特許第6909983号(P6909983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6909983-発光素子 図000002
  • 特許6909983-発光素子 図000003
  • 特許6909983-発光素子 図000004
  • 特許6909983-発光素子 図000005
  • 特許6909983-発光素子 図000006
  • 特許6909983-発光素子 図000007
  • 特許6909983-発光素子 図000008
  • 特許6909983-発光素子 図000009
  • 特許6909983-発光素子 図000010
  • 特許6909983-発光素子 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6909983
(24)【登録日】2021年7月8日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20210715BHJP
   H01L 33/40 20100101ALI20210715BHJP
【FI】
   H01L33/38
   H01L33/40
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-223650(P2018-223650)
(22)【出願日】2018年11月29日
(65)【公開番号】特開2020-88269(P2020-88269A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 弘明
【審査官】 嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−208012(JP,A)
【文献】 特表2016−518709(JP,A)
【文献】 特開2016−167512(JP,A)
【文献】 特開2014−154693(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0151778(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第3258507(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/38
H01L 33/40
H01S 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿う第1辺と、前記第1方向に沿う第2辺と、を含む基材であって、前記第1辺から前記第2辺への第2方向は前記第1方向と直交する、前記基材と、
前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と直交する第3方向において前記基材と電気的に導通していない半導体積層体であって、前記半導体積層体は、前記基材側から、p形半導体層と、発光層と、n形半導体層と、を順に有する前記半導体積層体と、
前記第3方向において前記基材と電気的に導通していない第1パッド電極であって、前記第1パッド電極は、前記第2方向において、前記第1辺と、前記半導体積層体と、の間にある、前記第1パッド電極と、
前記第3方向において前記基材と電気的に導通していない第2パッド電極であって、前記第2パッド電極は、前記第2方向において、前記第1辺と、前記半導体積層体と、の間にあり、前記第1パッド電極と隣り合う、前記第2パッド電極と、
前記n形半導体層と前記第1パッド電極とを電気的に接続する第1導電層と、
前記p形半導体層と前記第2パッド電極とを電気的に接続する第2導電層と、
を備え、
前記n形半導体層は、前記第1導電層と接する複数の第1島状コンタクト領域と、前記第1導電層と接する第2辺コンタクト領域と、を含み、
前記複数の第1島状コンタクト領域は、前記第2方向において、前記第1パッド電極と、前記第2辺コンタクト領域と、の間にある、発光素子。
【請求項2】
上面視において、前記n形半導体層の外形が矩形状であり、
記第2辺コンタクト領域の少なくとも一部は、前記第1方向に沿う、請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記n形半導体層は、前記第1導電層と接する複数の第2島状コンタクト領域をさらに含み、
前記複数の第1島状コンタクト領域は、前記第2方向において、前記第2辺コンタクト領域と、前記複数の第2島状コンタクト領域と、の間にあり、
前記複数の第2島状コンタクト領域の密度は、前記複数の第1島状コンタクト領域の密度よりも高い、請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記複数の第2島状コンタクト領域の1つから前記第2導電層の少なくとも一部への方向は、前記第1方向に沿う、請求項3記載の発光素子。
【請求項5】
前記第2導電層の一部は、前記第1方向において、前記複数の第2島状コンタクト領域の1つと、前記複数の第2島状コンタクト領域の別の1つと、の間にある、請求項3記載の発光素子。
【請求項6】
前記n形半導体層は、前記第1導電層と接する第2島状コンタクト領域をさらに含み、
前記複数の第1島状コンタクト領域は、前記第2方向において、前記第2辺コンタクト領域と、前記第2島状コンタクト領域と、の間にあり、
上面視において、前記第2島状コンタクト領域の1つの面積は、前記複数の第1島状コンタクト領域の1つの面積よりも大きい、請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項7】
前記基材は、前記第2方向に沿う第3辺と、前記第2方向に沿う第4辺と、をさらに含み、前記第3辺から前記第4辺への方向は、前記第1方向に沿い、
前記n形半導体層は、前記第1導電層と接する第3辺コンタクト領域及び第4辺コンタクト領域をさらに含み、
前記第3辺コンタクト領域の少なくとも一部は、前記第2方向に沿い、
前記第4辺コンタクト領域の少なくとも一部は、前記第2方向に沿い、
前記複数の第1島状コンタクト領域は、前記第1方向において、前記第3辺コンタクト領域と前記第4辺コンタクト領域との間にある、請求項1〜6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第2導電層は、第1p側部分及び第2p側部分を含み、
前記第1p側部分から前記第2パッド電極への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第2p側部分から前記半導体積層体への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3辺コンタクト領域は、前記第1辺側に位置する第1端部と、前記第2辺側に位置する第2端部とを含み、
前記第1端部は、前記第2方向において、前記第2端部と、前記第2p側部分と、の間にある、請求項7記載の発光素子。
【請求項9】
第3導電層をさらに備え、
前記第3導電層は、前記第2p側部分と前記p形半導体層との間に設けられ、
前記第3導電層は、前記第2導電層と前記p形半導体層とを電気的に接続する、請求項8記載の発光素子。
【請求項10】
前記第3導電層は、Ag及びAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項9記載の発光素子。
【請求項11】
前記第3辺コンタクト領域は、前記第2辺コンタクト領域と連続した、請求項7〜10のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記n形半導体層は、複数の前記第3辺コンタクト領域を含み、
前記複数の第3辺コンタクト領域の1つから前記複数の第3辺コンタクト領域の別の1つへの方向は、前記第2方向に沿う、請求項7〜10のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
前記n形半導体層は、複数の前記第2辺コンタクト領域を含み、
前記複数の第2辺コンタクト領域の1つから前記複数の第2辺コンタクト領域の別の1つへの方向は、前記第1方向に沿う、請求項1〜12のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項14】
前記第1パッド電極は複数設けられ、
前記第2パッド電極は、前記第1方向において、前記複数の第1パッド電極の間に設けられた、請求項1〜13のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1導電層と前記基材との間、及び、前記第2導電層と前記基材との間に設けられた絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記第1導電層と前記基材との間を電気的に絶縁し、前記第2導電層と前記基材との間を電気的に絶縁する、請求項1〜14のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の中には、n形半導体層、p形半導体層、およびn形半導体層とp形半導体層との間に設けられた発光層を含む半導体積層体において、発光層およびp形半導体層が積層された面の反対側のn形半導体層の面側から光を取り出す構造の発光装置がある。例えば、特許文献1には、そのような発光素子において、上面視において光取り出し面と重ならない領域に、外部との電気的接続を担うn側パッド電極およびp側パッド電極を配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−11016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、パッド電極に近い領域への電流密度の集中を抑制することができる発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、発光素子は、第1方向に沿う第1辺と、前記第1方向に沿う第2辺と、を含む基材であって、前記第1辺から前記第2辺への第2方向は前記第1方向と直交する、前記基材と、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と直交する第3方向において前記基材と電気的に導通していない半導体積層体であって、前記半導体積層体は、前記基材側から、p形半導体層と、発光層と、n形半導体層と、を順に有する前記半導体積層体と、前記第3方向において前記基材と電気的に導通していない第1パッド電極であって、前記第1パッド電極は、前記第2方向において、前記第1辺と、前記半導体積層体と、の間にある、前記第1パッド電極と、前記第3方向において前記基材と電気的に導通していない第2パッド電極であって、前記第2パッド電極は、前記第2方向において、前記第1辺と、前記半導体積層体と、の間にあり、前記第1パッド電極と隣り合う、前記第2パッド電極と、前記n形半導体層と前記第1パッド電極とを電気的に接続する第1導電層と、前記p形半導体層と前記第2パッド電極とを電気的に接続する第2導電層と、を備えている。前記n形半導体層は、前記第1導電層と接する複数の第1島状コンタクト領域と、前記第1導電層と接する第2辺コンタクト領域と、を含む。前記複数の第1島状コンタクト領域は、前記第2方向において、前記第1パッド電極と、前記第2辺コンタクト領域と、の間にある。
【発明の効果】
【0006】
本開示の発光素子によれば、パッド電極に近い領域への電流密度の集中を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
図2図1におけるII−II模式断面図である。
図3図1におけるIII−III模式断面図である。
図4図1におけるIV−IV模式断面図である。
図5】本発明の一実施形態における発光素子の半導体積層体の模式断面図である。
図6】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
図7】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
図8】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
図9】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
図10】本発明の一実施形態における発光素子の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
図1は、一実施形態における発光素子の模式平面図である。図2は、図1におけるII−II模式断面図である。図3は、図1におけるIII−III模式断面図である。図4は、図1におけるIV−IV模式断面図である。
【0010】
図1は、図2図4における発光素子(保護膜94を除く)を上から見た上面図に対応する。なお、後述する図6図9は、基材10側から基材10上の部材を見た平面図に対応し、基材10上の部材は基材10で被覆されているが、基材10は輪郭線のみを表している。
【0011】
実施形態の発光素子は、基材10と、半導体積層体50と、第1導電層60と、第2導電層70と、第1パッド電極81と、第2パッド電極82とを有する。基材10は、半導体積層体50、第1導電層60、第2導電層70、第1パッド電極81、および第2パッド電極82を支持する。
【0012】
図1に示すように、発光素子の上面視において、基材10の外形は矩形状に形成され、第1辺11、第2辺12、第3辺13、および第4辺14を有する。
【0013】
第1辺11および第2辺12は、X方向(第1方向)に沿う。第1辺11から第2辺12への方向は、X方向と直交するY方向(第2方向)に沿う。第3辺13および第4辺14は、Y方向に沿う。第3辺13から第4辺14への方向は、X方向に沿う。
【0014】
図2図4に示すように、半導体積層体50は、基材10上に設けられている。半導体積層体50は、Z方向(第3方向)において、基材10から離れ、基材10と電気的に導通していない。例えば、半導体積層体50は、基材10上に絶縁層を介して設けられる。Z方向は、X方向およびY方向を含む平面と直交する。
【0015】
図5は、図1におけるII−II断面における半導体積層体50の模式断面図である。
【0016】
半導体積層体50は、n形半導体層20と、p形半導体層30と、n形半導体層20とp形半導体層30との間に設けられた発光層40とを有する。半導体積層体50には、例えば、InAlGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等の窒化物半導体が好適に用いられる。
【0017】
図2に示すように、基材10側から順に、p形半導体層30、発光層40、およびn形半導体層20が設けられている。
【0018】
例えば成長基板上に、n形半導体層20、発光層40、およびp形半導体層30を順にエピタキシャル成長させる。その後、エッチングにより、p形半導体層30および発光層40の積層部分の一部を除去し、n形半導体層20の一部をp形半導体層30および発光層40から露出させる。p形半導体層30および発光層40の断面視形状は、メサ状に残される。
【0019】
p形半導体層30において発光層40が積層された面の反対側の面には、第3導電層75が設けられている。第3導電層75は、例えば、Ag及びAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む反射層を有する。第3導電層75は、反射層とNi、Ti及びPtよりなる群から選択された少なくとも1つを含む金属層とを含む積層構造とすることもできる。第3導電層75は、例えば、p形半導体層30側から順にAg、Ni、Ti、Ptが積層された積層構造とすることができる。
【0020】
図6は、n形半導体層20と第3導電層75との配置関係を表す模式平面図である。
【0021】
上面視において、n形半導体層20の外形は、基材10の4つの辺(第1辺11、第2辺12、第3辺13、および第4辺14)に沿った4つの辺を有する矩形状に形成されている。n形半導体層20は、4つの辺の内側に、複数の第1島状コンタクト領域21と、複数の第2島状コンタクト領域25とを有する。
【0022】
第3導電層75は、複数の第1開口75aと複数の第2開口75bを有する。第1開口75aは、n形半導体層20の第1島状コンタクト領域21を露出させる。第2開口75bは、n形半導体層20の第2島状コンタクト領域25を露出させる。複数の第1開口75aは、上面視において、行列状に配置されている。複数の第2開口75bは、上面視において、第1開口75aよりも外側に直線状に配置されている。
【0023】
複数の第1島状コンタクト領域21は、X方向およびY方向に沿って配置されている。複数の第2島状コンタクト領域25は、X方向に沿って配置されている。複数の第2島状コンタクト領域25の密度は、複数の第1島状コンタクト領域21の密度よりも高い。上面視において、第2島状コンタクト領域25の1つの面積は、第1島状コンタクト領域21の1つの面積よりも大きい。
【0024】
図2に示すように、絶縁層91が第3導電層75を覆っている。絶縁層91は、例えばシリコン窒化層である。さらに、絶縁層92が、絶縁層91、および半導体積層体50におけるメサ部(p形半導体層30と発光層40との積層部分)が形成された側の面を覆っている。絶縁層92は、例えばシリコン酸化層である。
【0025】
図7は、n形半導体層20と絶縁層92との配置関係を主に表す模式平面図である。
【0026】
絶縁層92は、複数の第1開口92bと、複数の第2開口92cと、複数の第3開口92aとを有する。第1開口92bは、n形半導体層20の第1島状コンタクト領域21を露出させる。第2開口92cは、n形半導体層20の第2島状コンタクト領域25を露出させる。第3開口92aは、第3導電層75を露出させる。第1開口92b、第2開口92c、及び第3開口92aの一部は、上面視において、第1島状コンタクト領域21と重なる。
【0027】
n形半導体層20は、さらに、第2辺コンタクト領域22、第3辺コンタクト領域23、および第4辺コンタクト領域24を有する。
【0028】
n形半導体層20の外周部において、第2辺コンタクト領域22の少なくとも一部はX方向に沿って延び、第3辺コンタクト領域23の少なくとも一部および第4辺コンタクト領域24の少なくとも一部はY方向に沿って延びている。例えば、第2辺コンタクト領域22及び第3辺コンタクト領域23と、第2辺コンタクト領域22及び第4辺コンタクト領域24とが連続して配置されている。
【0029】
第1島状コンタクト領域21は、Y方向において、第2島状コンタクト領域25と第2辺コンタクト領域22との間にある。すなわち、第1島状コンタクト領域21のY方向における位置は、第2島状コンタクト領域25のY方向における位置と、第2辺コンタクト領域22のY方向における位置との間にある。
【0030】
第1島状コンタクト領域21は、X方向において、第3辺コンタクト領域23と第4辺コンタクト領域24との間にある。すなわち、第1島状コンタクト領域21のX方向における位置は、第3辺コンタクト領域23のX方向における位置と、第4辺コンタクト領域24のX方向における位置との間にある。
【0031】
図2図4、および図8に示すように、絶縁層92上に、第1導電層60および第2導電層70が設けられている。第1導電層60および第2導電層70は、Z方向において、基材10から離れ、基材10と電気的に導通していない。例えば、第1導電層60および第2導電層70は、基材10上に絶縁膜93を介して設けられる。
【0032】
図9は、第1導電層60および第2導電層70の基材10に対する配置関係を表す模式平面図である。
【0033】
第1導電層60と第2導電層70は、同じ金属材料を用いて同時に形成される。第1導電層60と第2導電層70は、例えばAl及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1導電層60と第2導電層70は、Z方向において、互いに重なっていない。
【0034】
第1導電層60は、第1n側部分61と、第2n側部分62と、第3n側部分63とを有する。第2導電層70は、第1p側部分71と、第2p側部分72とを有する。
【0035】
第1導電層60は、例えば2つの第2n側部分62を有する。第2導電層70は、X方向において、2つの第2n側部分62の間に設けられている。
【0036】
図8に示すように、第1導電層60の第1n側部分61は、半導体積層体50に重なる領域に設けられている。第2n側部分62は、第1n側部分61から、基材10の第1辺11に向かって延出している。図4に示すように、Z方向において、第2n側部分62の一部は、半導体積層体50に重ならない領域に配置されている。
【0037】
図2および図3に示すように、第1n側部分61の一部(nコンタクト部)61aは、n形半導体層20の第1島状コンタクト領域21に接している。第1n側部分61の別の一部(nコンタクト部)61bは、n形半導体層20の第2辺コンタクト領域22に接している。同様に、第1n側部分61のさらに別の一部(nコンタクト部)が、n形半導体層20の第3辺コンタクト領域23および第4辺コンタクト領域24に接している。
【0038】
図8に示すように、第1導電層60は、第1n側部分61から、基材10の第1辺11に向かって延出した複数の第3n側部分63を有する。Z方向において、第3n側部分63は、複数の第2島状コンタクト領域25のうちの一部の第2島状コンタクト領域25に重なっている。図3に示すように、第3n側部分63の一部(nコンタクト部)63aが、n形半導体層20の第2島状コンタクト領域25に接している。
【0039】
また、図8に示すように、Z方向において、複数の第2島状コンタクト領域25は、第1導電層60の第1n側部分61に重なり、その第1n側部分61に接している第2島状コンタクト領域25aを有する。本実施形態では、X方向に直線状に配置された複数の第2島状コンタクト領域25のうち両端に配置された2つの第2島状コンタクト領域25aが第1n側部分61に重なる位置に配置されている。
【0040】
第1導電層60の上記nコンタクト部とn形半導体層20との接触により、第1導電層60はn形半導体層20に電気的に接続している。
【0041】
図8に示すように、第2導電層70は複数の第2p側部分72を有する。複数の第2p側部分72は、第1p側部分71から、第1導電層60の第1n側部分61に向かって延出している。
【0042】
図8に示す第2p側部分72は、図7に示す絶縁層92の第3開口92aから露出する第3導電層75に重なっている。図2に示すように、第2p側部分72の一部(pコンタクト部)72aが、絶縁層92および絶縁層91を貫通して、第3導電層75に接している。
【0043】
すなわち、第3導電層75は、第2p側部分72とp形半導体層30との間に設けられ、第2導電層70とp形半導体層30とを電気的に接続している。
【0044】
図8に示す上面視において、第2p側部分72の1つは、X方向において隣り合う2つの第3n側部分63の間にある。すなわち、第2p側部分72の1つは、X方向において隣り合う2つの第2島状コンタクト領域25の間にある。また、第2島状コンタクト領域25の1つは、X方向において隣り合う2つの第2p側部分72の間にある。すなわち、上面視において、第2島状コンタクト領域25と第2p側部分72とが、X方向に沿って交互に配置されている。
【0045】
図8に示すように、n形半導体層20の第3辺コンタクト領域23は、基材10の第1辺11側に位置する第1端部23aと、基材10の第2辺12側に位置する第2端部23bとを有する。上面視において、第1端部23aは、Y方向において、第2端部23bと、第2導電層70の第2p側部分72との間にある。すなわち、第1端部23aのY方向における位置は、第2端部23bのY方向における位置と、第2p側部分72のY方向における位置との間にある。
【0046】
図8に示すように、n形半導体層20の第4辺コンタクト領域24は、基材10の第1辺11側に位置する第1端部24aと、基材10の第2辺12側に位置する第2端部24bとを有する。上面視において、第1端部24aは、Y方向において、第2端部24bと、第2導電層70の第2p側部分72との間にある。すなわち、第1端部24aのY方向における位置は、第2端部24bのY方向における位置と、第2p側部分72のY方向における位置との間にある。
【0047】
図1に示すように、第1導電層60の第2n側部分62に第1パッド電極81が配置され、第2導電層70の第1p側部分71に第2パッド電極82が配置されている。第1パッド電極81は第2n側部分62に接し、第2パッド電極82は第1p側部分71に接している。第1パッド電極81および第2パッド電極82は、例えばTi、Pt、およびAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1パッド電極81および第2パッド電極82は、例えば、半導体積層体50側から順にTi、Pt、Auが積層された積層構造とすることができる。
【0048】
図2および図3に示すように、Z方向において、第2パッド電極82は、半導体積層体50に重ならない領域に配置されており、第2導電層70の第1p側部分71から第2パッド電極82への方向は、Z方向に沿う。第2導電層70の第2p側部分72から半導体積層体50への方向は、Z方向に沿う。第2パッド電極82は、Z方向において、基材10から離れ、基材10と電気的に導通していない。第2パッド電極82は、例えば、基材10上に絶縁層93を介して設けられる。
【0049】
図4に示すように、第1パッド電極81は、半導体積層体50に重ならない領域に配置され、第1導電層60の第2n側部分62から第1パッド電極81への方向は、Z方向に沿う。第1導電層60の第1n側部分61から半導体積層体50への方向は、Z方向に沿う。第1パッド電極81は、Z方向において、基材10から離れ、基材10と電気的に導通していない。第1パッド電極81は、例えば、基材10上に絶縁層93を介して設けられる。
【0050】
図1に示す上面視において、第1パッド電極81および第2パッド電極82は、Y方向において、基材10の第1辺11と半導体積層体50との間にある。すなわち、第1パッド電極81のY方向における位置、および第2パッド電極82のY方向における位置は、基材10の第1辺11のY方向における位置と、半導体積層体50のY方向における位置との間にある。
【0051】
第1パッド電極81と第2パッド電極82とは、X方向において隣り合っている。すなわち、第1パッド電極81から第2パッド電極82への方向は、X方向に沿う。複数(例えば2つ)の第1パッド電極81が基材10の外縁付近に設けられており、第2パッド電極82は、X方向において、複数の第1パッド電極81の間にある。
【0052】
図2図4に示すように、絶縁層93が、第1導電層60と基材10との間、および第2導電層70と基材10との間に設けられている。絶縁層93は、第1導電層60と第2導電層70を覆っている。絶縁層93は、例えばシリコン酸化層であり、第1導電層60と基材10との間を電気的に絶縁し、第2導電層70と基材10との間を電気的に絶縁する。
【0053】
n形半導体層20において発光層40およびp形半導体層30が積層された面の反対側の面は粗面化され、その面を保護膜94が覆っている。保護膜94の表面にも、凹凸が形成されている。保護膜94は、n形半導体層20の側面も覆っている。
【0054】
以上説明した実施形態の発光素子によれば、n形半導体層20電気的に接続されるn側の第1パッド電極81と、p形半導体層30に電気的に接続されるp側の第2パッド電極82とを、上面視において、半導体積層体50と、基材10の第1辺11との間に配置している。すなわち、基材10の4辺のうちの1辺(第1辺11)には、n側に第1パッド電極81を配置しており、またp側には第2パッド電極82を配置している。
【0055】
このような構造は、例えば上面視において半導体積層体50を挟むように第1パッド電極81と第2パッド電極82とを配置した参考例に比べて、発光面積は参考例と同じでありながら、発光素子全体の平面サイズを参考例よりも縮小することができる。また、発光素子全体の平面サイズを同じとする場合には、参考例に比べて発光面積を拡大することができる。
【0056】
また、第1パッド電極81が配置された第1辺11から遠い第2辺12の近くに、第1パッド電極81と電気的に接続された第2辺コンタクト領域22を配置しているため、第1辺11側での電流密度の集中を抑制できる。これにより、発光面内における発光強度分布の偏りを抑制できる。また、第1パッド電極81及び第2パッド電極82が配置されている領域近傍における電流密度の集中による発光素子の寿命低下を抑制できる。
【0057】
さらに、基材10の第3辺13に近い位置に第1パッド電極81と電気的に接続された第3辺コンタクト領域23を配置し、第4辺14に近い位置に第1パッド電極81と電気的に接続された第4辺コンタクト領域24を配置しているため、半導体積層体50の面内における電流密度の分布をより均一にでき、面内の発光強度分布をより均一にできる。
【0058】
図8に示すように、第3辺コンタクト領域23の第1端部23aのY方向における位置を、第2p側部分72の先端部のY方向における位置よりも、第2辺12に近い位置にして、それら両者間の距離を離すことで、第3導電層75に用いる金属材料のマイグレーションによる第3辺コンタクト領域23の第1端部23aと、第2p側部分72の先端部との間の絶縁不良を抑制することができる。
【0059】
同様に、第4辺コンタクト領域24の第1端部24aのY方向における位置を、第2p側部分72の先端部のY方向における位置よりも第2辺12に近い位置にすることで、マイグレーションによる第4辺コンタクト領域24の第1端部24aと、第2p側部分72の先端部との間の絶縁不良を抑制することができる。
【0060】
また、2つの第1パッド電極81のうちの一方を第2パッド電極82よりも第3辺13に近い側に配置し、他方を第2パッド電極82よりも第4辺14に近い側に配置することで、第3辺コンタクト領域23と第1パッド電極81との間の電流密度分布と、第4辺コンタクト領域24と第1パッド電極81との間の電流密度分布とを、X方向において左右対称にすることができる。これにより、第1パッド電極81及び第2パッド電極82が配置されている領域近傍における電流密度分布の偏りを抑制して、面内の発光強度分布をより均一にする。
【0061】
図10に示すように、第3辺コンタクト領域23は連続したライン状に限らず、複数の島状の第3辺コンタクト領域23を第3辺13に沿って配置してもよい。すなわち、複数の第3辺コンタクト領域23の1つから複数の第3辺コンタクト領域23の他の1つへの方向は、Y方向に沿う。
【0062】
同様に、第4辺コンタクト領域24は連続したライン状に限らず、複数の島状の第4辺コンタクト領域24を第4辺14に沿って配置してもよい。すなわち、複数の第4辺コンタクト領域24の1つから複数の第4辺コンタクト領域24の他の1つへの方向は、Y方向に沿う。
【0063】
同じく、第2辺コンタクト領域22は連続したライン状に限らず、複数の島状の第2辺コンタクト領域22を第2辺12に沿って配置してもよい。すなわち、複数の第2辺コンタクト領域22の1つから複数の第2辺コンタクト領域22の他の1つへの方向は、X方向に沿う。
【0064】
半導体積層体50の面内において、第1辺11に近い側には、第2導電層70が第3導電層75を介してp形半導体層30と接続される部分であるp側のコンタクト部が配置されるため、n側のコンタクト部のサイズやレイアウトに制約が生じる。
【0065】
本開示の実施形態によれば、複数の第2p側部分72の隣に、複数の第2島状コンタクト領域25をX方向に沿って配置している。第2島状コンタクト領域25の1つを、隣り合う2つの第2p側部分72の間に配置するという制約上、第2島状コンタクト領域25の上面視における面積が、第1島状コンタクト領域21の上面視における面積よりも小さくなる場合がある。このような場合においても、複数の第2島状コンタクト領域25を、複数の第1島状コンタクト領域21よりも高密度に配置することで、第1辺11に近い側におけるトータルのn側コンタクト部の面積を増やすことができる。
【0066】
以上、具体例を参照しつつ、本開示の実施形態について説明した。しかし、本開示は、これらの具体例に限定されるものではない。本開示の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。その他、本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0067】
10…基材、11…第1辺、12…第2辺、13…第3辺、14…第4辺、20…n形半導体層、21…第1島状コンタクト領域、22…第2辺コンタクト領域、23…第3辺コンタクト領域、24…第4辺コンタクト領域、25…第2島状コンタクト領域、30…p形半導体層、40…発光層、50…半導体積層体、60…第1導電層、61…第1n側部分、62…第2n側部分、63…第3n側部分、70…第2導電層、71…第1p側部分、72…第2p側部分、75…第3導電層、81…第1パッド電極、82…第2パッド電極、91〜93…絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10