(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ビニルアルコール系重合体の0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長280nmにおける吸光度が0.05以上であり、光路長10mm、波長320nmにおける吸光度が0.05以上である請求項1〜3のいずれかに記載の懸濁重合用分散剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<懸濁重合用分散剤>
本発明の懸濁重合用分散剤(以下、「分散剤」とも称する。)は、下記式1で表される構造を有するビニルアルコール系重合体(以下、「PVA(ポリビニルアルコール)」とも称する。)を含み、平均粒子径が100μm以上2,000μm以下である粉体である。当該分散剤は、粒子径が500μm以上の粒子A及び粒子径が220μm以下(212μm以下)の粒子Bを含有する。上記粒子Aの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Aと上記粒子Bの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Bとの比(A/B)は0.7以上1.2以下である。
【0012】
上記式1中、R
1は炭素数1〜4のアルキル基である。nは1〜10の整数である。*は上記ビニルアルコール系重合体における上記式1で表される構造以外の部分に結合する部位を示す。
【0013】
なお、本明細書において、「〜」を用いて記載された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
【0014】
本発明の分散剤によれば、ビニル系化合物の懸濁重合を行う際、少量の添加量で、粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。このような効果が生じる理由は定かではないが、以下の理由が推測される。一般的に従来のPVAからなる分散剤は、カルボニル基を有するPVAの粒子(又は粉体)を製造した後、このPVAの粒子を熱処理することにより製造される。上記熱処理の際の脱水反応により、PVA中に−CO−(CH=CH)
n−構造が形成される。このため、上記のような熱処理を経て得られた分散剤においては、PVA中の−CO−(CH=CH)
3−構造に帰属される波長320nmの吸収が現れる。ここで、従来の熱処理の方法を用いた場合、熱処理の均一性が低いためか、粒子径の大きいPVA粒子と粒子径の小さいPVA粒子とで、形成される−CO−(CH=CH)
n−構造の量の差が大きい。具体的には、粒子径の小さいPVA粒子の方が、熱処理されやすく、−CO−(CH=CH)
n−構造が多く形成される傾向にある。このような従来の分散剤を用いた場合、粒子径の大きい粒子に含まれるPVAと粒子径の小さい粒子に含まれるPVAとの物性等の差異により、ビニル系化合物の分散状態や反応性等の不均一性が生じる。この結果、粗大な重合体粒子が形成されることなどにより、得られるビニル系重合体粒子の粒子径(平均粒子径)が大きくなると考えられる。これに対し、本発明の分散剤においては、比較的粒子径の大きい粒子Aの波長320nmにおける吸光度Aと比較的粒子径の小さい粒子Bの波長320nmにおける吸光度Bとが同程度であり、この2つの吸光度の比(A/B)が1に近い。これは、比較的粒子径の大きい粒子Aに含まれるPVAと、比較的粒子径の小さい粒子Bに含まれるPVAとが、同程度の量の−CO−(CH=CH)
n−構造を有し、物性等の差異が小さいことを意味する。このため、本発明の分散剤を用いた場合、均一性の高い反応が生じるため、安定的な懸濁重合を行うことができる。この結果、粗大な重合体粒子が生じ難くなることなどにより、得られるビニル系重合体粒子の粒子径(平均粒子径)が小さくなると考えられる。なお、このような本発明の分散剤は、後述する製造方法により効果的に製造することができる。以下、本発明の分散剤について詳説する。
【0015】
(式1で表される構造を有するPVA)
式1で表される構造を有するPVAは、本発明の分散剤の必須成分である。式1中のR
1は炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルキル基である。式1中のR
1で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基及びエチル基が好ましい。式1中のnは、例えば1〜6の整数であってよく、1〜4の整数であってもよい。式1で表される構造は、後述するように、前駆体であるビニルエステル系重合体を重合する際に、連鎖移動剤(変性剤)として、アルデヒドやケトンを用い、係る重合体を加熱することで効果的に重合体に導入することができる。
【0016】
上記PVAは、ビニルアルコール単位を単量体単位として有する重合体である。上記PVAは、通常、ビニルエステル系重合体をけん化することで得られる。上記PVAのけん化度の下限としては、例えば40モル%又は50モル%であってよいが、50モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、68モル%がさらに好ましい。一方、上記けん化度の上限は、100モル%又は99モル%であってよいが、98モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、90モル%がさらに好ましく、85モル%がよりさらに好ましく、80モル%が特に好ましい。上記PVAのけん化度が上記範囲であることで、界面活性性能が好適化されることなどにより、より粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。また、けん化度が上記上限以下であることで、界面活性性能が高まり、得られるビニル系重合体粒子の可塑剤吸収性が高まる。けん化度は、JIS K6726:1994に記載の方法により測定される値である。
【0017】
上記PVAは、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の他の単量体単位を有していてもよい。上記他の単量体単位を与える単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン等のシリル基を有する単量体等が挙げられる。これらの中でも、α−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが好ましい。
【0018】
上記PVAにおける全単量体単位中の上記他の単量体単位の割合は、20モル%以下が好ましいことがあり、10モル%以下がより好ましいことがある。一方、上記他の単量体単位の割合は、例えば0.1モル%以上であってよく、1モル%以上であってもよい。
【0019】
上記PVAの粘度平均重合度の下限としては、例えば200、300又は400であってよいが、500が好ましく、600がより好ましく、700がさらに好ましい。粘度平均重合度が上記下限以上であることで、保護コロイド性が高まり、より粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。一方、この粘度平均重合度の上限としては、例えば3,000又は2,000であってよいが、1,800が好ましく、1,700がより好ましく、1,500がよりさらに好ましく、1,300がさらに好ましく、1,100が特に好ましい。粘度平均重合度が上記上限以下であることで、界面活性性能が高まり、得られるビニル系重合体粒子の可塑剤吸収性が高まり、また、より粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。粘度平均重合度はJIS K6726:1994に準じて測定される値である。すなわち、PVAをけん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:リットル/g)から、次式により求めることができる。
粘度平均重合度=([η]×10
4/8.29)
(1/0.62)
【0020】
上記PVAの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長280nmにおける吸光度(UV280nm)の下限は、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.2がさらに好ましい。波長280nmの吸収は、上記PVA中の−CO−(CH=CH)
2−の構造に帰属される。また、上記PVAの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度(UV320nm)の下限は、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.2がさらに好ましい。上述のように、波長320nmの吸収は、上記PVA中の−CO−(CH=CH)
3−の構造に帰属される。吸光度(UV280nm)及び吸光度(UV320nm)が上記下限以上である場合、十分な量の上記式1で表される構造が形成されているといえ、粒子径のより小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。なお、吸光度(UV280nm)の上限は特に制限されないが、通常10であり、8、5、3、1又は0.5が好ましい場合もある。また、吸光度(UV320nm)の上限は特に制限されないが、通常10であり、8、5、3、1又は0.5が好ましい場合もある。
【0021】
本発明の分散剤の不揮発分中の上記PVAの含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、70質量%、90質量%又は99質量%がさらに好ましい場合もある。本発明の分散剤の不揮発分中の上記PVAの含有量の上限は100質量%であってよい。本発明の分散剤に含まれていてよい上記PVA以外の不揮発分は、上記式1で表される構造を有するPVA以外のPVA、PVA以外の樹脂、界面活性剤、可塑剤等の添加剤、製造時に用いられた各化合物等が挙げられる。本発明の分散剤の不揮発分中の全てのPVA(上記式1で表される構造を有するPVA及びその他のPVA)の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%、90質量%又は99質量%がさらに好ましい場合もある。本発明の分散剤の不揮発分中の全てのPVAの含有量の上限は100質量%であってよい。また、本発明の分散剤における揮発分の含有量は、通常20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。本発明の分散剤に含まれ得る揮発分としては、アルコール、水等が挙げられる。
【0022】
(形状、吸光度の比等)
本発明の分散剤は、平均粒子径が100μm以上2,000μm以下である粉体である。上記平均粒子径の下限は、150μmが好ましく、200μmがより好ましい。一方、上記平均粒子径の上限は、1,500μmが好ましく、1,000μmがより好ましく、800μmがさらに好ましい。平均粒子径が上記範囲である場合、より均一性が高く熱処理がなされた粉体となること、溶解性が良好であることなどにより、粒子径のより小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。また、平均粒子径が上記下限以上であることで、粉塵爆発が生じ難くなり、安全性が高まる。分散剤の平均粒子径は、JIS K7369:2009に記載の方法に準拠して測定される値である。
【0023】
本発明の分散剤において、粒子径100〜1,000μm(具体的には粒子径106〜1,000μm)の粒子の含有率は特に制限されないが、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上がよりさらに好ましい。一方、粒子径100〜1,000μmの粒子の含有率の上限は、100質量%であってよく、95質量%であってもよい。粒子径100〜1,000μmの粒子の含有率が上記範囲内である場合、より均一性が高く熱処理がなされた粉体となること、溶解性が良好であることなどにより、粒子径のより小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。分散剤における粒子径100〜1,000μmの粒子の含有率は、公称目開き1,000μm(16メッシュ)のふるい網及び公称目開き106μm(150メッシュ)のふるい網を使用し、JIS K7369:2009に記載の方法に沿って求めることができる。
【0024】
本発明の分散剤は、粒子径が500μm以上の粒子A及び粒子径が220μm以下(具体的には212μm以下)の粒子Bを含有する。粒子Bは、粒子径212μm以下の粒子であってよい。上記粒子Aの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Aと上記粒子Bの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Bとの比(A/B)の下限は0.7であり、0.75が好ましく、0.8がより好ましく、0.82がさらに好ましく、0.85がよりさらに好ましく、0.88が特に好ましく、0.90が最も好ましい。また、上記比(A/B)の上限は、1.2であり、1.1が好ましく、1.05がより好ましく、1.03がさらに好ましく、1.0が特に好ましい。この吸光度の比(A/B)が上記範囲内である場合、均一性の高い熱処理がなされ、各分散剤粒子におけるPVA中に上記式1で表される構造が形成された量のばらつきが小さいといえる。このため、上記吸光度の比(A/B)が上記範囲内であることで、粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。
【0025】
上記粒子Aの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Aの下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.15がさらに好ましく、0.2が特に好ましい。また、この吸光度Aの上限は特に制限されないが、通常10であり、8、5、3、1又は0.5が好ましい場合もある。
【0026】
上記粒子Bの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Bの下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましく、0.15がさらに好ましく、0.2が特に好ましい。また、この吸光度Bの上限は特に制限されないが、通常10であり、8、5、3、1又は0.5が好ましい場合もある。
【0027】
なお、粒子径が500μm以上の粒子Aは、ふるい分けにおいて、公称目開き500μmのふるい網を通過しなかった粒子として選別することができる。粒子径が220μm以下(具体的には212μm以下)の粒子Bは、ふるい分けにおいて、公称目開き212μmのふるい網を通過した粒子として選別することができる。上記機械ふるい分けは、例えばJIS K7369:2009に記載の方法により行うことができる。
【0028】
本発明の分散剤においては、粒子径100μm以上1,000μm以下の粒子から任意に抽出した50個の粒子の下記式2で表される円磨度Pの平均値PA(以下、「平均円磨度」とも称する。)が0.1以上0.8以下であることが好ましい。
【0030】
上記式2中、r
iは粒子の角毎の曲率半径である。Rは粒子の最大内接円の半径である。Nは粒子が有する角の数である。但し、粒子の角の数が9以上の場合、曲率半径の小さい順に8個の角の曲率半径を採用し、Nは8とする。
【0031】
本発明者らは、後述するような、PVAを含む粗粉体に対して平均円摩度が高くなるような熱処理(加熱しながらの表面加工)を施すことで、粒子径の大小に関わらず均一性の高い熱処理がなされ、上記吸光度の比(A/B)が1に近い懸濁重合用分散剤が得られることを知見した。従って、本発明の分散剤の上記平均円摩度が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上、よりさらに好ましくは0.22以上、よりさらに好ましくは0.25以上、よりさらに好ましくは0.28以上、特に好ましくは0.30以上である場合、粒子径のより小さいビニル系重合体粒子を製造することができる。一方、生産性等の点から、上記平均円磨度は0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。
【0032】
また、本発明の分散剤の平均円磨度が上記下限以上である場合、配管を通しての輸送やサイロを通しての袋詰め等を行う際に配管やサイロ内での分散剤の詰まりが生じ難い。この理由は必ずしも明らかでないが、各粒子の角が丸みを帯びているため、粒子同士が接触した際の摩擦や粒子が壁面等に接触した際の摩擦が小さく、その結果として粒子の流動性が向上するためと推測される。
【0033】
分散剤の平均円磨度は、下記の方法により求めることができる。分散剤中の粒子径100〜1,000μm(具体的には粒子径106〜1,000μm)の粒子から任意に50個の粒子を抽出する。粒子径100〜1,000μmの粒子は、ふるい分けにおいて、公称目開き1,000μmのふるい網を通過し、公称目開き106μmのふるい網を通過しなかった粒子として選別することができる。上記ふるい分けは、例えばJIS K7369:2009に記載の方法により行うことができる。抽出した1つの粒子について、見かけの面積が最大になる投影図に対して、曲率半径r
iの小さい順に8個の角(角が8個未満の場合には、その全ての角)を抽出し、その角毎の曲率半径r
iを測定する。また、上記見かけの面積が最大になる投影図に基づき、粒子の最大内接円の半径Rを測定する。粒子が有する角の数をN(粒子が有する角の数が9以上の場合は、Nは8とする。)とし、測定したr
i及びRに基づき、上記式2により1つの粒子の円磨度Pが求まる。円磨度Pが低い場合、粒子に角張った角が多いことを示し、円磨度が高い場合は粒子が丸みを帯びていることを示す。抽出した50個の粒子に対して上記円磨度Pの測定を行い、これら50個の粒子の円磨度Pの平均値PAを求める。この平均値PAが平均円磨度である。
【0034】
<懸濁重合用分散剤の製造方法>
本発明の分散剤の製造方法は特に制限されないが、以下の方法が好ましい。すなわち、本発明の分散剤の製造方法は、
PVAを含む樹脂固形物を粉砕することにより、粗粉体を得る工程(工程B)、及び
上記粗粉体を加熱しながら表面を加工する工程(工程C)
を備える。
【0035】
本発明の懸濁重合用分散剤の製造方法は、PVAを合成し、PVAを含む樹脂固形物を得る工程(工程A)をさらに備えていてよい。
【0036】
(工程A)
工程Aは、例えば、重合工程、けん化工程等を備えることができる。
【0037】
重合工程では、ビニルエステル単量体を重合させてビニルエステル系重合体を得る。ビニルエステル単量体を重合する方法としては、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。これらの方法のうち、無溶媒で行う塊状重合法及びアルコール等の溶媒を用いて行う溶液重合法が好ましく、低級アルコールの存在下で重合する溶液重合法がより好ましい。上記低級アルコールとしては、炭素数3以下のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。塊状重合法や溶液重合法で重合反応を行うにあたって、反応の方式は回分式及び連続式のいずれの方式も採用できる。
【0038】
上記ビニルエステル単量体としては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。中でも、酢酸ビニルが好ましい。
【0039】
重合反応に使用される重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の有機過酸化物系開始剤等の公知の重合開始剤が挙げられる。重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、5℃以上200℃以下の範囲が適当である。
【0040】
ビニルエステル単量体を重合させる際には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、さらに共重合可能な単量体を共重合させることができる。係る共重合可能な単量体としては、式1で表されるPVAが含んでいてもよいビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の他の単量体単位を与える単量体として上述したものが挙げられる。
【0041】
工程Aで合成するPVAは、末端構造としてR
1−CO−(R
1は炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される構造を有するPVAを含むことが好ましい。係るPVAを効率的に得る観点からは、ビニルエステル単量体の重合に際して、R
2−CHO(R
2は炭素数1〜4のアルキル基である。)で表されるアルデヒド、又はR
3−CO−R
4(R
3及びR
4はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である。)で表されるケトン等の連鎖移動剤(変性剤)を共存させることが好ましい。係る連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド;アセトン、メチルエチルケトン等のケトンが挙げられる。これらの連鎖移動剤は1種を単独で使用してよく、2種以上を併用してもよい。また、ビニルエステル単量体の重合に際して、得られるPVAの重合度を調節すること等を目的として、上述したアルデヒド又はケトン以外の連鎖移動剤をさらに共存させてもよい。係る連鎖移動剤としては、上述したアルデヒド以外のアルデヒド;上述したケトン以外のケトン;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン;チオ酢酸等のチオカルボン酸;トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするPVAの重合度等に応じて決定されるが、一般に、使用されるビニルエステルに対して0.1〜10質量%が好ましい。
【0042】
けん化工程では、ビニルエステル系重合体をアルコール溶液中でアルカリ触媒又は酸触媒を用いてけん化し、PVAを得る。ビニルエステル系重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒、又はp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた、加アルコール分解又は加水分解反応が適用できる。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら中でも、メタノール又はメタノールと酢酸メチルとの混合溶液を溶媒として用い、塩基性触媒である水酸化ナトリウムの存在下にけん化反応を行うことが簡便であり好ましい。
【0043】
けん化工程は、ベルト型反応器、ニーダー型反応器、塔型反応器等により行うことができる。けん化工程を経ることで、PVAを含む樹脂固形物が得られる。樹脂固形物中の不揮発分に占めるPVAの含有割合は、例えば50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい場合もある。この樹脂固形物中の不揮発分は実質的にPVAを主成分とするものであってよいが、酢酸ナトリウム等の不純物、副生成物等が含まれていてよい。
【0044】
(工程B)
工程Bでは、PVAを含む樹脂固形物を粉砕する。工程Bに供せられる樹脂固形物中のPVAは、末端構造中にカルボニル基を含むPVAであることが好ましい。具体的には、末端構造として、R
1−CO−(R
1は炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される構造を有するPVAであることが好ましい。このような末端構造中にカルボニル基を含むPVAを用いることで、工程Cの熱処理を経て上記式1で表される構造を有するPVAが効果的に得られる。R
1−CO−(R
1は炭素数1〜4のアルキル基である。)で表される構造を有するPVAは、上述のように、連鎖移動剤(変性剤)としてアルデヒド又はケトンを用いて得られたビニルエステル系重合体をけん化することなどにより得られる。
【0045】
PVAを含む樹脂固形物の粉砕により、PVAを含む粗粉体が得られる。上記粉砕は、公知の粉砕機により行うことができる。粉砕機としては、得られる粗粉体、ひいては最終的に得られる分散剤の平均粒子径等を調整するために、粉砕強度等の粉砕の程度を制御可能な装置が好ましい。粉砕強度の調整以外に、処理時間等によっても得られる粗粉体の平均粒子径等を制御することができる。なお、得られた粗粉体に対して、再度けん化処理を行ってもよい。また、得られた粗粉体に対して、酢酸ナトリウム等の不純物、副生成物等を低減するための洗浄処理、及び揮発分を低減するための乾燥処理等を行ってもよい。粉砕前の樹脂固形物に対して、洗浄処理や乾燥処理を行ってもよい。
【0046】
(工程C)
工程Cでは、粗粉体を加熱しながら、その表面を加工する。PVAを含む樹脂固形物を破砕した場合、得られる粗粉体は非常に角が尖った形状となっている。このような粗粉体を単に熱処理した場合、粒子毎及び粒子内の熱処理の程度の差が大きく、吸光度Aと吸光度Bとの比が1に近い本発明の懸濁重合用分散剤を得ることが難しい。そこで、工程Cにより、粗粉体に対して加熱処理を行いながら、角が丸まるような加工(研磨等)をすることで、均一性の高い熱処理が行われる。工程Cは、粗粉体に対して、研磨等の角が丸まるような加工をしながら、加熱処理を行う工程であるともいえる。また、このような工程Cを経ることで、平均円摩度が高い分散剤が得られる。
【0047】
工程Cで用いられる装置としては、粗粉体の加熱をしながら、粗粉体の表面を研磨等することができる装置が挙げられ、例えば、粉体の充填容器が回転し、粉体同士が接触することにより表面研磨が進むロータリーキルン、容器内で自公転するスクリュー翼によって内容物に三次元運動を与えることが可能な遊星運動型混合機、容器内のパドルやスクリューが回転し、その回転により内部粉体が研磨されるようなミキサー等が挙げられる。ミキサーとしては、レーディゲミキサー、パムアメックスミキサー、リボンミキサー等が挙げられる。これら中でも、加工効率の観点から、ミキサーが好ましく、レーディゲミキサーがより好ましい。
【0048】
工程Cにおける処理時間及び処理温度は、用いる装置等に応じて適宜調整される。処理時間は、例えば10分以上20時間以下であってよく、30分以上12時間以下であってもよい。処理温度は、例えば60℃以上160℃以下であってよく、80℃以上140℃以下であってもよい。なお、処理時間が長く、処理温度が高いと熱処理が進み、波長280nmにおける吸光度や波長320nmにおける吸光度が高くなる傾向にある。
【0049】
本発明の懸濁重合用分散剤の製造方法は、その他、平均粒子径を調整するためのふるい分け工程等を備えていてもよい。また、工程Cの後に、洗浄処理や乾燥処理を行ってもよい。
【0050】
<ビニル系重合体粒子の製造方法>
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法は、本発明の分散剤を用いてビニル化合物を懸濁重合する工程を備える。当該製造方法は、分散剤として、本発明の分散剤を用いること以外は、公知のビニル系重合体粒子の製造方法と同様である。
【0051】
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法は、本発明の分散剤を用いて、通常、ビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合する。水性媒体としては、純粋な水のほか、各種の添加成分を含有する水溶液又は他の有機溶剤を含む水性媒体を用いることができる。
【0052】
ビニル系化合物の懸濁重合を行う際に、本発明の分散剤の添加量は特に制限はないが、ビニル系化合物に対して、質量基準で100ppm以上50,000ppm以下が好ましく、200ppm以上20,000ppm以下がより好ましく、10,000ppm以下、5,000ppm以下又は2,000ppm以下がさらに好ましい場合もある。本発明の分散剤を用いることで、このような少ない分散剤の添加量であっても、粒子径の小さいビニル系重合体粒子を得ることができる。
【0053】
本発明の分散剤は単独で使用してもよいが、他の分散剤と併用してもよい。他の分散剤としては、ビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使用されるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤等が挙げられる。
【0054】
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法において用いられる重合開始剤としては、ビニル系化合物の重合に従来使用されているものを使用することができ、具体的には上記ビニルエステル系単量体の重合において例示したものと同様の重合開始剤が使用できる。
【0055】
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法において、重合系に対してその他の各種添加剤を必要に応じて加えることができる。添加剤としては、例えばアルデヒド類、ハロゲン化炭化水素類、メルカプタン類などの重合調節剤、フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキシド化合物等の重合禁止剤などが挙げられる。また、pH調整剤、スケール防止剤、架橋剤などを加えることもできる。上記添加剤を複数併用してもよい。
【0056】
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法において懸濁重合することのできるビニル系化合物としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物;スチレン;アクリロニトリル;塩化ビニリデン;ビニルエーテル等が挙げられる。これらのビニル系化合物の中でも、塩化ビニルが好ましい。本発明のビニル系重合体粒子の製造方法は、塩化ビニルを単独で、又は塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合することが可能な単量体を共に懸濁重合する際に特に好適に用いられる。塩化ビニルと共重合することができる単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン;ビニルエーテル等が挙げられる。
【0057】
本発明のビニル系重合体粒子の製造方法においてビニル系化合物を懸濁重合する際、各成分の仕込み割合、重合温度、重合時間等は、従来塩化ビニル等のビニル系化合物の懸濁重合で採用されている条件と同様にすることができる。また、ビニル系化合物、重合開始剤、分散剤、水性媒体及びその他添加物の仕込み順序や比率についても制限はない。
【実施例】
【0058】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において採用された各測定方法及び評価方法を以下に示す。
【0059】
[PVAの粘度平均重合度]
PVAの粘度平均重合度をJIS K6726:1994に準じて測定した。具体的には、PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化し、得られたPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度を求めた。
粘度平均重合度=([η]×10
4/8.29)
(1/0.62)【0060】
[PVAのけん化度]
PVAのけん化度をJIS K6726:1994に記載の方法により求めた。
【0061】
[懸濁重合用分散剤の平均粒子径及び粒子径100〜1,000μmの粒子の含有率]
JIS標準ふるいを使用して、JIS K7369:2009に記載の方法により懸濁重合用分散剤の平均粒子径及び粒子径100〜1,000μm(具体的には粒子径106〜1,000μm)の粒子の含有率を求めた。
【0062】
[懸濁重合用分散剤の平均円磨度]
上記したふるい分けによって粒子径100〜1,000μm(具体的には粒子径106〜1,000μm)の粒子を選別し、これらの粒子の中から任意の50個を抽出した。これらの粒子に対して、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−900を用いた拡大率100倍の画像に基づき、曲率半径r
i及び最大内接円の半径Rを求め、各粒子の円磨度Pを求めた。50個の粒子の円磨度Pの平均値PAを求め、平均円磨度とした。
【0063】
[吸光度]
PVA(懸濁重合用分散剤)の0.1質量%水溶液を調製し、UV分光光度計(島津製作所製「UV2100」)を用い、測定試料の光路長10mmで、波長280nmにおける吸光度(UV280nm)及び波長320nmにおける吸光度(UV320nm)を測定した。これらの吸収が確認できるPVAは、上記式1で表される構造を有するものとした。
上記したふるい分けによって、懸濁重合用分散剤から、粒子径が500μm以上の粒子A及び粒子径が220μm以下の粒子Bを選別した。粒子A及び粒子Bそれぞれの0.1質量%水溶液を調製し、UV分光光度計(株式会社島津製作所製「UV2100」)を用い、測定試料の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度(吸光度A及び吸光度B)を測定した。
【0064】
[評価方法]
(1)平均粒子径(MGS)
得られたビニル系重合体粒子について、JIS標準篩を使用して、JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により粒度分布を測定した。その結果をロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)分布式にプロットして平均粒子径を算出した。測定された平均粒子径に基づいて、以下の基準で評価した。
5:150μm未満
4:150μm以上160μm未満
3:160μm以上170μm未満
2:170μm以上180μm未満
1:180μm以上
【0065】
(2)可塑剤吸収性(CPA)
得られたビニル系重合体粒子について、ASTM−D3367−75に記載された方法により、23℃におけるジオクチルフタレートの吸収量を測定した。測定された可塑剤吸収量に基づいて、以下の基準で評価した。
5:28%以上
4:26%以上28%未満
3:24%以上26%未満
2:22%以上24%未満
1:22%未満
【0066】
[実施例1]PVA1を含む懸濁重合用分散剤1の製造
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口及び開始剤の添加口を備えた250Lの反応器に、酢酸ビニル80kg及びメタノール20kg(酢酸ビニル80質量%:メタノール20質量%)を仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、アセトアルデヒド1.85kg(酢酸ビニルに対して2.3質量%)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)43gを添加し重合を開始し、重合率が50%となったところで冷却し、重合を停止した。重合停止時の固形分濃度は39.3質量%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液57.1kg(濃度35質量%、溶液中のPVAc20.0kg)に、0.465kgのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10質量%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度30質量%、PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.005)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物(樹脂固形物)が生成したので、これを粉砕機にて粉砕した。粉砕物を40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル50kgを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール200kgを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してPVA1の粗粉体を得た。PVA1の重合度は800、けん化度は72.0モル%であった。
次にPVA1の粗粉体を中央機工株式会社製ベッカー型ショベルを搭載したレーディゲミキサー「FKM130D」に充填した。窒素雰囲気下、回転速度160rpmで、処理時間3.5時間、処理温度120℃の熱処理を行った。これにより、平均粒子径650μm、平均円磨度0.35の懸濁重合用分散剤1が得られた。
【0067】
[実施例2〜16、比較例1〜4]
表1に記載の条件としたこと以外は実施例1と同様にして、PVA2〜16をそれぞれ含む懸濁重合用分散剤2〜16、及びPVA1’〜4’をそれぞれ含む懸濁重合用分散剤1’〜4’を得た。
【0068】
実施例1〜16及び比較例1〜4で得られた各PVAの重合度(粘度平均重合度)及びけん化度、各懸濁重合用分散剤(PVA)の平均粒子径、粒子径100〜1,000μmの粒子の含有率、及び平均円摩度を上記した方法にて測定した。また、各懸濁重合用分散剤(PVA)について、上記した方法にて、吸光度(UV280)、吸光度(UV320)、吸光度A及び吸光度Bを測定した。これらの測定値及び吸光度Aと吸光度Bとの比(A/B)を表2に示す。
【0069】
[評価]
実施例1〜16及び比較例1〜4で得られた各懸濁重合用分散剤を用いて、以下の方法にてビニル系重合体であるポリ塩化ビニルの粒子を得た。
表2に示した各懸濁重合用分散剤0.94g(塩化ビニルモノマーに対して1000ppm)を溶解した水溶液1390gを、容量5Lのオートクレーブに仕込んだ。次いでオートクレーブにジイソプロピルパーオキシジカーボネートの70質量%トルエン溶液1.5gを仕込んだ。オートクレーブ内の圧力が0.0067MPaになるまで脱気して酸素を除いた。その後、塩化ビニル940gを仕込み、オートクレーブ内の内容物を57℃に昇温して、撹拌下に懸濁重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は0.83MPaであった。懸濁重合を開始してから4時間が経過し、オートクレーブ内の圧力が0.65MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルを除去した。その後、重合スラリーを取り出し、65℃にて一晩乾燥を行い、塩化ビニル重合体粒子を得た。
【0070】
得られた塩化ビニル重合体粒子(ビニル系重合体粒子)について、上記した方法にて平均粒子径(MGS)及び可塑剤吸収性(CPA)を評価した。結果を表2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
表2に示されるように、実施例1〜16の懸濁重合用分散剤は、吸光度の比(A/B)が0.7以上1.2以下であり、これらの懸濁重合用分散剤を用いた場合、平均粒子径(MGS)の評価が2以上である粒子径の小さいビニル系重合体粒子を得ることができた。
一方、吸光度の比(A/B)が0.7未満である比較例1〜3の懸濁重合用分散剤、及び式1で表される構造を有するPVAを含まない比較例4の懸濁重合用分散剤を用いた場合、平均粒子径(MGS)の評価が1となり、粒子径の小さいビニル系重合体粒子を得ることができなかった。また、カルボニル基を有するPVAに対して特定の装置を用いて熱処理を施すことで、吸光度の比(A/B)が0.7以上1.2以下の懸濁重合用分散剤が得られた。特定の装置を用いて熱処理を施し、吸光度の比(A/B)が0.7以上1.2以下となった懸濁重合用分散剤は、0.1以上の平均円摩度を有するものとなっていた。
【0074】
表2等から、懸濁重合用分散剤の粒子径やPVAの重合度及びけん化度等も懸濁重合用分散剤の性能に影響を及ぼすことがわかる。例えば、PVAの重合度が700以上1,500以下、けん化度が68モル%以上85モル%以下、平均粒子径が200μm以上1,000μmである実施例1〜4、8、14、15は、平均粒子径(MGS)の評価が4又は5であり、粒子径がより小さいビニル系重合体粒子を得ることができた。さらに、PVAの重合度が700以上1,100以下、けん化度が68モル%以上85モル%以下であり、且つ粒子径100μm以上1,000μm以下の粒子の含有率が65質量%以上、あるいは平均粒子径が200μm以上800μmである実施例1〜3、14は、平均粒子径(MGS)の評価が5であり、粒子径が特に小さいビニル系重合体粒子を得ることができた。また、平均粒子径(MGS)の評価が5であった実施例1〜3、14は、吸光度の比(A/B)が0.9以上であって、PVAの重合度が700以上1,100以下、けん化度が68モル%以上85モル%以下、粒子径100μm以上1,000μm以下の粒子の含有率が60質量%以上であるものともいえる。
【0075】
さらに、PVAの重合度やけん化度を調整することなどで、得られるビニル系重合体粒子の可塑剤吸収性も高まることがわかる。
少量の添加量で、粒子径の小さいビニル系重合体粒子を製造することができる懸濁重合用分散剤、このような懸濁重合用分散剤の製造方法、及びこのような懸濁重合用分散剤を用いたビニル系重合体粒子の製造方法を提供する。下記式1で表される構造を有するビニルアルコール系重合体を含み、平均粒子径が100μm以上2,000μm以下である粉体であり、粒子径が500μm以上の粒子A及び粒子径が220μm以下の粒子Bを含有し、上記粒子Aの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Aと上記粒子Bの0.1質量%水溶液の光路長10mm、波長320nmにおける吸光度Bとの比(A/B)が0.7以上1.2以下である懸濁重合用分散剤。式1中、R