特許第6913079号(P6913079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913079
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20210727BHJP
   C08G 61/10 20060101ALI20210727BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20210727BHJP
   C09K 11/06 20060101ALN20210727BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   C08G61/10
   C08G61/12
   !C09K11/06 620
【請求項の数】13
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2018-509295(P2018-509295)
(86)(22)【出願日】2017年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2017012225
(87)【国際公開番号】WO2017170313
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-65572(P2016-65572)
(32)【優先日】2016年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100189452
【弁理士】
【氏名又は名称】吉住 和之
(72)【発明者】
【氏名】佐々田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】横家 星一郎
【審査官】 横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/145871(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/194448(WO,A1)
【文献】 特開2011−108792(JP,A)
【文献】 特開2010−183010(JP,A)
【文献】 特開2010−185008(JP,A)
【文献】 特表2004−505169(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/102027(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C08G 61/10
C08G 61/12
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、
陰極と、
前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層と、
前記陽極及び前記陰極の間に、前記第1の有機層に隣接して設けられた第2の有機層と、を有する発光素子であって、
前記第1の有機層が、蛍光発光性低分子化合物を含有する層であり、
前記蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上750nm以下であり、
前記蛍光発光性低分子化合物が、式(B)で表される化合物であり、
前記第2の有機層が、架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物の架橋体を含有する層であり、
前記高分子化合物を構成する各構成単位について、全構成単位の総モルに対するその構成単位のモル比Cとその構成単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、前記モル比Cとその構成単位が有する前記架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、前記xの総和X及び前記yの総和Yから計算される(Y×1000)/Xの値が、0.60以上である、発光素子。
【化1】
[式中、
1Bは、1〜8の整数を表す。
Ar1Bは、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Bは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1Bが複数存在する場合、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【請求項2】
前記高分子化合物が、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物である、請求項1に記載の発光素子。
【化2】
[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0〜5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。]
【請求項3】
前記架橋構成単位が、式(2)で表される構成単位又は式(2’)で表される構成単位である、請求項2に記載の発光素子。
【化3】
[式中、
nAは0〜5の整数を表し、nは1又は2を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化4】
[式中、
mAは0〜5の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、cは0又は1の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基である。]
【請求項4】
前記Ar1Bが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記Ar1Bが、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基(該基は置換基を有していてもよい)である、請求項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記Ar1Bが、ビフェニル環、ピレン環、クリセン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基(該基は置換基を有していてもよい)である、請求項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記R1Bが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基(これらの基は置換基を有していてもよい)である、請求項のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記R1Bが、アリール基、置換アミノ基又はアルケニル基(これらの基は置換基を有していてもよい)である、請求項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上570nm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項10】
前記(Y×1000)/Xの値が、0.85以上4.0以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1の有機層が、前記蛍光発光性低分子化合物とホスト材料とを含有する層であり、
前記ホスト材料が式(FH−1)で表される化合物又は式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、
前記蛍光発光性低分子化合物の含有量が、前記蛍光発光性低分子化合物と前記ホスト材料との合計を100質量部とした場合、0.1〜50質量部である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発光素子。
【化5】
[式中、
ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1は、0〜15の整数を表す。
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、−[C(RH11]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH11は、1〜10の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【化6】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【請求項12】
前記第1の有機層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、前記蛍光発光性低分子化合物とは異なる発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項13】
前記第2の有機層が、前記陽極及び前記第1の有機層との間に設けられた層である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、ディスプレイ及び照明の用途に好適に使用することが可能であり、研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記式で表される高分子化合物(P0−1)を含有する有機層と、下記式で表される蛍光発光性化合物(EM0−1)を含有する発光層とを有する発光素子が記載されている。
【0004】
【化1】
【0005】
例えば、特許文献2には、下記式で表される構成単位(M0)を含む高分子化合物(P0−2)を含有する有機層と、下記式で表される蛍光発光性化合物(EM0−2)を含有する発光層とを有する発光素子が記載されている。
【0006】
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009/102027号
【特許文献2】国際公開第2007/100010号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発光素子としては、優れた外部量子効率を有するものが求められている。そこで、本発明は、外部量子効率に優れる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の[1]〜[15]を提供する。
【0010】
[1]陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層と、前記陽極及び前記陰極の間に、前記第1の有機層に隣接して設けられた第2の有機層と、を有する発光素子であって、
前記第1の有機層が、蛍光発光性低分子化合物を含有する層であり、
前記蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上750nm以下であり、
前記第2の有機層が、架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物の架橋体を含有する層であり、
前記高分子化合物を構成する各構成単位について、全構成単位の総モルに対するその構成単位のモル比Cとその構成単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、前記モル比Cとその構成単位が有する前記架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、前記xの総和X及び前記yの総和Yから計算される(Y×1000)/Xの値が、0.60以上である、発光素子。
[2]前記高分子化合物が、架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物である、[1]に記載の発光素子。
【化3】
[式中、RXLは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表し、nXLは、0〜5の整数を表す。RXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、nXLが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。*1は結合位置を表す。これらの架橋基は置換基を有していてもよい。]
[3]前記架橋構成単位が、式(2)で表される構成単位又は式(2’)で表される構成単位である、[2]に記載の発光素子。
【化4】
[式中、
nAは0〜5の整数を表し、nは1又は2を表す。nAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Lが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Xは、前記架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化5】
[式中、
mAは0〜5の整数を表し、mは1〜4の整数を表し、cは0又は1の整数を表す。mAが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Arは、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Kが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。X’が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、少なくとも1つのX’は、前記架橋基A群から選ばれる架橋基である。]
[4]前記蛍光発光性低分子化合物が、式(B)で表される化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の発光素子。
【化6】
[式中、
1Bは、0〜15の整数を表す。
Ar1Bは、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
1Bは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1Bが複数存在する場合、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
[5]前記n1Bが、1〜8の整数である、[4]に記載の発光素子。
[6]前記Ar1Bが、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である、[4]又は[5]に記載の発光素子。
[7]前記Ar1Bが、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基(該基は置換基を有していてもよい)である、[6]に記載の発光素子。
[8]前記Ar1Bが、ピレン環、クリセン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基(該基は置換基を有していてもよい)である、[7]に記載の発光素子。
[9]前記R1Bが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基(これらの基は置換基を有していてもよい)である、[4]〜[8]のいずれかに記載の発光素子。
[10]前記R1Bが、アリール基、置換アミノ基又はアルケニル基(これらの基は置換基を有していてもよい)である、[9]に記載の発光素子。
[11]前記蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が380nm以上570nm以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載の発光素子。
[12]前記(Y×1000)/Xの値が、0.85以上4.0以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載の発光素子。
[13]前記第1の有機層が、前記蛍光発光性低分子化合物とホスト材料とを含有する層であり、前記ホスト材料が式(FH−1)で表される化合物又は式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物であり、前記蛍光発光性低分子化合物の含有量が、前記蛍光発光性低分子化合物と前記ホスト材料との合計を100質量部とした場合、0.1〜50質量部である、[1]〜[12]のいずれかに記載の発光素子。
【化7】
[式中、
ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
H1は、0〜15の整数を表す。
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、−[C(RH11]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH11は、1〜10の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【化8】
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
[14]前記第1の有機層が、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、前記蛍光発光性低分子化合物とは異なる発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を更に含有する、[1]〜[13]のいずれかに記載の発光素子。
[15]前記第2の有機層が、前記陽極及び前記第1の有機層との間に設けられた層である、[1]〜[14]のいずれかに記載の発光素子。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部量子効率に優れる発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0014】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i−Prはイソプロピル基、t−Buはtert−ブチル基を表す。
【0015】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0016】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合又は配位結合を意味する。
【0017】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10〜1×10である重合体を意味する。
【0018】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10以下の化合物を意味する。
【0019】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0020】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
【0021】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2−エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−エチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基及びドデシル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3−フェニルプロピル基、3−(4−メチルフェニル)プロピル基、3−(3,5−ジ−ヘキシルフェニル)プロピル基及び6−エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
【0022】
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
【0023】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルキル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルメチル基及びシクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0024】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
【0025】
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基及び4−フェニルフェニル基が挙げられる。アリール基は置換基を有していてもよく、例えば、アリール基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0026】
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
【0027】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基及びラウリルオキシ基が挙げられる。アルコキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、アルコキシ基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0028】
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
【0029】
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。シクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルコキシ基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0030】
「アリールオキシ基」は、酸素原子にアリール基が1つ結合した原子団を意味する。アリールオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。
【0031】
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基及び1−ピレニルオキシ基が挙げられる。アリールオキシ基は置換基を有していてもよく、例えば、アリールオキシ基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0032】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
【0033】
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮合されている化合物を意味する。
【0034】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは4〜20である。
【0035】
1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基及びトリアジニル基が挙げられる。1価の複素環基は置換基を有していてもよく、例えば、1価の複素環基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基であってよい。
【0036】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0037】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
【0038】
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。具体的な置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基及びビス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0039】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0040】
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0041】
アルケニル基及びシクロアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基及び7−オクテニル基が挙げられる。アルケニル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルケニル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。また、シクロアルケニル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルケニル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0042】
「アルキニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0043】
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
【0044】
アルキニル基及びシクロアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基及び5−ヘキシニル基が挙げられる。アルキニル基は置換基を有していてもよく、例えば、アルキニル基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。また、シクロアルキニル基は置換基を有していてもよく、例えば、シクロアルキニル基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0045】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
【0046】
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基及びクリセンジイル基が挙げられる。アリーレン基は置換基を有していてもよく、例えば、アリーレン基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0047】
アリーレン基は、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。複数存在するR及びRは、各々、同一でも異なっていてもよく、R同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。
【0053】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
【0054】
2価の複素環基としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール等の複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられる。2価の複素環基は置換基を有していてもよく、例えば、2価の複素環基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基であってよい。
【0055】
2価の複素環基は、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0056】
【化13】
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
式中、R及びRは、前記と同じ意味を表す。
【0064】
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、上記架橋基A群の式(XL−1)〜式(XL−17)で表される基である。
【0065】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びシクロアルキニル基が挙げられる。置換基は架橋基であってもよい。
【0066】
<発光素子>
次に、本発明の一実施形態に係る発光素子について説明する。
【0067】
本実施形態に係る発光素子は、陽極と、陰極と、陽極及び陰極の間に設けられた第1の有機層と、陽極及び陰極の間に第1の有機層に隣接して設けられた第2の有機層と、を有する。第1の有機層は、蛍光発光性低分子化合物を含有する層であり、第2の有機層は、架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物の架橋体を含有する層である。
【0068】
第1の有機層及び第2の有機層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法等の乾式法、並びに、スピンコート法及びインクジェット印刷法等の湿式法が挙げられ、湿式法が好ましい。
【0069】
第1の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第1の有機層用のインク(以下、「第1のインク」ともいう。)を用いることが好ましい。
【0070】
第2の有機層を湿式法により形成する場合、後述する第2の有機層用のインク(以下、「第2のインク」ともいう。)を用いることが好ましい。第2の有機層を形成後、加熱又は光照射することで、第2の有機層に含有される後述する第2の有機層の高分子化合物を架橋させることができ、加熱することで、第2の有機層に含有される後述する第2の有機層の高分子化合物を架橋させることが好ましい。後述する第2の有機層の高分子化合物が架橋した状態(後述する第2の有機層の高分子化合物の架橋体)で、第2の有機層に含有されている場合、第2の有機層は溶媒に対して実質的に不溶化されている。そのため、第2の有機層は、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
【0071】
架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150℃〜200℃であり、更に好ましくは170℃〜190℃である。架橋させるための加熱の時間は、通常、0.1〜1000分であり、好ましくは0.5〜500分であり、より好ましくは1〜120分であり、更に好ましくは30〜90分である。
【0072】
光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0073】
第1の有機層又は第2の有機層に含有される成分の分析方法としては、例えば、抽出等の化学的分離分析法、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、質量分析法(MS)等の機器分析法、並びに、化学的分離分析法及び機器分析法を組み合わせた分析法が挙げられる。
【0074】
第1の有機層又は第2の有機層に対して、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒を用いた固液抽出を行うことで、有機溶媒に対して実質的に不溶な成分(不溶成分)と、有機溶媒に対して溶解する成分(溶解成分)とに分離することが可能である。不溶成分は赤外分光法又は核磁気共鳴分光法により分析することが可能であり、溶解成分は核磁気共鳴分光法又は質量分析法により分析することが可能である。
【0075】
<第1の有機層>
第1の有機層は、蛍光発光性低分子化合物を含有する層である。第1の有機層には、蛍光発光性低分子化合物が1種単独で含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
【0076】
[蛍光発光性低分子化合物]
「蛍光発光性低分子化合物」は、通常、室温(25℃)で蛍光発光性を示す低分子化合物を意味するが、好ましくは、室温で一重項励起状態からの発光を示す低分子化合物である。
【0077】
蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、通常、380nm以上750nm以下であり、好ましくは380nm以上570nm以下であり、より好ましくは390nm以上540nm以下であり、更に好ましくは400nm以上495nm以下であり、特に好ましくは420nm以上480nm以下である。
【0078】
本明細書において、化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、化合物を、キシレン、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解させ、希薄溶液を調製し(1×10−6〜1×10−3質量%程度)、該希薄溶液のPLスペクトルを室温で測定することで評価することができる。化合物を溶解させる有機溶媒としては、トルエンが好ましい。
【0079】
蛍光発光性低分子化合物は、好ましくは、式(B)で表される化合物である。
【0080】
[式(B)で表される化合物]
1Bは、0〜15の整数を表し、好ましくは1〜8の整数であり、より好ましくは1〜6の整数であり、更に好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは2〜4の整数である。
【0081】
Ar1Bは、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar1Bにおいて、芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜20である。
【0082】
Ar1Bにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基が挙げられる。芳香族炭化水素基は、好ましくは、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、更に好ましくは、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、特に好ましくは、ビフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、フルオランテン環、ベンゾフルオランテン環又はアセナフトフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、とりわけ好ましくは、ビフェニル環、ナフタレン環、ピレン環、クリセン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、とりわけより好ましくは、ビフェニル環、ピレン環、クリセン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基であり、とりわけ更に好ましくは、ピレン環、クリセン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個以上を除いてなる基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0083】
Ar1Bにおいて、芳香族複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。
【0084】
Ar1Bにおける芳香族複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。芳香族複素環基は、好ましくは、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、インドール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0085】
Ar1Bが有していてもよい置換基としては、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、アリールオキシ基又はアミノ基であり、より好ましくは、フッ素原子又はシアノ基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0086】
Ar1Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、後述のR1Bが有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0087】
Ar1Bは、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
【0088】
1Bは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基又はシクロアルキニル基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R1Bは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、置換アミノ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アミノ基、アルケニル基又はシクロアルケニル基であり、特に好ましくは、アリール基、置換アミノ基又はアルケニル基であり、とりわけ好ましくは、アリール基又は置換アミノ基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0089】
1Bがアリール基である場合、該アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜40であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜14である。
【0090】
1Bがアリール基である場合、該アリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環及びベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。アリール基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、更に好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環又はスピロビフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、特に好ましくは、フェニル基又はナフチル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0091】
1Bが1価の複素環基である場合、該1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。
【0092】
1Bが1価の複素環基である場合、該1価の複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環及び5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。1価の複素環基は、好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0093】
1Bが置換アミノ基である場合、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲は、R1Bにおけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、R1Bにおける1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0094】
1Bが有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、とりわけ好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0095】
1Bが有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Bにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0096】
1Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、更に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0097】
1Bが有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、R1Bにおけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0098】
式(B)で表される化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長が短波長になるので、R1Bが複数存在する場合、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成しないことが好ましい。
【0099】
蛍光発光性低分子化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0100】
【化20】
【0101】
【化21】
【0102】
【化22】
【0103】
【化23】
【0104】
【化24】
【0105】
【化25】
【0106】
【化26】
【0107】
【化27】
【0108】
【化28】
【0109】
【化29】
【0110】
【化30】
【0111】
【化31】
【0112】
蛍光発光性低分子化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、AK Scientific等から入手可能である。その他には、例えば、国際公開第2007/100010号、国際公開第2008/059713号、国際公開第2011/012212号、国際公開第2012/096263号、国際公開第2006/025273号、国際公開第2006/030527号に記載されている方法に従って合成することができる。
【0113】
[ホスト材料]
本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、第1の有機層は、蛍光発光性低分子化合物と、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性及び電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料とを含有する層であることが好ましい。第1の有機層が、蛍光発光性低分子化合物とホスト材料とを含有する層である場合、ホスト材料は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0114】
第1の有機層が、蛍光発光性低分子化合物とホスト材料とを含有する層である場合、蛍光発光性低分子化合物の含有量は、蛍光発光性低分子化合物とホスト材料との合計を100質量部とした場合、通常、0.05〜80質量部であり、好ましくは0.1〜50質量部であり、より好ましくは1〜30質量部であり、更に好ましくは5〜15質量部である。
【0115】
第1の有機層が、蛍光発光性低分子化合物とホスト材料とを含有する層である場合、ホスト材料の有する最低励起一重項状態(S)は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率が優れるので、蛍光発光性低分子化合物の有するSと同等のエネルギー準位、又は、より高いエネルギー準位であることが好ましい。すなわち、ホスト材料の発光スペクトルの最大ピーク波長は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率が優れるので、蛍光発光性低分子化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長と同等、又は、より短い波長であることが好ましい。
【0116】
ホスト材料としては、本実施形態に係る発光素子を溶液塗布プロセスで作製できるので、第1の有機層に含有される蛍光発光性低分子化合物を溶解することが可能な溶媒に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
【0117】
ホスト材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。ホスト材料としては、例えば、後述の正孔輸送材料、及び、後述の電子輸送材料が挙げられる。
【0118】
[低分子ホスト]
ホスト材料として好ましい低分子化合物(以下、「低分子ホスト」ともいう。)に関して説明する。
【0119】
低分子ホストは、好ましくは、式(FH−1)で表される化合物である。
【0120】
ArH1及びArH2は、好ましくはアリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0121】
ArH1及びArH2がアリール基である場合、該アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜20であり、更に好ましくは6〜14である。
【0122】
ArH1及びArH2がアリール基である場合、該アリール基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ジヒドロフェナントレン環、ナフタセン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環、ペリレン環、クリセン環、インデン環、フルオランテン環又はベンゾフルオランテン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。アリール基は、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ジヒドロフェナントレン環、フルオレン環、スピロビフルオレン環、ピレン環又はクリセン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環、フルオレン環又はスピロビフルオレン環から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、更に好ましくは、更に好ましくは、フェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基であり、特に好ましくは、フェニル基又はナフチル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0123】
ArH1及びArH2が1価の複素環基である場合、該1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは3〜20である。
【0124】
ArH1及びArH2が1価の複素環基である場合、該1価の複素環基としては、例えば、ピロール環、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、アザナフタレン環、ジアザナフタレン環、トリアザナフタレン環、インドール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環、ジアザカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、アクリジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環、アクリドン環、フェナジン環及び5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基が挙げられる。1価の複素環基は、好ましくは、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、インドール環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、9,10−ジヒドロアクリジン環又は5,10−ジヒドロフェナジン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基であり、より好ましくは、ジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ジアザベンゼン環、トリアジン環、ベンゾジアゾール環、ベンゾトリアゾール環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子1個を除いてなる基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0125】
ArH1及びArH2が置換アミノ基である場合、アミノ基が有する置換基としては、アリール基又は1価の複素環基が好ましく、アリール基がより好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。アミノ基が有する置換基におけるアリール基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2におけるアリール基の例及び好ましい範囲と同じである。アミノ基が有する置換基における1価の複素環基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2における1価の複素環基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0126】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0127】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArH1及びArH2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0128】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基又はハロゲン原子であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、特に好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0129】
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基が更に有していてもよい置換基におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲は、それぞれ、ArH1及びArH2におけるアリール基、1価の複素環基及び置換アミノ基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0130】
H1は、好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは1〜5の整数であり、更に好ましくは1〜3の整数である。
【0131】
H1は、好ましくは、アリーレン基又は2価の複素環基であり、より好ましくはアリーレン基である。
【0132】
H1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0133】
H1におけるアリーレン基は、好ましくは、式(A−1)〜式(A−14)又は式(A−17)〜式(A−20)で表される基であり、より好ましくは、式(A−1)〜式(A−9)、式(A−11)〜式(A−14)、式(A−19)又は式(A−20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A−1)〜式(A−7)、式(A−9)、式(A−11)〜式(A−14)又は式(A−19)で表される基であり、特に好ましくは、式(A−1)〜式(A−6)、式(A−11)又は式(A−12)で表される基である。
【0134】
H1における2価の複素環基は、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−6)、式(AA−10)〜式(AA−22)又は式(AA−24)〜式(AA−34)で表される基であり、より好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)、式(AA−18)〜式(AA−21)又は式(AA−27)〜式(AA−34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−4)、式(AA−10)〜式(AA−15)又は式(AA−27)〜式(AA−32)で表される基である。
【0135】
H11は、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましく1〜3の整数であり、更に好ましく1である。
【0136】
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はアルキル基であることが更に好ましい。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0137】
H11が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
【0138】
式(FH−1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0139】
【化32】
【0140】
【化33】
【0141】
【化34】
【0142】
【化35】
【0143】
【化36】
【0144】
【化37】
【0145】
【化38】
【0146】
[高分子ホスト]
ホスト材料として好ましい高分子化合物(以下、「高分子ホスト」ともいう。)に関して説明する。
【0147】
高分子ホストは、好ましくは、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
【0148】
ArY1で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)、式(A−13)又は式(A−19)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)、式(A−7)、式(A−9)、式(A−11)又は式(A−19)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0149】
ArY1で表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−13)、式(AA−15)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基であり、より好ましくは式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−18)又は式(AA−20)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0150】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲、より好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲、より好ましい範囲と同様である。
【0151】
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(X)のArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0152】
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0153】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−1)〜式(Y−7)で表される構成単位が挙げられ、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率の観点からは、好ましくは式(Y−1)又は式(Y−2)で表される構成単位であり、高分子ホストの電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−3)又は式(Y−4)で表される構成単位であり、高分子ホストの正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y−5)〜式(Y−7)で表される構成単位である。
【0154】
【化39】
【0155】
式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
【0156】
Y1は、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0157】
式(Y−1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y−1’)で表される構成単位である。
【0158】
【化40】
【0159】
式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。
【0160】
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、より好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0161】
【化41】
【0162】
式中、RY1は前記と同じ意味を表す。XY1は、−C(RY2−、−C(RY2)=C(RY2)−又は−C(RY2−C(RY2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
【0163】
Y2は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0164】
Y1において、−C(RY2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、双方がアリール基、双方が1価の複素環基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2−で表される基としては、好ましくは式(Y−A1)〜式(Y−A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−A4)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0165】
【化42】
【0166】
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは双方がアルキル基若しくはシクロアルキル基、又は、一方がアルキル基若しくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0167】
Y1において、−C(RY2−C(RY2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2−C(RY2−で表される基は、好ましくは式(Y−B1)〜式(Y−B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y−B3)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0168】
【化43】
【0169】
式中、RY2は前記と同じ意味を表す。
【0170】
式(Y−2)で表される構成単位は、式(Y−2’)で表される構成単位であることが好ましい。
【0171】
【化44】
【0172】
式中、RY1及びXY1は前記と同じ意味を表す。
【0173】
【化45】
【0174】
式中、RY1は前記と同じ意味を表す。RY3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0175】
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0176】
【化46】
【0177】
式中、RY1は前記を同じ意味を表す。RY4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0178】
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0179】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y−11)〜式(Y−56)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは、式(Y−11)〜式(Y−55)で表される構成単位である。
【0180】
【化47】
【0181】
【化48】
【0182】
【化49】
【0183】
【化50】
【0184】
【化51】
【0185】
【化52】
【0186】
【化53】
【0187】
【化54】
【0188】
【化55】
【0189】
【化56】
【0190】
【化57】
【0191】
【化58】
【0192】
【化59】
【0193】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは50〜100モル%である。
【0194】
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、高分子ホストの電荷輸送性が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜40モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
【0195】
式(Y)で表される構成単位は、高分子ホスト中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0196】
高分子ホストは、正孔輸送性が優れるので、更に、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0197】
【化60】
【0198】
式中、
X1及びaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1及びArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2及びArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、又は、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2及びArX4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
X2及びRX3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0199】
X1は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは1である。
【0200】
X2は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0である。
【0201】
X1、RX2及びRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0202】
ArX1及びArX3で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)又は式(A−9)で表される基であり、より好ましくは式(A−1)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0203】
ArX1及びArX3で表される2価の複素環基は、好ましくは式(AA−1)、式(AA−2)又は式(AA−7)〜式(AA−26)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0204】
ArX1及びArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0205】
ArX2及びArX4で表されるアリーレン基は、好ましくは式(A−1)、式(A−6)、式(A−7)、式(A−9)〜式(A−11)又は式(A−19)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0206】
ArX2及びArX4で表される2価の複素環基の好ましい範囲は、ArX1及びArX3で表される2価の複素環基の好ましい範囲と同じである。
【0207】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲、より好ましい範囲は、それぞれ、ArX1及びArX3で表されるアリーレン基及び2価の複素環基の好ましい範囲、より好ましい範囲と同じである。
【0208】
ArX2及びArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0209】
【化61】
【0210】
式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0211】
ArX2及びArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0212】
ArX1〜ArX4及びRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0213】
式(X)で表される構成単位としては、好ましくは式(X−1)〜式(X−7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X−3)〜式(X−7)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X−3)〜式(X−6)で表される構成単位である。
【0214】
【化62】
【0215】
【化63】
【0216】
【化64】
【0217】
【化65】
【0218】
式中、RX4及びRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基又はシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。
【0219】
式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0220】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1−1)〜式(X1−19)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1−6)〜式(X1−14)で表される構成単位である。
【0221】
【化66】
【0222】
【化67】
【0223】
【化68】
【0224】
【化69】
【0225】
【化70】
【0226】
【化71】
【0227】
【化72】
【0228】
【化73】
【0229】
高分子ホストにおいて、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0230】
高分子ホストとしては、例えば、表1に示す高分子化合物(P−1)〜(P−6)が挙げられる。ここで、「その他の構成単位」とは、式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0231】
【表1】
【0232】
表1中、p、q、r、s及びtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。
【0233】
高分子化合物(P−1)〜(P−6)における、式(X)及び式(Y)で表される構成単位の例及び好ましい範囲は、上述のとおりである。
【0234】
高分子ホストは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0235】
高分子ホストのポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10であり、更に好ましくは1.5×10〜2×10である。
【0236】
[高分子ホストの製造方法]
高分子ホストは、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897−1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応及びKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0237】
上記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続又は分割して仕込む方法、単量体を連続又は分割して仕込む方法等が挙げられる。
【0238】
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
【0239】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独又は組み合わせて行う。高分子ホストの純度が低い場合、例えば、晶析、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0240】
[第1の組成物]
第1の有機層は、蛍光発光性低分子化合物と、前述のホスト材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、発光材料(蛍光発光性低分子化合物とは異なる。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「第1の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。
【0241】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物である。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0242】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0243】
第1の組成物において、正孔輸送材料の配合量は、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
【0244】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0245】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0246】
低分子化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンを配位子とする燐光発光性化合物、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン及びジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0247】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0248】
第1の組成物において、電子輸送材料の配合量は、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
【0249】
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0250】
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0251】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0252】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0253】
第1の組成物において、正孔注入材料及び電子注入材料の配合量は、各々、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
【0254】
電子注入材料及び正孔注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0255】
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10−5S/cm〜1×10S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0256】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0257】
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0258】
[発光材料]
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
【0259】
低分子化合物としては、例えば、ナフタレン及びその誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、並びに、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
【0260】
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される構成単位、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
【0261】
発光材料は、好ましくは、三重項発光錯体及び/又は高分子化合物を含む。
【0262】
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
【0263】
【化74】
【0264】
【化75】
【0265】
【化76】
【0266】
【化77】
【0267】
【化78】
【0268】
第1の組成物において、発光材料の配合量は、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
【0269】
発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0270】
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、蛍光発光性低分子化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光及び電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
【0271】
第1の組成物において、酸化防止剤の配合量は、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
【0272】
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0273】
[第1のインク]
第1の有機層を形成するための第1のインクとして、蛍光発光性低分子化合物と、溶媒とを含有する組成物を用いることができる。第1のインクは、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の湿式法に好適に使用することができる。
【0274】
第1のインクの粘度は、湿式法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりが起こりづらいので、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
【0275】
第1のインクに含有される溶媒は、好ましくは、インク中の固形分を溶解又は均一に分散できる溶媒である。溶媒としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;THF、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0276】
第1のインクにおいて、溶媒の配合量は、蛍光発光性低分子化合物を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部であり、好ましくは2000〜20000質量部である。
【0277】
第1の有機層は、上述の三重項発光錯体を含まない層であることが好ましい。
【0278】
<第2の有機層>
第2の有機層は、架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物(以下、「第2の有機層の高分子化合物」ともいう。)の架橋体を含有する層である。
【0279】
第2の有機層において、第2の有機層の高分子化合物の架橋体は、一種単独で含有されていても、二種以上含有されていてもよい。
【0280】
第2の有機層の高分子化合物の架橋体は、第2の有機層の高分子化合物を上述した方法及び条件等により架橋した状態にすることで得られる。
【0281】
第2の有機層が、一種の第2の有機層の高分子化合物を架橋した架橋体を含有する層である場合、一種の第2の有機層の高分子化合物を構成する各構成単位について、一種の高分子化合物を構成する全構成単位の総モルに対するその構成単位のモル比Cとその構成単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその構成単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求めたとき、xの総和X及びyの総和Yから計算される(Y×1000)/Xの値が、0.60以上となる。
【0282】
第2の有機層が、二種以上の第2の有機層の高分子化合物を架橋した架橋体を含有する層である場合、各第2の有機層の高分子化合物について求めた(Y×1000)/Xの値の加重平均(二種以上の第2の有機層の高分子化合物の配合比からの平均値)が、0.60以上となる。
【0283】
第2の有機層が、一種以上の第2の有機層の高分子化合物を架橋した架橋体と、架橋基を有する架橋構成単位を含まない高分子化合物とを含有する層である場合、各第2の有機層の高分子化合物について求めた(Y×1000)/Xの値と、各架橋基を有する架橋構成単位を含まない高分子化合物について求めた(Y×1000)/Xの値との加重平均(一種以上の第2の有機層の高分子化合物及び一種以上の架橋基を有する架橋構成単位を含まない高分子化合物の配合比からの平均値)が、0.60以上となる。
【0284】
第2の有機層において、架橋基を有する架橋構成単位を含まない高分子化合物としては、例えば、式(Y)で表される構成単位及び式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含む高分子化合物が挙げられる。
【0285】
[第2の有機層の高分子化合物]
第2の有機層の高分子化合物は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率が優れるので、上記架橋基A群から選ばれる少なくとも1種の架橋基を有する架橋構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
【0286】
上記架橋基A群から選ばれる架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、式(XL−1)〜式(XL−4)、式(XL−7)〜式(XL−10)又は式(XL−14)〜式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−9)、式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、とりわけ好ましくは、式(XL−17)で表される架橋基である。
【0287】
第2の有機層の高分子化合物に含まれる、架橋基A群から選ばれる少なくとも一種の架橋基を有する構成単位は、後述する式(2)で表される構成単位、式(2’)で表される構成単位、又は下記式で表される構成単位であってよく、式(2)で表される構成単位又は式(2’)で表される構成単位が好ましい。
【0288】
【化79】
【0289】
[式(2)で表される構成単位]
nAは、0〜5の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは1又は2である。
【0290】
nは、1又は2を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは2である。
【0291】
Arは、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
【0292】
Arで表される芳香族炭化水素基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
【0293】
Arで表される芳香族炭化水素基のn個の置換基を除いたアリーレン基部分としては、好ましくは、式(A−1)〜式(A−20)で表される基で表される基であり、より好ましくは、式(A−1)、式(A−2)、式(A−6)〜式(A−10)、式(A−19)又は式(A−20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A−1)、式(A−2)、式(A−7)、式(A−9)又は式(A−19)で表される基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0294】
Arで表される複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜60であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜18である。
【0295】
Arで表される複素環基のn個の置換基を除いた2価の複素環基部分としては、好ましくは、式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。
【0296】
Arで表される芳香族炭化水素基及び複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が好ましい。
【0297】
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R’は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。Lで表されるアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。Lで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜20である。
【0298】
で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基が挙げられる。Lで表されるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0299】
で表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。Lで表されるシクロアルキレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0300】
で表されるアリーレン基は、置換基を有していてもよい。アリーレン基としては、フェニレン基又はフルオレンジイル基が好ましく、m−フェニレン基、p−フェニレン基、フルオレン−2,7−ジイル基、フルオレン−9,9−ジイル基がより好ましい。アリーレン基が有してもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子、シアノ基又は上記架橋基A群から選ばれる架橋基が好ましい。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0301】
で表される2価の複素環基としては、好ましくは式(AA−1)〜式(AA−34)で表される基である。
【0302】
は、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になるので、好ましくは、アリーレン基又はアルキレン基であり、より好ましくは、フェニレン基、フルオレンジイル基又はアルキレン基である。これらの基は置換基を有していてもよい。
【0303】
Xは、上記架橋基A群から選ばれる架橋基を表す。Xで表される架橋基としては、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは、式(XL−1)〜式(XL−4)、式(XL−7)〜式(XL−10)又は式(XL−14)〜式(XL−17)で表される架橋基であり、より好ましくは、式(XL−1)、式(XL−3)、式(XL−9)、式(XL−10)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、更に好ましくは、式(XL−1)、式(XL−16)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、特に好ましくは、式(XL−1)又は式(XL−17)で表される架橋基であり、とりわけ好ましくは、式(XL−17)で表される架橋基である。
【0304】
式(2)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0305】
[式(2’)で表される構成単位]
mAは、0〜5の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
【0306】
mは、1〜4の整数を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは1又は2であり、より好ましくは2である。
【0307】
cは、0又は1の整数を表し、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になり、且つ、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0である。
【0308】
Arは、芳香族炭化水素基、複素環基、又は、少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環とが直接結合した基を表す。Arは、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
【0309】
Arで表される芳香族炭化水素基のm個の置換基を除いたアリーレン基部分の定義及び例は、式(X)におけるArX2で表されるアリーレン基の定義及び例と同じである。
【0310】
Arで表される複素環基のm個の置換基を除いた2価の複素環基部分の定義及び例は、式(X)におけるArX2で表される2価の複素環基部分の定義及び例と同じである。
【0311】
Arで表される少なくとも1種の芳香族炭化水素環と少なくとも1種の複素環が直接結合した基のm個の置換基を除いた2価の基の定義及び例は、式(X)におけるArX2で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基の定義及び例と同じである。
【0312】
Ar及びArは、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0313】
Ar及びArで表されるアリーレン基の定義及び例は、式(X)におけるArX1及びArX3で表されるアリーレン基の定義及び例と同じである。
【0314】
Ar及びArで表される2価の複素環基の定義及び例は、式(X)におけるArX1及びArX3で表される2価の複素環基の定義及び例と同じである。
【0315】
Ar、Ar及びArはそれぞれ、当該基が結合している窒素原子に結合している当該基以外の基と、直接又は酸素原子若しくは硫黄原子を介して結合して、環を形成していてもよい。Ar、Ar及びArで表される基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基及びシアノ基が好ましい。
【0316】
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基、−NR’−で表される基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Kで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例は、それぞれ、Lで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、2価の複素環基の定義及び例と同じである。
【0317】
は、第2の有機層の高分子化合物の製造が容易になるので、フェニレン基又はメチレン基であることが好ましい。
【0318】
X’は、上記架橋基A群から選ばれる架橋基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表す。X’で表される架橋基の定義及び例は、前述のXで表される架橋基の定義及び例と同じである。
【0319】
式(2’)で表される構成単位は、第2の有機層の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0320】
[式(2)又は(2’)で表される構成単位の好ましい態様]
式(2)で表される構成単位としては、例えば、式(2−1)〜式(2−30)で表される構成単位が挙げられ、式(2’)で表される構成単位としては、例えば、式(2’−1)〜式(2’−9)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、第2の有機層の高分子化合物の架橋性が優れるので、好ましくは式(2−1)〜式(2−30)で表される構成単位であり、より好ましくは式(2−1)〜式(2−15)、式(2−19)、式(2−20)、式(2−23)、式(2−25)又は式(2−30)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(2−1)〜式(2−9)、式(2−20)、式(2−22)又は式(2−30)で表される構成単位である。
【0321】
【化80】
【0322】
【化81】
【0323】
【化82】
【0324】
[その他の構成単位]
第2の有機層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れるので、更に、式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。また、第2の有機層の高分子化合物は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、更に、式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0325】
第2の有機層の高分子化合物は、正孔輸送性が優れ、且つ、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、更に、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0326】
第2の有機層の高分子化合物が含んでいてもよい式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位の定義、例及び好ましい範囲は、それぞれ、前述の高分子ホストが含んでいてもよい式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位の定義、例及び好ましい範囲と同じである。
【0327】
第2の有機層の高分子化合物において、式(X)で表される構成単位及び式(Y)で表される構成単位は、それぞれ、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0328】
第2の有機層の高分子化合物としては、例えば、表2に示す高分子化合物(P−7)〜(P−14)が挙げられる。ここで、「その他の構成単位」とは、式(2)、式(2’)、式(X)及び式(Y)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
【0329】
【表2】
【0330】
表2中、p’、q’、r’、s’及びt’は、各構成単位のモル比率を表す。p’+q’+r’+s’+t’=100であり、且つ、70≦p’+q’+r’+s’≦100である。
【0331】
高分子化合物(P−7)〜(P−14)における、式(2)、式(2’)、式(X)及び式(Y)で表される構成単位の例及び好ましい範囲は、上述のとおりである。
【0332】
第2の有機層の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0333】
第2の有機層の高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは5×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜5×10であり、更に好ましくは1.5×10〜1×10である。
【0334】
[第2の有機層の高分子化合物の製造方法]
第2の有機層の高分子化合物は、前述の高分子ホストの製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0335】
[(Y×1000)/Xの値]
第2の有機層の高分子化合物における(Y×1000)/Xの値は、以下の方法で求めることができる。
【0336】
まず、高分子化合物を構成する各構成単位について、全構成単位の総モルに対するその構成単位のモル比Cとその構成単位の分子量Mとを乗じた値x、及び、モル比Cとその構成単位が有する架橋基の数nとを乗じた値yを求める。次いで、各構成単位について求めたxの総和をX、各構成単位について求めたyの総和をYとする。
【0337】
このとき、(Y×1000)/Xの値は、第2の有機層の高分子化合物の分子量1000あたりの架橋基の平均数とほぼ等しい値となり、第2の有機層の高分子化合物における架橋基の平均数を示す指標として有効に用いることができる。
【0338】
具体的な架橋基の平均数の算出方法を、下記実施例1で用いた高分子化合物HTL−5で詳細に説明する。
【0339】
高分子化合物HTL−5は、化合物M3、化合物M4及び化合物M5から誘導される構成単位を有する。全構成単位の総モルに対する比率は、化合物M3から誘導される構成単位が0.45、化合物M4から誘導される構成単位が0.05、化合物M5から誘導される構成単位が0.50である。また、化合物M3から誘導される構成単位の分子量は776.45、化合物M4から誘導される構成単位の分子量は240.20、化合物M5から誘導される構成単位の分子量は750.51である。また、化合物M3から誘導される構成単位が有する架橋基の数は2、化合物M4から誘導される構成単位が有する架橋基の数は2、化合物M5から誘導される構成単位が有する架橋基の数は0である。
【0340】
よって、Xは、以下のとおり求められる。
(0.45×776.45)+(0.05×240.20)+(0.50×750.51)=736.67
【0341】
また、Yは、以下のとおり求められる。
(0.45×2)+(0.05×2)+(0.50×0)=1.00
【0342】
よって、(Y×1000)/Xの値は、以下のとおり求められる。
(1.00×1000)/736.67=1.36
【0343】
2種以上の高分子化合物を含む場合、(Y×1000)/Xの値は、各高分子化合物を構成する構成単位に基づいて求められる。また、各高分子化合物について(Y×1000)/Xの値を求め、各高分子化合物の配合量比から、(Y×1000)/Xの値を求める。
【0344】
具体的な算出方法を、下記比較例CD3の高分子化合物HTL−1及び高分子化合物HTL−2を50:50の比で配合した場合について説明する。
【0345】
高分子化合物HTL−2は、化合物M3、化合物M4、化合物M6及び化合物M5から誘導される構成単位を有する。高分子化合物HTL−2中、全構成単位の総モルに対する比率は、化合物M3から誘導される構成単位が0.05、化合物M4から誘導される構成単位が0.05、化合物M6から誘導される構成単位が0.40、化合物M5から誘導される構成単位が0.05である。また、化合物M3から誘導される構成単位の分子量は776.45、化合物M4から誘導される構成単位の分子量は240.20、化合物M6から誘導される構成単位の分子量は244.23、化合物M5から誘導される構成単位の分子量は750.51である。また、化合物M3から誘導される構成単位が有する架橋基の数は2、化合物M4から誘導される構成単位が有する架橋基の数は2、化合物M6から誘導される単量体が有する架橋基の数は0、化合物M5から誘導される構成単位が有する架橋基の数は0である。よって、高分子化合物HTL−2について、上述の方法で計算した(Y×1000)/Xの値は0.38である。
【0346】
高分子化合物HTL−1は、化合物M6及び化合物M5から誘導される構成単位を有する。高分子化合物HTL−1中、全構成単位の総モルに対する比率は、化合物M6から誘導される構成単位が0.50、化合物M5から誘導される構成単位が0.50である。また、化合物M6から誘導される構成単位の分子量は244.23、化合物M5から誘導される構成単位の分子量は750.51である。また、化合物M6から誘導される構成単位が有する架橋基の数は0、化合物M5から誘導される構成単位が有する架橋基の数は0である。よって、高分子化合物HTL−1について、上述の方法で計算した(Y×1000)/Xの値は0である。
【0347】
比較例CD3において、高分子化合物HTL−2及び高分子化合物HTL−1は、50:50の比で配合されている。よって、比較例CD3において、(Y×1000)/Xの値は、以下の式で、0.19と求めることができる。
0.38×0.5+0×0.5=0.19
【0348】
なお、前述の特許文献1に記載されている高分子化合物(P0−1)及び特許文献2に記載されている高分子化合物(P0−2)の(Y×1000)/Xの値は、それぞれ、0.57及び0と算出される。
【0349】
本実施形態において、(Y×1000)/Xの値は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、好ましくは0.69以上であり、より好ましくは0.85以上であり、更に好ましくは0.95以上であり、特に好ましくは1.10以上であり、とりわけ好ましくは1.20以上である。(Y×1000)/Xの値が増えることによって、第2の有機層が緻密な膜となり、第2の有機層の電荷輸送性及び/又は第2の有機層から第1の有機層への電荷注入が改善されると考えられる。
【0350】
本実施形態において、(Y×1000)/Xの値は、通常5.0以下であり、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.0以下であり、更に好ましくは2.0以下であり、特に好ましくは1.50以下である。(Y×1000)/Xの値をこの範囲とすることで、平坦な膜が一層得られ易くなり、且つ、発光素子の輝度寿命が一層優れるという効果が奏される。
【0351】
また、本実施形態において、(Y×1000)/Xの値は、本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れ、且つ、本実施形態に係る発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは0.85以上4.0以下であり、より好ましくは0.95以上3.0以下であり、更に好ましくは1.10以上2.0以下であり、特に好ましくは1.20以上1.50以下である。
【0352】
[第2の組成物]
第2の有機層は、第2の有機層の高分子化合物の架橋体と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、酸化防止剤、及び、発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含む組成物(以下、「第2の組成物」ともいう。)を含有する層であってもよい。
【0353】
第2の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の例及び好ましい範囲と同じである。
第2の組成物において、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料、電子注入材料及び発光材料の配合量は、各々、第2の有機層の高分子化合物の架橋体を100質量部とした場合、通常、1〜400質量部であり、好ましくは5〜150質量部である。
【0354】
第2の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲は、第1の組成物に含有される酸化防止剤の例及び好ましい範囲と同じである。第2の組成物において、酸化防止剤の配合量は、第2の有機層の高分子化合物の架橋体を100質量部とした場合、通常、0.001〜10質量部である。
【0355】
[第2のインク]
第2の有機層を形成するための第2のインクとして、第2の有機層の高分子化合物と、溶媒とを含有する第2の組成物を用いることができる。第2のインクは、第1のインクの項で説明した湿式法に好適に使用することができる。第2のインクの粘度の好ましい範囲は、第1のインクの粘度の好ましい範囲と同じである。第2のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲は、第1のインクに含有される溶媒の例及び好ましい範囲と同じである。
【0356】
第2のインクにおいて、溶媒の配合量は、第2の有機層の高分子化合物を100質量部とした場合、通常、1000〜100000質量部であり、好ましくは2000〜20000質量部である。
【0357】
<発光素子の層構成>
本実施形態に係る発光素子は、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられた第1の有機層と、前記陽極及び前記陰極の間に、前記第1の有機層に隣接して設けられた第2の有機層と、を有する。本実施形態に係る発光素子は、陽極、陰極、第1の有機層及び第2の有機層以外の層を有していてもよい。
【0358】
本実施形態に係る発光素子において、第1の有機層は、通常、発光層(以下、「第1の発光層」ともいう。)である。
【0359】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層は、通常、正孔輸送層、発光層(以下、「第2の発光層」ともいう。)又は電子輸送層であり、好ましくは正孔輸送層又は第2の発光層であり、より好ましくは正孔輸送層である。
【0360】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層は、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陽極及び第1の有機層の間に設けられた層であることが好ましく、陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層又は第2の発光層であることがより好ましく、陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層であることが更に好ましい。
【0361】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陽極と第2の有機層との間に、正孔注入層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた正孔輸送層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陰極と第1の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0362】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陽極と第2の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陽極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陰極と第1の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0363】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陽極と第1の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた第2の発光層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陰極と第2の有機層との間に、電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。
【0364】
本実施形態に係る発光素子において、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた電子輸送層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陽極と第1の有機層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つの層を更に有することが好ましい。また、第2の有機層が陰極及び第1の有機層の間に設けられた電子輸送層である場合、発光素子の外部量子効率がより優れるので、陰極と第2の有機層との間に、電子注入層を更に有することが好ましい。
【0365】
本実施形態に係る発光素子の具体的な層構成としては、例えば、下記の(D1)〜(D14)で表される層構成が挙げられる。発光素子は、通常、基板を有するが、基板上に陽極から積層されていてもよく、基板上に陰極から積層されていてもよい。
【0366】
(D1)陽極/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D2)陽極/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D3)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D4)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D5)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D6)陽極/正孔注入層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/陰極
(D8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/陰極
(D9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子注入層/陰極
(D10)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D12)陽極/正孔注入層/正孔輸送層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D13)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/第2の発光層(第2の有機層)/電子輸送層/電子注入層/陰極
(D14)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層(第1の有機層)/電子輸送層(第2の有機層)/電子注入層/陰極
【0367】
上記の(D1)〜(D14)中、「/」は、その前後の層が隣接して積層していることを意味する。具体的には、「第2の発光層(第2の有機層)/第1の発光層(第1の有機層)」とは、第2の発光層(第2の有機層)と第1の発光層(第1の有機層)とが隣接して積層していることを意味する。
【0368】
本実施形態に係る発光素子の外部量子効率がより優れるので、(D3)〜(D12)で表される層構成が好ましく、(D7)〜(D10)で表される層構成がより好ましい。
【0369】
本実施形態に係る発光素子において、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極は、それぞれ、必要に応じて、2層以上設けられていてもよい。
【0370】
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0371】
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、第1の発光層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜150nmである。
【0372】
本実施形態に係る発光素子において、積層する層の順番、数、及び厚さは、発光素子の外部量子効率及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0373】
[第2の発光層]
第2の発光層は、通常、第2の有機層又は発光材料を含有する層である。第2の発光層が発光材料を含有する層である場合、第2の発光層に含有される発光材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい発光材料が挙げられる。第2の発光層に含有される発光材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0374】
本実施形態に係る発光素子が第2の発光層を有し、且つ、後述の正孔輸送層及び後述の電子輸送層が第2の有機層ではない場合、第2の発光層は第2の有機層であることが好ましい。
【0375】
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、通常、第2の有機層又は正孔輸送材料を含有する層である。正孔輸送層が正孔輸送材料を含有する層である場合、正孔輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔輸送材料が挙げられる。正孔輸送層に含有される正孔輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0376】
本実施形態に係る発光素子が正孔輸送層を有し、且つ、前述の第2の発光層及び後述の電子輸送層が第2の有機層ではない場合、正孔輸送層は第2の有機層であることが好ましい。
【0377】
[電子輸送層]
電子輸送層は、通常、第2の有機層であるか、又は、電子輸送材料を含有する層であり、好ましくは、電子輸送材料を含有する層である。電子輸送層が電子輸送材料を含有する層である場合、電子輸送層に含有される電子輸送材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子輸送材料が挙げられる。電子輸送層に含有される電子輸送材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0378】
[正孔注入層及び電子注入層]
正孔注入層は、正孔注入材料を含有する層である。正孔注入層に含有される正孔注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい正孔注入材料が挙げられる。正孔注入層に含有される正孔注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0379】
電子注入層は、電子注入材料を含有する層である。電子注入層に含有される電子注入材料としては、例えば、前述の第1の組成物が含有していてもよい電子注入材料が挙げられる。電子注入層に含有される電子注入材料は、1種単独で含有されていても、2種以上が含有されていてもよい。
【0380】
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、且つ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板を使用する場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0381】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0382】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0383】
本実施形態に係る発光素子において、陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0384】
陽極及び陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及びラミネート法が挙げられる。
【0385】
[発光素子の製造方法]
本実施形態に係る発光素子において、第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0386】
第1の発光層、第2の発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層は、第1のインク、第2のインク、並びに、上述した発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、正孔注入材料及び電子注入材料をそれぞれ含有するインクを用いて、スピンコート法、インクジェット印刷法等の湿式法により形成することができる。
【0387】
[発光素子の用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源及び表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0388】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0389】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05質量%の濃度でテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV−VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD−10Avp)を用いた。
【0390】
本実施例において、化合物の発光スペクトルの最大ピーク波長は、分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:FP−6500)により室温にて測定した。化合物をキシレンに、約0.8×10−4質量%の濃度で溶解させたトルエン溶液を試料として用いた。励起光としては、波長325nmのUV光を用いた。
【0391】
<化合物EM−1〜EM−7、化合物EM−A1及び化合物EM−A2>
化合物EM−1は、国際公開第2008/059713号に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM−2は、特開2006−176491号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM−3は、国際公開第2005/033051号に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM−4及び化合物EM−5は、東京化成工業株式会社より購入した。
化合物EM−6は、国際公開第2010/013006号に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM−7は、Aldrich社より購入した。
化合物EM−A1は、特開2011−105643号公報に記載の方法に準じて合成した。
化合物EM−A2は、国際公開第2007/058368号に記載の方法に従って合成した。
【0392】
【化83】
【0393】
【化84】
【0394】
【化85】
【0395】
【化86】
【0396】
化合物EM−1の発光スペクトルの最大ピーク波長は、441nmであった。
化合物EM−2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、446nmであった。
化合物EM−3の発光スペクトルの最大ピーク波長は、453nmであった。
化合物EM−4の発光スペクトルの最大ピーク波長は、446nmであった。
化合物EM−5の発光スペクトルの最大ピーク波長は、404nmであった。
化合物EM−6の発光スペクトルの最大ピーク波長は、453nmであった。
化合物EM−7の発光スペクトルの最大ピーク波長は、448nmであった。
化合物EM−A1の発光スペクトルの最大ピーク波長は、454nmであった。
化合物EM−A2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、521nmであった。
【0397】
<化合物HM−1及びHM−2>
化合物HM−1は、AK Scientific社より購入した。
化合物HM−2は、特開2011−100942号公報及び国際公開第2011/137922号に記載の方法に準じて合成した。
【0398】
【化87】
【0399】
化合物HM−1の発光スペクトルの最大ピーク波長は、425nmであった。
化合物HM−2の発光スペクトルの最大ピーク波長は、430nmであった。
【0400】
<化合物M1〜M6>
化合物M1は、特開2012−144721号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M2は、市販品を用いた。
化合物M3は、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
化合物M4は、国際公開第2013/146806号に記載の方法に従って合成した。
化合物M5は、国際公開第2005/049546号に記載の方法に従って合成した。
化合物M6は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
【0401】
【化88】
【0402】
【化89】
【0403】
<合成例HP1>高分子化合物HP−1の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M1(1.73g)、化合物M2(0.843g)、ジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)及びトルエン(40ml)を加え、105℃に加熱した。
(工程2)得られた反応液に、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.7g)を滴下し、3時間還流させた。
(工程3)その後、そこに、9−ブロモアントラセン(64.1mg)、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.8g)及びジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(2.2mg)を加え、16時間還流させた。
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応液を冷却後、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈殿が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通液することにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿が生じた。沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物HP−1を0.91g得た。高分子化合物HP−1のMnは1.2×10であり、Mwは4.8×10であった。
【0404】
高分子化合物HP−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M1から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0405】
<合成例HTL1>高分子化合物HTL−1の合成
高分子化合物HTL−1は、化合物M5及び化合物M6を用いて、国際公開第2015/194448号に記載の方法に従って合成した。
【0406】
高分子化合物HTL−1のMnは4.5×10であり、Mwは1.5×10であった。
【0407】
高分子化合物HTL−1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。高分子化合物HTL−1について、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0であった。
【0408】
<合成例HTL2>高分子化合物HTL−2の合成
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M3(0.130g)、化合物M4(0.0620g)、化合物M6(0.493g)、化合物M5(1.15g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)及びトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。
(工程2)反応液に、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.3mL)を滴下し、6時間還流させた。
(工程3)その後、そこに、フェニルボロン酸(61.0mg)及びジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.1mg)を加え、14.5時間還流させた。
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水で2回、3質量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物HTL−2を1.05g得た。
【0409】
高分子化合物HTL−2のMnは2.4×10であり、Mwは1.8×10であった。
【0410】
高分子化合物HTL−2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とが、5:5:40:50のモル比で構成されてなる共重合体である。高分子化合物HTL−2について、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0.38であった。
【0411】
<合成例HTL3>高分子化合物HTL−3の合成
高分子化合物HTL−2の合成における(工程1)を下記(工程1−1)に変更し、(工程2)を下記(工程2−1)に変更し、(工程3)を下記(工程3−1)に変更したこと以外は、上記高分子化合物HTL−2の合成と同様の方法により、高分子化合物HTL−3を0.92g得た。
【0412】
(工程1−1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M3(0.311g)、化合物M4(0.0496g)、化合物M6(0.295g)、化合物M5(0.917g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.76mg)及びトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。
(工程2−1)反応液に、20質量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.7mL)を滴下し、6時間還流させた。
(工程3−1)その後、そこに、フェニルボロン酸(48.8mg)及びジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(0.88mg)を加え、14.5時間還流させた。
【0413】
高分子化合物HTL−3のMnは2.5×10であり、Mwは1.3×10であった。
【0414】
高分子化合物HTL−3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とが、15:5:30:50のモル比で構成されてなる共重合体である。高分子化合物HTL−3について、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0.69であった。
【0415】
<合成例HTL4>高分子化合物HTL−4の合成
高分子化合物HTL−3の合成における(工程1−1)を下記(工程1−2)に変更したこと以外は、上記高分子化合物HTL−3の合成と同様の方法により、高分子化合物HTL−4を0.92g得た。
【0416】
(工程1−2)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M3(0.518g)、化合物M4(0.0496g)、化合物M6(0.195g)、化合物M5(0.917g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.76mg)及びトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。
【0417】
高分子化合物HTL−4のMnは2.5×10であり、Mwは3.0×10であった。
【0418】
高分子化合物HTL−4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とが、25:5:20:50のモル比で構成されてなる共重合体である。高分子化合物HTL−4について、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0.95であった。
【0419】
<合成例HTL5>高分子化合物HTL−5の合成
高分子化合物HTL−5は、化合物M3、化合物M4及び化合物M5を用いて、国際公開第2015/145871号に記載の方法に従って合成した。
【0420】
高分子化合物HTL−5のMnは2.3×10であり、Mwは1.2×10であった。
【0421】
高分子化合物HTL−5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M3から誘導される構成単位と、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位とが、45:5:50のモル比で構成されてなる共重合体である。高分子化合物HTL−5について、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、1.36であった。
【0422】
<実施例D1>発光素子D1の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0423】
(第2の有機層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL−5を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより第2の有機層を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL−5は、架橋体となった。
【0424】
(第1の有機層の形成)
トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM−A1(化合物HM−1/化合物EM−A1=91.5質量%/8.5質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分間加熱することにより第1の有機層を形成した。
【0425】
(陰極の形成)
第1の有機層を形成した基板を蒸着機内において、1×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の有機層の上に、フッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上に、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
【0426】
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は2.99%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.18)であった。
【0427】
<実施例D2>発光素子D2の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−4を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
【0428】
(発光素子の評価)
発光素子D2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は2.87%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.18)であった。
【0429】
<実施例D3>発光素子D3の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−3を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D3を作製した。
【0430】
(発光素子の評価)
発光素子D3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は2.32%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.17)であった。
【0431】
<比較例CD1>発光素子CD1の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−2及び高分子化合物HTL−3(高分子化合物HTL−2/高分子化合物HTL−3=45質量%/55質量%)を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。なお、上記高分子化合物HTL−2及び高分子化合物HTL−3を45:55の比で配合したものについて、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0.55であった。
【0432】
(発光素子の評価)
発光素子CD1に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は1.77%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.17)であった。
【0433】
<比較例CD2>発光素子CD2の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−2を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD2を作製した。
【0434】
(発光素子の評価)
発光素子CD2に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は1.38%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.16)であった。
【0435】
<比較例CD3>発光素子CD3の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−1及び高分子化合物HTL−2(高分子化合物HTL−1/高分子化合物HTL−2=50質量%/50質量%)を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD3を作製した。なお、上記高分子化合物HTL−1及び高分子化合物HTL−2を50:50の比で配合したものについて、上述の方法で(Y×1000)/Xの値を算出すると、0.19であった。
【0436】
(発光素子の評価)
発光素子CD3に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は0.89%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.17)であった。
【0437】
<比較例CD4>発光素子CD4の作製と評価
実施例D1における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−1を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD4を作製した。
【0438】
(発光素子の評価)
発光素子CD4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。200cd/mにおける外部量子効率は0.75%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.17)であった。
【0439】
実施例及び比較例の結果を表3に示す。
【0440】
【表3】
【0441】
<実施例D4>発光素子D4の作製と評価
(陽極及び正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0442】
(第2の有機層の形成)
キシレンに、高分子化合物HTL−5を0.6質量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより第2の有機層を形成した。この加熱により、高分子化合物HTL−5は、架橋体となった。
【0443】
(第1の有機層の形成)
トルエンに、化合物HM−1及び化合物EM−1(化合物HM−1/化合物EM−1=91.5質量%/8.5質量%)を2質量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、第2の有機層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分間加熱することにより第1の有機層を形成した。
【0444】
(陰極の形成)
第1の有機層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、第1の有機層の上に、フッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上に、アルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D4を作製した。
【0445】
(発光素子の評価)
発光素子D4に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は2.33%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.22)であった。
【0446】
<実施例D5>発光素子D5の作製と評価
実施例D4における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−4を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D5を作製した。
【0447】
(発光素子の評価)
発光素子D5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は2.28%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.23)であった。
【0448】
<実施例D6>発光素子D6の作製と評価
実施例D4における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−3を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D6を作製した。
【0449】
(発光素子の評価)
発光素子D6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は2.06%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.21)であった。
【0450】
<実施例D7>発光素子D7の作製と評価
実施例D4における化合物EM−1に代えて、化合物EM−2を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D7を作製した。
【0451】
(発光素子の評価)
発光素子D7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は2.03%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.22)であった。
【0452】
<実施例D8>発光素子D8の作製と評価
実施例D4における化合物EM−1に代えて、化合物EM−3を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D8を作製した。
【0453】
(発光素子の評価)
発光素子D8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は1.63%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.18,0.28)であった。
【0454】
<実施例D9>発光素子D9の作製と評価
実施例D4における化合物EM−1に代えて、化合物EM−4を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D9を作製した。
【0455】
(発光素子の評価)
発光素子D9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は1.53%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.17,0.24)であった。
【0456】
<実施例D10>発光素子D10の作製と評価
実施例D4における化合物HM−1に代えて、高分子化合物HP−1を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D10を作製した。
【0457】
(発光素子の評価)
発光素子D10に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は3.74%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.15,0.16)であった。
【0458】
<実施例D11>発光素子D11の作製と評価
実施例D4における化合物HM−1に代えて、化合物HM−2を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D11を作製した。
【0459】
(発光素子の評価)
発光素子D11に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は2.69%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.22)であった。
【0460】
<比較例CD5>発光素子CD5の作製と評価
実施例D4における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−1を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子CD5を作製した。
【0461】
(発光素子の評価)
発光素子CD5に電圧を印加することによりEL発光が観測された。50cd/mにおける外部量子効率は0.33%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.19)であった。
【0462】
実施例及び比較例の結果を表4に示す。
【0463】
【表4】
【0464】
<実施例D12>発光素子D12の作製と評価
実施例D1における化合物EM−A1に代えて、化合物EM−A2を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D12を作製した。
【0465】
(発光素子の評価)
発光素子D12に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は2.00%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.27,0.64)であった。
【0466】
<実施例D13>発光素子D13の作製と評価
実施例D12における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−4を用いたこと以外は、実施例D12と同様にして、発光素子D13を作製した。
【0467】
(発光素子の評価)
発光素子D13に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は1.69%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.27,0.64)であった。
【0468】
<比較例CD6>発光素子CD6の作製と評価
実施例D12における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−2及び高分子化合物HTL−3(高分子化合物HTL−2/高分子化合物HTL−3=45質量%/55質量%)を用いたこと以外は、実施例D12と同様にして、発光素子CD6を作製した。
【0469】
(発光素子の評価)
発光素子CD6に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は0.45%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.27,0.64)であった。
【0470】
<比較例CD7>発光素子CD7の作製と評価
実施例D12における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−2を用いたこと以外は、実施例D12と同様にして、発光素子CD7を作製した。
【0471】
(発光素子の評価)
発光素子CD7に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は0.59%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.27,0.64)であった。
【0472】
<比較例CD8>発光素子CD8の作製と評価
実施例D12における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−1を用いたこと以外は、実施例D12と同様にして、発光素子CD8を作製した。
【0473】
(発光素子の評価)
発光素子CD8に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は0.62%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.27,0.64)であった。
【0474】
<実施例D14>発光素子D14の作製と評価
実施例D1における化合物EM−A1に代えて、化合物EM−5を用いたこと以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D14を作製した。
【0475】
(発光素子の評価)
発光素子D14に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は1.24%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.22)であった。
【0476】
<実施例D15>発光素子D15の作製と評価
実施例D14における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−3を用いたこと以外は、実施例D14と同様にして、発光素子D15を作製した。
【0477】
(発光素子の評価)
発光素子D15に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は1.07%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.23)であった。
【0478】
<比較例CD9>発光素子CD9の作製と評価
実施例D14における高分子化合物HTL−5に代えて、高分子化合物HTL−1を用いたこと以外は、実施例D14と同様にして、発光素子CD9を作製した。
【0479】
(発光素子の評価)
発光素子CD9に電圧を印加することによりEL発光が観測された。400cd/mにおける外部量子効率は0.60%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.24)であった。
【0480】
実施例及び比較例の結果を表5に示す。
【0481】
【表5】
【0482】
<実施例D16>発光素子D16の作製と評価
実施例D4と同様にして、発光素子D16を作製した。
【0483】
(発光素子の評価)
発光素子D16に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は2.30%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.22)であった。
【0484】
<実施例D17>発光素子D17の作製と評価
実施例D4における化合物EM−1に代えて、化合物EM−6を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D17を作製した。
【0485】
(発光素子の評価)
発光素子D17に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は1.78%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.14,0.18)であった。
【0486】
<実施例D18>発光素子D18の作製と評価
実施例D4における化合物EM−1に代えて、化合物EM−7を用いたこと以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D18を作製した。
【0487】
(発光素子の評価)
発光素子D18に電圧を印加することによりEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は1.37%であり、CIE色度座標(x,y)は(0.16,0.19)であった。
【産業上の利用可能性】
【0488】
本発明によれば、外部量子効率に優れる発光素子を提供することができる。