(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡層は、鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂との重量比(鎖状オレフィン系樹脂:環状オレフィン系樹脂)が、85:15〜50:50である、請求項1又は請求項2に記載の積層発泡断熱シート。
さらに、前記非発泡層及び前記発泡層とは異なる樹脂層が少なくとも1層積層されてなり、前記樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の積層発泡断熱シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂を架橋するために煩雑な工程が必要となり、架橋後の発泡シートのリサイクル性が悪く、架橋後の深絞りなどによる食品包材などへの二次加工が困難である。さらに、これらの発泡シートは、有機過酸化物を用いて架橋すると、架橋に用いる有機過酸化物が残存する懸念があるので、食品包材などには不向きである。また、特許文献3に記載の発泡シートでは、イソブタンのガスを混合樹脂に圧入するので、汎用な押出設備では製膜ができず、製造設備が限定される問題がある。さらに、特許文献4に記載の発泡シートでは、汎用な押出設備での製膜によって発泡シートが得られる一方、必ずしも十分な断熱性を有する発泡シートが得られない問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、断熱性に優れると共に、食品包材などに好適に用いることが可能な積層発泡断熱シート、成形体及び積層発泡断熱シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含有する発泡層の発泡体の平均個数を所定範囲とすることにより、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0008】
本発明の積層発泡断熱シートは、鎖状オレフィン系樹脂を含有する非発泡層と、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む発泡層とが積層されてなり、前記発泡層は、厚さ方向の単位厚さあたりの発泡体の平均個数が19.0個/mm以上であることを特徴とする。
【0009】
上記積層発泡断熱シートにおいては、発泡倍率が1.5倍以上5.0倍以下であることが好ましい。
【0010】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記発泡層は、鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂との重量比(鎖状オレフィン系樹脂:環状オレフィン系樹脂)が、85:15〜50:50であることが好ましい。
【0011】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記発泡層は、未架橋樹脂を主成分とすることが好ましい。
【0012】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記非発泡層は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とすることが好ましい。
【0013】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記非発泡層と前記発泡層とが共押出されてなることが好ましい。
【0014】
上記積層発泡断熱シートにおいては、熱伝導率が0.1W/m・K以下であることが好ましい。
【0015】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記非発泡層と前記発泡層とが、非発泡層/発泡層の順で積層された少なくとも2層を含むことが好ましい。
【0016】
上記積層発泡断熱シートにおいては、前記非発泡層と前記発泡層との積層比(非発泡層/発泡層)が、1:2〜1:20であることが好ましい。
【0017】
上記積層発泡断熱シートにおいては、さらに、前記非発泡層及び前記発泡層とは異なる樹脂層が少なくとも1層積層されてなり、前記樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0018】
本発明の成形体は、上記積層発泡断熱シートが成形されてなることを特徴とする。
【0019】
本発明の成形体においては、包装体であることが好ましい。
【0020】
本発明の成形体は、食品トレーであることが好ましい。
【0021】
本発明の積層発泡断熱シートの製造方法は、鎖状オレフィン系樹脂を含む非発泡層と、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む発泡層とが積層されてなる積層発泡断熱シートの製造方法であって、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物中に発泡剤により発泡体を生成して前記発泡層を得る発泡層作製工程と、共押出により前記非発泡層と発泡層とを積層して積層発泡断熱シートを得る積層工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の積層発泡断熱シートの製造方法においては、さらに、前記積層発泡断熱シートを成形して成形体を得る成形工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、断熱性に優れると共に、食品包材などに好適に用いることが可能な積層発泡断熱シート、成形体及び積層発泡断熱シートの製造方法を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
【0026】
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用及び効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する意味である。また、「主成分とする」とは、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体に対する含有率が50質量%以上を占める成分であることが好ましく、70質量%以上を占める成分であることがより好ましく、80質量%以上を占める成分であることが更に好ましく、また100質量%以下の範囲を占める成分である。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態に係る積層発泡断熱シートの一例を示す断面模式図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る積層発泡断熱シート(積層発泡断熱フィルム)1は、鎖状オレフィン系樹脂を含有する非発泡層11と、この非発泡層11上に積層され、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む発泡層12とを備える。発泡層12は、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂と混合された発泡剤によって内部に複数の発泡体が形成されている。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る積層発泡断熱シートの他の例を示す断面模式図である。
図2に示すように、積層発泡断熱シート2は、鎖状オレフィン系樹脂を含有する第1非発泡層11−1と、この第1非発泡層11−1上に積層され、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む発泡層12と、この発泡層12上に積層され、鎖状オレフィン系樹脂を含有する第2非発泡層11−2とを備える。すなわち、積層発泡断熱シート2は、一対の第1非発泡層11−1及び第2非発泡層11−2間によって発泡層12が挟持された2種3層の積層体である。(以下、第1非発泡層11−1及び第2非発泡層11−2は、単に「非発泡層11」ともいう。)
【0029】
なお、
図1においては、発泡層12の一方の主面側に非発泡層11が積層された積層発泡断熱シート1について示しているが、積層発泡シートは、更に発泡層12の他方の主面側に非発泡層11及び発泡層12とは異なる他の樹脂を含有する樹脂層が積層されていてもよい。すなわち、積層発泡断熱シートは、
図2に示した積層発泡断熱シート2の第1非発泡層11−1を非発泡層11とし、第2非発泡層11−2を樹脂層とした構成で宛もよい。樹脂層は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する。この樹脂層は、非発泡層11及び発泡層12が積層された積層体に各種機能を付与して積層発泡断熱シート1とする機能層として用いられる。
【0030】
また、
図1、
図2に示した例以外にも、本実施の形態に係る積層発泡断熱シートの構成は適宜変更可能である。例えば、積層発泡断熱シートは、
図2に示した第1非発泡層11−1及び第2非発泡層11−2の少なくとも一方の上に、樹脂層を設けてもよい。また、樹脂層は、必ずしも一層で構成されている必要はなく、含有する樹脂が相互に異なる2以上の樹脂層が積層されていてもよい。以下、本実施の形態に係る積層発泡断熱シートの構成要素について詳細に説明する。
【0031】
(非発泡層11)
非発泡層11は、鎖状オレフィン系樹脂を含有する。鎖状オレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び超高密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン‐ブテン−1共重合体、エチレン‐オクテン−1共重合体及びプロピレン−ブテン−1共重合体などの共重合体が用いられる。これらの鎖状オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。鎖状オレフィン系樹脂は、複数種を混合して用いることにより、イージーピール性(EP)を付与することもできる。これらの中でも、耐熱性及びヒートシール性に優れる観点から、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが好ましく、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン及びブロックポリプロピレンがより好ましく、ホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレンが更に好ましい。
【0032】
鎖状ポリオレフィン系樹脂は、非発泡層11に耐熱性を付与する観点から、融点が100℃以上170℃以下の範囲のものが好ましく、積層発泡断熱シートを電子レンジで使用する食品トレーなどの食品包材に用いる場合には、融点130℃以上のものを用いることが好ましい。鎖状ポリオレフィン系樹脂の融点は、例えば、JIS K 7121に準拠した融点測定方法により測定できる。
【0033】
非発泡層11は、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K 7210)が0.1g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上10g/10分以下であることがより好ましい。
【0034】
非発泡層11は、発泡層12の発泡性を阻害しない範囲で、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、加工助剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤などが挙げられる。添加剤の配合量としては、核剤を用いる場合には、例えば、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
【0035】
非発泡層11の厚さに特に制限はない。非発泡層11の厚さとしては、例えば、3μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上300μm以下がより好ましく、10μm以上200μm以下が更に好ましい。非発泡層11は、厚さが3μm以上であれば充分な引張強度が得られる。また、非発泡層11は、厚さが500μm以下であれば、積層発泡断熱シートからの二次加工性が容易となり、単位厚さあたりの断熱性能の面からも好ましい。
【0036】
(発泡層12)
発泡層12は鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含有する。発泡層12の鎖状オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び超高密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン‐ブテン−1−共重合体、エチレン‐オクテン−1−共重合体及びプロピレン−ブテン−1−共重合体などの共重合体が用いられる。これらの中でも、鎖状オレフィン系樹脂としては、耐熱性を付与する観点から、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン及びブロックポリプロピレンが好ましく、ホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレンがより好ましい。
【0037】
発泡層12の鎖状オレフィン系樹脂は、耐熱性を付与する観点から、融点が100℃以上170℃以下の範囲のものが好ましく、積層発泡断熱シートを電子レンジで使用する食品トレーなどの食品包材に用いる場合には、融点130℃以上であることが好ましい。鎖状オレフィン系樹脂の融点は、例えば、JIS K 7121に準拠した融点測定法により測定できる。
【0038】
発泡層12の鎖状オレフィン系樹脂は、メルトフローレート(JIS K 7210)が、0.1g/10分以上50g/10分以下のものが好ましく、1g/10分以上10g/10分以下のものがより好ましい。
【0039】
発泡層12の環状オレフィン系樹脂としては、例えば、環状オレフィンとエチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体の環状オレフィン開環(共)重合体、環状オレフィンの開環(共)重合体の水素添加物、及びこれらの(共)重合体のグラフト変性物などが挙げられる。これらの中でも、環状オレフィン系樹脂としては、生産性及び加工性の観点から、環状オレフィンとエチレンとのランダム共重合体が好ましく、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)がより好ましい。
【0040】
環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度(Tg)に特に制限はない。環状オレフィン系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が、30℃以上のものが好ましく、発泡層12の厚さ方向の発泡体個数及び発泡径を容易に制御する観点から、70℃以上のものがより好ましく、100℃以上のものが更に好ましく、110℃以上のものがより更に好ましく、115℃以上のものがより更に好ましく、また180℃以下のものがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準拠した測定方法により測定できる。
【0041】
発泡層12における鎖状オレフィン系樹脂の配合量は、発泡層12中に適度な発泡体を形成して断熱性に優れた積層発泡断熱シートを得る観点から、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂の合計質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましく、また90質量%以下であることが好ましく、87.5質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましい。
【0042】
発泡層12における環状オレフィン系樹脂の配合量は、発泡層12中に適度な発泡体を形成して断熱性に優れた積層発泡断熱シートを得る観点から、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂の合計質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、1.25質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、また60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、45質量%以下であることが更に好ましい。
【0043】
発泡層12は、鎖状オレフィン系樹脂と環状オレフィン系樹脂との質量比(鎖状オレフィン系樹脂:環状オレフィン系樹脂)が、85:15〜60:40であることが好ましく、80:20〜65:35であることが好ましく、75:25〜65:35であることが更に好ましい。質量比(鎖状オレフィン系樹脂:環状オレフィン系樹脂)が、85:15〜60:40の範囲内であれば、発泡成形時のガス抜け及び連続発泡体の発生を抑制し、シート表面の荒れ、厚さ方向の発泡体個数及び発泡径を容易に制御することが可能となる。
【0044】
発泡層12は、発泡剤によって発泡層12内に複数の発泡体が設けられる。発泡層12に用いられる発泡剤としては、発泡層12で気体を発生して発泡体を形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、重炭酸ナトリウム、クエン酸及び炭酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発泡剤としては、積層発泡断熱シートを食品包材に好適に用いる観点から、重炭酸ナトリウムとクエン酸との併用、又は重炭酸ナトリウムとクエン酸とを併用することが好ましい。
【0045】
発泡層12における発泡剤の配合量としては、積層発泡断熱シート中に適度な発泡体を形成する観点から、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂の合計質量に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましく、また15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下が更に好ましい。
【0046】
発泡層12は、発泡剤の分解助剤を含有していてもよい。発泡層12に用いられる分解助剤としては、例えば、亜鉛系助剤、尿素系助剤、気泡核剤としてのタルク、シリカ、アルミナ、マイカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、分解助剤としては、積層発泡断熱シート中に適度な発泡体を形成する観点から、気泡核剤が好ましく、気泡核剤の中でもタルクがより好ましい。
【0047】
発泡層12における発泡助剤の配合量としては、積層発泡断熱シート中に適度な発泡体を形成する観点から、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂の合計質量に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましく、また5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下が更に好ましい。
【0048】
発泡層12の厚さに特に制限はない。発泡層12の厚さとしては、例えば、100μm以上2.5mm以下が好ましく、150μm以上2.5mm以下がより好ましく、150μm以上2.0mm以下が更に好ましい。発泡層12は、厚さが100μm以上であれば充分な断熱性能が得られる。また、発泡層12は、厚さが2.5mm以下であれば、積層発泡断熱シートからの二次加工性が容易となる。
【0049】
発泡層12は、発泡倍率が1.5倍以上であり、1.8倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましく、また5.0倍以下であり、4.5倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましい。発泡層12は、発泡倍率が1.5倍以上であれば、十分な断熱性能が得られ、発泡倍率が5.0倍以下であれば、ガス抜けによる連続発泡体の発生を抑制できる。
【0050】
発泡層12は、発泡層12の厚さ方向における単位厚さあたりの発泡体の平均個数は、積層発泡断熱シートに十分に断熱性を付与する観点から、19.0個/mm以上であり、19.5個/mm以上が好ましく、20.0個/mm以上がより好ましい。
【0051】
発泡層12は、発泡層12全体に対する厚さ方向の発泡体の平均個数は、積層発泡断熱シートの断熱性の観点から、6個以上が好ましく、7個以上がより好ましく、8個以上がより好ましい。
【0052】
発泡層12の厚さ方向における平均発泡径は、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上80μm以下がより好ましく、15μm以上60μm以下が更に好ましい。発泡層12の平均発泡径が、10μm以下であれば、積層発泡断熱シートに十分な断熱性が得られ、100μm以上であれば、積層発泡断熱シートの十分な強度を得ることができる。
【0053】
(積層発泡断熱シート)
積層発泡断熱シートは、十分な断熱性を得る観点から、非発泡層11と発泡層12とが、非発泡層11/発泡層12の順で積層された少なくとも2層の構成を含むことが好ましい。この場合、積層発泡断熱シートは、非発泡層11と発泡層12との積層比(非発泡層11:発泡層12)が、表面からのガス抜けの発生を防ぐ観点、及び十分な断熱性を得る観点から、1:2〜1:20の範囲であることが好ましく、1:3〜1:10がより好ましい。
【0054】
積層発泡断熱シートは、例えば、食品トレーに用いた場合などに断熱成分を十分に得る観点から、熱伝導率が0.10W/m・K以下であることが好ましく、0.08W/m・K以下であることがより好ましく、0.07W/m・K以下であることが更に好ましい。
【0055】
積層発泡断熱シートは、透気性を有していないことが好ましい。積層発泡断熱シートが透気性を有する場合には、成形時に非発泡層からガス抜けが発生すると共に、積層発泡断熱シート内に連続発泡体が発生しているので、強度、断熱性能が不十分となる場合、及びシート表面に荒れが発生する場合がある。また、積層発泡断熱シートを食品トレーに使用する場合には、液体成分の染み出しが起こる可能性もある。なお、本実施の形態において、積層発泡断熱シートが透気性を有していないとは、JIS P8117に準拠した透気度測定(測定機器:デジタル型王研式透気度試験機(透気度専用機、旭精工社社製)において、測定限界である99999秒/dLを確認できた場合である。
【0056】
積層発泡断熱シートは、食品包材などに用いた場合の必要な強度の観点から、引張強度が6MPa以上であることが好ましく、7.5MPa以上であることがより好ましく、10MPa以上であることが更に好ましい。
【0057】
積層発泡断熱シートの厚さに特に制限はない。積層発泡断熱シートは、厚さが100μm以上3.0mm以下であることが好ましく、150μm以上2.5mm以下であることがより好ましく、200μm以上2.5mm以下であることが更に好ましい。積層発泡断熱シートは、厚さが100μm以上であれば、十分な断熱性能を得ることができ、また厚さが3.0mm以下でれば、積層発泡断熱シートの二次加工性が良好となる。
【0058】
積層発泡断熱シートは、非発泡層11、発泡層12の他に、熱可塑性樹脂を含有する樹脂層を有していてもよい。この樹脂層は、積層発泡断熱シートに各種機能を付与する機能層として機能することもできる。樹脂層の熱可塑性樹脂としては、特に制限はない。樹脂層の熱可塑性樹脂としては、深絞り成形性、耐ピンホール性及び強度を向上する観点、並びに、防湿性、酸素バリア性及び適度なコシを積層発泡断熱シートに付与する観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂及びエチレン酢酸ビニル系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0059】
また、樹脂層の熱可塑性樹脂としては、積層発泡断熱シートの深絞り成形性、耐ピンホール性及び強度をより一層向上させる観点から、ポリアミド系樹脂(PA)が好ましい。また、樹脂層の熱可塑性樹脂としては、防湿性及び適度なコシを付与する観点からは、ポリプロピレン系樹脂(PP)が好ましい。樹脂層の熱可塑性樹脂としては、積層発泡断熱シートに強度及び印刷適性を付与する観点からは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。さらに、積層発泡断熱シートとしては、積層発泡断熱シートに酸素バリア性を付与する観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を主成分とする樹脂層を含むことが好ましい。また、積層発泡断熱シートとしては、非発泡層11と発泡層12との間など積層発泡断熱シート内の各層間に、接着性樹脂(AD)層を設けてもよい。
【0060】
積層発泡断熱シートの層構成としては、例えば、以下の(1)〜(11)に示すものが挙げられる。なお、以下の(1)〜(11)では、接着性樹脂層を省略して示している。これらの中でも、シートの強度、深絞り成形適性、酸素バリア性及び製造コストの観点から、(4)及び(10)の層構成が有用である。なお、積層発泡断熱シートは、例えば、以下の(2)などのように、複数の非発泡層を備える場合には、各非発泡層の厚さは同一であってもよく、相互に異なっていてもよい。
【0061】
(1) 非発泡層/発泡層
(2) 非発泡層/発泡層/非発泡層
(3) 樹脂層(PA)/非発泡層/発泡層/非発泡層
(4) 樹脂層(PA)/樹脂層(EVOH)/非発泡層/発泡層/非発泡層
(5) 非発泡層/樹脂層(PA)/発泡層/非発泡層
(6) 非発泡層/樹脂層(PA)/樹脂層(EVOH)/発泡層/非発泡層
(7) 非発泡層/樹脂層(EVOH)/樹脂層(PA)/発泡層/非発泡層
(8) 非発泡層/樹脂層(PA)/樹脂層(EVOH)/樹脂層(PA)/発泡層/非発泡層
(9) 非発泡層/発泡層/樹脂層(PA)/樹脂層(EVOH)/樹脂層(PA)/発泡層/非発泡層
(10) 樹脂層(EVOH)/非発泡層/発泡層/非発泡層
(11) 樹脂層(PET)/非発泡層/発泡層/非発泡層
【0062】
(積層発泡断熱シートの製造方法)
本実施の形態に係る積層発泡断熱シートの製造方法は、鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含む樹脂組成物中に発泡剤により発泡体を生成して発泡層を得る発泡層作製工程と、共押出により非発泡層と発泡層とを積層して積層発泡断熱シートを得る積層工程とを含む。この積層発泡断熱シートの製造方法においては、得られた積層発泡断熱シートを任意の条件で二次成形することにより、食品トレーなどの各種成形体を得ることが可能となる。
【0063】
積層発泡断熱シートは、従来公知の製造方法により製造可能である。積層発泡断熱シートは、例えば、共押出法、ドライラミネート法、押出ラミネート法及びホットメルトラミネート法などで製造することができる。積層発泡断熱シートは、ドライラミネート法で製造することにより、非発泡層/発泡層/非発泡層の積層発泡断熱シートと、樹脂層(機能層)とが押出温度及び製造方法が異なっても積層することが可能となる。また、積層発泡断熱シートは、製造コストを低減する観点から、押出ラミネート法により、予め製造した樹脂層(機能層)に、非発泡層/発泡層/非発泡層からなる積層発泡断熱シートを積層することなどが可能となる。また、積層発泡断熱シートは、共押出法により、非発泡層、発泡層及び樹脂層(機能層)を積層して製造することが可能となる。
【0064】
以上説明したように、上記実施の形態によれば、発泡層が鎖状オレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂を含有するので、発泡層の厚さ方向における単位厚さあたりの発泡体の平均個数が19.0個/mm以上となり、引張強度及び熱伝導率に優れ、軽量性、断熱性及びクッション性などが良好で、透気性を有しない積層発泡断熱シートを得ることが可能となる。そして、上記実施の形態に係る積層発泡断熱シートは、空孔を発泡層内における積層発泡断熱シートの厚さ方向及び主面の面内方向に均一に形成することができるので、積層発泡断熱シートの表面の荒れを低減することができると共に、引張強度も向上して食品包材として好適に用いることができる。特に、上記実施の形態に係る積層発泡断熱シートは、発泡層の鎖状オレフィン系樹脂を架橋せずに発泡剤で発泡体を形成するので、複雑な製造設備を用いることなく、汎用の製造設備で非発泡層との共押出によって製造できる。しかも、未架橋状態で共押出によって製造された積層発泡シートは、包装体及び食品用トレーなどに容易に二次加工をすることも可能となる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
非発泡層としては、ランダムポリプロピレン(日本ポリプロ社製、MFR 3.5g/10分)を100質量%用いた。発泡層としては、ホモポリプロピレンA(日本ポリプロ社製、MFR 3.0g/10分)を70質量%と、環状ポリオレフィン(ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、ポリプラスチックス社製、MFR1.0g/10分、Tg138℃)を30質量%と、タルク(三福工業社製、タルク粒径19μm、濃度80%)を1.25質量%と、発泡剤A(永和化成工業社製、ポリスレンEE275F)を5質量%とをドライブレンドして用いた。非発泡層と発泡層とを単軸押出機を用いて、Tダイ法にて210℃で混練し、口金温度190℃で共押出成形した後、80℃のキャストロールで急冷製膜して積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0067】
(実施例2)
発泡層としてホモポリプロピレンAを60質量%と、環状ポリオレフィンを40質量%とタルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0068】
(実施例3)
発泡層として、ホモポリプロピレンB(日本ポリプロ社製、MFR 5.0g/10分)70質量%と、環状ポリオレフィンを30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0069】
(実施例4)
非発泡層として、ランダムポリプロピレンを100質量%と、核剤(ソルビトール系造核剤、大日精化工業社製、PP系20%マスターバッチ)を2質量%とを用いたこと、発泡層として、ホモポリプロピレンC(日本ポリプロ社製、MFR 6.0g/10分)を70質量%と、環状ポリオレフィンを30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0070】
(実施例5)
非発泡層として、ホモポリプロピレンA(日本ポリプロ社製、MFR 3.0g/10分)を100質量%用いたこと、発泡層としてホモポリプロピレンCを80質量%と、環状ポリオレフィンを20質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0071】
(実施例6)
発泡層として、ホモポリプロピレンCを70質量%と、環状ポリオレフィンを30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例5と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0072】
(実施例7)
発泡層として、ランダムポリプロピレンを70質量%と、環状ポリオレフィンを30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例5と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0073】
(比較例1)
発泡層として、ホモポリプロピレンAを100質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例5と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0074】
(比較例2)
発泡層として、ホモポリプロピレンAを70質量%と、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、MFR 30.0g/10分)を30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤Aを5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例5と同様にして積層発泡断熱シートを得た。得られた積層発泡断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0075】
(比較例3)
非発泡層として、ホモポリプロピレンD(日本ポリプロ社製、MFR 1.9g/10分)を100質量%用いたこと、及び発泡層を設けなかったこと以外は実施例5と同様にして発泡層を有しない断熱シートを得た。得られた断熱シートを下記条件により評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0076】
(比較例4)
非発泡層を設けなかったこと、及び発泡層として、ホモポリプロピレンDを70質量%と、環状ポリオレフィンを30質量%と、タルクを1.25質量%と、発泡剤B(永和化成工業社製、ポリスレンEE405)を5質量%とをドライブレンドして用いたこと以外は実施例1と同様にして積層発泡断熱シートを得た。評価結果を下記表1に示す。
【0077】
(評価方法)
(1)発泡倍率
積層発泡断熱シートの寸法及び質量から算出した、積層発泡断熱シートのかさ密度、断面観察から算出した積層比、非発泡層の樹脂の密度を用いて、発泡層のみの密度を算出した。得られた発泡層の密度を用いて下記式(1)より発泡倍率を求めた。
発泡倍率=発泡層の樹脂組成物の密度/発泡層の密度 ・・・式(1)
○:発泡倍率が1.5倍以上5倍以下
×:発泡倍率が1.5未満又は5倍超え
【0078】
(2)発泡体平均個数
断面観察写真から、幅方向に任意の測定位置を5箇所決定し、5箇所での厚さ方向の発泡体の個数をそれぞれ算出した。算出した各測定位置の厚さ方向の発泡体の個数の平均値を発泡体平均個数とした。発泡体平均個数は、発泡層全体に対する発泡体平均個数と、発泡層の単位厚みあたりの発泡層平均個数のそれぞれについて測定した。
・発泡層全体(個)
○:平均個数が6個以上
×:平均個数が6個未満
・単位厚み(個/mm)
○:平均個数が19.0個/mm以上
×:平均個数が19.0個/mm未満
【0079】
(3)平均発泡径
TD断面観察写真から、測定対象となる発泡体10個を決定し、各発泡体の厚さ方向における直径を算出した。算出した各発泡体の直径の平均値を平均発泡径とした。
【0080】
(4)25℃での透気度
25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して透気度を測定した。測定機
器としては、デジタル型王研式透気度試験機(透気度専用機、旭精工社製)を用いた。評価基準を以下に示す。
○:透気度が99999秒/dL(測定限界)
×:透気度が99999秒/dL未満
【0081】
(5)25℃で引張強度
25℃の空気雰囲気下にて、JIS K 6767に準拠して、引張強度を測定した。試験片としては、幅15mm、初期長40mmの短冊形試験片を用いた。評価基準を以下に示す。
○:引張強度が10MPa以上
×:引張強度が10MPa未満
【0082】
(6)熱伝導率
測定試料を10mm角に切り出して厚さをマイクロメータで測定し、グラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社製、型式:LFA447 nanoflash)を用いて熱拡散率を評価した。得られた熱拡散率の値を寸法及び質量から計算したかさ密度と、示差走査型熱量計(Perkin Elmer社製DSC Pyris1)で測定した比熱との積から熱伝導率を求めた。評価基準を以下に示す。
○:熱伝導率が0.1W/m・K以下
×:熱伝導率が0.1W/m・K超
【0083】
(7)発泡体均一性評価
積層発泡断熱シートの断面観察写真から、発泡層内に発泡体による空孔が積層発泡断熱シートの厚さ方向及び主面の面内方向に均一に形成されているか目視評価を行った。評価基準を以下に示す。
○:空孔が発泡層の厚さ方向及び面内方向のいずれにも均一に形成されている。
×:空孔が発泡層の厚さ方向及び面内方向の少なくとも一方に不均一に形成されている部分がある。
【0084】
【表1】
【0085】
上記表1に示した成分を以下に示す。
ランダムポリプロピレン:日本ポリプロ社製、MFR 3.5g/10分
ホモポリプロピレンA:日本ポリプロ社製、MFR 3.0g/10分
ホモポリプロピレンB:日本ポリプロ社製、MFR 5.0g/10分
ホモポリプロピレンC:日本ポリプロ社製、MFR 6.0g/10分
ホモポリプロピレンD:日本ポリプロ社製、MFR 1.9g/10分
環状ポリオレフィン:ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、ポリプラスチックス社製、MFR1.0g/10分、Tg138℃
タルク:三福工業社製、タルク粒径19μm、濃度80%
発泡剤A:永和化成工業社製、ポリスレンEE275F
発泡剤B:永和化成工業社製、ポリスレンEE405
核剤:ソルビトール系造核剤、大日精化工業社製、PP系20%マスターバッチ
ポリカーボネート:三菱エンジニアリングプラスチックス社製、MFR 30.0g/10分
【0086】
表1から分かるように、発泡層が環状オレフィン系樹脂を含有する場合には、発泡層の厚さ方向における単位厚さあたりの発泡体の平均個数が19.0個/mm以上となり、透気度、引張強度及び熱伝導率のいずれにおいても優れた積層発泡断熱シートが得られた(実施例1〜7)。これらの結果から、実施例1〜7に係る積層発泡断熱シートは、断熱性に優れ、透気性を有せず、引張強度にも優れるので、食品包材として好適に用いることができることが分かる。これに対して、発泡層が環状オレフィン系樹脂を含有しない場合には、発泡層の厚さ方向における単位厚さあたりの発泡体の平均個数が19.0個/mm未満となった(比較例1、2)。また、比較例1、比較例2、比較例4については、空孔が発泡層に不均一に形成されている部分が見られシートの表面性(表面の荒れ)が悪化し、更に比較例2については引張強度も低下した。また、発泡層を有しないシートでは熱伝導率が著しく高くなった(比較例3)。また、発泡層のみのシートでは、透気性を有しており、更に熱伝導率が高かった(比較例4)。
【0087】
図3は、実施例4に係る積層発泡断熱シートの断面走査型電子顕微鏡写真(50倍)である。
図3に示すように、実施例4で得られた積層発泡断熱シートは、一対の非発泡層間に発泡層が設けられており、発泡層内に発泡体による空孔が均一に形成されると共に厚み方向に多数の発泡体が形成されていた。このため、積層発泡断熱シートの表面が滑らかとなり、良好な断熱性能を有していた。
【0088】
図4は、比較例1に係る積層発泡断熱シートの断面走査型電子顕微鏡写真(50倍)である。
図4に示すように、比較例1で得られた積層発泡断熱シートは、一対の非発泡層間に発泡層が設けられているが、発泡層内では発泡体により大きな空孔が形成された領域と空孔が十分に形成されない領域とが混在していた。このため、厚さ方向における発泡体の形成不足が生じると共に、積層発泡断熱シートの表面の荒れが見られた。
【0089】
図5は、比較例2に係る積層発泡断熱シートの断面走査型電子顕微鏡写真(50倍)である。
図5に示すように、比較例2で得られた積層発泡断熱シートは、一対の非発泡層間に発泡層が設けられているが、発泡層内では発泡体による大きな空孔が相互に連通した連続発泡体が多く形成されていた。