるための本発明によるデバイス10を用いて生成されたものである。
【0080】
投影露光装置100は、<100nmの波長、特に約13.5nm又は約6.8nmの波長を有するEUV放射線(極紫外放射線)の形態にある露光放射線104を生成するための照明系102を含む。他の変形(図面内には例示していない)では、露光放射線104は、DUV放射線として既知のもの、すなわち、例えば248nm又は193nmの波長を有する深UV波長範囲内の放射線とすることができる。
【0081】
露光放射線104は、結像すべきマスク構造がその上に配置されたリソグラフィマスク106上に入射する。この場合に、
図10に示しているように、露光放射線104は、EUV放射線を用いる場合に頻繁にそうであるようにリソグラフィマスク106において反射することができる。これに代えて、リソグラフィマスク106は、透過マスクとして構成することもできる。この場合に、露光放射線104は、マスク106を通過する。
【0082】
マスク構造を像平面116内に配置されたウェーハ114上に結像する段階は、複数のミラーを含む投影レンズ110を用いて行われ、
図3は、これらのミラーのうちの3つ、特にミラー14−1、14−2、及び14−3を例示している。
【0083】
図4は、マイクロリソグラフィのための基板を検査するための検査ユニット200の概略断面図を示している。検査すべき基板は、リソグラフィレチクル又はウェーハとすることができる。第1の事例では、検査ユニット200は、レチクル検査ユニットであり、第2の事例では、ウェーハ検査ユニットである。
【0084】
検査ユニット200は、ミラー214−1、214−2、又は214−3の形態にあって上記の実施形態のうちの1つにおいて面形状を変化させるための本発明によるデバイス10を用いて生成された光学要素14を少なくとも1つ含む結像レンズ210を含む。
【0085】
検査ユニット200は、<100nmの波長、特に約13.5nm又は約6.8nmの波長を有するEUV放射線(極紫外放射線)の形態にある検査放射線204を生成するための照明系202を含む。他の変形(図面内には例示していない)では、検査放射線204は、DUV放射線として既知のもの、すなわち、例えば248nm又は193nmの波長を有する深UV波長範囲内の放射線、又は可視波長範囲内の放射線とすることができる。検査ユニット200がレチクル検査ユニットとして具現化される事例では、検査放射線204の波長は、検査すべきレチクルが投影露光装置内での使用に向けて構成される際の波長に対応する。
【0086】
検査放射線204は、検査すべき試験基板206上に入射し、この基板は、上述したように検査ユニット200の実施形態に依存して結像すべきマスク構造がその上に配置されたリソグラフィレチクル又はウェーハとすることができる。この場合に、
図4に示しているように、検査放射線204は、EUV放射線を用いる場合に頻繁にそうであるように試験基板206において反射することができる。これに代えて、レチクル検査ユニットの場合には、放射線は、レチクルの形体にあるその試験基板26を通して透過させることもできる。
【0087】
検査中に、それぞれの時点で検査放射線204によって照射される試験基板206のセクションは、結像レンズ210を用いて、その像平面216内に配置された検出器220上に結像される。試験基板206の面全域を検査する目的で、試験基板206は、結像レンズ210の光軸に対して横断方向に段階的に変位される。結像レンズ210は複数のミラーを含み、
図4は、そのうちの3つ、すなわち、ミラー214−1、214−2、及び214−3を例示している。
【0088】
例示的実施形態の上記の説明は、例としてのものであることを理解すべきである。それによって達成される本開示は、第1に、当業者が本発明及びそれに付随する利点を理解することを可能にし、第2に、当業者の理解において同様に明白な説明した構造及び方法の変更及び修正を包含するものである。従って、全てのそのような変更及び修正は、それらが添付の特許請求の範囲及び均等物における定義に則した本発明の範囲内に収まる限り、特許請求の保護によって包含されることを意図している。
【0089】
本発明は、以下に続く条項に示す態様を包含する。これらの条項は、本明細書の一部を形成し、特許請求の範囲ではない。
【0090】
条項1:光学要素(14)内に局所的な材料高密度化を生成する目的で、電子を面(12)上に局所分解式エネルギー照射量分布(36)を用いて放射するように構成された電子照射ユニット(16)と、光学要素(14)の面形状の事前定義の所望の変化(34)から、電子照射ユニット(16)を制御するために局所分解式エネルギー照射量分布(36)に関する事前定義を光学要素の面形状の所望の変化と決定された事前定義に起因してもたらされる実変化との間の差が最小化されるようなメリット関数(50)の最小化を用いる最適化によって決定するように構成された制御ユニット(32)とを含み、メリット関数(50)が、面(12)の面積要素(21)の領域内の材料高密度化を示す局所圧縮を得られる光学要素(14)の面(12)の形状変化へと変換するための変換項(42)を含み、変換項(42)が、面積要素の領域内の局所圧縮によって引き起こされる面くぼみ(20)と、局所圧縮によって面(12)に対して平行に作用する力に起因して引き起こされる面積要素(21)の面積の複数倍の面積を有する面(12)の少なくとも1つのセクション(23)の変形との両方を考慮するように構成される電子照射を用いて光学要素(14)の面(12)の形状を変化させるためのデバイス(10)。
【0091】
条項2:局所圧縮が、メリット関数(50)内でエネルギー照射量分布(36)の関数として示され、制御ユニット(32)が、メリット関数(50)を用いた最適化の目的でエネルギー照射量分布(36)を変化させるように構成される条項1に記載のデバイス。
【0092】
条項3:局所圧縮が、エネルギー照射量分布(36)が少なくとも2つの異なるべきにおいて基底系として機能する、べき級数展開を用いてメリット関数(50)内で示される先行条項のいずれかに記載のデバイス。
【0093】
条項4:制御ユニット(32)が、メリット関数(50)を用いた最適化の目的で局所圧縮を変化させるように構成される条項1に記載のデバイス。
【0094】
条項5:変換項(42)が積分演算子である先行条項のいずれかに記載のデバイス。
【0095】
条項6:有限要素法を用いて変換項(42)を決定するように構成された決定ユニット(40)を更に含む先行条項のいずれかに記載のデバイス。
【0096】
条項7:決定ユニット(40)が、光学要素(14)の幾何学形状及び/又は光学配置内での光学要素(14)の使用場所を考慮しながら変換項(42)を決定するように構成される条項6に記載のデバイス。
【0097】
条項8:決定ユニット(40)が、変換項(42)の決定を光学要素(14)の面(12)にわたる圧縮を局所分解方式で示す圧縮分布に基づいて実施するように構成され、圧縮分布が、多項式基底を用いて表される条項6又は7に記載のデバイス。
【0098】
条項9:
光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で示し、多項式基底を用いて表される圧縮分布に基づいて、得られる光学要素の面の形状変化を確定する段階と、得られる形状変化から変換項としての線形演算子を確定する段階とによって変換項(42)を決定するように構成された決定ユニット(40)を更に含む先行条項のいずれかに記載のデバイス。
【0099】
条項10:メリット関数(50)の最小化を用いる最適化により、光学要素(14)の面形状の事前定義の所望の変化(34)から電子照射のための局所分解式エネルギー照射量分布(36)に関する事前定義を光学要素の面形状の所望の変化と決定された事前定義に起因してもたらされる実変化との間の差が最小化されるように決定する段階であって、メリット関数(50)が、面(12)の面積要素(21)の領域内に電子照射を用いて生成される材料高密度化を示す局所圧縮を得られる光学要素(14)の面(12)の形状変化へと変換するための変換項(42)を含み、変換項(42)が、面積要素の領域内の局所圧縮によって引き起こされる面くぼみ(20)と、局所圧縮によって面(12)に対して平行に作用する力に起因して引き起こされる面積要素(21)の面積の複数倍の面積を有する面(12)の少なくとも1つのセクション(23)の変形との両方を考慮するように構成される上記決定する段階と、光学要素(14)内に局所圧縮を生成する目的で、決定された事前定義に対応する局所分解式エネルギー照射量分布(36)を用いて電子を光学要素(14)の面(12)の上に放射する段階とを含む電子照射によって光学要素(14)の面(12)の形状を変化させる方法。
【0100】
条項11:局所圧縮が、メリット関数(50)内でエネルギー照射量分布(36)の関数として示され、エネルギー照射量分布(36)が、メリット関数(50)を用いた最適化中に変えられる条項10に記載の方法。
【0101】
条項12:局所圧縮が、メリット関数(50)を用いた最適化中に変えられる条項10に記載の方法。
【0102】
条項13:変換項(42)が、有限要素法を用いて決定される条項10から12のいずれかに記載の方法。
【0103】
条項14:光学要素の面(12)にわたる圧縮を局所分解方式で表す圧縮分布が、多項式基底を用いて表され、変換項(42)が、多項式基底を用いて表される圧縮分布に基づいて決定される条項13に記載の方法。
【0104】
条項15:変換項が、光学要素の面にわたる圧縮を局所分解方式で示す圧縮分布を多項式基底を用いて表す段階と、得られる光学要素の面の形状変化を多項式基底を用いて表された圧縮分布に基づいて確定する段階と、得られる形状変化から変換項としての線形演算子を確定する段階とによって決定される条項10から13のいずれかに記載の方法。
【0105】
条項16:光学要素(14)が、マイクロリソグラフィのための投影レンズの一部である条項10から15のいずれかに記載の方法。
【0106】
条項17:光学要素(14)が、極紫外放射線を反射するためのミラーである条項16に記載の方法。
【0107】
条項18:条項10から17のいずれかに記載の方法を用いて生成された光学要素(14−1、14−2、14−3)を含むマイクロリソグラフィのための投影レンズ(110)。
【0108】
条項19:条項10から17のいずれかに記載の方法を用いて生成された光学要素(214−1、214−2、214−3)を含むマイクロリソグラフィのための基板を検査するための検査ユニット(200)。