(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6907133
(24)【登録日】2021年7月2日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】熱可塑性エラストマーに基づく粒子フォームをマイクロ波を使用した熱的結合により製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/40 20060101AFI20210708BHJP
B29C 39/02 20060101ALI20210708BHJP
B29C 67/20 20060101ALI20210708BHJP
B29C 44/02 20060101ALI20210708BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
C08J9/40CFF
B29C39/02
B29C67/20 E
B29C44/02
B65D65/02 E
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-566207(P2017-566207)
(86)(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公表番号】特表2018-510959(P2018-510959A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】EP2016055339
(87)【国際公開番号】WO2016146537
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】15159048.6
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】15181756.6
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】プリソク,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ハルムス,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュッテ,マルクス
【審査官】
深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−192135(JP,A)
【文献】
特公昭37−015929(JP,B1)
【文献】
国際公開第2014/006182(WO,A1)
【文献】
特開2014−186902(JP,A)
【文献】
特開2016−141153(JP,A)
【文献】
国際公開第2001/064414(WO,A1)
【文献】
特開2000−190394(JP,A)
【文献】
特開昭59−064619(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/2224425(US,A1)
【文献】
特表2015−522680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
B29C 39/00−39/44、43/00−44/60
B29C 67/20
B65D 65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性のエラストマーに基づくフォーム粒子から粒子フォームを製造するための方法であって、フォーム粒子を極性液体で濡らし、そして型内で、高周波電磁放射を使用して相互に熱的に結合させる工程を含み、
前記極性液体は、沸点が120℃〜350℃の範囲であるとともに、カルボン酸及びジオール又はトリオールのエステルからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
熱可塑性のエラストマーに基づくフォーム粒子から粒子フォームを製造するための方法であって、フォーム粒子を極性液体で濡らし、そして型内で、高周波電磁放射を使用して相互に熱的に結合させる工程を含み、
前記極性液体は、沸点が120℃〜350℃の範囲であるとともに、酢酸又はクエン酸のグリコールエステル、酢酸又はクエン酸のグリセロールエステル、又はこれらの混合物からなることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記フォーム粒子が、100MHzから300GHzの範囲に周波数を有するマイクロ波を使用して相互に熱的に結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
熱可塑性のポリウレタンのフォーム粒子が使用されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
かさ密度が30〜250Kg/m3のフォーム粒子が使用されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記フォーム粒子が、該フォーム粒子に基づいて0.1〜10質量%の割合の極性液体で濡らされることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法によって得ることができる粒子フォーム。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか1項に記載の方法によって得ることができる粒子フォームを包装又は履物に使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、高周波電磁放射を使用して相互に熱的に結合させることによりフォーム粒子を相互に結合させることにより粒子フォームを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子フォーム(ビーズフォーム)、例えばポリプロピレン又はポリスチレン粒子フォームは典型的には、自動成形機内で過熱水蒸気を使用して相互に融合され、例えば包装産業用の成形パーツに形成される。TPU粒子フォームは更に、過熱蒸気融合によってのみならず、インサイチュ発泡によって、又は反応性ポリウレタン系を使用した接着によって加工することができる。過熱蒸気での融合は、非常に多くのエネルギーを必要とするので、代替手段が探求されている。加熱空気を使用した融合が原則として可能であるが、しかし現在でも十分なパーツを提供しない。この理由は、配置(分配)が均等でなく、そして加熱空気が含むエネルギー量が低く、及び独立気泡フォームの熱伝導性が悪いために長いサイクル時間を必要とするからである。
【0003】
現在広く行われている構成部品を製造するための方法では、予備発泡された粒子(ビーズ)が水蒸気を使用して相互に熱的に融合される。予め発泡した粒子が、空気圧を使用してサイロから吸引されて成形機の圧力充填ユニットに送られ、圧縮空気で圧縮され、そして型内に吹き込まれる。粒子(ビーズ)は発泡のために更なる発泡剤を含んでいないので、これらは圧縮された状態で型内に搬送される(動圧法)。個々の粒子は、熱伝導媒体として水蒸気を使用して、2.5〜3.5バールの蒸気圧(steaming pressure)で相互に融合される。融合の後、成形部分は冷却され、そして成形部分を脱型するためにフォーム圧力が十分に低下される。例えばEPP粒子(EPPビーズ)用の方法についての記載が例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
発泡熱可塑性ポリウレタン(E−TPU)は、粒子フォーム用のごく最近のもので、E−TPUは上述した方法に類似した方法で相互に融合されて高弾性構成要素を形成し、これは、粒子間の優れた付着により、極度の動的応力に曝されることが可能である。熱可塑性エラストマーに基づく発泡材料及びその製造方法は、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5から公知である。
【0005】
特許文献6には、水ガラス及び不透熱性の化合物、例えばグラファイト又はカーボンブラックを含むポリマーコーティングを有するポリスチレンフォーム粒子が記載されており、これは水蒸気の不存在下に圧力焼成されて、成形フォーム物品を形成する。
【0006】
フォーム粒子を相互に熱的に結合させる手段に代わる手段として特に、特許文献7に記載されているような高周波融合が挙げられる。高周波融合では、発泡粒子、特に発泡性ポリスチレン(EPS)、発泡性ポリプロピレン(EPP)、又は発泡性ポリエチレンテレフタレート(EPET)の発泡粒子は相互に融合されるものであるが、これらは、電磁放射を吸収する液体媒体、例えば水に囲まれ、そして次に電磁照射、例えばマイクロ波の類のものを与えることによって相互に結合される。熱可塑性のポリマーの高度の両極性による吸収性(吸水膨潤)のために、この方法は、熱可塑性エラストマーを含むフォーム粒子用にのみ辛うじて可能である。更に、大気圧下で沸騰する水が達する100℃は通常、エラストマー粒子を相互に融合するためには不十分である。水の吸水膨潤で、水は粒子に過剰に浸透し、そして接触点では加熱が有効に作用せず、粒子内でも有効に作用しない。この結果、粒子は、融合する前に崩壊する。
【0007】
引用文献8には、フォーム粒子、特にEPP又はEPSを相互に誘導加温によって、及び改良された熱バランスで熱的に結合させる方法が記載されている。しかしながら、誘導加温による成形部部品の製造は、相互に結合させるために、粒子の部分、少なくとも表面にいくらかの導電性を前提とする。このことは、導電性充填剤、例えば金属粉又はカーボンブラック、ナノチューブで被覆することによって達成可能である。粒子を被覆することが可能な手段の例として吹き付けが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP0588321A1
【特許文献2】WO2005/023920
【特許文献3】WO2007/082838
【特許文献4】WO2013/153190
【特許文献5】WO2014/198779
【特許文献6】WO2007/023091
【特許文献7】WO2001/64414
【特許文献8】DE102013012515A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の課題は、上述した不利な点を改良すると共に、高周波電磁照射、特にマイクロ波照射を使用してフォーム粒子を熱的に相互に結合させて粒子フォームを製造する方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、熱可塑性エラストマーに基づくフォーム粒子から粒子フォームを製造するための方法であって、フォーム粒子を極性液体で濡らし、そして型内で、高周波電磁放射を使用して相互に熱的に結合させる工程を含むことを特徴とする方法によって解決された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
有用な熱可塑性エラストマーは例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(例えば、ポリエーテルエステル、及びポリエステルエステル)、熱可塑性コポリアミド(例えば、ポリエーテルコポリアミド)又は熱可塑性スチレン−ブタジエンブロックコポリマーである。熱可塑性ポリウレタン(TPU)に基づくフォーム粒子が特に好ましい。
【0012】
フォーム粒子は、熱可塑性エラストマーペレットに懸濁液中の発泡剤を含浸させるか、又は溶融状態の熱可塑性エラストマーに発泡剤を溶融含浸させ、次にペレット化することによって得ることができる。熱可塑性エラストマーに基づくフォーム粒子を製造するための適切な方法は例えば、WO2005/023920、WO2007/082838、WO2013/153190及びWO2014/198779に記載されている。
【0013】
フォーム粒子を製造するために使用される熱可塑性エラストマーはDIN53505で測定して、ショア硬度が25A〜82Dの範囲、好ましくは30A〜80Dの範囲、及びより好ましくは65A〜96Dの範囲である。
【0014】
フォーム粒子のかさ密度は好ましくは、30〜250kg/m
3の範囲である。
マイクロ波吸収材として使用される極性液体が比較的低い割合であっても、これは、高周波電磁波照射を使用した融合にとっては十分なものである。フォーム粒子は、使用されるフォーム粒子に対して通常0.1〜10質量%の割合、好ましくは1〜6質量%の割合の極性液体で濡らされる。
【0015】
極性液体は、通常の被覆技術、例えば吹き付け、ディッピング又はウェッティングを使用して、及び追加的な補助材料を使用して、及び使用せずにフォーム粒子に施して(加えて)も良い。この目的のために通常のミキサー、吹き付け装置、ディッピング装置、及び/又はドラム装置が使用されても良い。
【0016】
フォーム粒子が、5〜15×10
−30Cmの範囲の双極子モーメントを有する極性液体で濡らされることが、フォーム粒子にとって特に好ましい。極性液体の沸点は、好ましくは120〜350℃の範囲、好ましくは200〜300℃の範囲である。
水蒸気とは対照的に、極性液体の沸点が熱可塑性フォームの融点よりも高い場合には、相互の熱的接合が大気圧で起こり得る。
【0017】
適切な極性液体の例は、極性基を含むマイクロ波吸収炭化水素である。可能な極性基は、エステル、アミン又は他のヘテロ原子含有基を含む。極性液体として使用するのに好ましいものは、カルボン酸及びジオール又はトリオールのエステル、例えば、酢酸、クエン酸のグリコールエステル、酢酸、クエン酸のグリセロールエステル、又はグリコール、及び液体ポリグリコール、例えばトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールである。
【0018】
1,2,3−プロパントリオールトリアセテート(トリアセチン、グリセロールトリアセテート)、トリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールで濡らされることがフォーム粒子にとって特に好ましい。
【0019】
フォーム粒子が機能コーティング、例えば耐摩耗性、又は低融点ポリウレタンコーティングを有していても良い。ここでコーティングへの有用な更なる添加剤は、熱的及び/又はIR照射を吸収可能な物質を含み、これらは例えば、窒化ホウ素及び酸化アルミニウム、又は導電性カーボン、例えば、記載した方法によってE−TPU要素内に閉じたネットワークを供給することができるグラファイトである。コーティング中に極めて少量の顔料を使用して、フォーム粒子を強度に染めることなく着色を行うことも可能である。
【0020】
更に、融合する前に、種々のファイバー(プラスチック、ガラス、金属)を、フォーム粒子の表面に施し、加工処理後に自身のネットワークを要素部分内に形成することも可能である。このことで改良された機械的特性が得られても良いものである。
【0021】
本願発明の方法が、適切なマイクロ波吸収と低いエネルギー投入で、フォーム粒子の正確な熱的接合(融合)を提供することが見いだされたことは、驚くべきことであった。
【0022】
フォーム粒子の熱的結合は型内で、高周波電磁照射、特にマイクロ波によって行われる。高周波は、100MHz以上の周波数を有する電磁照射を意味すると理解される。使用される電磁照射は通常、100MHz〜300GHzの範囲の周波数範囲である。好ましくは0.5〜100GHz、より好ましくは0.8〜10GHzの範囲のマイクロ波が使用され、及び照射時間は0.1〜15分の範囲である。好ましくは、マイクロ波の周波数範囲は極性液体の吸収挙動に合わせて調整され、又は反対に、極性液体は、使用されるマイクロ波装置の周波数範囲に対するその吸収挙動の強度で選択される。
【0023】
本願発明の方法は、極めて広い周波数範囲に渡ってフォーム粒子を相互に融合させることを可能にする。水が共振することなく、被覆されたフォーム粒子が接触面で優先的(選択的)に加熱されて、これにより粒子全体が内部で過度に加熱され、崩壊する前に接触面が相互に融合するような周波数であってもその範囲である。
【0024】
本願発明は、フォーム粒子を極性液体で弱く濡らし、マイクロ波を吸収しない型内に配置し、そして次にマイクロ波を使用して相互に融合させることを含む。
【0025】
極性液体は、E−TPU粒子の表面を薄く広がり、そして迅速にその箇所に効果的及び均一に付着する。続くマイクロ波での照射では、未使用状態のコーティングがエネルギーを殆ど独占的に吸収し、この結果、粒子表面が正確な態様で加熱され、そしてここで、隣接する粒子との非常に良好な相互間溶融(intermelting)が達成される。次に極性液体は、可塑剤のように熱可塑性エラストマー内に溶解し、そして融合の後、粒子フォームの特性に対する不利な効果を何ら有しない。
【0026】
極性液体は極性に起因して、E−TPUに容易に吸収される。E−TPU粒子の継続する処理/加熱の間に、(PS及びPP粒子とは対照的に)可塑剤がE−TPU粒子内に浸透し、熱的に接合されて粒子フォームを形成する際、個々のフォーム粒子の間の付着(密着)を崩壊させない。
【0027】
更に本願発明は、本願発明の上述した方法によって得ることができる粒子フォームを提供する。そのDIN53504破断伸びは、好ましくは50〜800%の範囲、及びより好ましくは100〜300%の範囲である。DIN EN ISO 1183−1Aに従って測定して、フォームシートの密度は通常100〜400g/lの範囲である。
【0028】
本願発明の粒子フォームの用途は、特に構成物の弾性と軽量性が必要とされる全ての市場(例えば、保護性包装、すなわち高度に繊細な製品のインテリジェントパッケージ)でその可能性が想定される。しかしながら、これらはスポーツフロア、及び自動車構造物又はメカニカルエンジニアリングへの適用のためにも有用である。
【0029】
これらの弾性特性(ゴム状弾性)のために、本願発明の粒子フォームは、スポーツウェア、履物、及び包装部門への適用に、例えば安全靴として、又は電子部品又は機器の包装として有用である。
【実施例】
【0030】
使用した材料:
E−TPU: Infinergy(登録商標)32−100U10、発泡した、主として独立気泡フォーム粒子であって、熱可塑性ポリウレタンに基づき、及びペレット化したElastollan(登録商標)(BASF Polyurethanes GmbHからのもの)を圧力下
に高温下に発泡することによって得られたもの、かさ密度100g/l及び150g/l。
極性液体:グリセロ−ルトリアセテート(トリアセチン、1,2,3−プロパントリオールトリアセテート)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリブチルアセチルシトレート
接着剤: Elastopave6550/101(BASF Polyurethanes GmbHからのもの)、コンパクト2−成分ポリウレタン系
装置: MLS−Ethosパルス実験室マイクロ波システムであって、最大出力が2.5kWのもの。
【0031】
測定方法:
かさ密度は、200ml容器を発泡粒子(発泡ビーズ)で満たし、そして質量を計量することによって測定した。ここで、±5g/lの精度が見込まれる。
【0032】
フォームシートの寸法は、DIN EN ISO 1183−1Aに従って測定された。
【0033】
フォームシートの圧縮強度は、DIN EN ISO 3386に従い、10%、25%、50%及び75%圧縮で測定された。
【0034】
フォームシートの反発弾性は、DIN 53512に従って測定された。
【0035】
破断伸び、及び引張強度は、DIN 53504に従って測定された。
【0036】
実施例B1:
かさ密度が110g/lの、45質量部のE−TPUフォーム粒子を、2.4質量部のグリセロールトリアセテートと一緒に容器内に置いた。この容器をシェイクし、60秒に亘ってE−TPUフォーム粒子をグリセロールトリアセテートで完全に濡らした。
【0037】
47.4グラムの濡れた及びなお緩い(ばらばらの)個々の粒子を、寸法が200mm×200mm×10mmのマイクロ波用型内に満たした。高さ調節可能な蓋で、粒子に僅かに圧力をかけた。この満たされた型を、実験室用マイクロ波ターンテーブルの外端上に30°の角度で傾斜させて置き、そして400ワットで40秒間照射し、型をその垂直軸の周りに180°回転させ、そして400ワットで40秒間照射し、次に型をその垂直軸の周りに更に90°回転させ、そして水平に400ワットで40秒間照射した。型をマイクロ波から除去し、そして水槽中で室温にまで冷却した。次にフォームの相互に融合されたシートを取り除くことができた。
【0038】
実施例B2:
かさ密度が130g/lの、55質量部のE−TPUフォーム粒子を、2.8質量部のグリセロールトリアセテートと一緒に容器内に置いた。この容器をシェイクし、60秒に亘ってE−TPUフォーム粒子をグリセロールトリアセテートで完全に濡らした。
【0039】
57.8グラムの濡れた及びなお緩い(ばらばらの)個々の粒子を、寸法が200mm×200mm×10mmのマイクロ波用型内に満たした。高さ調節可能な蓋で、粒子に僅かに圧力をかけた。この満たされた型を、実験室用マイクロ波ターンテーブルの外端上に30°の角度で傾斜させて置き、そして400ワットで45秒間照射し、型をその垂直軸の周りに180°回転させ、そして400ワットで45秒間照射し、次に型をその垂直軸の周りに更に90°回転させ、そして水平に400ワットで45秒間照射した。型をマイクロ波から除去し、そして水槽中で室温にまで冷却した。次にフォームの相互に融合されたシートを取り除くことができた。
【0040】
実施例B3:
かさ密度が130g/lの、55質量部のE−TPUフォーム粒子を、2.8質量部のトリエチレングリコールと一緒に容器内に置いた。この容器をシェイクし、60秒に亘ってE−TPUフォーム粒子をトリエチレングリコールで完全に濡らした。
【0041】
57.8グラムの濡れた及びなお緩い(ばらばらの)個々の粒子を、寸法が200mm×200mm×10mmのマイクロ波用型内に満たした。高さ調節可能な蓋で、粒子に僅かに圧力をかけた。この満たされた型を、実験室用マイクロ波ターンテーブルの外端上に30°の角度で傾斜させて置き、そして400ワットで40秒間照射し、型をその垂直軸の周りに180°回転させ、そして400ワットで40秒間照射し、次に型をその垂直軸の周りに更に90°回転させ、そして水平に400ワットで40秒間照射した。型をマイクロ波から除去し、そして水槽中で室温にまで冷却した。次にフォームの相互に融合されたシートを取り除くことができた。
【0042】
実施例B4:
かさ密度が130g/lの、55質量部のE−TPUフォーム粒子を、2.8質量部のトリブチルアセチルシトレートと一緒に容器内に置いた。この容器をシェイクし、60秒に亘ってE−TPUフォーム粒子をトリブチルアセチルシトレートで完全に濡らした。
【0043】
57.8グラムの濡れた及びなお緩い(ばらばらの)個々の粒子を、寸法が200mm×200mm×10mmのマイクロ波用型内に満たした。
【0044】
高さ調節可能な蓋で、粒子に僅かに圧力をかけた。この満たされた型を、実験室用マイクロ波ターンテーブルの外端上に30°の角度で傾斜させて置き、そして400ワットで45秒間照射し、型をその垂直軸の周りに180°回転させ、そして400ワットで45秒間照射し、次に型をその垂直軸の周りに更に90°回転させ、そして水平に400ワットで45秒間照射した。型をマイクロ波から除去し、そして水槽中で室温にまで冷却した。次にフォームの相互に融合されたシートを取り除くことができた。
【0045】
比較試験V1:
かさ密度が110g/lの被覆していないE−TPUフォーム粒子60gを、水蒸気を使用して相互に融合(融着)させ、成形されたフォーム物品を形成した。
【0046】
比較試験V2:
かさ密度が110g/lの被覆していないE−TPUフォーム粒子60gを、9質量%の接着剤を使用して相互に接着させ、フォームの成形された物品を形成した。
【0047】
比較試験V3:
かさ密度が110g/lの被覆していないE−TPUフォーム粒子60gを、23質量%の接着剤を使用して相互に接着させ、フォームの成形された物品を形成した。
【0048】
実施例B1−B4及び比較試験V1−V3から得られたフォームシートの特性を表1にまとめた。
【0049】
実施例B1〜B4からのフォームシートは、比較試験V2及びV3からの接着したフォームシートと比較して、より高い反発弾性を示した。
【0050】
更に有利なことに、マイクロ波融合(実施例B1)は、水蒸気融合(比較試験V1)による可能な部品質量よりも低い部品質量が可能であった。反発弾性の増加、及び密度の低減が相当な有利性であると考えられる。
【0051】
また水蒸気を使用したスタンダードな融合で相互に融合したフォームシート(比較試験V1)及び接着したフォームシート(V2及びV3)に対して、実施例B2及びB3のフォームシート高い破断伸びは、特に有利であった。
【0052】
特に、低い密度、高い破断点引張力及び伸び、及び高い反発弾性は、良好な機械特性を有する軽量の構成部材を得るために望ましいものである。
【0053】
【表1】