(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該保護部材付きウェーハ形成ステップでは、平坦なシートに塗布された該液状樹脂に該保護フィルムを介して該ウェーハを押し当てた後、該液状樹脂を外的刺激で硬化させて該ウェーハに該液状樹脂からなる該保護部材を固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウェーハの加工方法。
該保護フィルム密着ステップでは、減圧下で該保護フィルムを該ウェーハの該表面に押し当てた後、大気圧によって該保護フィルムを該凹凸に倣って密着させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のウェーハの加工方法。
該保護フィルム密着ステップでは、緩衝材を介して該保護フィルムを押すことで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のウェーハの加工方法。
該保護フィルム密着ステップでは、緩衝材を介して該保護フィルムに錘を載せることで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のウェーハの加工方法。
該保護フィルム密着ステップでは、該緩衝材を介して大気圧下で該保護フィルムに該錘を載せた後、該錘が載せられた該ウェーハを減圧チャンバに投入することを特徴とする請求項6に記載のウェーハの加工方法。
該保護フィルム密着ステップでは、該デバイス領域に該保護フィルムを重ねた状態で該ウェーハを減圧チャンバに投入し、該減圧チャンバが備える押圧部によって該保護フィルムを押すことで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のウェーハの加工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このウェーハの表面側には、デバイスの電極として機能するバンプ等により凹凸が形成されていることも多い。ウェーハの表面側に凹凸が存在すると、この凹凸の高低差を粘着テープで十分に緩和できず、凹凸に対応する形状が研削後のウェーハの裏面側に表れてしまう。
【0006】
一方で、保護部材として硬度が高めの基板を使用すれば、このような問題は殆ど発生しない。しかしながら、この基板は、熱可塑性ワックス等の接着剤でウェーハに接着されるので、研削後のウェーハから基板を剥離する際には、溶液への浸漬や加熱といった剥離のためだけの追加の作業が必要であった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウェーハの裏面側を研削する際に、表面側に存在する凹凸の影響を十分に抑制しながら研削後に追加の作業を必要としないウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、凹凸のあるデバイスが形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲む外周余剰領域とを表面に有するウェーハの該外周余剰領域を除く該デバイス領域を
、接着剤による接着力がない保護フィルムで覆い、該保護フィルムを該凹凸に倣って該表面側に密着させる保護フィルム密着ステップと、外的刺激によって硬化する硬化型の液状樹脂からなる保護部材で該保護フィルム及び露出している該外周余剰領域を被覆し、該ウェーハの該表面側が該保護部材で覆われた保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップと、チャックテーブルの保持面で該保護部材付きウェーハの該保護部材側を保持した状態で、該ウェーハの裏面を研削し、該ウェーハを薄くする研削ステップと、薄くなった該ウェーハから該保護部材及び該保護フィルムを剥離する剥離ステップと、を備えるウェーハの加工方法が提供される。
【0009】
本発明の一態様において、該ウェーハの外周縁の該表面側は面取りされており、該保護部材付きウェーハ形成ステップでは、該面取りされた該外周縁の該表面側の一部を含む該ウェーハの該表面側を覆うように該保護部材を被覆しても良い。
【0010】
また、本発明の一態様において、該保護部材付きウェーハ形成ステップでは、平坦なシートに塗布された該液状樹脂に該保護フィルムを介して該ウェーハを押し当てた後、該液状樹脂を外的刺激で硬化させて該ウェーハに該液状樹脂からなる該保護部材を固定しても良い。
【0011】
また、本発明の一態様において、該保護フィルム密着ステップでは、減圧下で該保護フィルムを該ウェーハの該表面に押し当てた後、大気圧によって該保護フィルムを該凹凸に倣って密着させても良い。
【0012】
また、本発明の一態様において、該保護フィルム密着ステップでは、緩衝材を介して該保護フィルムを押すことで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てても良い。
【0013】
また、本発明の一態様において、該保護フィルム密着ステップでは、緩衝材を介して該保護フィルムに錘を載せることで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てても良い。
【0014】
また、本発明の一態様において、該緩衝材を介して大気圧下で該保護フィルムに該錘を載せた後、該錘が載せられた該ウェーハを減圧チャンバに投入しても良い。
【0015】
また、本発明の一態様において、該保護フィルム密着ステップでは、該デバイス領域に該保護フィルムを重ねた状態で該ウェーハを減圧チャンバに投入し、該減圧チャンバが備える押圧部によって該保護フィルムを押すことで該保護フィルムを該ウェーハの該表面側に押し当てても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、凹凸のあるデバイスが形成されたデバイス領域を保護フィルムで覆い、この保護フィルムを凹凸に倣ってデバイス領域に密着させた後に、外的刺激によって硬化する硬化型の液状樹脂からなる保護部材で保護フィルム及び外周余剰領域を被覆し、ウェーハの表面側が保護部材で覆われた保護部材付きウェーハを形成するので、保護部材を適切な厚みに形成することで、表面側の凹凸を十分に緩和できる。
【0017】
また、本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、保護フィルムがデバイス領域に密着しているだけで接着されていないので、溶液への浸漬や加熱といった剥離のためだけの作業を行わなくても、ウェーハから保護部材及び保護フィルムを剥離できる。このように、本発明の一態様によれば、ウェーハの裏面側を研削する際に、表面側に存在する凹凸の影響を十分に抑制しながら研削後に追加の作業を必要としないウェーハの加工方法が提供される。
【0018】
更に、本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、外的刺激によって硬化する硬化型の液状樹脂からなる保護部材で保護フィルムと共に外周余剰領域を被覆するので、保護部材は、外周余剰領域でウェーハに密着する。よって、接着剤(糊)による接着力がない保護フィルムを用いても、研削等の際にウェーハから保護フィルム及び保護部材が剥離してしまうことはない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。本実施形態に係るウェーハの加工方法は、保護フィルム密着ステップ(
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)参照)、保護部材付きウェーハ形成ステップ(
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)参照)、研削ステップ(
図4(A)、
図4(B)参照)、及び剥離ステップ(
図5参照)を含む。
【0021】
保護フィルム密着ステップでは、まず、ウェーハの表面側に設けられている凹凸に合わせて(倣って)、接着剤(糊)による接着力がない保護フィルムをウェーハの表面側に密着させる。保護部材付きウェーハ形成ステップでは、液状樹脂からなる保護部材で保護フィルムを被覆し、ウェーハの表面側が保護部材で覆われた保護部材付きウェーハを形成する。
【0022】
研削ステップでは、チャックテーブルの保持面で保護部材付きウェーハの保護部材側を保持した状態で、ウェーハの裏面を研削する。剥離ステップでは、薄くなったウェーハから保護部材及び保護フィルムを剥離する。以下、本実施形態に係るウェーハの加工方法について詳述する。
【0023】
本実施形態に係るウェーハの加工方法では、まず、ウェーハの表面側に設けられている凹凸に合わせて、接着剤による接着力がない保護フィルムをウェーハの表面側に密着させる保護フィルム密着ステップを行う。具体的には、接着剤が設けられていない保護フィルムでウェーハの表面側を覆い、その後、この保護フィルムをウェーハの表面側に密着させる。
【0024】
図1(A)は、ウェーハの表面側が保護フィルムで覆われる様子を模式的に示す斜視図であり、
図1(B)は、表面側が保護フィルムで覆われた状態のウェーハを模式的に示す斜視図である。
図1(A)に示すように、本実施形態で使用されるウェーハ11は、例えば、シリコン(Si)等の材料を用いて、表面11a及び裏面11bを有する円盤状に形成されている。このウェーハ11の外周縁11cの表面11a側及び裏面11b側は、面取りされている。
【0025】
また、このウェーハ11の表面11a側は、中央のデバイス領域11dと、デバイス領域11dを囲む外周余剰領域11eとに分けられている。デバイス領域11dは、格子状に配列された分割予定ライン(ストリート)13で更に複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)等のデバイス15が形成されている。各デバイス15の表面には、電極として機能する複数のバンプ(凹凸)17が設けられている。このバンプ17は、例えば、半田等の材料で形成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、シリコン等の材料でなる円盤状のウェーハ11を用いるが、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなるウェーハ11を用いることもできる。同様に、デバイス15やバンプ17の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。バンプ17の代わりに、他の機能を持つ構造(凹凸)が形成されていても良い。すなわち、ウェーハ11の表面11a側には、バンプ17が形成されていなくても良い。
【0027】
本実施形態では、まず、このウェーハ11のデバイス領域11dを保護フィルム21で覆う。保護フィルム21は、例えば、樹脂等の材料でなる柔軟なフィルムであり、デバイス領域11dに対応した径(直径)を持つ円盤状に形成されている。すなわち、保護フィルム21の径は、ウェーハ11の径よりも小さい。また、この保護フィルム21には、接着剤が設けられていない。保護フィルム21の厚みに特段の制限はないが、例えば、30μm〜150μm程度の厚みの保護フィルム21を用いると良い。
【0028】
図1(A)に示すように、デバイス領域11dの外周縁に保護フィルム21の外周縁を合わせるようにウェーハ11の表面11a側に保護フィルム21を重ねることで、ウェーハ11のデバイス領域11dを保護フィルム21で覆うことができる。すなわち、この状態では、
図1(B)に示すように、ウェーハ11の外周余剰領域11eが露出している。
【0029】
ウェーハ11の表面11a側(デバイス領域11d)を保護フィルム21で覆った後には、この保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に密着させる。
図2(A)は、ウェーハ11の表面11a側に保護フィルム21を押し当てる様子を模式的に示す断面図であり、
図2(B)は、ウェーハ11の表面11a側に保護フィルム21を密着させる様子を模式的に示す断面図であり、
図2(C)は、保護フィルム21が密着した状態のウェーハ11を模式的に示す断面図である。
【0030】
具体的には、まず、
図2(A)に示すように、スポンジ等の緩衝材2を介して大気圧下で錘4をウェーハ11の表面11a側(表面11a側を覆う保護フィルム21)に載せ、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に押し当てる。言い換えれば、緩衝材2を介して保護フィルム21を押すことで、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に押し当てる。その結果、保護フィルム21の一部が、ウェーハ11の表面11a側に接触する。
【0031】
次に、
図2(B)に示すように、錘4が載せられた状態のウェーハ11を減圧チャンバ6に搬入(投入)する。この減圧チャンバ6は、例えば、ウェーハ11を通過させることのできる大きさの開口を有する箱体6aと、箱体6aの開口を閉じるための扉体6bとを備えている。箱体6aには、排気管8やバルブ10等を介して吸引源(不図示)が接続されている。また、箱体6aには、空気(大気)を吸引するための吸気管12やバルブ14が接続されている。
【0032】
箱体6aの内部には、ウェーハ11を支持するための支持テーブル16が配置されている。この支持テーブル16の上面は、概ね平坦に形成されており、ウェーハ11を支持するための支持面16aとして機能する。支持面16aには、ウェーハ11の位置を規定するための凸状のガイド部16bが設けられている。また、支持テーブル16の内部には、加熱用のヒーター18が設けられている。
【0033】
箱体6aの開口を通じて、錘4が載せられた状態のウェーハ11を減圧チャンバ6に搬入し、支持テーブル16に載せた後には、
図2(B)に示すように、扉体6bを閉めてバルブ14を閉じ、更に、バルブ10を開くことで、減圧チャンバ6の内側の空間を減圧する。これにより、保護フィルム21は、減圧下でウェーハ11の表面11a側に押し当てられることになる。また、ウェーハ11の表面11aと保護フィルム21との間に残留している気体(空気)が除去される。
【0034】
減圧チャンバ6の内側の空間を十分に減圧した後には、バルブ10を閉じ、更に、バルブ14を開くことで、減圧チャンバ6の内側の空間に空気(大気)を導入する。これにより、保護フィルム21に大気圧を作用させ、
図2(C)に示すように、ウェーハ11の表面11a側に設けられているバンプ17等の形状に合わせて(倣って)、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に密着させることができる。
【0035】
なお、保護フィルム21に大気圧を作用させる際には、ヒーター18で保護フィルム21を加熱し、軟化させても良い。この場合には、ウェーハ11に対して保護フィルム21をより密着させ易くなる。
【0036】
保護フィルム密着ステップの後には、液状樹脂からなる保護部材で保護フィルム21を被覆し、ウェーハ11の表面11a側が保護部材で覆われた保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップを行う。
【0037】
図3(A)は、シートに塗布された液状樹脂に保護フィルムを介してウェーハ11を押し当てる様子を模式的に示す断面図であり、
図3(B)は、液状樹脂を硬化させてウェーハ11に液状樹脂からなる保護部材を固定する様子を模式的に示す断面図であり、
図3(C)は、完成した保護部材付きウェーハを模式的に示す断面図である。なお、
図3(A)及び
図3(B)では、一部の構成要素を機能ブロックで示している。
【0038】
本実施形態に係る保護部材付きウェーハ形成ステップは、例えば、
図3(A)及び
図3(B)に示すような保護部材固定装置22を用いて行われる。保護部材固定装置22は、樹脂等でなる概ね平坦なシート(キャリアシート)23を保持するための保持テーブル24を備えている。保持テーブル24の上面側には、ウェーハ11より径の大きい円形の凹部24aが形成されている。
【0039】
凹部24aの内側には、紫外線光源26が配置されている。この凹部24aの上端は、紫外線光源26から放射される紫外線の少なくとも一部を透過させるプレート28で覆われており、シート23の中央側の一部は、プレート28によって支持される。凹部24aの周囲には、シート23の外周側の一部を吸引するための吸気路24bの一端側が開口している。
【0040】
吸気路24bの他端側は、バルブ30等を介して吸引源32に接続されている。吸気路24bを通じてシート23の外周側の一部に吸引源32の負圧を作用させることで、シート23は、保持テーブル24に保持される。この保持テーブル24の上方には、ウェーハ11を吸引、保持するためのウェーハ保持ユニット34が配置されている。ウェーハ保持ユニット34は、移動機構(不図示)によって支持されており、その下面34a側でウェーハ11を吸引、保持しながら、鉛直方向に移動する。
【0041】
保護部材付きウェーハ形成ステップでは、
図3(A)に示すように、液状樹脂25が上面に塗布されたシート23の下面側を保持テーブル24によって保持する。また、ウェーハ保持ユニット34の下面34a側でウェーハ11の裏面11b側を保持する。これにより、ウェーハ11の表面11a側に密着している保護フィルム21がシート23上の液状樹脂25に対面する。
【0042】
この液状樹脂25としては、例えば、紫外線光源26から放射される紫外線によって硬化する硬化型の液状樹脂が用いられる。具体的には、例えば、デンカ株式会社製のTEMPLOC(登録商標)等を用いることができる。また、本実施形態では、液状樹脂25が上面に塗布された状態のシート23を保持テーブル24によって保持しているが、シート23を保持テーブル24によって保持してからシート23の上面に液状樹脂25を塗布しても良い。
【0043】
次に、ウェーハ保持ユニット34を下降させ、
図3(B)に示すように、保護フィルム21を介してウェーハ11の表面11a側を液状樹脂25に押し当てる。これにより、液状樹脂25は、ウェーハ11の径方向に広がるとともに、保護フィルム21及び外周余剰領域11eを被覆する。なお、本実施形態では、面取りされた外周縁11cの表面11a側の一部が液状樹脂25によって覆われるように、液状樹脂25の塗布量やウェーハ保持ユニット34の下降量等を調整する。
【0044】
その後、紫外線光源26から紫外線を放射させて、液状樹脂25を硬化させる。これにより、
図3(C)に示すように、液状樹脂25からなり保護フィルム21及び外周余剰領域11eを被覆する保護部材27をウェーハ11の表面11a側に固定し、ウェーハ11の表面11a側が保護部材27によって覆われた保護部材付きウェーハを形成できる。なお、本実施形態では、面取りされた外周縁11cの表面11a側の一部も保護部材27によって覆われる。
【0045】
保護部材付きウェーハ形成ステップの後には、ウェーハ11の裏面11bを研削する研削ステップを行う。
図4(A)は、ウェーハ11の裏面11bが研削される様子を模式的に示す断面図であり、
図4(B)は、研削された後のウェーハ11を模式的に示す断面図である。
【0046】
研削ステップは、例えば、
図4(A)に示す研削装置42を用いて行われる。研削装置42は、ウェーハ11を吸引、保持するための保持テーブル(チャックテーブル)44を備えている。保持テーブル44は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブル44の下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブル44は、この移動機構によって水平方向に移動する。
【0047】
保持テーブル44の上面の一部は、保護部材27を介してウェーハ11に固定されたシート23を吸引、保持する保持面44aになっている。保持面44aは、保持テーブル44の内部に形成された吸気路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。吸引源の負圧を保持面44aに作用させることで、ウェーハ11は、シート23及び保護部材27を介して保持テーブル44に保持される。
【0048】
保持テーブル44の上方には、研削ユニット46が配置されている。研削ユニット46は、昇降機構(不図示)によって支持されたスピンドルハウジング(不図示)を備えている。スピンドルハウジングには、スピンドル48が収容されており、スピンドル48の下端部には、円盤状のマウント50が固定されている。
【0049】
マウント50の下面には、マウント50と概ね同径の研削ホイール52が装着されている。研削ホイール52は、ステンレス、アルミニウム等の金属材料で形成されたホイール基台54を備えている。ホイール基台54の下面には、複数の研削砥石56が環状に配列されている。
【0050】
スピンドル48の上端側(基端側)には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、研削ホイール52は、この回転駆動源から発生する力によって、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。研削ユニット46の内部又は近傍には、純水等の研削液をウェーハ11等に対して供給するためのノズル(不図示)が設けられている。
【0051】
研削ステップでは、まず、ウェーハ11を、研削装置42の保持テーブル44に吸引、保持させる。具体的には、保護部材27を介してウェーハ11に固定されているシート23を保持テーブル44の保持面44aに接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、ウェーハ11は、裏面11b側が上方に露出した状態で保持テーブル44に保持される。
【0052】
次に、保持テーブル44を研削ユニット46の下方に移動させる。そして、
図4(A)に示すように、保持テーブル44と研削ホイール52とをそれぞれ回転させて、研削液をウェーハ11の裏面11b等に供給しながらスピンドルハウジング(スピンドル48、研削ホイール52)を下降させる。
【0053】
スピンドルハウジングの下降速度(下降量)は、ウェーハ11の裏面11b側に研削砥石56の下面が押し当てられる程度に調整される。これにより、裏面11b側を研削してウェーハ11を薄くできる。
図4(B)に示すように、ウェーハ11が所定の厚み(仕上げ厚み)まで薄くなると、研削ステップは終了する。
【0054】
なお、本実施形態では、1組の研削ユニット46を用いてウェーハ11の裏面11b側を研削しているが、2組以上の研削ユニットを用いてウェーハ11を研削しても良い。この場合には、例えば、径が大きい砥粒で構成された研削砥石を用いて粗い研削を行い、径が小さい砥粒で構成された研削砥石を用いて仕上げの研削を行うことで、研削に要する時間を大幅に長くすることなく裏面11bの平坦性を高められる。
【0055】
研削ステップの後には、薄くなったウェーハ11から保護フィルム21や保護部材27等を剥離する剥離ステップを行う。
図5は、ウェーハ11から保護フィルム21や保護部材27等が剥離される様子を模式的に示す断面図である。この剥離ステップでは、まず、ウェーハ保持ユニット62の保持面62aでウェーハ11の裏面11b側を吸引、保持する。
【0056】
次に、剥離ユニット64でシート23の端部を把持する。そして、シート23の端部側をウェーハ11から引き剥がすように、ウェーハ保持ユニット62と剥離ユニット64とを相対的に移動させる。これにより、
図5に示すように、ウェーハ11から、保護フィルム21、シート23及び保護部材27をまとめて剥離できる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、バンプ(凹凸)17のあるデバイス15が形成されたデバイス領域11dを保護フィルム21で覆い、この保護フィルム21をバンプ17等の形状に合わせて(倣って)デバイス領域11dに密着させた後に、紫外線(外的刺激)によって硬化する硬化型の液状樹脂25からなる保護部材27で保護フィルム11及び外周余剰領域11eを被覆し、ウェーハ11の表面11a側が保護部材27で覆われた保護部材付きウェーハを形成するので、保護部材27を適切な厚みに形成することで、表面11側の凹凸を十分に緩和できる。
【0058】
また、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、保護フィルム21がデバイス領域11dに密着しているだけで接着されていないので、溶液への浸漬や加熱といった剥離のためだけの作業を行わなくても、ウェーハ11から保護部材27及び保護フィルム21を剥離できる。このように、本実施形態によれば、ウェーハ11の裏面11b側を研削する際に、表面11a側に存在するバンプ17等による凹凸の影響を十分に抑制しながら研削後に追加の作業を必要としないウェーハの加工方法が提供される。
【0059】
更に、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、紫外線によって硬化する硬化型の液状樹脂25からなる保護部材27で保護フィルム21と共に外周余剰領域11eを被覆するので、保護部材27は、外周余剰領域11eでウェーハ11に密着する。よって、接着剤(糊)による接着力がない保護フィルム21を用いても、研削等の際にウェーハ11から保護フィルム21及び保護部材27が剥離してしまうことはない。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、液状樹脂25として、紫外線によって硬化する硬化型の樹脂を用いているが、紫外線以外の外的な刺激(例えば、熱等)によって硬化する硬化型の液状樹脂を用いることもできる。
【0061】
また、上記実施形態では、シート23に塗布された液状樹脂25に保護フィルム21を介してウェーハ11を押し当てる方法で保護部材27をウェーハ11に固定しているが、ウェーハや保護フィルムに対して液状樹脂を滴下する方法で保護部材をウェーハに固定しても良い。この場合には、サーフェースプレーナー等を用いて保護部材の表面を平坦化することが望ましい。このように、ウェーハを研削する際に保持される保護部材の表面を平坦化することで、被研削面であるウェーハの裏面を研削して平坦にできる。
【0062】
また、上記実施形態では、緩衝材2を介して錘4をウェーハ11の表面11a側(表面11a側を覆う保護フィルム21)に載せ、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に押し当てた後に、密着させているが、別の方法で保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に密着させても良い。
【0063】
図6(A)は、ウェーハ11の表面11a側が保護フィルム21で覆われた状態を模式的に示す断面図であり、
図6(B)及び
図6(C)は、第1変形例に係る保護フィルム密着ステップについて説明するための模式的な断面図である。
【0064】
この第1変形例に係る保護フィルム密着ステップでは、まず、上記実施形態の保護フィルム密着ステップと同様の手順で、
図6(A)に示すように、ウェーハ11の表面11a側(デバイス領域11d)に保護フィルム21を重ね、この保護フィルム21でウェーハ11の表面11a側を覆う。次に、
図6(B)に示すように、ウェーハ11を減圧チャンバ6に搬入(投入)する。
【0065】
図6(B)に示すように、第1変形例に係る保護フィルム密着ステップで使用される減圧チャンバ6の基本的な構成は、上記実施形態の保護フィルム密着ステップで使用される減圧チャンバ6の構成と同じである。ただし、第1変形例に係る保護フィルム密着ステップで使用される減圧チャンバ6には、ウェーハ11に保護フィルム21を押し当てるための押圧ユニット(押圧部)72が扉体6bの内側壁面に設けられている。また、押圧ユニット72の支持テーブル16側の面には、スポンジ等の緩衝材74が配置されている。
【0066】
そのため、
図6(B)及び
図6(C)に示すように、ウェーハ11を減圧チャンバ6の支持テーブル16に載せて扉体6bを閉めると、保護フィルム21は、緩衝材74を介して押圧ユニット72に押される。これにより、保護フィルム21はウェーハ11の表面11a側に押し当てられる。つまり、保護フィルム21の一部がウェーハ11の表面11a側に接触する。
【0067】
次に、
図6(C)に示すように、バルブ14を閉じ、更に、バルブ10を開くことで、減圧チャンバ6の内側の空間を減圧する。これにより、保護フィルム21は、減圧下でウェーハ11の表面11a側に押し当てられることになる。また、ウェーハ11の表面11aと保護フィルム21との間に残留している気体(空気)が除去される。
【0068】
減圧チャンバ6の内側の空間を十分に減圧した後には、バルブ10を閉じ、更に、バルブ14を開くことで、減圧チャンバ6の内側の空間に空気(大気)を導入する。これにより、保護フィルム21に大気圧を作用させ、ウェーハ11の表面11a側に設けられているバンプ17等の形状に合わせて(倣って)、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に密着させることができる。
【0069】
図7(A)及び
図7(B)は、第2変形例に係る保護フィルム密着ステップについて説明するための模式的な断面図である。第2変形例に係る保護フィルム密着ステップでは、まず、ウェーハ11の裏面11b側を保持テーブル82の保持面82aで保持する。保持テーブル82の基本的な構成は、保持テーブル44の構成等と同じで良い。ただし、この保持テーブル82の内部には、加熱用のヒーター84が設けられている。
【0070】
次に、シート(離型シート)29の下面側で保持された状態の保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側(デバイス領域11d)に対面させて、ローラー86で離型シート29の上面側を押す。この時、ヒーター84で保護フィルム21を加熱し、軟化させておくと良い。これにより、保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に重ねて、ウェーハ11のデバイス領域11dを保護フィルム21で覆うことができる。
【0071】
なお、このローラー86を用いる被覆作業は、減圧チャンバ6内で行われても良い。ウェーハ11の表面11a側(デバイス領域11d)を保護フィルム21で覆った後には、上記実施形態や第1変形例と同様の手順で、この保護フィルム21をウェーハ11の表面11a側に密着させる。
【0072】
その他、上記実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。