特許第6911289号(P6911289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6911289エンコーダ装置、回転情報取得方法、補正装置、駆動装置、及びロボット装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911289
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】エンコーダ装置、回転情報取得方法、補正装置、駆動装置、及びロボット装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20210715BHJP
   G01D 5/347 20060101ALI20210715BHJP
   G01B 21/22 20060101ALI20210715BHJP
   B25J 19/02 20060101ALI20210715BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20210715BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
   G01D5/244 B
   G01D5/347 110M
   G01B21/22
   B25J19/02
   G01B11/26 Z
   G01B7/30 H
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-125233(P2016-125233)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-227585(P2017-227585A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100134692
【弁理士】
【氏名又は名称】川村 武
(72)【発明者】
【氏名】武内 博史
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−524185(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/039204(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/038292(WO,A1)
【文献】 特開2000−65564(JP,A)
【文献】 特開2014−87863(JP,A)
【文献】 特開2010−5757(JP,A)
【文献】 特開平10−122303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/38
B23Q 1/00−1/76
B25J 19/02
G01B 7/00−7/34、
11/26、21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の回転軸に固定され、パターンが形成された回転部と、
前記パターンを検出する検出部と、
前記回転軸の支点間の長さ、及び前記支点間における前記回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、前記検出部により検出された前記回転軸の回転情報を補正する補正部と、を備える、エンコーダ装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記回転軸の軸方向が水平方向から垂直方向までの任意の方向に関する情報を使って、前記回転軸の回転情報を補正する、請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記回転軸の剛性及び前記回転軸の端部に生じるモーメントから前記回転軸の傾きを計算して、前記検出部に対する前記パターンの位置ずれ量に応じて前記回転情報を補正する、請求項1又は請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記位置ずれ量に応じた前記回転部の変動量に基づいて前記回転情報を補正する、請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記補正部は、前記回転軸に重さの異なる負荷を前記回転軸の軸方向と直交する方向にかけたときの前記回転軸の端部の傾きを測定して求めた前記回転軸の剛性から前記回転軸の傾きを計算する、請求項3又は請求項4に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記補正部は、(モーメント=−回転軸の重さ×回転軸の長さ/12)で表される式で計算された前記回転軸の端部のモーメントから前記回転軸の傾きを計算する、請求項3又は請求項4に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記回転情報を補正するための補正値を記憶する記憶部を備える、請求項1から請求項6のいずれか項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記パターンは光学パターンであり、
前記検出部は、前記光学パターンによる反射光または透過光を検出する、請求項1から請求項7のいずれか項に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
前記パターンは磁気パターンであり、
前記検出部は、前記磁気パターンによる磁場を検出する、請求項1から請求項7のいずれか項に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記補正部は、前記回転軸の姿勢を制御する制御装置により供給される情報を用いて前記回転情報を補正する、請求項1から請求項9のいずれか項に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
動装置の高速回転軸に固定された高速回転部に備えるパターンを検出部により検出する第1エンコーダ部と、前記高速回転軸に対して減速機を介して減速された低速回転軸に固定された低速回転部に備えるパターンを検出部により検出する第2エンコーダ部と、を備えるダブルエンコーダ装置であり、
前記補正部は、少なくとも前記低速回転軸の回転情報に対して補正する、請求項1から請求項10のいずれか項に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
前記ダブルエンコーダ装置は、基端側の水平軸に回転可能に設けられたアームの先端側に配置され、
前記補正部は、前記アームを前記水平軸まわりに一方向に回転させながら1以上の位置において取得した前記第1エンコーダ部の値と第2エンコーダ部の値との差を算出し、かつ、前記アームを前記一方向と反対方向に回転させながら1以上の位置において取得した前記第1エンコーダ部の値と第2エンコーダ部の値との差を算出し、それぞれの差から、重力負荷に応じて前記回転情報を補正する、請求項11に記載のエンコーダ装置。
【請求項13】
測定対象の回転軸に固定される回転部に形成されたパターンを検出することと、
前記検出の結果を用いて、前記回転軸の回転情報を算出することと、
前記回転軸の支点間の長さ、及び前記支点間における前記回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、前記回転軸の回転情報を補正することと、を含む、回転情報取得方法。
【請求項14】
エンコーダ装置の検出部から出力される回転軸の回転情報に関して、前記回転軸の支点間の長さ、及び前記支点間における前記回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、前記回転軸の回転情報を補正する、補正装置。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか項に記載のエンコーダ装置と、
前記回転軸に駆動力を供給する駆動部と、を備える駆動装置。
【請求項16】
請求項15に記載の駆動装置を備えるロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、回転情報取得方法、補正装置、駆動装置、及びロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転情報(回転位置情報という場合もある。)を検出するエンコーダ装置は、駆動装置(例えば、モータ装置)などの各種装置に搭載されている(例えば、下記特許文献1参照)。エンコーダ装置は、例えば、駆動装置の回転軸に設けられて回転する回転部を備え、この回転部のパターンからの光又は磁気を検出部により検出して回転情報を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−315863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンコーダ装置は、回転情報を精度よく取得可能なことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に係るエンコーダ装置は、測定対象の回転軸に固定され、パターンが形成された回転部を備えてよい。エンコーダ装置は、パターンを検出する検出部を備えてよい。エンコーダ装置は、回転軸の支点間の長さ、及び支点間における回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、検出部により検出された回転軸の回転情報を補正する補正部を備えてよい
【0006】
本発明の態様に係る回転情報取得方法は、測定対象の回転軸に固定される回転部に形成されたパターンを検出することを含んでよい。回転情報取得方法は、検出の結果を用いて、回転軸の回転情報を算出することを含んでよい。回転情報取得方法は、回転軸の支点間の長さ、及び前記支点間における前記回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、前記回転軸の回転情報を補正することをんでよい
【0007】
本発明の態様に係る補正装置は、エンコーダ装置の検出部から出力される回転軸の回転情報に関して、回転軸の支点間の長さ、及び支点間における回転軸の自重に基づくモーメントに基づいて、回転軸の回転情報を補正してよい
【0008】
本発明の態様に係る駆動装置は前述とおりのエンコーダ装置を備えてよい。駆動装置は、回転軸に駆動力を供給する駆動部を備えてよい
【0009】
本発明の態様に係るロボット装置は前述とおりの駆動装置を備えてよい
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るエンコーダ装置を備えるロボット装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
図3】回転部及び検出部を示す図である。
図4】補正値の説明図である。
図5】回転軸の剛性の測定方法及び測定結果の一例を示す図である。
図6】回転軸に対する検出部の位置と検出部による検出の誤差の説明図である。
図7】補正部による補正の説明図である。
図8】エンコーダ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係るエンコーダ装置を示す図である。
図10】第2実施形態に係るエンコーダ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る駆動装置の一例を示す図である。
図12】実施形態に係るロボット装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の図面において、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現する。また、以下の各図に示すXYZ座標系を適宜用いて方向を説明する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、適宜、図中の矢印の方向が+方向(例、+X方向)であり、その反対方向が−方向(例、−X方向)であるとする。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るエンコーダ装置を備えるロボット装置を示す図であり、(A)は−X方向から見た図、(B)は−Y方向から見た図である。本実施形態のエンコーダ装置ECは、例えば、図1に示すように、ロボット装置RBT1に備えられる。
【0013】
まず、ロボット装置RBT1について説明する。ロボット装置RBT1は、支持部1と、第1アーム2(可動部)と、エンコーダ装置EC1と、第2アーム3と、エンコーダ装置EC2と、本実施形態のエンコーダ装置ECと、を備える。
【0014】
支持部1は、例えば、第1アーム2を支持する。支持部1は、例えば、モータ、アクチュエータ等の駆動装置5に駆動され、鉛直方向(Z方向)に平行な鉛直軸AX1を中心軸として回転する。駆動装置5の回転情報は、例えば、エンコーダ装置EC1に検出される。エンコーダ装置EC1の検出結果は、制御装置6に出力される。駆動装置5は、制御装置6に接続され、駆動装置5の駆動は制御装置6に制御される。
【0015】
第1アーム2は、例えば、モータ、アクチュエータ等の駆動装置7に駆動され、その基端側(−Z方向の端側)のX方向に平行な水平軸AX2を中心軸として回転する。駆動装置7の回転情報は、例えば、筐体8に備えられるエンコーダ装置EC2に検出される。エンコーダ装置EC2の検出結果は、制御装置6に出力される。駆動装置7は、制御装置6に接続され、駆動装置7の駆動は制御装置6に制御される。
【0016】
第2アーム3は、例えば、第1アーム2の先端側(+Z方向の端側)に、第1アーム2に対して回転可能に接続される。第2アーム3は、第1アーム2の駆動により可動する。第2アーム3は、例えば、後に図2で説明する駆動部14に駆動され、X方向に平行な水平軸AX3を中心軸として回転する。駆動部14は、制御装置6に接続され、駆動部14の駆動は、制御装置6に制御される。
【0017】
筐体10は、例えば、第2アーム3の基端側(−Y方向の端側)に設けられる。筐体10は、第2アーム3の−X方向の端側に接続される。筐体10は、例えば、X方向に延びる筒状であり、その内部に本実施形態に係るエンコーダ装置ECと、第2アーム3を駆動する駆動部14を収容する。筐体10は、第1アーム2の駆動により可動する。
【0018】
次に、本実施形態のエンコーダ装置ECを説明する。図2は、本実施形態に係るエンコーダ装置を示す−Y方向から見た断面図である。エンコーダ装置ECは、例えば、第1エンコーダ部11と、第2エンコーダ部12と、EC制御部13を備えるダブルエンコーダ装置である。第1エンコーダ部11及び第2エンコーダ部12は、半負荷側に配置され、負荷等による汚染が防止される。
【0019】
第1エンコーダ部11は、例えば、駆動部14の高速回転軸15(回転軸)の回転情報(回転位置情報)を検出する。駆動部14は、例えば、モータ、アクチュエータ等である。第1エンコーダ部11は、高速回転軸15の−X方向の端部に配置される。駆動部14は、高速回転軸15と接続され、高速回転軸15を回転駆動する。高速回転軸15は、例えばモータのシャフト(回転子)である。高速回転軸15は、例えば、X方向に延びる筒状である。高速回転軸15は、例えば、その+X方向の端部において軸受16aに支持され、−X方向の端部において軸受16bに支持される。高速回転軸15は、駆動部14に駆動され、X方向に平行な軸AX3を中心軸として回転する。
【0020】
なお、回転情報は、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26(後に説明する))の回転の数を表す多回転情報、及び回転軸の1回転未満の角度位置(回転角)を表す角度位置情報を含む。多回転情報は、例えば、1回転、2回転というように回転の数を整数で表した情報でもよいし、360°、720°というように回転の数を角度(例、360°の整数倍)で表した情報でもよい。角度位置情報は、90°、120°、270°といった情報であり、回転情報は、例えば、1回転と90°(450°)というように、1回転未満の回転角と1回転以上の回転角とを区別可能な情報である。なお、回転情報、多回転情報、及び角度位置情報の少なくとも一つは、度(°)以外の次元(例、ラジアン)で表されてもよいし、その数値が2進数など(例、所定のビット数のデジタルデータ)で表されてもよい。
【0021】
第1エンコーダ部11は、例えば、回転部17a(高速回転部)と、検出部18aと、を備える。図3は、回転部及び検出部を示す図である。回転部17aは、例えば、円盤状の部材である。回転部17aは、例えば、+X方向の面及び−X方向の面がYZ平面に平行な板状のものが用いられる。回転部17aは、高速回転軸15(図2参照)に固定され、高速回転軸15に対して垂直またはほぼ垂直に配置される。また、回転部17aの中心は、高速回転軸15の中心軸AX3を通るように配置される。回転部17aの素材は、それぞれ、任意であり、例えば、金属、樹脂等により形成される。
【0022】
回転部17aは、パターン20aを備えている。パターン20aは、回転部17aの−X方向の面に円環状(リング状)に設けられる。パターン20aの中心は、例えば高速回転軸15の中心にほぼ一致する。パターン20aは、同心円状に形成されるインクリメンタルパターン及びアブソリュートパターンの少なくとも一方を含む。パターン20aは、例えば光反射パターンであるが、これに限定するものではなく、光透過パターンであってもよい。
【0023】
検出部18aは、パターン20aを検出する。検出部18aは、例えば、回転部17aのうちパターン20aが形成された面に対向して配置される。検出部18aは、パターン20aに対して光を照射する光照射部(図示せず)と、パターン20aに照射されて反射した光を検出する受光部(図示せず)と、を有している。光照射部は、例えば発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光照射部は、発光ダイオード以外の固体光源(例、レーザダイオード)を含んでもよいし、ランプ光源を含んでもよい。受光部としては、例えば、フォトダイオードなどの光電素子(光電変換素子)などが用いられる。受光部は、パターン20aからの光を検出し、検出部18aは、第1エンコーダ制御部(第1EC制御部)32に接続され、その検出結果として受光部の出力電圧を第1EC制御部30に出力する。受光部は、例えば、受光した光の量に応じた電圧(以下、出力電圧という)を出力する。検出部18aは、例えば、その検出結果として、受光部の出力電圧を有線または無線を用いた通信によって第1EC制御部30に出力する。
【0024】
図2の説明に戻り、高速回転軸15は、例えば、その+X方向において、減速機22(変速機)と接続される。減速機22は、例えば、高速回転軸15の回転速度を減じて(変更して)出力する機械装置である。減速機22は、例えば、円筒状のシャフト23を介してトルク制限機構24に接続される。高速回転軸15の回転は、例えば、減速機22により減速されて、トルク制限機構24に伝達される。トルク制限機構24は、出力するトルクを規制する。トルク制限機構24は、例えば、第1部分24aと、第2部分24bと、を備える。第1部分24aはトルク制限機構24の入力部である。第2部分24bはトルク制限機構24の出力部である。シャフト23は第1部分24aに接続される。第1部分24aは、第2部分24bに規制したトルクを出力する。第2部分24bは第2アーム3と接続され、第2部分24bから出力されるトルクにより第2アーム3は駆動する。第2アーム3は、トルク制限機構24により規制されたトルクで駆動されるため、必要以上のトルクで駆動される。また、第1部分24aには、低速回転軸26の+X方向の端部が接続される。
【0025】
低速回転軸26(回転軸)は、シャフト23の内部及び高速回転軸15の内部に配置される。低速回転軸26は、+X方向の端部において軸受16cに支持され、−X方向の端部において軸受16dに支持される。低速回転軸26は、高速回転軸15と同軸に配置され、高速回転軸15と同様に軸AX3を回転中心として回転する。低速回転軸26は、第1部分24aの駆動力が伝達される。低速回転軸26は、高速回転軸15に対して減速機22を介して減速される。低速回転軸26は、第2エンコーダ部12に接続される。
【0026】
第2エンコーダ部12は、例えば、低速回転軸26の−X方向の端部に配置される。第2エンコーダ部12は、例えば、回転部17b(低速回転部)と、検出部18bと、軸部19bと、を備える。回転部17bは、X方向と平行な方向に延びる軸部19bに固定される。軸部19bの中心は、低速回転軸26の中心軸AX3を通るように配置される。回転部17bは、軸部19bを介して、低速回転軸26に固定され、低速回転軸26に対して垂直またはほぼ垂直に配置される。回転部17bは、図3に示す回転部17aと同様であり、図3に示すパターン20aと同様のパターン20bを有する。検出部18bは、図3に示す検出部18aと同様であり、パターン20bを検出する。第2エンコーダ部12は、例えば、低速回転軸26に軸部19bを介して固定された回転部17bに備えるパターン20bを検出部18bにより検出する。第2エンコーダ部12は、低速回転軸26の回転情報を検出する。検出部18bは、第2EC制御部31に接続され、その検出結果として受光部の出力電圧を第2EC制御部31に出力する。なお、第2エンコーダ部12は、軸部19bを備えなくてもよい。例えば、回転部17bは、軸部19b以外の接続機構により、低速回転軸26に接続されてもよい。
【0027】
EC制御部13は、第1EC制御部30と、第2EC制御部31と、補正部32と、を備える。第1EC制御部30は、検出部18aの検出結果を用いて、高速回転軸15の回転情報を算出する。第1EC制御部30は、第1回転情報算出部34を備える。第1回転情報算出部34は、例えば、信号処理回路(図示せず)を含み、この信号処理回路は、受光部の出力電圧を適宜増幅し、A/D変換する。第1回転情報算出部34は、受光部の出力電圧をデジタル形式に変換した電気信号に基づいて、高速回転軸15の回転情報(例、角度位置情報)を算出する。第2EC制御部31は、第2回転情報算出部35を備える。第2回転情報算出部35は、第1回転情報算出部34と同様である。第2回転情報算出部35は、例えば、検出部18bの受光部の出力電圧に基づいて、低速回転軸26の回転情報(角度位置)を算出する。EC制御部13は、例えば、第2回転情報算出部35が算出した回転情報を用いて、高速回転軸15の多回転情報を算出する。EC制御部13は、例えば、回転情報として、高速回転軸15の多回転情報と角度位置情報とを合成した情報を算出(生成)する。第1回転情報算出部34及び第2回転情報算出部35は、それぞれ、個別に、補正部32と接続される。なお、補正部32は、第1回転情報算出部34及び第2回転情報算出部35のそれぞれに個別に設けられてもよい。
【0028】
ところで、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)は、回転軸の状態、例えば、回転軸の姿勢によっては、自重による変形(たわみ)が生じる場合がある。また、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)は、第1アーム2(可動部)の可動状態によっては、回転軸に加速度による荷重が生じ、変形が生じる場合がある。回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)に変形が生じる場合、回転部(回転部17a、回転部17b)の位置ずれ(例、回転軸に対する傾きの変化)が生じ、その結果、検出部(検出部18a、検出部18b)の検出結果から得られる((第1回転情報算出部34、第2回転情報算出部35)が算出する)回転情報に誤差が生じる。本実施形態に係るエンコーダ装置ECは、上記のような回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の変形による回転情報の誤差を、補正部32により補正することができる。
【0029】
例えば、上記のような回転軸の変形による回転情報の誤差は、回転軸の状態に応じて異なる。補正部32は、例えば、上記した回転軸の状態に関する状態情報に基づいて、検出部(検出部18a、検出部18b)により検出された回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の回転情報を補正する。回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の状態情報は、例えば、回転軸の位置(例、回転軸の水平面に対する傾き)を示す姿勢情報、第1アーム2(可動部)による回転軸の運動状態(例、第1アーム2(可動部)の可動により回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)が可動する速度、加速度)を含む。
【0030】
補正部32は、例えば、テーブルデータで表される補正値、あるいは数式で算出される補正値を用いて、回転情報算出部(第1回転情報算出部34、第2回転情報算出部35)が算出した回転情報を補正する。補正値は、例えば、物理学的理論(例、梁理論)に基づく理論値、実験値、有限要素法(FEM)、有限要素解析(FEA)等を用いたシミュレーションによる解析値等により設定可能である。
【0031】
補正部32は、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転情報を補正する。回転情報の補正に用いられる補正値は、例えば、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて設定される。補正値は、例えば、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の端部のモーメントに基づいて設定される。
【0032】
図4は、補正値の説明図であり、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の中心軸AX3が水平方向と平行である条件下で、回転軸を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントを示す図である。図4は、図2に示す低速回転軸26を梁38と仮定し、また、梁38の両端を固定する部分(部分39a、部分39b)を、それぞれ、図2に示す軸受16d、軸受16cと仮定した場合を示す。
【0033】
まず、図4を参照して、低速回転軸26が水平方向と平行である場合に低速回転軸26に作用するモーメントについて説明する。低速回転軸26の軸受16dから軸受16cまでの長さをl(mm)とし、軸受16dから軸受16cまでの低速回転軸26の重さ(全荷重)をW(N)とし、軸受16dから軸受16cまでの低速回転軸26に渡って単位長さあたりw(N/mm)の等分布荷重がかけられているとする場合、これらの関係は、下記の式(1)で表される。W(N)は、例えば、低速回転軸26の体積及び比重から算出できる。
【0034】
【数1】
【0035】
また、固定端AにおけるモーメントMA、及び固定端BにおけるモーメントMBは、下記の式(2)で表される。
【0036】
【数2】
【0037】
また、低速回転軸26の軸受16dから軸受16cまでの部分の中央部分の断面CにおけるたわみδC(mm)は、低速回転軸26においてたわみが最大の部分である。断面2次モーメントをI(mm)、縦弾性係数をE(N/mm)としたとき、たわみδCは下記の式(3)で表される。
【0038】
【数3】
【0039】
なお、断面2次モーメントは、材料固有の値であり、材料の形状情報により算出することができる。例えば、低速回転軸26の断面が直径dの円である場合、断面2次モーメントIは、I=πd/4で表される。また、縦弾性係数は、材料固有の値であり、例えば、低速回転軸26に対して軸方向の引張の応力をかけ、低速回転軸26の軸方向のひずみが生じた場合、縦弾性係数は、軸方向の引張の応力を軸の方向のひずみで除することにより算出することができる。なお、補正部32は、上記の式(3)を用いなくても、補正値を算出することができる。
【0040】
補正部32は、例えば、位置ずれ量に応じた回転部17bの変動量に基づいて、検出部18bにより検出された低速回転軸26の回転情報を補正する。例えば、補正部32は、回転軸の剛性及び低速回転軸26の端部に生じるモーメントから変形による回転軸の傾きを計算して、検出部18bに対するパターン12bの位置ずれ量に応じて、第2回転情報算出部35により算出された低速回転軸26の回転情報を補正する。
【0041】
回転軸の剛性(例、横弾性係数)は、例えば、軸方向と直交する方向の応力を、軸方向と直交する方向のひずみで除することにより算出される。例えば、回転軸の剛性は、回転軸に重さの異なる負荷を回転軸の軸方向と直交する方向にかけたときの回転軸の端部の傾きを測定して求めることができる。この測定方法の例を上方から見た図を図5(A)に示す。なお、回転軸の剛性および回転軸の端部の傾きの測定方法は、以下に説明する測定方法に限定されず任意である。
【0042】
図5(A)に示す測定方法の例では、回転軸の剛性として、軸部19bの剛性を測定する。例えば、本測定方法では、例えば、図2に示す第2エンコーダ12の回転部17bおよび軸部19bを、低速回転軸26から取り外したものを用いる。まず、回転部17bのパターン20bを有する面に、ミラーMを固定する。ミラーMは平面状であり、回転部17bのパターン20bを有する面に固定される。続いて、回転部17bおよび軸部19bを支持する筐体27を固定装置Zで固定する。続いて、軸部19bに重りWを載せて、下方向の負荷を軸部19bにかける。続いて、コリメータCMによりミラーMの傾きを測定することにより、軸部19bの傾きを測定する。この測定を、重りWの重さを変えて複数回行い、複数の異なる負荷をかけたときの軸部19bの傾きを測定する。図5(B)に、この測定結果の一例を示す。なお、図5(B)において、縦軸は、変形による軸部19bの傾きを示し、横軸は軸部19bにかけた負荷をラジアルモーメント(N・mm)で表した値を示す。図5(B)に示すラジアルモーメントの値に対する軸部19bの傾きを表す直線の傾き(例、0.1424(N・mm/arc−sec))は、軸部19bの剛性を意味する。異なる重さの負荷をかけた場合においても、グラフは高い直線性を有し、測定された軸部19bの剛性は高い精度であることが確認される。なお、補正部32は、予め求められた回転軸(軸部19b)の剛性を用いてもよいし、回転軸の剛性を計算により算出してもよい。
【0043】
モーメントによる変形に伴う低速回転軸26の端部の傾き(軸部19bの傾き)θ1は、例えば、軸剛性G(arc−sec/N・mm)としたときに、下記の式(4)で表される。なお、補正部32は、予め求められた回転軸(軸部19b、低速回転軸26)の傾きを用いてもよいし、回転軸の傾きを算出してもよい。
【0044】
【数4】
【0045】
検出部18bに対するパターン12の位置ずれ量X(mm)は、例えば、軸受16dのX方向と平行な方向における中央部分から、回転部17bの−X方向の端面までの距離をL1(図1参照)としたとき、下記の式(5)で表される。
【0046】
【数5】
【0047】
また、検出部18bに対するパターン12bの位置ずれ量X(mm)のとき、検出部18bの検出結果に含まれる低速回転軸26の変形による誤差(以下、変形による誤差という)θ2(arc−sec)は、例えば、パターン12bの半径(各パターン12bの中心部分と回転部17bの中心との距離)をRとしたとき、下記の式(6)で表される。
【0048】
【数6】
【0049】
なお、低速回転軸26の中心軸AX3が鉛直方向と平行である場合、中心軸AX3に対して、水平方向に平行な軸周りのモーメントが生じないため、上記した変形による回転軸9の傾きは0になり、例えば、エンコーダ装置ECが検出する低速回転軸26の上記の変形による誤差も0になる。
【0050】
上記の算出方法によれば、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の変形による誤差を簡便に算出できる。上記算出方法(式(1)〜式(6))を用いた計算例を下記の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
なお、表1に示した結果が得られたものと同じエンコーダ装置ECにおいて、変形による誤差(表1のθ2)を2回実測したところ、6(LSB/20bit)、8(LSB/20bit)であった。表1に示す誤差θ2である7.1(arc−sec)は、換算すると5.7(LSB/20bit)である。このように、上記算出方法により求められる変形による誤差は、実測値に近い値であり、精度が高い値であることが確認される。なお、「LSB/20bit」は、回転部の0〜360°の角度位置分解能が20bitのときの値を意味する。
【0053】
なお、図4図5、及び式1から式6等では、低速回転軸26の補正値について説明したが、高速回転軸15等の回転軸の補正値も、上記した低速回転軸26の補正値と同様に算出できる。
【0054】
ところで、エンコーダ装置ECにおいて、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)に対する検出部(検出部18a、検出部18b)の位置の違いにより、変形による誤差は、変化する。図6は、回転軸に対する検出部の位置と検出部による検出の誤差の説明図である。図6(A)及び図6(B)は、検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX2に対して側方の部分に設けられる例を示し、図6(C)及び図6(D)は、検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX3に対して上方あるいは下方の部分に設けられる例を示す。表2には、実測値を示す。なお、低速回転軸26の中心軸AX3が鉛直方向の場合も対象として実測を行った。
【0055】
【表2】
【0056】
例えば、図2に示したように低速回転軸26の中心軸AX3が水平方向に位置する場合、低速回転軸26は、自重により下方(−Z方向)にたわむことにより、検出部18bに対するパターン12bの位置ずれは、Z方向に生じる。これにより、図6(C)及び図6(D)に示すように検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX3に対して上方あるいは下方に設けられる場合と、図6(A)及び図6(B)に示すように検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX3に対して側方の部分に設けられる場合とで、検出部18bに対するパターン12bの位置ずれ量が異なり、図6(C)及び図6(D)に示す検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX3に対して上方あるいは下方に設けられる場合の方が、検出部18bに対するパターン12の位置ずれ量が小さくなる。したがって、エンコーダ装置ECにおいて、低速回転軸26に対する検出部18bの位置は、図6(C)及び図6(D)に示すように検出部18bが低速回転軸26の中心軸AX3に対して上方あるいは下方に設けられる場合、低速回転軸26の自重による誤差を少なくすることができる。なお、図6及び表2には、低速回転軸26及び検出部2bの例を示すが、高速回転軸15と検出部2aにおいても、低速回転軸26及び検出部2bの例と同様である。
【0057】
なお、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の中心軸AX3が水平方向に対して角度αに位置する場合においても、変形による誤差は、例えば、上記算出方法を適用、応用することにより、理論的に算出される。また、可動部(第1アーム2)が所定の加速度で可動し回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)に所定の負荷(荷重)がかかる場合、変形による誤差は、上記算出方法を適用、応用して、例えば、分布荷重に加速度による負荷を加味することで、理論的に算出される。なお、これらの場合における変形による誤差は、上記したように、実験による測定値、あるいはシミュレーションによる算出値により設定してもよい。
【0058】
補正部32は、第1回転情報算出部34により算出される高速回転軸15の回転情報、及び第2回転情報算出部35により算出される低速回転軸26の回転情報に対して補正する。補正部32は、例えば、高速回転軸15の状態に関する状態情報に基づいて、第1回転情報算出部34により算出された低速回転軸26の回転情報を補正する。補正部32は、高速回転軸15を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転情報を補正する。補正部32は、例えば、低速回転軸26の状態に関する状態情報に基づいて、第2回転情報算出部35により算出された低速回転軸26の回転情報を補正する。補正部32は、低速回転軸26を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転情報を補正する。なお、補正部32は、少なくとも低速回転軸26の回転情報に対して補正を行えばよく、例えば、補正部32は、高速回転軸15の補正を行わなくてもよい。補正部32が低速回転軸26の回転情報に対して補正を行う場合、精度よく負荷(第2アーム3)を制御することができる。
【0059】
補正部32は、例えば、記憶部37を備える。記憶部37は、例えば、回転情報を補正するための補正値を記憶する。記憶部37は、例えば、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の状態情報に対応する補正値が記憶される。例えば、補正部32は、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の状態情報に対応する補正値を記憶部37から読みだし、読みだした補正値を使って、高速回転軸15あるいは低速回転軸26の回転情報を補正する。
【0060】
また、補正部32は、例えば、第1アーム2を水平軸AX2(図1参照)まわりに一方向に回転させながら1以上の位置において取得した第1エンコーダ部11の値と第2エンコーダ部12の値との差(以下、「差A」という。)を算出し、かつ、第1アーム2を一方向と反対方向に回転させながら1以上の位置において取得した第1エンコーダ部11の値と第2エンコーダ部12の値との差(以下、「差B」という。)を算出し、それぞれの差(以下、「差C」という。)から、重力負荷に応じて回転情報を補正する。補正部32は、例えば、1つの位置で算出した上記差Aと1つの位置で算出した差Bとを用いて、差Cを算出する場合、例えば、補正部32は、第1アーム2の位置が同じ位置において算出した差Aと差Bとを用いて差Cを算出する。例えば、この場合、補正部32は、差Cを、差Aと差Bとの差から算出する。補正部32が算出する差A、差B及び差Cは、例えば、回転情報を補正する補正値である。なお、補正部32が、複数の位置において算出した差A、あるいは、複数の位置において算出した差Bを用いて差Cを算出する場合、差Aを算出する第1アーム2の位置と差Bを算出する第1アーム2の位置とが異なっていてもよい。このような場合等において、例えば、補正部32は、第1アーム2の各まわり方向の各位置における差Aおよび差Bに相当する値を、取得した差Aおよび差Bに基づいて、計算により求めて差Cを得てもよい。
【0061】
例えば、第1アーム2が水平軸AX2周りで且つ上方向(+Z方向)に回転する場合、高速回転軸15及び低速回転軸26には、下方向の重力に加えて、第1アーム2の加速度に応じた上方向の荷重がかかる。一方、第1アーム2が水平軸AX2周りで且つ下方向(−Z方向)に回転する場合、高速回転軸15及び低速回転軸26には、下方向の重力に加えて、第1アーム2の加速度に応じた下方向の荷重がかかる。このため、例えば、図7に示すように第1アーム2が同じ位置に位置していても、第1アーム2の回転方向により、高速回転軸15及び低速回転軸26にかかる荷重が異なる。この場合、第1アーム2が同じ位置に位置していても第1アーム2の回転方向により、高速回転軸15及び低速回転軸26のそれぞれの回転情報の誤差も異なる。本実施形態の補正部32は、このような回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、回転情報を補正する。なお、補正部32が、上記した回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、回転情報を補正するか否かは任意である。
【0062】
図2の説明に戻り、EC制御部13は、例えば、第1アーム2の駆動を制御する制御装置6と有線または無線により通信可能に接続される。制御装置6は、例えば、EC制御部13に第1アーム2の状態情報を出力する。例えば、制御装置6は、第1アーム2を駆動する駆動装置7によって回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)を目標位置に移動させる際に、その目標位置(例、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の姿勢、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)と水平方向との角度をEC制御部13に供給する。補正部32は、例えば、制御装置6から供給された目標位置(状態情報)を用いて、高速回転軸15の回転情報及び低速回転軸26の回転情報を補正する。
【0063】
また、補正部32は、例えば、上記した回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、高速回転軸15の回転情報及び低速回転軸26の回転情報を補正する。なお、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の姿勢に関する状態情報は、制御装置6により供給されることに限定されず、例えば、第1アーム2の位置、速度、加速度を検出するセンサ等により供給されてもよい。EC制御部13は、例えば、補正部32により補正された高速回転軸15の角度位置情報と、補正部32により補正された低速回転軸26の角度位置情報と、を使って高速回転軸15の多回転情報を算出する。EC制御部13は、算出した高速回転軸15の多回転情報と角度位置情報とを合成し、回転情報を算出する。駆動部14の制御部(例、サーボアンプ)は、EC制御部13と通信可能に接続され、EC制御部13からの回転情報を用いて高速回転軸15の回転を制御する。
【0064】
次に、第1実施形態のエンコーダ装置ECの動作に基づいて、第1実施形態に係る回転情報取得方法について説明する。図8は、エンコーダ装置ECの動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
ステップS1において、検出部18aは、高速回転軸15に固定される回転部17aに形成されたパターン20aを検出する。ステップS2において、検出部18bは、低速回転軸26に固定される回転部17bに形成されたパターン20bを検出する。ステップS1とステップS2とは平行して行われる。
【0066】
ステップS3において、第1回転情報算出部34は、検出部18aの検出結果を用いて高速回転軸15の角度位置情報を算出する。ステップS4において、第2回転情報算出部35は、検出部18bの検出結果を用いて低速回転軸26の角度位置情報を算出する。ステップS3とステップS4とは平行して行われる。
【0067】
ステップS5において、補正部32は、高速回転軸15を等分布荷重の両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、第1回転情報算出部34が算出した高速回転軸15の角度位置情報を補正する。また、補正部32は、上記した回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、高速回転軸15の角度位置情報を補正する。なお、補正部32が回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、高速回転軸15の角度位置情報を補正するか否かは任意である。
【0068】
ステップS6において、補正部32は、低速回転軸26を等分布荷重の両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、第2回転情報算出部35が算出した低速回転軸26の角度位置情報を補正する。また、補正部32は、上記した回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、低速回転軸26の角度位置情報を補正する。なお、補正部32が上記した回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、低速回転軸26の角度位置情報を補正するか否かは任意である。ステップS5とステップS6は、平行して行われる。
【0069】
ステップS7において、EC制御部13は、補正部32により補正された高速回転軸15の角度位置情報と、補正部32により補正された低速回転軸26の角度位置情報と、を使って高速回転軸15の多回転情報を算出する。
【0070】
ステップS8において、EC制御部13は、算出した高速回転軸15の多回転情報と高速回転軸15の角度位置情報とを合成する。これにより、EC制御部13は、高速回転軸15の回転情報を算出する。なお、EC制御部13は、低速回転軸26の多回転情報を含む回転情報を算出してもよい。
【0071】
本実施形態に係るエンコーダ装置EC、及び回転情報取得方法は、検出部(検出部18a、検出部18b)の検出結果を用いて算出した回転情報について、回転軸(高速回転軸15、低速回転軸26)の状態に応じて生じる誤差を補正部32によって精度よく補正することができる。以上のように、第1実施形態に係るエンコーダ装置EC、及び回転情報取得方法は、回転情報を精度よく取得可能である。
【0072】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0073】
図9は、第2実施形態に係るエンコーダ装置ECの一例を示す−Y方向から見た断面図である。本実施形態のエンコーダ装置ECは、回転部17と、検出部18と、軸部19と、エンコーダ制御部(EC制御部)13と、を備えている。エンコーダ装置ECは、例えば、ロボット装置のアームなどの可動部40に設けられる駆動部14の回転情報を検出する。可動部40は、例えば、駆動装置42の駆動により、Y方向と平行な軸AX4を中心軸として回転する。駆動装置42は、例えば、モータ、アクチュエータ等である。駆動装置42は、例えば、制御装置43により駆動が制御される。エンコーダ装置ECは、駆動部14の回転情報を、例えば可動部40の姿勢、加速度等の状態に応じて補正する。
【0074】
エンコーダ装置ECは、駆動部14の回転軸45の回転情報(回転位置情報)を検出する。回転軸45は、例えばモータのシャフト(回転子)であるが、負荷に接続される作用軸(出力軸)でもよい。作用軸は、例えば、モータのシャフトに変速機などの動力伝達部を介して接続される。回転軸45は、例えば、可動部40に設けられる軸受16f及び軸受16gにより支持され、中心軸AX5(回転中心軸)を中心として回転する。
【0075】
回転部17は、X方向と平行な方向に延びる軸部19に固定される。軸部19は、第1実施形態の軸部19bと同様の構成である。回転部17は、例えばモータ等の駆動部14の回転軸45の反負荷側に、軸部19を介して固定される。反負荷側は、回転軸45のうち駆動部14の回転軸45によって駆動される回転対象物が接続される側とは反対側である。回転部17が反負荷側に配置される場合、回転対象物がある負荷等などからの汚れ(例、油)が回転部17まで飛散して付着することが抑制される。
【0076】
回転部17は、第1実施形態の回転部17aと同様の構成であり、パターン20を備えている。検出部18は、第1実施形態の検出部18aと同様の構成であり、パターン20を検出する。検出部18は、その検出結果に相当する電気信号をEC制御部13に供給する。検出部18は、例えば、その検出結果として、受光部の出力電圧を有線または無線を用いた通信によってEC制御部13に出力する。
【0077】
EC制御部13は、例えば、回転情報算出部47と、補正部32と、を備える。回転情報算出部47は、第1実施形態の第1回転情報算出部34と同様である。回転情報算出部47は、検出部18の検出結果を用いて、回転軸45の回転情報を算出する。回転情報算出部47は、受光部の出力電圧をデジタル形式に変換した電気信号に基づいて、回転軸45の回転情報(例、角度位置情報)を算出する。
【0078】
補正部32は、第1実施形態と同様に、回転軸45の変形による回転情報の誤差を、補正部32により補正する。補正部32は、例えば、上記した回転軸45の状態に関する状態情報に基づいて、検出部18により検出された回転軸45の回転情報を補正する。回転軸45の状態情報は、例えば、回転軸45の位置(例、回転軸45の水平面に対する傾き)を示す姿勢情報、可動部40による回転軸45の運動状態(例、可動部40の可動により回転軸45が可動する速度、加速度)を含む。
【0079】
補正部32は、第1実施形態と同様に、回転軸45を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転情報を補正する。回転情報の補正に用いられる補正値は、例えば、回転軸45を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて設定される。補正値は、例えば、回転軸45の端部のモーメントに基づいて設定される。
【0080】
回転軸45の中心軸AX5が水平方向に対して角度αに位置する場合においても、変形による誤差は、例えば、第1実施形態で説明した式1から式11による算出方法を適用、応用することにより、理論的に算出される。また、可動部40が所定の加速度で可動し回転軸45に所定の負荷(荷重)がかかる場合、変形による誤差は、上記算出方法を適用、応用して、例えば、分布荷重に加速度による負荷を加味することで、理論的に算出される。なお、これらの場合における変形による誤差は、上記したように、実験による測定値、あるいはシミュレーションによる算出値により設定してもよい。
【0081】
補正部32は、例えば、検出部18の検出結果から算出される回転情報を補正する。補正部32は、例えば、上記のような、回転軸45の状態情報に対応する補正値により、回転情報算出部47が算出した回転情報を補正する。補正部32は、例えば、回転部17が取り付けられた位置における回転軸45の傾きに対応する補正値により、回転情報算出部47が算出した回転情報を補正する。補正部32は、回転軸45の中心軸AX5が水平方向から垂直方向(鉛直方向)までの任意の方向において、回転軸45の回転情報を補正する。例えば、補正部32は、回転軸45の方向と水平方向との角度、あるいは回転軸45の方向と鉛直方向との角度に応じて、回転軸45の回転情報を補正する。これにより、回転軸45が水平方向から鉛直方向まで傾く場合でも、回転軸45の傾きにより変化する回転軸45の自重による回転情報の誤差を精度よく補正することができる。
【0082】
また、補正部32は、例えば、可動部40を中心軸AX4まわりに一方向に回転させながら1以上の位置において取得した駆動部14の回転情報を算出し(以下、「回転情報A」という。)、かつ、可動部40を一方向と反対方向に回転させながら1以上の位置において取得した駆動部14の回転情報を算出し(以下、「回転情報B」という。)、それぞれの差から、重力負荷に応じて回転情報を補正してもよい。これにより、補正部32は、回転軸にかかる加速度による荷重に応じて、回転情報を補正することができる。補正部32は、例えば、1つの位置で算出した上記回転情報Aと1つの位置で算出した回転情報Aとを用いて、回転情報を補正する場合、例えば、補正部32は、可動部40の位置が同じ位置において算出した回転情報Aと回転情報Bとを用いて回転情報を補正する。例えば、この場合、補正部32は、回転情報Aと回転情報Bとの差から補正値を算出し、回転情報を補正する。なお、補正部32が、複数の位置において算出した回転情報A、あるいは、複数の位置において算出した回転情報Bを用いて回転情報を補正する場合、回転情報Aを算出する可動部40の位置と回転情報Bを算出する可動部40の位置とが異なっていてもよい。このような場合等において、例えば、補正部32は、可動部40の各まわり方向の各位置における補正値あるいは回転情報を、取得した回転情報Aおよび回転情報Bに基づいて、計算により求めてもよい。
【0083】
補正部32は、第1実施形態と同様に、記憶部37を備える。記憶部37は、例えば、補正部32による補正処理に用いられる補正値を、関数(例、テーブルデータ、数式)の形式で記憶する。記憶部37は、例えば、回転軸45の状態情報に対応する補正値を記憶する。例えば、補正部32は、回転軸45の状態情報に対応する補正値を記憶部37から読みだし、読みだした補正値を使って回転情報を補正する。なお、補正部32は、記憶部37を備えてもよいし、記憶部37を備えなくてもよい。
【0084】
EC制御部13は、例えば、可動部40の姿勢を制御する制御装置43と有線または無線により通信可能に接続される。制御装置43は、例えば、EC制御部13に可動部40の状態情報を出力する。補正部32は、例えば、制御装置43から出力された可動部40の状態情報を用いて、回転情報を補正する。例えば、制御装置43は、図9の駆動装置42によって回転軸45を目標位置に移動させる際に、その目標位置(例、回転軸45の姿勢、回転軸45と水平方向との角度)をEC制御部13に供給する。補正部32は、制御装置43から供給された目標位置(状態情報)を用いて、回転情報を補正する。なお、回転軸45の姿勢に関する状態情報は、制御装置43により供給されることに限定されず、例えば、可動部40の位置、速度、加速度を検出するセンサ等により供給されてもよい。駆動部14の制御部(例、サーボアンプ)(図示せず)は、EC制御部13と通信可能に接続され、EC制御部13からの回転情報を用いて回転軸45の回転を制御する。
【0085】
次に、上述のようなエンコーダ装置ECの動作に基づいて、回転情報取得方法について説明する。図10は、エンコーダ装置ECの動作の一例を示すフローチャートである。ステップS9において、検出部18は、測定対象の回転軸45に固定される回転部17に形成されたパターン20を検出する。ステップS10において、回転情報算出部47は、検出部18の検出結果を用いて、回転軸45の回転情報(例、角度位置情報)を算出する。ステップS11において、補正部32は、回転軸45を等分布荷重の両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転情報算出部47が算出した回転軸45の回転情報(例、角度位置情報)を補正する。例えば、補正部32は、予め記憶部37に記憶された回転軸45の状態情報に対応する補正値を記憶部37から読みだし、読みだした補正値を使って回転情報を補正する。補正値は、例えば、回転軸45の中心軸AX2の方向が水平方向の場合、上記した式(11)に示す変形による誤差θ2(arc−sec)として算出される値である。
【0086】
本実施形態に係るエンコーダ装置EC、及び回転情報取得方法は、検出部18の検出結果を用いて算出した回転情報について、回転軸45の状態に応じて生じる誤差を補正部32によって精度よく補正することができる。以上のように、第2実施形態に係るエンコーダ装置EC、及び回転情報取得方法は、回転情報を精度よく取得可能である。
【0087】
[駆動装置]
次に、駆動装置について説明する。図11は、駆動装置MTRの一例を示す図である。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。この駆動装置MTRは、電動モータを含むモータ装置である。駆動装置MTRは、回転軸45と、回転軸45を回転駆動する本体部(駆動部)BDと、回転軸45の回転情報を検出するエンコーダ装置ECと、本体部BDを制御する制御部MCと、を備える。
【0088】
回転軸45は、負荷側端部SFaと、反負荷側端部SFbとを有する。負荷側端部SFaは、減速機など他の動力伝達機構に接続される。反負荷側端部SFbには、スケール(図示せず)が固定される。エンコーダ装置ECは、上述した実施形態で説明したエンコーダ装置である。
【0089】
この駆動装置MTRは、エンコーダ装置ECの検出結果を使って、制御部MCが本体部BDを制御する。駆動装置MTRは、回転軸45の状態に応じて生じる誤差が抑制された回転情報を用いて本体部BDを制御するので、回転軸45の回転位置を精度よく制御することができる。駆動装置MTRは、モータ装置に限定されず、油圧や空圧を利用して回転する軸部を有する他の駆動装置であってもよい。
【0090】
[ロボット装置]
次に、ロボット装置について説明する。図12は、ロボット装置RBT2を示す斜視図である。なお、図12には、ロボット装置RBT2の一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBT2は、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
【0091】
第1アームAR1は、腕部104、軸受104a、及び軸受104bを備えている。第2アームAR2は、腕部105および接続部105aを有する。接続部105aは、関節部JTにおいて、軸受104aと軸受104bの間に配置されている。接続部105aは、回転軸SF2と一体的に設けられている。回転軸SF2は、関節部JTにおいて、軸受104aと軸受104bの両方に挿入されている。回転軸SF2のうち軸受104bに挿入される側の端部は、軸受104bを貫通して減速機RGに接続されている。
【0092】
減速機RGは、駆動装置MTRに接続されており、駆動装置MTRの回転を例えば100分の1等に減速して回転軸SF2に伝達する。図12に図示しないが、駆動装置MTRの回転軸45のうち負荷側端部は、減速機RGに接続されている。また、駆動装置MTRの回転軸45のうち反負荷側端部には、エンコーダ装置ECのスケール(回転部)(図示せず)が取り付けられている。
【0093】
ロボット装置RBT2は、駆動装置MTRを駆動して回転軸45を回転させると、この回転が減速機RGを介して回転軸SF2に伝達される。回転軸SF2の回転により接続部105aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ装置ECは、回転軸45の回転情報(例、回転位置等)を検出する。従って、エンコーダ装置ECからの出力を用いることにより、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。
【0094】
このようにロボット装置RBT2は、エンコーダ装置ECが回転軸45の状態に応じて生じる誤差を抑制した回転情報を出力するので、第1アームAR1と第2アームAR2との相対位置を精度よく制御することができる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置MTRは、関節を備える各種ロボット装置に適用できる。
【0095】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0096】
なお、第1実施形態及び第2実施形態のエンコーダ装置ECは、可動部に設けられる場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、エンコーダ装置ECは、可動部(可動するもの)に設けられなくてもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、固定部(可動不能のもの)に設けられた駆動装置の回転軸の回転情報を検出してもよい。例えば、エンコーダ装置ECは、鉛直方向と平行な方向以外の中心軸(例、水平方向と平行な方向の中心軸)を有する回転軸を備える駆動装置の回転情報を検出してもよい。この場合においても、エンコーダ装置ECは、回転軸の変形による回転情報の誤差を精度よく補正できる。
【0097】
なお、上記したエンコーダ装置ECは、光を用いてパターン(パターン20、パターン20a、パターン20b)を検出するいわゆる光学式のものを例に説明したが、光学式のものに限定されない。例えば、エンコーダ装置ECは、パターン(パターン20、パターン20a、パターン20b)は磁気パターンであり、検出部18(検出部18a、検出部18b)は、磁気パターンによる磁場を検出するものでもよい。
【0098】
なお、補正部32は、エンコーダ装置ECの外部の装置(補正装置、処理装置)に設けられてもよい。なお、補正装置は、上記した記憶部37を備えてもよいし、記憶部37を備えなくてもよい。
【0099】
上述の実施形態において、各制御部、及び補正部32は、例えばコンピュータシステムを含んでもよい。例えば、補正部32は、記憶部37に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種の処理を実行する。このプログラムは、例えば、回転軸(回転軸45、高速回転軸14、低速回転軸26)を等分布荷重がかけられた両端固定の梁と仮定した場合のモーメントに基づいて、回転軸(回転軸45、高速回転軸14、低速回転軸26)の回転情報を補正することを、コンピュータに実行させる。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)に記憶(記録)されて提供されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
EC・・・エンコーダ装置、2・・・第1アーム(アーム)(可動部)、6・・・制御装置、11・・・第1エンコーダ部、12・・・第2エンコーダ部、15・・・高速回転軸、22・・・減速機、26・・・低速回転軸、17・・・回転部、17a・・・回転部(高速回転部)、17b・・・回転部(低速回転部)、18、18a、18b・・・検出部、20、20a、20b・・・パターン、32・・・補正部(補正装置)、37・・・記憶部、45・・・回転軸、MTR・・・駆動装置、BD・・・本体部(駆動部)、RBT2・・・ロボット装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12