(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
含フッ素ポリマー、例えばパーフルオロポリエーテル系エラストマーは、適当な化学反応条件に付すことによって、あらゆる末端変性を行うことができる。たとえば、第2級アミノ基と、ケイ素原子に結合したビニル基を有するケイ素化合物を反応させることにより、アミド結合を介して末端にケイ素原子に結合されたビニル基を有するポリマーを得ることができる。このパーフルオロポリエーテル系エラストマーは、Si−H結合を有する化合物とのヒドロシリル化反応により、ゴム材料や塗料、離型剤などの用途に使用可能であることが、特許文献1、2(特許第5356129号公報、特許第5246190号公報)等により報告されている。また、前記ヒドロシリル化反応を応用することで、トリアルコキシシリル基を有するポリマーを得ることができる。このパーフルオロポリエーテル系エラストマーは、スズやチタンといった触媒の存在下、空気中で加水分解を起こし、他のアルコキシシランとの間でシロキサン結合を形成するため、室温下で硬化可能なコーティング剤として利用できる。
【0003】
フルオロポリマーの末端変性方法の開発の需要は未だ根強い。これは、加熱不可能な大型部品への使用や、耐熱性に乏しい部品への使用など、ある特定の用途に特化した硬化材料の需要が高まったことに起因すると考えられる。アジド基を有する化合物は、室温、銅イオンを媒介とし、アルキンとクリック反応を起こすことで1,3−トリアゾール骨格を形成することが知られている。この骨格は、ポリマーの部分構造として導入される場合が多い傾向にあるが、エラストマーの架橋システムとして採用されている例も、特許文献3(特表2008−522014号公報)をはじめ、いくつか例が存在する。また、アジド基はヒドリド還元やクリチウス転位によりイソシアネートやアミン、ボイヤー・シュミット・オーベ転位により環状アミドなど、様々な骨格に変換することも可能である。これは、末端アジド変性フルオロポリマーが、フルオロポリマーの末端変性法の高い需要に答え得る十分なポテンシャルを秘めていることを意味する。
【0004】
アジド基を有するフルオロポリマーは、その有用性から特許文献4、5(特許第5635084号公報、特表2012−500322号公報)などをはじめとし、多くの構造が知られている。しかし、本発明で規定する特定の分子構造を有するパーフルオロポリエーテルを主鎖構造として有するアジド基含有フルオロポリマーは知られていない。一方で、HFPO3量体を主鎖構造として有する、低分子のアルコールから分子鎖の片末端にアジド基を有するアジド化合物を合成する方法は、非特許文献1(Collection of Czechoslovak Chemical Communications, 73(12), 1799-1813; 2008)により知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、特定の分子構造を有するパーフルオロポリエーテルを主鎖構造として有し、分子鎖両末端にメチレン基を介してアジド基を有するアジド基含有フルオロポリマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の分子構造を有する2価のパーフルオロポリエーテルを主鎖構造として有し、分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーの末端ヒドロキシ基を、スルホニルエステル基で保護して、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマーを調製し、該スルホニルエステル基を有するフルオロポリマーを、非フッ素系有機溶剤と少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤との混合液中、アジ化ナトリウムと反応させることで、特定の分子構造を有するパーフルオロポリエーテルを主鎖構造として有するアジド基含有フルオロポリマーが定量的に製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、下記のアジド基含有フルオロポリマー及びその製造方法を提供するものである。
[1]
下記一般式(1)で表されるアジド基含有フルオロポリマー。
【化1】
[式中、Rf
1は、下記一般式
(2)
【化2】
(式中、a、bは互いに独立した整数で、a≧1、b≧1、2≦a+b≦150で
ある。)
により表される2価のパーフルオロポリエーテル基である。]
[2]
下記一般式(6)
【化3】
(式中、Rf
1は上記と同じである。)
で表される分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーのヒドロキシ基を、ハロゲン化スルホニル化合物と反応させて、分子鎖両末端がスルホニルエステル基で封鎖されたフルオロポリマーを調製し、次いで、該分子鎖両末端がスルホニルエステル基で封鎖されたフルオロポリマーのスルホニルエステル基を、非フッ素系有機溶剤と少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤との混合液中、アジ化ナトリウムと反応させる工程を含む[1]に記載のアジド基含有フルオロポリマーの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、特定の分子構造を有するアジド基含有フルオロポリマーは、分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーをハロゲン化スルホニル化合物と反応させた後、該反応物を非フッ素系の有機溶剤中でアジ化ナトリウムと反応させることでは得ることができない。これは、非フッ素系有機溶剤へのフルオロポリマーの溶解性の低さに由来するアジド化の低い反応速度、副反応の進行などに起因する。しかし、フルオロポリマーと比較的高い相溶性を示す、少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤と非フッ素系有機溶剤との混合液中で、上記反応物とアジ化ナトリウムとを反応させることにより、上記アジド基含有フルオロポリマーを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアジド基含有フルオロポリマーは、下記一般式(1)で表されるものである。
【化4】
【0013】
上記一般式(1)において、主鎖を構成するRf
1は、下記一般式(2)〜(5)のいずれかにより表される2価のパーフルオロポリエーテル基である。
【化5】
(式中、a、bは互いに独立した整数で、a≧1、b≧1、2≦a+b≦150であり、cは1〜150の整数である。)
Rf
1は、上記一般式(2)又は(3)で表される2価のパーフルオロポリエーテル基であることがより好ましい。
【0014】
上記一般式(2)〜(5)において、a、b、cは、互いに独立した整数であり、aはa≧1、好ましくは1≦a≦75、bはb≧1、好ましくは1≦b≦75、a+bは2≦a+b≦150、好ましくは6≦a+b≦100であり、cは1〜150、好ましくは5〜100の整数である。a+bは
2以上で、かつ150以下の整数であれば、また、cは
1以上で、かつ150以下の整数であれば、反応終了後の操作が容易となるため、前記範囲内の整数であることが望ましい。
【0015】
上記一般式(1)のRf
1が一般式(2)又は(3)で表される2価のパーフルオロポリエーテル基である場合を例にして、上記一般式(1)に包含されるアジド基含有フルオロポリマーを以下に例示するが、これらに限定されない。
【0016】
【化6】
(式(7)中、a1、b1はそれぞれ独立した整数であり、それぞれa1≧1、b1≧1、2≦a1+b1≦150、好ましくは6≦a1+b1≦120、より好ましくは35≦a1+b1≦100の整数である。式(8)中、a2、b2はそれぞれ独立した整数であり、それぞれa2≧1、b2≧1、2≦a2+b2≦150、好ましくは6≦a2+b2≦100の整数である。)
【0017】
本発明の一般式(1)で表されるアジド基含有フルオロポリマーの製造方法としては、下記一般式(6)
【化7】
(式中、Rf
1は上記と同じである。)
で表される分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーのヒドロキシ基を、ハロゲン化スルホニル化合物と反応させて、分子鎖両末端がスルホニルエステル基で封鎖されたフルオロポリマーを調製し、次いで、該分子鎖両末端がスルホニルエステル基で封鎖されたフルオロポリマーのスルホニルエステル基を、非フッ素系有機溶剤と少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤との混合液中、アジ化ナトリウムと反応させることにより、上記式(1)で表されるアジド基含有フルオロポリマーを得ることができる。
【0018】
上記一般式(1)のRf
1が一般式(2)で表される2価のパーフルオロポリエーテル基である場合を例にすれば、下記に示す工程により製造することができる。
【0019】
第1工程:
第1工程では、分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマー、例えば、下記式で表されるフルオロポリマーに、ハロゲン化スルホニル化合物、例えばパーフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオライドを、トリエチルアミン等の塩基の存在下にて反応させて、ヒドロキシ基をスルホニルエステル基とすることにより、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマー、例えば、下記式で表されるヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)構造を主鎖とするポリマーを得る。
【0020】
【化8】
(式中、a、b、a+bは上記と同じである。)
【0021】
分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーとして、一般式(2)で表されるHFPO(ヘキサフルオロプロピレンオキサイド)構造を主鎖とするフルオロポリマーの代わりに、上記一般式(3)、(4)又は(5)で表される骨格を主鎖とする分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーを用いると、それぞれ対応する主鎖構造を持つスルホニルエステル化体が得られる。
【0022】
上記反応において、ハロゲン化スルホニル化合物の使用量は、分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーのヒドロキシ基に対して、好ましくは1.0当量以上、より好ましくは1.0当量以上5.0当量以下である。なお、好適なハロゲン化スルホニル化合物としては、パーフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオライドの他に、p−トルエンスルホニルクロライド、メシルクロライド、p−ニトロベンゼンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
【0023】
トリエチルアミン等の塩基は、フルオロポリマーの末端のヒドロキシ基と、ハロゲン化スルホニル化合物が反応する際に発生するハロゲン化水素を中和するために加える。よって、トリエチルアミン等の塩基の添加量は、分子鎖両末端がヒドロキシメチル基で封鎖されたフルオロポリマーのヒドロキシ基に対して、1.1当量以上1.5当量以下であることが望ましい。好適な塩基としては、トリエチルアミンの他に、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどが使用可能である。
【0024】
上記反応は、窒素シール下で行うことが好ましい。反応温度は20〜50℃、特に20〜40℃程度でよい。反応開始直後は発熱を伴うので、温度が上がりすぎる場合には10分程度冷却を行う。反応開始から1時間〜3日、特に3時間〜24時間程度撹拌を行い、反応終了とする。反応終了後は水にて反応で生成したトリエチルアミン−フッ化水素酸塩を溶解し、フッ素化された有機溶剤層を回収し、減圧濃縮することにより、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマーが得られる。
【0025】
第2工程:
第2工程では、第1工程で得られた分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマー、例えば下記式で表されるヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)構造を主鎖とするポリマーのスルホニルエステル基を、少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤と、非フッ素系有機溶剤との混合液中、アジ化ナトリウムと反応させることで、目的物である上記一般式(1)で表される分子鎖両末端にメチレン基を介してアジド基を有するアジド基含有フルオロポリマー、例えば、下記式で表されるヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)構造を主鎖とするアジド基含有ポリマーが得られる。
【0026】
【化9】
(式中、a、b、a+bは上記と同じである。)
【0027】
上記反応において、アジ化ナトリウムの使用量は、スルホニルエステル基を有するフルオロポリマーのスルホニルエステル基に対して、1.0当量以上、特に1.1当量以上3.0当量以下であることが望ましい。アジ化ナトリウムの当量が少なすぎると反応が十分に進行しない場合がある。アジ化ナトリウムの当量が多すぎると、反応終了後に大量のアジ化ナトリウムが系内に残存するため、分液操作中の爆発などが懸念される。
【0028】
非フッ素系有機溶剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)やN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリルなどが好ましい。非フッ素系有機溶剤の使用量は、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマーの質量の0.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。非フッ素系有機溶剤の使用量が少なすぎると反応速度の低下や、副反応の進行などを引き起こす場合がある。
【0029】
少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤としては、ヘキサフルオロメタキシレン(HFMX)やH Galden ZV130(ソルベイ社製)、AC−6000(旭硝子社製)など、スルホニルエステル基を有するフルオロポリマーを溶解するものであることが望ましい。少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤の使用量は、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマーの質量の0.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤の使用量が少なすぎても、やはり反応速度の低下や、副反応の進行などを引き起こす場合がある。
【0030】
なお、少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤と非フッ素系有機溶剤との使用割合(質量比)は、0.5:1〜3:1、特に1:1〜2:1、とりわけ1:1であることが好ましい。少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤の割合が少なすぎると、アジド化の反応速度の低下や、副反応が進行する場合がある。同様に、少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤の割合が多すぎる場合においても、アジド化の反応速度の低下や、副反応が進行する場合がある。
【0031】
上記反応は、分子鎖両末端にメチレン基を介してスルホニルエステル基を有するフルオロポリマーに、少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤と、非フッ素系有機溶剤と、アジ化ナトリウムとを加え、60〜120℃、特に80〜115℃の温度で12時間〜3日、特に1〜2.8日程度加熱することで行う。反応終了後、水とヘキサフルオロメタキシレン(HFMX)等の少なくとも部分的にフッ素化された有機溶剤を加え、分液操作により水層を除去し、アセトン等の有機溶剤を加えることで沈降した生成物を回収し、減圧濃縮後、活性炭により生成物を処理することで、目的物である上記一般式(1)で表される分子鎖両末端にメチレン基を介してアジド基を有するフルオロポリマーが得られる。
【実施例】
【0032】
以下の実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、パーフルオロオキシアルキレン単位の繰り返し数(重合度)は、フッ素系溶剤を展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析による数平均重合度を示す。
【0033】
[実施例1]
3Lフラスコに、下記式(9)
【化10】
(a+b≒35)
で表される35量体のHFPO骨格を主鎖とし、分子鎖両末端にヒドロキシメチル基を有するフルオロポリマー1,045g(ヒドロキシ基の濃度:0.30×10
-3mol/g)を仕込み、窒素シール下、このフラスコに対し、パーフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオライド389gと、トリエチルアミン46gを加え、撹拌を開始した。この時、系の内温が最大30℃まで上昇した。およそ20時間撹拌した後、HFMXと水を加え、分液操作によりHFMX層を回収し、アセトンを加え生成物を沈降させた。この生成物を回収し、減圧濃縮(267Pa、100℃)を1時間行った。その結果、下記式(10)で表されるフルオロポリマーを、無色透明なものとして、1,128g得た。
【化11】
(a+b≒35)
【0034】
得られた上記式(10)で表されるフルオロポリマー1.0105g、トルエン0.0535g、
ヘキサフルオロメタキシレン(HFMX)4.0084gを混合し、得られた溶液を用いて
1H−NMR測定を行ったところ、上記式(10)のポリマーの−OSO
2C
4F
9価が0.278×10
-3mol/gと算出された。
図1に、
1H−NMRスペクトルを示す。
1H−NMR
δ4.69(m,−CH
2)
【0035】
上記で得られた式(10)のフルオロポリマー1,128g、DMSO1,692gを、10Lフラスコに仕込み、同様のフラスコ内を窒素置換した。10分後、同様のフラスコを窒素シールし、HFMX1,692g、アジ化ナトリウム60gを仕込み、110℃まで系内を昇温させ、撹拌を開始した。66.5時間撹拌後、水を加え反応をクエンチし、HFMXを加え、分液操作によりHFMX層を回収した。回収したHFMX層にアセトンを加え、沈降した生成物を回収し、ろ過した後、減圧濃縮(267Pa、100℃)を1時間程度行った。濃縮後の生成物に、PF5060(3M社製)1,018g、活性炭(白鷺AS、大阪ガスケミカル社製)51gを加え、室温下、1時間撹拌した。ろ過により活性炭を除去後、減圧濃縮(267Pa、100℃)を1時間程度行うことで、下記式(11)で表されるアジド基含有フルオロポリマーを、無色透明なものとして、960g得た。
【化12】
(a+b≒35)
【0036】
得られた上記一般式(11)で表されるアジド基含有フルオロポリマー1.0083g、トルエン0.0508g、
ヘキサフルオロメタキシレン(HFMX)4.0031gを混合し、得られた溶液を用いて
1H−NMR測定を行ったところ、上記式(11)のアジド基含有フルオロポリマーのアジド価が、0.274×10
-3mol/gと算出された。
図2に、
1H−NMRスペクトルを示す。
1H−NMR
δ3.56(m,−CH
2)
【0037】
[比較例1]
100mLフラスコに、上記式(9)で表される35量体のHFPO骨格を主鎖とし、分子鎖両末端にヒドロキシメチル基を有するフルオロポリマー20g(ヒドロキシ基の濃度:
0.30×10
-3mol/g)を仕込み、窒素シール下、このフラスコに対し、パーフルオロ−1−ブタンスルホニルフルオライド7.6gと、トリエチルアミン0.85gを加え、撹拌を開始した。およそ3日間撹拌した後、HFMXと水を加え、分液操作によりHFMX層を回収し、アセトンを加え生成物を沈降させた。この生成物を回収し、減圧濃縮(267Pa、100℃)を1時間行った。その結果、上記式(10)で表されるフルオロポリマーを、無色透明なものとして、17g得た。
得られたフルオロポリマーの−OSO
2C
4F
9価を、上記と同様の方法で算出したところ、0.281×10
-3mol/gとなった。
【0038】
上記で得られた式(10)のフルオロポリマー10g、DMSO30gを、100mLフラスコに仕込み、同様のフラスコ内を窒素置換した。10分後、同様のフラスコを窒素シールし、アジ化ナトリウム0.55gを仕込み、110℃まで系内を昇温させ、撹拌を開始した。45.5時間撹拌後、水を加え反応をクエンチし、HFMXを加え、分液操作によりHFMX層を回収した。回収したHFMX層にアセトンを加え、沈降した生成物を回収し、減圧濃縮(267Pa、100℃)を1時間程度行った。しかし、上記式(11)で表されるアジド基含有フルオロポリマーは得られず、複雑な混合物を与える結果となった。
図3に、得られた混合物の
1H−NMRスペクトルを示す。