(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁層上に配線層が形成されたペア層が階段形状をなして積層され、前記階段形状のステップ部分をなす露出した前記配線層の上面に触媒液を供給して選択的に触媒処理を施す工程と、
該触媒処理が施された前記配線層の上面に無電解めっきを行い、金属層を選択成長させる工程と、を有するコンタクトパッドの製造方法。
前記触媒液に含まれる前記金属元素は、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag又はAuのいずれかである請求項5に記載のコンタクトパッドの製造方法。
前記無電解めっきは、コバルト、ニッケル、ルテニウム、アルミニウムのいずれかを含む無電解めっき液を用いて行われる請求項1に記載のコンタクトパッドの製造方法。
絶縁層上に配線層が形成されたペア層が階段形状をなして積層され、前記階段形状のステップ部分をなす前記配線層の上面が露出した構造体の表面上に、前記階段形状に沿った第1の絶縁膜を形成する工程と、
露出した前記配線層の上面上の前記第1の絶縁膜を除去し、前記階段形状の段差部分をなす側面を覆う前記第1の絶縁膜のみを残してスペーサを形成する工程と、
露出した前記配線層の上面に触媒液を供給して選択的に触媒処理を施す工程と、
該触媒処理が施された前記配線層の上面に無電解めっきを行い、金属層を選択成長させてコンタクトパッドを形成する工程と、
前記構造体の表面上に、前記階段形状の最上段まで到達し、前記階段形状を充填する第2の絶縁膜を形成する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
前記触媒液に含まれる前記金属元素は、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag又はAuのいずれかである請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための形態の説明を行う。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の一例を示した図である。第1の実施形態に係る半導体装置は、基板10と、ストップレイヤー20と、絶縁層30と、配線層40と、スペーサ70と、コンタクトパッド90と、絶縁膜100と、コンタクトホール110と、コンタクトプラグ120とを有する。
【0011】
第1の実施形態に係る半導体装置は、基板10の表面上にストップレイヤー20が形成され、ストップレイヤー20の表面上に、階段形状の構造体60が形成される。構造体60は、絶縁層30上に配線層40が形成されたペア層50が階段形状をなして積層されることにより形成される。つまり、全体としては絶縁層30と配線層40とが交互に積層されて構造体60が形成されているが、階段形状は、ペア層を単位として1つの段が形成されている。階段形状のステップ部(水平面の部分)は、配線層40の上面が露出し、段差部(垂直面の部分)は、ペア層50の端部の側面が露出することにより構成されている。構造体60の段差部は、スペーサ70により覆われ、ステップ部は、コンタクトパッド90により覆われている。配線層40の上面の露出面上にコンタクトパッド90が設けられることにより、この部分が局所的に厚くなっている。
【0012】
側面がスペーサ70、上面がコンタクトパッド90で覆われた構造体60の表面上には、階段形状の段差の窪みを総て充填するように、絶縁膜100が形成されている。絶縁膜100の上面は平坦面を形成しており、構造体60の階段状の窪みに絶縁膜100を充填するとともに、上面を平坦面にした構成を有する。なお、上面の平坦面は、鏡面研磨された面であってもよい。絶縁膜100内のコンタクトパッド90の上には、鉛直方向に延びるコンタクトプラグ120が設けられている。コンタクトプラグ120には、タングステン(W)等の金属材料が充填され、配線用のプラグを構成している。コンタクトプラグ120は、コンタクトホール110がエッチングにより形成され、コンタクトホール110に金属材料を充填することにより形成される。構造体60が階段形状を有するため、複数のコンタクトホール110を同時にエッチングにより形成しようとすると、下層のコンタクトパッド90までコンタクトホール110が形成される前に、上層のコンタクトホール110が先に完全に形成されてしまう。
【0013】
従来、コンタクトパッド90が設けられていなかったため、その後もエッチングを継続すると、上層の配線層40に穴を開けてしまうパンチスルーが発生してしまうおそれがあった。本実施形態に係る半導体装置では、コンタクトパッド90を配線層40上に形成し、コンタクトパッド90が配線層40のエッチングを妨げ、そのようなパンチスルーの発生を防止する。コンタクトパッド90には、適切なエッチング選択比を有する金属材料が選択され、エッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を1回のエッチングで形成する場合であっても、上層におけるパンチスルーを食い止める。よって、1枚のマスクを用いた1回のエッチングでエッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を形成することができ、不具合の発生を防止するとともに、生産性を高めることができる。
【0014】
なお、本実施形態に係る半導体装置は、3次元積層メモリデバイス、つまり3次元NANDフラッシュメモリに好適に適用され得るが、階段構造又は段差構造を有する半導体装置全般に適用することができ、その用途は問わない。なお、本実施形態に係る半導体装置が3次元積層メモリデバイスに適用される場合には、配線層40はワードラインを構成する。
【0015】
以上が本実施形態に係る半導体装置の概要であるが、以下、個々の構成要素についてより詳細に説明する。
【0016】
基板10は、その表面上に半導体装置を形成するためのベースである。基板10には、例えば、シリコンからなるシリコン基板(シリコンウエハ)が用いられる。
【0017】
ストップレイヤー20は、エッチングがこれ以上進行しないようにストップさせるための層であり、基板10の表面上に形成される。ストップレイヤー20は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)で構成される。ストップレイヤー20は、本実施形態に係る半導体装置を形成する領域の全域に設けられる。
【0018】
絶縁層30は、いわゆる層間絶縁膜であり、例えば、SiO
2で構成される。配線層40は、配線を形成する導電層であり、例えば、ポリシリコンから構成される。絶縁層30とその表面上に形成された配線層40で、ペア層50を構成する。ペア層50は、階段形状を有する構造体60を構成する際の1段の単位となる層である。つまり、絶縁層30が1層と、配線層40が1層で、1つのペア層50を形成し、1段分の階段を構成する。
【0019】
構造体60は、ペア層50が形成する階段形状の構造物である。3次元積層メモリデバイスは、このような階段形状を有する構造体60を含んで構成される場合が多い。なお、絶縁層30が下層、配線層40が上層となって1つのペア層50を形成するので、階段形状のステップ部を構成する露出面は配線層40の上面となる。一方、階段形状の段差部は、絶縁層30及び配線層40の双方が露出面となり、絶縁層30上に配線層40が設けられた積層構造を有する面が露出面となる。
【0020】
スペーサ70は、上段と下段のコンタクトパッド90同士がショートしないように設けられている酸化膜(絶縁酸化膜)である。スペーサ70は、例えば、SiO
2で構成される。後に詳細に説明するが、コンタクトパッド90は、選択的な無電解めっきにより形成された無電解めっき層から構成される。選択的な無電解めっきとは、ここでは、配線層40を構成するシリコンの表面上にのみ吸着し、SiO
2膜上には吸着しない無電解めっきを意味する。よって、スペーサ70は、単なる物理的に間隔を形成するための役割だけではなく、コンタクトパッド90が形成されない性質を有するという化学反応を抑制するという役割をも担っている。
【0021】
コンタクトパッド90は、コンタクトホール110が形成される箇所に選択的に形成され、配線層40を覆って導電領域全体の厚さを厚くし、パンチスルーにより配線層40が破壊されるのを防ぐ役割を果たす。よって、コンタクトパッド90は、シリコン酸化膜に対してエッチング選択比が高い金属材料から構成されるとともに、パンチスルーを防ぐことが可能な所定厚さを有して形成される。コンタクトパッド90が厚すぎても、デバイスの設計に悪影響を及ぼす恐れがあるため、最適化された厚みを有することが望ましい。後述するが、コンタクトパッド90の厚さは、無電解めっきの時間、無電解めっき液の処理温度等で調整可能であるので、適切な厚さのコンタクトパッド90を形成することが可能である。コンタクトパッド90は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)等の金属材料から選択されてもよく、より具体的には、コバルトを用いてもよい。コバルトは、シリコン酸化膜(SiO
2)に対するエッチング選択比が高いので、パンチスルーを防止するのに適する。
【0022】
絶縁膜100は、階段状の窪みを充填するための絶縁膜であり、例えば、SiO
2から構成されてもよい。
【0023】
コンタクトプラグ120は、半導体装置の上面から配線層40との電気的接続を行うための配線用のプラグであり、絶縁膜100に形成されたコンタクトホール110に金属材料を充填することにより構成される。コンタクトホール110は、半導体装置の上面とコンタクトパッド90とを導通すべく、絶縁膜100のコンタクトパッド90上の位置に貫通孔を形成することにより設けられる。コンタクトホール110に充填される金属材料は、用途に応じて種々の金属材料が選択されてよいが、例えば、タングステン(W)であってもよい。コンタクトプラグ120は、コンタクトパッド90を介して配線層40と電気的に接続される。
【0024】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置によれば、階段形状を有する構造体60のステップ部分を構成する配線層40の露出面上にコンタクトパッド90を設けたことにより、配線層40を保護するとともに配線領域の厚さを厚くすることができ、エッチングの際のパンチスルーの発生による配線層40の破損を確実に防止することができる。また、1回のエッチングでエッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を同時に形成することができ、半導体装置の生産性を高めることができる。
【0025】
次に、本開示の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法及びこれに含まれるコンタクトパッドの製造方法について説明する。
【0026】
図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の第1の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。第1の絶縁膜形成工程においては、階段形状を有する構造体60の表面上に、絶縁膜71を形成する。絶縁膜71は、後の工程で一部がエッチバックにより除去されるため、階段形状を有する構造体60の形状に沿って形成されることが好ましい。なお、絶縁膜71は、スペーサ70として機能し得る種々の絶縁膜が形成されてよいが、例えば、シリコン酸化膜であるSiO
2膜が形成されてもよい。絶縁膜71は、種々の成膜方法により形成されてよいが、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成されてもよい。
【0027】
図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法のスペーサ形成工程の一例を示した図である。スペーサ形成工程においては、エッチバックにより、階段形状のステップ部分を形成する配線層40の上面に形成された絶縁膜71が除去され、階段形状の段差部分を形成するペア層50の側面を覆う絶縁膜71のみが残され、スペーサ70が形成される。ここで、エッチバックは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)により行ってもよい。ここでのエッチバックは、配線層40及びペア層50の側面の絶縁膜71をエッチングせず、
配線層40の上面の絶縁膜71のみを精度よくエッチングすることが求められるため、ドライエッチングによりエッチングすることが好ましい。
【0028】
なお、スペーサ70の役割は、上述のように、無電解めっきによりコンタクトパッド90を形成する際、配線層40を形成するシリコンの側面への触媒吸着を防ぎ、側壁への無電解めっき層の析出を防止するためと、無電解めっき層がオーバーハングしても、下段のコンタクトパッド90とが接続されてショートが発生するのを防止するためである。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の触媒処理工程の一例を示した図である。触媒処理工程においては、触媒液80が構造体60の表面上に供給される。
【0030】
なお、触媒液80は、めっき液中の還元剤の酸化反応に対して触媒活性を有する金属イオンを含有する。無電解めっき処理において、めっき液中の金属イオンの析出が開始されるためには、初期皮膜表面(すなわち、配線層40の露出面)がめっき液中の還元剤の酸化反応に対して十分な触媒活性を有することが必要である。このような触媒としては、例えば、鉄族元素(Fe、Co、Ni)、白金属元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、Cu、Ag又はAuを含むものが挙げられる。触媒活性を有する金属膜の形成は、置換反応により生じる。置換反応では、被めっき面を構成する成分が還元剤となり、触媒液80中の金属イオン(例えばパラジウムイオン)が、被めっき面上に還元析出する。被めっき面がシリコンである場合においては、表層のシリコンがパラジウムに置換される。
【0031】
このように、例えば、パラジウムを含む溶液、例えばイオンパラジウム溶液が触媒液80として構造体60の表面に供給される。ここで、パラジウムは、シリコン(ポリシリコンを含む)の表面のみに吸着し、酸化膜等の絶縁膜(例えばSiO
2膜)には吸着しない性質を有し、露出した配線層40の上面にのみ吸着する。つまり、階段形状のステップ部分のシリコンからなる配線層40が露出した部分にのみ吸着する。これは、パラジウムが表層のSiと置換されるためである。一方、パラジウムはSiO
2膜とは置換されないため、スペーサ70の表面上には触媒液80であるパラジウムは吸着しない。SiO
2膜上にもパラジウムが吸着する可能性はあるが、後洗浄を行うことにより、SiO
2膜上のパラジウムを洗い流すことができる。
【0032】
なお、パラジウムが表層のSiと置換される際には、薄いシリコン酸化膜(SiO
2膜)も形成されるので、かかる薄いシリコン酸化膜を除去すべく、フッ化水素(HF)を混入しておくことが好ましい。フッ化水素の混入は微量で良く、例えば、0.05%〜1%の範囲内で良く、より具体的には、0.1%程度であってもよい。
【0033】
なお、触媒液80の供給は、構造体60が形成された基板10を触媒液80に浸漬させてもよいし、構造体60を含む基板10の表面上に触媒液80を盛るように滴下供給してもよい。また、必要に応じて、触媒処理工程の後、後洗浄を行うようにしてもよい。
【0034】
図5は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の無電解めっき工程の一例を示した図である。無電解めっき工程においては、無電解めっき液を、構造体60を含む基板10の表面上に供給する。これにより、触媒処理が施された領域、即ち配線層40の露出面上に無電解めっき層が選択成長し、コンタクトパッド90が形成される。ここで、無電解めっき液は、エッチング選択比が良好であれば、種々の金属元素を含む無電解めっき液が選択されてよいが、例えば、コバルト、ニッケル、ルテニウム、アルミニウムを含む無電解めっき液が用いられてもよい。より具体的には、例えば、コバルトを含む無電解めっき液が用いられてもよい。なお、無電解めっき層の成長時に触媒処理の範囲を超えてオーバーハングしたとしても、スペーサ70が存在するため、下段のコンタクトパッド90とショートするおそれが無い。このように、選択的な触媒処理の後、無電解めっき処理を行うことにより、選択的に無電解めっき層を成長させることができ、コンタクトパッド90を選択的に形成することができる。これより、コンタクトホール110の形成の際にエッチングが行われる露出した配線層40の上方にのみコンタクトパッド90を形成することができ、配線層40の全体を厚くすることなく、必要な箇所のみ配線領域を厚くすることができる。
【0035】
また、コンタクトパッド90の厚さは、無電解めっき処理を行う時間、処理温度、めっき液の濃度等により調整可能である。よって、コンタクトホール110を形成するためのエッチングの際にパンチスルーが発生しないように、適切な厚さの無電解めっき層を成長できる時間を設けて、エッチングによりパンチスルーを発生させない所定厚さを有するコンタクトパッド90を形成することが好ましい。コンタクトパッド90が厚すぎても、デバイスの設計に悪影響を及ぼす恐れがあるため、最適化された厚みを有することが望ましい。なお、ここで、無電解めっき層の所定厚さは、エッチングの条件、エッチング選択比等を考慮して定めることができる。
【0036】
なお、触媒液80を露出した配線層40の上面にのみ供給し、無電解めっきを行う際にも、触媒液80の供給された箇所にのみ無電解めっき層を成長させ、下段の階段のステップ部分にまで無電解めっき層が成長してしまうオーバーハングを防止することができれば、スペーサ70を形成することは必須ではない。スペーサ70は、無電解めっき層がオーバーハングするまで成長してしまい、上段と下段のコンタクトパッド90同士がショートすることを防止するために設けられている。よって、触媒処理工程及び無電解めっき工程で、そのようなオーバーハングの発生を確実に防止することができれば、スペーサ70を設けることなくコンタクトパッド90を形成することも可能である。
【0037】
ここで、
図4に示した触媒処理工程と、
図5に示した無電解めっき工程とで、コンタクトパッド90の形成方法を構成する。つまり、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、
図4の触媒処理工程及び
図5の無電解めっき工程からなるコンタクトパッド90の製造方法を用いて構成されている。
【0038】
図6は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の第2の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。第2の絶縁膜形成工程においては、階段形状の構造体60の窪み領域を総て充填するように絶縁膜100が形成される。絶縁膜100は、最も上層の絶縁
層30に到達するように形成される。絶縁膜100は、例えば、SiO2により形成される。
【0039】
絶縁膜100は、種々の成膜方法により形成することができ、例えば、CVDにより形成されてもよいし、スピンオングラス(Spin on Glass、SOG)により形成されてもよい。また、絶縁膜100を形成した後は、CMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械的研磨)により、絶縁膜100の上面を鏡面研磨して平坦化することが好ましい。
【0040】
なお、第2の絶縁膜形成工程は、構造体60の階段形状の窪み部分に絶縁膜100を充填するように形成する工程であることから、絶縁膜充填工程と呼んでもよい。この場合、第1の絶縁膜形成工程は、単なる絶縁膜形成工程と呼ぶこととする。
【0041】
この後は、
図1において説明したように、コンタクトホール110をエッチングにより形成し、形成したコンタクトホール110に金属材料を充填してコンタクトプラグ120を形成する。ここで、エッチングは、階段形状の構造体60のステップ部分を構成する配線層40との導通を図るべく行われるため、エッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を形成する必要がある。第1の実施形態に係る半導体装置においては、コンタクトパッド90で配線層40が覆われており、配線層40をエッチング選択比の高い金属層からなるコンタクトパッド90で保護するとともに、配線層40にコンタクトパッド90の厚さが加算されて配線領域が厚く形成されている。よって、1回のエッチングで、配線層40のパンチスルーを発生させることなくエッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を形成することが可能となる。なお、本開示の実施形態に係る半導体装置、コンタクトパッドの製造方法、半導体装置の製造方法は、少ないエッチング回数(例えば1回のみ)で配線層40のパンチスルーを発生させることなくエッチング深さの異なる複数のコンタクトホール110を形成可能な半導体装置を提供することを意図しているため、エッチング工程及び導電材料充填工程の詳細については説明及び図示を省略する。エッチングは、例えば、上述のRIE等の通常のドライエッチングを用いることができ、用途に応じて適切なエッチング方法を採用することができる。また、導電性材料の充填は、めっき等の湿式処理や、CVD、ALD等の処理ガスを用いた成膜処理等の種々の方法から、適切な方法を選択して行うことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
図7乃至
図13を参照して、本開示の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法及びこれに含まれるコンタクトパッドの製造方法について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と重複又は類似する箇所は、適宜説明を省略する。また、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素については、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図7は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の酸化膜形成工程の一例を示した図である。第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法では、絶縁層30の上に窒化シリコン(SiN)膜からなる配線層45が形成され、ペア層55を形成している点で、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なっている。窒化シリコン膜は絶縁膜の一種であり、そのままでは配線層45として機能しないが、最終的に窒化シリコン膜を除去し、導電性を有する配線材料に置換し、配線層45として機能させることになる。絶縁層30は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)を用いることができる。よって、最初の段階では、種類の異なる絶縁膜の積層構造でペア層55を構成する。
【0044】
なお、ペア層55が階段形状を有する構造体65を形成している点は、第1の実施形態と同様である。よって、構造体65は、第1の実施形態と同様に、階段形状のステップ部分を構成する配線層45の上面が露出し、段差部分を構成する絶縁層30及び配線層45の積層部分の側面が露出した構成を有する。また、基板10の表面上にストップレイヤー20が形成され、その上に構造体65が形成されている点も、第1の実施形態と同様であるので、対応する構成要素に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0045】
酸化膜形成工程では、第1の実施形態の
図2で説明したのと同様に、階段形状の構造体65の表面上に、CVD等の成膜方法を用いて酸化膜71を形成する。酸化膜71は、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)であってもよい。また、酸化膜71は、構造体65の階段形状に沿って形成されることが好ましい点も第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0046】
図8は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法のスペーサ形成工程の一例を示した図である。スペーサ形成工程においては、エッチバックにより、階段形状のステップ部分を形成する配線層45の上面に形成された酸化膜71が除去され、階段形状の段差部分を形成するペア層50の側面を覆う酸化膜71のみが残され、スペーサ70が形成される。これにより、階段形状のステップ部分をなす、窒化シリコン膜からなる配線層45の上面が露出する。一方、ペア層55の側面は、酸化膜からなるスペーサ70により覆われる。
【0047】
なお、スペーサ形成工程及びスペーサの役割は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法において
図3を参照して説明した内容と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
図9は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の触媒処理工程の一例を示した図である。触媒処理工程において、触媒液85が構造体65の表面上に供給される点は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法及びコンタクトパッドの製造方法と同様である。
【0049】
しかしながら、第2の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法では、ナノ粒子状の金属触媒を含有する触媒液85を用いるようにしてもよい。具体的には、触媒液85は、ナノ粒子状の金属触媒(例えばナノ粒子状のパラジウム)と、分散剤と、水溶液とを含んでいても良い。被めっき面が窒化シリコン膜である場合においては、窒化シリコン膜の表面にナノ粒子状パラジウムが吸着される。よって、窒化シリコン膜からなる配線層45を用いた第2の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法においては、例えば、ナノパラジウム溶液を触媒液85として用いてもよい。
【0050】
なお、触媒液85として、ナノパラジウム溶液だけでなく、鉄族元素(Fe、Co、Ni)、白金属元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、Cu、Ag又はAuのナノ粒子を含む溶液も使用可能であることは、第1の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法と同様である。これらの場合にも、各金属のナノ粒子が窒化シリコン膜の表面に吸着する。
【0051】
これにより、窒化シリコン膜から構成される被めっき面に対して選択的に触媒が付与され、めっき材料に触媒活性を有する金属膜が形成される。一方、上記各金属はSiO2に対しては吸着しにくい性質を有していることから、SiO2からなるスペーサ70には実質的に触媒が付与されることはなく、触媒活性を有する金属膜が形成されない。このため、上記各金属を触媒として用いることにより、窒化シリコンから構成される被めっき面に対して選択的にめっき金属を析出させることが可能となる。
【0052】
なお、他の点については、第1の実施形態における
図4の説明と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
図10は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の無電解めっき工程の一例を示した図である。無電解めっき工程においては、無電解めっき液を、構造体65を含む基板10の表面上に供給する。これにより、触媒処理が施された領域、即ち配線層45の露出面上に無電解めっき層が選択成長し、コンタクトパッド95が形成される。コンタクトパッド95は、触媒液85がナノ粒子を用いた溶液である点で相違するだけであり、選択成長において、第1の実施形態のコンタクトパッド90と殆ど差は無いと考えられる。
【0054】
なお、無電解めっき工程は、第1の実施形態における
図5の説明と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
無電解めっき工程により、窒化シリコン膜からなる配線層45の露出面上にコンタクトパッド95が形成される。
【0056】
なお、
図9の触媒処理工程及び
図10の無電解めっき工程が、第2の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法を構成する。
【0057】
図11は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の絶縁膜形成工程の一例を示した図である。絶縁膜形成工程においては、階段形状の構造体65の窪み領域を総て充填するように絶縁膜100が形成される。
【0058】
絶縁膜形成工程は、第1の実施形態における
図6の説明と同様であるので、その説明を省略する。
【0059】
図12は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の配線層除去工程の一例を示した図である。配線層除去工程においては、配線層45を形成していた窒化シリコン膜が除去され、配線層45の部分に空間46(空洞)が形成される。上述のように、窒化シリコン膜は絶縁膜であるので、最終的に導電材料と置換する必要がある。そのため、配線層45の領域を確保すべく、仮の配線層45として設けられていた窒化シリコン膜を除去し、導電材料を充填するための空間46を形成する。
【0060】
なお、窒化シリコン膜の除去は、種々の方法により行われてよいが、例えば、熱リン酸を用いてウェットエッチングにより窒化シリコン膜を除去するようにしてもよい。熱リン酸を用いたウェットエッチングは、窒化シリコン膜の除去に多く用いられている方法であり、窒化シリコン膜を容易かつ確実に除去することができる。
【0061】
図13は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の配線層形成工程の一例を示した図である。配線層形成工程においては、配線層除去工程において形成された空間46に導電材料が充填され、配線層47が形成される。
【0062】
配線層47は、導電性を有する材料であれば、種々の材料から構成されてよいが、例えば、金属材料から構成されてもよい。また、導電材料の充填方法も、用途に応じて種々の成膜方法又は充填方法を用いることができる。
【0063】
例えば、窒化チタン(TiN)をライナー、タングステン(W)をバルクとしてCVD又はALD(Atomic Layer Deposition、原子層堆積法)により埋め込み成膜を行ってもよい。
【0064】
一方、このような処理ガスを用いた成膜方法に代えて、無電解めっきで配線層47を形成してもよい。上述のように、コンタクトパッド95は無電解めっきで形成されており、コンタクトパッド95の無電解めっき層から配線層47を成長させることができる。シームレスな成長が可能となるので、信頼性を向上させることができる。
【0065】
なお、配線層47は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法が、3次元積層メモリデバイス(3次元NANDフラッシュメモリ)に適用される場合には、配線層47はワードラインを構成する点も、第1の実施形態で説明したのと同様である。
【0066】
この後は、第1の実施形態の
図1で説明したように、コンタクトホール110をエッチングにより形成する。コンタクトパッド95が配線層47の階段形状のステップ部分に形成されているので、エッチング深さの異なるエッチングが同時に行われても、上層におけるパンチスルーを防止することができる。
【0067】
上述の3次元積層メモリデバイスには、コントロールゲートにポリシリコンを用い、そこで電荷をチャージするタイプと、タングステンゲートを用いたタイプがあるが、第1の実施形態に係る半導体装置、コンタクトパッドの製造方法及び半導体装置の製造方法は、コントロールゲートにポリシリコンを用いたタイプの3次元積層メモリデバイスに好適に適用することができる。一方、第2の実施形態に係る半導体装置、コンタクトパッドの製造方法及び半導体装置の製造方法は、タングステンゲートを用いたタイプの3次元積層メモリデバイスに好適に適用することができる。このように、用途に応じて、第1の実施形態に係る半導体装置、コンタクトパッドの製造方法及び半導体装置の製造方法と、第2の実施形態に係る半導体装置、コンタクトパッドの製造方法及び半導体装置の製造方法を好適に適用することができる。
【0068】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、配線層45を窒化シリコン膜で構成し、コンタクトパッド95を形成するまでは、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、その説明を省略し、異なる工程についてのみ説明する。
【0069】
図14は、コンタクトパッド形成工程が終了し、コンタクトパッド95が形成された状態を示した図である。ここまでは、第2の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法及び半導体装置の製造方法と同様であるので、対応する構成要素に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図15は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の配線層除去工程の一例を示した図である。第3の実施形態における配線層除去工程においては、配線層45の窒化シリコン膜のみならず、コンタクトパッド95の金属層も含めて除去され、配線層45及びコンタクトパッド95が存在した領域に空間(空洞)48が形成される。なお、配線層45及びコンタクトパッド95は、種々の方法により除去されてよいが、例えば、コンタクトパッド95がコバルトからなる場合、熱リン酸及び硫酸を用いてウェットエッチングすることにより、窒化シリコン膜及びコバルト無電解めっき層を除去することができ、空間48を形成することができる。
【0071】
図16は、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の配線層形成工程の一例を示した図である。第3の実施形態における配線層形成工程においては、空間48全体に導電材料が充填され、配線層49が形成される。
【0072】
配線層49は、第2の実施形態と同様、導電性を有する材料であれば、種々の材料から構成されてよく、例えば、金属材料から構成されてもよい。また、導電材料の充填方法も、用途に応じて種々の成膜方法又は充填方法を用いることができるが、空間48は、内壁面が総て絶縁膜からなり、導電性物質は存在しないので、無電解めっきによる埋め込みを行うことはできない。よって、例えば、CVD、ALD等の処理ガスを用いた成膜方法を用いて、空間48の埋め込みを行う。
【0073】
例えば、窒化チタン(TiN)をライナー、タングステン(W)をバルクとしてCVD又はALD(Atomic Layer Deposition、原子層堆積法)により埋め込み成膜を行ってもよい。配線層45の部分の更に奥側に、コンタクトパッド95の空間が広がっているため、CVD、ALD等による埋め込み成膜時にボイドが出来易いという懸念はあるが、低抵抗の単一金属で埋め込みを行うことができ、接合部は存在しないので、コンタクト抵抗は低くなるという利点がある。
【0074】
このように、コンタクト抵抗を低下させたい場合には、第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、低抵抗の半導体装置を製造することができる。
【0075】
この後、コンタクトホール110を形成する点は、第1及び第2の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
本開示の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法、半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば、コンタクトパッド90、95を階段形状の構造体60、65のステップ部分の配線層40、45が露出した箇所に形成し、配線層40、45を保護することにより、エッチングによる配線層40、45のパンチスルーを防止しつつ、1回のエッチング処理で複数のコンタクトホール110を形成することが可能な半導体装置を提供することができる。階段形状の構造体60、65において、1回のエッチングですべてのコンタクトホール110を形成してもよいし、深さレベルの違う複数のコンタクトホール110をグループ化しておき、何回かに分けてエッチングしてもよい。
【0077】
また、第1乃至第3の実施形態においては、配線層40、45がシリコン又は窒化シリコンからなる場合のプロセスを説明したが、選択的な無電解めっきにより構造体60の階段形状のステップ部分にコンタクトパッド90、95を形成することができれば、配線層40、45の材料は問わない。第1の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法、半導体装置の製造方法及び半導体装置は、配線層40が導電性材料から構成されている種々の態様に適用可能である。また、第2及び第3の実施形態に係るコンタクトパッドの製造方法、半導体装置の製造方法及び半導体装置は、最終的に配線層45を導電材料に入れ替えるので、絶縁材料を含めた種々の材料を配線層45として用いることが可能である。つまり、配線層40、45の材料に応じて触媒液80、無電解めっき液を適切に選択し、無電解めっき層を構造体60、65の階段形状のステップ部分にのみ選択的に成長させてコンタクトパッド90、95を形成できれば、種々の材料からなる配線層40、45を用いたプロセスに適用可能である。
【0078】
以上、本開示の好ましい実施形態について詳説したが、本開示は、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0079】
本願は、日本特許庁に2017年3月9日に出願された基礎出願2017-044808号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。