特許第6907027号(P6907027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907027
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20210708BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20210708BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20210708BHJP
   B23Q 3/157 20060101ALI20210708BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   B24B45/00 A
   B24B27/06 M
   B23Q3/155 K
   B23Q3/157 C
   H01L21/78 F
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-106128(P2017-106128)
(22)【出願日】2017年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-199200(P2018-199200A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−079098(JP,A)
【文献】 特開昭51−050078(JP,A)
【文献】 特開昭63−077652(JP,A)
【文献】 特開2006−051561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 45/00
B23Q 3/155
B23Q 3/157
B24B 27/06
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを回転可能に装着した切削手段と、該保持手段と該切削手段とを相対的に加工送りする送り手段と、該切削手段に装着された切削ブレードを自動的に着脱するブレード交換手段と、を少なくとも備えた切削装置であって、
該切削装置の天板の上部に切削ブレードをストックする切削ブレードストッカーを備え、
該切削ブレードストッカーは、複数の切削ブレードを収容する切削ブレード収容部と、該切削ブレード収容部を回転する回転手段と、切削ブレードの特性を記録した符号を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段によって読み取られた符号によって該切削手段に装着すべき切削ブレードを選定して該ブレード交換手段に搬送する搬送手段と、
から少なくとも構成され
該切削ブレード収容部の少なくとも底部は透明に構成され、該読み取り手段は該天板の下部に配設されていて該切削ブレード収容部の底部を介して符号を読み取る切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を保持する保持手段と、保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを回転可能に装着した切削手段と、保持手段と切削手段とを相対的に加工送りする送り手段と、切削手段に装着された切削ブレードを自動的に着脱するブレード交換手段と、を少なくとも備えた切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは切削装置によって個々のデバイスに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
また、切削装置の無人稼働を可能にするために切削ブレードを自動で交換できる切削装置が本出願人によって開発されている(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4837973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された切削装置では、交換すべき切削ブレードのストックが不充分であり、長時間にわたる無人稼働が困難であるという問題がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、交換すべき切削ブレードを充分ストックすることができ、長時間にわたる無人稼働が可能である切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が提供するのは以下の切削装置である。すなわち、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段に保持された被加工物を切削する切削ブレードを回転可能に装着した切削手段と、該保持手段と該切削手段とを相対的に加工送りする送り手段と、該切削手段に装着された切削ブレードを自動的に着脱するブレード交換手段と、を少なくとも備えた切削装置であって、該切削装置の天板の上部に切削ブレードをストックする切削ブレードストッカーを備え、該切削ブレードストッカーは、複数の切削ブレードを収容する切削ブレード収容部と、該切削ブレード収容部を回転する回転手段と、切削ブレードの特性を記録した符号を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段によって読み取られた符号によって該切削手段に装着すべき切削ブレードを選定して該ブレード交換手段に搬送する搬送手段と、から少なくとも構成され、該切削ブレード収容部の少なくとも底部は透明に構成され、該読み取り手段は該天板の下部に配設されていて該切削ブレード収容部の底部を介して符号を読み取る切削装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明が提供する切削装置は、該切削装置の天板の上部に切削ブレードをストックする切削ブレードストッカーを備え、該切削ブレードストッカーは、複数の切削ブレードを収容する切削ブレード収容部と、該切削ブレード収容部を回転する回転手段と、切削ブレードの特性を記録した符号を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段によって読み取られた符号によって該切削手段に装着すべき切削ブレードを選定して該ブレード交換手段に搬送する搬送手段と、から少なくとも構成され、該切削ブレード収容部の少なくとも底部は透明に構成され、該読み取り手段は該天板の下部に配設されていて該切削ブレード収容部の底部を介して符号を読み取るので、交換すべき切削ブレードを充分ストックすることができ、長時間にわたる無人稼働が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された切削装置の斜視図。
図2図1に示す切削機構の斜視図。
図3図2に示すスピンドルユニットの分解斜視図(a)及び組立斜視図(b)。
図4図3に示す切削ブレードの表面側斜視図(a)及び裏面側斜視図(b)。
図5図1に示す切削装置から切削ブレードストッカーを省略して示す切削装置の斜視図。
図6図5に示すブレード交換手段から案内板を省略して示すブレード交換手段の斜視図。
図7図6に示すナット着脱機構の断面図。
図8図6に示すブレード着脱機構の断面図。
図9図1に示す切削ブレードストッカーの斜視図。
図10】ブレード支持部材が上昇位置に位置づけられている第二の搬送機構の斜視図。
図11】ブレード支持部材が下降位置に位置づけられている第二の搬送機構の斜視図。
図12】切削ブレード収容部の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された切削装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に示す切削装置2は、被加工物を保持する保持手段4と、保持手段4に保持された被加工物を切削する切削ブレード58を回転可能に装着した切削手段6と、保持手段4と切削手段6とを相対的に加工送りする送り手段8と、切削手段6に装着された切削ブレード58を自動的に着脱するブレード交換手段10と、を少なくとも備える。
【0013】
図1に示すとおり、保持手段4は、X軸方向において移動自在に基台12に搭載された矩形状のX軸方向可動板14と、X軸方向可動板14の上面に固定された円筒状の支柱16と、支柱16の上端に固定された矩形状のカバー板18とを含む。カバー板18には円形開口18aが形成され、円形開口18aを通って上方に延びる円形状のチャックテーブル20が支柱16の上端に回転自在に搭載されている。チャックテーブル20の上面には、多孔質材料から形成され実質上水平に延在する円形状の吸着チャック22が配置され、吸着チャック22は流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、チャックテーブル20においては、吸引手段によって吸着チャック22の上面に吸引力を生成することにより、吸着チャック22の上面に載せられた被加工物を吸着して保持することができる。また、チャックテーブル20の周縁には、周方向に間隔をおいて複数個のクランプ24が配置されている。なお、X軸方向は図1に矢印Xで示す方向である。また、図1に矢印Yで示すY軸方向はX軸方向に直交する方向であり、X軸方向及びY軸方向が規定する平面は実質上水平である。
【0014】
図1に示すとおり、切削手段6は保持手段4を跨って配置された門型の支持フレーム26を含む。支持フレーム26は、Y軸方向に間隔をおいて基台12の上面から上方に延びる一対の支柱28と、支柱28の上端間に架け渡されY軸方向に延びる梁30とを有する。梁30の片側の側面(図1において背面側の側面)には、Y軸方向に間隔をおいて一対の切削機構32が配置されている。図2に示すとおり、各切削機構32は、Y軸方向に移動自在に梁30の片側の側面に支持される矩形状の割り出し送り片34と、割り出し送り片34をY軸方向に移動させる割り出し送り手段36と、割り出し送り片34に昇降自在に支持された断面L字状の切り込み送り片38と、切り込み送り片38を昇降させる切り込み送り手段40と、切り込み送り片38の下端に固定されたスピンドルユニット42とを備える。
【0015】
図2に示すとおり、割り出し送り片34の片側の側面(図2において手前側の側面)には、上下方向に間隔をおいてY軸方向に延びる一対の被案内溝34aが形成され、被案内溝34aは、梁30の片側の側面において上下方向に間隔をおいてY軸方向に延びる一対の案内レール(図示していない。)に摺動自在に連結される。割り出し送り手段36は、梁30の片側の側面においてY軸方向に延びるボールねじ44と、ボールねじ44の片端部に連結されたモータ46とを有する。ボールねじ44は割り出し送り片34に連結されている。そして割り出し送り手段36は、ボールねじ44によりモータ46の回転運動を直線運動に変換して割り出し送り片34に伝達し、梁30の片側の側面に付設された案内レールに沿って割り出し送り片34をY軸方向に移動させる。
【0016】
図2を参照して説明を続けると、切削機構32の切り込み送り片38は、割り出し送り片34の他側の側面(図2において背面側の側面)に昇降自在に支持された矩形状の被支持部48と、被支持部48の下端からX軸方向に突出する矩形状の装着部50とを有する。切り込み送り手段40は、割り出し送り片34の他側の側面において上下方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじの片端部に連結されたモータ52とを有する。切り込み送り手段40のボールねじは切り込み送り片38の被支持部48に連結されている。そして切り込み送り手段40は、ボールねじによりモータ52の回転運動を直線運動に変換して切り込み送り片38に伝達し、割り出し送り片34の他側の側面に付設された案内レール(図示していない。)に沿って切り込み送り片38を昇降させる。
【0017】
図3を参照して説明する。図3(a)に示すとおり、切削機構32のスピンドルユニット42は、Y軸方向に延びる軸線を中心として回転自在にスピンドルハウジング54に支持された円柱状のスピンドル56と、Y軸方向に延びる軸線を中心としてスピンドル56を回転させるモータ(図示していない。)と、スピンドル56の先端部に着脱自在に固定される切削ブレード58と、スピンドル56の先端部に切削ブレード58を着脱自在に固定するためのナット60とを含む。スピンドル56の先端側外周面には径方向外方に突出する環状のフランジ56aが設けられ、フランジ56aよりも更に先端側のスピンドル56の外周面には雄ネジ56bが設けられている。また、スピンドル56の先端面軸心には、後述のブレード着脱機構90の係合片142が係合する被係合凹部56cが形成されている。チャックテーブル20に保持された被加工物を切削するための切削ブレード58は、アルミニウム合金等の適宜の金属材料から形成され得る環状のハブ62と、ハブ62の外周面一端部から径方向外方に突出する環状の切刃64とを有する。そして、ハブ62の表面62aを外側に向けてスピンドル56の先端部にハブ62の開口62cを嵌合し、スピンドル56の雄ネジ56bにナット60を締結することにより、切削ブレード58はフランジ56aとナット60とに挟み込まれてスピンドル56の先端部に着脱自在に固定される。なお、ハブ62の外周面には、後述のブレード着脱機構90の係合爪134aが係合する環状の被係合溝62dが形成されている。また、ナット60の外周面には、後述のナット着脱機構88の係合爪114aが係合する環状の被係合溝60aが形成されている。さらに、ナット60の側面には、後述のナット着脱機構88のピン112が挿入される4個のピン穴60bがそれぞれ90度の位相をもって設けられている。
【0018】
図3(b)に示すとおり、切削機構32のスピンドルユニット42は、スピンドルハウジング54を覆うスピンドルカバー66と、切削ブレード58を覆うブレードカバー68とを更に含む。ブレードカバー68は、スピンドルカバー66の先端に装着された第一のカバー部材68aと、第一のカバー部材68aの先端に移動自在に装着された第二のカバー部材68bとを有する。エアシリンダ等の第二のカバー部材移動手段(図示していない。)でX軸方向に移動される第二のカバー部材68bは、切削ブレード58の交換時には図3(b)に実線で示す開放位置に位置づけられ、切削加工時には図3(b)に二点鎖線で示す閉止位置に位置づけられる。なお、図示の実施形態における一対のスピンドルユニット42は、図2に示すとおり、切削ブレード58が互いに対面して配置されている。
【0019】
図4(a)及び(b)を参照して説明する。切削ブレード58には、切削ブレード58の特性を記録したバーコード等の符号Cが設けられている。符号Cには、たとえば、製造段階において生じた切削ブレード58の固有の特性を実測した数値(切刃64の厚さ、突出量及び外径等)が記録されている。図示の実施形態では図4(b)に示すとおり、切削ブレード58のハブ62の裏面62bに符号Cが設けられている。これにより、切削ブレード58がスピンドル56に固定された際は、ハブ62の裏面62bとスピンドル56のフランジ56aとが接触してスピンドル56のフランジ56aにより符号Cが隠蔽されるので、切削加工時に切削屑が符号Cに付着せず、切削加工後においても後述の読み取り手段152で符号Cを明確に読み取ることができる。なお、ハブ62の表面62aに符号Cが付されていてもよい。
【0020】
図1を参照して説明する。支持フレーム26の梁30の他側の側面(図1において手前側の側面)には、チャックテーブル20に保持された被加工物を撮像する撮像手段70がY軸方向に移動自在に装着されていると共に、撮像手段70をY軸方向に移動させる移動手段72が装着されている。移動手段72は、梁30の他側の側面においてY軸方向に延びるボールねじ74と、ボールねじ74の片端部に連結されたモータ76とを有する。ボールねじ74は撮像手段70に連結されている。そして移動手段72は、モータ76の回転運動を直線運動に変換して撮像手段70に伝達し、梁30の他側の側面に付設された案内レール30aに沿って撮像手段70をY軸方向に移動させる。
【0021】
図示の実施形態では図1に示すとおり、送り手段8は、基台12上においてX軸方向に延びるボールねじ78と、ボールねじ78の片端部に連結されたモータ80とを有する。ボールねじ78は、保持手段4のX軸方向可動板14に連結されている。そして送り手段8は、ボールねじ78によりモータ80の回転運動を直線運動に変換してX軸方向可動板14に伝達し、基台12上の案内レール12aに沿ってX軸方向可動板14をX軸方向に移動させ、これによって切削手段6に対して保持手段4を相対的にX軸方向に加工送りする。また、送り手段8は、上下方向に延びる軸線を中心として支柱16に対してチャックテーブル20を回転させるチャックテーブル用モータ(図示していない。)を含み、チャックテーブル用モータは支柱16に内蔵されている。
【0022】
図5及び図6を参照して説明する。ブレード交換手段10は、基台12の上方に配置された案内板82と、X軸方向において移動自在に案内板82に支持されたX軸方向可動部材84と、X軸方向可動部材84をX軸方向に移動させるX軸方向移動手段86と、切削機構32のスピンドル56にナット60を着脱するためのナット着脱機構88と、切削機構32のスピンドル56に切削ブレード58を着脱するためのブレード着脱機構90とを備える。
【0023】
図5に示すとおり、支持体(図示していない。)に支持されている案内板82のY軸方向両端部には、X軸方向に延びる一対の案内レール82a(片側のみ図示している。)が形成されている。図6に示すとおり、X軸方向可動部材84は、矩形状の被案内板92と、被案内板92のX軸方向片端部から下方に延びる矩形状の連結板94と、連結板94の下端からX軸方向に延びる矩形状の支持板96とを有する。被案内板92のY軸方向両端部にはX軸方向に延びる一対の被案内レール92aが形成されている。被案内板92の被案内レール92aと案内板82の案内レール82aとが係合することにより、X軸方向可動部材84はX軸方向に移動自在に案内板82に支持されている。図5に示すとおり、X軸方向移動手段86は、案内板82の下方においてX軸方向に延びるボールねじ98と、ボールねじ98の片端部に連結されたモータ100とを有する。ボールねじ98のナット部98aは被案内板92の上面に固定され、モータ100は案内板82の下面に固定されている。そしてX軸方向移動手段86は、ボールねじ98によりモータ100の回転運動を直線運動に変換して被案内板92に伝達し、案内板82の案内レール82aに沿ってX軸方向可動部材84をX軸方向に移動させる。
【0024】
図6を参照して説明する。ブレード交換手段10のナット着脱機構88は、切削機構32のナット60を回転させるナット回転手段102と、切削機構32のナット60を把持するナット把持手段104と、ナット回転手段102と共にナット把持手段104をY軸方向に移動させるY軸方向移動手段106とを含む。なお、図示の実施形態におけるナット着脱機構88は、Y軸方向に間隔をもって支持板96の上面において線対称に一対設けられている。
【0025】
図6と共に図7を参照して説明すると、ナット着脱機構88のナット回転手段102は、Y軸方向において移動自在に支持板96の先端側に配置されたモータケース108と、モータケース108に収容されたモータ109(図7参照。)と、モータ109によりY軸方向に延びる軸線を中心として回転される回転部材110とを含む。先端部分が円筒状の回転部材110には、先端面から突出する4個のピン112がY軸方向に摺動自在に装着されている。図7に示すとおり、回転部材110に内蔵されたコイルバネ113により突出方向に付勢されているピン112は、ピン112の基端部に形成された抜け止めフランジ112aにより回転部材110から抜け出すのが防止されている。ピン112は、それぞれが90度の位相をもって配置され、ナット60の4個のピン穴60bに嵌合する位置に配置されている。そして、ナット回転手段102においては、各ピン112がナット60のピン穴60bに嵌合した状態で回転部材110をモータ109で回転させることによってナット60を回転させる。
【0026】
図6及び図7を参照して説明を続けると、ナット着脱機構88のナット把持手段104は、回転部材110の外周にそれぞれ90度の位相をもって配置された4個のナット把持片114と、ナット把持片114の更に外周に配置されナット把持片114を作動させる作動ブロック116と、モータケース108に搭載され作動ブロック116をY軸方向に移動させるエアシリンダ118とを含む。図7に示すとおり、ナット把持片114の先端部には、ナット60の被係合溝60aに係合する係合爪114aが形成されている。ナット把持片114の基端部は、X軸方向に延びる軸線を中心として揺動自在に回転部材110にピン連結され、ナット把持片114は、係合爪114aがナット60の被係合溝60aに係合可能な係合位置(図7に二点鎖線で示す位置)と、係合位置よりも係合爪114aが径方向外方に位置する開放位置(図7に実線で示す位置)との間で揺動自在となっている。回転部材110とナット把持片114との間に配置されたコイルバネ119により径方向外方に向かって付勢されているナット把持片114は、作動ブロック116が後退位置(図7に実線で示す位置)にエアシリンダ118により位置づけられていると、開放位置に位置づけられる。そして、作動ブロック116が前進位置(図7に二点鎖線で示す位置)にエアシリンダ118により位置づけられると、回転部材110に対して相対的に作動ブロック116が前進してコイルバネ119の付勢力に抗してナット把持片114を係合位置に位置づける。これによって、係合爪114aがナット60の被係合溝60aに係合可能するので、ナット把持手段104はナット60を把持することができる。
【0027】
図6に示すとおり、ナット着脱機構88のY軸方向移動手段106は、支持板96の上面においてY軸方向に沿って配置されたエアシリンダ120から構成され、エアシリンダ120のピストンロッド120aは、ナット回転手段102のモータケース108に付設された接続片108aに接続されている。そしてY軸方向移動手段106は、ピストンロッド120aの移動により支持板96上の案内レール96aに沿ってモータケース108をY軸方向に移動させ、これによってナット回転手段102と共にナット把持手段104をY軸方向に移動させる。
【0028】
図6及び図8を参照して説明する。ブレード交換手段10のブレード着脱機構90は、Y軸方向において移動自在に支持板96の基端側に配置されたモータケース122と、モータケース122に収容されたモータ123と、モータ123と共にモータケース122をY軸方向に移動させるY軸方向移動手段124とを含む。図示の実施形態におけるY軸方向移動手段124は、支持板96の上面においてY軸方向に沿って配置されたエアシリンダ126から構成され、エアシリンダ126のピストンロッド126aは、モータケース122に付設された接続片122aに接続されている。そしてY軸方向移動手段124は、ピストンロッド126aの移動により支持板96上の案内レール96bに沿ってモータ123と共にモータケース122をY軸方向に移動させる。モータ123の出力軸123aには、Y軸方向に延びる回転軸128の基端部が連結されている。回転軸128の先端部には、ボールベアリング(図示していない。)等を介して、回転軸128の径方向(すなわち、Y軸方向に直交する平面内)において移動自在に回転プレート130が支持されている。回転プレート130の両端部には、回転プレート130の回転中心に対して点対称の位置に一対のブレード把持手段132が装着されている。各ブレード把持手段132は、切削ブレード58のハブ62の外周を把持する4個のブレード把持片134と、4個のブレード把持片134を作動させる把持片作動手段136と、スピンドル56の被係合凹部56cに係合する位置決め部材138とを有する。4個のブレード把持片134は、回転プレート130に固定された円筒状の把持片作動手段136の外周に沿って90度の位相をもって配置されている。また、各ブレード把持片134の先端部には、ハブ62の被係合溝62dと係合する係合爪134aが形成されている。把持片作動手段136は、各ブレード把持片134の係合爪134aがハブ62の被係合溝62dに係合可能な係合位置と、係合位置よりも各ブレード把持片134の係合爪134aが径方向外方に位置する開放位置との間で各ブレード把持片134を作動させる。図6に示すとおり、位置決め部材138は、把持片作動手段136の先端面中心(すなわち、4個のブレード把持片134の中心)から突出する円柱状のロッド140と、ロッド140の先端部に摺動自在に装着された係合片142と、把持片作動手段136の先端面と係合片142の後端面との間に配置されたコイルバネ144とを有する。スピンドル56の被係合凹部56cに係合する係合片142の先端部は円錐台形状に形成されている。また、コイルバネ144により突出方向に付勢されている係合片142は、ストッパー機構(図示していない。)によりロッド140から抜け出すのが防止されている。なお、図示の実施形態におけるブレード着脱機構90は、Y軸方向に間隔をもって支持板96の上面において線対称に一対設けられている。
【0029】
図9を参照して説明する。本発明に従って構成された切削装置2では、切削装置2の天板146の上部に切削ブレード58をストックする切削ブレードストッカー148を備えているのが重要である。切削ブレードストッカー148は、複数の切削ブレード58を収容する切削ブレード収容部150と、切削ブレード収容部150を回転する回転手段(図示していない。)と、切削ブレード58の特性を記録した符号Cを読み取る読み取り手段152と、読み取り手段152によって読み取られた符号Cによって切削手段6に装着すべき切削ブレード58を選定してブレード交換手段10に搬送する搬送手段154と、から少なくとも構成される。
【0030】
図示の実施形態では、切削ブレード収容部150は円板形状であり、切削ブレード収容部150には周方向に間隔をおいて複数個の円形状の収容凹所150aが形成されている。各収容凹所150aには、ハブ62の表面62aが上を向いた状態で切削ブレード58が収容されている。上下方向に延びる軸線を中心として回転自在に天板146に支持されている切削ブレード収容部150は、モータから構成され得る回転手段によって天板146に対して回転される。なお、回転手段は天板146の下部に配置され得る。
【0031】
切削ブレード収容部150の少なくとも底部は透明に構成され、読み取り手段152は天板146の下部に配設されていて切削ブレード収容部150の底部を介して符号Cを読み取るのが好ましい。図示の実施形態では、切削ブレード58を収容する各収容凹所150aが透明材料から形成され、天板146の下部に配設された読み取り手段152が各収容凹所150aを介してハブ62の裏面62bに形成された符号Cを読み取るようになっている。読み取り手段152は天板146の上部に配設されていてもよいが、読み取り手段152が天板146の下部に配設されている方が切削装置2の上下方向寸法の短縮が図られる。
【0032】
搬送手段154は、切削ブレード収容部150から切削ブレード58を搬出する第一の搬送機構156と、第一の搬送機構156から切削ブレード58を受け取りブレード交換手段10に切削ブレード58を搬送する第二の搬送機構158とを含む。第一の搬送機構156は、上下方向に延びる軸線を中心として回転自在かつ昇降自在に天板146の上部に装着されたアーム160と、アーム160の基端部に連結され上下方向に延びる軸線を中心としてアーム160を回転させるモータ162と、アーム160を昇降させる昇降手段(図示していない。)と、アーム160の先端部に装着された円盤状の吸着片164とを含む。下面に複数の吸引孔(図示していない。)が形成されている吸着片164は、流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして第一の搬送機構156においては、吸引手段を作動させ吸着片164の下面に吸引力を生成することにより、切削ブレード収容部150に収容された切削ブレード58を吸着して保持することができると共に、モータ162及び昇降手段でアーム160を作動させることにより、吸着片164で吸着した切削ブレード58を切削部ブレード収容部150から搬出することができる。
【0033】
図10及び図11を参照して説明する。搬送手段154の第二の搬送機構158は、基台12の上面から上方に延びるエアシリンダ166と、エアシリンダ166のシリンダチューブ166aの上端に付設された基板168と、基板168のX軸方向両端部から上方に延びる一対の案内レール170と、エアシリンダ166のピストンロッド166bの先端に装着されたブレード支持部材172とを有する。各案内レール170には、上下方向に延びる第一の案内溝170aと、第一の案内溝170aの上端から実質上水平に延びる第二の案内溝170bとが形成され、第一の案内溝170aと第二の案内溝170bとの接続部170cの内側が円弧状に形成されている。ブレード支持部材172は、ピストンロッド166bの先端に旋回自在に装着された旋回プレート174と、旋回プレート174のX軸方向両端部から突出する被案内ピン176と、図10における基板168の上面から上方に延びる円柱状の一対の支持軸178と、各支持軸178に摺動自在に装着された環状の押圧片180と、各押圧片180と基板168との間に配置されたコイルバネ182とを有する。各支持軸178の先端面軸心には、ブレード着脱機構90の係合片142が係合する被係合凹部178aが形成されている。支持軸178にはハブ62の開口62cが嵌合し、支持軸178において1個以上の切削ブレード58を支持するようになっている。各支持軸178の先端側外周面には、支持軸178に切削ブレード58が嵌合していないときには押圧片180の位置、支持軸178に切削ブレード58が嵌合したときには切削ブレード58の位置をそれぞれ規制する規制手段184が装着されている。規制手段184は、ボール(符号を省略する。)と、ボールを支持軸178の径方向外方に付勢するバネ(図示していない。)とを有し、ボールに作用する力が所定の値までは規制機能が働くようになっている。したがって、支持軸178に支持された切削ブレード58及び押圧片180は、コイルバネ182により支持軸178の先端側に向かって付勢されると共に、支持軸178の先端から抜け出るのが規制手段184により規制される。
【0034】
図10及び図11を参照して説明を続けると、ブレード支持部材172は、被案内ピン176が各案内レール170の第一の案内溝170a及び第二の案内溝170bに係合することにより、第一の搬送機構156から切削ブレード58を受け取る上昇位置(図10に示す位置)と、ブレード交換手段10に切削ブレード58を受け渡す下降位置(図11に示す位置)との間で移動自在となっている。そしてブレード支持部材172は、上昇位置と下降位置との間でエアシリンダ166により移動され、上昇位置では第一の搬送機構156から切削ブレード58を受け取ることができるようにブレード支持部材172の支持軸178が上下方向に延在する向きとなり、また、下降位置ではブレード交換手段10のブレード着脱機構90に切削ブレード58を受け渡すことができるようにブレード支持部材172の支持軸178がY軸方向に延在する向き(すなわち、ブレード把持手段132に対面する向き)となる。なお、図示の実施形態では図1に示すとおり、第二の搬送機構158は、Y軸方向に間隔をもって基台12の上面において線対称に一対設けられている。
【0035】
上述したとおりの切削装置2の作動について説明する。被加工物を切削する切削工程から説明すると、切削工程の際には、まず、保持手段4のチャックテーブル20にウエーハ等の被加工物を吸着させる。次いで、送り手段8でチャックテーブル20を撮像手段70の下方に移動させると共に、移動手段72で撮像手段70のY軸方向位置を調整する。次いで、撮像手段70で上方から被加工物を撮像して被加工物の切削領域を検出する。次いで、撮像手段70で検出した被加工物の切削領域に基づいて、送り手段8のチャックテーブル用モータでチャックテーブル20を回転させ、切削手段6の切削ブレード58に対する被加工物の切削領域の向きを調整する。次いで、送り手段8でチャックテーブル20を移動させると共に、切削手段6の割り出し送り手段36でスピンドルユニット42を移動させ、被加工物の切削領域の上方に切削ブレード58を位置づける。次いで、切削ブレード58を回転させつつ切り込み送り手段40でスピンドルユニット42を下降させて被加工物の切削領域に切削ブレード58の刃先を切り込ませると共に、チャックテーブル20を所定の加工送り速度で送り手段8によってX軸方向に加工送りすることにより、被加工物の切削領域に所定の切削加工を施す。切削工程では、割り出し送り手段36でスピンドルユニット42をY軸方向に割り出し送りする割り出し送りと、上記切削加工とを適宜繰り返し、被加工物の切削領域のすべてに切削加工を施す。そして、切削工程が終了した加工済みの被加工物は次工程に搬送される。
【0036】
切削工程を繰り返し実施すると切削ブレード58は摩耗し、切削ブレード58の磨耗が所定量に達すると切削精度が維持されなくなるため、スピンドル56に装着されている切削ブレード58を新たな切削ブレード58に交換する必要がある。また、スピンドル56に装着されている切削ブレード58の摩耗が所定量に達していない場合でも、前に切削加工を施した被加工物の素材と異なる素材の被加工物に切削加工を施すときは、被加工物の素材に応じた切削ブレード58に交換する必要が生じることもある。以下、切削ブレード58の交換について説明する。
【0037】
切削装置2を稼働する際には、あらかじめ切削ブレード収容部150の各収容凹所150aに収容された切削ブレード58の符号Cを読み取り手段152で読み取っておく。そして、切削ブレード58を交換すべき場合に搬送手段154は、読み取り手段152によって読み取られた符号Cによって切削手段6に装着すべき切削ブレード58を選定してブレード交換手段10に搬送する。詳述すると、まず、切削ブレードストッカー148の回転手段で切削ブレード収容部150を回転させ、切削手段6に装着すべき切削ブレード58を搬送手段154の第一の搬送機構156が搬出可能な搬出位置に位置づける。次いで、第一の搬送機構156のアーム160をモータ162及び昇降手段で作動させ、切削手段6に装着すべき切削ブレード58のハブ62の表面62aに吸着片164の下面を接触させる。次いで、吸引手段を作動させて吸着片164の下面に吸引力を生成し、吸着片164に切削ブレード58を吸着させる。このとき、第二の搬送機構158のブレード支持部材172は、第一の搬送機構156から切削ブレード58を受け取る上昇位置にエアシリンダ166によって位置づけられている。次いで、アーム160をモータ162及び昇降手段で作動させ、吸着片164で吸着した切削ブレード58をブレード支持部材172の一方の支持軸178の上方に移動させる。次いで、吸引手段を停止させて吸着片164の吸引力を解除すると、一方の支持軸178にハブ62の開口62cが嵌合し、切削ブレード58がブレード支持部材172に受け渡される。次いで、ブレード交換手段10に切削ブレード58を受け渡す下降位置にブレード支持部材172をエアシリンダ166で移動させる。このようにして搬送手段154は、切削手段6に装着すべき切削ブレード58を選定してブレード交換手段10に受け渡し可能な位置まで搬送することができる。
【0038】
切削手段6に装着すべき切削ブレード58を支持したブレード支持部材172を下降位置に位置づけた後、ブレード交換手段10のX軸方向移動手段86でX軸方向可動部材84を移動させ、切削ブレード58を支持している一方の支持軸178に対向する位置にブレード着脱機構90の一方のブレード把持手段132を位置づける。次いで、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を前進させ、一方のブレード把持手段132の係合片142を一方の支持軸178の被係合凹部178aに係合させ、一方のブレード把持手段132の位置決め部材138の軸心と一方の支持軸178の軸心とを合致させる。次いで、把持片作動手段136でブレード把持片134を係合位置に位置づけて係合爪134aをハブ62の被係合溝62dに係合させ、一方のブレード把持手段132で切削ブレード58を把持させる。次いで、Y軸方向移動手段124でブレード把持手段132を後退させ、一方の支持軸178から切削ブレード58を引き抜く。これによって、切削手段6に装着すべき切削ブレード58は、搬送手段154からブレード交換手段10のブレード着脱機構90に受け渡される。
【0039】
切削手段6に装着すべき切削ブレード58がブレード着脱機構90に受け渡された後、切削手段6に装着されている切削ブレード58を、切削手段6に装着すべき切削ブレード58にブレード交換手段10で交換する。詳述すると、まず、ブレード交換手段10のX軸方向移動手段86でX軸方向可動部材84を移動させ、ナット着脱機構88のナット回転手段102及びナット把持手段104を切削手段6のスピンドル56の先端面に対向する位置に位置づける。次いで、ブレードカバー68の第二のカバー部材68bを第二のカバー部材移動手段で開放位置に位置づける。次いで、ナット着脱機構88のY軸方向移動手段106でナット回転手段102及びナット把持手段104を前進させてナット回転手段102の各ピン112をナット60の先端面に接触させ、コイルバネ113の付勢力に抗して各ピン112を後退させる。次いで、ナット把持手段104のエアシリンダ118で作動ブロック116を前進位置に移動させてナット把持片114を係合位置に位置づけることにより、係合爪114aをナット60の被係合溝60aに係合させ、ナット把持手段104でナット60を把持させる。次いで、ナット回転手段102のモータ109を作動させると、各ピン112がナット60のピン穴60bと合致したときに各ピン112がピン穴60bに嵌合し、モータ109の回転運動が各ピン112を介してナット60に伝達してナット60が緩む。これによって、ナット把持手段104で把持したナット60をスピンドル56から取り外すことができる。
【0040】
ナット60をスピンドル56から取り外した後、ナット60を把持しているナット把持手段104及びナット回転手段102をナット着脱機構88のY軸方向移動手段106で後退させる。次いで、X軸方向移動手段86でX軸方向可動部材84を移動させ、ブレード着脱機構90の他方のブレード把持手段132(切削手段6に装着すべき切削ブレード58を把持していない方のブレード把持手段132)を切削手段6のスピンドル56の先端面に対向する位置に位置づける。次いで、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を前進させ、他方のブレード把持手段132の係合片142をスピンドル56の被係合凹部56cに係合させる。このとき、各構成部材の熱膨張等によってスピンドル56の軸心と係合片142の軸心が僅かにズレていても、上記のとおりブレード把持手段132を装着している回転プレート130がY軸方向に直交する平面内において移動自在に回転軸128に支持されているので、係合片142の軸心が強制的にスピンドル56の軸心に合致され、4個のブレード把持片134の軸心もスピンドル56の軸心と合致する。次いで、把持片作動手段136でブレード把持片134を係合位置に位置づけて係合爪134aをハブ62の被係合溝62dに係合させ、他方のブレード把持手段132で切削ブレード58を把持させる。次いで、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を後退させ、スピンドル56から切削ブレード58を取り外す。
【0041】
スピンドル56から切削ブレード58を取り外した後、ブレード着脱機構90のモータ123で回転プレート130を180度回転させ、切削手段6に装着すべき切削ブレード58を把持している一方のブレード把持手段132をスピンドル56の先端面に対向する位置に位置づける。次いで、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を前進させ、一方のブレード把持手段132の係合片142をスピンドル56の被係合凹部56cに係合させると共に、ハブ62の開口62cをスピンドル56の先端部に嵌合させる。このとき、各構成部材の熱膨張等によってスピンドル56の軸心と係合片142の軸心が僅かにズレていても、上記のとおりブレード把持手段132を装着している回転プレート130がY軸方向に直交する平面内において移動自在に回転軸128に支持されているので、係合片142の軸心が強制的にスピンドル56の軸心に合致され、4個のブレード把持片134の軸心もスピンドル56の軸心と合致するので、ハブ62の開口62cをスピンドル56の先端部に嵌合させることができる。次いで、把持片作動手段136でブレード把持片134を開放位置に位置づけ、一方のブレード把持手段132による切削ブレード58の把持を解除する。
【0042】
切削手段6に装着すべき切削ブレード58をスピンドル56に嵌合させた後、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を後退させる。次いで、X軸方向移動手段86でX軸方向可動部材84を移動させ、ナット60を把持しているナット把持手段104をスピンドル56の先端面に対向する位置に位置づける。次いで、ナット着脱機構88のY軸方向移動手段106でナット回転手段102及びナット把持手段104を前進させ、スピンドル56の先端部にナット60を嵌合させる。次いで、ナット回転手段102のモータ109を作動させて(ナット60を取り外したときとは逆方向にモータ109を回転させて)ナット60を回転させ、スピンドル56の雄ネジ56bにナット60を締結させる。これによって、切削手段6に装着すべき切削ブレード58がスピンドル56のフランジ56aとナット60とに挟み込まれてスピンドル56の先端部に固定される。このようにしてブレード交換手段10においては、切削手段6に装着されていた切削ブレード58を、切削手段6に装着すべき切削ブレード58にブレード交換手段10によって交換することができる。
【0043】
切削手段6に装着すべき切削ブレード58をスピンドル56に固定した後、ナット把持手段104のエアシリンダ118で作動ブロック116を後退位置に移動させてナット把持片114を開放位置に位置づけ、ナット把持手段104によるナット60の把持を解除する。次いで、ナット着脱機構88のY軸方向移動手段106でナット回転手段102及びナット把持手段104を後退させる。次いで、ブレードカバー68の第二のカバー部材68bを第二のカバー部材移動手段で閉止位置に位置づける。次いで、X軸方向移動手段86でX軸方向可動部材84を移動させ、下降位置に位置しているブレード支持部材172の他方の支持軸178に対向する位置に、切削手段6から取り外した切削ブレード58を把持している他方のブレード把持手段132を位置づける。次いで、ブレード着脱機構90のY軸方向移動手段124でブレード把持手段132を前進させ、他方のブレード把持手段132の係合片142を他方の支持軸178の被係合凹部178aに係合させると共に、ハブ62の開口62cを他方の支持軸178に嵌合させる。次いで、把持片作動手段136でブレード把持片134を開放位置に位置づけ、他方のブレード把持手段132による切削ブレード58の把持を解除する。これによって、切削手段6に装着されていた切削ブレード58をブレード支持部材172に受け渡すことができる。そして、第二の搬送機構158のエアシリンダ166でブレード支持部材172を上昇位置に移動させた後、切削ブレード58の磨耗が所定量に達したことにより切削ブレード58を交換した場合には、ブレード支持部材172に受け渡された切削ブレード58は適宜回収される。一方、前に切削加工を施した被加工物の素材と異なる素材の被加工物に切削加工を施すために、摩耗が所定量に達していない切削ブレード58を交換した場合には、ブレード支持部材172に受け渡された切削ブレード58を第一の搬送機構156で切削ブレード収容部150に搬送して収容してもよい。すなわち、第一の搬送機構156のアーム160をモータ162及び昇降手段で作動させ、ブレード支持部材172に受け渡された切削ブレード58のハブ62の表面62aに吸着片164の下面を接触させた後、吸引手段を作動させて吸着片164の下面に吸引力を生成し、吸着片164に切削ブレード58を吸着させる。次いで、アーム160をモータ162及び昇降手段で作動させ、吸着片164で吸着した切削ブレード58を切削ブレード収容部150の適宜の収容凹所150aに移動させる。そして、吸引手段を停止させて吸着片164の吸引力を解除し、適宜の収容凹所150aに切削ブレード58を収容する。
【0044】
以上のとおり図示の実施形態では、交換すべき切削ブレード58を切削ブレードストッカー148の切削ブレード収容部150に充分ストックすることができ、長時間にわたる切削装置2の無人稼働が可能である。なお、図示の実施形態では円板形状の切削ブレード収容部150に複数個の収容凹所150aが形成されている例を説明したが、図12に示すとおり、搬送経路が全体として角形状のコンベア手段200から切削ブレード収容部が構成されていてもよく、この場合には天板146のスペースを効率的に使用することができ、比較的多くの切削ブレード58を収容することができる。
【符号の説明】
【0045】
2:切削装置
4:保持手段
6:切削手段
8:送り手段
10:ブレード交換手段
58:切削ブレード
C:符号
146:天板
148:切削ブレードストッカー
150:切削ブレード収容部
150a:収容凹所
152:読み取り手段
154:搬送手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12