(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パルプスラリーを、ワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法であって、該パルプスラリーがエーテル型の非イオン性界面活性剤を含有し、前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体であることを特徴とするパルプシートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
パルプ工場で生産されたパルプは、シート状に加工され、パルプシートとして貯蔵される。パルプシートの乾燥方法としては、加熱乾燥が挙げられるが、加熱による乾燥のみでは、燃料の消費量が多くなるため、製造コストの観点から好ましくない。
そこで、パルプシートは、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパートを通過させて脱水されるが、パルプシートは再離解して使用され、ほぐれ易さが要求されるため、製紙機械のように大きな圧力をかけて脱水することは通常行われない。すなわち、プレスパートでは、緩やかに脱水が行われ、その後のドライヤパート(乾燥工程)で水分を蒸発させる必要があり、そのための熱量が必要となる。具体的には、重油などの燃料が多量に必要となる。
【0003】
従来の方法としては、抄紙マシンのプレスパートにおいて、濾水性(脱水性)を向上させるために、パルプスラリーに有機ポリマーを添加し、フロックを形成して、濾水性を向上させることが行われている。すなわち、凝集剤である有機ポリマーを使ってパルプを凝集させ、フロックを形成させて、水抜けを良好にする方法である。フロックを作るためには、有機ポリマーにコロイダルシリカなどの無機物質を組み合わせるなど多種多様の処理方法が知られている(非特許文献1)。
しかしながら、パルプ原料として販売されるパルプシートを製造するマシンでは、パルプの荷電状態を変える有機ポリマー、および、スケールとなるコロイダルシリカなどの添加はパルプ品質に影響するため好まれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、抄紙マシンを用いた製紙方法において、脱水のために使用される有機ポリマーは、パルプ品質に影響を及ぼすため、パルプシートの製造方法に適用することは適切ではない。したがって、ドライヤパートの前に、シート状パルプの含水率を下げることが困難になり、ドライヤパートでの水分の蒸発のための大きな熱量を必要とし、例えば、重油などの燃料が多量に必要になる。
なお、本願明細書では、ドライヤパートを通過する前をシート状パルプと称し、ドライヤパートを通過させて、乾燥した後をパルプシートと称する。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、パルプスラリーを、ワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法に関し、ドライヤパートの前に(シート状パルプの状態での)水分含有量を下げ得る、パルプシートの製造方法及びパルプスラリー用脱水向上剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下の
(1)〜
(9)を提供するものである。
(1)パルプスラリーを、ワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法であって、該パルプスラリーがエーテル型の非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするパルプシートの製造方法。
(2)上記非イオン性界面活性剤が、構造単位中にポリオキシプロピレン鎖及びポリオキシブチレン鎖の少なくともいずれかを有する重合体である上記(1)に記載のパルプシートの製造方法。
(3)上記非イオン性界面活性剤が、構造単位中に、
ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖を有する共重合体である上記(1)又は(2)に記載のパルプシートの製造方法。
(4)上記共重合体中のポリオキシプロピレン鎖の含有量が85質量%以上である上記(3)に記載のパルプシートの製造方法。
(5)上記共重合体が下記式(I)又は(II)で表されるブロック共重合体である上記(3)又は(4)に記載のパルプシートの製造方法。
R
1O−(C
2H
4O)
a−(C
3H
6O)
b−(C
2H
4O)
c−R
2・・・(I)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R
3O−(C
3H
6O)
d−(C
2H
4O)
e−(C
3H
6O)
f−R
4・・・(II)
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
(6)上記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体である上記(1)又は(2)に記載のパルプシートの製造方法。
(7)上記ポリオキシプロピレンの単独重合体が、下記式(III)で示される重合体である上記(6)に記載のパルプシートの製造方法。
R
5O−(C
3H
6O)
g−R
6・・・(III)
(式中、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
(8)エーテル型の非イオン性界面活性剤を含むパルプスラリー用脱水向上剤であって、該エーテル型の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシプロピレンの単独重合体又は構造単位中に
ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖を有する共重合体であって、該共重合体のポリオキシプロピレン鎖の含有量が85質量%以上であるパルプスラリー用脱水向上剤。
(9)上記共重合体が下記式(I)又は(II)で表されるブロック共重合体、若しくは、上記単独重合体が下記式(III)で表される単独重合体である上記(8)に記載のパルプスラリー用脱水向上剤。
R
1O−(C
2H
4O)
a−(C
3H
6O)
b−(C
2H
4O)
c−R
2・・・(I)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R
3O−(C
3H
6O)
d−(C
2H
4O)
e−(C
3H
6O)
f−R
4・・・(II)
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
R
5O−(C
3H
6O)
g−R
6・・・(III)
(式中、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パルプスラリーをワイヤパート、プレスパート及びドライヤパートを通過させて脱水し、パルプシートを製造する方法に関し、ドライヤパートの前に水分含有量を十分に下げることのできる、パルプシートの製造方法及びパルプスラリー用脱水向上剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のパルプシートの製造方法は、パルプスラリーからパルプシートを形成するにあたり、パルプスラリーをワイヤパート、プレスパート、及びドライヤパートを通過させて脱水するものであって、該パルプスラリーがエーテル型の非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【0011】
(非イオン性界面活性剤)
本発明で用いるエーテル型の非イオン性界面活性剤は、高級アルコールやアルキルフェノールなど水酸基を持つ原料に、酸化エチレン等を付加させて得られるものであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどが挙げられる。また、疎水基としてポリプロピレングリコールを用いたポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなども、当該エーテル型の非イオン性界面活性剤の範疇に入る。
【0012】
本発明で用いるエーテル型の非イオン性界面活性剤としては、構造単位として、疎水基であるポリオキシプロピレン鎖及びポリオキシブチレン鎖の少なくとも1種を有する重合体であることが好ましい。特に、ポリオキシプロピレン鎖(以下「PO」と記載することがある。)及びポリオキシエチレン鎖(以下「EO」と記載することがある。)を有する共重合体(以下「POEO共重合体」と記載することがある。)が好ましく、その中でも、POの含有量が85質量%以上である共重合体が好ましい。また、POの含有量が100質量%、すなわち、ポリオキシプロピレン鎖のみからなる、プロピレンオキシドの単独重合体(以下「PO単独重合体」と記載することがある。)も好ましい態様である。
POEO共重合体としては、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいが、パルプへの定着の点から、ブロック共重合体が好ましい。POEO共重合体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0013】
また、末端の構造に関しては、特に制限はなく、水素原子であってもアルキル基であってもよい。具体的な構造としては、以下のようなものが好適に挙げられる。
R
1O−(C
2H
4O)
a−(C
3H
6O)
b−(C
2H
4O)
c−R
2 ・・・(I)
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。)
R
3O−(C
3H
6O)
d−(C
2H
4O)
e−(C
3H
6O)
f−R
4 ・・・(II)
(式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。)
R
5O−(C
3H
6O)
g−R
6 ・・・(III)
(式中、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜28のアルキル基であり、gは5〜20である。)
【0014】
上記式(I)〜(III)のうち、少なくとも一方の末端(R
2、R
4及びR
6)は水素原子であることが好ましく、両末端(R
1〜R
6)が水素原子であることがより好ましい。一方、末端がアルキル基の場合には、片末端(R
1、R
3及びR
5)がアルキル基であり、他の末端(R
2、R
4及びR
6)が水素原子であることが好ましい。当該末端のアルキル基の炭素数としては、1〜28であることが好ましく、さらには、1〜18であることが好ましい。
また、平均分子量としては、数平均分子量で300〜3000の範囲であることが好ましく、さらには、400〜2500の範囲であることが好ましい。なお、数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
【0015】
両末端が水素原子であるエーテル型の非イオン性界面活性剤の好ましい態様としては、下記式(I')又は(II’)で表される、PO及びEOのトリブロック共重合体が挙げられ、また式(III’)で表されるPO単独重合体が挙げられる。
【0016】
HO−(C
2H
4O)
a−(C
3H
6O)
b−(C
2H
4O)
c−H ・・・(I’)
HO−(C
3H
6O)
d−(C
2H
4O)
e−(C
3H
6O)
f−H ・・・(II’)
HO−(C
3H
6O)
g−H ・・・(III’)
上記式(I’)中、a+cは1〜10であり、bは5〜40である。また、上記式(II’)中、eは1〜10であり、d+fは5〜40である。上記式(III’)中、gは1〜40、好ましくは5〜20である。
【0017】
上記式(I’)で表される構造を有するPOEOブロック共重合体は、例えば、両末端にヒドロキシル基を有するプロピレンオキシドに、エチレンオキシドを付加反応させることにより得ることができる。
また、上記式(II’)で表される構造を有するPOEOブロック共重合体は、例えば、両末端にヒドロキシル基を有するエチレンオキシドに、プロピレンオキシドを付加反応させることにより得ることができる。
上記式(III’)で表される構造を有するプロピレンオキシド重合体は、例えば、プロピレンオキシドをアニオン開環重合させることにより得ることができる。
【0018】
(パルプシートの製造方法)
パルプシートの製造方法について、以下、
図1を用いて説明する。
図1はパルプスラリーからパルプシートを製造する方法を示す模式図である。当該工程は、パルプスラリーを製造しておいて、該パルプスラリーからパルプシートを製造するものである。すなわち、原質調製工程(パルプスラリーの製造工程)10とパルプシート製造工程20を含むものである。
まず、原質調製工程10において、パルプ受け入れタンク14内で、パルプと水とが導入されてパルプスラリーが調製される。なお、水はピット11から供給されるが、ピット11には、後述するパルプシートの製造工程20で回収される濾液を還流して再利用してもよい(図示せず)。
次いで、パルプシート製造工程20において、該パルプスラリーは、シートマシン21でシート状にされ(シート状パルプ30)、その後、ワイヤパート22、プレスパート23、及びドライヤパート24で脱水され、パルプシートが形成される。
【0019】
<パルプスラリー>
パルプスラリーは、パルプを水に懸濁させて得られる液状物であり、不溶性懸濁物の濃度は、通常、0.2〜2.0質量%程度であり、好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.7〜1.3質量%である。
前記界面活性剤は、当該パルプスラリーや後述するシートマシン21、パルプスラリーを貯留するチェスト15等に添加することができるが、パルプ受け入れタンク14にて、パルプスラリーに添加することが、製造が容易であるとの観点から好ましい。
界面活性剤の添加量は、パルプスラリーに含まれる不溶性懸濁物に対して、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.005〜0.05質量%であることがさらに好ましく、0.01〜0.02質量%であることが特に好ましい。
なお、パルプスラリーには、本発明の効果を阻害しない範囲で、パルプシートの製造に通常用いられる添加剤を添加することができ、例えば、pH調整剤、防腐剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、上述の界面活性剤以外の界面活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、通常、第1添加装置60又は第2添加装置70から、それぞれ第1薬注管61及び第2薬注管71にて供給される。
【0020】
<ワイヤパート>
ワイヤパート22は、シートマシン21で形成されたシート状パルプ30を脱水して、プレスパート23に送るための金網状のワイヤコンベアを備える。シート状パルプ30はワイヤコンベア上で重力による脱水または真空脱水される。
【0021】
<プレスパート>
プレスパート23はフェルトコンベアで構成され、シート状パルプ30を互いに対向するロールの間に挟んでプレス脱水する。このプレス脱水過程で、通常の抄紙であれば、高い圧力によって、ドライヤパート前に極力脱水することが好ましいが、本発明においては、上述のように、再離解して使用され、ほぐれ易さが要求されることから、高い圧力をかけて脱水することは好ましくない。したがって、通常の抄紙であれば、プレスパート出口での含水率を55〜45%となるように圧力をかけるが、本発明においては、プレスパート出口での含水率が60%程度となるような圧力でプレスする。
【0022】
<ドライヤパート>
ドライヤパート24では、シート状パルプの加熱乾燥が行われる。加熱方法としては、特に制限はなく、熱風式エアドライヤ、IRドライヤ、シリンダードライヤ等を使用することができる。本発明においては、最終的なパルプシートの水分含有量が、10〜25%であることが好ましく、15〜20%であることがさらに好ましい。
【0023】
(含水率の測定方法)
含水率の測定方法としては、乾燥機による方法、赤外線による加熱乾燥の方法、近赤外線による方法などが挙げられる。
乾燥機による方法は、パルプの絶乾率を試験するJIS P 8202に準じて行われ、試料を採取して、105℃の恒温加熱乾燥器内で一晩放置して乾固させ、その後、デシケーター中で室温に戻して、乾燥前後の試料の重量差から水分量を求めることにより測定される。
赤外線による加熱乾燥の方法は、含水率を迅速に測定することができる。例えば、試料を栗田工業株式会社製「クリガンスイ」(商品名)に入れ、赤外線を照射して水分の蒸発による質量変化から含水率を測定する。
近赤外線による方法は、例えば、株式会社ケット科学研究所製の近赤外水分計「KJT−130」(商品名)などを使い行われる。近赤外線とは、可視光線より波長の長く、赤色の外側にある見えない光であり、水分に対しよく吸収するため、近赤外線を含む光を照射してその反射率を測定することで含水率を測定する。
【実施例】
【0024】
実施例1
長い針葉樹パルプ(NBKP)のスラリーを使用し、下記式(A)で示される界面活性剤を、パルプスラリーに含まれる不溶性懸濁物に対して、0.02質量%配合し、動的遮水性試験機「DDA(ダイナミック・ドレネージ・アナライザー)」(Ab Akribi Kemikonsulter社製)を用いて、シート状パルプを得た。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.90である。
HO−(C
2H
4O)
a−(C
3H
6O)
b−(C
2H
4O)
c−H ・・・(A)
(a+c及びbが、それぞれ5、及び35である。)
【0025】
次いで、該シート状パルプを、プレス脱水試験機「角型シートマシンプレス機 No2570」(熊谷理機工業株式会社製)を用い、シート状パルプをワイヤーとろ紙に挟み込み、3.5kg/cm
2で10秒間加圧した後、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。なお、含水率は乾燥機による方法により測定した。以下の実施例2〜4、比較例1、及び参考例1も同様である。
【0026】
実施例2
実施例1において、界面活性剤として、下記式(B)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
HO−(C
3H
6O)
g−H ・・・(B)
(gは7である。)
【0027】
実施例3
実施例1において、界面活性剤として、下記式(C)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.89である。
HO−(C
2H
4O)
d−(C
3H
6O)
e−(C
2H
4O)
f−H ・・・(C)
(d+f及びeが、それぞれ5及び30である。)
【0028】
実施例4
実施例1において、界面活性剤として、下記式(D)で示される界面活性剤を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。なお、当該界面活性剤のポリオキシプロピレン鎖の含有比率(PO/(PO+EO)、質量比)は、0.80である。
HO−(C
2H
4O)
h−(C
3H
6O)
i−(C
2H
4O)
j−H ・・・(D)
(h+j及びiが、それぞれ10、及び30である。)
【0029】
比較例1
実施例1において、界面活性剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、シート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
【0030】
参考例1
実施例1において、カチオン性有機ポリマー(栗田工業株式会社製「ハイホールダー(登録商標)821」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シート状パルプを得、該シート状パルプの含水率を測定した。結果を第1表に示す。
なお、カチオン性有機ポリマーは、パルプ繊維のアニオン部位とポリマーのカチオン基が反応して凝集する。抄紙マシンでは使用されるが、原料として販売するシート状パルプの製造においては、パルプ品質に影響を与えるため使用を避けられている。効果の参考として示す。
【0031】
【表1】
【0032】
第1表から明らかなように、本発明の非イオン性界面活性剤を用いることによって、プレス脱水後の含水率を低下させることができる。特にPO比率(疎水部比率)の大きな実施例1及び2においては、抄紙マシンで用いられるカチオン性有機ポリマー(参考例1)と比較しても、優れた脱水性能を示すことがわかる。