特許第6906897号(P6906897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京精密の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6906897
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】亀裂検出装置及び亀裂検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/22 20060101AFI20210708BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20210708BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   G01B11/22 Z
   G01N21/956 A
   H01L21/78 B
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-15634(P2016-15634)
(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公開番号】特開2017-133997(P2017-133997A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年10月25日
【審判番号】不服2020-7560(P2020-7560/J1)
【審判請求日】2020年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】百村 和司
【合議体】
【審判長】 岡田 吉美
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−132761(JP,A)
【文献】 特開2013−029462(JP,A)
【文献】 特開平9−311109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/22
G01N 21/956
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主光軸に対して平行であって前記主光軸から偏心した光源光軸に沿って検出光を出射する光源部と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有し、前記レンズ光軸からずれた位置に前記検出光が入射し、被加工物に対して前記検出光を斜め方向から偏射照明する集光レンズと、
前記検出光の前記被加工物からの反射光を、前記集光レンズを介して検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出手段と、
前記検出信号に基づき、前記被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出手段と、
を備え
前記光検出手段は、前記検出光が前記亀裂によって反射される場合と反射されない場合の双方において、前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出可能である、
亀裂検出装置。
【請求項2】
前記集光レンズの集光点を前記被加工物の厚さ方向に変化させる集光点変更手段を備え、
前記亀裂検出手段は、前記集光点変更手段により前記集光レンズの集光点を前記被加工物の厚さ方向に変化させたときの前記検出信号の変化に基づいて前記亀裂の亀裂深さを検出する、
請求項1に記載の亀裂検出装置。
【請求項3】
前記集光レンズ及び前記被加工物の少なくとも一方を前記レンズ光軸に垂直な方向に移動させて前記集光レンズと前記被加工物との相対的な位置合わせを行うアライメント手段を備える、
請求項1又は2に記載の亀裂検出装置。
【請求項4】
主光軸に対して平行であって前記主光軸から偏心した光源光軸に沿って検出光を出射する光源部と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有し、前記光源部から出射した前記検出光を被加工物の内部に集光させる集光レンズと、
前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出手段と、
前記検出信号に基づき、前記被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出手段とを備え、
前記光源部は、
前記主光軸に対して平行であって前記主光軸に対して一方向に偏心した位置に配置された第1光源光軸に沿って第1検出光を出射する第1光源と、
前記主光軸に対して平行であって前記主光軸に対して前記一方向とは反対側の他方向に偏心した位置に配置された第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する第2光源と、を備え、
前記亀裂検出手段は、前記第1検出光に基づいて検出される前記亀裂の亀裂深さを第1亀裂深さとし、前記第2検出光に基づいて検出される前記亀裂の亀裂深さを第2亀裂深さとしたとき、前記第1亀裂深さと前記第2亀裂深さとの平均値を前記亀裂の亀裂深さとして検出
前記光検出手段は、前記検出光が前記亀裂によって反射される場合と反射されない場合の双方において、前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出可能である、
亀裂検出装置。
【請求項5】
主光軸に対して平行であって前記主光軸から偏心した光源光軸の方向に沿って検出光を出射する検出光出射工程と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより、前記レンズ光軸からずれた位置に前記検出光が入射し、被加工物に対して前記検出光を斜め方向から偏射照明する集光工程と、
前記検出光の前記被加工物からの反射光を、前記集光レンズを介して検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出工程と、
前記検出信号に基づき、前記被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出工程と、
を備え
前記光検出工程では、前記検出光が前記亀裂によって反射される場合と反射されない場合の双方において、前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出可能である、
亀裂検出方法。
【請求項6】
前記集光レンズの集光点を前記被加工物の厚さ方向に変化させる集光点変更工程を備え、
前記亀裂検出工程は、前記集光点変更工程により前記集光レンズの集光点を前記被加工物の厚さ方向に変化させたときの前記検出信号の変化に基づいて前記亀裂の亀裂深さを検出する、
請求項5に記載の亀裂検出方法。
【請求項7】
前記集光レンズ及び前記被加工物の少なくとも一方を前記レンズ光軸に垂直な方向に移動させて前記集光レンズと前記被加工物との位置合わせを行うアライメント工程を備える、
請求項5又は6に記載の亀裂検出方法。
【請求項8】
主光軸に対して平行であって前記主光軸から偏心した光源光軸の方向に沿って検出光を出射する検出光出射工程と、
前記主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより前記検出光を被加工物の内部に集光させる集光工程と、
前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出工程と、
前記検出信号に基づき、前記被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出工程とを備え、
前記検出光出射工程は、
前記主光軸に対して平行であって前記主光軸に対して一方向に偏心した位置に配置された第1光源光軸に沿って第1検出光を出射する第1検出光出射工程と、
前記主光軸に対して平行であって前記主光軸に対して前記一方向とは反対側の他方向に偏心した位置に配置された第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する第2検出光出射工程と、を備え、
前記亀裂検出工程は、前記第1検出光に基づいて検出される前記亀裂の亀裂深さを第1亀裂深さとし、前記第2検出光に基づいて検出される前記亀裂の亀裂深さを第2亀裂深さとしたとき、前記第1亀裂深さと前記第2亀裂深さとの平均値を前記亀裂の亀裂深さとして検出
前記光検出工程では、前記検出光が前記亀裂によって反射される場合と反射されない場合の双方において、前記検出光の前記被加工物からの反射光を検出可能である、
亀裂検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出装置及び亀裂検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン等のウェーハの内部に集光点を合わせてレーザー光を切断予定ラインに沿って照射し、加工ラインに沿ってウェーハ内部に切断の起点となる改質領域を形成するレーザーダイシング装置が知られている。改質領域が形成されたウェーハは、その後、エキスパンドやブレーキングといった割断プロセスによって切断予定ラインで割断されて個々のチップに分断される。このようなレーザーダイシング装置によれば、ウェーハ内部に改質領域が形成され、その改質領域を起点として切断予定ラインに沿ってウェーハが分断されるので、ブレードを用いてウェーハを切削して分断する一般的なダイシング装置と比べ、発塵量が低く、ダイシング傷、チッピングあるいは材料表面でのクラック等が発生する可能性が低くなる等の利点がある。
【0003】
ところで、レーザーダイシング装置によりウェーハに改質領域を形成すると、その改質領域からウェーハの厚さ方向に亀裂(クラック)が伸展する。その亀裂がウェーハの表面(レーザー光入射面)とは反対側の裏面まで到達していれば、割断プロセスにおいてチップへの分断を適正に行うことができる。その理由としては、ウェーハの裏面側に到達する亀裂は、ウェーハを分断する際の起点となるため、ウェーハの裏面への亀裂の到達がウェーハの分断率を左右することによる。また、厚いウェーハの深い位置(表面よりも裏面に近い位置)に改質領域を形成する場合があり、その場合には、亀裂が裏面にのみ到達して表面に到達しないため、表面に亀裂が到達したか否かでは必ずしも改質領域が適正に形成されたか否かを適切に判断できない場合がある。
【0004】
したがって、レーザーダイシング装置により改質領域を形成した後、割断プロセス前において、ウェーハを分断する際の起点となる改質領域が適正に形成されたか否か、すなわち、ウェーハの内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出することによって、割断プロセスにおけるチップへの分断の良否を正確に予測することが可能となる。そして、ウェーハの内部に改質領域が適正に形成されていない箇所があれば、その部分だけ、再度、レーザーダイシング装置により再加工することや、割断プロセスにおける割断方法を変えるなどの対応が可能となる。これによって、その後の割断プロセスにおけるチップの損失を無くすことができる。また、不良箇所の発生状況などを参考にしてレーザーダイシング装置における加工条件を修正することもでき、その後に加工するウェーハでの改質領域の不良箇所の発生を低減させることができる。不良箇所の改質領域を再加工する場合には、不良箇所が低減することによって、再加工に要する時間の損失も低減することができる。
【0005】
一方、被加工物の内部に発生した亀裂の評価は、従来、試料を切断研磨するか、限られた条件下での観察が行われていた。そのため、レーザーダイシング装置を用いた加工プロセスへの適用は困難であった。
【0006】
これに対し、被加工物の内部に形成された亀裂を非破壊で検査する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
特許文献1に開示された技術では、亀裂の一方から光を入射させ、亀裂を含む領域を透過した光を検出し、亀裂の散乱による検出光量の低下を利用して亀裂の検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−222517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、受光器の信号レベルが亀裂の深さを直接示すものではなく、閾値として扱われる。そのため、予め実験を行い、閾値を設定する必要があった。また、亀裂長さ(亀裂深さ)を測定するためには、実験により亀裂長さに応じて予め閾値を複数設定しておく必要があった。また、透過光(亀裂を含む領域を透過した光)の減少のみを利用して亀裂先頭位置を確認するため、亀裂の亀裂深さの検出精度を向上させるには限界がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを非破壊かつ精度よく検出することができる亀裂検出装置及び亀裂検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1態様に係る亀裂検出装置は、主光軸に対して平行であって主光軸から偏心した光源光軸に沿って検出光を出射する光源部と、主光軸と同軸のレンズ光軸を有し、光源部から出射した検出光を被加工物の内部に集光させる集光レンズと、検出光の被加工物からの反射光を検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出手段と、検出信号に基づき、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出手段と、を備える。
【0012】
本発明の第2態様に係る亀裂検出装置は、第1態様において、集光レンズの集光点を被加工物の厚さ方向に変化させる集光点変更手段を備え、亀裂検出手段は、集光点変更手段により集光レンズの集光点を被加工物の厚さ方向に変化させたときの検出信号の変化に基づいて亀裂の亀裂深さを検出する。
【0013】
本発明の第3態様に係る亀裂検出装置は、第1態様又は第2態様において、集光レンズ及び被加工物の少なくとも一方をレンズ光軸に垂直な方向に移動させて集光レンズと被加工物との相対的な位置合わせを行うアライメント手段を備える。
【0014】
本発明の第4態様に係る亀裂検出装置は、第1態様〜第3態様のいずれか1つの態様において、光源部は、主光軸に対して平行であって主光軸に対して一方向に偏心した位置に配置された第1光源光軸に沿って第1検出光を出射する第1光源と、主光軸に対して平行であって主光軸に対して一方向とは反対側の他方向に偏心した位置に配置された第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する第2光源と、を備え、亀裂検出手段は、第1検出光に基づいて検出される亀裂の亀裂深さを第1亀裂深さとし、第2検出光に基づいて検出される亀裂の亀裂深さを第2亀裂深さとしたとき、第1亀裂深さと第2亀裂深さとの平均値を亀裂の亀裂深さとして検出する。
【0015】
本発明の第5態様に係る亀裂検出方法は、主光軸に対して平行であって主光軸から偏心した光源光軸の方向に沿って検出光を出射する検出光出射工程と、主光軸と同軸のレンズ光軸を有する集光レンズにより検出光を被加工物の内部に集光させる集光工程と、検出光の被加工物からの反射光を検出し、検出した光に対応する検出信号を発生する光検出工程と、検出信号に基づき、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを検出する亀裂検出工程と、を備える。
【0016】
本発明の第6態様に係る亀裂検出方法は、第5態様において、集光レンズの集光点を被加工物の厚さ方向に変化させる集光点変更工程を備え、亀裂検出工程は、集光点変更工程により集光レンズの集光点を被加工物の厚さ方向に変化させたときの検出信号の変化に基づいて亀裂の亀裂深さを検出する。
【0017】
本発明の第7態様に係る亀裂検出方法は、第5態様又は第6態様において、集光レンズ及び被加工物の少なくとも一方をレンズ光軸に垂直な方向に移動させて集光レンズと被加工物との位置合わせを行うアライメント工程を備える。
【0018】
本発明の第8態様に係る亀裂検出方法は、第5態様〜第7態様のいずれか1つの態様において、検出光出射工程は、主光軸に対して平行であって主光軸に対して一方向に偏心した位置に配置された第1光源光軸に沿って第1検出光を出射する第1検出光出射工程と、主光軸に対して平行であって主光軸に対して一方向とは反対側の他方向に偏心した位置に配置された第2光源光軸に沿って第2検出光を出射する第2検出光出射工程と、を備え、亀裂検出工程は、第1検出光に基づいて検出される亀裂の亀裂深さを第1亀裂深さとし、第2検出光に基づいて検出される亀裂の亀裂深さを第2亀裂深さとしたとき、第1亀裂深さと第2亀裂深さとの平均値を亀裂の亀裂深さとして検出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被加工物の内部に形成された亀裂の亀裂深さを非破壊かつ精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図
図2図1に示した亀裂検出装置の照明光学系及び検出光学系を含む要部構成を示した概略図
図3A】被加工物に対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した図
図3B】被加工物に対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した図
図3C】被加工物に対して検出光の偏射照明が行われたときの様子を示した図
図4A】光検出器に受光される反射光の様子を示した図
図4B】光検出器に受光される反射光の様子を示した図
図4C】光検出器に受光される反射光の様子を示した図
図5】被加工物からの反射光が集光レンズ瞳に到達する経路を説明するための図
図6】第1の実施形態に係る亀裂検出装置を用いた亀裂検出方法の一例を説明したフローチャート
図7A】亀裂検出処理の誤差要因を説明するための図
図7B】亀裂検出処理の誤差要因を説明するための図
図7C】亀裂検出処理の誤差要因を説明するための図
図8】第2の実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図
図9】第2の実施形態における亀裂検出処理の原理を説明するための図
図10】第2の実施形態に係る亀裂検出装置を用いた亀裂検出方法の一例を説明したフローチャート
図11】第2の実施形態に係る亀裂検出装置を用いて評価実験を行った結果を示した図
図12】第2の実施形態に係る亀裂検出装置を用いて評価実験を行った結果を示した図
図13】第2の実施形態に係る亀裂検出装置を用いて評価実験を行った結果を示した図
図14】クサビ型プリズムを用いて亀裂を検出する様子を示した図
図15】クサビ型プリズムの一例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、第1の実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る亀裂検出装置10は、被加工物Wに対して検出光L1を照射し、被加工物Wからの反射光L2を検出することで、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの測定を行う装置である。なお、亀裂検出装置10は、被加工物Wの内部に改質領域を形成するレーザーダイシング装置(不図示)と組み合わされたものであるが、図1では、図面の複雑化を避けるため、本発明の説明を行う上で必要な亀裂検出装置に係る構成要素のみを図示している。また、本実施形態においては、亀裂Kの亀裂深さとは、被加工物Wの裏面から亀裂Kの下端位置もしくは上端位置までの距離を示すものとして説明するが、もちろん、これに限定されるものではなく、被加工物Wの表面(検出光照射面)からの距離としてもよい。後述する第2の実施形態においても同様である。
【0024】
図1に示すように、亀裂検出装置10は、光源部14と、照明光学系16と、ダイクロイックミラー18と、集光レンズ20と、ハーフミラー22と、検出光学系24と、光検出器26と、フォーカス調整機構28と、アライメント機構29と、制御部30と、を備えている。なお、被加工物Wは、図示しないステージに載置される。
【0025】
光源部14は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを検出するための検出光L1を出射するものである。ここで、被加工物Wがシリコンウェーハの場合、検出光L1には、波長1100nm以長の赤外光を用いるのが望ましい。光源部14は、集光レンズ20のレンズ光軸と同軸である主光軸Pに対して平行であって主光軸Pから一方向(図1の下側)に偏心した光源光軸Qを有する光源32を備えている。すなわち、光源32は、主光軸Pから偏心した位置から主光軸Pに沿って検出光L1を出射する。なお、光源32は、制御部30と接続されており、制御部30により光源32の出射制御が行われる。
【0026】
照明光学系16は、一対のリレーレンズ40、42と、光源32から被加工物Wに向けて照射される検出光L1の範囲を制限する視野絞り44とから構成されている。一対のリレーレンズ40、42は非テレセントリックなアフォーカル光学系を構成するものであり、視野絞り44は集光レンズ20の集光点と共役な位置となるように配置されている。これにより、検出光L1が被加工物Wの内部における集光レンズ20の像面(集光面)の1点に向かって集光して光スポットを形成するので、不要な反射光や散乱光を低減することができ、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの検出精度を向上させることが可能となる。なお、光源32から出射された検出光L1がコリメート光(平行光)である場合には視野絞り44を省略してもよい。
【0027】
ハーフミラー22は、照明光学系16とフォーカス調整機構28との間に配置されており、入射光の一部を透過し一部を反射する。すなわち、ハーフミラー22は、光源32から照明光学系16を経由して入射する検出光L1の一部を透過し、その透過光(検出光L1)をフォーカス調整機構28、ダイクロイックミラー18を経由して集光レンズ20に導くとともに、被加工物Wからの検出光L1の反射光L2の一部を反射し、その反射光(反射光L2)を検出光学系24に導く。
【0028】
ダイクロイックミラー18は、主光軸Pを90度折り曲げるものである。すなわち、ダイクロイックミラー18は、光源32からの検出光L1を直角に反射して集光レンズ20に導くとともに、被加工物Wからの反射光L2を直角に反射してフォーカス調整機構28を経由してハーフミラー22に導く。なお、ダイクロイックミラー18の代わりに、全反射ミラーを配置してもよい。
【0029】
集光レンズ20は、被加工物Wに対向する位置に配置されており、光源32から照明光学系16、ハーフミラー22、フォーカス調整機構28、ダイクロイックミラー18を介して入射した検出光L1を被加工物Wの内部に集光する。なお、集光レンズ20のレンズ光軸は主光軸Pと同軸となっている。集光レンズ20により被加工物Wの内部に検出光L1が集光されると、被加工物Wからの反射光L2は、集光レンズ20、ダイクロイックミラー18、フォーカス調整機構28を経由してハーフミラー22で反射され、検出光学系24に導かれる。
【0030】
検出光学系24は、ハーフミラー22で反射した反射光L2を光検出器26に導くためのものであり、1対のリレーレンズ46、48と、被加工物Wからの反射光L2の範囲を制限する視野絞り52とから構成されている。一対のリレーレンズ46、48は非テレセントリックなアフォーカル光学系を構成するものであり、視野絞り52は集光レンズ20の集光点と共役な位置となるように配置されている。視野絞り52は、被加工物Wの表面(検出光照射面)で反射して光検出器26に入射する光を極力抑えることができ、不要な反射光成分を低減して検出精度の向上を図ることができる。
【0031】
光検出器26は、集光レンズ20の集光レンズ瞳20a(図2参照)と共役な位置となるように配置されており、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの有無に応じて変化する反射光L2を検出するために設けられたものである。光検出器26は、2つに分割された受光面(受光素子)26a、26bを有する2分割フォトディテクタからなり、被加工物Wからの反射光L2を各受光面26a、26bで受光し、各受光面26a、26bで受光した光量に応じた検出信号をそれぞれ制御部30に出力する。なお、光検出器26としては、複数に分割された受光面を有する分割型光検出器であればよく、例えば、2分割フォトディテクタに代えて、4分割フォトディテクタを用いてもよい。光検出器26は、光検出手段の一例である。また、光検出器26の代わりに、赤外線カメラで撮像し、画像処理を行ってもよい。
【0032】
フォーカス調整機構28は、集光点変更手段の一例であり、集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に調整するものである。フォーカス調整機構28は、ダイクロイックミラー18とハーフミラー22との間、すなわち、光源部14からの検出光L1と被加工物Wからの反射光L2との共通光路上に配置される。このフォーカス調整機構28は、所定の範囲内で移動する移動レンズを含む複数のレンズからなるフォーカスレンズ群と、フォーカスレンズ群に含まれる移動レンズを主光軸Pに沿った方向に移動させるレンズ駆動部(不図示)とを備え、レンズ駆動部により移動レンズを主光軸Pに沿った方向に移動させることで他のレンズとの間隔を変化させることによって集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させる。なお、フォーカス調整機構28(レンズ駆動部)は制御部30に接続されており、制御部30により集光レンズ20の集光点の制御が行われる。
【0033】
なお、本明細書において、集光レンズ20の集光点とは、集光レンズ20により集光された検出光L1の集光点の位置をいう。また、集光レンズ20の集光点の深さ位置(Z方向位置)は、被加工物Wの裏面からの距離で示すものとする。
【0034】
アライメント機構29は、アライメント手段の一例であり、集光レンズ20と被加工物Wとの水平方向(XY方向)における相対的な位置合わせ(アライメント)を行うものである。アライメント機構29は、集光レンズ20をレンズ光軸に垂直な水平方向に微小移動させるレンズ駆動部(不図示)を有している。レンズ駆動部は制御部30に接続されており、制御部30によりレンズ駆動部を制御することで、集光レンズ20と被加工物Wとの水平方向における相対的な位置合わせが行われる。なお、アライメント機構29に代えて、被加工物Wを載置するステージ(不図示)を集光レンズ20に対して相対的に移動させるようにしてもよい。
【0035】
制御部30は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、亀裂検出装置10の各部の動作を制御する。具体的には、制御部30は、フォーカス調整機構28により集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させながら、光検出器26の各受光面26a、26bから出力された検出信号を順次取得し、取得した検出信号に基づいて被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂上端位置又は亀裂下端位置)を検出する処理(亀裂検出処理)を行う。制御部30は、亀裂検出手段の一例である。
【0036】
ここで、本実施形態における亀裂検出処理の原理について説明する。なお、ここでは、亀裂Kの亀裂深さとして亀裂下端位置を検出する場合を一例に説明する。
【0037】
図2は、図1に示した亀裂検出装置10の照明光学系16及び検出光学系24を含む要部構成の光学的な配置を示した図である。なお、図2では、図面を簡略化するため、フォーカス調整機構28とハーフミラー22との図示を省略している。
【0038】
本実施形態では、図2に示すように、光源32からの検出光L1は、主光軸Pに対して偏心した位置から主光軸Pに沿って出射される。そのため、検出光L1は、集光レンズ20の集光レンズ瞳20aの一方側の領域(すなわち、主光軸Pと同軸であるレンズ光軸からずれた位置)に入射する。したがって、集光レンズ20を通過した検出光L1の照射方向は集光レンズ20の像面(集光面)に対して斜め方向となる。すなわち、被加工物Wに対して検出光L1が斜め方向に照射される偏射照明が行われる。なお、集光レンズ20の像面は被加工物Wの表面(検出光照射面)に対して平行となるように配置される。
【0039】
図3A図3Cは、被加工物Wに対して検出光L1の偏射照明が行われたときの様子を示した説明図である。図3Aは集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在する場合、図3Bは集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在しない場合、図3Cは集光レンズ20の集光点と亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)とが一致する場合をそれぞれ示している。図4A〜4Cは、光検出器26に受光される反射光L2の様子を示した図であり、それぞれ図3A図3Cに示した場合に対応するものである。図5は、被加工物Wからの反射光L2が集光レンズ瞳20aに到達する経路を説明するための図である。なお、ここでは、検出光L1は、集光レンズ瞳20aの一方側(図4の右側)の第1領域G1を通過して、被加工物Wに対して偏射照明が行われる場合について説明する。
【0040】
図3Aに示すように、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在する場合には、検出光L1は亀裂Kで全反射して、その反射光L2は主光軸Pに対して検出光L1の光路と同じ側の経路をたどって、集光レンズ瞳20aの検出光L1と同じ側の領域に到達する成分となる。すなわち、図5に示すように、光源32からの検出光L1が集光レンズ20を介して被加工物Wに照射されるときの検出光L1の経路をR1としたとき、被加工物Wの内部の亀裂Kで全反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸Pに対して同じ側(図5の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳20aの第1領域G1を通過する。この場合、図4Aに示すように、光検出器26の受光面26a、26bのうち一方の受光面26a側に反射光L2が受光し、受光面26aから出力される検出信号のレベルが高くなる。
【0041】
図3Bに示すように、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在しない場合には、検出光L1は被加工物Wの裏面で反射し、その反射光L2は集光レンズ瞳20aの検出光L1と反対側の領域に到達する成分となる。すなわち、図5に示すように、被加工物Wの裏面で反射した反射光L2は、検出光L1の経路R1とは主光軸Pに対して反対側(図5の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳20aの第2領域G2を通過する。この場合、図4Bに示すように、光検出器26の受光面26a、26bのうち他方の受光面26b側に反射光が受光し、受光面26bから出力される検出信号のレベルが高くなる。
【0042】
図3Cに示すように、集光レンズ20の集光点と亀裂Kの下端位置とが一致する場合には、検出光L1は、亀裂Kで全反射して集光レンズ瞳20aの検出光L1と同じ側の領域に到達する反射光成分L2aと、亀裂Kで全反射されずに被加工物Wの裏面で反射して集光レンズ瞳20aの検出光L1と反対側の領域に到達する非反射光成分L2bとに分割される。すなわち、図5に示すように、反射光L2のうち、被加工物Wの内部の亀裂Kで全反射した反射光成分L2aは、検出光L1の経路R1とは主光軸Pに対して同じ側(図5の右側)の経路R2をたどって集光レンズ瞳20aの第1領域G1を通過するとともに、亀裂Kで全反射されずに被加工物Wの裏面で反射した非反射光成分L2bは、検出光L1の経路R1とは主光軸Pに対して反対側(図5の左側)の経路R3をたどって集光レンズ瞳20aの第2領域G2を通過する。この場合、図4Cに示すように、光検出器26の受光面26a、26bに反射光L2の各成分L2a、L2bがそれぞれ受光し、受光面26a、26bから出力される検出信号のレベルが略等しくなる。
【0043】
このように光検出器26の受光面26a、26bで受光される光量は、集光レンズ20の集光点に亀裂Kが存在するか否かによって変化する。本実施形態では、このような性質を利用して、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
【0044】
具体的には、光検出器26の受光面26a、26bから出力される検出信号の出力をそれぞれD1、D2としたとき、集光レンズ20の集光点と亀裂Kの亀裂深さとの関係を示す評価値Sは、次式で表すことができる。
S=(D1−D2)/(D1+D2) ・・・(1)
【0045】
式(1)において、S=0の条件を満たすとき、すなわち、光検出器26の受光面26a、26bで受光される光量が一致するとき、集光レンズ20の集光点と亀裂下端位置(又は亀裂上端位置)とが一致した状態を示す。
【0046】
したがって、制御部30は、フォーカス調整機構28を制御して集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に変化させながら、光検出器26の各受光面26a、26bから出力される検出信号を順次取得し、取得した検出信号に基づいて式(1)で示される評価値Sを算出し、この評価値Sを評価することによって亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することができる。
【0047】
次に、第1の実施形態に係る亀裂検出装置10を用いた亀裂検出方法について図6を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る亀裂検出装置10を用いた亀裂検出方法の一例を説明したフローチャートである。なお、本実施形態では、集光レンズ20の集光点は被加工物Wの厚さ方向(Z方向)に予め設定された走査間隔Δzで走査が行われ、その走査範囲における各走査位置をZi(i=1、2、・・・n)とする(但し、nは自然数とする)。また、集光レンズ20の集光点の走査範囲は検出対象となる亀裂Kの亀裂深さに応じて設定され、例えば、被加工物Wの厚さ方向の全範囲に設定されていてもよいし、その一部範囲に設定されていてもよい。例えば、亀裂Kの亀裂深さとして亀裂下端位置のみを検出する場合には、被加工物Wの深い位置(裏面に近い側)の一部範囲に走査範囲を限定することで検出効率を向上させることができる。
【0048】
(ステップS10)
まず、図示しない操作部により亀裂検出処理の開始が指示されると、制御部30は、アライメント機構29を制御にして、集光レンズ20を水平方向に移動させることにより被加工物Wと集光レンズ20との相対的な位置合わせ(アライメント)を行う(アライメント工程)。
【0049】
(ステップS12)
次に、制御部30は、変数iを1に設定する(i=1)。
【0050】
(ステップS14)
次に、制御部30は、フォーカス調整機構28のレンズ駆動部を制御して、集光レンズ20の集光点をZiに設定する。例えば、1回目の走査が行われる場合(i=1の場合)には、集光レンズ20の集光点を走査開始位置Z1に設定する。2回目以降の走査が行われる場合(i≧2の場合)には、集光レンズ20の集光点の深さ位置(Z方向位置)をZi=Zi-1+Δzに設定する(集光点変更工程)。
【0051】
(ステップS16)
次に、制御部30は、光源部14の光源32を制御して、光源32から検出光L1を出射する(検出光出射工程)。光源32からの検出光L1は、照明光学系16、ハーフミラー22、フォーカス調整機構28、ダイクロイックミラー18を経由して集光レンズ20に導かれる。そして、集光レンズ20に導かれた検出光L1は、集光レンズ20により被加工物Wの内部に集光する(集光工程)。
【0052】
被加工物Wからの反射光L2は、集光レンズ20、ダイクロイックミラー18、フォーカス調整機構28、ハーフミラー22、検出光学系24を経由して光検出器26に導かれる。そして、光検出器26に導かれた反射光L2は、光検出器26の受光面26a、26bで受光され、各受光面26a、26bで受光した光量に応じた検出信号がそれぞれ出力される(光検出工程)。
【0053】
ここで、本実施形態では、光源32は主光軸Pから偏心した位置から主光軸Pに平行な光源光軸Qに沿って検出光L1を出射するので、集光レンズ20により集光された検出光L1は、被加工物Wには集光レンズ20の像面に対して斜め方向に偏射照明が行われる。そのため、光検出器26の受光面26a、26bで受光される光量は、集光レンズ20の集光点に被加工物Wの内部に形成された亀裂Kが存在するか否かによって変化する。
【0054】
(ステップS18)
次に、制御部30は、光検出器26の受光面26a、26bから出力された検出信号D1、D2をそれぞれ取得する。
【0055】
(ステップS20)
次に、制御部30は、ステップS18で取得した検出信号D1、D2に基づき、現在の走査位置(集光レンズ20の集光点)Ziに対応する評価値Siを算出する。なお、評価値Siは、次式(2)によって算出される。なお、制御部30は、算出した評価値Siを図示しない記憶部に記憶する。
i=(D1−D2)/(D1+D2) ・・・(2)
【0056】
(ステップS22)
次に、制御部30は、変数i=nであるか否かを判断する。i=nでない場合(すなわち、変数iがn未満である場合)にはステップS24に進み、i=nである場合にはステップS26に進む。
【0057】
(ステップS24)
ステップS22においてi=nでない場合には、制御部30は、iを1つインクリメントして(i=i+1)、ステップS14に戻り、ステップS14からステップS22までの処理を繰り返し行う。
【0058】
(ステップS26)
ステップS22においてi=nである場合には、制御部30は、ステップS20において走査位置Zi毎に算出した評価値Siに基づき、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを検出する(亀裂検出工程)。
【0059】
具体的には、制御部30は、各走査位置Ziに対応する評価値Siの中から、評価値が0(ゼロ)となるときの走査位置(すなわち、集光レンズ20の集光点の深さ位置)を亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)として検出する。なお、各走査位置Ziに対応する評価値Siの中に0となる評価値が含まれていない場合には、最も0に近い評価値に対応する走査位置を亀裂Kの亀裂深さとして検出するようにしてもよい。
【0060】
なお、各走査位置Ziに対応する評価値Siの中に0となる評価値が含まれていない場合には、各走査位置Ziに対応する評価値Siを補間処理することによって評価値が0となるときの走査位置を算出し、その走査位置を亀裂Kの亀裂深さとして検出するようにしてもよい。
【0061】
また、各走査位置Ziに対応する評価値Siがいずれも同じ極性(プラスまたはマイナス)である場合には集光レンズ20の集光点の走査範囲には亀裂Kは存在しない、あるいは、全ての範囲にわたって亀裂Kが存在すると判定することが可能である。
【0062】
以上のようにして、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さが検出されると、その検出結果は図示しない表示装置(モニタ)に表示され、亀裂検出処理が終了となる。
【0063】
このように本実施形態によれば、集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向に変化させながら、被加工物Wに対して検出光L1を斜め方向に照射する偏射照明を行い、そのときに光検出器26の受光面26a、26bから出力される検出信号を順次取得し、取得した検出信号に基づいて算出される評価値Sを評価することによって被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出することが可能となる。したがって、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを非破壊かつ精度よく検出することができる。
【0064】
また、本実施形態において、集光レンズ20の集光点を被加工物Wの裏面近傍に固定した状態で(すなわち、集光レンズ20の集光点を被加工物Wの厚さ方向に変化させることなく)検出するようにしてもよい。この場合、被加工物Wの裏面まで亀裂Kが到達しているか否かを簡易に判定することが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態では、亀裂Kの亀裂深さとして亀裂下端位置を検出する場合について説明したが、これに限らず、亀裂上端位置も同様にして検出することが可能である。すなわち、例えば、亀裂Kが被加工物Wの裏面まで伸展している場合において、集光レンズ20の集光点の深さ位置を被加工物Wの裏面から徐々に遠ざけていくとすると、被加工物Wの裏面近傍では検出光L1は亀裂Kで全反射して、その反射光L2は主光軸Pに対して検出光L1の光路と同じ側の経路をたどって、集光レンズ瞳20aの検出光L1と同じ側の領域に到達する成分となる。一方、亀裂上端位置よりも上方(被加工物Wの表面に近い側)では検出光L1は被加工物Wの裏面で反射し、その反射光L2は集光レンズ瞳20aの検出光L1と反対側の領域に到達する成分となる。
【0066】
換言すれば、亀裂下端位置を検出する場合と同じ手順で亀裂上端位置も検出可能である。また、被加工物Wからの反射光L2が集光レンズ瞳20aのどちら側の領域に戻るかの情報を用いることにより、亀裂上端位置と亀裂下端位置との識別を行うことが可能である。
【0067】
また、本実施形態における亀裂検出装置10は、上述したように、図示しないレーザーダイシング装置と組み合わされたものであり、集光レンズ20及びダイクロイックミラー18はレーザーダイシング装置のレーザー加工部と共用されるが、これに限らず、レーザーダイシング装置とは組み合わされずに、単独の亀裂検出装置として構成されていてもよい。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分を中心に説明する。
【0069】
まず、第2の実施形態における課題について説明する。
【0070】
上述した第1の実施形態では、アライメント機構29によって集光レンズ20と被加工物Wとの水平方向の相対的な位置合わせ(アライメント)が行われるが、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が十分でない場合には、集光レンズ20の集光点と亀裂Kとの間に水平方向の位置ずれが生じ、亀裂検出処理の検出結果に誤差が発生する要因となる。
【0071】
図7A〜7Cは、亀裂検出処理の誤差要因を説明するための図である。図7Aは、主光軸P(集光レンズ20の光軸)と亀裂軸(亀裂Kの長手軸)Mとが一致している場合、図7Bは、主光軸Pが亀裂軸Mに対して一方側にずれた場合、図7Cは、主光軸Pが亀裂軸Mに対して他方側にずれた場合を示している。
【0072】
図7Aに示すように、主光軸Pと亀裂軸Mとが一致している場合には、集光レンズ20の集光点は亀裂軸M又はその延長線に配置されるため、集光レンズ20の集光点に基づいて亀裂Kの亀裂深さを精度良く検出することができる。すなわち、この場合には、実際の亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)dと集光レンズ20の集光点の深さ位置とが等しくなっており、集光レンズ20の集光点の深さ位置から亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)を正確に検出することが可能である。一方、図7B図7Cに示すように、主光軸Pが亀裂軸Mに対して水平方向にずれた場合には、集光レンズ20の集光点は亀裂軸M又はその延長線から水平方向に位置ずれした状態となる。このような状態において、集光レンズ20の集光点に基づいて亀裂Kの亀裂深さを検出しようとすると、検出された亀裂Kの深さに検出誤差Δdが発生する。しかも、その検出誤差Δdは集光レンズ20の集光点と亀裂軸Mとの水平方向の位置ずれ量に応じて比例する。例えば、図7Bに示すように、主光軸Pが亀裂軸Mに対して一方側(図7Bの右側)にずれた場合には、実際の亀裂Kの下端位置dよりも高い位置である集光レンズ20の集光点の深さ位置d1が亀裂Kの亀裂深さとして検出される。また、図7Cに示すように、主光軸Pが亀裂軸Mに対して他方側(図7Bの左側)にずれた場合には、実際の亀裂Kの下端位置dよりも低い位置である集光レンズ20の集光点の深さ位置d2が亀裂Kの亀裂深さとして検出される。
【0073】
このように第1の実施形態における亀裂検出処理では、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が十分でないと、亀裂軸Mに対する主光軸P(集光レンズ20のレンズ光軸)の位置ずれ量に応じた検出誤差Δdが生じる要因となる。
【0074】
第2の実施形態では、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が十分でない場合でも、上述したような検出誤差Δdによる影響をなくして、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを精度良く検出できるようにしたものである。
【0075】
図8は、第2の実施形態に係る亀裂検出装置の概略を示した構成図である。図8中、図1と共通又は類似する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図8に示すように、第2の実施形態に係る亀裂検出装置10Aは、光源部14の構成が第1の実施形態とは異なっている。
【0077】
すなわち、第2の実施形態における光源部14は、主光軸Pに対して平行であって主光軸Pから一方向(図8の下側)に偏心した光源光軸Q1を有する第1光源32と、主光軸Pに対して平行であって主光軸Pから一方向とは反対側の他方向(図8の上側)に偏心した光源光軸Q2を有する第2光源34とを備えている。第1光源32は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出するための検出光(第1検出光)L1Aを出射する。第2光源34は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置又は亀裂上端位置)を検出するための検出光(第2検出光)L1Bを出射する。なお、第1光源32及び第2光源34は制御部30と接続されており、制御部30により各光源32、34の出射制御が行われる。
【0078】
次に、第2の実施形態における亀裂検出処理の原理について図9を参照して説明する。
図9は、第2の実施形態における亀裂検出処理の原理を説明するための図であり、亀裂軸Mに対して主光軸Pが水平方向に位置ずれしている場合を示している。
【0079】
図9に示すように、第2の実施形態においては、制御部30の制御に従って、第1光源32及び第2光源34を選択的に切り替えつつ、各光源32、34からそれぞれ出射された検出光L1A、L1Bが被加工物Wに対して互いに異なる斜め方向から照射される偏射照明が行われる。
【0080】
ここで、第1光源32からの検出光L1A図9の右側から照射される光束)によって検出される亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)は、実際の亀裂Kの下端位置dよりも低い位置である集光レンズ20の集光点の深さ位置dAとなる。また、第2光源34からの検出光L1B図9の左側から照射される光束)によって検出される亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)は、実際の亀裂Kの下端位置dよりも高い位置である集光レンズ20の集光点の深さ位置dBとなる。この場合、各検出光L1A、L1Bによりそれぞれ検出される亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)dA、dBよりもこれらの位置の平均値(中間値)を亀裂Kの下端位置とする方が実際の亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)の真値により近い値となる。第2の実施形態では、このような原理を利用して亀裂Kの亀裂深さを検出している。これにより、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が十分でない場合でも、亀裂軸Mに対する主光軸Pの位置ずれに伴う誤差を取り除くことができ、上述した第1の実施形態に比べて、亀裂検出処理を精度よくかつ安定して行うことができる。
【0081】
次に、第2の実施形態に係る亀裂検出装置10Aを用いた亀裂検出方法について図10を参照して説明する。図10は、第2の実施形態に係る亀裂検出装置10Aを用いた亀裂検出方法の一例を説明したフローチャートである。なお、図10は、図6に示した処理内容にステップS11、ステップS27、ステップS28、ステップS30を追加したものであり、共通する処理は説明を簡略化または省略する。ここでは、亀裂Kの亀裂深さとして、亀裂Kの下端位置を検出する場合を一例に説明する。
【0082】
(ステップS10)
まず、制御部30は、アライメント機構29により被加工物Wと集光レンズ20との相対的な位置合わせ(アライメント)を行う。
【0083】
(ステップS11)
次に、制御部30は、変数kを1に設定する(i=1)。
【0084】
(ステップS12〜ステップS24)
次に、制御部30は、変数iを1に設定した後(ステップS12)、集光レンズ20の集光点の深さ位置(Z方向位置)をZiに設定し(ステップS14)、被加工物Wに対して偏射照明を実行する(ステップS16)。例えば、k=1である場合には、制御部30は、第1光源32及び第2光源34のうち第1光源32のみをONにして、第1光源32から被加工物Wに対して検出光L1Aの偏射照明を行う(第1検出光出射工程)。また、k=2である場合には、制御部30は、第1光源32及び第2光源34のうち第2光源34のみをONにして、第2光源34から被加工物Wに対して検出光L1Bの偏射照明を行う(第2検出光出射工程)。
【0085】
次に、制御部30は、光検出器26の受光面26a、26bから出力された検出信号D1、D2をそれぞれ取得し(ステップS18)、取得した検出信号D1、D2に基づいて評価値Siを算出する(ステップS20)。なお、制御部30は、算出した評価値Siを図示しない記憶部に記憶する。
【0086】
次に、制御部30は、i=nであるか否かを判断し(ステップS22)、i=nでない場合にはiを1つインクリメントして、ステップS14に戻り、ステップS14からステップS22までの処理を繰り返し行う。
【0087】
ステップS22においてi=nである場合には、ステップS20において走査位置Zi毎に算出した評価値Siに基づき、被加工物Wの厚さ方向における亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)を検出する(ステップS26)。
【0088】
(ステップS27)
次に、制御部30は、k=2であるか否かを判断する。k=2でない場合にはステップS28に進み、k=2である場合にはステップS30に進む。
【0089】
(ステップS28)
ステップS27においてk=2でない場合には、kを1つインクリメントして(k=k+1)、ステップS12に戻り、ステップS12からステップS26までの処理を繰り返し行う。
【0090】
すなわち、第2の実施形態における亀裂検出方法では、光源部14に配置された第1光源32及び第2光源34のうち、1回目の測定(k=1の場合)では第1光源32から被加工物Wに対して検出光L1Aの偏射照明を行ったときの亀裂Kの亀裂深さdAが検出され、2回目の測定(k=2の場合)では第2光源34から被加工物Wに対して検出光L1Bの偏射照明を行ったときの亀裂Kの亀裂深さdBが検出される。
【0091】
(ステップS30)
次に、制御部30は、第1光源32からの検出光L1Aを用いて検出された亀裂Kの亀裂深さ(第1亀裂深さ)dAと、第2光源34からの検出光L1Bを用いて検出された亀裂Kの亀裂深さ(第2亀裂深さ)dBとの平均値dM(=(dA+dB)/2)を真の亀裂深さ(亀裂下端位置)として算出する。なお、制御部30は、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さの検出結果として、上述のようにして算出した真の亀裂深さdMを図示しない表示装置(モニタ)に表示する。
【0092】
以上のようにして、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さが検出されると、その検出結果は図示しない表示装置(モニタ)に表示され、亀裂検出処理が終了となる。
【0093】
次に、第2の実施形態における効果を検証するために、図7に示した亀裂検出装置10Aを用いて評価実験を行った結果について図11図13を参照して説明する。
【0094】
図11は、第1光源32からの検出光L1Aが被加工物Wに対して偏射照明が行われたときに検出器50の受光面26a、26bから出力される検出信号の出力を示したグラフである。図11において、横軸は集光レンズ20の集光点の深さ位置を示し、縦軸は光検出器26の受光面26a、26bから出力される検出信号の出力を示している。また、出力Aは光検出器26の受光面26aから出力される検出信号の出力を示し、出力Bは光検出器26の受光面26bから出力される検出信号の出力を示している。
【0095】
図10に示したフローチャートに従って亀裂検出処理が行われる場合、1回目の測定(k=1)では、集光レンズ20の集光点の深さ位置を順次変化させながら(Zi=Z1、Z2、・・・、Zn)、検出器50の受光面26a、26bから出力される検出信号が順次取得される。このとき、検出器50の受光面26a、26bから出力される検出信号は、例えば、図11に示すように、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの有無に応じて出力が変化する。なお、図示は省略したが、2回目の測定(k=2)においても、第2光源34からの検出光L1Bが被加工物Wに対して偏射照明が行われたときに検出器50の受光面26a、26bから出力される検出信号が図11に示したグラフと同様にして取得される。
【0096】
図12は、1回目の測定(k=1)で第1光源32からの検出光L1に基づいて算出された評価値SAと、2回目の測定(k=2)で第2光源34からの反射光L2に基づいて算出された評価値SBを示したグラフである。図12において、横軸は集光レンズ20の集光点の深さ位置を示し、縦軸は各集光点に対応する評価値SA、SBを示している。
【0097】
図12に示すように、1回目の測定と2回目の測定とでは、評価値SA、SBが0となるときの集光レンズ20の集光点の深さ位置が互いに異なっている(図12の点T1、T2を参照)。これは、上述したように、亀裂軸Mに対して主光軸Pが水平方向に位置ずれしているために生じる誤差要因となっている。そのため、1回目の測定と2回目の測定のいずれか一方の測定により算出された評価値に基づいて亀裂Kの亀裂深さを検出しようとすると、アライメント精度が十分でない場合には、検出精度の低下を招く要因となる。
【0098】
これに対し、第2の実施形態では、このような検出誤差をなくすため、上述したように、1回目の測定で算出された評価値SAに基づいて検出される亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)dAと、2回目の測定で算出された評価値SBに基づいて検出される亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)dBとの平均値dMを真の亀裂深さ(亀裂下端位置)として算出している。
【0099】
図13は、主光軸Pと亀裂軸Mとの水平方向の位置関係を変えながら亀裂Kの亀裂深さを測定した結果を示したグラフである。図13において、横軸は主光軸Pと亀裂軸Mとの水平方向の位置ずれ量を示し、縦軸は亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)を示している。
【0100】
図13に示すように、1回目の測定(k=1)で検出された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)と2回目の測定(k=2)で検出された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)は、主光軸Pと亀裂軸Mとの水平方向の位置ずれがない場合には一致し、その位置ずれ量が大きくなるにつれて徐々に誤差が大きくなる。したがって、1回目の測定と2回目の測定のいずれか一方の測定結果を用いて亀裂Kの亀裂深さを検出しようとする場合には、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が高く要求されることになり、アライメント精度が十分でない場合には、検出誤差が大きくなることが図13に示した結果から分かる。
【0101】
これに対し、第2の実施形態では、1回目の測定(k=1)で検出された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)と2回目の測定(k=2)で検出された亀裂Kの亀裂深さ(亀裂下端位置)との平均値を真の亀裂深さとしているので、図13の破線で示したように、主光軸Pと亀裂軸Mとの間に位置ずれが生じている場合でも、主光軸Pと亀裂軸Mとが一致している場合の測定結果と略同様の結果が得られる。
【0102】
このように第2の実施形態によれば、光源部14は主光軸Pから互いに異なる方向に偏心した位置に配置された第1光源32及び第2光源34を備え、各光源32、34を選択的に切り替えつつ、第1光源32からの検出光L1Aに基づいて検出される亀裂Kの亀裂深さと、第2光源34からの検出光L1Bに基づいて検出される亀裂Kの亀裂深さとの平均値を亀裂Kの亀裂深さとして求める。これにより、集光レンズ20と被加工物Wとのアライメント精度が十分でない場合でも、被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを精度よくかつ安定して検出することが可能となる。
【0103】
なお、第2の実施形態において、集光レンズ20の集光点の深さ位置を被加工物の厚さ方向に走査するだけでなく、さらに、被加工物Wの厚さ方向に直交する水平方向(XY方向)に走査するようにしてもよい。この場合、図13に示したように、主光軸Pと亀裂軸Mとが一致したときの測定結果を真の亀裂深さとすることが可能である。
【0104】
(その他の発明の開示)
上述した各実施形態では、被加工物Wの内部に照射される検出光L1は集光レンズ20により集光された集光光束となっているが、例えば、被加工物Wの内部に照射する光束を集光光束とせず、平行光束(細い平行ビーム)とし、その平行光束を瞳位置で検出し、光量比のみで亀裂深さ(亀裂下端位置や亀裂上端位置)を検出するようにしてもよい。
【0105】
図14は、クサビ型プリズムを用いて被加工物Wの内部に形成された亀裂Kの亀裂深さを検出する方法を説明するための図である。図15は、クサビ型プリズムの外観を示した概略図である。
【0106】
図14に示すように、クサビ型プリズム70(図15参照)は被加工物Wに対向するように配置される。クサビ型プリズム70にはその光軸70aに対して一方側(図14右側)の領域から細い平行ビームL3を入射させる。
【0107】
このとき、被加工物Wの内部に入射した平行ビームL3のうち、一部の光束は、亀裂Kで全反射されずに被加工物Wの裏面で反射し、その反射光は図14の符号L4aで示すような光束となり、クサビ型プリズム70の光軸70aに対して他方側の領域(入射光束とは反対側の領域)を通る戻り光となる。一方、他の光束は亀裂Kで全反射し、その反射光は図14の符号L4bで示すような光束となり、クサビ型プリズム70の光軸70aに対して一方側の領域(入射光束と同じ側の領域)を通る戻り光となる。
【0108】
平行ビームL3の入射光束の幅、被加工物Wに対する平行ビームL3の入射角度は既知であるとして、被加工物Wからの反射光(戻り光)L4a、L4bの光量比(強度比)を図示しない光検出器で測定することにより、被加工物Wの裏面から亀裂Kの下端位置までの距離(すなわち、亀裂深さ)の概略値を知ることができる。また、亀裂Kの上端位置についても同様にして概略値を知ることができる。
【0109】
なお、図14の破線矢印で示すように、被加工物Wの表面での反射光は外乱光となりうるが、クサビ型プリズム70を被加工物Wの表面に十分に近づけておくことで、符号L4aで示す光束からなる反射光(戻り光)との分離が可能となる。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0111】
10…亀裂検出装置、10A…亀裂検出装置、14…光源部、16…照明光学系、18…ダイクロイックミラー、20…集光レンズ、20a…集光レンズ瞳、22…ハーフミラー、24…検出光学系、26…光検出器、28…フォーカス調整機構、29…アライメント機構、30…制御部、32…第1光源、34…第2光源、26a…受光面、26b…受光面、K…亀裂、L1…検出光、L2…反射光、M…亀裂軸、P…主光軸、W…被加工物
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15