(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する多層配線の形成方法、多層配線形成装置および記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0010】
<多層配線形成システムの概要>
まずは、
図1を参照しながら、実施形態に係る多層配線形成システム1の概略構成について説明する。
図1は、実施形態に係る多層配線形成システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0011】
図1に示すように、多層配線形成システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0012】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼称する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0013】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0014】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、単分子膜形成処理ユニット16と、触媒付与処理ユニット17と、複数の無電解めっき処理ユニット18と、複数の電解めっき処理ユニット19と、複数の熱処理ユニット20とを備える。
【0015】
単分子膜形成処理ユニット16、触媒付与処理ユニット17および複数の熱処理ユニット20と、複数の無電解めっき処理ユニット18および複数の電解めっき処理ユニット19とは、搬送部15の両側に並べて設けられる。なお、
図1に示す単分子膜形成処理ユニット16、触媒付与処理ユニット17、無電解めっき処理ユニット18、電解めっき処理ユニット19および熱処理ユニット20の配置や個数は一例であり、図示のものに限定されない。
【0016】
搬送部15は、内部に基板搬送装置21を備える。基板搬送装置21は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置21は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と、単分子膜形成処理ユニット16と、触媒付与処理ユニット17と、無電解めっき処理ユニット18と、電解めっき処理ユニット19と、熱処理ユニット20との間でウェハWの搬送を行う。
【0017】
単分子膜形成処理ユニット16は、基板搬送装置21によって搬送されるウェハWに対して所定の単分子膜形成処理を行う。単分子膜形成処理ユニット16は、たとえば、加熱部を有する真空チャンバである。
【0018】
触媒付与処理ユニット17は、基板搬送装置21によって搬送されるウェハWに対して所定の触媒付与処理を行う。触媒付与処理ユニット17は、たとえば、ノズルにより各種処理液を吹き付けることができる装置である。
【0019】
無電解めっき処理ユニット18は、基板搬送装置21によって搬送されるウェハWに対して所定のバリア膜形成処理、シード膜形成処理および無電解めっき処理を行う。無電解めっき処理ユニット18の構成例については後述する。
【0020】
電解めっき処理ユニット19は、基板搬送装置21によって搬送されるウェハWに対して所定の洗浄処理および電解めっき処理を行う。電解めっき処理ユニット19の構成例については後述する。
【0021】
熱処理ユニット20は、基板搬送装置21によって搬送されるウェハWに対して所定の熱処理を行う。熱処理ユニット20の構成例については後述する。
【0022】
実施形態では、上述の基板搬送装置21に加え、無電解めっき処理ユニット18と電解めっき処理ユニット19との間で直接ウェハWを搬送することができる基板搬送装置22を備える。すなわち、基板搬送装置22は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて無電解めっき処理ユニット18と電解めっき処理ユニット19との間でウェハWの搬送を行う。
【0023】
また、多層配線形成システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部23と記憶部24とを備える。
【0024】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0025】
かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、搬送部12や搬送部15、単分子膜形成処理ユニット16、触媒付与処理ユニット17、無電解めっき処理ユニット18、電解めっき処理ユニット19、熱処理ユニット20などの制御を実現する。
【0026】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部24にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0027】
記憶部24は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0028】
上記のように構成された多層配線形成システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置21によって受渡部14から取り出されて、単分子膜形成処理ユニット16へ搬入される。
【0029】
単分子膜形成処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、単分子膜形成処理ユニット16によって所定の単分子膜形成処理が施された後、基板搬送装置21によって単分子膜形成処理ユニット16から搬出され、触媒付与処理ユニット17へ搬入される。
【0030】
触媒付与処理ユニット17へ搬入されたウェハWは、触媒付与処理ユニット17によって所定の触媒付与処理が施された後、基板搬送装置21によって触媒付与処理ユニット17から搬出され、無電解めっき処理ユニット18へ搬入される。
【0031】
無電解めっき処理ユニット18へ搬入されたウェハWは、無電解めっき処理ユニット18によって所定のバリア膜形成処理が施された後、基板搬送装置21によって無電解めっき処理ユニット18から搬出され、熱処理ユニット20へ搬入される。
【0032】
熱処理ユニット20へ搬入されたウェハWは、熱処理ユニット20によって所定の焼きしめ処理が施された後、基板搬送装置21によって熱処理ユニット20から搬出され、無電解めっき処理ユニット18へ搬入される。
【0033】
無電解めっき処理ユニット18へ搬入されたウェハWは、無電解めっき処理ユニット18によって所定のシード膜形成処理および無電解めっき処理が施された後、基板搬送装置22によって無電解めっき処理ユニット18から搬出され、電解めっき処理ユニット19へ搬入される。
【0034】
電解めっき処理ユニット19へ搬入されたウェハWは、電解めっき処理ユニット19によって所定の洗浄処理および電解めっき処理が施された後、基板搬送装置21によって電解めっき処理ユニット19から搬出され、熱処理ユニット20へ搬入される。
【0035】
熱処理ユニット20へ搬入されたウェハWは、熱処理ユニット20によって所定の熱処理が施された後、基板搬送装置21によって熱処理ユニット20から搬出され、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0036】
<無電解めっき処理ユニットの概要>
次に、
図2を参照しながら、無電解めっき処理ユニット18の概略構成について説明する。
図2は、実施形態に係る無電解めっき処理ユニット18の構成を示す断面図である。無電解めっき処理ユニット18は、たとえば、ウェハWを1枚ずつ処理する枚葉式の処理ユニットとして構成される。
【0037】
無電解めっき処理ユニット18は、
図2に示すように、筐体30と、基板回転保持機構31と、処理液供給機構32と、カップ33と、液排出機構34〜36とを備える。
【0038】
基板回転保持機構31は、筐体30の内部でウェハWを回転保持する。基板回転保持機構31は、回転軸31aと、ターンテーブル31bと、ウェハチャック31cと、図示しない回転機構とを有する。
【0039】
回転軸31aは、中空円筒状であり、筐体30内で上下に伸延する。ターンテーブル31bは、回転軸31aの上端部に取り付けられる。ウェハチャック31cは、ターンテーブル31bの上面外周部に設けられ、ウェハWを支持する。
【0040】
そして、基板回転保持機構31は、制御装置4の制御部23により制御され、回転機構によって回転軸31aが回転駆動される。これにより、ウェハチャック31cに支持されたウェハWを回転させることができる。
【0041】
処理液供給機構32は、基板回転保持機構31に保持されるウェハWの表面に所定の処理液を供給する。処理液供給機構32は、ウェハWの表面に対して第1処理液を供給する第1処理液供給機構32aと、ウェハWの表面に第2処理液を供給する第2処理液供給機構32bと、ウェハWの表面に第3処理液を供給する第3処理液供給機構32cとを含む。
【0042】
かかる第1処理液は、たとえば、Co−W−Bを含むバリア膜80(
図5B参照)を形成するためのめっき液である。また、第2処理液は、たとえば、シード膜81(
図5C参照)を形成するためのめっき液である。また、第3処理液は、たとえば、無電解めっき液である。
【0043】
また、処理液供給機構32はノズルヘッド32dを有し、かかるノズルヘッド32dにノズル32e、32f、32gが取り付けられる。かかるノズル32e、32f、32gは、それぞれ第1処理液供給機構32a、第2処理液供給機構32bおよび第3処理液供給機構32cに対応するノズルである。
【0044】
ノズルヘッド32dは、アーム32hの先端部に取り付けられる。かかるアーム32hは、上下方向に移動可能となっており、かつ、図示しない回転機構により回転駆動される支持軸32iに固定され、回転可能となっている。
【0045】
このような構成により、処理液供給機構32は、所定の処理液をノズル32e、32f、32gを介してウェハW表面の任意の箇所に所望の高さから吐出することができる。
【0046】
カップ33は、ウェハWから飛散した処理液を受ける。カップ33は、3つの排出口33a〜33cを有し、図示しない昇降機構により上下方向に駆動可能に構成される。3つの排出口33a〜33cは、それぞれ液排出機構34〜36に接続されている。
【0047】
液排出機構34〜36は、排出口33a〜33cに集められた処理液を排出する。液排出機構34は、流路切換器34aにより切り換えられる回収流路34bおよび廃棄流路34cを有する。回収流路34bは、たとえば、第1処理液を回収して再利用するための流路であり、廃棄流路34cは、第1処理液を廃棄するための流路である。
【0048】
液排出機構35は、流路切換器35aにより切り換えられる回収流路35bおよび廃棄流路35cを有する。回収流路35bは、たとえば、第2処理液を回収して再利用するための流路であり、廃棄流路35cは、第2処理液を廃棄するための流路である。
【0049】
液排出機構36は、流路切換器36aにより切り換えられる回収流路36bおよび廃棄流路36cを有する。回収流路36bは、たとえば、第3処理液を回収して再利用するための流路であり、廃棄流路36cは、第3処理液を廃棄するための流路である。
【0050】
また、回収流路36bの出口側には、第3処理液が無電解めっき液である場合に、かかる無電解めっき液を冷却する冷却バッファ36dが設けられる。
【0051】
なお、実施形態ではノズル32e、32f、32gを用いてウェハW上に処理液が供給されるが、ウェハW上に処理液を供給する手段はノズルに限られず、他の種々の手段を用いることができる。
【0052】
<電解めっき処理ユニットの概要>
次に、
図3を参照しながら、電解めっき処理ユニット19の概略構成について説明する。
図3は、実施形態に係る電解めっき処理ユニット19の構成を示す断面図である。電解めっき処理ユニット19は、たとえば、ウェハWを1枚ずつ処理する枚葉式の処理ユニットとして構成される。
【0053】
電解めっき処理ユニット19は、基板保持部40と、電解処理部41と、電圧印加部42と、処理液供給機構43とを備える。
【0054】
基板保持部40は、ウェハWを保持する機能を有する。基板保持部40は、ウェハチャック40aと、駆動機構40bとを有する。
【0055】
ウェハチャック40aは、たとえば、ウェハWを保持して回転させるスピンチャックである。ウェハチャック40aは、略円板状であり、平面視においてウェハWの径より大きい径であり水平方向に延びる上面40cを有する。かかる上面40cには、たとえば、ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられており、かかる吸引口からの吸引により、ウェハWをウェハチャック40aの上面40cに保持することができる。
【0056】
基板保持部40には、また、モータなどを備えた駆動機構40bが設けられており、ウェハチャック40aを所定の速度で回転させることができる。また、駆動機構40bには、シリンダなどの昇降駆動部(図示せず)が設けられており、ウェハチャック40aを鉛直方向に移動させることができる。
【0057】
ここまで説明した基板保持部40の上方には、ウェハチャック40aの上面40cに向かい合って、電解処理部41が設けられる。電解処理部41は、基体41aと、直接電極41bと、接触端子41cと、移動機構41dとを有する。
【0058】
基体41aは、絶縁性材料で構成される。基体41aは、略円板状であり、平面視においてウェハWの径より大きい径である下面41eと、かかる下面41eの反対側に設けられる上面41fとを有する。
【0059】
直接電極41bは、導電性材料で構成され、基体41aの下面41eに設けられる。直接電極41bは、基板保持部40に保持されるウェハWと略平行に向かい合うように配置される。そして、電解めっき処理を行う際、直接電極41bは、ウェハW上に液盛りされる電解めっき液と直接接触する。
【0060】
接触端子41cは、基体41aの縁部において、下面41eから突出して設けられる。接触端子41cは弾性を有する導電体で構成され、下面41eの中心部に向かって屈曲している。
【0061】
接触端子41cは、基体41aに2本以上、たとえば、基体41aに32本設けられ、平面視で基体41aの同心円上に均等間隔に配置される。そして、すべての接触端子41cの先端部は、かかる先端部で構成される仮想面が、基板保持部40に保持されるウェハWの表面と略平行になるように配置される。
【0062】
かかる接触端子41cは、電解めっき処理を行う際、ウェハWの外周部に接触し、かかるウェハWに電圧を印加する。なお、接触端子41cの数や形状は上記の実施形態に限られることはない。
【0063】
直接電極41bと接触端子41cとは、電圧印加部42に接続されており、それぞれ接触する電解めっき液とウェハWとに所定の電圧を印加することができる。
【0064】
基体41aの上面41f側には、移動機構41dが設けられる。移動機構41dは、たとえば、シリンダなどの昇降駆動部(図示せず)を有する。そして、かかる昇降駆動部により、移動機構41dは電解処理部41全体を鉛直方向に移動させることができる。
【0065】
電圧印加部42は、直流電源42aと、スイッチ42b、42cと、負荷抵抗42dとを有し、電解処理部41の直接電極41bと接触端子41cとに接続される。具体的には、直流電源42aの正極側が、スイッチ42bを介して直接電極41bに接続されるとともに、直流電源42aの負極側が、スイッチ42cと負荷抵抗42dとを介して複数の接触端子41cに接続される。なお、直流電源42aの負極側は接地される。
【0066】
そして、スイッチ42b、42cを同時にオン状態またはオフ状態に切り替えることにより、電圧印加部42は、直接電極41bと接触端子41cとにパルス状の電圧を印加することができる。
【0067】
基板保持部40と電解処理部41との間には、処理液供給機構43が設けられる。かかる処理液供給機構43は、ノズル43a、43bと、移動機構43cとを有する。ノズル43aは、ウェハW上にDHF(Diluted HydroFluoric acid:希フッ酸)などの洗浄液を供給する。ノズル43bは、ウェハW上に電解めっき液を供給する。
【0068】
移動機構43cは、ノズル43a、43bを水平方向および鉛直方向に移動させることができる。すなわち、ノズル43a、43bは、基板保持部40に対して進退自在に構成される。
【0069】
また、ノズル43aは、洗浄液を貯留する図示しない洗浄液供給源と連通し、かかる洗浄液供給源からノズル43aに洗浄液が供給可能に構成される。ノズル43bは、電解めっき液を貯留する図示しないめっき液供給源と連通し、かかるめっき液供給源からノズル43bに電解めっき液が供給可能に構成される。
【0070】
なお、実施形態ではノズル43a、43bを用いてウェハW上に処理液が供給されるが、ウェハW上に処理液を供給する手段はノズルに限られず、他の種々の手段を用いることができる。
【0071】
<熱処理ユニットの概要>
次に、
図4を参照しながら、熱処理ユニット20の概略構成について説明する。
図4は、実施形態に係る熱処理ユニット20の構成を示す断面図である。熱処理ユニット20は、たとえば、ウェハWを1枚ずつ処理する枚葉式の処理ユニットとして構成される。
【0072】
図4に示すように、熱処理ユニット20は、密閉可能である筐体20aと、かかる筐体20aの内部に配置されたホットプレート20bとを備える。また、筐体20aには、ウェハWを搬入出するための搬送口(図示せず)が設けられるとともに、筐体20a内に所定の雰囲気ガスを供給するガス供給口20cと、筐体20a内から雰囲気ガスを排出するガス排出口20dとが設けられる。
【0073】
そして、ウェハWを搬送口から搬入してホットプレート20bに載置し、それぞれの熱処理に対応する雰囲気ガスを供給しながらホットプレート20bを所定の温度に昇温することにより、ウェハWに所定の熱処理を行うことができる。
【0074】
<多層配線の形成処理の詳細>
つづいて、
図5A〜
図5Eを参照しながら、実施形態に係る多層配線の形成処理の詳細について説明する。
図5A〜
図5Eは、実施形態に係る多層配線の形成処理を説明するための模式図(1)〜(5)である。
【0075】
なお、
図5A〜
図5Eに示すウェハWには図示しない素子がすでに形成されている。そして、かかる素子形成後の配線形成工程(いわゆるBEOL(Back End of Line))において、配線50上の絶縁膜60に形成されたビア70およびトレンチ71を金属配線で埋める各種処理について以下に説明する。
【0076】
図5Aに示すように、ウェハWには配線50が形成されるとともに、かかる配線50上に絶縁膜60が設けられる。配線50は、たとえば、Cu、Co、NiまたはRuを含む導電性の材料である。
【0077】
絶縁膜60は、たとえば、酸化膜61と窒化膜62とを有する。そして、配線50上に窒化膜62が所定の厚さで形成され、かかる窒化膜62上に酸化膜61が所定の厚さで形成される。窒化膜62は、たとえば、配線50がCuなどの酸化膜61内を拡散する元素で構成される場合に、かかる元素が酸化膜61内に拡散しないためのバリア膜として機能する。
【0078】
また、ウェハWには、絶縁膜60における所定の位置に、ビア70およびトレンチ71が形成される。ビア70は、絶縁膜60の上面63から配線50まで貫通するように形成される。また、トレンチ71は、絶縁膜60の上面63から絶縁膜60を貫通しない深さで形成される。すなわち、トレンチ71は、ビア70より浅く形成される。
【0079】
なお、ビア70には、多層配線構造において積層された複数の配線50の間を垂直方向に接続する金属配線が形成され、トレンチ71には、多層配線構造において複数のビア70などを水平方向に接続する金属配線が形成される。また、ビア70およびトレンチ71は、それぞれ内面70a、71aを有する。
【0080】
ここで、ウェハWの絶縁膜60にビア70およびトレンチ71を形成する方法としては、従来公知の方法から適宜採用することができる。具体的には、たとえば、ドライエッチング技術として、フッ素系または塩素系ガスなどを用いた汎用的技術を適用することができる。
【0081】
特に、アスペクト比(径に対する深さの比率)の大きなビア70を形成する手法として、高速な深掘エッチングが可能なICP−RIE(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:誘導結合プラズマ−反応性イオンエッチング)の技術を採用することができる。
【0082】
たとえば、六フッ化硫黄(SF
6)を用いたエッチングステップとC
4F
8などのガスを用いた保護ステップとを繰り返しながら行う、いわゆるボッシュプロセスを好適に採用することができる。
【0083】
図5Aに示すように、配線50上の絶縁膜60にビア70およびトレンチ71が形成されたウェハWは、上述の単分子膜形成処理ユニット16に搬入され、所定の単分子膜形成処理が行われる。かかる単分子膜形成処理は、真空チャンバ内でシランカップリング剤などのカップリング剤を気化させて吸着させる。
【0084】
これにより、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に図示しない密着膜が形成される。かかる密着膜は、後述する触媒吸着膜と、ウェハWの表面との密着性を向上させるものである。
【0085】
かかる密着膜が形成されたウェハWは、上述の触媒付与処理ユニット17に搬入され、所定の触媒付与処理が行われる。かかる触媒付与処理は、たとえば、まずウェハWに対して塩化スズ溶液を吹き付けてスズイオンをウェハW表面に吸着させ、次にウェハWに塩化パラジウム水溶液を吹き付けてスズイオンをPdイオンと置換してPdイオンを吸着させ、最後にウェハWに水酸化ナトリウムを吹き付けて余分なスズイオンを取り除くことにより行われる。
【0086】
これにより、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成された密着膜上に、触媒となるPdイオンを含んだ図示しない触媒吸着膜が形成される。
【0087】
つづいて、触媒吸着膜が形成されたウェハWは、上述の無電解めっき処理ユニット18に搬入され、まず所定のバリア膜形成処理が行われる。かかるバリア膜形成処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第1処理液供給機構32aを用いて、第1処理液であるCo−W−Bを含むめっき液がウェハW上に吐出される。
【0088】
これにより、
図5Bに示すように、上述の触媒吸着膜を触媒にして、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成された触媒吸着膜上にCo−W−B合金であるバリア膜80が形成される。
【0089】
すなわち、ここまで説明した密着膜および触媒吸着膜は、バリア膜80をウェハW上に無電解めっき処理で形成するために設けられた膜である。なお、実施形態ではバリア膜80を無電解めっき処理で形成した例について示したが、バリア膜80をPVD(Physical Vapor Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などのドライプロセスで形成してもよい。
【0090】
また、実施形態ではバリア膜80がCo−W−B合金で構成される例について示したが、バリア膜80はCo−W−B合金に限られず、後述する無電解めっき膜82(
図5D参照)や電解めっき膜83(
図5E参照)に含まれる元素が酸化膜61内に拡散することを防ぐことができる材料で構成されていればよい。
【0091】
つづいて、バリア膜80が形成されたウェハWは、上述の熱処理ユニット20に搬入され、所定の焼きしめ処理が行われる。かかる焼きしめ処理は、たとえば、不活性ガス雰囲気中でウェハWが載置されたホットプレート20bを加熱することにより、ウェハWを所定の温度(たとえば、150℃〜200℃)に昇温して行われる。
【0092】
このようにバリア膜80の焼きしめ処理を行うことにより、バリア膜80内の水分を外方へ放出することができるとともに、バリア膜80内の金属間結合を高めることができる。
【0093】
つづいて、バリア膜80が焼きしめ処理されたウェハWは、無電解めっき処理ユニット18に搬入され、所定のシード膜形成処理が行われる。かかるシード膜形成処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第2処理液供給機構32bを用いて、第2処理液であるめっき液がウェハW上に吐出される。
【0094】
これにより、
図5Cに示すように、バリア膜80を触媒にして、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成されたバリア膜80上に、シード膜81が形成される。シード膜81は、後述する無電解めっき膜82(
図5D参照)を形成する際の触媒として機能する材料で構成される。
【0095】
たとえば、無電解めっき膜82がCuまたはCu合金である場合、シード膜81はCuを含むとよく、無電解めっき膜82がCoまたはCo合金である場合、シード膜81はCoを含むとよい。
【0096】
つづいて、シード膜81が形成されたウェハWには、所定の無電解めっき処理が行われる。かかる無電解めっき処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第3処理液供給機構32cを用いて、第3処理液である無電解めっき液がウェハW上に吐出される。
【0097】
これにより、
図5Dに示すように、シード膜81を触媒にして、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成されたシード膜81上に無電解めっき膜82が形成される。
【0098】
たとえば、Cuを含んだ無電解めっき液を用いることによりCuを含んだ無電解めっき膜82を形成することができ、Coを含んだ無電解めっき液を用いることによりCoを含んだ無電解めっき膜82を形成することができる。
【0099】
ここで、実施形態では、第3処理液である無電解めっき液に所定の添加剤を添加することにより、ビア70のほうに無電解めっき膜82を選択的に成長させることができる。これにより、実施形態では、無電解めっき膜82が形成されたビア70の底部70bと、無電解めっき膜82が形成されたトレンチ71の底部71bとの高さが揃うように無電解めっき膜82を形成する。
【0100】
つづいて、無電解めっき膜82が形成されたウェハWは、上述の電解めっき処理ユニット19に搬入され、まず所定の洗浄処理が行われる。かかる洗浄処理は、たとえば、処理液供給機構43のノズル43aを用いて、洗浄液であるDHFがウェハW上に吐出される。
【0101】
これにより、無電解めっき膜82の表面に形成された自然酸化膜や付着物などが除去されることから、無電解めっき膜82の表面を清浄な状態にすることができる。したがって、実施形態によれば、後述する電解めっき処理の際に、電解めっき膜83を良好に形成することができる。
【0102】
つづいて、洗浄処理されたウェハWに、所定の電解めっき処理が行われる。かかる電解めっき処理は、たとえば、まず
図3に示した電解めっき処理ユニット19における処理液供給機構43のノズル43bを用いて、電解めっき液をウェハW上に液盛りする。
【0103】
次に、移動機構41dにより電解処理部41全体を基板保持部40に保持されたウェハWに近づけて、接触端子41cの先端部をウェハWの外周部に接触させる。またその際、ウェハWに液盛りされた電解めっき液に直接電極41bを直接接触させる。
【0104】
そして、電圧印加部42のスイッチ42bとスイッチ42cとを同時にオフ状態からオン状態に変更することにより、直接電極41bを陽極とし、ウェハWを陰極とするようにウェハWと電解めっき液とに電圧を印加して、直接電極41bとウェハWとの間に電流を流す。
【0105】
これにより、ウェハWの表面に金属イオンが還元されて、
図5Eに示すように、無電解めっき膜82を触媒にして無電解めっき膜82の表面に電解めっき膜83が析出し、ビア70およびトレンチ71の内部が電解めっき膜83で埋まる。
【0106】
たとえば、Cuを含んだ電解めっき液を用いることによりCuを含んだ電解めっき膜83を形成することができ、Coを含んだ電解めっき液を用いることによりCoを含んだ電解めっき膜83を形成することができる。
【0107】
ここで、実施形態では、無電解めっき膜82が形成されたビア70の底部70bと、無電解めっき膜82が形成されたトレンチ71の底部71bとの高さが揃うように無電解めっき膜82が形成されていることから、ビア70とトレンチ71とが同程度の高さになるように電解めっき膜83で埋めることができる。
【0108】
したがって、実施形態によれば、ビア70およびトレンチ71の内部を埋める際に、電解めっき膜83表面への凹凸の形成を抑制することができる。このため、その後のCMP処理で電解めっき膜83の表面を削る際に、CMP装置の負荷を低減することができる。
【0109】
つづいて、電解めっき膜83が形成されたウェハWは、上述の熱処理ユニット20に搬入され、所定の熱処理が行われる。かかる熱処理は、たとえば、窒素ガスと水素ガスとを所定の割合で混合したフォーミングガス雰囲気中でウェハWが載置されたホットプレート20bを加熱することにより、ウェハWを所定の温度(たとえば、400℃)に昇温して行われる。
【0110】
このように、無電解めっき膜82および電解めっき膜83に対して熱処理を行うことにより、無電解めっき膜82および電解めっき膜83を結晶化させることができることから、ビア70およびトレンチ71内部に形成された金属配線の電気抵抗を低減することができる。
【0111】
なお、ここまで説明した実施形態にかかる多層配線の形成処理は、無電解めっき膜82の形成と電解めっき膜83の形成とがインラインで行われるとよい。すなわち、実施形態では、無電解めっき処理ユニット18と電解めっき処理ユニット19とが同じ多層配線形成システム1内に設けられているとよい。
【0112】
これにより、無電解めっき膜82を形成した後電解めっき膜83を形成するまでの時間のバラツキを低減することができることから、複数のウェハWそれぞれにおいて無電解めっき膜82表面に形成される自然酸化膜の成長のバラツキを低減することができる。したがって、実施形態によれば、複数のウェハWそれぞれでバラツキの少ない電解めっき膜83を無電解めっき膜82表面に形成することができる。
【0113】
また、実施形態では、ウェハWを無電解めっき処理ユニット18から電解めっき処理ユニット19へ搬送可能な基板搬送装置22が、無電解めっき膜82の酸化を抑制するように構成されるとよい。たとえば、基板搬送装置22は、窒素ガスなどの不活性ガスを噴き出してウェハWを保持するベルヌーイチャックであるとよい。
【0114】
これにより、複数のウェハWそれぞれにおいて無電解めっき膜82表面に形成される自然酸化膜の成長のバラツキをさらに低減することができる。したがって、実施形態によれば、複数のウェハWそれぞれでさらにバラツキの少ない電解めっき膜83を無電解めっき膜82表面に形成することができる。
【0115】
また、実施形態では、基板搬送装置22のみならず、基板搬送装置21も不活性ガスを噴き出してウェハWを保持するベルヌーイチャックで構成されていてもよい。さらに、実施形態では、搬送部15全体が不活性ガス雰囲気であってもよい。
【0116】
<多層配線の形成処理の詳細>
つづいて、
図6を参照しながら、実施形態に係る多層配線の形成処理の詳細について説明する。
図6は、実施形態に係る多層配線の形成処理における処理手順を示すフローチャートである。
【0117】
なお、
図6に示す多層配線の形成処理は、実施形態に係る記憶媒体から記憶部24にインストールされたプログラムを制御部23が読み出すとともに、読み出した命令に基づいて制御部23が搬送部15や単分子膜形成処理ユニット16、触媒付与処理ユニット17、無電解めっき処理ユニット18、電解めっき処理ユニット19、熱処理ユニット20などを制御することにより実行される。
【0118】
まず、キャリアCから、基板搬送装置13と、受渡部14と、基板搬送装置21とを経由して、配線50上の絶縁膜60にビア70が形成されたウェハWを単分子膜形成処理ユニット16の内部に搬送する。
【0119】
つづいて、制御部23は、単分子膜形成処理ユニット16を制御して、ウェハWに対して単分子膜形成処理を行い、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に密着膜を形成する(ステップS101)。かかる密着膜形成処理は、たとえば、真空チャンバ内でシランカップリング剤などのカップリング剤を気化させて吸着させることにより行われる。
【0120】
次に、制御部23は、基板搬送装置21を制御して、ウェハWを単分子膜形成処理ユニット16から触媒付与処理ユニット17に搬送する。そして、制御部23は、触媒付与処理ユニット17を制御して、ウェハWに対して触媒付与処理を行い、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成された密着膜上に、触媒となるPdイオンを含んだ触媒吸着膜を形成する(ステップS102)。
【0121】
かかる触媒付与処理は、たとえば、まずウェハWに対して塩化スズ溶液を吹き付けてスズイオンをウェハW表面に吸着させ、次にウェハWに塩化パラジウム水溶液を吹き付けてスズイオンをPdイオンと置換してPdイオンを吸着させ、最後にウェハWに水酸化ナトリウムを吹き付けて余分なスズイオンを取り除くことにより行われる。
【0122】
次に、制御部23は、基板搬送装置21を制御して、ウェハWを触媒付与処理ユニット17から無電解めっき処理ユニット18に搬送する。そして、制御部23は、無電解めっき処理ユニット18を制御して、ウェハWに対してバリア膜形成処理を行い、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成された触媒吸着膜上にCo−W−B合金であるバリア膜80を形成する(ステップS103)。
【0123】
かかるバリア膜形成処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第1処理液供給機構32aを用いて、第1処理液であるCo−W−Bを含むめっき液をウェハW上に吐出することにより行われる。
【0124】
次に、制御部23は、基板搬送装置21を制御して、ウェハWを無電解めっき処理ユニット18から熱処理ユニット20に搬送する。そして、制御部23は、熱処理ユニット20を制御して、ウェハWに対して焼きしめ処理を行い、バリア膜80を焼きしめる(ステップS104)。
【0125】
かかる焼きしめ処理は、たとえば、不活性ガス雰囲気中でウェハWが載置されたホットプレート20bを加熱して、ウェハWを所定の温度に昇温することにより行われる。
【0126】
次に、制御部23は、基板搬送装置21を制御して、ウェハWを熱処理ユニット20から無電解めっき処理ユニット18に搬送する。そして、制御部23は、無電解めっき処理ユニット18を制御して、ウェハWに対してシード膜形成処理を行い、ビア70の内面70a、トレンチ71の内面71aおよび絶縁膜60の上面63に形成されたバリア膜80上に、シード膜81を形成する(ステップS105)。
【0127】
かかるシード膜形成処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第2処理液供給機構32bを用いて、第2処理液であるめっき液をウェハW上に吐出することにより行われる。
【0128】
次に、制御部23は、無電解めっき処理ユニット18を制御して、ウェハWに対して無電解めっき処理を行い、ビア70およびトレンチ71の内部で底部70b、71bの高さが揃うように無電解めっき膜82を形成する(ステップS106)。
【0129】
かかる無電解めっき処理は、たとえば、無電解めっき処理ユニット18の第3処理液供給機構32cを用いて、第3処理液である所定の添加剤が添加された無電解めっき液をウェハW上に吐出することにより行われる。
【0130】
次に、制御部23は、基板搬送装置22を制御して、ウェハWを無電解めっき処理ユニット18から電解めっき処理ユニット19に搬送する。そして、制御部23は、電解めっき処理ユニット19を制御して、ウェハWに対して洗浄処理を行い、ウェハWを洗浄する(ステップS107)。
【0131】
かかる洗浄処理は、たとえば、ウェハW上にDHFを吐出して、かかるDHFで無電解めっき膜82の表面に形成される自然酸化膜や付着物などを除去することにより行われる。
【0132】
次に、制御部23は、電解めっき処理ユニット19を制御して、ウェハWに対して電解めっき処理を行い、ビア70およびトレンチ71の内部を電解めっき膜83で埋める(ステップS108)。
【0133】
かかる電解めっき処理は、たとえば、ウェハW上に電解めっき液を液盛りし、接触端子41cの先端部をウェハWの外周部に接触させるとともに電解めっき液に直接電極41bを直接接触させる。
【0134】
そして、直接電極41bを陽極とし、ウェハWを陰極とするようにウェハWと電解めっき液とに電圧を印加して、直接電極41bとウェハWとの間に電流を流すことにより行われる。
【0135】
次に、制御部23は、基板搬送装置21を制御して、ウェハWを電解めっき処理ユニット19から熱処理ユニット20に搬送する。そして、制御部23は、熱処理ユニット20を制御して、ウェハWに対して熱処理を行い、無電解めっき膜82および電解めっき膜83を熱処理する(ステップS109)。
【0136】
かかる熱処理は、たとえば、不活性ガス雰囲気中でウェハWが載置されたホットプレート20bを加熱して、ウェハWを所定の温度に昇温することにより行われる。かかる熱処理が完了すると、ウェハWに対しての多層配線の形成処理が完了する。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上述の実施形態では、電解めっき液をウェハW上に液盛りして電解めっき処理を行った例について示したが、電解めっき処理はかかる例に限られない。たとえば、電解めっき液が貯められた電解槽内にウェハWを浸漬させることにより電解めっき処理を行ってもよい。
【0138】
実施形態に係る多層配線の形成方法は、埋め込み型の多層配線の形成方法であって、基板(ウェハW)の配線50上に設けられる絶縁膜60の所定の位置に形成され配線50まで貫通するビア70の内面70aと、絶縁膜60の所定の位置にビア70より浅く形成されるトレンチ71の内面71aとに、バリア膜80およびシード膜81を順に積層する工程(ステップS103、S105)と、ビア70およびトレンチ71の内部で底部70b、71bの高さが揃うようにビア70およびトレンチ71の内面70a、71aに無電解めっき膜82を形成する工程(ステップS106)と、ビア70およびトレンチ71の内部を電解めっき膜83で埋める工程(ステップS108)と、を含む。これにより、ビア70およびトレンチ71の内部を埋める際に、電解めっき膜83表面への凹凸の形成を抑制することができる。
【0139】
また、実施形態に係る多層配線の形成方法は、無電解めっき膜82を形成する工程(ステップS106)と電解めっき膜83で埋める工程(ステップS108)との間に、無電解めっき膜82の表面を洗浄する工程(ステップS107)を含む。これにより、電解めっき処理の際に、電解めっき膜83を良好に形成することができる。
【0140】
また、実施形態に係る多層配線形成装置は、無電解めっき膜82を形成可能な無電解めっき処理部(無電解めっき処理ユニット18)と、電解めっき膜83を形成可能な電解めっき処理部(電解めっき処理ユニット19)と、基板(ウェハW)を無電解めっき処理部(無電解めっき処理ユニット18)から電解めっき処理部(電解めっき処理ユニット19)へ搬送可能な搬送部(基板搬送装置22)と、上述の多層配線の形成方法が行われるように無電解めっき処理部(無電解めっき処理ユニット18)と電解めっき処理部(電解めっき処理ユニット19)と搬送部(基板搬送装置22)とを制御する制御部23と、を備える。これにより、複数のウェハWそれぞれでバラツキの少ない電解めっき膜83を形成することができる。
【0141】
また、実施形態に係る多層配線形成装置において、搬送部(基板搬送装置22)は、無電解めっき処理部(無電解めっき処理ユニット18)で形成された無電解めっき膜82の酸化を抑制するように構成される。これにより、複数のウェハWそれぞれでさらにバラツキの少ない電解めっき膜83を形成することができる。
【0142】
また、実施形態に係る記憶媒体は、コンピュータ上で動作し、多層配線形成システム1を制御するプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、プログラムは、実行時に、上記に記載の多層配線の形成方法が行われるように、コンピュータに多層配線形成システム1を制御させる。これにより、ビア70およびトレンチ71の内部を埋める際に、電解めっき膜83表面への凹凸の形成を抑制することができる。
【0143】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。