(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
生物に装着される物品又は生物の体内に取り込まれる物品と、前記物品を収容する収容部材と、前記収容部材の外表面の少なくとも一部に重なるように設けられ、抗菌剤又は抗ウイルス剤を有する外層と、を備えることを特徴とする物品収容体である。
【0010】
このような物品収容体によれば、収容部材の外表面の少なくとも一部に抗菌剤又は抗ウイルス剤を有する外層を備えるから、人が触れやすい部分の抗菌性又は抗ウイルス性を向上させることができて、安心・安全な物品を提供することができる。
【0011】
かかる物品収容体であって、前記収容部材の内表面に、前記抗菌剤又は抗ウイルス剤が設けられていないことが望ましい。
【0012】
このような物品収容体によれば、収容される物品に抗菌剤又は抗ウイルス剤が付着する恐れを軽減させるため、物品の安全性を向上させることができる。
【0013】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、厚さ方向を有し、前記収容部材は、前記収容部材が前記抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を有し、前記外層は、前記厚さ方向において、前記図柄より外側に設けられていることが望ましい。
【0014】
このような物品収容体によれば、抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄によって、抗菌性又は抗ウイルス性を認識させやすくし、収容部材の外側の抗菌性又は抗ウイルス性を向上させつつ、収容される物品に抗菌剤又は抗ウイルス剤が付着する恐れを軽減させるため、物品の安全性を向上させることができる。
【0015】
かかる物品収容体であって、互いに直交する上下方向、左右方向及び前後方向を有し、前記図柄は、前記物品収容体の上下方向における中央より上側に設けられていることが望ましい。
【0016】
このような物品収容体によれば、一般的に物品収容体の取っ手領域は、物品収容体の上側に設けられているため、抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を、手で掴む物品収容体の上側に設けることで、図柄が認識されやすくなる。
【0017】
かかる物品収容体であって、互いに直交する上下方向、左右方向及び前後方向を有し、前記図柄は、前記物品収容体の上下方向における中央より下側に設けられていることが望ましい。
【0018】
このような物品収容体によれば、通常、物品収容体に収容された物品は、上部から取り出され、収容部材は、物品の取り出しに伴い、その形状が変形しやすいところ、物品収容体の下側に抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を設けることで、物品を使い切るまで抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を視認しやすくなる。
【0019】
かかる物品収容体であって、前記外層は、前記外表面の少なくとも一部を保護するための塗料を有することが望ましい。
【0020】
このような物品収容体によれば、外層の塗料によって収容部材を保護しつつ、収容部材に抗菌機能又は抗ウイルス機能を付与することができる。
【0021】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、前記外表面に、前記収容部材の外側から貼付されたシート部材を有し、前記シート部材の少なくとも一部が、前記外層であることが望ましい。
【0022】
このような物品収容体によれば、シート部材を設けた部分の収容部材の強度を向上させつつ、抗菌機能又は抗ウイルス機能を付与することができる。
【0023】
かかる物品収容体であって、前記シート部材は、前記収容部材より坪量が大きいことが望ましい。
【0024】
このような物品収容体によれば、抗菌機能又は抗ウイルス機能を付与しつつ、シート部材を設けた部分の収容部材の強度をより向上させることができる。
【0025】
かかる物品収容体であって、前記シート部材には、前記シート部材を構成する材料に、前記抗菌剤又は抗ウイルス剤が混ぜられていることが望ましい。
【0026】
このような物品収容体によれば、安全・安心な物品を提供し、物品収容体の抗菌性又は抗ウイルス性を向上させることができる。
【0027】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、前記収容部材が前記抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を有し、前記収容部材の厚さ方向に沿って見た場合に、前記図柄と前記シート部材とが重ならないことが望ましい。
【0028】
このような物品収容体によれば、図柄がシート部材によって視認されにくくなる恐れを軽減することができる。
【0029】
かかる物品収容体であって、互いに直交する上下方向、左右方向及び前後方向を有し、前記収容部材は、取っ手領域、及び、前記収容部材同士を接合する接合部を複数備え、前記接合部は、前記左右方向に沿っており、前記取っ手領域は、前記物品より上側で、且つ前記上下方向における前記接合部同士の間に設けられており、前記シート部材が、前記取っ手領域に設けられていることが望ましい。
【0030】
このような物品収容体によれば、手で掴む部分の抗菌性又は抗ウイルス性を向上させつつ、取っ手領域の強度を向上させることができる。
【0031】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、前記収容部材が前記抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を有し、前記図柄が、前記取っ手領域に設けられていることが望ましい。
【0032】
このような物品収容体によれば、取っ手領域は、手で掴む際に視認されやすい部分であるため、抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄が視認されやすくなる。
【0033】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、前記収容部材が前記抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を有し、前記図柄が、前記取っ手領域以外の領域に設けられていることが望ましい。
【0034】
このような物品収容体によれば、取っ手領域は、手で掴む部分であるため、収容部材が変形しやすいため、抗菌剤又は抗ウイルス剤を備えることを示す図柄が収容部材の変形によって視認されなくなる恐れを軽減することができる。
【0035】
かかる物品収容体であって、前記収容部材同士を接合する接合部を複数有し、前記収容部材の厚さ方向に沿って見た場合に、前記接合部の少なくとも1つと、前記外層とが重ならないことが望ましい。
【0036】
このような物品収容体によれば、抗菌剤又は抗ウイルス剤によって、接合部の接合強度が低下する恐れを軽減させることができる。
【0037】
かかる物品収容体であって、前記抗菌剤又は抗ウイルス剤は、無機化合物であることが望ましい。
【0038】
このような物品収容体によれば、抗菌性又は抗ウイルス性を向上させつつ、人や物品に対する安全性を向上させることができる。
【0039】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、印刷が施された印刷領域を有し、前記収容部材の厚さ方向において、前記印刷領域の外側に隣接して前記外層が設けられていることが望ましい。
【0040】
このような物品収容体によれば、無機化合物の抗菌剤又は抗ウイルス剤によって印刷領域に悪影響を及ぼす恐れを軽減させることができる。
【0041】
かかる物品収容体であって、前記収容部材は、印刷が施された印刷領域と、印刷が施されていない非印刷領域を有し、前記収容部材の底面は、前記非印刷領域であって、且つ、前記外層が設けられていない領域を有することが望ましい。
【0042】
このような物品収容体によれば、人が触れにくい部分に外層を設けないことで、抗菌剤又は抗ウイルス剤の使用量を削減することができ、製造コストを削減することができる。
【0043】
かかる物品収容体であって、前記収容部材が樹脂で形成されていることが望ましい。
【0044】
このような物品収容体によれば、収容部材の外表面に設けられた抗菌剤又は抗ウイルス剤が物品に付着する恐れを軽減させることができる。
【0045】
かかる物品収容体であって、前記物品が、接着剤を備える着用物品であることが望ましい。
【0046】
このような物品収容体によれば、収容部材の外表面に設けられた抗菌剤又は抗ウイルス剤と、着用物品の接着剤とが互いに悪影響を及ぼす恐れを軽減させることができる。
【0047】
===第1実施形態===
<<おむつ収容体100>>
以下、本実施形態にかかる物品収容体の一例として、吸収性物品である使い捨ておむつの収容体(「おむつ収容体」ともいう。)を例に挙げて説明する。なお、物品収容体に収容される物品は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に限られず、人間や動物等の生物に装着される物品や、人間や動物等の生物の体内に取り込まれる物品であってもよい。人間や動物等の生物に装着される物品としては、例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品や衣服(生理用ショーツを含む)等の着用物品であり、生物に直接又は間接に接触して用いられる物品をいう。また、人間や動物等の生物等の体内に取り込まれる物質としては、食品、ペットフード、医薬品等の、生物に飲食される物質をいう。
【0048】
図1は、おむつ収容体100の斜視図である。おむつ収容体100は、複数のテープ型の使い捨ておむつ10(以下、単に「おむつ10」ともいう。)と、複数のおむつ10を収容する収容部材20とを有する。おむつ10は、収容部材20に収容された状態で流通されるため、衛生面が確保されている。
図1に示すように、収容部材20におむつ10が収容された状態(以下、「収容状態」ともいう。)のおむつ収容体100は、複数の面21を有する略六面体であるが、これに限られず、他の多面体であってもよい。また、おむつ10の着用者、おむつ10を着用させる者、又はおむつ収容体100を扱う者を「使用者等」という。
【0049】
<<おむつ10>>
図2は、おむつ10の展開且つ伸長状態の概略平面図である。
図3は、装着状態のおむつ10の概略斜視図である。本実施形態では、収容部材20に収容される吸収性物品(物品)として、テープ型の使い捨ておむつ10を例示するが、これに限定されない。例えば、吸収性物品としては、パンツ型の使い捨ておむつや、パッドタイプの使い捨ておむつ、生理用ナプキン、軽失禁パッド、吸収パッド等でもよい。
【0050】
おむつ10は、着用者の腹側を覆う腹側胴回り部10A、着用者の背側を覆う背側胴回り部10B、着用者の股下に配置される股下部1Cを備える。おむつ10は、尿等の排泄物を吸収する吸収性コア12を備える吸収体11と、吸収体11を肌側から覆う液透過性の肌側シート13と、吸収体11の非肌側から覆う液不透過性の防漏シート14と、おむつ10の外形形状をなす非肌側シート15と、肌側シート13上に、横方向に一対並んで設けられた一対のサイドシート16と、ファスニングテープ17とを有している。また、おむつ10は、適宜、伸縮部材を有するが、説明は省略する。各シートや伸縮部材等の部材は、それぞれ適宜ホットメルト接着剤等の接着剤による接着や熱又は圧力等の溶着で固定されている。
【0051】
図2に示す展開状態のおむつ10を着用者にあてがいつつ、縦方向の略中央で2つ折りし、背側胴回り部10B側の一対の側端部を内側に折り返し、ファスニングテープ17を腹側胴回り部10Aに係止することで、
図3に示すような胴回り開口部BHと一対の脚回り開口部LHを備えた装着状態のおむつ10となる。
【0052】
<<収容部材20>>
収容部材20は、樹脂(プラスチック)フィルムで形成されており、具体的には、ポリエチレン(PE)からなる樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう。)で形成されている。収容部材20の表面の平滑度は高く、また、防水性を有することが好ましい。なお、収容部材20を構成する材料としては、ポリエチレン(PE)に限らず、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)からなる合成樹脂フィルムから形成されていてもよい。
【0053】
収容状態の収容部材20は、上下方向、左右方向、及び前後方向を有し、収容部材20の上下方向と左右方向は、それぞれおむつ収容体100の上下方向、左右方向、前後方向と同じである。また、おむつ10を収容した状態又は収容していない状態に関わらず、収容部材20の各面21は、厚さ方向を有する。各面21のうち、おむつ10が収容される側が内側で、内側とは反対で、外部に露出している側が外側である。
【0054】
収容部材20の各面21のうち、おむつ収容体100の商品名23が表示された面が正面21Aである。この正面21Aと前後方向において対向する面が、背面21Cであり、前後方向において、正面21Aと背面21Cとの間に一対の側面21B、21Bが設けられている。また、おむつ収容体100を平らな場所に載置した状態で、どの角度からも視認できない面が底面21Eであり、この底面21Eと上下方向において対向する面が、上面21Dである。
【0055】
おむつ収容体100は、収容部材20同士を接合する複数の接合部22を備えることで、収容部材20内におむつ10を保持している。各接合部22は、例えば、熱と圧力を加える熱溶着によって、収容部材20同士を接合させているが、これに限らず、超音波接合や接着剤等、任意の方法で接合することができる。
図1に示すように、本実施形態では、左右方向に沿った複数の接合部22を有し、おむつ収容体100の複数の接合部22うち、収容されたおむつ10より上側に2つの接合部22a、22bを、おむつ10より下側に1つの接合部22cを有している。
【0056】
上面21Dを構成する収容部材20のうち、接合部22a及び接合部22bは、正面21A側のフィルムと背面21C側の収容部材20のフィルムを重ね合わせ、さらに、正面21A側からシート部材30を収容部材20に重ね合わせた状態で、接合している。つまり、接合部22a及び接合部22bは、収容部材20同士を接合すると同時に、シート部材30を収容部材20に接合させている。接合部22a及び接合部22bは、収容部材20の上端部で、収容されたおむつ10より上側に設けられている。接合部22bは、接合部22aより下側に設けられ、接合部22aと接合部22bとは、上下方向において所定間隔だけ離間し、上下方向における接合部22aと接合部22bとの間が取っ手領域Hである。
【0057】
取っ手領域Hには、取っ手部を形成するための切り取り線Lが設けられている。切り取り線Lは、間欠的にスリットが形成された部分であり、この切り取り線Lに沿って収容部材20を裂くと、略楕円形状の開口からなる取っ手部が形成される。使用者等は、取っ手部の開口に手を入れることで、取っ手領域Hを掴みやすくなるため、おむつ収容体100を持ち運びやすくなる。このように、持ち運ぶ際に使用者等が手で掴むための領域を取っ手領域Hという。取っ手領域Hは、開口が形成され、手で掴まれ、収容部材20を引っ張り上げられる部分であるため、変形しやすく、破損しやすい。そのため、収容部材20とは異なる矩形状のシート部材30を、取っ手領域Hの収容部材20の少なくとも一方の面(本実施形態では、正面側)に貼り合わせることで、取っ手領域Hの強度を向上させている。なお、シート部材30は、取っ手領域Hの一方側の面だけに貼り合わせるのではなく、両方の面(正面側及び背面側)に貼り合わせてもよい。
【0058】
シート部材30は、図柄や着色が施されていない、無地で白色の樹脂フィルム等のシート部材であり、収容部材20と同じ材質でもよく、収容部材20と異なる材質のものでもよい。例えば、ポリエチレン(PE)からなる樹脂フィルムや、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる合成樹脂フィルムから形成されていてもよい。シート部材30は、略矩形形状であり、上下方向の長さは、取っ手領域Hの上下方向の長さ以上である。左右方向の長さは、切り取り線Lの左右方向の長さより長く、取っ手領域Hの左右方向の長さより短い。なお、シート部材30に、任意の図柄や着色を施してもよく、シート部材30の形状も矩形形状に限らず、任意の形状とすることができる。
【0059】
また、収容部材20の各面21の外表面には、任意の模様や着色が施された印刷領域Pが設けられている。例えば、
図1に示すように、正面21Aは、商品名23や模様24を含む印刷領域Paが、正面21Aの略全域に設けられている。印刷領域Pは、収容部材20の外表面(外側の面)にインク等によって着色(印刷)された領域であり、正面21Aには印刷領域Pa、側面21Bには印刷領域Pb、背面21Cには印刷領域Pc、上面21Dには印刷領域Pd、底面21Eには印刷領域Peが設けられている。収容部材20に印刷領域Pが設けられた領域には、収容部材20の厚さ方向に隣接して、印刷された印刷層Pが設けられている。印刷領域Pによって、おむつ収容体100やおむつ10等に関する説明や特徴を表示したり、おむつ収容体100の印象を向上させたりしている。
【0060】
収容部材20の外表面の少なくとも一部には、収容部材20の外表面を保護するための塗料が塗装された保護層40が設けられている。保護層40は、収容部材20の外表面が傷ついたり、破損したりする外部からの物理的な刺激を軽減させるため層である。本実施形態の保護層40は、印刷層Pの厚さ方向の外側に設けられた、所謂ニスが塗布された層である。ニスには、収容部材20等への接着性を担保するためのポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の少なくとも1つ以上の樹脂成分と、各成分を溶かすためのアルコール、トルエン、ベンゼン等の少なくとも1つ以上の有機溶剤と、各成分の分散性を良くための酸化防止剤等の助剤が含まれている。ニスの塗布によって構成された保護層40は、透明な層であるため、印刷領域Pの外表面(厚さ方向における外側)にニスからなる保護層40を設けることで、外部からの物理的な刺激によって、収容部材20の損傷及び印刷領域Pの印刷が剥がれてしまう恐れを軽減させることができる。
【0061】
<<外層50について>>
第1実施形態のおむつ収容体100について説明する。
図4は、第1実施形態の展開状態の収容部材20である。
図5Aは、
図4中のA−Aにおける断面の構成を説明する模式図であり、
図5Bは、
図4中のB−Bにおける断面の構成を説明する模式図である。
図4の収容部材20は、
図1に示すおむつ収容体100の収容部材20の各接合部22の接合を剥がし、展開した状態を示している。
図4の展開状態の収容部材20において、図柄や着色等の印刷が施された印刷領域Pをドット状のハッチングで示し、印刷が施されていない非印刷領域Nには、ハッチングで示していない。収容部材20のうち、正面21A、一対の側面21B、及び背面21Cの略全域が印刷領域Pであり、上面21Dと底面21Eは、印刷領域Pと非印刷領域Nを備えている。なお、収容部材20のうち、側面21Bと連続する面21F及び面21Gは、
図1の収容状態の収容部材20では、折り込まれて、それぞれ上面21D及び底面21Eの内側に位置する面となる。
【0062】
図5Aに示すように、印刷領域Pが設けられた領域は、収容部材20の外表面に重なるように印刷層Pが設けられている。また、
図5Bに示すように、取っ手領域Hにおいて、シート部材30が重ねられた領域は、収容部材20の外表面に重なるようにシート部材30が設けられている。
【0063】
おむつ収容体100は、収容部材20の外表面の少なくとも一部に重なる外層50を有する。外層50は、抗菌・抗ウイルス剤51を備える層であり、抗菌・抗ウイルス剤51とは、細菌やウイルス等の微生物の繁殖を抑制する機能を有する物質であり、本実施形態では、抗菌剤であり、且つ抗ウイルス剤である。本実施形態の外層50は、略均一な状態で抗菌・抗ウイルス剤51を有している。第1実施形態のおむつ収容体100は、
図5Aに示すように、収容部材20の外表面に重なるように、印刷層Pを介して外層50が重ねられており、外層50は、抗菌・抗ウイルス剤51を有するだけでなく、保護層40を構成する塗料が混ぜられた保護層40でもある。また、収容部材20の外表面とは、
図1に示すような収容状態において、おむつ10と接触しない収容部材20の外側の表面をいう。一般的に、おむつ収容体100の収容部材20の外表面側は不特定多数の人間が触れやすい部分である。そのため、収容部材20の外表面の少なくとも一部に重なる外層50を備えることで、安心・安全なおむつ10の提供が可能となる。
【0064】
一方、収容部材20の内表面には、抗菌・抗ウイルス剤51が設けられていないことが好ましい。収容部材の内表面とは、
図1に示すような収容状態において、おむつ10が接触可能な収容部材20の内側の表面をいう。収容部材20の内表面に抗菌・抗ウイルス剤51が設けられていないことで、収容状態で、おむつ10と抗菌・抗ウイルス剤51とが接触する恐れを軽減させることができる。例えば、おむつ10のように人間(生物)の身体に装着される物品の場合に、使用者等が、抗菌・抗ウイルス剤51が付着したおむつ10を着用(使用)すると、抗菌・抗ウイルス剤51が着用者(使用者)の肌の常在菌を減少させて、着用者(使用者)に肌荒れを生じさせてしまう恐れがある。そのため、収容部材20の内表面に抗菌・抗ウイルス剤51を設けないことで、おむつ10と抗菌・抗ウイルス剤51とが接触することを避けて、おむつ10の安全性を向上させることができる。
【0065】
また、収容部材20が樹脂で形成されていることが好ましい。本実施形態では、収容部材20は、ポリエチレン(PE)からなる樹脂フィルムであり、抗菌・抗ウイルス剤51等の物質を通しにくい素材である。そのため、収容部材20の外表面側に設けた外層50の抗菌・抗ウイルス剤51が収容部材20の素材を通して収容部材20の内側に浸透してしまう恐れを軽減させることができる。これによって、収容部材20の内側に収容されたおむつ10と抗菌・抗ウイルス剤51とが接触する恐れを軽減し、おむつ10の安全性を向上させることができる。
【0066】
図1及び
図4に示すように、収容部材20が、収容部材20が抗菌剤及び抗ウイルス剤を備えることを示す図柄として抗菌・抗ウイルスマーク25を有する。抗菌・抗ウイルスマーク25とは、抗菌機能及び抗ウイルス機能を有することを示す図柄であり、例えば、抗菌及び抗ウイルスという文字を有する図柄や、抗菌に関する公的又は民間の機関による認証を受けたことを証明するための図柄である。収容部材20が抗菌・抗ウイルスマーク25を備えることで、使用者等は、おむつ収容体100が抗菌機能及び抗ウイルス機能を有していることを認識することができる。
【0067】
厚さ方向において、外層50が抗菌・抗ウイルスマーク25より外側に設けられていることが好ましい。本実施形態では、抗菌・抗ウイルスマーク25は、商品名23や模様24と同じように印刷によって設けられており、印刷領域Pの一部として設けられているため、抗菌・抗ウイルスマーク25は、印刷層Pに設けられている。そのため、厚さ方向において、外層50が抗菌・抗ウイルスマーク25より外側に設けられている。これによって、おむつ収容体100の外表面の抗菌性及び抗ウイルス性を向上させつつ、おむつ収容体100が抗菌機能を備えていることを使用者等に認識させやすくなる。また、厚さ方向における外層50より内側に抗菌・抗ウイルス剤51が付着する恐れを軽減させることができるため、収容されたおむつ10の安全性を向上させることができる。さらに、厚さ方向において、印刷領域Pにおける抗菌・抗ウイルスマーク25より外側に外層50(保護層40)を設けることで、外部からに刺激等により抗菌・抗ウイルスマーク25が破損して認識されにくくなる恐れを軽減することができ、より確実に使用者等に抗菌・抗ウイルスマーク25を認識させやすくなる。
【0068】
抗菌・抗ウイルスマーク25は、おむつ収容体100の上下方向における中央より上側に設けられていることが好ましい。本実施形態では、
図1に示すように、抗菌・抗ウイルスマーク25は、正面21Aの上側端部、且つ左右方向の一方側の端部に設けられており、おむつ収容体100の、上下方向における中央より上側を領域T1、中央より下側を領域T2とした場合に、抗菌・抗ウイルスマーク25が領域T1に設けられている。おむつ収容体100では、取っ手領域Hが上下方向における中央より上側に設けられていることが一般的である。そのため、抗菌・抗ウイルスマーク25を領域T1に設けることで、使用者等がおむつ収容体100を手で掴む際に抗菌・抗ウイルスマーク25を認識しやすくなる。
【0069】
さらに、収容部材20に収容される物品が、おむつ10のようにホットメルト接着剤等の接着剤を備える着用物品であっても、外層50が収容部材20の外表面側に設けられていることで、抗菌・抗ウイルス剤51とおむつ10(着用物品)とが接触する恐れを軽減することができ、抗菌・抗ウイルス剤51と接着剤とが接触する恐れを軽減させることができる。そのため、抗菌・抗ウイルス剤51と接着剤とが相互に作用して、おむつ10等に悪影響を及ぼす恐れを少なくし、収容部材20に収容される物品(おむつ10)の安全性を向上させることができる。
【0070】
図4には、外層50が設けられた領域を太線で囲んで示している。上述のとおり、本実施形態の外層50は、抗菌・抗ウイルス剤51だけでなく、塗料(ニス)が混ぜられ、印刷領域Pを保護する保護層40でもある。
図5Aに示すように、厚さ方向において、収容部材20の外側に隣接して印刷領域Pが設けられた領域に、印刷領域Pの外側に隣接して、外層50(保護層40)が設けられている。これによって、外層50は、収容部材20の外表面の抗菌機能及び抗ウイルス機能を高めるだけでなく、収容部材20の外表面の物理的な刺激を軽減させることができる。また、おむつ収容体100の製造過程では、塗料(ニス)及び抗菌・抗ウイルス剤51を備える外層50を形成することで、保護層40が形成されることになるため、保護層40を形成する工程と、外層50を形成する工程の2工程を経る必要がなくなり、おむつ収容体100の製造をより簡素化することができる。
【0071】
外層50の抗菌・抗ウイルス剤51は、無機化合物(無機系抗菌剤、無機系抗ウイルス剤)であることが好ましい。無機化合物は、一般的に生物に対して有害であることが少ないため、抗菌性及び抗ウイルス性を向上させつつ、生物やおむつ10の安全性を向上させることができる。また、無機系抗菌剤及び無機系抗ウイルス剤は、有機系抗菌剤及び有機系抗ウイルス剤より抗菌機能及び抗ウイルス機能を発揮することができる対象物が多く、細菌・カビ・酵母・ウイルス等に対して効果を発揮することができる。また、無機系抗菌剤及び無機系抗ウイルス剤は、有機系抗菌剤及び有機系抗ウイルス剤より抗菌機能及び抗ウイルス機能の持続期間が長い。さらに、無機系抗菌剤及び無機系抗ウイルス剤は、水、熱等によって蒸発・分解する恐れが低く、有機溶媒等によって溶出する可能性も低い。そのため、無機系抗菌剤及び無機系抗ウイルス剤は、有機系抗菌剤及び有機系抗ウイルス剤より、取扱いが容易であり、且つ、生物に対してより安全であるため、収容されるおむつ10の安全性を向上させることができる。抗菌・抗ウイルス剤51としては、例えば、Ag、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、ゼオライト、酸化チタンなどの無機物を含む化合物が好ましい、本実施形態では、銀イオンを含む抗菌剤且つ抗ウイルス剤を用いている。
【0072】
上述のとおり、収容部材20の厚さ方向において、外層50が、印刷領域Pの外側に隣接して設けられている場合でも、抗菌・抗ウイルス剤51を無機化合物(無機系抗菌剤及び無機系抗ウイルス剤)とすることで、抗菌・抗ウイルス剤51が印刷領域Pのインクと反応したり、インクの付着を阻害したりする恐れが少ない。また、外層50と、インクによって印刷された印刷領域Pとの接着性が低下する恐れも低い。この外層50が、印刷領域Pに接触した状態で印刷領域Pを覆うことができるため、収容部材20の外部の抗菌機能及び抗ウイルス機能を発揮しつつ、印刷領域Pを保護することができる。
【0073】
さらに、
図4に示すように、収容部材20の底面21Eが、非印刷領域Nであって、外層50を設けない領域を有することがより好ましい。本実施形態では、底面21Eの非印刷領域Nには、外層50(保護層40)を設けていない。一般的に、おむつ収容体100の状態のうち、収容部材20の底面21Eは、人が触れる機会が少ない部分であり、視認される機会が少ない部分である。そのため、底面21Eに、外層50を設けない領域が存在することで、おむつ収容体100に用いる抗菌・抗ウイルス剤51(外層50を構成するための材料)を減少させることができる。また、底面21Eの非印刷領域Nによって、インクの使用量を削減し、印刷を保護するための保護層40を設ける必要が少ないため、塗料(ニス)の使用量を削減し、且つ、底面Eの非印刷領域Nに外層50を設けないことで、おむつ収容体100の製造コストを削減することができる。
【0074】
また、収容部材20の厚さ方向に沿って見た場合に、接合部22の少なくとも1つと、外層50とが重ならないことが好ましい。本実施形態では、収容部材20の厚さ方向に見て、各接合部22a〜22cと印刷領域Pとが重なっておらず、各接合部22a〜22cと外層50とが重なっていない。外層50の抗菌・抗ウイルス剤51によって接合部22における接合強度が低下してしまう恐れを軽減することができる。本実施形態では、樹脂(PE)から形成された収容部材20であり、熱及び圧力を加えて、樹脂同士を溶解させて接合している。この樹脂に抗菌・抗ウイルス剤51が含まれると、抗菌・抗ウイルス剤51が不純物となり、その接合強度が低下してしまう恐れがある。特に、おむつ収容体100の底面21Eにおける接合部22cは、おむつ収容体100に収容されたおむつ10を保持するための接合部であるため、収容部材20の接合部22の中で最も強固な接合が求められる部分である。そのため、収容部材20の厚さ方向に沿って見た場合に、底面21Eに設けられた接合部22cと外層50とが重ならないことがより好ましい。
【0075】
なお、本実施形態では、印刷領域Pと重なる領域に外層50を設けたが、これに限られない。印刷領域Pが設けられていない領域に外層50を設けてもよい。また、本実施形態では、外層50に塗料(ニス)を混ぜて、外層50を保護層40としたが、これに限られない。例えば、印刷領域Pのインクに抗菌・抗ウイルス剤51を混ぜて、印刷領域Pを外層50としてもよい。さらに、本実施形態では、外層50が塗料(ニス)を有する保護層40でもあったが、必ずしも塗料を含む必要はなく、外層50が抗菌・抗ウイルス剤51及びその溶媒のみからなる層であってもよく、厚さ方向において、収容部材20の外表面に隣接して外層50を設け、外層50の外表面に印刷層Pを設けてもよい。
【0076】
また、第1実施形態では、抗菌・抗ウイルスマーク25をおむつ収容体100の上下方向における中央より上側(領域T1)に設けたが、抗菌・抗ウイルスマーク25をおむつ収容体100の上下方向における中央より下側(領域T2)に設けてもよい。収容状態のおむつ収容体100からおむつ10を取り出す際には、おむつ収容体100の上部から取り出すことが一般的である。そのため、おむつ10を取り出すにつれて、おむつ収容体100の上側(領域T1)の収容部材20は、その形状が変形しやすい。特に、
図1に示すように、収容部材20内におむつ10を上下方向に複数個重ねて収容している場合には、上側に収容されたおむつ10を取り出すと、上側の収容部材20が変形しやすい一方で、下側の収容部材20の形状は維持したままとなりやすい。そのため、抗菌・抗ウイルスマーク25を領域T2に設けることで、領域T2は、領域T1よりも収容部材20の形状を維持しやすいため、抗菌・抗ウイルスマーク25を使用者等に認識させやすくなる。
【0077】
さらに、第1実施形態では、おむつ収容体100の上部に切り取り線Lを備える取っ手領域Hを設けたが、必ずしもこれに限らない。例えば、直方体のおむつ収容体100の上部に、1枚のシートが円弧を形成するように貼付された取っ手部を形成させてもよく、取っ手領域Hを備えない構成でもよい。また、取っ手領域Hに必ずしもシート部材30を備えなくても良い。
【0078】
===第2実施形態===
<<おむつ収容体100>>
第2実施形態のおむつ収容体100について説明する。収容部材20におむつ10が収容された状態の第2実施形態のおむつ収容体100の外観(
図1)は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態の構成と共通する部分は、符号等を同じとし、おむつ10及び収容部材20の基本構成の詳細な説明は省略する。
【0079】
<<外層50について>>
図6は、第2実施形態の展開状態の収容部材20である。
図7Aは、
図6中のA−Aにおける断面の構成を説明する模式図である。
図7Bは、
図6中のB−Bにおける断面の構成を説明する模式図である。
図6の収容部材20は、
図1に示すおむつ収容体100の収容部材20の各接合部22の接合を剥がし、展開した状態を示している。
図6において、図柄や着色等の印刷が施された印刷領域Pをドット状のハッチングで示し、印刷が施されていない非印刷領域Nには、ハッチングで示していない。第1実施形態と同様に、収容部材20のうち、正面21A、一対の側面21B、及び背面21Cの略全域は、印刷領域Pであり、上面21Dと底面21Eは、印刷領域Pと非印刷領域Nを備えている。なお、収容部材20のうち、側面21Bと連続する面21F及び面21Gは、
図1の収容状態の収容部材20では、折り込まれて、それぞれ上面21D及び底面21Eの内側に位置する面となる。
【0080】
図7Aに示すように、印刷領域Pが設けられた領域は、収容部材20の外表面に重なるように印刷層Pが設けられ、印刷層Pの外表面に重なるように、ニス等の透明な塗料が塗られた保護層40が設けられている。また、
図7Bに示すように、取っ手領域Hにおいて、シート部材30が重ねられた領域は、収容部材20の外表面に重なるようにシート部材30が設けられている。
【0081】
第2実施形態のおむつ収容体100は、収容部材20の外表面の少なくとも一部に重なる外層50を有し、具体的には、収容部材20の外表面に、収容部材20の外側から貼付されたシート部材30の少なくとも一部が外層50である。シート部材30が抗菌・抗ウイルス剤51を備える。抗菌・抗ウイルス剤51は、第1実施形態と同様の物質を用いることができる。シート部材30は、図柄や着色等の印刷が施されていない、白色の矩形状のポリエチレン(PP)の樹脂シートであり、収容部材20の取っ手領域Hの正面側に貼付されている。このシート部材30が抗菌・抗ウイルス剤51を備えることで、外層50となっている。
図6において、外層50が設けられた領域を太線で囲んで示しており、シート部材30の全域が外層50である。抗菌・抗ウイルス剤51としては、第1実施形態と同じものを用いることができる。収容部材20の外表面に、外側から貼付されたシート部材30を外層50とすることで、シート部材30を貼付した部分の収容部材20の強度を向上させつつ、収容部材20の外表面に抗菌機能及び抗ウイルス機能を付与することができる。
【0082】
この外層50は、
図7Bに示すように、シート部材30を構成する材料に抗菌・抗ウイルス剤51が混ぜられていることが好ましい。本実施形態のシート部材30は、シート部材30を構成する材料に略均一に全域に亘って抗菌・抗ウイルス剤51が混ぜられていることで、シート部材30の内部に抗菌・抗ウイルス剤51を備える構成となっている。抗菌・抗ウイルス剤51がシート部材30に混ぜられていることで、収容部材20の外表面の抗菌性又は抗ウイルス性を向上させつつ、収容部材20に収容されたおむつ10と直接接触する機会を軽減させられるため、安全・安心なおむつ10を使用者等に提供することができる。
【0083】
図6等に示すように、抗菌・抗ウイルス剤51を備えたシート部材30(外層50)が、取っ手領域Hに配置されることが好ましい。取っ手領域Hは、使用者等の手で掴む部分であるため、より抗菌性及び抗ウイルス性が求められる。また、取っ手領域Hに切り取り線L(取っ手部)を形成することで、剛性が低下しやすいところ、取っ手領域Hは、取っ手部を掴まれておむつ収容体100を引き上げられることから、破損しやすい部分でもある。そのため、抗菌・抗ウイルス剤51を備えたシート部材30が取っ手領域Hに設けられることで、取っ手領域Hの剛性を向上させつつ、取っ手領域Hに抗菌性及び抗ウイルス性を付与することができるため、より安心・安全なおむつ収容体100とすることができる。
【0084】
また、シート部材30の坪量が、収容部材20の坪量より大きいことが好ましい。これによって、シート部材30の剛性が高くなり、シート部材30(外層50)が収容部材20に抗菌機能及び抗ウイルス機能を付与しつつ、収容部材20の強度をより向上させることができる。また、シート部材30は、接合部22aと接合部22bで収容部材20に熱及び圧力を加えて溶着しているところ、シート部材30の坪量を高くすることで、シート部材30に抗菌・抗ウイルス剤51という不純物が加えられていても、シート部材30と収容部材20との接合をより強固にすることができる。
【0085】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、収容部材20が抗菌・抗ウイルスマーク25を有し、厚さ方向において、外層50(シート部材30)が、抗菌・抗ウイルスマーク25より外側に設けられていることが好ましい。厚さ方向において、外層50を抗菌・抗ウイルスマーク25より外側に設けることで、外層50を抗菌・抗ウイルスマーク25より内側に設けた場合よりも、収容されたおむつ10に抗菌・抗ウイルス剤51が付着する恐れを軽減させることができる。
【0086】
また、収容部材20の厚さ方向に沿って見た場合に、抗菌・抗ウイルスマーク25が、シート部材30と重ならないことが好ましい。本実施形態では、抗菌・抗ウイルスマーク25は、正面21Aの上側端部、且つ左右方向の一方側の端部に設けられており、シート部材30は、上面21Dの上部に設けられた取っ手領域Hに設けられているため、抗菌・抗ウイルスマーク25とシート部材30とが、収容部材20の厚さ方向に見て重なっていない。厚さ方向において抗菌・抗ウイルスマーク25とシート部材30とが重ねらないことで、抗菌・抗ウイルスマーク25がシート部材30で覆い隠されて、使用者等に認識されにくくなる恐れを軽減させることができる。
【0087】
さらに、抗菌・抗ウイルスマーク25が、取っ手領域H以外の領域に設けられていることがより好ましい。本実施形態では、取っ手領域Hには抗菌・抗ウイルスマーク25が設けられておらず、正面21Aに設けられている。取っ手領域Hは、使用者等の手で掴まれる部分であるため、収容部材20の形状が変形しやすい。そのため、抗菌・抗ウイルスマーク25を取っ手領域H以外の場所に設けることで、収容部材20の変形によって抗菌・抗ウイルスマーク25が視認しづらくなってしまう恐れを軽減させることができる。
【0088】
なお、第2実施形態では、取っ手領域Hの補強を目的として設けたシート部材30を、抗菌・抗ウイルス剤51備える外層50としたが、これに限られない。外層50としてのシート部材30を収容部材20の任意の位置に貼付する構成であってもよい。
【0089】
また、第2実施形態では、シート部材30の全域を外層50としたが、これに限られない。シート部材30の少なくとも一部が外層50を備える構成であってもよい。
【0090】
第2実施形態では、抗菌・抗ウイルス剤51が混ぜられたシート部材30を、図柄や着色が施されていない白色の樹脂シートとしたが、これに限られない。例えば、抗菌・抗ウイルス剤51が混ぜられた外層50としてのシート部材30の外表面に、図柄や着色等の印刷を施した印刷層を形成してもよく、図柄や着色等の印刷の外表面にさらにニス等の透明の塗料を塗布した保護層を形成してもよい。
【0091】
第2実施形態では、取っ手領域H以外の場所に抗菌・抗ウイルスマーク25を設けたが、これに限られない。例えば、取っ手領域Hに抗菌・抗ウイルスマーク25を設けてもよい。取っ手領域Hは、使用者等が取っ手部を掴む際に視認しやすい部分であるため、抗菌・抗ウイルスマーク25を視認する機会が多くなり、抗菌・抗ウイルスマーク25が認識されやすくなる。このとき、取っ手領域Hに設けた抗菌・抗ウイルスマーク25が、厚さ方向において、シート部材30と重ならないことが好ましい。
【0092】
===第3実施形態===
<<おむつ収容体100>>
第3実施形態のおむつ収容体100について説明する。収容部材20におむつ10が収容された状態の第3実施形態のおむつ収容体100の外観(
図1)は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分は、符号等を同じとし、おむつ10及び収容部材20の基本構成の詳細な説明は省略する。
【0093】
<<外層50について>>
図8は、第3実施形態の展開状態の収容部材20である。
図8の収容部材20は、
図1に示すおむつ収容体100の収容部材20の各接合部22の接合を剥がし、展開した状態を示している。
図8において、図柄や着色等の印刷が施された印刷領域Pをドット状のハッチングで示し、印刷が施されていない非印刷領域Nには、ハッチングで示していない。第1実施形態と同様に、収容部材20のうち、正面21A、一対の側面21B、及び背面21Cの略全域は、印刷領域Pであり、上面21Dと底面21Eは、印刷領域Pと非印刷領域Nを備えている。なお、
図8に示す展開状態の収容部材20のうち、側面21Bと連続する面21F及び面21Gは、
図1の収容状態の収容部材20では、折り込まれて、それぞれ上面21D及び底面21Eの内側に位置する面となる。
【0094】
本実施形態のおむつ収容体100は、収容部材20の外表面の少なくとも一部に重なる外層50を有する。本実施形態では、厚さ方向において、収容部材20の外側に隣接して印刷領域Pが設けられた領域に、印刷領域Pの外側に隣接して外層50(保護層40)を有し、且つ、シート部材30が外層50でもある。
図8において、第3実施形態における外層50が設けられた領域を太線で囲んで示している。なお、
図8中のA−Aにおける断面の構成は
図5Aに示す構成と同じであり、
図8中のB−Bにおける断面の構成は
図7Bに示す構成と同じである。
【0095】
収容部材20の外表面のうち、印刷領域Pには、印刷領域Pの外側から、ニス等の透明な塗料と抗菌・抗ウイルス剤51とが混ぜられた外層50(保護層40)が隣接して設けられている。これによって、印刷領域Pの印刷を保護しつつ、収容部材20に抗菌機能及び抗ウイルス機能を付与することができる。また、収容部材20の外表面うち、取っ手領域Hには、シート部材30としての外層50が設けられている。このシート部材30を構成する材料には、抗菌・抗ウイルス剤51が混ぜられ、シート部材30は、内部に抗菌・抗ウイルス剤51を備えた構成となっている。抗菌・抗ウイルス剤51は、第1実施形態と同様の物質を用いることができる。これによって、取っ手領域Hの剛性を強化しつつ、人が触れる機会が多い取っ手領域Hに抗菌機能及び抗ウイルス機能を付与することができる。このように、異なる構成の外層50を適宜配置することで、おむつ収容体100の抗菌性及び抗ウイルス性を向上させることができる。
【0096】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0097】
上述の実施形態において、外層50をそれぞれ印刷領域P又はシート部材30の全域に設けたが、これに限られない。印刷領域P又はシート部材30の少なくとも一部に外層50を設けるものであってもよい。また、外層50に、抗菌・抗ウイルス剤51を多く設ける領域と、抗菌・抗ウイルス剤51を少なく設ける領域とを設けても良い。さらに、収容部材20の外表面の少なくとも一部に外層50を設け、厚さ方向における外層50の外側に、抗菌・抗ウイルス剤51を備えたシート部材30(外層50)を設けてもよい。
【0098】
上述の実施形態においては、複数のおむつ10が収容部材20に収容されたおむつ収容体100としたが、これに限られない。1つの収容部材20に、1つの物品(おむつ10)が収容された物品収容体であってもよい。
【0099】
上述の実施形態においては、抗菌・抗ウイルスマーク25を商品名23や模様24と同様に印刷によって設け、印刷領域Pに設けられていることにしたが、これに限られない。例えば、抗菌・抗ウイルスマーク25を付したシール等の別部材を収容部材20の外表面側に設けてもよい。
【0100】
上述の実施形態では、おむつ収容体100が、抗菌・抗ウイルス剤51(抗菌剤及び抗ウイルス剤)を有する外層50を備える構成としたが、これに限られない。おむつ収容体100が、抗菌剤又は抗ウイルス剤の少なくとも一方を有する外層を備える構成であってもよい。また、上述の実施形態では、抗菌剤及び抗ウイルス剤を備えることを示す図柄として抗菌・抗ウイルスマーク25を収容部材20に設けたが、これに限られない。おむつ収容体100が、抗菌剤を備える場合には、抗菌剤を備えることを示す図柄を設けてもよく、おむつ収容体100が、抗ウイルス剤を備える場合には、抗ウイルス剤を備えることを示す図柄を設けてもよい。
【解決手段】生物に装着される物品又は生物の体内に取り込まれる物品と、前記物品(10)を収容する収容部材(20)と、前記収容部材の外表面の少なくとも一部に重なるように設けられ、抗菌剤又は抗ウイルス剤を有する外層と、を備えることを特徴とする物品収容体(100)である。