(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板に光学材料を含む塗布液を塗布する塗布処理方法を塗布処理装置によって実行させるように、当該塗布処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記塗布処理方法は、基板を保持部した保持部と塗布ノズルを直交方向に相対的に移動させながら、前記塗布ノズルから前記塗布液を吐出し、基板の平面視外側の両側において受液部で前記塗布液を受けとめて、基板に前記塗布液を塗布し、
基板の平面視外側の一方側に設けられた前記受液部は、前記塗布ノズルから吐出された前記塗布液を巻き取る巻き取り材を有し、
基板の平面視外側の他方側に設けられた前記受液部は、前記塗布ノズルの吐出口を封止する封止材を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<光学膜形成>
本実施形態では、OLEDに用いられる円偏光板を作製する場合において、光学膜である、直線偏光膜(直線偏光板)とλ/4波長膜(λ/4波長板)を、その偏光軸が45度で交差するようにガラス基板に形成する。
【0021】
直線偏光膜とλ/4波長膜を形成するに際してはそれぞれ、塗布処理、減圧乾燥処理、加熱処理、膜定着処理、膜除去処理が順次行われる。
【0022】
先ず、ガラス基板に直線偏光膜を形成する。直線偏光膜に対する塗布処理では、ガラス基板の全面に塗布液(偏光膜用塗布液)を塗布する。この際、塗布液に一方向のせん断応力を加えることで、分子を一方向に配向させる。その後、減圧乾燥処理では、直線偏光膜を減圧乾燥することで、膜中の溶媒が除去されて、膜中の分子の配向状態が適切に維持される。その後、加熱処理では、直線偏光膜を所定の温度することで、膜中に残存する溶媒を完全に除去する。その後、膜定着処理では、ガラス基板の画素エリアに定着材を塗布することで、直線偏光膜を不活性化(不溶化)し、不活性化された直線偏光膜をガラス基板に定着させる。その後、膜除去処理では、ガラス基板に洗浄液を供給することで、膜定着処理で定着していない直線偏光膜を選択的に除去する。
【0023】
ガラス基板に直線偏光膜が形成されると、次に、ガラス基板にλ/4波長膜をさらに形成する。λ/4波長膜に対する塗布処理では、ガラス基板の全面に塗布液(波長膜用塗布液)を塗布する。この際、塗布液に対し、直線偏光膜における一方向から45度傾いた方向(斜め45度方向)のせん断応力を加えることで、分子を斜め45度方向に配向させる。なお、その後の減圧乾燥処理、加熱処理、膜定着処理、膜除去処理はそれぞれ、直線偏光膜を形成する際の各処理と同様である。
【0024】
こうして直線偏光膜とλ/4波長膜が、その偏光軸が45度で交差するようにガラス基板に形成される。以下の説明においては、ガラス基板に対して任意の角度で塗布液を塗布する塗布処理装置及び塗布処理方法について説明する。
【0025】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す平面図である。
図2及び
図3は、第1の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す側面図である。なお、以下に示す図面においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0026】
塗布処理装置1は、ガラス基板Gを保持する保持部としてのステージ10と、ガラス基板Gに塗布液を吐出する塗布ノズル20と、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液を受けとめる受液部30と、を有している。
【0027】
ステージ10は、ガラス基板Gに塗布液が塗布される表面が上方を向くように、その裏面を吸着保持する。ステージ10は、平面視においてガラス基板Gよりも小さい形状、又はガラス基板Gと同じ形状を有している。ステージ10は、移動機構(図示せず)によってY軸方向に移動自在に構成されている。ステージ10の移動範囲は少なくともガラス基板GのY軸方向に2枚分の長さ以上であり、ステージ10がY軸方向負方向の端部に位置している場合のガラス基板G(
図1中の実線、基板位置A1)と、ステージ10がY軸方向正方向の端部に位置している場合のガラス基板G(
図1中の点線、基板位置A2)とが、平面視において重ならない。
【0028】
塗布ノズル20は、ステージ10の上方に設けられ、ステージ10に保持されたガラス基板Gに塗布液を吐出する。塗布ノズル20は、ステージ10に保持されたガラス基板Gの移動方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に延伸する長尺状のスリットノズルである。
図4に示すように塗布ノズル20の下端面には、ガラス基板Gに塗布液を吐出する吐出口21が形成されている。吐出口21は、塗布ノズル20の長手方向(X軸方向)に沿って、ガラス基板GのX軸方向の長さより長く延伸するスリット状の吐出口である。
【0029】
図1〜
図3に示すように塗布ノズル20は、X軸方向に延伸する支持梁22に支持されている。そして、塗布ノズル20は、移動機構(図示せず)により、支持梁22に沿って移動自在に構成されている。塗布ノズル20は、ガラス基板GのX軸方向負方向側(
図1中の実線、ノズル位置B1)と、ガラス基板GのX軸方向正方向側(
図1中の点線、ノズル位置B2)との間を移動する。そして、ノズル位置B1とノズル位置B2との間のいずれの位置においても、塗布ノズル20はその吐出口21から、ガラス基板GのX軸方向を覆うように塗布液を吐出する。
【0030】
このようにステージ10と塗布ノズル20は直交方向に移動する。そして、塗布ノズル20は、ステージ10に保持されたガラス基板Gに塗布液を塗布することができる。また、ステージ10の移動速度と塗布ノズル20の移動速度を制御することで、ガラス基板Gに塗布される塗布液の塗布方向を任意に制御することができる。
【0031】
なお、塗布ノズル20から吐出される塗布液は、光学材料を含む塗布液である。具体的には、直線偏光膜を形成するための偏光膜用塗布液と、λ/4波長膜を形成するための波長膜用塗布液であり、それぞれ例えば光学材料としてリオトロピック液晶化合物やサーモトロピック液晶化合物など、任意の液晶化合物が含まれる。
【0032】
受液部30は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部30は、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液を巻き取る巻き取り材としてのローラ31と、ローラ31に巻き取られた塗布液を回収する回収槽32と、ローラ31及び回収槽32を支持する支持構造体としての支持フレーム33と、を有している。
【0033】
ローラ31は、X軸方向に延伸して設けられている。ローラ31のガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。ローラ31のガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。そして、
図5に示すように塗布ノズル20からガラス基板Gに塗布液Pを吐出する際、塗布ノズル20の端部から吐出される塗布液Pは、ガラス基板Gの移動方向と同じ方向に回転するローラ31に巻き取られて回収される。
【0034】
また、ローラ31は、塗布ノズル20の吐出口21と所定の隙間を空けた状態で塗布液Pを巻き取る。そうすると、ガラス基板Gに塗布液Pを塗布する際の、塗布ノズル20から吐出される塗布液Pのビードが乱れることがない。さらに、本実施形態ではローラ31は、ローラ31の上面と、ステージ10に保持されたガラス基板Gの上面とが同じ高さになるように配置されている。換言すれば、ローラ31はガラス基板Gの延長(疑似基板)のような役割を果たす。かかる場合、ローラ31と塗布ノズル20との隙間の距離と、ガラス基板Gと塗布ノズル20との隙間の距離とが同じになり、これら隙間の塗布液Pの状態、例えば塗布液Pの量が同じになるため、塗布ノズル20からの塗布液Pのビードをさらに適切に安定させることができる。
【0035】
なお、ローラ31とガラス基板Gとの間にはX軸方向に若干の隙間があるが、塗布液Pの表面張力によって、この隙間から塗布液Pが垂れ落ちることはない。また、塗布液Pの粘度が高い場合、隙間は広くてもよいが、塗布液Pの粘度が低い場合、隙間は狭い方がよい。また、例えば塗布ノズル20のX軸方向の移動を考慮して、ローラ31とガラス基板Gとの隙間の大きさを、ガラス基板Gの左右(塗布ノズル20の移動方向両側)で異なるようにしてもよい。
【0036】
図6に示すように回収槽32は、ローラ31の下方において当該ローラ31を覆うように設けられている。回収槽32は上面が開口し、ローラ31で巻き取られた塗布液Pを回収して一時的に貯留する。またこの際、回収槽32においてローラ31の下部は塗布液Pに浸漬している。なお、回収槽32に一時的に貯留されている塗布液Pに水を供給し、当該塗布液Pを水に溶かしてもよい。
【0037】
回収槽32の底面は中央部に向かって下方に傾斜しており、その中央部には塗布液Pの排液管34が接続されている。また、回収槽32の側面には、塗布液Pのオーバーフローを防止するためのオーバーフロー管(図示せず)が接続されている。そして、回収槽32に貯留された塗布液Pは、排液管34及びオーバーフロー管から排出される。なお、このように排液管34から排出された塗布液Pは、次以降に処理されるガラス基板Gに再利用してもよい。
【0038】
図2及び
図3に示すように支持フレーム33は、ローラ31と回収槽32を下方から支持する。かかる場合、例えばローラ31と回収槽32のメンテナンスの際、当該ローラ31と回収槽32を支持フレーム33ごと容易に交換することができる。また、支持フレーム33は塗布ノズル20に干渉しないので、塗布ノズル20のメンテナンスの際、当該塗布ノズル20を容易に交換することもできる。
【0039】
図1に示すように以上の塗布処理装置1には、制御部40が設けられている。制御部40は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、塗布処理装置1における塗布処理を制御するプログラムが格納されている。このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部40にインストールされたものであってもよい。
【0040】
次に、以上のように構成された塗布処理装置1を行われる塗布処理方法について説明する。
【0041】
先ず、ガラス基板Gに直線偏光膜を形成する。具体的には、
図7に示すように塗布処理装置1において、ガラス基板Gの全面に塗布液P1を塗布する。この場合の塗布液P1は、直線偏光膜を形成するための偏光膜用塗布液である。また、塗布処理装置1では、塗布ノズル20をノズル位置B1から移動させずに、ガラス基板Gを基板位置A1から基板位置A2に移動させる。なお、塗布ノズル20の位置はノズル位置B1に限定されず、ノズル位置B1とノズル位置B2の間の任意の位置であってもよい。
【0042】
図7(a)に示すように、基板位置A1においてガラス基板Gがステージ10に保持される。続いて、
図7(b)に示すように塗布ノズル20から塗布液P1を吐出しつつ、ガラス基板GをY軸方向正方向に移動させ、ガラス基板Gに塗布液P1が塗布される。そして、
図7(c)に示すようにガラス基板Gが基板位置A2まで移動して、ガラス基板Gの全面に塗布液P1が塗布される。
【0043】
この際、塗布ノズル20の端部から吐出される塗布液P1、すなわちガラス基板Gの外側に吐出される塗布液P1は、ローラ31に巻き取られ回収される。したがって、塗布液P1が下方に垂れ落ちることがない。
【0044】
またこの際、塗布液P1はせん断応力(
図7中のブロック矢印)が加えられながら塗布される。塗布ノズル20は移動せず、ガラス基板GがY軸方向正方向に移動するので、せん断応力はY軸方向正方向に加えられる。
【0045】
また、せん断応力(シアレート)は、塗布速度(ガラス基板Gに対する塗布ノズル20の移動速度)を、ガラス基板Gと塗布ノズル20の吐出口21との距離(ギャップ)で割った値である。塗布ノズル20にはスリットノズルが用いられるので、塗布ノズル20は、ガラス基板Gを傷つけることなく、当該ガラス基板Gに十分に近接できる。このため、ギャップを小さくすることができる。そうすると、塗布ノズル20の移動速度を制御することで、塗布液P1に十分なせん断応力を加えることができる。またその結果、塗布液P1中の分子を一方向(Y軸方向)に配向させることができる。
【0046】
なお、塗布ノズル20には、スリットノズル以外の他のノズルを用いることもできるが、上述したようにギャップをできるだけ小さくできるという観点からは、スリットノズルが好適である。また、ガラス基板Gに塗布される塗布液P1の膜厚は小さく、かかる観点からもスリットノズルが好適である。
【0047】
次に、ガラス基板Gにλ/4波長膜を形成する。具体的には、
図8に示すように塗布処理装置1において、ガラス基板Gの全面に塗布液P2を塗布する。この場合の塗布液P2は、λ/4波長膜を形成するための波長膜用塗布である。また、塗布処理装置1では、ガラス基板Gを基板位置A1から基板位置A2に移動させると共に、塗布ノズル20をノズル位置B1からノズル位置B2に移動させる。このとき、ガラス基板Gの移動速度と塗布ノズル20の移動速度は同じである。
【0048】
図8(a)に示すように、基板位置A1においてガラス基板Gがステージ10に保持される。続いて、
図8(b)に示すようにガラス基板GをY軸方向正方向に移動させると共に、塗布ノズル20から塗布液P2を吐出しつつ、塗布ノズル20をX軸方向正方向に移動させ、ガラス基板Gに塗布液P2が塗布される。そして、
図8(c)に示すようにガラス基板Gが基板位置A2まで移動し、かつ塗布ノズル20がノズル位置B2まで移動して、ガラス基板Gの全面に塗布液P2が塗布される。
【0049】
この際、塗布ノズル20がノズル位置B1とノズル位置B2との間で移動しても、塗布ノズル20の端部から吐出される塗布液P2、すなわちガラス基板Gの外側に吐出される塗布液P2は、ローラ31に巻き取られ回収される。したがって、塗布液P1が下方に垂れ落ちることがない。
【0050】
また、この際、塗布液P2はせん断応力(
図8中のブロック矢印)が加えられながら塗布される。すなわち、ガラス基板Gの移動速度と塗布ノズル20の移動速度が同じであるため、せん断応力はY軸方向正方向及びX軸方向正方向に斜め45度方向に加えられる。
【0051】
また、ガラス基板Gの移動速度と塗布ノズル20の移動速度を制御することで、塗布液P2に十分なせん断応力を加えることができる。その結果、塗布液P2中の分子を一方向(斜め45度方向)に配向させることができる。
【0052】
以上の実施の形態によれば、塗布処理装置1において、ステージ10に保持されたガラス基板Gと塗布ノズル20がそれぞれ直交方向に移動するので、これらガラス基板Gの移動速度と塗布ノズル20の移動速度を制御することで、ガラス基板Gに塗布される塗布液の塗布方向を制御することができる。このように簡易な構成及び簡易な制御で、ガラス基板Gに対して任意の角度で塗布液を塗布することができる。そして、塗布液P1の塗布方向と塗布液P2の塗布方向を45度で交差させ、直線偏光膜とλ/4波長膜を、その偏光軸が45度で交差するように形成することができる。
【0053】
また、ガラス基板Gの外側の両側において受液部30(ローラ31)で塗布液Pを巻き取って回収するので、塗布液Pが垂れ落ちるのを抑制することができる。その結果、ステージ10に塗布液Pが垂れ落ちて付着するのを抑制することができ、従来のように枚葉でのステージ10を洗浄する必要がない。さらに、回収槽32で回収された塗布液Pが再利用される場合には、塗布液Pの使用量を抑えることも可能となる。
【0054】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図9及び
図10は、第2の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0055】
第2の実施形態と第1の実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第2の実施形態の塗布処理装置1では、第1の実施形態の受液部30に代えて、受液部100が設けられている。
【0056】
受液部100は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部100は、塗布ノズル20の端部の吐出口を封止する封止材としてのディッケル101と、ディッケル101を下方から支持する支持構造体としての支持フレーム102と、を有している。
【0057】
ディッケル101は、X軸方向に延伸して設けられている。ディッケル101のガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。ディッケル101のガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。そして、
図11に示すようにディッケル101が塗布ノズル20の端部に密着することで、当該塗布ノズル20(吐出口21)の端部が封止される。その結果、塗布ノズル20の端部における塗布液Pも封止され、吐出されることがない。
【0058】
なお、ディッケル101の断面形状は、塗布ノズル20の端部に密着して封止できるものであれば限定されない。本実施形態で図示した例のように上面が平坦の矩形状であってもよいし、あるいは例えば特開2013−165137号公報に記載されたV字形状であってもよい。また、ディッケル101には、塗布ノズル20と密着した際にパーティクルの発生が抑制される材料、例えばシリコンゴムやフッ素ゴムを用いるのが好ましい。
【0059】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。しかも、ディッケル101が塗布ノズル20の端部が封止され、塗布ノズル20の端部から塗布液Pが吐出されることがないので、塗布液Pの使用量を抑えることも可能となる。また、ディッケル101は塗布ノズル20に密着するので、吐出口21に付着する塗布液Pを拭き取ることができ、吐出口21を常に清浄に維持することができる。
【0060】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る受液部110で塗布液Pを受けとめる様子を示す説明図である。
【0061】
第3の実施形態と第1の実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第3の実施形態の塗布処理装置1では、第1の実施形態の受液部30に代えて、受液部110が設けられている。
【0062】
受液部110は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部110は、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを回収する回収容器としてのパン111と、パン111を下方から支持する支持構造体としての支持フレーム(図示せず)と、を有している。なお、支持フレームの構成は、例えば第1の実施形態の支持フレーム33の構成と同様である。
【0063】
パン111は、X軸方向に延伸して設けられている。パン111のガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。パン111のガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。また、パン111は上面が開口し、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを回収して一時的に貯留する。そして、パン111に貯留された塗布液Pは、パン111に接続された排液管(図示せず)から排出される。
【0064】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。但し、本実施形態のパン111は、第1の実施形態の回収槽32と異なり、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを直接回収する。
【0065】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図13は、第4の実施形態に係る受液部120で塗布液Pを受けとめる様子を示す説明図である。
【0066】
第4の実施形態と第1の実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第4の実施形態の塗布処理装置1では、第1の実施形態の受液部30に代えて、受液部120が設けられている。
【0067】
受液部120は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部120は、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを吸収する吸収材121と、吸収材121を下方から支持する支持構造体としての支持フレーム(図示せず)と、を有している。なお、支持フレームの構成は、例えば第1の実施形態の支持フレーム33の構成と同様である。
【0068】
吸収材121は、X軸方向に延伸して設けられている。吸収材121のガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。吸収材121のガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。そして、吸収材121が塗布ノズル20の端部と所定の隙間を空けて配置された状態で、当該塗布ノズル20(吐出口21)の端部から吐出される塗布液Pが吸収材121に吸収される。また、吸収材121で吸収された塗布液Pは、回収機構(図示せず)によって回収される。なお、吸収材121を塗布ノズル20の端部に密着させてもよい。
【0069】
なお、吸収材121には、塗布液Pを吸収できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば複数の孔が形成された多孔質体が用いられる。また、吸収材121には、塗布ノズル20と密着した際にパーティクルの発生が抑制される材料、例えばポリエチレンを用いるのが好ましい。
【0070】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0071】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図14は、第5の実施形態に係る受液部130で塗布液Pを受けとめる様子を示す説明図である。
【0072】
第5の実施形態と第1の実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第5の実施形態の塗布処理装置1では、第1の実施形態の受液部30に代えて、受液部130が設けられている。
【0073】
受液部130は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部130は、巻き取り材としてのローラ131aと封止材としてのディッケル131bとが一体に接続された複合材131と、複合材131を下方から支持する支持構造体としての支持フレーム(図示せず)と、を有している。なお、支持フレームの構成は、例えば第1の実施形態の支持フレーム33の構成と同様である。
【0074】
複合材131のうち、ローラ131aはX軸方向においてガラス基板Gに近い側に設けられ、ローラ131aのガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。ローラ131aは、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを巻き取る。このローラ131aの構成は、第1の実施形態のローラ31の構成と同様である。また、ローラ131aの下方には、第1の実施形態の回収槽32と同様に、ローラ131aに巻き取られた塗布液Pを回収する回収槽(図示せず)が設けられている。
【0075】
複合材131のうち、ディッケル131bはX軸方向においてガラス基板Gに遠い側に設けられ、ディッケル131bのガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。ディッケル131bは、塗布ノズル20(吐出口21)の端部を封止する。このディッケル131bの構成は、第2の実施形態のディッケル101の構成と同様である。
【0076】
本実施形態では、第1の実施形態の効果と第2の実施形態の効果を両方享受することができる。すなわち、ローラ131aとディッケル131bによって、ガラス基板Gの外側に塗布液Pが垂れ落ちるのを抑制することができる。また、ローラ131aによって、塗布ノズル20からの塗布液Pのビードをさらに適切に安定させることができる。さらに、ディッケル131bによって、塗布液Pの使用量を抑えることも可能となる。
【0077】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図15は、第6の実施形態に係る受液部140で塗布液Pを受けとめる様子を示す説明図である。
【0078】
第6の実施形態と第1の実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第6の実施形態の塗布処理装置1では、第1の実施形態の受液部30に代えて、受液部140が設けられている。
【0079】
受液部140は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向外側の両側に設けられている。各受液部140は、Y軸方向に延伸する一対のローラ141、141と、一対のローラ141、141に巻回されたベルト142と、ローラ141及びベルト142を下方から支持する支持構造体としての支持フレーム(図示せず)と、を有している。なお、支持フレームの構成は、例えば第1の実施形態の支持フレーム33の構成と同様である。
【0080】
ベルト142のガラス基板G側の端部は、ガラス基板Gに接触しないように当該ガラス基板Gに近接して位置している。ベルト142のガラス基板Gと反対側の端部は、ノズル位置B1、B2のそれぞれにある塗布ノズル20の外側に位置している。そして、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pは、ベルト142に巻き取られて回収される。また、ベルト142に巻き取られた塗布液Pは、回収槽(図示せず)によって回収される。
【0081】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0082】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図16は、第7の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0083】
第7の実施形態と上記実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なる。すなわち、第7の実施形態の塗布処理装置1には、第1の実施形態における受液部30と第2の実施形態における受液部100とが設けられている。受液部30は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向負方向側に設けられ、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを巻き取って回収する。受液部100は、ガラス基板GのX軸方向正方向側に設けられ、塗布ノズル20(吐出口21)の端部を封止する。
【0084】
本実施形態では、第1の実施形態の効果と第2の実施形態の効果を両方享受することができる。すなわち、受液部30のローラ31と受液部110のディッケル101によって、ガラス基板Gの外側に塗布液Pが垂れ落ちるのを抑制することができる。また、ローラ31によって、塗布ノズル20からの塗布液Pのビードをさらに適切に安定させることができる。さらに、ディッケル101によって、塗布液Pの使用量を抑えることも可能となる。
【0085】
また、受液部30と受液部100において、ローラ31及び回収槽32は支持フレーム33に支持され、ディッケル101は支持フレーム102に支持されているので、これら受液部30と受液部100の交換も容易に行うことができる。
【0086】
なお、本実施形態では、受液部30と受液部110を組み合わせて用いたが、上記実施形態の受液部30、110、120、130、140を任意に組み合わせてもよい。また、各受液部30、110、120、130、140が支持フレームを有する場合、これらの組み合わせも容易に変更することができる。
【0087】
<第8の実施形態>
次に、本発明の第8の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図17及び
図18は、第8の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0088】
第8の実施形態と上記実施形態では、塗布処理装置1における受液部の構成が異なり、より具体的には、ガラス基板Gの端部から吐出される塗布液Pを受けとめる部材(例えばローラ31やディッケル101など)を支持する構成が異なる。第8の実施形態の塗布処理装置1には、受液部150、160が設けられている。
【0089】
受液部150は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向負方向側に設けられている。受液部150は、塗布ノズル20の端部から吐出された塗布液Pを巻き取るローラ151と、ローラ151に巻き取られた塗布液Pを回収する回収槽152と、ローラ151及び回収槽152を支持する支持ブラケット153と、を有している。ローラ151と回収槽152はそれぞれ、第1の実施形態のローラ31と回収槽32と同様の構成を有している。また、ローラ151と回収槽152は、支持ブラケット153を介して支持梁22に吊り下げられて支持されている。
【0090】
受液部160は、ステージ10に保持されたガラス基板GのX軸方向正方向側に設けられている。受液部160は、塗布ノズル20の端部の吐出口を封止するディッケル161と、ディッケル161を支持する支持ブラケット162と、を有している。ディッケル161は、第2の実施形態のディッケル101と同様の構成を有している。また、ディッケル161は、支持ブラケット162を介して支持梁22に吊り下げられて支持されている。
【0091】
本実施形態では、第1の実施形態の効果と第2の実施形態の効果を両方享受することができる。また、受液部150においてローラ151と回収槽152は支持ブラケット153を介して支持梁22に吊り下げられて支持されているので、当該ローラ151と回収槽152の下方にスペースSが形成される。このスペースSにより、ローラ151と回収槽152のメンテナンスを容易に行うことができる。また、受液部160においてディッケル161の下方にもスペースSが形成されるので、ディッケル161のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0092】
なお、本実施形態では、第1の実施形態のローラ31と同様のローラ151と、第2の実施形態のディッケル101と同様のディッケル161とを組み合わせて用いたが、組み合わせは任意である。例えば第3の実施形態のパン111、第4の実施形態の吸収材121、第5の実施形態の複合材131、第6の実施形態のローラ141及びベルト142などを用いてもよい。
【0093】
<第9の実施形態>
次に、本発明の第9の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図19は、第9の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す平面図である。
【0094】
第9の実施形態の塗布処理装置1は、上記実施形態の塗布処理装置1において、ガラス基板Gの端部の塗布液Pを除去する端部除去部170をさらに有している。端部除去部170は、基板位置A2において、ガラス基板GのX軸方向両側に設けられている。
【0095】
端部除去部170は、塗布液Pの溶剤を供給する溶剤ノズル(図示せず)を有している。そして、ガラス基板GのX軸方向の端部に塗布された塗布液Pに溶剤を供給して、当該塗布液Pを除去する。なお、端部除去部170には公知の構成を用いることができ、例えば特開2013−58567号公報に記載された溶剤供給部を用いることができる。
【0096】
ここで、ガラス基板Gに形成される光学膜の種類によっては、ガラス基板Gの端部に光学膜が不要な場合がある。この点、本実施形態では、塗布ノズル20によってガラス基板Gの全面に塗布液Pが塗布された後、端部除去部170によってガラス基板Gの端部の塗布液Pを除去することができる。
【0097】
また、ガラス基板Gの全面に塗布液Pを塗布する場合、例えばガラス基板Gの端部における塗布液Pの膜厚が、端部以外の部分における塗布液Pの膜厚と異なり、基板面内で膜厚が不均一になる場合がある。かかる場合に対し、本実施形態の端部除去部170を用いてガラス基板Gの端部における塗布液Pを所望の膜厚分除去することで、当該塗布液Pの膜厚を調節して、基板面内で膜厚を均一にすることもできる。なお、基板面内で膜厚を均一にする際には、ガラス基板Gの端部を温度調節してもよい。
【0098】
<第10の実施形態>
次に、本発明の第10の実施形態に係る塗布処理装置について説明する。
図20は、第10の実施形態に係る塗布処理装置1の構成の概略を示す平面図である。
【0099】
第10の実施形態の塗布処理装置1は、上記実施形態の塗布処理装置1において、プライミングローラ180をさらに有している。プライミングローラ180は、ステージ10のY軸方向正方向側の先端に設けられている。
【0100】
プライミングローラ180は、塗布ノズル20からガラス基板Gに塗布液Pを吐出する前に、塗布ノズル20の先端部に付着した塗布液Pを均一化するプライミング処理を行う。具体的には、プライミングローラ180の直上に塗布ノズル20の吐出口21を対峙させて、吐出口21からプライミングローラ180に対して塗布液Pを吐出する。そして、プライミングローラ180を回転させて塗布液Pを巻き取ることで、吐出口21における塗布液Pの付着状態が整えられ、吐出口21における塗布液Pの吐出状態を安定化させることができる。
【0101】
<第11の実施形態>
次に、本発明の第11の実施形態(他の実施形態)に係る塗布処理装置について説明する。
【0102】
上記実施形態の塗布処理装置1では、ガラス基板Gを保持したステージ10をY軸方向に移動させることでガラス基板Gを移動させていたが、ガラス基板Gの移動方式はこれに限定されない。例えば特開2012−204500号公報に記載されているように、いわゆる浮上搬送方式でガラス基板Gを移動させてもよい。具体的には、例えば基板位置A1から基板位置A2までY軸方向に延伸する浮上ステージ(図示せず)を設け、浮上ステージの上面から垂直上方に高圧の気体(通常はエア)を噴き出し、その高圧エアの圧力によって基板を水平姿勢で浮かす。
そして、浮上ステージ上でガラス基板Gを空中に浮かせた状態で、当該ガラス基板Gを移動させることができる。
【0103】
また、上記実施形態の塗布処理装置1では、ステージ10に保持されたガラス基板GをY軸方向に移動させ、塗布ノズル20をX軸方向に移動させていたが、ガラス基板Gと塗布ノズル20を相対的に直交方向に移動させればよい。例えばガラス基板GがY軸方向及びX軸方向に移動してもよいし、あるいは塗布ノズル20がY軸方向及びX軸方向に移動してもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、OLEDに用いられる円偏光板を作製する場合において、ガラス基板に光学膜として、直線偏光膜(直線偏光板)とλ/4波長膜(λ/4波長板)を形成する場合を例にとって説明したが、本発明は他にも適用できる。例えばLCDに用いられる偏光板や波長板にも、本発明を適用することができる。また、波長板もλ/4波長膜に限定されず、例えばλ/2波長膜などの他の波長板にも、本発明を適用することができる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。