特許第6909093号(P6909093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京応化工業株式会社の特許一覧

特許6909093感光性樹脂組成物、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂の製造方法、化合物、化合物の製造方法、硬化膜の製造方法、及び硬化膜
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6909093
(24)【登録日】2021年7月6日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂の製造方法、化合物、化合物の製造方法、硬化膜の製造方法、及び硬化膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20210715BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20210715BHJP
   G03F 7/20 20060101ALN20210715BHJP
【FI】
   G03F7/027 514
   G03F7/027 502
   C08G73/10
   !G03F7/20 521
【請求項の数】13
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2017-151972(P2017-151972)
(22)【出願日】2017年8月4日
(65)【公開番号】特開2018-45230(P2018-45230A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2020年5月11日
(31)【優先権主張番号】特願2016-179000(P2016-179000)
(32)【優先日】2016年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】田所 恵典
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/126409(WO,A1)
【文献】 特許第6522130(JP,B2)
【文献】 特開2014−237820(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/168675(WO,A1)
【文献】 特開2011−162479(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/034760(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0086753(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0018733(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103897185(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
C08G 73/10
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含み、前記樹脂(A)が、下記式(a1):
【化1】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化2】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化3】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、前記式(a3)で表される基であり、
前記式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
前記式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される構造単位を含むポリアミド樹脂を含有する、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂が、下記式(I):
【化4】
(式(I)中、Xは、Ra1、及びRa2は前記式(a1)と同様である。)
で表される多価カルボン酸化合物、及び/又は前記多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、前記式(a1)と同様である。)
で表されるジアミン化合物との縮合物である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、光重合性モノマー(C)を含む、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリアミド樹脂の重量平均分子量が50000以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
下記式(a1):
【化5】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化6】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化7】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、前記式(a3)で表される基であり、
前記式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
前記式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数であり、
前記Ra1及び前記Ra2の少なくとも一方が水素原子である場合に、その−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい。)
で表される構造単位を含む、ポリアミド樹脂。
【請求項6】
下記式(I):
【化8】
(式(I)中、Xは、Ra1、及びRa2は前記式(a1)と同様である。)
で表される多価カルボン酸化合物と、下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、前記式(a1)と同様である。)
で表されるジアミン化合物との縮合物であり、
a1及びRa2の少なくとも一方が水素原子であって、前記共重合体が−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基を有する場合に、前記カルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい、請求項5に記載のポリアミド樹脂。
【請求項7】
重量平均分子量が50000以下である、請求項5又は6に記載のポリアミド樹脂。
【請求項8】
下記式(I):
【化9】
(式(I)中、Xは、下記式(a2):
【化10】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化11】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、前記式(a3)で表される基であり、
前記式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
前記式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される多価カルボン酸化合物、及び/又は前記多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、
下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、2価の有機基である。)
で表されるジアミン化合物とを縮合させることを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項9】
下記式(I):
【化12】
(式(I)中、Xは、下記式(a2):
【化13】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化14】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、前記式(a3)で表される基であり、
前記式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
前記式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される化合物であって、
前記化合物が有するカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい、化合物。
【請求項10】
下記式(a4):
【化15】
(式(a4)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数である。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、
下記式(a5):
【化16】
(式(a5)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される不飽和カルボン酸エステルとを反応させることを含む、請求項9に記載の化合物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜を露光する工程と、を含む硬化膜の製造方法。
【請求項12】
前記塗布膜の露光が、位置選択的に行われ、
さらに、露光された前記塗布膜を現像する工程を含む、請求項11に記載の硬化膜の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造の脂環式骨格を含むポリアミド樹脂を含有する感光性樹脂組成物と、前述のポリアミド樹脂と、前述のポリアミド樹脂の製造方法と、前述のポリアミド樹脂の原料として好適に使用される化合物と、前述の化合物の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜とに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子部品における絶縁膜や、半導体装置におけるパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等の材質として、耐熱性、電気特性、及び機械的特性等に優れるポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が広く用いられている。
電子部品における絶縁膜や、半導体装置におけるパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等は、微小な領域に正確な寸法で形成されることが多い。このため、露光及び現像により、所定の位置に、所定のサイズの樹脂膜を正確に形成しやすい、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、又はポリイミド樹脂前駆体を含む感光性組成物が用いられることが多い。
【0003】
かかる感光性組成物として、例えば、所定の構造のポリアミド酸エステルの化学構造を有し、エステル結合した有機基として、炭素原子数5以上の炭化水素基と、(メタ)アクリロイルオキシエチル基等の所定の構造の重合性の官能基との2種の基を特定の比率で含むポリアミド樹脂を含有する感光性組成物が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1の記載によれば、この感光性組成物を用いてパターン化された樹脂膜を形成した後、当該樹脂膜を加熱することによりヤング率の高い硬化膜を形成することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/168675号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の感光性組成物を用いる場合、露光及び現像後に形成されるパターン化された樹脂膜の基板に対する密着性が必ずしも良好でない場合がある。
また、感光性組成物を用いて絶縁膜等を形成する場合、電子部品や半導体装置の用途によっては透明であることが要求される。この点に関し、特許文献1に記載の感光性組成物を用いる場合であっても、透明な樹脂膜を形成するという観点からは、依然として改良の余地があることがわかってきた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、基板に対する密着性が良好であり、透明性に優れる硬化膜を形成可能な感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物において好適に使用されるポリアミド樹脂と、当該ポリアミド樹脂の製造方法と、当該ポリアミド樹脂の原料として好適に使用される化合物と、当該化合物の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含む感光性樹脂組成物において、樹脂(A)として特定の飽和脂環式骨格を含みつつ、カルボキシ基の少なくとも一方が所定の構造の重合性基を含むユニットでエステル化されている構造単位を含むポリアミド樹脂を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第1の態様は、樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含み、樹脂(A)が、下記式(a1):
【化1】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化2】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化3】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される構造単位を含むポリアミド樹脂を含有する、感光性樹脂組成物である。
【0009】
本発明の第2の態様は、下記式(a1):
【化4】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化5】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化6】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数であり、
a1及びRa2の少なくとも一方が水素原子である場合に、−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい。)
で表される構造単位を含む、ポリアミド樹脂である。
【0010】
本発明の第3の態様は、下記式(I):
【化7】
(式(I)中、Xは、Ra1は、下記式(a2):
【化8】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化9】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される多価カルボン酸化合物、及び/又は前述の多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、
下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、2価の有機基である。)
で表されるジアミン化合物とを縮合させることを含む、第2の態様にかかるポリアミド樹脂の製造方法である。
【0011】
本発明の第4の態様は、下記式(I):
【化10】
(式(I)中、Xは、下記式(a2):
【化11】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化12】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される化合物であって、
化合物が有するカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい、化合物である。
【0012】
本発明の第5の態様は、下記式(a4):
【化13】
(式(a4)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数である。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、
下記式(a5):
【化14】
(式(a5)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される不飽和カルボン酸エステルとを反応させることを含む、第4の態様にかかる化合物の製造方法である。
【0013】
本発明の第6の態様は、
第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
塗布膜を露光する工程と、を含む硬化膜の製造方法である。
【0014】
本発明の第7の態様は、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板に対する密着性が良好であり、透明性に優れる硬化膜を形成可能な感光性樹脂組成物と、当該感光性樹脂組成物において好適に使用されるポリアミド樹脂と、当該ポリアミド樹脂の製造方法と、当該ポリアミド樹脂の原料として好適に使用される化合物と、当該化合物の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を用いる硬化膜の製造方法と、前述の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明を行う。なお、本明細書中における「〜」は、とくに断りがなければ以上(下限値)から以下(上限値)を表す。
【0017】
≪感光性樹脂組成物≫
以下、本発明の第1の態様にかかる感光性樹脂組成物について説明する。第1の態様にかかる感光性樹脂組成物は、樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含む。感光性樹脂組成物は、以下に説明する構造を有するポリアミド樹脂を含む樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを組み合わせて含むことにより、基板に良好に密着し、透明性に優れる硬化膜を形成可能である。
以下、感光性樹脂組成物が含む、必須又は任意の成分について説明する。
【0018】
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、下記式(a1):
【化15】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化16】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化17】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される構造単位を含むポリアミド樹脂を含有する。
【0019】
上記の樹脂(A)に含まれるポリアミド樹脂は、上述の式(a3)で表される基を必須に含む。このため、感光性樹脂組成物を露光することにより、透明性に優れる硬化膜を形成できる。
また、感光性樹脂組成物は、後述する光重合開始剤(B)を必須に含む。このため、感光性樹脂組成物を露光すると、上記のポリアミド樹脂の分子間で、式(a3)で表される基同士の架橋が生じ、その結果、感光性樹脂組成物が硬化する。
感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する際、上記所定の構造のポリアミド樹脂の分子間での架橋を生じさせることにより、基板に良好に密着した硬化膜を形成することができる。
【0020】
[ポリアミド樹脂]
ポリアミド樹脂は、前述の通り、上記の式(a1)で表される構造単位を有するポリアミド樹脂であれば特に限定されない。
ポリアミド樹脂の分子は、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、エーテル結合、スルホン結合(−SO−)、イミド結合等のアミド結合(−CO−NH−)以外の結合を含んでいてもよい。
このため、式(a1)で表される構造単位を有するポリアミド樹脂は、一般に、ポリエステルアミド樹脂や、ポリエーテルアミド樹脂等と呼ばれる樹脂である場合がある。
本出願の明細書及び特許請求の範囲においては、アミド結合とともに、上記のアミド結合以外の結合を含む分子を含有する樹脂についても、便宜的に「ポリアミド樹脂」として記載する。
【0021】
ポリアミド樹脂は、直線状の分子のみからなる樹脂には限定されず、分子中に分岐を有してもよく、網目状の分子を含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂が網目状の分子を含む場合、網目状の分子には下記式(a1−1)又は下記式(a1−2)で表される三価の構造単位が含まれるのが好ましい。
【化18】
【0022】
式(a1−1)及び式(a1−2)中、Yは、2価の有機基である。Yの好適な例は、後述するYの好適な例と同様である。
式(a1−1)又は式(a1−2)で表される構造単位が有するアミノ基(−NH−)に結合する結合手は、他の構造単位に含まれるカルボニル基(−CO−)に結合する結合手と結合する。
【0023】
ポリアミド樹脂における式(a1)で表される単位の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
ポリアミド樹脂における式(a1)で表される単位の含有量は、感光性樹脂組成物の光硬化性と、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の透明性とが良好であることから、ポリアミド樹脂の全質量に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0024】
前述の式(a1)で表される構造単位において、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は前述の式(a3)で表される基である。
炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であってもよく、飽和脂肪族環式基であってもよく、飽和脂肪族環式基と、アルキル基又はアルキレン基との組み合わせからなる基であってもよい。
飽和脂肪族炭化水素基がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上8以下がより好ましく、1以上6以下がさらに好ましく、1以上4以下が最も好ましい。
飽和脂肪族炭化水素基が飽和脂肪族環式基である場合、その炭素原子数は、3以上12以下が好ましく、4以上10以下がより好ましい。
アリール基の炭素原子数は、6以上12以下が好ましく、6以上10以下がより好ましい。
アラルキル基の炭素原子数は、7以上13以下が好ましく、7以上11以下がより好ましい。
なお、式(a1)で表される構造単位におけるRa1及びRa2における飽和脂肪族炭化水素基、アリール基、アラルキル基としては、炭素原子数が上述の値を満足していれば、炭素原子以外に窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、ケイ素原子(Si)、セレン原子(Se)等のヘテロ原子が介在するものであってもよい。
【0025】
a1及びRa2がアルキル基である場合の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
これらの中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基がより好ましい。
【0026】
a1及びRa2が飽和脂肪族環式基である場合の具体例としては、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0027】
a1及びRa2がアリール基である場合の具体例としては、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントラセン−1−イル基、アントラセン−2−イル基、アントラセン−9−イル基、フェナントレン−1−イル基、フェナントレン−2−イル基、フェナントレン−3−イル基、フェナントレン−4−イル基、及びフェナントレン−9−イル基が挙げられる。
これらの中では、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、及びビフェニル−2−イル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0028】
a1及びRa2がアラルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルn−プロピル基、4−フェニルn−プロピル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−α−ナフチルエチル基、及び2−β−ナフチルエチル基が挙げられる。
これらの中では、ベンジル基、及びフェネチル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0029】
式(a3)中のRa6は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の1価の有機基であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性の観点で、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(a3)中のRa7及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の1価の有機基であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。
式(a3)中のmは、2以上10以下の整数であり、感光特性の観点から好ましくは2以上4以下の整数である。
典型的には、式(a3)で表される基としては、アクリロイルオキシエチル基、メタクリロイルオキシエチル基、3−アクリロイルオキシn−プロピル基、3−メタクリロイルオキシn−プロピル基、4−アクリロイルオキシn−ブチル基、及び4−メタクリロイルオキシn−ブチル基が好ましい。
【0030】
a1及びRa2が、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は前述の式(a3)で表される基である場合、感光性樹脂組成物からなる塗布膜に対して位置選択的な露光を行った後に、有機溶剤を現像液として用いて現像する場合に、未露光部の現像液に対する溶解性が特に良好である。
【0031】
式(a2)中のRa3として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。Ra3として選択され得るアルキル基の炭素原子数が1以上10以下の範囲内でれば、耐熱性が良好な硬化膜を形成しやすい。
a3がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れる硬化膜を形成しやすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
a3がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0032】
式(a2)中のRa3としては、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性が優れる点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(a1)で表される構造単位を生成されるための原料化合物の入手や精製が容易である点から、式(a2)中のRa3は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a2)中の複数のRa3は、同一の基であるのが好ましい。
また、製造される硬化膜について、撥水性を付与する等の観点からは、このRa3としてフッ素原子を用いることも好ましい態様の一例である。
【0033】
式(a2)中のnは0以上12以下の整数を示す。nが0以上12以下の整数であると、式(a1)で表される構造体を与える原料化合物の精製が容易であり、前述の原料化合物の化学的安定性が優れる。
式(a1)で表される構造体を与える原料化合物の精製が容易である点から、nは5以下が好ましく、3以下がより好ましい。
式(a1)で表される構造体を与える原料化合物の化学的安定性が優れることから、nは1以上が好ましく、2以上がより好ましい。
式(a2)中のnは、2又は3が特に好ましい。
【0034】
式(a2)中のRa4、及びRa5として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Ra3として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
a4、及びRa5は、式(a1)で表される構造体を与える原料化合物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
【0035】
式(a1)で表される構造単位において、Yは2価の有機基である。
このYとしては、例えば炭素原子数6以上40以下の2価の有機基を採用することができる。Yの炭素原子数がかかる範囲内であると、感光性樹脂組成物を用いて耐熱性に優れる硬化膜を形成しやすく、また、硬化膜を形成する際の現像性が良好である。
このような炭素原子数6以上40以下の2価の有機基としては、芳香族環又は脂肪族環を1個以上4個以下有する有機基を採用することができる。
【0036】
が芳香族環又は脂肪族環を1個以上4個以下有する有機基である場合、かかる有機基は芳香族環を含む有機基であるのが好ましい。
芳香族環を含む有機基としては、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性と、露光されていない感光性樹脂組成物の有機溶剤への溶解性とのバランスの観点から下記式(1)〜(4)で表される基のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0037】
【化19】
(式(4)中、R11は、水素原子、フッ素原子、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基よりなる群から選択される1種を示す。式(4)中、Qは、9,9’−フルオレニリデン基、又は、式:−C−、−CONH−C−NHCO−、−NHCO−C−CONH−、−O−C−CO−C−O−、−OCO−C−COO−、−OCO−C−C−COO−、−OCO−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−O−C−C(CH−C−O−、−O−C−C(CF−C−O−、−O−C−SO−C−O−、−C(CH−C−C(CH−、−O−C10−O−、−O−C−C−O−、及び−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種を示す。
Qの例示における、−C−はフェニレン基であり、m−フェニレン基、及びp−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。また、−C10−は、ナフタレンジイル基であり、ナフタレン−1,2−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,3−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、及びナフタレン−2,7−ジイル基が好ましく、ナフタレン−1,4−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基がより好ましい。)
【0038】
式(1)〜式(4)中のR11としては、形成される硬化膜の耐熱性の観点から、水素原子、水酸基、フッ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基がより好ましく、水素原子、水酸基、又はトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0039】
式(4)中のQとしては、形成される硬化膜の耐熱性と、露光されていない感光性樹脂組成物の有機溶剤への溶解性とのバランスの観点から、9,9’−フルオレニリデン基、−O−C−O−、−C(CF−、−O−、−C(CH−、−CH−、又は−O−C−C(CH−C−O−、−CONH−が好ましく、−O−C−O−、−C(CF−又は−O−が特に好ましい。
【0040】
式(1)〜(4)で表される基の中では、より耐熱性に優れる硬化膜を形成しやすい点から、式(3)又は式(4)で表される基がより好ましく、式(4)で表される基が特に好ましい。
【0041】
また、Yとしては、鎖状の脂肪族基及び/又は芳香族環を有していてもよいケイ素原子含有基を採用することができる。このようなケイ素原子含有基としては、典型的には、以下に示される基を用いることが好ましい。
【化20】
【0042】
また、得られる硬化膜の透明性や機械特性をさらに向上させる観点から、Yとして、以下の式(Si−1)で表される基も好ましく用いることができる。
【化21】
(式中、R12及びR13は、それぞれ独立に、単結合又はメチレン基、炭素原子数2以上20以下のアルキレン基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキレン基、又は炭素原子数6以上20以下のアリーレン基等であり、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数20以下のアミノ基、−O−R18で表される基(R18は炭素原子数1以上20以下の炭化水素基)、炭素原子数2以上20以下の1以上のエポキシ基を含む有機基であり、lは、3以上50以下の整数である。)
【0043】
式(Si−1)中のR12及びR13における、炭素原子数2以上20以下のアルキレン基としては、耐熱性、残留応力の観点から炭素原子数2以上10以下のアルキレン基が好ましく、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
【0044】
式(Si−1)中のR12及びR13における、炭素原子数3以上20以下のシクロアルキレン基としては、上記観点から炭素原子数3以上10以下のシクロアルキレン基が好ましく、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR12及びR13における、炭素原子数6以上20以下のアリーレン基としては、上記観点から炭素原子数3以上20以下の芳香族基が好ましく、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0045】
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における炭素原子数1以上20以下のアルキル基としては、耐熱性と残留応力の観点から炭素原子数1以上10以下のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR13、R15、R16、及びR17における炭素原子数3以上20以下のシクロアルキル基としては、上記観点から炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における炭素原子数6以上20以下のアリール基としては、上記観点から炭素原子数6以上12以下のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における炭素原子数20以下のアミノ基としては、アミノ基、置換したアミノ基(例えば、ビス(トリアルキルシリル)アミノ基)等が挙げられる。
式(Si−1)中のR14、R15、R16、及びR17における−O−R18で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基、プロペニルオキシ基(例えば、アリルオキシ基)、及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
中でも、R14、R15、R16、及びR17として、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基である。
【0046】
式(Si−1)で表される基は、両末端にアミノ基を有するケイ素含有化合物を酸無水物に対して作用させることで導くことができる。このようなケイ素含有化合物の具体例としては、両末端アミノ変性メチルフェニルシリコーン(例えば信越化学社製の、X−22−1660B−3(数平均分子量4,400程度)及びX−22−9409(数平均分子量1,300程度))、両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(例えば信越化学社製の、X−22−161A(数平均分子量1,600程度)、X−22−161B(数平均分子量3,000程度)及びKF8012(数平均分子量4,400程度);東レダウコーニング製のBY16−835U(数平均分子量900程度);並びにJNC社製のサイラプレーンFM3311(数平均分子量1000程度))等が挙げられる。
【0047】
以上説明した式(a1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂において、Ra1及びRa2の総量のうちの式(a3)で表される基の量は、感光性樹脂組成物の硬化性と、形成される硬化膜の基板への密着性とが良好であることから、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上がよりさらに好ましく、90モル%以上が殊更に好ましく、100モル%が最も好ましい。
【0048】
ポリアミド樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記式(a1)で表される構造単位外の構造単位を含んでいてもよい。上記式(a1)で表される構造単位以外のその他の構造単位としては、例えば、前述のYを与えるジアミン成分と、種々のジカルボン酸との縮合により生成する構造単位が好ましい。かかる縮合は、従来知られるポリアミド樹脂の製造方法に従って行われる。
【0049】
かかるその他の構造単位を与えるジカルボン酸の好適な具体例としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、及び4,4’−ジカルボキシビフェニル、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体が挙げられる。
【0050】
また、その他の構造単位は、ラクタムに由来するポリアミド単位であってもよい。かかるその他の構造単位としては、ε−カプロラクタムに由来するナイロン6単位、ウンデカンラクタムに由来するナイロン11単位、ラウリルラクタムに由来するナイロン12単位等が挙げられる。
【0051】
さらに、テトラカルボン酸二無水物と、前述のYを与えるジアミン成分との縮合により生成する、ポリアミド酸型の構造単位も、その他の構造単位として好ましい。
【0052】
その他の構造単位を与えるテトラカルボン酸二無水物類の好適な例としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、(4H,8H)−デカハイドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]−ペンタデカン−5,6,12,13−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0053】
以上説明したポリアミド樹脂の製造方法は特に限定されないが、下記式(I):
【化22】
(式(I)中、Xは、Ra1は、下記式(a2):
【化23】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化24】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される多価カルボン酸化合物、及び/又は多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、
下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、2価の有機基である。)
で表されるジアミン化合物と、を縮合させる方法が好ましい。
【0054】
ここで、式(I)における、Ra1、Ra2、及びXと、式(II)におけるYとは、式(a1)について前述した通りである。また、式(a2)及び式(a3)について前述の通りである。
【0055】
ポリアミド樹脂の好ましい製造方法としては、例えば、式(I)で表される多価カルボン酸化合物と、式(II)で表されるジアミン化合物とを、縮合剤により縮合させる方法挙げられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
【0056】
他の好ましい方法としては、式(I)で表される多価カルボン酸化合物、又は式(I)で表される多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、式(II)で表されるジアミンとを、塩基の存在下に縮合させる方法挙げられる。この方法においては、必要に応じて、塩基とともに縮合剤を用いてもよい。
酸ハライドとしては、酸塩化物及び酸臭化物が好ましく、酸塩化物がより好ましい。
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
縮合剤としては、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、及び4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド水和物等が挙げられる。
【0057】
具体的には、式(I)で表される多価カルボン酸化合物、又は式(I)で表される多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、式(II)で表されるジアミンとを、上記の塩基の存在下に、有機溶剤中で、例えば、−20℃以上150℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下において、30分以上24時間以下、好ましくは1時間以上4時間以下反応させる。
塩基の使用量は、除去が容易な量で、且つ高分子量体が得やすいという観点から、式(I)で表される多価カルボン酸化合物、又は式(I)で表される多価カルボン酸化合物の酸ハライドに対して、2倍モル以上4倍モル以下であることが好ましい。
【0058】
式(I)で表される多価カルボン酸化合物、又は式(I)で表される多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、式(II)で表されるジアミンとを反応させる際に用いられる有機溶剤としては、この反応を阻害することのない公知の有機溶剤の中から適宜選択することができる。
公知の有機溶剤の中でも、原料化合物や生成するポリアミド樹脂が良好に溶解することから、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性有機溶剤が好ましい。
【0059】
また、下記式(a4):
【化25】
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、式(II)で表されるジアミン化合物とを常法に従って縮合させてポリアミド酸を得た後、得られたポリアミド酸に含まれるカルボキシ基の一部又は全部をエステル化することによっても、式(a1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂を製造できる。
【0060】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン化合物との反応は、通常、有機溶剤中で行われる。テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン化合物との反応に使用される有機溶剤は、ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物成分を溶解させることができ、ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物成分と反応しない有機溶剤であれば特に限定されない。有機溶剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。好ましい有機溶剤は、式(I)で表される多価カルボン酸化合物、又は式(I)で表される多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、式(II)で表されるジアミンとを反応させる際に用いられる有機溶剤と同様である。
【0061】
ポリアミド酸合成時に、有機溶剤は、例えば、テトラカルボン酸二無水物成分の質量とジアミン化合物の質量の合計が、反応液中0.1質量%以上50質量%以下、好ましくは10質量%以上30質量%以下である量用いられる。
【0062】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン化合物とを反応させる際には、反応速度向上と高重合度のポリアミド酸を得るという観点から、有機溶剤中に塩基化合物をさらに添加してもよい。
このような塩基性化合物としては特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、テトラブチルアミン、テトラヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、ピリジン、イソキノリン、α−ピコリン等が挙げられる。
このような塩基化合物の使用量は、テトラカルボン酸二無水物成分1当量に対して、0.001当量以上10当量以下が好ましく、0.01当量以上0.1当量以下がより好ましい。
【0063】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン化合物とを反応させる際の反応温度は、反応が良好に進行する限り、特に制限されないが、15℃以上30℃以下が好ましい。反応は、不活性ガス雰囲気下で行われるのが好ましい。反応時間も特に制限されないが、例えば、10時間以上48時間以下が好ましい。
【0064】
式(II)で表されるジアミンの好適な具体例としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、o−トリジン−スルホン、及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。
また、これらの芳香族ジアミンに含まれる芳香環上の水素原子の一部がメチル基、エチル基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、又はハロゲン等で置換された化合物も好ましい。
具体的には、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス(2−メチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のメチル基で置換された芳香族ジアミン;3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のトリフルオロメチル基で置換された芳香族ジアミン;3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メトキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−メトキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のメトキシ基で置換された芳香族ジアミン;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−クロロ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス(2−クロロ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の塩素原子で置換された芳香族ジアミン;3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、及び2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のヒドロキシ基で置換された芳香族ジアミン;が挙げられる。
【0065】
以上説明した、式(a1)で表される構造単位を有するポリアミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は50000以下が好ましく、4000以上30000以下がより好ましく、5000以上20000以下がさらに好ましい。
かかる範囲の分子量のポリアミド樹脂を用いることにより、感光性樹脂組成物調製時の、ゲル状の不溶物の発生を抑制しやすい傾向がある。なお、仮にゲル状の不溶物が発生した場合も、ろ過等の方法による不溶物を除去することによって、問題なく使用可能な感光性樹脂組成物を得ることができるが、重量平均分子量を上述の値に調整することにより、このようなプロセスを必要としなくなるためより好適であるといえる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定における、ポリスチレン換算の相対値として定義することができる。
【0066】
[他の樹脂]
樹脂(A)は、上記の式(a1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂以外に、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂の種類は、感光性樹脂組成物に均一に混合可能であれば、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
他の樹脂の具体例としては、式(a1)で表される構造単位を含まないポリアミド樹脂、スチレン系モノマーの重合体、ノボラック樹脂、(メタ)アクリル系モノマーの重合体、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0067】
感光性樹脂組成物における樹脂(A)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、感光樹脂組成物の固形分全体の質量に対して、30質量%以上98質量%以下が好ましく、40質量%以上95質量%以下がより好ましく、50質量%以上92質量%以下がさらに好ましい。
【0068】
<光重合開始剤(B)>
感光性樹脂組成物は光重合開始剤(B)を含む。感光性樹脂組成物が光重合開始剤を含むことにより、感光性樹脂組成物が露光されることで、前述の式(a3)で表される重合性基を有する樹脂(A)の分子間架橋が進行し、感光性樹脂組成物が硬化する。
光重合開始剤(B)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0069】
光重合開始剤(B)として具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)[4−(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)−2−メチルフェニル]メタノンO−アセチルオキシム、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0070】
これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。オキシム系の光重合開始剤の中で、特に好ましいものとしては、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(ピロール−2−イルカルボニル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)、及び2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノンが挙げられる。
【0071】
光重合開始剤としては、また、下記式(b1)で表されるオキシム系化合物を用いることも好ましい。
【化26】
(Rb1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0以上4以下の整数であり、
n2は0、又は1であり、
b2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
b3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。)
【0072】
式(b1)中、Rb1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rb1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2以上4以下の整数である場合、Rb1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
【0073】
b1がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rb1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rb1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0074】
b1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rb1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rb1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0075】
b1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rb1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rb1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0076】
b1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rb1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rb1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0077】
b1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rb1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0078】
b1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRb1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rb1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rb1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rb1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rb1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0079】
b1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rb1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0080】
b1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rb1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0081】
b1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rb1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rb1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0082】
b1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0083】
b1がフェニル基に結合する位置は、Rb1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
【0084】
b2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rb2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。
【0085】
b2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0086】
b2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0087】
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rb1と同様である。
【0088】
b2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0089】
b2の中では、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、下記式(b2)、又は(b3)で表される基が好ましく、下記式(b2)で表される基がより好ましく、下記式(b2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
【0090】
【化27】
(Rb4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0以上4以下の整数である。)
【0091】
【化28】
(Rb5及びRb6は、それぞれ、1価の有機基である。)
【0092】
式(b2)におけるRb4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(b2)においてRb4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
【0093】
b4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0094】
また、式(b2)において、n3は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rb4の結合する位置は、Rb4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0095】
式(b3)におけるRb5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rb5の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0096】
b5の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0097】
式(b3)におけるRb6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rb6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rb6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0098】
b4、Rb5、又はRb6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rb4、Rb5、又はRb6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rb4、Rb5、又はRb6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0099】
式(b1)におけるRb3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。Rb3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0100】
式(b1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
【化29】
【0101】
【化30】
【0102】
【化31】
【0103】
【化32】
【0104】
【化33】
【0105】
【化34】
【0106】
また、下記式(b4)で表されるオキシムエステル化合物も、光重合開始剤として好ましい。
【0107】
【化35】
(Rb7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Rb8及びRb9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Rb8とRb9とは相互に結合して環を形成してもよく、Rb10は1価の有機基であり、Rb11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0以上4以下の整数であり、n5は0又は1である。)
【0108】
ここで、式(b4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(b5)で表される化合物が好適である。
【0109】
【化36】
(Rb7、Rb8、Rb9、Rb10、n4、及びn5は、式(b4)と同様である。)
【0110】
式(b4)及び(b5)中、Rb7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rb7は、式(b4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(b4)中、Rb7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(b4)で表される化合物が1以上のRb7を有する場合、式(b4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRb7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rb7が複数である場合、複数のRb7は同一であっても異なっていてもよい。
【0111】
b7が有機基である場合、Rb7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rb7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
【0112】
b7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rb7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rb7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0113】
b7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rb7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rb7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rb7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0114】
b7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rb7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rb7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0115】
b7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rb7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rb7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0116】
b7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rb7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0117】
b7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rb7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rb7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rb7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rb7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rb7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0118】
b7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rb7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0119】
b7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rb7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0120】
b7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rb7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0121】
b7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rb7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rb7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
以上説明した基の中でも、Rb7としては、ニトロ基、又はRb12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rb12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rb12として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rb12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rb7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rb7が水素原子であり且つRb10が後述の式(b4a)又は(b4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0123】
式(b4)中、Rb8及びRb9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rb8とRb9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rb8及びRb9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rb8及びRb9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0124】
b8及びRb9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rb8及びRb9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rb8及びRb9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0125】
b8及びRb9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rb7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rb7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rb7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0126】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0127】
b8及びRb9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rb8及びRb9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rb8及びRb9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0128】
b8及びRb9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0129】
b8及びRb9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0130】
b8及びRb9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0131】
b8とRb9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rb8とRb9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rb8とRb9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0132】
b8とRb9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0133】
以上説明したRb8及びRb9の中でも好適な基の例としては、式−A−Aで表される基が挙げられる。式中、Aは直鎖アルキレン基であり、Aは、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
【0134】
の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Aがハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aが環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rb8及びRb9が置換基として有する環状有機基と同様である。Aがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rb8及びRb9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0135】
b8及びRb9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0136】
b8及びRb9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
【0137】
b10の好適な有機基の例としては、Rb7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rb7について説明したものと同様である。また、Rb10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rb7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0138】
有機基の中でも、Rb10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0139】
また、Rb10としては、−A−CO−O−Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0140】
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
【0141】
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0142】
−A−CO−O−Aで表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
【0143】
以上、Rb10について説明したが、Rb10としては、下記式(b4a)又は(b4b)で表される基が好ましい。
【化37】
(式(b4a)及び(b4b)中、Rb13及びRb14はそれぞれ有機基であり、n6は0以上4以下の整数であり、Rb13及びRがベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rb13とRb14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1以上8以下の整数であり、n8は1以上5以下の整数であり、n9は0以上(n8+3)以下の整数であり、Rb15は有機基である。)
【0144】
式(b4a)中のRb13及びRb14についての有機基の例は、Rb7と同様である。Rb13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rb13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rb13はメチル基であるのが最も好ましい。Rb13とRb14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(b4a)で表される基であって、Rb13とRb14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(b4a)中、n6は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0145】
上記式(b4b)中、Rb15は有機基である。有機基としては、Rb7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rb15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0146】
上記式(b4b)中、n8は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(b4b)中、n9は0以上(n8+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(b4b)中、n7は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0147】
式(b4)中、Rb11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rb11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rb7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0148】
式(b4)中、Rb11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0149】
式(b4)で表される化合物は、前述の式(b5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N−OH)を、>C=N−O−CORb11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rb11は、式(b4)中のRb11と同様である。
【0150】
オキシム基(>C=N−OH)の、>C=N−O−CORb11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(b5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
−CORb11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rb11CO)Oで表される酸無水物や、Rb11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
【0151】
式(b4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−83が挙げられる。
【化38】
【0152】
【化39】
【0153】
光重合開始剤(B)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体の質量に対して0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。光重合開始剤(B)の含有量を上記の範囲とすることにより、パターン形状の不良が生じにくい感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0154】
また光重合開始剤(B)に、光開始助剤を組み合わせてもよい。光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、ペンタエリストールテトラメルカプトアセテート、3−メルカプトプロピオネート等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0155】
<光重合性モノマー(C)>
感光性樹脂組成物は、光硬化性を向上させる目的で光重合性モノマー(C)を含んでいてもよい。
光重合性モノマー(C)には、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。
【0156】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0157】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0158】
感光性樹脂組成物における光重合性モノマー(C)の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体の質量に対して3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。光重合性モノマー(C)の含有量を上記の範囲とすることにより、パターン形状の不良が生じにくい感光性樹脂組成物を得ることができる。光重合性モノマー(C)の含有量を、このような範囲内の量とすることで、基板に対する密着性に特に優れる硬化膜を形成しやすい。
【0159】
<着色剤(D)>
感光性樹脂組成物は着色剤(D)を含んでいてもよい。着色剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
【0160】
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
【0161】
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
【0162】
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
【0163】
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
【0164】
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
【0165】
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
【0166】
また、感光性樹脂組成物は、着色剤(D)として遮光剤を含んでいてもよい。遮光剤を含む感光性樹脂組成物は、液晶表示パネルにおけるブラックマトリックス又はブラックカラムスペーサの形成や、有機EL素子における発光層の区画用のバンクの形成に好適に用いられる。
【0167】
着色剤(D)を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料や紫顔料を用いることが好ましい。黒色顔料や紫顔料の例としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。
【0168】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0169】
カーボンブラックとしては、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックも好ましい。カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
【0170】
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、感光性樹脂組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の高抵抗を達成する観点で、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
【0171】
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
【0172】
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4−アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
【0173】
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1mmol以上200mmol以下が好ましく、5mmol以上100mmol以下がより好ましい。
【0174】
酸性基を導入されたカーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。
樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む感光性樹脂組成物を用いる場合、遮光性及び絶縁性に優れ、表面反射率が低い遮光性の硬化膜を形成しやすい。なお、樹脂による被覆処理によって、感光性樹脂組成物を用いて形成される遮光性の硬化膜の誘電率に対する悪影響は特段生じない。カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックの質量と樹脂の質量の合計に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0175】
また、遮光剤としてはペリレン系顔料も好ましい。ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(d−1)で表されるペリレン系顔料、下記式(d−2)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(d−3)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
【0176】
【化40】
式(d−1)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキレン基を表し、Rd3及びRd4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
【0177】
【化41】
式(d−2)中、Rd5及びRd6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上7以下のアルキレン基を表す。
【0178】
【化42】
式(d−3)中、Rd7及びRd8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上22以下のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。Rd7及びRd8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0179】
上記の式(d−1)で表される化合物、式(d−2)で表される化合物、及び式(d−3)で表される化合物は、例えば、特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
【0180】
感光性樹脂組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0181】
また、遮光剤としては、ラクタム系顔料を含ませることもできる。ラクタム系顔料としては、例えば、下記式(d−4)で表される化合物が挙げられる。
【0182】
【化43】
【0183】
式(d−4)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、Rd9は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示し、Rd10は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、Rd11は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(d−4)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
d9は、式(d−4)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、Rd11はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、Rd9、Rd10、及びRd11は、好ましくは水素原子である。
式(d−4)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(d−4)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号,国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
【0184】
組成物中においてラクタム系顔料を良好に分散させるためには、ラクタム系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0185】
さらに、銀錫(AgSn)合金を主成分とする微粒子(以下、「AgSn合金微粒子」という。)も遮光剤として好ましく用いられる。このAgSn合金微粒子は、AgSn合金が主成分であればよく、他の金属成分として、例えば、Ni、Pd、Au等が含まれていてもよい。
このAgSn合金微粒子の平均粒子径は、1nm以上300nm以下が好ましい。
【0186】
AgSn合金は、化学式AgxSnにて表した場合、化学的に安定したAgSn合金が得られるxの範囲は1≦x≦10であり、化学的安定性と黒色度とが同時に得られるxの範囲は3≦x≦4である。
ここで、上記xの範囲でAgSn合金中のAgの質量比を求めると、
x=1の場合、 Ag/AgSn=0.4762
x=3の場合、 3・Ag/Ag3Sn=0.7317
x=4の場合、 4・Ag/Ag4Sn=0.7843
x=10の場合、10・Ag/Ag10Sn=0.9008
となる。
従って、このAgSn合金は、Agを47.6質量%以上90質量%以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、Agを73.17質量%以上78.43質量%以下含有した場合にAg量に対し効果的に化学的安定性と黒色度とを得ることができる。
【0187】
このAgSn合金微粒子は、通常の微粒子合成法を用いて作製することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等が挙げられる。
【0188】
AgSn合金微粒子は絶縁性の高いものであるが、感光性樹脂組成物の用途によっては、さらに絶縁性を高めるため、表面を絶縁膜で覆うようにしても構わない。このような絶縁膜の材料としては、金属酸化物又は有機高分子化合物が好適である。
金属酸化物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン(チタニア)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミン化合物等が好適に用いられる。
【0189】
絶縁膜の膜厚は、AgSn合金微粒子の表面の絶縁性を十分に高めるためには1nm以上100nm以下の厚みが好ましく、より好ましくは5nm以上50nm以下である。
絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキシドを用いれば、比較的低温で膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので好ましい。
【0190】
遮光剤としては、上述のペリレン系顔料、ラクタム系顔料、AgSn合金微粒子単独でも用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。
その他、遮光剤は、色調の調整の目的等で、上記の黒色顔料や紫顔料とともに、赤、青、緑、黄等の色相の色素を含んでいてもよい。黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素は、公知の色素から適宜選択することができる。例えば、黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素としては、上記の種々の顔料を用いることができる。黒色顔料や紫顔料以外の他の色相の色素の使用量は、遮光剤の全質量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0191】
上記の着色剤を組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
なお、分散剤の分解に起因して、感光性樹脂組成物の硬化膜から腐食性のガスが発生する場合がある。このため、着色剤が、分散剤を用いることなく分散処理されるのも好ましい。
【0192】
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10質量部以上80質量部以下の範囲で用いることが好ましく、20質量部以上40質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
【0193】
なお、感光性樹脂組成物は、着色剤(D)として顔料以外にも染料を用いることができる。この染料は公知の材料のなかから適宜選択すればよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物に適用可能な染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料等を挙げることができる。
また、これら染料については、レーキ化(造塩化)することで有機溶剤等に分散させ、これを着色剤(D)として用いることができる。
これらの染料以外にも、例えば、特開2013−225132号公報、特開2014−178477号公報、特開2013−137543号公報、特開2011−38085号公報、特開2014−197206号公報等に記載の染料等も好ましく用いることができる。
これら染料もまた、前述の顔料(例えば、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、AgSn合金微粒子等)と組み合わせて使用することもできる。
【0194】
感光性樹脂組成物における着色剤(D)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択でき、典型的には、感光性樹脂組成物の固形分全体の質量に対して、5質量%以上70質量%以下が好ましく、25質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0195】
着色剤(D)は分散剤の存在下又は不存在下に適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
尚、本明細書においては、上述の着色剤(D)の使用量について、この存在する分散剤も含む値として定義することができる。
【0196】
<有機溶剤(S)>
感光性樹脂組成物は、通常、塗布性の調整の目的等で有機溶剤(S)を含む。有機溶剤(S)としては、樹脂(A)、光重合開始剤(B)、及び光重合性モノマー(C)等の成分を溶解可能であれば特に限定されない。
【0197】
有機溶剤(S)としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ピリジン、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア(TMU)等の含窒素極性溶剤;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、及びε−カプロラクトン等のラクトン系極性溶剤;ジメチルスルホキシド;ヘキサメチルホスホリックトリアミド;アセトニトリル;乳酸エチル、乳酸ブチル及び酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブアセテート、及びエチルセルソルブアセテート、グライム等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げられる。
これらの中でも、樹脂(A)の溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性有機溶剤、又は乳酸エチル、乳酸ブチル等の脂肪酸エステル類が好ましい。また、これらの有機溶剤は組み合わせて用いることもできる。
【0198】
有機溶剤(S)の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機溶剤(S)は、典型的には、感光性樹脂組成物の固形分濃度が、3質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上35質量%以下であるように用いられる。
【0199】
<その他の成分>
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、防食剤、熱架橋剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。
感光性樹脂組成物は、基板への密着性に優れる硬化膜を特に形成しやすいことから、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤としては、従来知られるものを特に制限なく使用することができる。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
防食剤は、防食対象の物質の種類に応じて、従来知られる種々の防食剤から適宜選択して用いることができる。
【0200】
熱架橋剤は、加熱により樹脂(A)をさらに架橋させるか、それ自体が架橋する成分である。感光性樹脂組成物が熱架橋剤を含むことにより、耐熱性及び耐薬品性に特に優れる硬化膜を形成することができる。
熱架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂及びその誘導体が好ましく使用される。中でも、尿素樹脂、グリコール尿素樹脂、ヒドロキシエチレン尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びこれらの誘導体が好適に用いられる。
アルコキシメチル化尿素化合物、及びアルコキシメチル化メラミン化合物が特に好ましく用いられる。
熱架橋剤の使用量は、樹脂(A)の質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
【0201】
<感光性樹脂組成物の調製方法>
以上説明した感光性樹脂組成物は、上記各成分を、それぞれ所定量混合した後、撹拌機で均一に混合することにより得られる。なお、得られた混合物がより均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
【0202】
≪硬化膜の製造方法≫
以下、本発明の第6の態様にかかる硬化膜の製造方法と、第7の態様にかかる硬化膜とについて説明する。第6の態様にかかる硬化膜の製造方法は、前述の第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を用いる方法である。
そして、第7の態様にかかる硬化膜は、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜である。
【0203】
硬化膜の製造方法としては、樹脂(A)に含まれるポリアミド樹脂の分子同士、又は樹脂(A)に含まれるポリアミド樹脂の分子と、光重合性モノマー(C)とを良好に重合させることができる限りにおいて、従来知られる硬化膜の製造方法から適宜選択できる。
【0204】
硬化膜の好適な製造方法としては、
前述の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する工程と、
塗布膜を露光する工程と、を含む方法が挙げられる。
【0205】
感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成するためには、まず、感光性樹脂組成物を、硬化膜の用途に応じて選択された基板上に塗布して塗布膜を形成する。塗布膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて行われる。
【0206】
塗布された感光性樹脂組成物は、必要に応じて乾燥され、塗布膜を構成する。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80℃以上120℃以下、好ましくは90℃以上100℃以下の温度にて60秒以上120秒以下の間乾燥させる方法、(2)室温にて数時間以上数日以下の間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分以上数時間以下の間入れて有機溶剤を除去する方法等が挙げられる。
【0207】
次いで塗布膜に対する露光が行われる。露光は、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して行われる。露光は、例えば、ネガ型のマスクを介して露光を行う方法等により、位置選択的に行われる。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば40mJ/cm以上200mJ/cm以下程度が好ましい。
なお、塗布膜全面に露光を行う場合、塗布膜の形状に応じた形状を有するパターン化されていない硬化膜が形成される。
【0208】
塗布膜が位置選択的に露光された場合、露光後の膜を現像液により現像することによって、未露光部が現像液に溶解して除去され、パターン化された硬化膜が形成される。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液は、感光性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択される。
現像液としては、有機溶剤やアルカリ現像液が好ましく使用される。
【0209】
現像液として使用される有機溶剤は、露光部を溶解させず、未露光部を溶解させるものであれば特に限定されない。
現像液として好ましい有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等が挙げられる。これらの有機溶剤は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0210】
現像液は、上述の好ましい有機溶剤と、感光性樹脂組成物を溶解させにくい貧溶媒との混合溶媒であるのもの好ましい。貧溶媒の種類及び使用量を調整することで、露光部及び未露光部の現像液に対する溶解性を調整することができる。
【0211】
貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び水等が挙げられる。これらの貧溶媒は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0212】
アルカリ現像液としては、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物から選択される1種以上のアルカリ化合物を含有する水溶液を用いることができる。現像液中のアルカリ化合物の濃度は、露光後の塗膜又は成形体を良好に現像できる限り特に限定されない。典型的には、現像液中のアルカリ化合物の濃度は、1質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0213】
無機アルカリ化合物の例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、及びアンモニア等が挙げられる。有機アルカリ化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0214】
さらに、アルカリ現像液には、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロパノール、又はエチレングリコール等の水溶性有機溶剤、界面活性剤、保存安定剤、及び樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
【0215】
必要に応じて現像された硬化膜に対して、必要に応じて水等によるリンスを行った後、乾燥させて硬化膜が得られる。
このようにして前述の感光性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜は基板に対して良好に密着しており、種々の用途において好適に使用される。特に感光性樹脂組成物が着色剤を含まない場合において、感光性樹脂組成物を用いて透明性に優れる硬化膜が形成される。
硬化膜の透明性は特に限定されないが、以下の条件で形成された硬化膜について、好ましくは、波長380nm以上780nm以下の範囲の全域の光線の透過率が80%以上であり、より好ましくは90%以上である。
<硬化条件>
ガラス基板上に、感光性樹脂組成物を塗布して膜厚10μmの塗布膜を得る。次いで、形成された塗布膜に露光量100mJ/cmで露光を行う。露光後、窒素雰囲気下、300℃で2時間ベークを行い、硬化膜を形成する。
【0216】
≪ポリアミド樹脂≫
以下、本発明の第2の態様にかかるポリアミド樹脂について説明する。第2の態様にかかるポリアミド樹脂は、下記式(a1):
【化44】
(式(a1)中、Xは、下記式(a2):
【化45】
で表される4価の基であり、
は、2価の有機基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化46】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数であり、
a1及びRa2の少なくとも一方が水素原子である場合に、−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい。)
で表される構造単位を含む、ポリアミド樹脂である。
【0217】
第2の態様にかかるポリアミド樹脂は、式(a1)中のRa1及びRa2の少なくとも一方が水素原子である場合に、−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよいことの他は、感光性樹脂組成物の成分として前述したポリアミド樹脂と同様である。
酸ハライドとしては、酸塩化物及び酸臭化物が好ましく、酸塩化物がより好ましい。
カルボン酸塩を形成するカチオンは、無機カチオンであっても有機カチオンであってもよい。カルボン酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等の2族金属等の金属塩、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩が挙げられる。
【0218】
カルボキシ基を酸ハライドに変換する方法特に限定されず、常法に従って行われる。例えば、酸塩化物は、カルボキシ基に対して、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、及びオキシ塩化リン等の試薬を反応させることにより生成する。
【0219】
≪ポリアミド樹脂の製造方法≫
以下、本発明の第3の態様にかかるポリアミド樹脂の製造方法について説明する。本発明の第3の態様は、下記式(I):
【化47】
(式(I)中、Xは、Ra1は、下記式(a2):
【化48】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化49】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される多価カルボン酸化合物、及び/又は前述の多価カルボン酸化合物の酸ハライドと、
下記式(II):
N−Y−NH・・・(II)
(式(II)中、Yは、2価の有機基である。)
で表されるジアミン化合物とを縮合させることを含む、第2の態様にかかるポリアミド樹脂の製造方法である。
【0220】
第3の態様にかかるポリアミド樹脂の製造方法は、製造対象の第2の態様にかかるポリアミド樹脂において、式(a1)中のRa1及びRa2の少なくとも一方が水素原子である場合に、−COORa1又は−COORa2で表されるカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよいことの他は、感光性樹脂組成物の成分として前述したポリアミド樹脂の好ましい製造方法と同様である。
酸ハライドやカルボン酸塩については、第2の態様にかかるポリアミド樹脂について説明した通りである。
【0221】
≪化合物及び化合物の製造方法≫
以下、本発明の第4の態様にかかる化合物と、第4の態様にかかる化合物の好適な製造方法である本発明の第5の態様にかかる化合物の製造法とについて説明する。
【0222】
第4の態様にかかる化合物は、例えば、第1の態様にかかる感光性樹脂組成物における必須の成分である、式(a1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂の製造に好適に用いられる。
第4の態様にかかる化合物は、下記式(I):
【化50】
(式(I)中、Xは、下記式(a2):
【化51】
で表される4価の基であり、
a1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は下記式(a3):
【化52】
で表される基であり、
a1及びRa2の少なくとも一方は、式(a3)で表される基であり、
式(a2)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数であり、
式(a3)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される化合物であって、
化合物が有するカルボキシ基が、酸ハライドを形成していてもよく、塩を形成していてもよい、化合物である。
【0223】
前述の通り、式(I)で表される化合物がカルボキシ基を有する場合、カルボキシ基は酸ハライドを形成してもよく、塩を形成してもよい。
酸ハライドとしては、酸塩化物及び酸臭化物が好ましく、酸塩化物がより好ましい。
カルボン酸塩を形成するカチオンは、無機カチオンであっても有機カチオンであってもよい。カルボン酸塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等の2族金属等の金属塩、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩が挙げられる。
【0224】
カルボキシ基を酸ハライドに変換する方法特に限定されず、常法に従って行われる。例えば、酸塩化物は、カルボキシ基に対して、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、及びオキシ塩化リン等の試薬を反応させることにより生成する。
【0225】
第4の態様にかかる化合物の製造方法は特に限定されない。好ましい方法としては、以下に説明する、本発明の第5の態様にかかる化合物の製造方法が挙げられる。
【0226】
本発明の第5の態様にかかる化合物の製造方法は、下記式(a4):
【化53】
(式(a4)中、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種であり、
nは0以上12以下の整数である。)
で表されるテトラカルボン酸二無水物と、
下記式(a5):
【化54】
(式(a5)中、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下の有機基であり、
mは2以上10以下の整数である。)
で表される不飽和カルボン酸エステルとを反応させることを含む方法である。
【0227】
式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘキサノン−α’−スピロ−2’’−(メチルノルボルナン)−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロプロパノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロブタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロヘプタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロオクタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロノナノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロウンデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロドデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロトリデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロテトラデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタデカノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロペンタノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−α−(メチルシクロヘキサノン)−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0228】
また、式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、感光性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜のフィルム特性、熱物性、機械物性、光学特性、電気特性の調整の観点から、下記式(a1−I):
【化55】
(式(a1−I)中、Ra3、Ra4、Ra5、nは、式(a2)中のRa3、Ra4、Ra5、nと同義である。)
で表される化合物(A1−I)及び下記式(a1−II):
【化56】
(式(a1−II)中、Ra3、Ra4、Ra5、nは、式(a2)中のRa3、Ra4、Ra5、nと同義である。)
で表される化合物(A1−II)のうちの少なくとも1種を含有し、且つ、テトラカルボン酸二無水物の総モル数に対する化合物(A1−I)及び化合物(A1−II)の総量が30モル%以上であるのが好ましい。
【0229】
式(a1−I)で表される化合物(A1−I)は、2つのノルボルナン基がトランス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。
式(a1−II)で表される化合物(A1−II)は、2つのノルボルナン基がシス配置し且つ該2つのノルボルナン基のそれぞれに対してシクロアルカノンのカルボニル基がエンドの立体配置となる式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の異性体である。
なお、このような異性体を上記比率で含有するテトラカルボン酸二無水物の製造方法も特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2014/034760号に記載の方法等を適宜採用してもよい。
【0230】
式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルの好適な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシn−プロピルアクリレート、3−ヒドロキシn−プロピルメタクリレート、4−ヒドロキシn−ブチルアクリレート、及び4−ヒドロキシn−ブチルメタクリレートが挙げられる。
【0231】
式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の使用量と、式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルの使用量との比率は、所望する構造の化合物を合成できる限り特に限定されない。
【0232】
式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルの使用量は、式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物1.0モルに対して、2.0モル以下が好ましく、0.1モル以上2.0モル以下がより好ましく、0.5モル以上2.0モル以下がさらに好ましく、1.0モル以上2.0モル以下が特に好ましい。式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルをかかる量用いることにより、カルボキシ基の過剰なエステル化を防ぎつつ、所望する構造の化合物を得やすい。
【0233】
第4の態様にかかる化合物である、式(I)で表される化合物において、Ra1及びRa2が、水素原子又は式(a3)で表される基ではなく、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基である場合がある。
かかる場合、式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物1.0モルに対して、2.0モル未満の式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルを反応させた後、Ra1−OH、又はRa2−OHで表され、Ra1又はRa2が、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、又は炭素原子数7以上20以下のアラルキル基である水酸基含有化合物を所望する量反応させることにより、所望する構造の式(I)で表される化合物が得られる。
また、式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物1.0モルに対して、Ra1−OH、又はRa2−OHで表され、Ra1又はRa2が、炭素原子数1以上20以下の飽和脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、又は炭素原子数7以上20以下のアラルキル基である水酸基含有化合物を1.0モル以下反応させた後、式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルを所望する量反応させることにより、所望する構造の式(I)で表される化合物が得られる。
【0234】
式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルや、Ra1−OH、又はRa2−OHで表される水酸基化合物との反応は、酸無水物基の開環と、エステル化とを触媒する、触媒化合物の存在下に行われるのが好ましい。かかる触媒を用いることにより、原料化合物や生成物が熱分解するような過酷な条件でなくても、良好にエステル化反応を進行させることができる。
かかる触媒としては、例えば、イミダゾール環を含むイミダゾール化合物を用いることができる。
【0235】
式(I)で表される化合物を合成する際に使用される有機溶剤としては、合成反応における反応速度、化合物の溶解性、取扱い性等を考慮の上、適宜選択することができる。
このような有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルカプロラクタム、及びN,N,N’,N’−テトラメチルウレア等の含窒素極性有機溶剤が好ましい。
【0236】
式(a4)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、式(a5)で表される不飽和カルボン酸エステルとを反応させる温度は、特に限定されないが0℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、0.5時間以上30時間以下が好ましく、1時間以上20時間以下がより好ましい。
かかる条件で反応を行う場合、副反応によるゲル化を抑制しつつ所望する構造の化合物を生成させやすい。
【実施例】
【0237】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0238】
〔実施例1〕
(テトラカルボン酸二無水物の調製)
国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に従って、下記式で表されるテトラカルボン酸二無水物(ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物)を調製した。
【化57】
【0239】
上記構造のテトラカルボン酸二無水物1モル部と、2−ヒドロキシメチルメタクリレート1モル部と、触媒としてのイミダゾール化合物0.03モル部とを、固形分濃度が40質量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン中に仕込み、撹拌しながら60℃10時間の条件で反応させた。
反応後の反応液を、HPLC/LC−MSにより分析した。LC−MS分析の結果、m/z=550相当の化合物と、m/z=662相当の化合物の生成が確認された。
【0240】
m/z=550は、下記構造の化合物の分子量に一致する。下式の化合物を以下、モノエステルとも記す。なお、本実施例1での、テトラカルボン酸二無水物の仕込み量を基準とするモノエステルの収率は2.3%であった。
【化58】
【0241】
m/z=662は、下記構造の化合物の分子量に一致する。下式の化合物を以下、ジエステルとも記す。なお、本実施例1での、テトラカルボン酸二無水物の仕込み量を基準とするジエステルの収率は95.4%であった。
【化59】
【0242】
〔実施例2〕
まず、ガラス製の反応容器を加熱して、十分に乾燥させた。反応容器の内部を窒素ガス雰囲気にしたのち、反応容器内に実施例1で得られた反応液を仕込んだ。次いで、反応容器内に、室温条件下にて、4,4’−ジアミノベンズアニリド1.0モル部と、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン2.0モル部とを仕込んだ。なお、ここでのモル部は、前述のジエステルを1.0モル部としたときの換算値である。
続いて、反応容器を氷浴条件で0℃まで冷やし、撹拌しながら(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル2.0モル部を緩やかに滴下して、縮合反応を開始した。重縮合反応は、0℃で30分、室温で30分、に次いで40℃20時間の条件で行った。
【0243】
反応終了後、反応液にメタノールを加えることで、ポリアミド樹脂を析出させ、回収した。ポリアミド樹脂の収率は、ジエステルの量に対して95.0%であった。
得られたポリアミド樹脂の、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は10,300であり、分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は2.50であった。
【0244】
〔参考例1〕
ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物を、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物に変えることの他は、実施例1と同様にして下記3種のジエステルの混合物を得た。
【化60】
【0245】
実施例1と同様の方法で得られたジエステルを、参考例1で得られたジエステルの混合物に変更するとともに、4,4’−ジアミノベンズアニリドを4,4’−ジアミノジフェニルエーテルに変更したうえで、反応条件を適宜調製することの他は、実施例2と同様の方法によりポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂の、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
【0246】
〔実施例3〜6、及び比較例1〕
表1に記載の種類の樹脂(A)100質量部と、光重合開始剤(B)である後述の化合物4質量部と、光重合性モノマー(C)であるテトラエチレングリコールジメタクリレート8質量部と、熱架橋剤であるN,N’−ジメトキシメチルウレア4質量部と、増感剤であるN−フェニルジエタノールアミン4質量部と、防食剤である1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン1.5質量部とを、固形分濃度が25質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、実施例3〜6、及び比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
【0247】
樹脂(A)としては、それぞれポリアミド樹脂である、以下のPA1〜PA5を用いた。なお、PA1〜PA4の重量平均分子量は、縮合反応の温度、撹拌条件及び時間を微調整することにより調整した。
PA1:実施例1の方法で得られた反応液を用い、4,4’−ジアミノベンズアニリドをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量11,000)
PA2:実施例1の方法で得られた反応液を用い、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量10,000)
PA3:実施例1の方法で得られた反応液を用い、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量15,000)
PA4:実施例1の方法で得られた反応液を用い、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量12,000)
PA5:参考例1で得た、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物に由来する骨格を含むポリアミド樹脂(重量平均分子量20,000)
【0248】
光重合開始剤(B)としては、下記構造の化合物を用いた。
【化61】
【0249】
得られた感光性樹脂組成物を用いて、以下の方法に従って、パターンはがれと、形成された膜の透明性とを評価した。これらの評価結果を表1に記す。
【0250】
(パターンはがれ評価)
ガラス基板上に、各実施例、比較例の感光性樹脂組成物を塗布した後、90℃120秒のベークを行い膜厚10μmの塗布膜を得た。
形成された塗布膜に、ネガ型のマスクを介して線幅5μmのラインパターンが形成されるように、ミラープロジェクションアライナー(製品名:MPA−600FA、株式会社キヤノン製)を用いて露光量100mJ/cmで露光を行った。
露光後、シクロペンタノンを現像液に用いて、23℃60秒の条件で現像を行った。現像後に得られた線幅5μmのラインパターンを顕微鏡により観察し、パターンはがれの有無を評価した。パターンはがれが観察された場合を×とし、パターンはがれが観察されなかった場合を○とした。
【0251】
(透明性評価)
塗布膜全面に露光を行うことの他は、パターンはがれ評価と同様の方法により感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。得られた硬化膜は窒素雰囲気下、300℃で2時間ベークした。ベーク後の硬化膜の、光線透過率を測定し、以下の基準に従って硬化膜の透明性を評価した。
◎:波長380nm以上780nm以下の範囲の全域の光線の透過率が90%以上である。
○:波長380nm以上780nm以下の範囲の全域の光線の透過率が80%以上である。
×:波長380nm以上780nm以下の範囲の光線において、いずれかの波長での透過率が80%未満となる。
【0252】
【表1】
【0253】
実施例3〜6と比較例1との比較によれば、特定の構造の脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位をポリアミド樹脂の母核として含ませることで、得られる硬化膜を基板に対して良好に密着し、透明性に優れるものとできることが分かる。
【0254】
〔実施例7〜9〕
表2に記載の種類の樹脂(A)100質量部と、光重合開始剤(B)である前述の化合物4質量部と、光重合性モノマー(C)であるテトラエチレングリコールジメタクリレート8質量部と、熱架橋剤であるN,N’−ジメトキシメチルウレア4質量部と、増感剤であるN−フェニルジエタノールアミン4質量部と、防食剤である1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン1.5質量部とを、固形分濃度が25質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、実施例7〜9の感光性樹脂組成物を得た。
【0255】
表2に記載の樹脂のうちPA4については前述の通りである。PA6、及びPA7については以下の通りである。
PA6:実施例1の方法で得られた反応液を用い、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量19,000)
PA7:実施例1の方法で得られた反応液を用い、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパンをジエステル換算で等モルの比率で縮合させることで得たポリアミド樹脂(重量平均分子量19,500)
【0256】
実施例7〜9におけるパターンはがれの評価方法と、透過率の評価方法とは、現像方法を除いて実施例3〜6と同様である。
実施例7〜9では、実施例3〜6におけるシクロペンタノンによる現像に変えて、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液による現像を行った。
実施例7〜9の感光性樹脂組成物についてのパターンはがれの評価結果と、透過率の評価結果とを表2に記す。
【0257】
【表2】
【0258】
実施例3〜6と、実施例7〜9とによれば、特定の構造の脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位をポリアミド樹脂の母核として含ませることで、現像方法が有機溶剤による現像であっても、アルカリ現像液による現像であっても、得られる硬化膜を基板に対して良好に密着し、透明性に優れるものとできることが分かる。