特許第6913152号(P6913152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6913152液晶組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6913152
(24)【登録日】2021年7月13日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】液晶組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20210727BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20210727BHJP
   C07D 417/04 20060101ALN20210727BHJP
   C07C 61/08 20060101ALN20210727BHJP
【FI】
   G02B5/30
   C08F220/30
   !C07D417/04
   !C07C61/08
【請求項の数】3
【全頁数】85
(21)【出願番号】特願2019-218150(P2019-218150)
(22)【出願日】2019年12月2日
(62)【分割の表示】特願2016-229345(P2016-229345)の分割
【原出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2020-73987(P2020-73987A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】特願2015-230054(P2015-230054)
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】飛田 憲之
(72)【発明者】
【氏名】大川 春樹
【審査官】 菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−157776(JP,A)
【文献】 特開2010−031223(JP,A)
【文献】 特開2014−198814(JP,A)
【文献】 特開2015−143789(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0090163(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
C07C 1/00−409/44
C08F 6/00−301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Arは2価の芳香族基であり、該芳香族基中には窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含んでいてもよく、
Gは、2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−、−NH−又は−NR−に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、
Bは、単結合又は2価の連結基を表し、
Aは、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−又は−NR−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、
kは、0〜3の整数を表し、ここで、kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
Eは、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、
Pは、重合性基を表す]
で表される液晶化合物(1)と、
式(2):
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、G、A、B、E、P及びkは、それぞれ式(1)におけるG、A、B、E、P及びkの定義と同じである]
で表される液晶化合物(2)とを含む液晶組成物を製造する方法であって、
式(3):
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、A、B、E、P及びkは、それぞれ式(1)におけるA、B、E、P及びkの定義と同じである]
で表されるアルコール化合物(3)と式(4):
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Gは式(1)におけるGの定義と同じである]
で表されるジカルボン酸化合物(4)とを反応させて、式(5):
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、G、A、B、E、P及びkは、それぞれ式(1)におけるG、A、B、E、P及びkの定義と同じである]
で表されるカルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む混合物を得る工程;及び
カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む前記混合物を、式(6):
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Arは式(1)におけるArの定義と同じである]
で表されるアルコール化合物(6)と反応させて、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)とを含む液晶組成物を得る工程
を含
アルコール化合物(6)の使用量は、カルボン酸化合物(5)1モルに対して、0.2〜0.7モルである、方法。
【請求項2】
前記アルコール化合物(3)1モルに対する、ジカルボン酸化合物(4)の使用量が1〜50モルである、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコール化合物(3)と前記ジカルボン酸化合物(4)との反応、並びに/又はカルボン酸化合物(5)及び液晶化合物(2)を含む前記混合物と前記アルコール化合物(6)との反応は、縮合剤の存在下において行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶組成物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板、位相差板などの光学フィルムを用いた部材が含まれている。光学フィルムには、例えば、重合性化合物を溶剤に溶かして得られる溶液を、支持基材に塗布後、重合して得られる光学フィルムなどが挙げられる。そして、波長λnmの光が与える光学フィルムの位相差(Re(λ))は、複屈折率Δnとフィルムの厚みdとの積で決定されることが知られている(Re(λnm)=Δn×d)。また波長分散特性は、通常、ある波長λにおける位相差値Re(λ)を550nmにおける位相差値Re(550nm)で除した値(Re(λ)/Re(550nm))で表され、(Re(λnm)/Re(550nm))が1に近い波長域や、[Re(450nm)/Re(550nm)]<1かつ[Re(650nm)/Re(550nm)]>1の逆波長分散性を示す波長域では、一様の偏光変換が可能であることが知られている。
例えば、該重合性化合物としては、LC242(BASF社製)が市販されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Cordula Mock-Knoblauch, Olivier S. Enger, Ulrich D. Schalkowsky、“L-7 Novel Polymerisable Liquid Crystalline Acrylates for the Manufacturing of Ultrathin Optical Films”、SID Symposium Digest of Technical Papers、2006年、37巻、p.1673
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学フィルムの波長分散特性は、当該フィルムを構成する各化合物によって異なる特性である。そのため、所望の波長分散特性を有する光学フィルムを得るためには、その所望の波長分散特性をもたらす化合物を合成する必要がある。しかしながら、化合物の合成には多大な労力を要することが多く、繰り返し実験を行わなければならず、また場合によっては合成を繰り返しても所望の波長分散特性をもたらす化合物が得られないこともある。したがって、所望の波長分散特性を有するフィルムを得ることは、経済的にも技術的にも容易なことではない。
【0005】
そこで本発明は、所望の波長分散特性をもたらす液晶組成物を提供することを目的とする。また本発明は、かかる液晶組成物を容易に得ることができる製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の好適な態様[1]〜[18]を提供するものである。
[1]式(1)で表される液晶化合物(1)と、式(2)で表される液晶化合物(2)とを含む液晶組成物。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、Arは2価の芳香族基であり、該芳香族基中には窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含んでいてもよく、
Gは、2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−、−NH−又は−NR−に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、
Bは、単結合又は2価の連結基を表し、
Aは、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−又は−NR−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、
kは、0〜3の整数を表し、ここで、kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよく、
Eは、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、
Pは、重合性基を表す。]
[2]前記式(1)におけるG、A、B、E、P及びkは、前記式(2)におけるG、A、B、E、P及びkとそれぞれ同一である、前記[1]に記載の液晶組成物。
[3]前記液晶化合物(1)を配向させてなる光学フィルムが逆波長分散性を示す、前記[1]又は[2]に記載の液晶組成物。
[4]前記液晶化合物(2)を配向させてなる光学フィルムが正波長分散性を示す、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶組成物。
[5]Arにおける芳香族基がπ電子を10個〜30個有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶組成物。
[6]前記液晶化合物(1)の極大吸収波長(λmax)は300〜400nmである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶組成物。
[7]前記液晶組成物を配向させてなる光学フィルムは、波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)が0.65以上1未満である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶組成物。
[8]Arは複素環を有する芳香族基である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の液晶組成物。
[9]前記複素環を有する芳香族基はベンゾチアゾール基を有する芳香族基である、前記[8]に記載の液晶組成物。
[10]前記液晶組成物における前記液晶化合物(2)の含有量は、前記液晶化合物(1)100質量%に対して、0.1〜70質量%の範囲である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の液晶組成物。
[11]前記[1]〜[10]のいずれかに記載の液晶組成物の重合体を含む光学フィルム。
[12]波長550nmにおける位相差値(Re(550nm))は113〜163nmである、前記[11]に記載の光学フィルム。
[13]前記[11]又は[12]に記載の光学フィルム及び偏光フィルムを含む円偏光板。
[14]前記[13]に記載の円偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機EL表示装置。
[15]式(1):
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
で表される液晶化合物(1)と、
式(2):
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
で表される液晶化合物(2)とを含む液晶組成物を製造する方法であって、
式(3):
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
で表されるアルコール化合物(3)と式(4):
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
で表されるジカルボン酸化合物(4)とを反応させて、式(5):
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
で表されるカルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む混合物を得る工程を含む、製造方法。
[16]カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む前記混合物を、式(6):
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
で表されるアルコール化合物(6)を反応させて、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)とを含む液晶組成物を得る工程を含む、前記[15]に記載の方法。
[17]前記アルコール化合物(3)1モルに対する、ジカルボン酸化合物(4)の使用量が1〜50モルである、前記[15]又は[16]に記載の方法。
[18]前記アルコール化合物(3)と前記ジカルボン酸化合物(4)との反応、並びに/又はカルボン酸化合物(5)及び液晶化合物(2)を含む前記混合物と前記アルコール化合物(6)との反応は、縮合剤の存在下において行われる、前記[15]〜[17]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所望の波長分散特性をもたらす液晶組成物を提供することできる。また、本発明によれば、かかる液晶組成物を容易に得ることができる製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<液晶化合物>
本発明の液晶組成物は、式(1):
【化8】
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で表される液晶化合物(1)と、式(2):
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
で表される液晶化合物(2)とを含むものである。
【0009】
式(1)及び(2)において、Arは2価の芳香族基であり、該芳香族基中には窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
Gは、2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−、−NH−又は−NR−に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−、−NH−又は−NR−に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
Bは、単結合又は2価の連結基を表す。
Aは、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−又は−NR−に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)に置換されていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
kは、0〜3の整数を表し、ここで、kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Eは、炭素数1〜17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−又は−CO−で置換されていてもよい。
Pは、重合性基を表す。
【0010】
式(1)において、Arで表される2価の芳香族基は芳香環を有する2価の基であり、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。Arで表される2価の芳香族基が、窒素原子、酸素原子および硫黄原子等のうち少なくとも一つを含むとは、Ar中にこれらヘテロ原子を含んでいればよく、Arは芳香環として複素環を有してもよく、芳香環として複素環を有していなくてもよい。Arで表される2価の芳香族基は、逆波長分散性発現の観点から、芳香環として複素環を有する芳香族基であることが好ましく、例えばフラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、フェナンスロリン環等の複素環を有する芳香族基が挙げられる。なかでも、複素環を有する芳香族基はチアゾール環、ベンゾチアゾール環を有する芳香族基がより好ましく、ベンゾチアゾール基を有する芳香族基がさらに好ましい。また、Arにおける芳香環が窒素原子を含む場合、この芳香環に含まれる窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
【0011】
Arが芳香環として複素環を有する芳香族基である場合、2価の芳香族基であるAr中の複素環は、式(1)において、Arに結合する2つの酸素原子(−O−)のいずれかまたは両方と結合していてもよいし、複素環を構成する原子以外の原子で上記2つの酸素原子(−O−)のいずれか又は両方と結合していてもよい。複素環で上記酸素原子と結合している場合の好ましい複素環は、チアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはベンゾチアゾール環である。
【0012】
Arを構成する芳香環に含まれるπ電子の合計数Nπは、逆波長分散性発現の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。すなわち、Arにおける芳香族基がπ電子を、好ましくは10個以上、より好ましくは12個以上、さらに好ましくは14個以上有し、好ましくは30個以下、より好ましくは25個以下有する。
【0013】
Arで表される芳香族環としては、例えば以下の(Ar−1)〜(Ar−22)で示される基が挙げられる。
【0014】
【化10】
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【0015】
[式(Ar−1)〜式(Ar−22)中、*印は連結部を表し、Z、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基又は炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
、Q及びQは、それぞれ独立に、−CR−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは、0〜6の整数を表す。]
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が好ましい。
【0017】
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0018】
炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシル基スルフィニル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
【0019】
炭素数1〜6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
【0020】
炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0021】
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0022】
炭素数1〜6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルチオ基がより好ましく、メチルチオ基が特に好ましい。
【0023】
炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基がより好ましく、N−メチルアミノ基が特に好ましい。
【0024】
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N−ジメチルアミノ基が特に好ましい。
【0025】
炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルスルファモイル基がより好ましく、N−メチルスルファモイル基が特に好ましい。
【0026】
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジイソブチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N−ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
【0027】
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルスルファモイル基又はN,N−ジメチルスルファモイル基であることが好ましい。
【0028】
及びRにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
及びQは、それぞれ独立に、−S−、−CO−、−NH−、−N(CH)−であることが好ましく、Qは、−S−、−CO−であることが好ましい。
【0029】
、Y及びYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含み、炭素数4〜20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基が好ましい。
【0030】
かかる芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、少なくとも一つの置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基、炭素数1〜2のフルオロアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキルチオ基、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜2のアルキルスルファモイル基が好ましい。
【0031】
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基及び炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0032】
式(Ar−14)、(Ar−19)、(Ar−21)及び(Ar−22)において、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環、ピペリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、後述する置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。
【0033】
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。例えば、Y、Y及びY、それぞれ独立に、式(Y−1)〜式(Y−7)で表されるいずれかの基であることが好ましく、式(Y−1)又は式(Y−4)で表されるいずれかの基であることがより好ましい。
【0034】
【化11】
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【0035】
[式(Y−1)〜式(Y−7)中、*印は連結部を表し、Zは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロキシキド基、スルホン基、スルホキシド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基又は炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基を表す。
及びVは、それぞれ独立に、−CO−、−S−、−NR−、−O−、−Se−又は−SO−を表す。
〜Wは、それぞれ独立に、−C=又は−N=を表す。
ただし、V、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N、O又はSeを含む基を表す。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
aは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
bは、それぞれ独立に、0〜2の整数を表す。]
【0036】
式(Y−1)〜式(Y−7)で表されるいずれかの基は、式(Y−1)〜式(Y−16)で表されるいずれかの基であることが好ましく、式(Y−1)〜式(Y−6)で表されるいずれかの基であることがより好ましく、式(Y−1)又は式(Y−3)で表される基であることが特に好ましい。
【0037】
【化12】
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【0038】
[式(Y−1)〜式(Y−16)中、Z、a、b、V、V及びW〜Wは、上記と同じ意味を表す。]
【0039】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0040】
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、Z、a、b、V、V及びWは、上記と同じ意味を表す。]
【0041】
としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられ、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、ニトロキシキド基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が特に好ましい。
【0042】
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基及び炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
【0043】
及びVは、それぞれ独立に、−S−、−NR−又は−O−であることが好ましい。
【0044】
〜Wは、それぞれ独立に、−C=又は−N=であることが好ましい。
【0045】
、V及びW〜Wのうち少なくとも1つは、S、N又はOを含む基を表すことが好ましい。
【0046】
aは0又は1であることが好ましい。bは0であることが好ましい。
〜Yの具体例として、式(ar−001)〜式(ar−840)で表される基が挙げられる。
【0047】
【化14】
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【0048】
【化15】
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【0049】
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【0163】
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【0165】
【化132】
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【0166】
【化133】
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【0167】
式(1)及び(2)においてGは、2価の脂環式炭化水素基であり、その炭素数は例えば3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜15、さらに好ましくは5〜10である。2価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルカンジイル基等が挙げられる。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−(メチレン基)は、−O−、−S−、又は−NH−に置換されていてもよい。
【0168】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0169】
炭素数1〜4のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、炭素数1〜3のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0170】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0171】
2価の脂環式炭化水素基としては、式(g−1)〜式(g−4)で表される基が挙げられる。脂環式炭化水素基に含まれる−CH−が、−O−、−S−又は−N(R)−に置き換わった2価の脂環式炭化水素基としては、式(g−5)〜式(g−8)で表される基が挙げられる。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)が、−N(−)−(窒素原子)に置き換わった2価の脂環式炭化水素基としては、式(g−9)〜式(g−10)で表される基が挙げられる。5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0172】
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
2価の脂環式炭化水素基としては、式(g−1)で表される基であることが好ましく、1,4−シクロヘキサンジイル基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキサンジイル基であることが特に好ましい。
【0174】
式(1)及び(2)においてBは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、例えば、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、−O−CR−、−CR−O−、−CR−O−CR−、−CR−O−CO−、−O−CO−CR−、−CR−O−CO−CR−、−CR−CO−O−CR−、−NR10−CR−、−CR−NR10−、−CO−NR10−、−NR10−CO−、−O−、−S−、−NR10−、−CR=CR−等が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R10は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0175】
Bが、−O−、−S−、−O−CO−、−O−C(=S)−、−O−CR−、−NR10−CR−又は−NR10−CO−であることが好ましい。D及びDが、−O−、−S−、−O−CO−、−O−C(=S)−又は−NR10−CO−であることがより好ましい。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。R10は、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0176】
式(1)及び(2)においてAは、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数4〜15の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基を表し、より好ましくは炭素数5〜12の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を表し、さらに好ましくは炭素数6〜10の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基を表す。5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
【0177】
該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;で置換されていてもよい。該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NR−で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置換されていてもよく、ここでRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
【0178】
2価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記式(g−1)〜式(g−10)で表される基が挙げられる。
【0179】
2価の脂環式炭化水素基としては、式(g−1)で表される基であることが好ましく、1,4−シクロヘキサンジイル基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキサンジイル基であることが特に好ましい。
【0180】
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、式(a−1)〜式(a−8)で表される基が挙げられる。
【0181】
【化135】
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【0182】
2価の芳香族炭化水素基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0183】
式(1)及び(2)においてkは、0〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。なお、kが2以上の整数である場合、複数のA及びBは、互いに同一であっても異なっていてもよい。液晶化合物(1)及び(2)を工業的に得やすい観点からは、複数のA及びBは互いに同一であることが好ましい。
【0184】
式(1)及び(2)においてEは、炭素数1〜17、好ましくは2〜15、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは4〜10のアルカンジイル基を表す。該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置換されていてもよい。
【0185】
本発明において式(1)および式(2)においてPで示される重合性基とは、重合反応に関与し得る基を含む基である。重合反応に関与し得る基としては、ビニル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、メチルカルボニル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、ホルミル基、−N=C=O、−N=C=S、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。
【0186】
重合性基は、光重合に適するという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易で、製造も容易であるという点で、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイル基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、重合性が高いという点で、アクリロイル基又はアクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0187】
〔液晶組成物およびその製造方法〕
本発明の液晶組成物は、前記液晶化合物(1)と前記液晶化合物(2)とを含むものである。液晶化合物(1)を表す式(1)におけるG、A、B、E、P及びkは、液晶化合物(2)を表す式(2)におけるG、A、B、E、P及びkと、それぞれ異なっていても同一であってもよい。本発明の好ましい実施態様において、前記式(1)におけるG、A、B、E、P及びkは、前記式(2)におけるG、A、B、E、P及びkとそれぞれ同一である。この場合、本発明の液晶組成物に含まれる液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の調製をワンポットで同時に行うことができるため、本発明の液晶組成物の調製が非常に簡便に行うことができ、経済的に有利である。
【0188】
前記液晶化合物(1)を配向してなる光学フィルムは、逆波長分散性を示すことが好ましい。液晶化合物(1)を配向してなる光学フィルムが逆波長分散性を示すと、広範囲の波長領域において一様の偏光変換が可能であるため好ましい。逆波長分散性を示すとは、[Re(450nm)/Re(550nm)]<1の場合であり、正波長分散性を示すとは、[Re(450nm)/Re(550nm)]≧1の場合である。なお、液晶化合物を配向してなる光学フィルムとは、配向状態の液晶化合物から構成される光学フィルムである。
【0189】
液晶化合物(1)の極大吸収波長(λmax)は、好ましくは300〜400nm、より好ましくは315〜385nm、さらに好ましくは330〜360nmである。液晶化合物(1)の極大吸収波長(λmax)が上記下限値以上であると、液晶化合物(1)を配向してなる光学フィルムは逆波長分散性を示しやすい傾向にある。液晶化合物(1)の極大吸収波長(λmax)が上記上限値以下であると、可視領域での吸収を抑えてフィルムへの着色を回避できるため好ましい。
【0190】
かかる液晶化合物(1)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0191】
【化136】
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【0192】
【化137】
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【0193】
【化138】
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【0194】
【化139】
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【0195】
【化140】
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【0196】
【化141】
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【0197】
【化142】
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【0198】
【化143】
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【0199】
【化144】
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【0200】
【化145】
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【0201】
【化146】
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【0202】
【化147】
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【0203】
【化148】
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【0204】
【化149】
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【0205】
【化150】
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【0206】
【化151】
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【0207】
【化152】
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【0208】
【化153】
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【0209】
【化154】
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【0210】
【化155】
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【0211】
【化156】
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【0212】
【化157】
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【0213】
【化158】
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【0214】
【化159】
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【0215】
【化160】
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【0216】
【化161】
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【0217】
【化162】
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【0218】
【化163】
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【0219】
【化164】
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【0220】
【化165】
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【0221】
【化166】
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【0222】
【化167】
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【0223】
【化168】
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【0224】
【化169】
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【0225】
【化170】
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【0226】
【化171】
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【0227】
【化172】
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【0228】
【化173】
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【0229】
【化174】
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【0230】
【化175】
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【0231】
【化176】
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【0232】
【化177】
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【0233】
【化178】
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【0234】
【化179】
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【0235】
【化180】
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【0236】
【化181】
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【0237】
【化182】
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【0238】
【化183】
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【0239】
【化184】
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【0240】
【化185】
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【0241】
【化186】
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【0242】
【化187】
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【0243】
【化188】
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【0244】
【化189】
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【0245】
【化190】
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【0246】
【化191】
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【0247】
【化192】
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【0248】
【化193】
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【0249】
【化194】
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【0250】
【化195】
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【0251】
【化196】
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【0252】
【化197】
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【0253】
【化198】
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【0254】
【化199】
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【0255】
【化200】
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【0256】
【化201】
[この文献は図面を表示できません]
【0257】
【化202】
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【0258】
【化203】
[この文献は図面を表示できません]
【0259】
【化204】
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【0260】
【化205】
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【0261】
前記液晶化合物(2)を配向してなる光学フィルムは、正波長分散性を示すことが好ましい。液晶化合物(2)を配向してなる光学フィルムが正波長分散性を示すと、液晶組成物中の液晶化合物(2)と液晶化合物(1)との比率を変えることにより、液晶組成物の重合体を含む光学フィルムの波長分散性を制御できるため好ましい。
【0262】
かかる液晶化合物(2)としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
【0263】
【化206】
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【0264】
液晶化合物(1)を配向してなる光学フィルムが逆波長分散性を示し、液晶化合物(2)を配向してなる光学フィルムが正波長分散性を示すと、液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を調整することにより、本発明の液晶組成物を用いて製造される光学フィルム、すなわち本発明の液晶組成物の重合体を含む光学フィルムの光学特性を任意に制御することができる。
【0265】
本発明の液晶組成物における前記液晶化合物(2)の含有量は、前記液晶化合物(1)100質量%に対して、即ち液晶化合物(1)を100質量%とする質量比で好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%の範囲であり、8質量%以上、特には12質量%以上、更には17質量%以上であってもよい。前記液晶組成物における前記液晶化合物(2)の含有量が上記下限値以上であると、光学フィルムの波長分散性の調整が容易であるため好ましい。前記液晶組成物における前記液晶化合物(2)の含有量が上記上限値以下であると、光学フィルムが逆波長分散性を発現することができるため好ましい。
【0266】
本発明の液晶組成物を配向させてなる光学フィルムの波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)は、好ましくは0.65以上1未満、より好ましくは0.75以上0.95以下、さらに好ましくは0.80以上0.90以下である。液晶組成物を配向させてなる光学フィルムの波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)が上記下限値以上であると、450nm付近の短波長領域において円偏光変換が可能となるため好ましい。液晶組成物を配向させてなる光学フィルムの波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)が上記上限値以下であると、得られる光学フィルムが逆波長分散性を示すため好ましい。
【0267】
前記液晶化合物(1)と前記液晶化合物(2)を含む本発明の液晶組成物は、例えば以下の工程:
・式(3):
【化207】
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で表されるアルコール化合物(3)と式(4):
【化208】
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で表されるジカルボン酸化合物(4)とを反応させて、式(5):
【化209】
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で表されるカルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む混合物を得る工程(a);及び
・カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む前記混合物を、式(6):
【化210】
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で表されるアルコール化合物(6)を反応させて、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)とを含む液晶組成物を得る工程(b)
を含む方法によって製造することができる。ここで、カルボン酸化合物(5)は、液晶化合物(1)の前駆体である。なお、式(3)〜(6)におけるA、B、P、E、G及びArは、上記で規定されたものと同一である。
【0268】
アルコール化合物(3)としては、具体的には、下記式(3−1−a)〜(3−36−e)で表される化合物が挙げられる。
【0269】
【化211】
[この文献は図面を表示できません]
【0270】
【化212】
[この文献は図面を表示できません]
【0271】
【化213】
[この文献は図面を表示できません]
【0272】
【化214】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
【化215】
[この文献は図面を表示できません]
【0274】
【化216】
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
【化217】
[この文献は図面を表示できません]
【0276】
【化218】
[この文献は図面を表示できません]
【0277】
【化219】
[この文献は図面を表示できません]
【0278】
【化220】
[この文献は図面を表示できません]
【0279】
ジカルボン酸化合物(4)としては、例えば以下の式(4−1)で表される化合物(4−1)が挙げられる。
【0280】
【化221】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−N(R11)−で置き換わっていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH(−)−(メチン基)は、−N(−)−(窒素原子)で置き換わっていてもよい。R11は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
pは0または1を表す。]
【0281】
ジカルボン酸化合物(4)は、好ましくは式(4−2)で表される化合物(4−2)であり、より好ましくは式(4−3)で表される化合物(4−3)である。
【0282】
【化222】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、mは0〜3の整数を表す。pは0又は1を表す。]
【0283】
ジカルボン酸化合物(4)としては、具体的には、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロペンタンジカルボン酸、2−メチル−1,3−シクロペンタンジカルボン酸、3,4−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,1’−シクロブタンジカルボン酸、1,1’−シクロプロパンジカルボン酸、エポキシこはく酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等が挙げられ、好ましくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であり、より好ましくはトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。
【0284】
アルコール化合物(6)としては、芳香族基Arに対して2つのヒドロキシル基が結合した化合物であればよい。芳香族基Arとしては、上記で規定したものと同じであり、例えば、上記式(Ar−1)〜(Ar−22)において2つの*部分がヒドロキシル基である化合物が挙げられる。
【0285】
<工程(a)>
工程(a)において、前記アルコール化合物(3)と前記ジカルボン酸化合物(4)とのエステル化反応が行われる。エステル化反応は、好ましくは縮合剤の存在下において行われる。縮合剤の存在下でエステル化反応を行うことにより、エステル化反応を効率良く迅速に行うことができる。
【0286】
縮合剤としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(水溶性カルボジイミド:WSCとして市販)、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド及び、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド等のカルボジイミド化合物、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラ−トルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラ−トルエンスルホネート並びに、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。
【0287】
縮合剤は、好ましくは、カルボジイミド化合物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド及び、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラ−トルエンスルホネートである。
【0288】
縮合剤は、より好ましくは、カルボジイミド化合物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド及び、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイドであり、さらに好ましくは、経済性の観点から、カルボジイミド化合物である。
【0289】
カルボジイミド化合物の中でも、好ましくは、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(水溶性カルボジイミド:WSCとして市販)及び、ビス(2、6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドである。
【0290】
縮合剤の使用量は、アルコール化合物(3)1モルに対して、通常1〜3モルである。
【0291】
エステル化反応では、さらに、N−ヒドロキシスクシンイミド、ベンゾトリアゾール、パラニトロフェノール、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン等を添加剤として加えて混合してもよい。添加剤の使用量は、縮合剤1モルに対して、好ましくは0.03〜1.2モルである。
【0292】
エステル化反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、ジメチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナート等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチルアミノピリジン及び、N,N−ジメチルアニリンが好ましく、N,N−ジメチルアミノピリジンがより好ましい。触媒の使用量は、アルコール化合物(3)1モルに対して、好ましくは0.01〜0.5モルである。
【0293】
エステル化反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリルなどのニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;乳酸エチルなどのエステル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの非プロトン性極性溶媒;などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0294】
溶媒は、好ましくはアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の親水系有機溶剤であり、より好ましくは、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒である。
【0295】
ジカルボン酸化合物(4)の使用量は、アルコール化合物(3)1モルに対して、好ましくは1〜50モル、より好ましくは3〜50モルであり、さらに好ましくは4〜40モルであり、特に好ましくは5〜20モルである。ジカルボン酸化合物(4)の使用量が上記下限値以上であると、液晶化合物(1)の収率が良好である。また、ジカルボン酸化合物(4)の使用量が上記上限値以下であると、未反応のジカルボン酸化合物(4)を除去のための後処理作業を容易に行うことができるため、生産性が高くなる傾向がある。
【0296】
溶媒の使用量は、アルコール化合物(3)とジカルボン酸化合物(4)との合計1質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部であり、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは2〜10質量部である。
【0297】
工程(a)において、エステル化反応の温度は、好ましくは−20〜120℃であり、より好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは30〜60℃である。エステル化反応の時間は、好ましくは1分〜72時間であり、より好ましくは1〜48時間であり、さらに好ましくは1〜24時間である。上記の温度範囲及び時間範囲でエステル化反応を行うことにより、反応収率が向上し、生産性がより高くなる傾向がある。
【0298】
エステル化反応を行った後、必要に応じて、未反応のジカルボン酸化合物(4)を除去することができる。未反応のジカルボン酸化合物(4)を除去する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。工程(a)において得られた反応混合物と塩基性化合物と水とを混合して懸濁液を調製し、該懸濁液中において、未反応のジカルボン酸化合物(4)をイオン化し、水中に溶解させることによって、未反応のジカルボン酸化合物(4)を除去することができ、またカルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む混合物を析出させることができる。
【0299】
塩基性化合物は、ジカルボン酸化合物(4)と酸−塩基反応をすることができる化合物であればよい。塩基性化合物は、好ましくは、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルキルオキシ化物及び、アルカリ土類金属のアルキルオキシ化物等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する塩基性化合物である。より好ましくは、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ金属の水酸化物及び、アルカリ土類金属の水酸化物等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属を有する塩基性無機化合物である。
具体的には、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、t−ブトキシナトリウム及び、t−ブトキシカリウム等が挙げられる。
【0300】
塩基性化合物の使用量は、ジカルボン酸化合物(4)1モルに対して、好ましくは0.05〜50モルであり、より好ましくは0.1〜10モルであり、さらに好ましくは0.2〜2モルである。塩基性化合物の使用量が上記下限値以上であると、ジカルボン酸化合物(4)が溶解しやすいために除去が容易になる傾向がある。塩基性化合物の使用量が上記上限値以下であると、塩となるカルボン酸化合物(5)の量を低減でき、その後の処理操作を簡便に行うことができるため、生産性を向上させることができる。
【0301】
水の使用量は、反応混合物100質量部に対して、好ましくは20〜10000質量部であり、より好ましくは50〜5000質量部であり、さらに好ましくは100〜1000質量部である。上記範囲の量の塩基性化合物と水とを混合することで、未反応のジカルボン酸化合物(4)等の物質を水中に溶解させ、且つ、カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む混合物を析出させることが、より容易になるため好ましい。
【0302】
得られた懸濁液から、カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む固形分を取得する方法としては、濾過、デカンテーション等の方法が挙げられる。好ましくは濾過である。
【0303】
かくして、カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とを含む固形分(混合物)を得ることができる。工程(a)において得られた固形分1質量部に対する、該固形分に含まれるジカルボン酸化合物(4)の含有量は、好ましくは0.01質量部以下であり、より好ましくは0.005質量部以下であり、さらに好ましくは0.001質量部以下である。
【0304】
<工程(b)>
工程(b)において、工程(a)で得られたカルボン酸化合物(5)及び液晶化合物(2)を含む混合物を、アルコール化合物(6)と反応させる。この反応においては、カルボン酸化合物(5)とアルコール化合物(6)とのエステル化反応が生じる。エステル化反応は、好ましくは縮合剤の存在下において行われる。また、工程(b)におけるエステル化反応は、触媒の存在下において行うことができる。通常、かかるエステル化反応は、溶媒中で行われる。縮合剤、触媒及び溶媒としては、例えば、工程(a)で用いられ得る上記縮合剤、触媒及び溶媒が挙げられる。工程(b)におけるエステル化反応は、工程(a)におけるエステル化反応と同様に行うことができる。
【0305】
アルコール化合物(6)の使用量は、カルボン酸化合物(5)1モルに対して、好ましくは0.2〜0.7モル、より好ましくは0.3〜0.6モルであり、さらに好ましくは0.4〜0.5モルであり、特に好ましくは0.42〜0.45モルである。アルコール化合物(6)の使用量が上記下限値以上であると、未反応のカルボン酸化合物の量を抑制して精製が容易となる。また、アルコール化合物(6)の使用量が上記上限値以下であると、カルボン酸化合物の不足を抑制して収率を向上させることができる。
【0306】
溶媒の使用量は、カルボン酸化合物(5)と液晶化合物(2)とアルコール化合物(6)との合計1質量部に対して、好ましくは0.5〜50質量部であり、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは2〜10質量部である。
【0307】
工程(b)において、エステル化反応の温度は、好ましくは−20〜100℃であり、より好ましくは−10〜50℃であり、さらに好ましくは0〜30℃である。エステル化反応の時間は、好ましくは1分〜72時間であり、より好ましくは1〜48時間であり、さらに好ましくは1〜24時間である。上記の温度範囲及び時間範囲でエステル化反応を行うことにより、反応収率が向上し、生産性がより高くなる傾向がある。
【0308】
上記反応により、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)とを含む液晶組成物が得られる。かかる液晶組成物は、濾過、デカンテーション等により精製することができる。
【0309】
本発明の液晶組成物は、さらに重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤等が挙げられる。本発明において、重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
【0310】
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)などを挙げることができる。
【0311】
また重合開始剤の含有量は、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)との合計100質量部に対して、例えば0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を重合させることができる。
【0312】
本発明において光学フィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。光学フィルムの一種である位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。本発明の光学フィルムは、本発明の液晶組成物の重合体を含むものである。すなわち、本発明の光学フィルムは、液晶化合物(1)に由来する構造単位及び液晶化合物(2)に由来する構造単位から構成される重合体を含むものである。
【0313】
本発明の光学フィルムの波長分散特性は、光学フィルムを構成する前記重合体における液晶化合物(1)に由来する構造単位と液晶化合物(2)に由来する構造単位との含有量の調整によって、任意に制御することができる。光学フィルムを構成する前記重合体における構造単位の中で液晶化合物(1)に由来する構造単位の含有量を増加させると、よりフラットな波長分散特性、さらには逆波長分散特性を示す。例えば、光学フィルムを構成する前記重合体における構造単位の中で液晶化合物(1)に由来する構造単位の含有量を増加させると、Re(450nm)/Re(550nm)の数値を低くすることができ、液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量を増加させると、Re(450nm)/Re(550nm)の数値を高くすることができる。
【0314】
光学フィルムを構成する前記重合体における液晶化合物(1)に由来する構造単位と液晶化合物(2)に由来する構造単位との含有量の調整は、各液晶化合物の含有量を選択することによって行うことができるが、以下の方法で行うことが好ましい。
【0315】
本発明の製造方法においては、原料である前記アルコール化合物(3)及び前記ジカルボン酸化合物(4)の使用量を選択することによって、生成する液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を調整することができる。液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を調整することにより、該液晶組成物から得られる光学フィルムの波長分散特性を選択することができる。具体的には、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量が異なる液晶組成物を複数種類調製し、それぞれの組成物について、後述するように、同じ膜厚の光学フィルムを製造し、その光学フィルムの位相差値を求め、その結果から、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量と光学フィルムの位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における光学フィルムに所望の波長分散特性を与えるために必要な液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量を決定する。さらに、決定した液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量が得られるように、前記アルコール化合物(3)及び前記ジカルボン酸化合物(4)の使用量を選択することによって、所望とする波長分散特性を有する光学フィルムを簡便に製造することができる。本発明の製造方法によれば、各液晶化合物をそれぞれ製造する必要がなく、また末端キャッピング工程等の複雑な操作も行わずに、ワンポットで同時に製造することができるため、製造工程を大幅に短縮することができる。したがって、本発明の製造方法は、経済的に非常に有利な方法である。
【0316】
本発明の光学フィルムの製造方法について、以下に説明する。
まず、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を含む液晶組成物に、必要に応じて、有機溶剤、上述した重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤又はレベリング剤などの添加剤を加えて、混合溶液を調製する。特に成膜時に成膜が容易となることから有機溶剤を含むことが好ましく、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから重合開始剤を含むことが好ましい。
【0317】
〔重合禁止剤〕
本発明の光学フィルムを調製する際に、重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
【0318】
重合禁止剤を用いることにより、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の使用量は、例えば液晶化合物(1)と液晶化合物(2)との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を重合させることができる。
【0319】
〔光増感剤〕
また本発明の光学フィルムを調製する際に、光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては、例えばキサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
【0320】
光増感剤を用いることにより、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の重合を高感度化することができる。また光増感剤の使用量としては、液晶化合物(1)と液晶化合物(2)との合計100質量部に対して、例えば0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を重合させることができる。
【0321】
〔レベリング剤〕
さらに本発明の光学フィルムを調製する際に、レベリング剤を使用してもよい。レベリング剤としては、例えば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業株式会社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業株式会社製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
【0322】
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに光学フィルムの製造過程で、液晶組成物を含有する混合溶液の流動性を制御したり、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。またレベリング剤の使用量の具体的な数値は、例えば液晶化合物(1)と液晶化合物(2)との合計100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。上記範囲内であれば、液晶化合物の配向性を乱すことなく、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)を重合させることができる。
【0323】
〔有機溶剤〕
本発明の液晶組成物などを含有する混合溶液の調製に用いる有機溶剤としては、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)などを溶解し得る有機溶剤であり、重合反応に不活性な溶剤であればよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン又はフェノールなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。本発明の液晶組成物は、相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素系芳香族炭化水素溶剤などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどの塩素系溶剤を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。
【0324】
本発明の液晶組成物を含有する混合溶液の粘度は、塗布しやすいように、例えば10Pa・s以下、好ましくは0.1〜7Pa・s程度に調整されることが好ましい。
【0325】
また上記混合溶液における固形分の濃度は、例えば5〜50質量%である。固形分の濃度が5%以上であると、光学フィルムが薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償に必要な複屈折率が与えられる傾向がある。また50%以下であると、混合溶液の粘度が低いことから、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくくなる傾向があることから好ましい。
【0326】
続いて支持基材の上に、本発明の液晶組成物を含有する混合溶液を塗布し、乾燥すると、未重合フィルムとして液晶層が得られる。未重合フィルム(液晶層)がネマチック相などの液晶相を示す場合、得られる光学フィルムは、モノドメイン配向による複屈折性を有する。未重合フィルム(液晶層)は0〜120℃程度、好ましくは、25〜80℃の低温で配向することから、配向膜として耐熱性に関して必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。また、配向後さらに30〜10℃程度に冷却しても結晶化することがないため、取扱いが容易である。
【0327】
なお混合溶液の塗布量や濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調整することができる。液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の量が一定である混合溶液の場合、得られる光学フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(I)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るために、膜厚dを調整してもよい。
【0328】
Re(λ)=d×Δn(λ) (I)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
【0329】
支持基材への塗布方法としては、例えば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法又はダイコーティング法などが挙げられる。またディップコーター、バーコーター又はスピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。
【0330】
上記支持基材としては、例えばガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム又は透光性フィルムを挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム又はポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
【0331】
例えば本発明の光学フィルムの貼合工程、運搬工程、保管工程など、光学フィルムの強度が必要な工程でも、支持基材を用いることにより、破れなどなく容易に取り扱うことができる。
【0332】
また、支持基材上に配向膜を形成して、配向膜上に本発明の液晶組成物を含む混合溶液を塗工することが好ましい。配向膜は、本発明の液晶組成物などを含有する混合溶液の塗工時に、混合液に溶解しない溶剤耐性を持つこと、溶剤の除去や液晶の配向の加熱処理時に、耐熱性をもつこと、ラビング時に、摩擦などによる剥がれなどが起きないことが好ましく、ポリマー又はポリマーを含有する組成物からなることが好ましい。
【0333】
上記ポリマーとしては、例えば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
【0334】
またこれらのポリマーは、溶剤に溶解して、塗布することができる。溶剤は、特に制限はないが、具体的には、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ又はプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレンなどの非塩素系芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;などが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0335】
また配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業株式会社製)又はオプトマー(登録商標、JSR株式会社製)などが挙げられる。
【0336】
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ、支持基材上にフラットパネル表示装置(FPD)の大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
【0337】
上記支持基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば上記支持基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールすることにより、上記支持基材上に配向膜を形成することができる。
【0338】
このようにして得られる配向膜の厚さは、例えば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)等を該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
【0339】
またこれら配向膜は、必要に応じてラビングもしくは偏光UV照射を行うことができる。配向膜を形成させることにより液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)等を所望の方向に配向させることができる。
【0340】
配向膜をラビングする方法としては、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
【0341】
上記の通り、未重合フィルム(液晶層)を調製する工程では、任意の支持基材の上に積層した配向膜上に未重合フィルム(液晶層)を積層してもよい。この場合、液晶セルを作製し、該液晶セルに液晶組成物を注入する方法に比べて、生産コストを低減することができる。さらにロールフィルムでのフィルムの生産が可能である。
【0342】
溶剤の乾燥は、重合を進行させるとともに行ってもよいが、重合前にほとんどの溶剤を乾燥させることが、成膜性の点から好ましい。
【0343】
溶剤の乾燥方法としては、例えば自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などの方法が挙げられる。具体的な加熱温度としては、10〜120℃であることが好ましく、25〜80℃であることがさらに好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
【0344】
次に、上記で得られた未重合フィルム(液晶層)を重合し、硬化させる。これにより液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の配向性が固定化されたフィルム、すなわち本発明の液晶組成物の重合体を含むフィルム(以下、「重合フィルム」ともいう)となる。これにより、重合フィルムとして、フィルムの平面方向に屈折率変化が小さく、フィルムの法線方向に屈折率変化が大きい本発明の光学フィルムを製造することができる。
【0345】
未重合フィルム(液晶層)を重合させる方法は、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の種類に応じて、決定されるものである。液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に含まれる重合性基が光重合性であれば光重合、該重合性基が熱重合性であれば熱重合により、上記未重合フィルムを重合させることができる。本発明では、特に光重合により未重合フィルム(液晶層)を重合させることが好ましい。光重合によれば低温で未重合フィルム(液晶層)を重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また工業的にも製造が容易となる。また成膜性の観点からも光重合が好ましい。光重合は、未重合フィルム(液晶層)に可視光、紫外光又はレーザー光を照射することにより行う。取り扱い性の観点から、紫外光が特に好ましい光照射は、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)が液晶相をとる温度に加温しながら行ってもよい。この際、マスキングなどによって重合フィルム(液晶層)をパターニングして、パターンニングされた光学フィルムを得ることもできる。
【0346】
さらに本発明の光学フィルムは、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムと比較して、薄膜である。
【0347】
本発明の光学フィルムの製造方法において、さらに、支持基材を剥離する工程を含んでいてもよい。このような構成とすることにより、得られる積層体は、配向膜と光学フィルムとからなるフィルムとなる。また上記支持基材を剥離する工程に加えて、配向膜を剥離する工程をさらに含んでいてもよい。このような構成とすることにより、光学フィルムを得ることができる。
【0348】
かくして得られた光学フィルムは、透明性に優れ、様々なディスプレイ用フィルムとして使用される。形成される層(光学フィルム)の厚みは、上記のとおり、得られる光学フィルムの位相差値や所望する厚みによって、異なるものである。本発明では、上記厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
【0349】
配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、位相差値としては、例えば50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
【0350】
このような薄膜でより広い波長域において一様の偏光変換が可能なフィルムは、すべての液晶パネルや有機ELなどのFPDにおいて、光学補償フィルムとして用いることができる。
【0351】
本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板又はλ/2板として使用するためには、本発明の光学フィルムを構成する重合体における液晶化合物(1)に由来する構造単位及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量を適宜選択する。本発明の光学フィルムをλ/4板用として用いる場合には、得られる光学フィルムの、波長550nmにおける位相差値(Re(550nm))が好ましくは113〜163nm、より好ましくは135〜140nm、特に好ましくは約137.5nmであるように、前記重合体中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量並びに膜厚を調整すればよく、λ/2板として用いる場合には、得られる光学フィルムのRe(550nm)が好ましくは250〜300nm、より好ましくは273〜277nm、特に好ましくは約275nmであるように、前記重合体中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量並びに膜厚を調整すればよい。本発明においては、前記重合体中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量だけを調整することによって、Re(550nm)を制御することができるため、所望の膜厚を選択することができる。
【0352】
本発明の光学フィルムをVA(Vertical Alignment)モード用光学フィルムとして使用するためには、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量を適宜、選択する。Re(550nm)を好ましくは40〜100nm、より好ましくは60〜80nm程度となるように、前記重合体中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量並びに膜厚を調整すればよい。
【0353】
本発明の光学フィルムを構成する前記重合体中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)に由来する構造単位の含有量を調整するためには、本発明の液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を調整すればよい。本発明の液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を調整するためには、アルコール化合物(3)及びジカルボン酸化合物(4)の使用量を調整すればよい。
【0354】
光学フィルムを作製する際に用いる液晶組成物中の液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量、すなわちアルコール化合物(3)及びジカルボン酸化合物(4)の使用量を選択することにより、光学フィルムの波長分散特性を変化させることができるため、簡便な方法で所望の波長分散特性に制御することができる。
【0355】
本発明の光学フィルムは、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルム又は透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどに利用することができる。また本発明の光学フィルムは1枚でも優れた光学特性を示すが、複数枚を積層させてもよい。
【0356】
また他のフィルムと組み合わせてもよい。具体的には、本発明においては、本発明の光学フィルム及び偏光フィルムを含む楕円偏光板及び円偏光板が提供される。これら楕円偏光板及び円偏光板においては、偏光フィルムに本発明の光学フィルムが貼合されている。また、本発明においては、該楕円偏光板又は円偏光板にさらに本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として貼合させた広帯域円偏光板も提供することができる。
【0357】
本発明の光学フィルムは、反射型液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイの位相差板並びに該位相差板や上記光学フィルムを備えるFPDに利用することもできる。上記FPDは、特に限定されるものではなく、例えば液晶表示装置(LCD)や有機EL表示装置を挙げることができる。
【0358】
本発明においてフラットパネル表示装置は、本発明の光学フィルムを備えるものであり、例えば本発明の偏光フィルムと液晶パネルとが貼り合わされた貼合品を備える液晶表示装置や、本発明の偏光フィルムと、発光層とが貼り合わされた有機ELパネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。
【0359】
〔有機EL表示装置〕
本発明においては、本発明の円偏光板を含む有機エレクトロルミッセンス(EL)パネルを含む有機EL表示装置も提供される。有機EL表示装置は有機ELパネルを備え、該有機ELパネルは、本発明の光学フィルムと、発光層とを、必要に応じて接着層を介して、貼り合わせてなるものである。上記有機ELパネルにおいて、光学フィルムは、円偏光板として機能する。また上記発光層は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。
【実施例】
【0360】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0361】
液体クロマトグラフィー(LC)分析条件を以下に示す。
<LC分析条件>
測定装置:LC−10AT(株式会社島津製作所製)
カラム:Kinetex(登録商標) ODS(5μm,4.6mmφ×15cm)
カラム温度:40℃
移動相: A:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
B:0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液
グラジエント:0min B=2%
30min B=100%
35min B=100%
35.1min B=2%
45min STOP TOTAL分析時間 45分
流量:1.0mL/分
検出:紫外吸収(波長:220nm)
【0362】
(実施例1)
式(1)で示される逆波長分散性液晶化合物(1)と式(2)で示される正波長分散性液晶化合物(2)との混合物を下記のスキームにしたがって合成した。
【0363】
【化223】
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【0364】
上記式(4)で示されるトランス−シクロヘキサンジカルボン酸36g(210mmol)と、N−メチル−2−ピロリドン72gとを混合し溶液を得た。得られた溶液に上記式(3)で示されるモノアルコール化合物9.9g(42mmol)と、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン0.7g(2.9mmol)と、N,N−ジメチルアミノピリジン0.055g(0.4mmol)とを加えて、45℃に温調した。得られた混合物にジイソプロピルカルボジイミド6.9g(55mmol)を1時間かけて滴下し、その後15時間撹拌することよりエステル化反応を行った。
【0365】
一方、水酸化ナトリウム2.1g(53mmol)と水145gとを混合した。得られた混合物を、前記反応混合物に滴下し、2時間撹拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を濾過することにより得られた固形物を、メタノールと水との混合溶媒(質量比1:1)で6回洗浄し、さらに、減圧乾燥することにより白色固体12.6gを得た。
【0366】
白色固体12.6gと上記式(6)で示されるアルコール化合物4.25g(14mmol)と、N,N−ジメチルアミノピリジン0.033g(0.3mmol)と、クロロホルム60gを加えて、0℃に温調した。得られた混合物にジイソプロピルカルボジイミド4.3g(34mmol)を1時間かけて滴下し、その後15時間撹拌することよりエステル化反応を行った。得られた反応混合物を濾過して不溶分を取り除き、濾液をヘプタンに滴下し、析出した固体を濾過した。得られた固体をヘプタンで3回洗浄し、さらに、減圧乾燥することにより式(1)で示される逆波長分散性液晶化合物(1)と式(2)で示される正波長分散性液晶化合物(2)との混合物A16.4gを得た。
【0367】
上記LC分析条件を用いて、混合物Aを分析した。混合物Aには、液晶化合物(1)100質量部に対して、液晶化合物(2)が7質量部で含有されており、液晶化合物(2)の含有量は液晶化合物(1)100質量%に対して7質量%であった。
なお、分光光度計(クロロホルム溶液)により測定したところ、液晶化合物(1)の極大吸収波長(λmax)は350nmであった。
【0368】
[光配向膜形成用組成物の調製]
下記成分(光配向性材料および溶剤)を混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。なお、以下の光配向性材料は、特開2013-33248号公報に記載された方法により合成した。
・光配向性材料(5部):
【化224】
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・溶剤(95部):シクロペンタノン
【0369】
[光学フィルムの作製]
上記混合物Aを重合してなる光学フィルムを下記の通り作製した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(三菱樹脂株式会社製のダイアホイルT140E25)を、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、上記の光配向膜形成用組成物をバーコーター塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施した。得られた配向膜の膜厚をエリプソメータで測定したところ、122nmであった。続いて、配向膜上に、混合物A:1.0g、Irg369:0.060g、N−メチルピロリドン:10.7gから成る塗布液を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射した(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)。これにより、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムに粘接着剤を塗布した後、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理したシクロオレフィンポリマーフィルム(COP)(ZF−14、日本ゼオン株式会社製)に貼合した。その後、基材のPETフィルムを剥離することにより、COPフィルムの上に粘着剤層を介して、光学異方性層として積層された状態の光学フィルム(1)を得た。
【0370】
得られた光学フィルムは、膜厚2.0μm、位相差値(Re(550nm))が140nmであり、波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)は0.84であった。
【0371】
(実施例2〜4)
表1に記載される液晶化合物(2)の濃度が得られるように、光偏光膜上に混合物Aを塗布する前に、特許第05451176号に記載の方法に準じて合成した式(2)で示される正波長分散性液晶化合物を混合物Aに添加し混合した以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム(2)〜(4)をそれぞれ作製した。得られた光学フィルム(2)〜(4)の波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)を測定した。その結果を表1に示す。
【0372】
(比較例1)
混合物Aに代えて、特開2009−173893に記載の方法に準じて合成した式(1)で示される液晶化合物(1)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム(5)を作製した。得られた光学フィルム(5)の波長分散度Re(450nm)/Re(550nm)を測定した。その結果を表1に示す。
【0373】
(実施例6)
混合物Aに代えて、特開2009−173893に記載の方法に準じて合成した式(1)で示される液晶化合物(1)及び特許第05451176号に記載の方法に準じて合成した式(2)で示される液晶化合物(2)(液晶化合物(1)に対する液晶化合物(2)の含有量:7.0質量%)を含む組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、光学フィルム(6)を作製した。得られた光学フィルム(6)の波長分散度Re(450nm/Re(550nm)を測定した。その結果を表1に示す。
【0374】
【表1】
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【0375】
(実施例7)
トランス−シクロヘキサンジカルボン酸の使用量を21.6g(126mmol)、水酸化ナトリウムの使用量を1.1g(28mmol)に変更する以外は、実施例1と同様にして、式(1)で示される逆波長分散性液晶化合物(1)と式(2)で示される正波長分散性液晶化合物(2)との混合物Bが得られる。
【0376】
次に、混合物Aに代えて混合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして光学フィルム(7)が得られる。光学フィルム(7)は、液晶化合物(2)の高い含有量に起因して、光学フィルム(1)よりも高い波長分散度を示す結果となる。
【0377】
(実施例8)
トランス−シクロヘキサンジカルボン酸の使用量を50.4g(294mmol)、水酸化ナトリウムの使用量を4.2g(105mmol)に変更する以外は、実施例1と同様にして、式(1)で示される逆波長分散性液晶化合物(1)と式(2)で示される正波長分散性液晶化合物(2)との混合物Cが得られる。
【0378】
次に、混合物Aに代えて混合物Cを用いる以外は、実施例1と同様にして光学フィルム(7)が得られる。光学フィルム(7)は、液晶化合物(2)の低い含有量に起因して、光学フィルム(1)よりも低い波長分散度を示す結果となる。
【0379】
これらの結果より、本発明によれば、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)の含有量を選択することにより、所望とする波長分散性を有する光学フィルムを容易に得ることが可能となる。さらに、本発明の製造方法によれば、アルコール化合物(3)及びジカルボン酸化合物(4)の使用量を選択することにより、最終的に製造される光学フィルムの波長分散性を制御することができるため、所望とする波長分散性を非常に簡便に得ることができる。