特許第6909976号(P6909976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6909976
(24)【登録日】2021年7月8日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20210715BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20210715BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L33/54
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-172051(P2017-172051)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-47088(P2019-47088A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】若木 亮輔
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−149866(JP,A)
【文献】 特開2012−114286(JP,A)
【文献】 特開2010−062272(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/188566(WO,A1)
【文献】 特開2011−228412(JP,A)
【文献】 特開2014−064004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/62
H01L 33/54
H01L 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリードと、前記一対のリードを一体的に保持する樹脂部材と、樹脂材料からなる凸部と、を有するパッケージであって、前記一対のリードの上面が露出される底面と側壁とを備える素子載置凹部と、外側面及び下面に開口する凹部と、が設けられたパッケージと、
前記素子載置凹部の底面上に配置された発光素子と、
前記素子載置凹部内に配置された封止部材と、
を備え、
前記リードの少なくとも一方は、
前記パッケージの下面において露出した本体部と、
前記本体部から延伸し、前記パッケージの外側面の一部を構成し、下面の少なくとも一部が前記凹部内で前記本体部の下面よりも上側において露出した吊部と、
を有し、
前記凸部は、前記吊部の下面上に配置され、前記本体部から離間しており、
前記凸部の下面は、前記本体部の下面よりも上側に位置する発光装置。
【請求項2】
一対のリードと、前記一対のリードを一体的に保持する樹脂部材と、凸部と、を有するパッケージであって、前記一対のリードの上面が露出される底面と側壁とを備える素子載置凹部と、外側面及び下面に開口する凹部と、が設けられたパッケージと、
前記素子載置凹部の底面上に配置された発光素子と、
前記素子載置凹部内に配置された封止部材と、
を備え、
前記リードの少なくとも一方は、
前記パッケージの下面において露出した本体部と、
前記本体部から延伸し、前記パッケージの外側面の一部を構成し、下面の少なくとも一部が前記凹部内で前記本体部の下面よりも上側において露出した吊部と、
を有し、
前記凸部は、前記吊部の下面上に配置され、前記本体部から離間しており、
前記凸部の下面は、前記本体部の下面よりも上側に位置し、
前記樹脂部材と前記凸部は、同じ材料からなる発光装置。
【請求項3】
一対のリードと、前記一対のリードを一体的に保持する樹脂部材と、凸部と、を有するパッケージであって、前記一対のリードの上面が露出される底面と側壁とを備える素子載置凹部と、外側面及び下面に開口する凹部と、が設けられたパッケージと、
前記素子載置凹部の底面上に配置された発光素子と、
前記素子載置凹部内に配置された封止部材と、
を備え、
前記リードの少なくとも一方は、
前記パッケージの下面において露出した本体部と、
前記本体部から延伸し、前記パッケージの外側面の一部を構成し、下面の少なくとも一部が前記凹部内で前記本体部の下面よりも上側において露出した吊部と、
を有し、
前記凸部は、前記吊部の下面上に配置され、前記本体部から離間しており、
前記凸部の下面は、前記本体部の下面よりも上側に位置し、
前記樹脂部材と前記凸部は一体的に形成されている発光装置。
【請求項4】
一対のリードと、前記一対のリードを一体的に保持する樹脂部材と、凸部と、を有するパッケージであって、前記一対のリードの上面が露出される底面と側壁とを備える素子載置凹部と、外側面及び下面に開口する凹部と、が設けられたパッケージと、
前記素子載置凹部の底面上に配置された発光素子と、
前記素子載置凹部内に配置された封止部材と、
を備え、
前記リードの少なくとも一方は、
前記パッケージの下面において露出した本体部と、
前記本体部から延伸し、前記パッケージの外側面の一部を構成し、下面の少なくとも一部が前記凹部内で前記本体部の下面よりも上側において露出した吊部と、
を有し、
前記凸部は、前記吊部の下面上に配置され、前記本体部から離間しており、
前記凸部の下面は、前記本体部の下面よりも上側に位置し、
前記吊部は、上面から下面に貫通する貫通孔を有し、前記樹脂部材と前記凸部は、前記貫通孔内で連続している発光装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記吊部の一部である請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記吊部は、前記本体部の下面よりも上側において露出した第1下面と、前記本体部の下面と同一面に位置した第2下面と、を有する請求項1〜のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED素子などの半導体素子を用いた発光装置の一種として、リードを樹脂部材で保持したパッケージを用いた発光装置が提案されている。通常、このような発光装置は半田を用いて配線基板に接合される。接合後の半田の形状(フィレット)を確認できるように、発光装置のパッケージの側面の下部に凹部が形成されているものがある(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
半田接合時にはフラックスを用いる場合があり、そのフラックスが発光装置の側面の凹部よりも上側に這い上がる場合がある。その際に、発光装置の側面のリードと樹脂部材との界面から発光装置内にフラックスが浸入する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−228412号公報
【特許文献2】特開2014−64004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、上述の問題点に鑑みてなされたものであって、フラックスの浸入を抑制できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る発光装置は、一対のリードと、前記一対のリードを一体的に保持する樹脂部材と、凸部と、を有するパッケージであって、前記一対のリードの上面が露出される底面と側壁とを備える素子載置凹部と、外側面及び下面に開口する凹部と、が設けられたパッケージと、前記素子載置凹部の底面上に配置された発光素子と、前記素子載置凹部内に配置された封止部材と、を備え、前記リードの少なくとも一方は、前記パッケージの下面において露出した本体部と、前記本体部から延伸し、前記パッケージの外側面の一部を構成し、下面の少なくとも一部が前記凹部内で前記本体部の下面よりも上側において露出した吊部と、を有し、前記凸部は、前記吊部の下面上に配置され、前記本体部から離間しており、前記凸部の下面は、前記本体部の下面よりも上側に位置する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、フラックスの浸入を抑制できる発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る発光装置を示す斜め上側から見た斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る発光装置を示す斜め下側から見た斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図4】第1の実施形態に係る発光装置のリード、凸部、発光素子及びワイヤを示す斜視図であり、樹脂部材及び封止部材を省略した図である。
図5】第1の実施形態に係る発光装置を配線基板に実装した状態を示す端面図である。
図6】第1の実施形態の第1の変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
図7】第1の実施形態の第2の変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
図8】第1の実施形態の第3の変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
図9】第2の実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
図10】第3の実施形態に係る発光装置を示す斜視図である。
図11】第3の実施形態に係る発光装置を示す側面図である。
図12】第3の実施形態に係る発光装置のリード、凸部、発光素子及びワイヤを示す斜視図であり、樹脂部材及び封止部材を省略した図である。
図13A図13Aは、第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図13B図13Bは、第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図13C図13Cは、第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図13D図13Dは、第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図13E図13Eは、第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す端面図である。
図14】第4の実施形態に係る発光装置の製造方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。例えば図1に示すように、第1リード11から第2リード12に向かう方向を「+X方向」とし、その逆の方向を「−X方向」とする。+X方向と−X方向を総称して「X方向」ともいう。X方向に対して直交する方向を「+Y方向」及び「−Y方向」とし、X方向及びY方向に対して直交する方向を「+Z方向」及び「−Z方向」という。+Z方向は「上」ともいい、−Z方向は「下」ともいうが、この表記も便宜上のものであり、重力の方向とは無関係である。
【0010】
<第1の実施形態>
図1図4に示すように、本実施形態に係る発光装置1は、パッケージ10と、発光素子17と、封止部材19と、を備える。
【0011】
パッケージ10は、発光素子等の電子部品を載置するための基台であり、一対の電極として機能するリード111として、例えば、第1リード11及び第2リード12を備える。第1リード11と第2リード12は互いに離間しており、絶縁性の樹脂部材13によって一体的に保持されている。樹脂部材13は、リード111の上方の一部、リード111の間(第1リードと第2リードの間)、並びに、リード111の下方の一部に配置されている。
【0012】
パッケージ10の形状は、略直方体であり、4つの外側面Sとして、第1側面10a、第2側面10b、第3側面10c、第4側面10dを備える。第1側面10aの反対側に第2側面10bが配置され第3側面10cの反対側に第4側面10dが配置される。
【0013】
パッケージ10は、上面10eに開口する素子載置凹部10iを備える。パッケージ10は、下面10f及び外側面Sに開口する凹部Rを備える。凹部Rとして、例えば、第1側面10a及び下面10fに開口する第1凹部10gと、第2側面10bと下面10fとに開口する第2凹部10hと、を備える。凹部Rは、半田のフィレットを形成し易くするための空間であり、各凹部の内側面の少なくとも一部は、リードで構成される。
【0014】
パッケージ10は、凹部R内に、凸部112を備える。例えば、第1凹部10g内に第1凸部15aを備え、第2凹部10h内に第2凸部15bを備える。凹部R内に凸部112を備えることで、半田接合時に用いられるフラックスが、パッケージ10の側面のリード(吊部)と樹脂部材の界面から内部に浸入することを抑制することができる。
【0015】
図5は、本実施形態に係る発光装置を配線基板に実装した状態を示す端面図であり、この図を用いてフラックスの浸入について説明する。尚、以下において、一例として第1凹部の第1凸部について説明する。第2凹部10hの第2凸部については、第1凹部の第1凸部と形状等が同様であるため説明を省略する。
【0016】
配線基板100は、例えば樹脂材料又はセラミックス材料等の絶縁性材料からなる絶縁板101と、その上層部分の一部に、例えば、銅等の導電性材料からなる配線102が形成されている。
【0017】
配線102上に配置されたフラックス入りの半田103上に、発光装置1が配置されている。半田103は第1凹部10g内に配置される。
【0018】
半田103は加熱して一旦溶融させた後、凝固させることでフィレット状になる。このとき、半田103は、第1凹部10g内において第1リード11の第1本体部11a及び第1吊部11bの露出面に接合される。
【0019】
この結果、第1リード11が半田103を介して配線102に接合され、半田103の接合状態を視認することができる。
【0020】
そして、本実施形態に係る発光装置1は、第1凹部10g内における第1吊部11bの露出面から第1リード11と樹脂部材13との界面までの発光装置1の表面に沿った第1経路P1に、第1凸部15aが介在しているため、第1経路P1は第1凸部15aを迂回する経路となる。従って、第1凸部15aが設けられていない場合よりも、第1経路P1が長くなる。このため、半田103に含まれていたフラックスが、第1経路P1を辿って第1リード11と樹脂部材13との界面まで到達することが難しくなり、この界面からパッケージ10内に浸入しにくくすることができる。
【0021】
第1凸部15aは、第1リード11の第1吊部11bの下面11gにおける先端側の領域上に配置されており、パッケージ10の第1側面10aの一部を構成している。第1凸部15aは、第1凹部10g内において露出している。第1凸部15aは第1リード11の第1本体部11aから離間しており、第1凸部15aの下面15gは、第1本体部11aの下面11fよりも上側に位置し、第1吊部11bの下面11gよりも下側に位置している。
【0022】
換言すると、第1凹部10gの上底は第1吊部11b、第1側面10aに連なる2つの内側面は樹脂部材13、第1側面10aから離間し第1凹部10gの奥側の内側面g第1本体部11aで、それぞれ構成される。第1吊部11mは第1側面において、パッケージ10の下面10fから離間しており、側面視形状は略四角形である。
【0023】
以上に説明したような凸部112の形状は、例えば、直方体である。凸部112の幅(Y方向の幅)は、凹部Rの幅と同じであることが好ましい。また、凸部112の奥行の幅(X方向の幅)は、凹部Rの奥行の幅に対して、例えば50%〜80%とすることができる。また、凸部112の内側面と、凹部Rの奥側面との間の長さは、パッケージの外側面から凹部Rの奥側面との間の長さに対して、例えば20%〜50%とすることができる。凸部112の厚み(Z方向の厚み)は、凹部Rの高さ(パッケージの下面から凹部の上底までの高さ)に対して、例えば33%〜67%とすることができる。
【0024】
凸部112は、樹脂材料により形成されており、例えば、樹脂部材13と同じ樹脂材料からなる。また、凸部112は、樹脂部材13を形成する樹脂材料よりも軟質な樹脂材料によって形成されていてもよい。また、凸部112は、樹脂材料に比して、リードとの密着性が良好な材料が好ましい。
【0025】
尚、凸部112と樹脂部材13とが同じ材料であった場合、リードとの凸部との間の界面と、リードと樹脂部材との間の界面とは、同じような隙間が形成される可能性がある。しかしながら、外側面側に位置する界面と、凹部内における界面とでは、外側面に位置する界面の方が、隙間が大きくなり易い。これは、後述に示すように、外側面が切断によって形成される面であることに起因する。樹脂部材とリードと凸部とを同時に切断する際にかかる応力によって、外側面の界面には、隙間が形成され易い。これに対し、凹部の内部(上底)に位置する凸部とリードとの界面は、切断時における応力がかかりにくい。そのため、隙間が形成されにくい。そのため、フラックスは、凹部の内部における樹脂部材と凸部の界面には浸入しにくく、凸部の表面を伝う。これによりフラックスが伝う経路を長くすることができる。
【0026】
リード(第1リード11及び第2リード12)は、それぞれ、本体部と、吊部とを備える。本体部は、主として素子載置凹部の底面において露出される部分である。また、吊部は、製造時に隣接するリード部や支柱、あるいは、フレーム部と連結される部分であり、切断されることで発光装置の外側面の一部を構成する部分である。吊部は、素子載置凹部の底面において露出されていてもよく、また、露出されていなくてもよい。図3等では、吊部は、凹部の側壁の下部に配置されている。
【0027】
例えば、第1リード11は、第1本体部11a、第1吊部11b、第1側吊部11c及び11dを備えている。第1本体部11aは、素子載置凹部の底面において、発光素子が載置可能な面積の上面を備える。
【0028】
第1吊部11bは、第1本体部11aからパッケージ10の第1側面10aに延伸している。第1吊部11bの先端面は、第1側面10aにおいて露出し、第1側面10aの一部を構成している。第1側吊部11cは、第1本体部11aから第3側面10cに延伸している。第1側吊部11cの先端面は、第3側面10cにおいて露出し、第3側面10cの一部を構成している。第1側吊部11dは、第1本体部11aから第4側面10dに延伸している。第1側吊部11dの先端面は、第4側面10dにおいて露出し、第4側面10dの一部を構成している。
【0029】
第1本体部11a、第1吊部11b、第1側吊部11c及び11dの上面は、連続した第1上面11eを構成している。一方、第1本体部11aの下面11fは、第1吊部11b、第1側吊部11c及び11dの下面よりも下方に位置し、パッケージ10の下面10fにおいて露出し、下面10fの一部を構成している。第1吊部11bの下面11gは樹脂部材13によって覆われていない。つまり、第1凹部10g内においては、第1本体部11aの側面の一部、及び、第1吊部11bの下面11gの一部が露出している。
【0030】
第2リード12は、基本的には第1リード11と同様の構成である。図1等に示す例では、第2リード12の第2本体部12aは、素子載置凹部の底面において、ワイヤを接続可能な面積の上面を備える。また、第2本体部12aのY方向における長さ及びZ方向における長さは、それぞれ、第1リード11の第1本体部11aのY方向における長さ及びZ方向における長さと等しい。一方、第2本体部12aのX方向における長さは、第1本体部11aのX方向における長さよりも短い。尚、第2リード12上に発光素子を載置してもよく、また、X方向の長さ等が第1リード11と同じであってもよい。
【0031】
リード111は、基材と、その表面に設けられるめっきなどの金属層を備える。基材は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、ニッケル、又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅などの金属を含む。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。基材の表面には、金属層としては、例えば、銀、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、銅、又はこれらの合金などを含む。また、リードの上面に形成される金属層と、下面に形成される金属層とが異なっていてもよい。また、吊部の端面は、切断によって露出される面であるため、リードの基材が露出されている。例えば、基材が銅である場合は、半田の濡れ性が低いため、基材の端面に半田は接合されにくい。しかしながら、凹部の内側面の一部を構成する吊部の下面や本体部の側面は、例えば、銀などの金属層が最表面にあるため、半田の濡れ性がよい。このように半田の濡れ性のよい金属層が凹部の内側面に露出されていることで、半田のフィレットが形成され易い。
【0032】
また、リード最表面に銀または銀合金のめっき層が形成される場合は、銀または銀合金のめっき層の表面に酸化ケイ素等の保護層が設けられることが好ましい。これにより、大気中の硫黄成分等により銀または銀合金のめっき層が変色することを抑制できる。保護層の成膜方法は、例えばスパッタ等の真空プロセスによって成膜することができるが、その他の既知の方法を用いてもよい。
【0033】
パッケージは、上述の凹部に加え、素子載置凹部10iを備える。素子載置凹部10iの底面は、発光素子が載置可能な面積であればよい。素子載置凹部10iの高さ、換言すると凹部の内側面の高さは、発光素子よりも高いことが好ましい。更に、発光素子とリードとをワイヤを用いて接合させる場合は、発光素子とワイヤとを足した高さよりもワイヤの高さが高いことが好ましい。素子載置凹部の開口部形状は、例えば、上面視において、円形、楕円形、四角形、多角形、又は、これらを組み合わせた形状や、これらの形状の一部を切欠いた形状、丸めた形状等とすることができる。素子載置凹部の内側面は、凹部の底面に対して垂直又は傾斜した面とすることができる。リードの上面、詳細には、第1リード11の第1上面11e及び第2リード12の第2上面12eは、素子載置凹部10iの底面の一部を構成している。パッケージ10の上面10eは凹部の側壁の上面でもあり、樹脂部材13によって構成されている。素子載置凹部10iの内側面は樹脂部材13で構成されている。
【0034】
樹脂部材は、母材となる樹脂材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂組成物、シリコーン樹脂組成物、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂組成物、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂組成物、変性ポリイミド樹脂組成物等の硬化体、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、エポキシ樹脂組成物や変性シリコーン樹脂組成物の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。樹脂部材は、未硬化の状態で粘度が10pa・s〜40pa・sであることが好ましく、15pa・s〜25pa・sであることがより好ましい。
【0035】
また、樹脂部材は、発光素子からの光を吸収しにくくかつ母材となる樹脂に対して屈折率差の大きい反射部材(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム)などの光散乱粒子を分散することで、効率よく光を反射させることができる。あるいは、発光装置のコントラストを向上させるために、発光装置の外光(多くの場合、太陽光)に対して光反射率が低いものを用いてもよい。この場合、通常は黒色ないしそれに近似した色であることが好ましい。この時の充填剤としてはアセチレンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデンなどの遷移金属酸化物、もしくは有色有機顔料などを目的に応じて利用することができる。
【0036】
発光装置1は、上述のパッケージに加え、接着剤16、発光素子17、ワイヤ18、並びに、封止部材19を備える。発光素子17は、接着剤16を介して、第1リード11の第1本体部11aの上面上に接着されている。発光素子17は、パッケージ10の素子載置凹部10iの底面上に配置されている。ワイヤ18は、発光素子17の上面に設けられた電極と、第1本体部11aの上面及び第2本体部12aとの間を接続している。封止部材19は、パッケージ10の素子載置凹部10i内に配置されており、接着剤16、発光素子17、ワイヤ18を封止している。封止部材19は、例えば、透光性樹脂からなる母材中に、蛍光体が分散されて構成されている。
【0037】
<第1の実施形態の第1の変形例>
図6は、本変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
【0038】
本変形例に係る発光装置1aでは、第1凸部15aの第1外側面が、パッケージ10の第1側面10aよりも内側に位置する。例えば、50μm〜500μm程度内側に位置することができる。同様に、第2凸部15b(図3参照)の外側面が、パッケージ10の第2側面10b(図3参照)よりも内側に位置する。
【0039】
これによっても、第1経路P1及び第2経路P2が長くなるため、フラックスの浸入を抑制する効果が得られる。
本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。また、本変形例では、凸部は切断しないで得ることができる。そのため、リードと凸部との間に隙間を形成しにくくすることができる。
【0040】
<第1の実施形態の第2の変形例>
図7は、本変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
【0041】
本変形例に係る発光装置1bは、第1リード11の第1吊部11bに、第1吊部11bの上面から下面に貫通する第1貫通孔11jを備える。樹脂部材13は第1貫通孔11jの上部内に配置されており、第1凸部15aは第1貫通孔11jの下部内に配置されている。樹脂部材13及び第1凸部15aは、第1貫通孔11j内で連続的に配置されている。
【0042】
本変形例によれば、第1凸部15a及び第2凸部15bが樹脂部材13と連続していることにより、第1凸部15a及び第2凸部15bが発光装置1bから脱落しにくくなる。
本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0043】
<第1の実施形態の第3の変形例>
図8は、本変形例に係る発光装置を示す一部拡大端面図である。
【0044】
本変形例に係る発光装置1cは、第2の変形例と比較して、樹脂部材13、第1凸部15a及び第2凸部15b(図3参照)が、第1吊部11bの第1貫通孔11j及び第2吊部12b(図3参照)の第2貫通孔(図示せず)を介して、一体的に形成されている点が異なっている。
【0045】
本変形例によれば、第1凸部15a及び第2凸部15bが第1貫通孔11j及び第2貫通孔を介して樹脂部材13と一体的に形成されていることにより、第1凸部15a及び第2凸部15bがより一層脱落しにくくなる。
本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、第2の変形例と同様である。
【0046】
<第2の実施形態>
図9は、本実施形態に係る発光装置を示す端面図である。
【0047】
本実施形態に係る発光装置2は、第1の実施形態に係る発光装置1(図3参照)と比較して、第1凸部11kが、第1吊部11bの一部である点、及び、第2凸部12kが第2吊部12bの一部である点が異なる。
【0048】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、第1凹部10gの内部から第1リード11と樹脂部材13との界面までの経路を長くして、フラックスの浸入を抑制することができる。同様に、第2凹部10hの内部から第2リード12と樹脂部材13との界面までの経路を長くして、フラックスの浸入を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、凸部が第1吊部11b及び第2吊部12bの一部として形成されているため、脱落する虞が少ない。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0049】
<第3の実施形態>
図10図12に示すように、本実施形態に係る発光装置3は、第1の実施形態に係る発光装置1(図1図4参照)と比較して、第1吊部及び第2吊部の形状が異なる。詳細には、側面視において、第1吊部11m及び第2吊部12mは、下方が開口したC字状である。
【0050】
第1吊部11mは、XY平面に沿って拡がる第1水平部11nと、第1水平部11nの両端部から、下方、に向かって、延伸する第1垂直部11oとを備える。2つの第1垂直部11oは、第1本体部11aと連続している。Z方向において、第1垂直部11oの第2下面11pは、第1本体部11aの下面11fと同一面にある。換言すれば、第1吊部11mは、第1本体部11aの下面11fよりも上側において露出した第1下面11gと、第1本体部11aの下面11fと同一面に位置した第2下面11pを有する。
【0051】
第2吊部12mについても同様に、XY平面に沿って拡がる第2水平部12nと、第2水平部12nの両端部から、下方に向かって、延伸する第2垂直部12oと、を備える。第2垂直部12oは、第2本体部12aと連続している。Z方向において、第2垂直部12oの第2下面12pは、第2本体部12aの下面12f(図2参照)と同一面にある。
【0052】
そして、第1凸部15aは、第1吊部11mによって囲まれた第1凹部10gの上部に配置され、第1水平部11n及び2つの第1垂直部11oに接している。第1凸部15aはパッケージ10の第1側面10aの一部を構成している。同様に、第2凸部15bは、第2吊部12mによって囲まれた第2凹部10hの上部に配置され、第2水平部12n及び2つの第2垂直部12oに接している。第2凸部15bはパッケージ10の第2側面10bの一部を構成している。
【0053】
本実施形態によれば、第1凹部及び第2凹部の内面が全て第1吊部11m及び第2吊部12mで構成されるため、より半田が這い上がり易くなるが、第1凸部及び第2凸部を備えることでフラックスが発光装置内に浸入することを抑制することができる。リードと半田との接合面積が増加する。このため、接合部の電気抵抗が低減すると共に、接合部の機械的強度が増加する。
本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
<第4の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法の実施形態である。
【0055】
図13A及び図14に示すように、リードフレーム50を準備する。リードフレーム50には、第1リード11及び第2リード12を含む一対のリード部51が、X方向及びY方向にマトリクス状に配列されている。各リード部51を構成する第1リード11と第2リード12との間には、Y方向に延びる溝52が形成されている。Y方向において隣り合うリード部51間には、X方向に延びる直線状のフレーム部53が設けられている。フレーム部53の厚さは、第1側吊部11c等の厚さと同じである。
【0056】
第1リード11の第1吊部11bは、−X方向に隣接して配置された第2リード12の第2吊部12bと連結されている。これにより、第1吊部11b及び第2吊部12bの直下域は、凹部54となっている。また、第1リード11の第1側吊部11c及び11d、第2リード12の第2側吊部12c及び12dは、フレーム部53と連結されている。
【0057】
次に、図13B及び図14に示すように、第1リード11上、第2リード12上、及び、第1リード11と第2リード12の間に、例えば白色の樹脂材料からなる樹脂部材13を形成する。樹脂部材13は、フレーム部53、並びに、第1側吊部11c及び11d、第2側吊部12c及び12dの下方にも配置する。但し、樹脂部材13は凹部54内、すなわち、第1吊部11b及び第2吊部12bの下方には配置しない。また、凹部54の下面におけるX方向中央部上に、樹脂材料からなる凸部15を形成する。樹脂部材13及び凸部15は、同時に成型してもよく、あるいは、まず凸部を形成し、その後に樹脂部材を形成してもよい。樹脂部材の形成方法としては、例えば、金型を用いたトランスファ成形、射出成形、圧縮成形等の方法が挙げられる。また、凸部の形成方法としては、例えば、金型を用いたトランスファ成形、射出成形、圧縮成形等の方法や、金型を用いずに、3Dプリンタ、印刷、スプレー等により形成することができる。凸部15は、第1リード11の第1本体部11a及び第2リード12の第2本体部12aからは離間させる。これにより、複数個のパッケージ10が平面状に連続的に配列された構造体が形成される。この構造体における各パッケージ10に相当する部分の上面には、素子載置凹部10iを形成する。尚、このような、リードフレームに樹脂部材及び凸部を備える構造体を、購入して準備してもよい。
【0058】
次に、図13Cに示すように、素子載置凹部10i内における第1リード11の第1本体部11a上に、接着剤16(図3参照)を配置し、その上に発光素子17を搭載する。これにより、発光素子17は接着剤16を介して、第1本体部11aに接着される。次に、第1ワイヤ18aを発光素子17の一方の電極と第1本体部11aとの間に接続し、第2ワイヤ18bを発光素子17の他方の電極と第2本体部12aとの間に接続する。
【0059】
次に、図13Dに示すように、素子載置凹部10i内に、例えば透光性樹脂内に蛍光体が分散された封止部材19を配置する。接着剤16(図3参照)、発光素子17、第1ワイヤ18a及び第2ワイヤ18bは、封止部材19に封止される。
【0060】
次に、図13E及び図14に示すように、ダイシングラインDLに沿って、リードフレーム50を含む構造体をX方向及びY方向に沿ってダイシングする。このとき、ダイシングラインDLは、凸部15のX方向中央部を通過し、フレーム部53を通過し、封止部材19及び発光素子17は通過しないように設定する。これにより、ダイシングブレードが通過する領域においては、リードフレーム50の上下に樹脂部材13又は凸部15が配置される。
【0061】
このダイシングによって、第1吊部11bと第2吊部12bとが分離され、凹部54が第1凹部10g及び第2凹部10hに分離され、凸部15が第1凸部15aと第2凸部15bに分離され、第1側吊部11c及び11d、第2側吊部12c及び12dがフレーム部53から切り離されて、発光装置1が個片化される。このようにして、発光装置1が製造される。
【0062】
本実施形態によれば、図13E及び図14に示すダイシング工程において、ダイシングブレードが通過する領域においては、リードフレーム50の上下に樹脂部材13又は凸部15が配置される。このため、リードフレーム50の切断面において、リードフレームのバリが発生しにくい。従って、各吊部及び各側吊部の先端面において、バリの発生を抑制することができる。この結果、形状安定性が良好な発光装置1を製造することができる。例えば、第1吊部11bの先端面において下方に向けて発生したバリが、第1凹部10gを塞いでしまうことを防止できる。なお、凸部15を樹脂部材13よりも軟質な樹脂材料によって形成すれば、バリの発生をより効果的に抑制することができる。
【0063】
各実施形態及びその変形例は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例には限定されない。例えば、各実施形態及び各変形例において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形例は、相互に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、例えば、照明装置及び表示装置の光源等に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1a、1b、1c、2、3:発光装置
10:パッケージ
S:外側面(10a:第1側面、10b:第2側面、10c:第3側面、10d:第4側面)
10e:上面
10f:下面
R:凹部(10g:第1凹部、10h:第2凹部)
10i:素子載置凹部
111:リード
11:第1リード(11a:第1本体部、11b:第1吊部、11c、11d:第1側吊部)
11e、12e:上面
11f、12f:下面
11g:第1下面
11j:第1貫通孔
112:凸部(11k:第1凸部、12k:第2凸部)
11m:第1吊部
11n:第1水平部
11o:第1垂直部
11p:第2下面
12:第2リード(12a:第2本体部、12b:第2吊部、12c、12d:第2側吊部)
12g:第1下面
12m:第2吊部
12n:第2水平部
12o:第2垂直部
12p:第2下面
13:樹脂部材
15:凸部
15a:第1凸部
15b:第2凸部
15g、15h:下面
16:接着剤
17:発光素子
18:ワイヤ
19:封止部材
50:リードフレーム
51:リード部
52:溝
53:フレーム部
54:凹部
100:配線基板
101:絶縁板
102:配線
103:半田
DL:ダイシングライン
P1:第1経路
P2:第2経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14