(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6911546
(24)【登録日】2021年7月12日
(45)【発行日】2021年7月28日
(54)【発明の名称】希薄薬液製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20210715BHJP
C02F 1/68 20060101ALI20210715BHJP
B01F 3/08 20060101ALI20210715BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20210715BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
C02F1/68 510A
C02F1/68 520B
C02F1/68 530A
C02F1/68 530L
C02F1/68 520C
B01F3/08 Z
B01F15/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-112012(P2017-112012)
(22)【出願日】2017年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-206998(P2018-206998A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友野
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−160759(JP,A)
【文献】
特開平11−253773(JP,A)
【文献】
特開平06−344533(JP,A)
【文献】
実開昭59−139590(JP,U)
【文献】
特開2004−230293(JP,A)
【文献】
特開2007−209864(JP,A)
【文献】
特開2015−162671(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02292158(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 3/08
B01F 15/02
C02F 1/68
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体に対して第2の液体を添加することで該第2の液体の希薄薬液を製造する希薄薬液の製造装置であって、
前記第1の液体を流す第1の配管と、
前記第2の液体を貯留する原液タンクと、
前記原液タンクと前記第1の配管とを接続する第2の配管と、
前記前記第1の配管内に前記第2の配管を通じて前記第2の液体を添加するプランジャポンプとを備え、
前記原液タンクには加圧手段が付設されており、
前記第2の配管の先端が前記第1の配管の径方向の略中央の位置にまで挿入した状態で接続されており、
前記プランジャポンプにエア抜き機構が付設されている、希薄薬液製造装置。
【請求項2】
前記第2の配管の前記プランジャポンプより下流側に圧力計測手段が設けられているとともに、前記圧力計測手段は前記エア抜き機構を制御する制御手段に接続しており、前記制御手段は、前記圧力計測手段の測定圧力が所定の値以下となったら、前記エア抜き機構を作動するように制御する、請求項1に記載の希薄薬液製造装置。
【請求項3】
前記原液タンクに該原液タンク内の圧力を計測する圧力計測手段が設けられている、請求項1又は2に記載の希薄薬液製造装置。
【請求項4】
前記第1の液体が超純水であり、前記第2の液体がアンモニアである、請求項1〜3のいずれかに記載の希薄薬液製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希薄薬液を製造する希薄薬液製造装置に関し、特に簡単な構造で半導体ウェハなどの洗浄・リンス工程等で有効な、酸・アルカリの極めて低濃度の希薄薬液を製造することの可能な希薄薬液製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハや液晶の製造プロセスでは、不純物が高度に除去された超純水を用いて半導体ウェハやガラス基板の洗浄が行われている。
【0003】
このような超純水を用いた半導体ウェハの洗浄では、この超純水は比抵抗値が高いため静電気が発生しやすく、絶縁膜の静電破壊や微粒子の再付着を招くおそれがある。そのためpHや酸化還元電位の制御に有効な溶質をごく低濃度に溶解した水(以下希薄薬液という)が使われることがある。ここで、H
2、CO
2、O
3、NH
3などのガスを溶解することも行われているが、ガスを溶解させるには装置が複雑化してしまう。そこで、超純水が洗浄やリンスなどの使用目的に合致したpHや酸化還元電位となるように、必要最小限の酸やアルカリ、あるいは酸化剤や還元剤などの薬液を微量添加することが行われている。
【0004】
この超純水に微量の薬液を添加する装置としては、例えば、薬液を所望とする濃度の途中まで超純水で希釈して希釈薬液を調整し、この希釈薬液をさらに超純水に添加して希薄薬液とするものが用いられている。この希薄薬液製造装置は、
図6に示すように希釈薬液貯槽21及び薬液貯槽22と、この薬液貯槽22から薬液Sを供給する送液ポンプ24を備えた薬液供給管23と、希釈液である超純水Wの供給手段25及び希釈液供給管26と、希釈薬液貯槽21と超純水流路への注入点29とを連通するダイヤフラムポンプ28を備えた希釈薬液供給菅27とを有する。そして、
図7に示すように希釈薬液供給菅27は、超純水流路31に注入点29となる継手菅32において連通している。なお、33は開閉バルブである。
【0005】
このような従来の希薄薬液製造装置においは、希釈薬液貯槽21に薬液Sと超純水Wとを供給して、薬液Sをある程度希釈した希釈薬液S0を製造し、この希釈薬液S0を超純水流路31に供給することで、さらに希釈して希薄薬液S1を調製している。しかしながら、この希薄薬液製造装置では、希釈薬液を製造する装置と、この希釈薬液を超純水に添加する装置との両方が必要になってしまい、設置場所の制約があるだけでなく、コストが増加する、という問題点がある。
【0006】
そこで、微量の薬液(原液)を超純水に直接添加して希薄薬液を調製すれば、装置の構成要素を少なくしてコンパクト化を図ることができるが、極めて微量の原液Sを超純水にそのまま添加する際には、微量の薬液を安定的に供給することは困難である、という問題点がある。このような問題を解決するために特許文献1には、薬液を貯留するタンク内の圧力をN
2ガスなどにより制御して、この圧力により薬液を微量ずつ押し出して、直接超純水に供給することで希薄薬液を調製する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2016/042933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された希薄薬液製造装置は、薬液を貯留するタンク内の圧力を制御して、この圧力により微量の薬液を押し出すことで供給するものであるので、超純水の流量、薬液濃度、薬液を貯留するタンク内の圧力をそれぞれ測定して、希薄薬液の濃度が所定の値となるように微妙な圧力制御をしなければならず、装置構造が複雑化してしまう、という問題点がある。また、特許文献1に記載された希薄薬液製造装置は、超純水に対して精確に薬液を供給することが可能であるが、供給した薬液の超純水への均一な分散については課題がある。
【0009】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で酸・アルカリ等の極めて低濃度の希薄薬液を安定的に製造することの可能な希薄薬液製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明は第1の液体に対して第2の液体を添加することで該第2の液体の希薄薬液を製造する希薄薬液の製造装置であって、前記第1の液体を流す第1の配管と、前記第2の液体を貯留する原液タンクと、前記原液タンクと前記第1の配管とを接続する第2の配管と、前記第1の配管内に前記第2の配管を通じて前記第2の液体を添加するプランジャポンプとを備え、前記原液タンクには加圧手段が付設されており、前記第2の配管の先端が前記第1の配管の径方向の略中央の位置にまで挿入した状態で接続されている、希薄薬液製造装置を提供する(発明1)。
【0011】
プランジャポンプは、他のポンプに比べて微量注入に適しているが、気泡により安定供給が阻害されやすい。そこで、前記原液タンクに加圧手段を設けて、原液タンク内を加圧することにより原液タンク内の第2の液体の気泡を抑制することで安定的に原液を微量注入することができる。さらに本発明者が検討した結果、微量添加した薬液である第2の液体が超純水などの第1の液体への分散が十分でないのは、第2の液体が微量であるので第1の配管内において層流状態で流れている第1の液体に偏在して存在してしまうためであり、小径の第2の配管の先端を前記第1の配管の径方向の略中央の位置にまで挿入することにより、第1の配管内で均一に分散させることができることがわかった。したがって、かかる発明(発明1)によれば、汎用的なプランジャポンプを用いて、酸・アルカリ等の極めて低濃度の希薄薬液を安定的に製造することができる。
【0012】
上記発明(発明1)においては、前記プランジャポンプにエア抜き機構が付設されていることが好ましい(発明2)。
【0013】
かかる発明(発明2)によれば、プランジャポンプに気泡が混入した場合であっても、エア抜き機構から気体を排出することでプランジャポンプ内のエアを排出することが可能となっている。
【0014】
上記発明(発明2)においては、前記第2の配管の前記プランジャポンプより下流側に圧力計測手段が設けられているとともに、前記圧力計測手段は前記エア抜き機構を制御する制御手段に接続しており、前記制御手段は、前記圧力計測手段の測定圧力が所定の値以下となったら、前記エア抜き機構を作動するように制御することが好ましい(発明3)。
【0015】
かかる発明(発明3)によれば、第2の配管にエアが混入すると、第2の配管を流通する第2の液体の圧力が大幅に低下するので、圧力計測手段による第2の液体の流通圧力が所定の値以下となったら、エア抜き機構を作動させることで、プランジャポンプ内のエアを自動的に排出することができる。
【0016】
上記発明(発明1〜3)においては、前記原液タンクに該原液タンク内の圧力を計測する圧力計測手段が設けられていることが好ましい(発明4)。
【0017】
かかる発明(発明4)によれば、原液タンクに貯留する第2の液体の種類、温度、及び気温により第2の液体に気泡を発生させない圧力が異なるので、原液タンク内の圧力を計測することで、気泡を発生させない圧力を維持するように監視することができる。
【0018】
上記発明(発明1〜4)においては、前記第1の液体が超純水であり、前記第2の液体がアンモニアであることが好ましい(発明5)。
【0019】
かかる発明(発明5)によれば、高純度の希薄アンモニア水溶液とすることで、半導体ウェハの洗浄などの処理を好適に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の希薄薬液製造装置によれば、第2の液体の気泡を抑制するとともにこの第2の液体を第1の配管内で第1の液体に均一に分散させることができるので、汎用的なプランジャポンプを用いた簡単な構造で、酸・アルカリ等の極めて低濃度の希薄薬液を安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第一実施形態の希薄薬液製造装置を示すフロー図である。
【
図2】前記第一実施形態の希薄薬液製造装置の第2の液体の注入構造を示す概略図である。
【
図3】本発明の第二実施形態の希薄薬液製造装置の第2の液体の注入構造を示す概略図である。
【
図4】実施例1の希薄薬液製造装置による希薄アンモニア水の濃度と流量を示すグラフである。
【
図5】比較例1の希薄薬液製造装置による希薄アンモニア水の濃度と流量を示すグラフである。
【
図6】従来の希薄薬液製造装置を示すフロー図である。
【
図7】従来の希薄薬液製造装置の第2の液体の注入構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2は、本発明の第一の実施形態による希薄薬液製造装置を示している。
図1において、希薄薬液製造装置1は、原液タンクである薬液貯槽2とこの薬液貯槽2から第2の液体である薬液Sを供給するプランジャポンプ4を備えた第2の配管としての薬液供給管3とを有する。薬液貯槽2には、該薬液貯槽2に薬液Sであるアンモニア溶液(原液)を補充する薬液供給手段5と薬液貯槽2に不活性ガスであるN
2ガスをパージガスとして供給するパージガス供給手段6とが連通しているとともに、圧力計測手段としての第一の圧力計7が設けられている。このプランジャポンプ4は、図示しない制御手段によって、後述する超純水流路12の流量に応じて供給量が変動するよう制御可能となっている。
【0023】
また、プランジャポンプ4のヘッド部には、ドレン配管8が接続されていて、このドレン配管8にはエア抜き機構である自動制御によるエア抜きバルブ9が設けられている。一方、薬液供給管3の途中には圧力計測手段としての第二の圧力計10が設けられていて、その下流側の先端は薬液Sの注入点11となっている。この第二の圧力計10はエア抜きバルブ9を制御する制御手段(図示せず)に接続しており、この制御手段は、第二の圧力計10の測定圧力が所定の値以下となったら、エア抜きバルブ9を作動するように制御する。そして、注入点11は
図2に示すように薬液供給管3が第1の液体である超純水Wの第1の配管としての超純水流路12にボアスルー継手13を介して接続している。
【0024】
上述したような希薄薬液製造装置1において、薬液供給管3はペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などのフッ素系の樹脂製であり、その内径が0.1〜4mmの内径であるのが好ましい。薬液供給管3の内径が4mmより大きいと、供給する薬液Sが微量であるので薬液供給管3内を流れる流体の圧力勾配が小さくなりすぎるため流量の制御が困難となる一方、0.1mm以下の場合では、管内径が小さすぎて流体の圧力勾配が大きくなりすぎるため、かえって流量の制御が困難となるため好ましくない。なお、第1の配管としての超純水流路12は、10〜50mm程度、特に20〜40mm程度の内径とすればよい。
【0025】
この薬液供給管3は、その下流側の先端がボアスルー継手13を介して第1の配管である超純水流路12の径方向の略中央、例えば超純水流路12の内径の1/3〜2/3の位置、好ましくは2/5〜3/5の位置にまで挿入されている。本実施形態では薬液Sの注入量が極めて微量であるため、薬液供給管3の先端が超純水流路12の径方向における当該超純水流路12の内径の1/3未満あるいは2/3を超える位置では、超純水流路12内で薬液Sを均一に分散させることが困難となるため好ましくない。
【0026】
次に上述したような構成を有する本実施形態の希薄薬液製造装置1を用いた希薄薬液の製造方法について説明する。
【0027】
まず、薬液供給手段5から薬液貯槽2に所定量の薬液Sを貯留するとともに、パージガス供給手段6からN
2ガスを供給する。このときN
2ガスにより薬液貯槽2内を大気圧に対して0.01〜1MPa程度加圧する状態として、薬液貯槽2内の薬液Sの気泡の発生を抑制する。この加圧条件は、使用する薬液Sの種類、周囲の温度、薬液Sの温度によって、上記範囲内で適宜選定し、第一の圧力計7により制御すればよい。なお、この加圧条件は薬液Sの供給のためのものではないので、供給量などに応じた精確な制御は不要である。
【0028】
次に薬液貯槽2から薬液Sをプランジャポンプ4により薬液供給管3を介して注入点11に供給する。この薬液供給管3を流通する薬液Sの流通圧力は、注入点11における注入圧力よりわずかに高く設定しておくことが好ましい。例えば、注入点11における注入圧力が0.3MPaであれば、0,31MPaなどに設定しておく。また、このプランジャポンプ4による薬液Sの供給量は、0.001〜3.0mL/分、特に0.05〜1.0mL/分と非常に微量であり、上記範囲で超純水Wの流量に応じて薬液Sが所望の濃度となるようにプランジャポンプ4による供給量を制御可能となっている。
【0029】
このようにプランジャポンプ4においては、薬液Sに気泡が存在してプランジャポンプ4内にエアが混入すると、プランジャポンプ4の小さなボールチャッキ弁に気泡が付着してしまいチャッキ効果を失うことにより注入不良を生じ、所望とする濃度の薬液Sの希薄薬液を製造するのが困難となる。プランジャポンプ4にエアが混入すると、プランジャポンプ4から吐出される薬液Sの圧力が急激に低下するので、第二の圧力計10で薬液供給管3を流通する薬液Sの流通圧力を計測し、流通圧力が20%程度低下、例えば薬液Sの流通圧力を0,31MPaに設定した場合には、0.25MPa以下となったら、エアが混入したと判断する。
【0030】
そして、エアが混入したと判断したら、第二の圧力計10に接続した制御手段によりエア抜きバルブ9を作動させて、ドレン配管8に薬液Sを流通させてエア抜きバルブ9からエアを排出するとともに液体成分(薬液S)をドレンDとして排出する。このように本実施形態においては、エア抜きバルブ9を自動弁として、圧力の低下を感知したらすぐにエア抜きを行うことができるので、薬液Sの注入量を設定した値に迅速に復旧することができる。
【0031】
このようにして、所定量の薬液Sが薬液供給管3から注入点11に供給される。そして、薬液Sは、ボアスルー継手13を介して超純水流路12に流入する。このとき薬液供給管3の下流側の先端は、超純水流路12の径方向の略中央、好ましくは1/3〜2/3の位置、特に2/5〜3/5の位置にまで挿入されているので、薬液Sを超純水流路12内で均一に分散させることができ、均質なアンモニア希薄薬液S1を製造することができる。このようなアンモニア希薄薬液S1は、半導体ウェハの洗浄などの処理に好適に用いることができる。
【0032】
次に本発明の第二の実施形態による希薄薬液製造装置について、
図3に基づいて説明する。本実施形態の希薄薬液製造装置は、
図3に示すように第1の液体である超純水Wの第1の配管としての超純水流路12が屈曲しており、この超純水流路12の屈曲部に設けられたエルボ部材14にボアスルー継手13を介して薬液供給管3(注入点11)が接続しており、薬液供給管3の下流側の先端は、超純水流路12の径方向の略中央、好ましくは1/3〜2/3の位置、特に2/5〜3/5の位置にまで挿入されている。
【0033】
本実施形態のように注入点11を超純水流路12の屈曲部に設けられたエルボ部材14に設定することにより、超純水流路12の屈曲部(エルボ部)では超純水Wが乱流状態となっているので、薬液Sの超純水Wへの良好な拡散を期待することができ、より均質な希薄薬液S1を製造することができる。
【0034】
以上、本発明の希薄薬液製造装置について、上記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、薬液Sはアンモニア溶液に限らず、酸である塩酸、硫酸、フッ化水素酸、硝酸、炭酸水や、アルカリである水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。また、場合によっては水素、酸素、オゾン等のガス成分を溶解したガス溶解水に適用することもできる。なお、上述した各実施形態では、超純水Wを用いた場合について説明したが、超純水Wよりも純度の劣る純水に対して同様に適用することもできる。
【実施例】
【0035】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
図1及び
図2に示す希薄薬液製造装置1を用い、薬液Sとして29%の濃度のアンモニア溶液を原液として用いて希薄アンモニア水S1を製造した。
【0037】
この希薄薬液製造装置1において、超純水Wの通水量13.2L/分で流量偏度幅12.0L/分〜14.5L/分に変動させ、アンモニア設定濃度2ppmとして、この超純水Wの流量に応じてプランジャポンプ4からの注入量0.092mL/分〜0.111mL/分でアンモニア原液Sを供給した。
【0038】
この希薄薬液製造装置1のアンモニア希薄薬液S1の濃度を1時間継続的に測定した結果を超純水Wの流量とともに
図4に示す。
【0039】
[比較例1]
図6及び
図7に示す従来の希薄薬液製造装置を用い、薬液Sとして29%の濃度のアンモニア溶液を原液として用いて希薄薬液S1として希薄アンモニア水を製造した。
【0040】
この希薄薬液製造装置において、超純水Wの通水量13.2L/分で流量偏度幅11.0L/分〜14.5L/分に変動させ、アンモニア設定濃度2ppmとして、ダイヤフラムポンプ28から29%のアンモニア原液Sを希釈した希釈薬液S0を供給した。
【0041】
この希薄薬液製造装置のアンモニア希薄薬液S1の濃度を1時間継続的に測定した結果を超純水Wの流量とともに
図5に示す。
【0042】
図4及び
図5から明らかなとおり、実施例1の希薄薬液製造装置でアンモニア希薄薬液S1を製造した場合には、超純水Wの流量の変動に対する追従性が良好で、アンモニア希薄薬液S1のアンモニア濃度が安定しており、その変動幅は約±5%程度であった。これに対し従来例である比較例1の希薄薬液製造装置でアンモニア希薄薬液S1を製造した場合には、超純水Wの流量の変動に対する追従性は比較的良好であったが、それでもアンモニア希薄薬液S1のアンモニア濃度の変動幅は約±10%程度であり、比較例1の方が装置の占有スペースが大きく構成部材数が多いことを考慮すると、実施例1の方が優位性を有するものであった。
【符号の説明】
【0043】
1 希薄薬液製造装置
2 薬液貯槽(原液タンク)
3 薬液供給管(第2の配管)
4 プランジャポンプ
5 薬液供給手段
6 パージガス供給手段
7 第一の圧力計(圧力計測手段)
8 ドレン配管
9 エア抜きバルブ(エア抜き機構)
10 第二の圧力計(圧力計測手段)
11 注入点
12 超純水流路(第1の配管)
13 ボアスルー継手
14 エルボ部材
W 超純水(第1の液体)
S 薬液(第2の液体:アンモニア溶液)
S1 アンモニア希薄薬液(希薄薬液)