(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タンクの内部空間は、第1の空間と該第1の空間よりも下流に設けられた第2の空間を含み、前記第1の空間及び前記第2の空間は、前記第1の空間内の圧力が前記第2の空間内の圧力の2倍以上になるようにオリフィスを介して接続されており、
前記第3の工程では、前記第1の空間内の圧力値及び温度値から、前記流量制御器の出力流量を求める、請求項1に記載の方法。
前記目標圧力値を互いに異なる複数の圧力値に変更しながら、前記第1の工程、前記第2の工程及び前記第3の工程を含むシーケンスを繰り返し実行し、前記複数の圧力値と前記流量制御器の出力流量との関係を定める較正用データを得る、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととし、同一又は相当の部分に対する重複した説明は省略する。また、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
【0019】
図1は、一実施形態に係る流量制御器の出力流量を求める方法を示す流れ図である。この方法は、ガス供給部を備える基板処理装置に適用することができる。基板処理装置は、任意の基板処理装置であり得るものであり、例えばプラズマ処理装置であってもよい。
【0020】
図2は、
図1に示す方法が適用され得る基板処理装置の一例を概略的に示す図である。
図2に示す基板処理装置10は、チャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、側壁12sを有している。側壁12sは、軸線Zを中心とする略円筒形状を有している。側壁12sの下端には底壁が設けられている。チャンバ本体12は、その内部空間をチャンバ12cとして提供している。チャンバ本体12の内壁面は、例えば陽極酸化処理が施されたアルミにより構成されている。
【0021】
チャンバ本体12の底壁上には、略円筒状の支持部14が設けられている。支持部14は、例えば絶縁材料により形成されている。支持部14は、チャンバ本体12内において、チャンバ本体12の底壁から軸線Zに平行な方向に沿って延在している。支持部14上には、ステージSTが支持されている。
【0022】
ステージSTは、その上面において被処理体(以下「ウエハW」という。)を支持する。ステージSTは、下部電極LEと静電チャックESCとを含んでいる。下部電極LEは、第1プレート18a及び第2プレート18bを含んでいる。第1プレート18a及び第2プレート18bは、例えばアルミニウム等の金属から構成されており、略円盤形状を有している。第2プレート18bは、第1プレート18aと電気的に接続されるように第1プレート18aに支持されている。
【0023】
第2プレート18b上には、静電チャックESCが支持されている。静電チャックESCは、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有している。静電チャックESCの電極には、直流電源22がスイッチ23を介して電気的に接続されている。静電チャックESCは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力によりウエハWを吸着する。これにより、静電チャックESCは、ウエハWを保持することができる。
【0024】
第2プレート18bの周縁部上には、フォーカスリングFRが設けられている。フォーカスリングFRは、ウエハW及び静電チャックESCを囲むように環状に延在している。フォーカスリングFRは、エッチングの均一性を向上させるためのものであり、エッチング対象膜の材料に応じて選択される材料、例えばシリコンや石英により構成されている。
【0025】
第2プレート18bの内部には、温調機構として機能する冷媒流路24が設けられている。冷媒流路24には、チャンバ本体12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給され、冷媒流路24に供給された冷媒は配管26bを介してチラーユニットに戻される。即ち、冷媒流路24には、冷媒が循環するように供給される。チラーユニットによって冷媒流路24に供給される冷媒の温度が調整されることで、静電チャックESC上に支持されたウエハWの温度が制御される。
【0026】
また、基板処理装置10は、デポシールド47を備えている。デポシールド47は、チャンバ本体12の内壁及び支持部14の外周に沿って設けられている。デポシールド47は、アルミニウムにY
2O
3等のセラミックスを被覆することにより構成されており、エッチングにより生じる副生成物がチャンバ本体12に付着することを防止する。
【0027】
ステージSTには、ガス供給ライン28が形成されている。ガス供給ライン28は、チャンバ本体12の外部からステージSTを厚さ方向に貫通するように延在しており、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばヘリウム(He)ガスを静電チャックESCの上面とウエハWの裏面との間に供給する。
【0028】
ステージSTとチャンバ本体12の側壁12sとの間には、バッフル板48が設けられている。バッフル板48は、例えば、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。このバッフル板48には、複数の貫通孔が形成されている。
【0029】
バッフル板48の下方においてチャンバ本体12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50と排気口12eとの間には、圧力調整弁51が設けられている。排気装置50は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ12c内の圧力を圧力調整弁51の開度に応じた真空度まで減圧することができる。
【0030】
また、チャンバ本体12の側壁にはウエハWの搬入出口12gが設けられている。搬入出口12gは、ゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0031】
基板処理装置10は、上部電極30を更に備えている。上部電極30は、ステージSTの上方において、当該ステージSTと対向するように配置されている。下部電極LEと上部電極30とは、互いに略平行に設けられている。上部電極30と下部電極LEとの間には、ウエハWにプラズマ処理するための処理空間Sが形成されている。
【0032】
上部電極30は、絶縁性遮部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、例えばステージSTの上面から軸線Z方向に沿った距離Gが変更できるように構成され得る。上部電極30は、電極板34と電極支持体36とを含んでいる。電極板34は処理空間Sに露出している。この電極板34には複数のガス吐出孔34aが形成されている。電極板34は、例えばシリコンにより形成されている。なお、
図1に示す実施形態では、電極板34は平板形状を有しているが、一実施形態では、電極板34は、外周部につれて上部電極30とステージSTの上面との距離Gが短くなるようなテーパ形状を有してもよい。
【0033】
電極支持体36は、電極板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウム等の導電性材料により形成されている。電極支持体36は、水冷構造を有していてもよい。電極支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aには、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通するように、複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、電極支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0034】
ガス供給管38には、第1のガス供給システム40が設けられている。第1のガス供給システム40は、チャンバ内にウエハWを処理するためのプロセスガスを供給するためのものであり、ガスソース群41、バルブ群42及び流量制御器群43を有している。ガスソース群41は、複数のガスソースを含んでいる。これら複数のガスソースの例としては、酸素含有ガス、窒素含有ガス及びエッチングガスのガスソースが挙げられる。酸素含有ガスとしては、例えば酸素(O
2)ガス、オゾン(O
3)ガス、一酸化炭素(C
O)ガス、二酸化炭素(CO
2)ガスが例示される。窒素含有ガスとしては、例えば窒素(N
2)ガス、アンモニア(NH
3)ガスが例示される。エッチングガスとしては、例えばC
4F
6ガス、C
4F
8ガス等のフルオロカーボンガスが例示される。
【0035】
ガスソース群41の下流には、流量制御器群43が設けられている。流量制御器群43は、複数の流量制御器を含んでいる。これらの複数の流量制御器は、例えば圧力制御式の流量制御器(FCS)又はマスフローコントローラであり、ガスソース群41の複数のガスソースにそれぞれ接続されている。流量制御器群43の下流には、バルブ群42が設けられている。バルブ群42は、流量制御器群43の複数の流量制御器にそれぞれ接続する複数のバルブを含んでいる。ガスソース群41からのプロセスガスは、流量制御器群43、バルブ群42、ガス供給管38、ガス拡散室36a、複数のガス通流孔36b及び複数のガス吐出孔34aを介して処理空間S内に対して供給される。
【0036】
また、第1のガス供給システム40は、ガスソース44及びバルブ46を更に含んでいる。ガスソース44は、パージガスのガス源である。パージガスとしては、希ガスやN
2ガス等の不活性ガスが用いられる。希ガスの一例としては、例えばアルゴン(Ar)ガス、Heガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガスが挙げられる。ガスソース44からのパージガスは、バルブ46、ガス供給管38、ガス拡散室36a、複数のガス通流孔36b及び複数のガス吐出孔34aを介して処理空間S内に供給される。
【0037】
また、チャンバ本体12の側壁12sには、ガス導入口82aが形成されている。このガス導入口82aには、ガス供給管82が接続されている。ガス導入口82aは、軸線Z方向においてステージSTと上部電極30との間に設けられており、ガス供給管82からのガスを処理空間Sに導く。ガス供給管82には、第3のバルブV3が設けられている。ガス供給管82の第3のバルブV3よりも上流側には、第2のガス供給システム80が接続されている。また、ガス供給管82の第2のガス供給システム80と第3のバルブV3との間の位置には、配管84が接続されている。配管84には、ガス流量測定機構90が接続されている。
【0038】
以下、
図3を参照して、第2のガス供給システム80及びガス流量測定機構90について詳細に説明する。第2のガス供給システム80は、ウエハWに膜を形成するための成膜原料(プリカーサ)ガスを処理空間Sに供給する。
図3に示すように、第2のガス供給システム80は、複数の第1の配管L1、複数の第1のバルブV1、複数の流量制御器FC、複数の第2の配管L2、複数の第2のバルブV2を備えている。複数の流量制御器FCの各々は、その流量制御器FCの上流にある第1の配管L1及び下流にある第2の配管L2と共にガス供給部GPを構成している。すなわち、第2のガス供給システム80は、複数のガス供給部GPを備えている。
【0039】
複数の第1の配管L1の一端は、複数のガスソースGSにそれぞれ接続されている。複数のガスソースGSは、プリカーサのガス源である。プリカーサガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスとしては、BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)、BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)、DMAS(ジメチルアミノシラン)、DEAS(ジエチルアミノシラン)、DPAS(ジプロピルアミノシラン)、BAS(ブチルアミノシラン)、DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)、BEMAS(ビスエチルメチルアミノシラン)等のアミノシラン系ガス、TEOS(テトラエトキシシラン)等のシリコンアルコキシド系ガス、SiCl
4、SiF
4等のハロゲン化シリコンガスが例示される。
【0040】
複数の第1の配管L1には、複数の第1のバルブV1がそれぞれ設けられている。複数の第1の配管L1の下流には、複数の流量制御器FCが設けられている。複数の流量制御器FCは、複数の第1の配管L1の下流側の他端にそれぞれ接続されている。複数の流量制御器FCの下流には複数の第2の配管L2が設けられている。これらの第2の配管L2の一端は、複数の流量制御器FCにそれぞれ接続されている。複数の第2の配管L2には、複数の第2のバルブV2がそれぞれ設けられている。
【0041】
複数の第2の配管L2の下流側の他端には、ガス供給管82が接続されている。第3のバルブV3は、ガス供給管82に設けられている。ガス供給管82の他端、即ち第3のバルブV3の下流のガス供給管82の端部は、基板処理装置10のチャンバ本体12に接続されている。したがって、複数の第2の配管L2は、ガス供給管82を介してチャンバ本体12に接続されている。
【0042】
また、第2のガス供給システム80は、配管LP1、バルブVP1、配管LP2、バルブVP2、配管LP3、複数の配管LP4、及び複数のバルブVP4を更に備え得る。配管LP1の一端は、N
2ガス又は希ガスといったパージガスのガスソースGSPに接続されている。配管LP1には、バルブVP1が設けられている。配管LP1は、バルブVP1の下流において、配管LP2と配管LP3に接続されている。配管LP2の一端は、バルブVP1の下流において配管LP1に接続されており、配管LP2の他端は、ガス供給管82に接続されている。配管LP2にはバルブVP2が設けられている。配管LP3の一端は、バルブVP1の下流において配管LP1に接続されている。配管LP3には、複数の配管LP4の一端が接続されている。複数の配管LP4の他端は、複数の第1のバルブV1の下流において複数の第1の配管L1に接続されている。これらの配管LP4には、複数のバルブVP4がそれぞれ設けられている。
【0043】
複数の流量制御器FCは、例えば圧力制御式の流量制御器である。一実施形態では、複数の流量制御器FCは流量制御器FC1及び流量制御器FC2を含んでいる。複数の流量制御器FCの各々は、コントロールバルブCV、オリフィスOF、圧力計P1、圧力計P2及び制御回路CCを有している。また、複数の流量制御器FCの各々は、オリフィスOFの上流側のガスラインGL1、及びオリフィスOFの下流側のガスラインGL2を提供している。ガスラインGL1は、対応の第1の配管L1に接続されており、ガスラインGL2は、対応の第2の配管L2に接続されている。
【0044】
コントロールバルブCVは、オリフィスOFの上流側のガスラインGL1に設けられている。コントロールバルブCVとオリフィスOFの間において、ガスラインGL1には、当該ガスラインGL1の圧力を計測する圧力計P1が接続されている。ガスラインGL2には、当該ガスラインGL2の圧力を計測する圧力計P2が接続されている。
【0045】
流量制御器FCの制御回路CCは、圧力計P1及び圧力計P2の少なくとも一方で測定された圧力値に基づいて当該流量制御器FCから出力されるガスの流量を算出する(以下、制御回路CCによって算出されたガスの流量を「算出流量」ともいう。)。そして、制御回路CCにおいて求められた算出流量と、後述する制御部Cntによって指定される設定流量との差異が減少するようにコントロールバルブCVを制御する。
【0046】
一実施形態では、流量制御器FCは、2つの制御方式を有しており、圧力計P1及び圧力計P2で測定された圧力値に応じて2つの制御方式のうち一方の制御方式を選択し、その選択された制御方式に従って算出流量を求めてもよい。具体的には、臨界膨張条件が成立している場合、すなわちガスラインGL1内の圧力がガスラインGL2内の圧力の2倍以上に設定されている場合には、流量制御器FC内のオリフィスOFからガスが一定の速度(音速)で出力されることを利用して、流量制御器FCの圧力計P1で測定されたガスラインGL1内の圧力値から算出流量を求める。このような制御方式は比例制御と呼ばれる。流量制御器FCが比例制御で動作している場合には、制御回路CCにおいて算出流量Q
cは、例えば式(1)に従って求められる。
【0048】
なお、式(1)において、TはガスラインGL1又はガスラインGL2内の温度である。この温度は、例えば流量制御器FCの流路内に設けられた温度計によって測定され得る。また、式(1)において、S及びC
1は係数であり、P
iは圧力計P1によって測定されたオリフィスOFの1次側の圧力値である。
【0049】
一方、臨界膨張条件が成立していない場合、すなわちガスラインGL1内の圧力がガスラインGL2内の圧力の2倍よりも小さい場合には、圧力計P1で測定されたガスラインGL1内の圧力値及び圧力計P2で測定されたガスラインGL2内の圧力値の双方を用いて算出流量が求められる。このような制御方式は差圧制御と呼ばれる。流量制御器FCが差圧制御で動作している場合には、制御回路CCにおいて算出流量Q
cは、例えば式(2)に従って求められる。
【0051】
なお、式(2)において、C
2は係数であり、P
oは圧力計P2によって測定された流量制御器FCの2次側の圧力値である。また、式(2)において、α及びβは所定の定数である。
【0052】
配管84は、複数の第2のバルブV2及びバルブVP2の下流且つ第3のバルブV3の上流においてガス供給管82に接続されている。配管84には、ガス流量測定機構90が設けられている。ガス流量測定機構90は、複数の流量制御器FCから出力されるガスの流量を測定する。ガス流量測定機構90は、第4のバルブV4、絞り機構92、タンク94、第5のバルブV5、排気装置96を備えている。
【0053】
第4のバルブV4は、複数の第2の配管L2の下流において配管84に設けられている。絞り機構92は、第4のバルブV4の下流において配管84に設けられている。すなわち、絞り機構92は、第2の配管L2よりも下流に設けられている。絞り機構92は、可変オリフィス、ニードルバルブといった開度を調整可能な弁によって構成されている。絞り機構92は、弁の開度を調整することによって当該絞り機構92を通過するガスの流量を調整する。これにより、絞り機構92よりも上流の配管内の圧力、具体的には第2の配管L2内の圧力が調整される。
【0054】
タンク94は、絞り機構92の下流において配管84に設けられている。タンク94は、配管84が提供する流路に連通する内部空間を画成している。タンク94には、当該タンク94の内部の圧力を計測するための圧力計P3、及び、当該タンク94の内部の温度を計測するための温度計T3が設けられている。タンク94の下流には、第5のバルブV5を介して排気装置96が設けられている。排気装置96は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、配管84内の圧力を所定の真空度まで減圧することができる。なお、一実施形態では、ガス流量測定機構90は、排気装置96を備える代わりに、配管84を介して排気装置50に接続されており、当該排気装置50によって配管84内のガスが排気されるように構成されていてもよい。
【0055】
図2を再び参照する。基板処理装置10は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を備えている。第1の高周波電源62は、整合器66を介して下部電極LEに接続されている。第1の高周波電源62は、プラズマ生成用の第1の高周波電力を発生させ、第1の高周波電力を下部電極LEに供給する。第1の高周波電力は、27〜100MHzの周波数、例えば40MHzの周波数を有している。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させる機能を有する。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して上部電極30に接続されていてもよい。
【0056】
第2の高周波電源64は、整合器68を介して下部電極LEに接続されている。第2の高周波電源64は、ウエハWにイオンを引き込むための第2の高周波電力、即ち高周波バイアス電力を発生する。この高周波バイアス電力は、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数、例えば13MHzの周波数を有している。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させる機能を有する。
【0057】
また、基板処理装置10は、電源70を備え得る。電源70は、上部電極30に接続されている。電源70は、例えば負の直流電圧を発生する直流電源であり、処理空間Sに存在する正のイオンを電極板34に引き込むための負の電圧を上部電極30に印加する。なお、電源70は、負の直流電圧に代えて、低周波の交流電圧を上部電極30に印加してもよい。電源70から上部電極に印加される電圧は、例えば150V以上の電圧である。電源70から上部電極30に負の電圧が印加されると、処理空間Sに存在する正のイオンが電極板34に衝突する。これにより、電極板34から二次電子及び/又はシリコンが放出される。放出されたシリコンは、例えば処理空間Sに存在するフッ素の活性種と結合し、フッ素の活性種の量を低減させる。
【0058】
一実施形態では、基板処理装置10は、制御部Cntを備えている。制御部Cntは、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、基板処理装置10の各部を制御する。この制御部Cntは、基板処理装置10における基板処理のために記憶部に記憶されたレシピに従って、基板処理装置10の各部を制御する。また、制御部Cntは、流量制御器の出力流量を求める方法の種々の実施形態においても、第2のガス供給システム80の流量制御器及びバルブの制御を行う。また、制御部Cntは、当該方法の種々の実施形態において、圧力計P1、P2及びP3で測定された圧力値及び温度計T3で測定された温度値を受けて、流量制御器の出力流量を算出する。
【0059】
以下、再び
図1を参照する。方法MT1では、タンク94の圧力計P3及び温度計T3の測定値を用いて流量制御器FC1の出力流量が求められる。すなわち、方法MT1では、一つの流量制御器FC1が、測定対象の流量制御器である。この方法MT1では、まず工程ST1が行われる。
【0060】
工程ST1では、設定流量が決定される。この設定流量は、例えば制御部Cntの記憶部に記憶されたレシピに従って決定される。続く工程ST2では、流量制御器FC1によって設定流量に調整されたガスの供給が開始される。この工程ST2では、流量制御器FC1の上流にある第1のバルブV1、及び、流量制御器FC1の下流にある第2のバルブV2が開かれ、その他の第1のバルブV1、その他の第2のバルブV2、バルブVP1、バルブVP2、及び、複数のバルブVP4は閉じられる。また、工程ST1では、第4のバルブV4及び第5のバルブV5が開かれ、第3のバルブV3が閉じられる。さらに、この工程ST1では、絞り機構92の開度が全開になるように調整される。これにより、流量制御器FC1の上流のガスソースGSからのガスが、第1の配管L1、流量制御器FC1、第2の配管L2、ガス供給管82及び配管84を介して、タンク94内に供給される。
【0061】
次いで、工程ST3が行われる。工程ST3では、工程ST2において開始されたタンク94内へのガスの供給が継続している状態で、排気装置96が作動される。これにより、流量制御器FC1のガスラインGL2、当該ガスラインGL2の下流の第2の配管L2の内部、第3のバルブV3の上流のガス供給管82の内部、配管84の内部、タンク94の内部、及び、流量制御器FC1以外の流量制御器FCの下流、且つ、第2のバルブV2の下流の第2の配管L2の内部のガスが排気される。一実施形態では、この工程ST3では、流量制御器FC1のガスラインGL1の圧力が当該流量制御器FC1のガスラインGL2の圧力の2倍以上になるように、当該第2の配管L2の内部が減圧され得る。これにより、流量制御器FC1は比例制御によって出力流量を制御することとなる。
【0062】
続く工程ST4では、タンク94内へのガスの供給が継続している状態で、圧力計P2の測定圧力値が監視される。そして、圧力計P2の測定圧力値が安定した後に、第5のバルブV5が閉じられる。なお、例えば、所定時間内における圧力計P2の測定圧力値の最小値と最大値との差が所定値以下であれば、圧力計P2の測定圧力値が安定したものと判定することができる。この工程ST4では、測定圧力値が制御部Cntに送られる。また、工程ST4では、当該測定圧力値の監視が制御部Cntによって行われてもよく、第5のバルブV5の制御が制御部Cntによって実行されてもよい。
【0063】
工程ST4において、第5のバルブV5が閉じられると、各バルブの状態は
図4に示す状態となる。
図4において、バルブを示す図形のうち黒塗りされている図形は閉じられているバルブを示しており、バルブを示す図形のうち白抜きされている図形は開かれているバルブを示している。
【0064】
工程ST4の実行後には、
図4において太線で示す流路内に、流量制御器FC1を経由して供給されるガスが溜められる。具体的に、流量制御器FC1のガスラインGL2、当該ガスラインGL2の下流の第2の配管L2の内部、第3のバルブV3の上流のガス供給管82の内部、第5のバルブV5の上流の配管84の内部、タンク94の内部、及び、流量制御器FC1以外の流量制御器FCの下流、且つ、第2のバルブV2の下流の第2の配管L2の内部にガスが溜められる。工程ST4の実行後にガスが溜められるタンク94を含む流路内の容積は、方法MT1の実行前に予め測定された容積であり、既知の容積Vkである。
【0065】
続く工程ST5では、流量制御器FC1の出力流量が算出される。一実施形態では、工程ST5では、工程ST4の実行後の複数の時点における圧力計P3の測定圧力値から単位時間あたりの圧力上昇量(dP
t/dt)が求められる。例えば、複数の測定圧力値とそれら複数の測定圧力値が取得された時点との関係を近似する直線の傾きが、単位時間あたりの圧力上昇量として求められる。そして、工程ST5では、下記の式(3)の演算により、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。なお、式(3)において、Tは上述したガスが溜められる流路内において測定された温度であり、例えばタンク94の温度計T3によって測定され得る。また、Rは定数である。
【0067】
式(3)によって算出された出力流量Q
mは、流量制御器FC1を介してタンク94内に実際にガスを供給し、そのガスによって変化するタンク94内の圧力及び温度の測定値に基づいて求められたガスの流量である。したがって、出力流量Q
mは、流量制御器FC1の実流量に対する誤差が小さい出力流量の推定値であるといえる。なお、工程ST5では、出力流量Q
mの算出は、制御部Cntによって行うことができる。
【0068】
続く工程ST6では、第2の配管L2内の目標圧力値が決定される。この目標圧力値は、工程ST3において設定された第2の配管L2の圧力とは異なる圧力値である。この目標圧力値は、例えば制御部Cntの記憶部に予め格納された値である。一実施形態では、流量制御器FC1のガスラインGL1の圧力が目標圧力値の2倍よりも小さくなるように当該目標圧力値が設定されてもよい。
【0069】
工程ST6の実行後に、シーケンスSQ1が行われる。シーケンスSQ1は、工程ST7、工程ST8、工程ST9、工程ST10及び工程ST11を含んでいる。工程ST7では、第5のバルブV5が開けられ、排気装置96が作動される。これにより、流量制御器FC1からのガスが溜められた流路内のガスが排気される。
【0070】
続く工程ST8では、流量制御器FC1によって設定流量に応じた流量に調整されたガスの出力が開始される。この工程ST8では、工程ST2においてガスが供給されたときと同じバルブの開閉状態が形成される。すなわち、工程ST8では、流量制御器FC1の上流にある第1のバルブV1、及び、流量制御器FC1の下流にある第2のバルブV2が開かれ、その他の第1のバルブV1、その他の第2のバルブV2、バルブVP1、バルブVP2、及び、複数のバルブVP4が閉じられる。また、工程ST8では、第4のバルブV4及び第5のバルブV5が開かれ、第3のバルブV3が閉じられる。これにより、流量制御器FC1の上流のガスソースGSからのガスが、第1の配管L1、流量制御器FC1、第2の配管L2、ガス供給管82及び配管84を介してタンク94内に供給される。
【0071】
続く工程ST9では、流量制御器FC1の下流側の圧力、すなわち第2の配管L2内の圧力が、工程ST6において決定された目標圧力値になるように絞り機構92の開度が調整される。第2の配管L2内の圧力は、例えば流量制御器FC1の圧力計P2によって計測される。工程ST6において流量制御器FC1のガスラインGL1の圧力が目標圧力値の2倍よりも小さくなるように目標圧力値が設定されている場合には、流量制御器FC1は差圧制御によって出力流量を制御することとなる。
【0072】
続く工程ST10では、タンク94内へのガスの供給が継続している状態で、圧力計P2の測定圧力値が監視される。そして、第2の配管L2内の圧力が目標圧力値に到達した後に、第5のバルブV5が閉じられる。この工程ST10では、測定圧力値の監視が制御部Cntによって行われてもよく、また、第5のバルブV5の制御が制御部Cntによって実行されてもよい。
【0073】
続く工程ST11では、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。この出力流量Q
mの算出方法は、工程ST5における出力流量Q
mの算出方法と同じである。すなわち、工程ST10の実行後の複数の時点における圧力計P3の測定圧力値から単位時間あたりの圧力上昇量(dP/dt)が求められる。そして、上記の式(3)の演算により、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。算出された出力流量Q
mは、制御部Cntの記憶部に記憶され得る。
【0074】
続く工程ST12では、全ての目標圧力値について出力流量Q
mの算出が完了したか否かが判断される。一実施形態では、制御部Cntの記憶部には設定すべき1以上の目標圧力値が記憶されている。工程ST12では、制御部Cntが、その記憶部に記憶された1以上の目標圧力値の全てについて出力流量Q
mの算出が完了したか否かを判断する。工程ST12において全ての目標圧力値について出力流量Q
mの算出が完了していないと判断された場合には、続く工程ST13において目標圧力値が他の目標圧力値に変更される。そして、全ての目標圧力値について出力流量Q
mの算出が完了するまで、シーケンスSQ1が繰り返し行われる。これにより、第2の配管L2内の圧力値が目標圧力値に設定されているときの流量制御器FC1の出力流量を把握することができる。
【0075】
また、方法MT1では、第2の配管L2内の圧力が目標圧力値に調整された後にタンク94内の圧力及び温度に基づいて流量制御器FC1の出力流量Q
mを算出しているので、目標圧力値を変更することによって、臨界膨張条件が成立している場合、及び、臨界膨張条件が成立していない場合の双方の流量制御器FC1の出力流量Q
mを算出することができる。したがって、目標圧力を変更することによって両方の制御方式で動作しているときの流量制御器FC1の出力流量Q
mを算出することができる。
【0076】
一実施形態では、工程ST12において全ての目標圧力値について出力流量Q
mの算出が完了したと判断された後に、工程ST14が行われてもよい。工程ST14では、目標圧力値を複数の圧力値に変更しながらシーケンスSQ1が繰り返し実行された後に、較正用データが生成される。較正用データは、当該複数の圧力値と、工程ST5又は工程ST11において算出された流量制御器FC1の出力流量Q
mとの関係を定めるデータである。較正用データは、複数の圧力値と流量制御器FC1の出力流量Q
mとの関係を定めるものであれば、任意のデータであり得る。例えば、較正用データは、複数の圧力値と出力流量Q
mとが互いに対応付けられた表形式のデータであってもよい。また、較正用データは、流量制御器FC1の出力流量Q
mを第2の配管L2内の圧力値を変数とする関数として表したデータであってもよい。さらに、較正用データは、流量制御器FC1における出力流量の算出に用いられる2次圧に応じた係数であってもよい。
【0077】
図5を参照して、較正用データが、流量制御器FC1における出力流量の算出に用いられる2次圧に応じた係数である場合の較正用データの生成方法の一例について説明する。
図5は、流量制御器FC1の下流にある第2の配管L2内の圧力値と流量制御器FC1の出力流量との関係の一例を示すグラフである。
図5の実線で示すグラフは、流量制御器FC1の制御回路CCによって、上記の式(1)又は式(2)に従って算出された当該流量制御器FC1の算出流量Q
cと第2の配管L2内の圧力値P
oとの関係を示している。制御回路CCは、流量制御器FC1のガスラインGL1の圧力が当該流量制御器FC1のガスラインGL2の圧力の2倍以上である場合、すなわちP
oがP
i/2以下である場合には、式(1)に従って流量制御器FC1の算出流量Q
cを求める。一方、制御回路CCは、流量制御器FC1のガスラインGL1の圧力が当該流量制御器FC1のガスラインGL2の圧力の2倍よりも小さい場合、すなわちP
oがP
i/2よりも大きい場合には、式(2)に従って流量制御器FC1の算出流量Q
cを求める。
【0078】
工程ST14では、目標圧力値を複数の圧力値に変更しながらシーケンスSQ1を繰り返し実行することで得られた出力流量Q
mと上記の式(1)又は式(2)を用いて求められる算出流量Q
cとの差異が最小となるように、式(1)の係数C
1及び式(2)中の係数C
2の値が調整される。
図5の一点鎖線で示すグラフは、係数C
1及び係数C
2が調整された式(1)又は式(2)に従って算出された当該流量制御器FC1の算出流量Q
cと第2の配管L2内の圧力値P
oとの関係を示している。このように、係数C
1及び係数C
2が調整された式(1)又は式(2)に従って算出流量Q
cを求めることによって、流量制御器FC1の実流量と算出流量との差異を抑制することができる。この例では、このように調整された係数C
1及び係数C
2が、複数の圧力値と流量制御器FCの出力流量との関係を定める較正用データである。すなわち、係数C
1及び係数C
2が調整された式(1)又は式(2)を用いることで、第2の配管L2内の圧力値P
oに応じた流量制御器FC1の出力流量を求めることができる。上記のように生成された較正データは、例えば制御部Cntの記憶部に格納される。
【0079】
次いで、
図6を参照して、別の実施形態に係る流量制御器の出力流量を求める方法を説明する。以下では、
図1に示す方法MT1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
図6は、別の実施形態に係る流量制御器の出力流量を求める方法MT2を示す流れ図である。方法MT2は、タンク94に代えてタンク98を備える基板処理装置に適用される。
図7は、タンク98を概略的に示す縦断面図である。タンク98は、所謂音速ノズルであり、第1の空間98aと第2の空間98bを含む内部空間を有している。第1の空間98aには、当該第1の空間98a内の圧力値を測定する圧力計P4、及び、当該第1の空間98a内の温度値を測定する温度計T4が設けられている。第2の空間98bは、第1の空間98aよりも下流側に設けられている。第1の空間98aと第2の空間98bとの間にはオリフィス98oが介在しており、当該オリフィス98oによって第1の空間98aと第2の空間98bとが互いに接続されている。
【0080】
図6に示すように、方法MT2は、工程ST21〜工程ST31を含んでいる。これらの工程ST21〜工程ST31は、方法MT1の工程ST1〜工程ST3、工程ST5、工程ST6、工程ST8、工程ST9、工程ST11〜工程ST14と同一の又は対応する工程である。すなわち、方法MT2は、
図1に示す工程ST4、工程ST7及び工程ST10が行われない点で方法MT1と異なる。方法MT2では、第5のバルブが開かれ、且つ、排気装置96が作動した状態で、流量制御器FC1の出力流量が算出される。
【0081】
具体的に、工程ST23では、排気装置96が作動することによって、タンク98の第2の空間98b、及び、タンク98よりも下流側の配管84内が減圧される。これにより、第1の空間98a内の圧力値が第2の空間98b内の圧力値の2倍よりも大きくなるように設定される。続く工程ST24では、タンク98へのガスの供給が継続し、且つ、排気装置96が作動している状態で、第1の空間98a内の圧力値及び温度値が取得される。なお、これらの圧力値及び温度値は、第1の空間98a内に設けられた圧力計P4及び温度計T4を用いて取得され得る。
【0082】
続く工程ST24では、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。第1の空間98a内の圧力値は第2の空間98b内の圧力値の2倍よりも大きく設定されているので、タンク98に供給されたガスは音速でオリフィス98oを通過する。工程ST24では、オリフィス98oを通過するガスは一定の速度を有することを利用して、下記の式(4)の演算により、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。なお、以下の式(4)において、Kは定数であり、P
tは第1の空間98a内の圧力値であり、Tは第1の空間98a内の温度値である。
【0084】
また、方法MT2では、工程ST28においても、工程ST24と同様に、タンク98へのガスの供給が継続し、且つ、排気装置96が作動している状態で、式(4)の演算により、流量制御器FC1の出力流量Q
mが算出される。この方法MT2では、流量制御器FC1からのガスが溜められる流路内の容積を用いずに、流量制御器FC1の出力流量Q
mを算出することができる。そして、全ての目標圧力値について出力流量Q
mの算出が完了するまで、工程ST26、工程ST27及び工程ST28を含むシーケンスSQ2が繰り返し行われる。これにより、第2の配管L2内の圧力値が複数の圧力値に設定されているときの流量制御器の出力流量Q
mが求められる。
【0085】
次いで、一実施形態に係る基板処理装置を用いた被処理体の処理方法について説明する。以下では、
図2に示す基板処理装置10を用いた被処理体の処理方法について説明するが、この方法は任意の基板処理装置に適用することができる。
【0086】
図8は、一実施形態に係る被処理体の処理方法を示す流れ図である。
図8に示す方法MT3は、較正用データを用いて流量制御器の出力流量を較正し、較正された流量で出力されるガスを用いて被処理体を処理する方法である。以下では、被処理体の処理方法の一例として、ウエハWのレジストパターン上にシリコン酸化膜を形成する方法について説明する。この方法MT3では、まず工程ST41が行われる。
【0087】
工程ST41では、搬入出口12gを介してチャンバ12c内にウエハWが搬入される。このウエハWには、レジストパターンが形成されている。チャンバ12c内に搬入されたウエハWは、ステージST上に支持される。続く工程ST42では、排気装置50が作動され、圧力調整弁51によってチャンバ12c内の圧力が設定圧力になるように調整される。この設定圧力は、例えば制御部Cntの記憶部に格納されたレシピに従って定められる。
【0088】
続く工程ST43では、複数の流量制御器FCのうち較正すべき1つの流量制御器が選択される。以下では、一つの流量制御器FC1が、較正対象の流量制御器であるものとする。続く工程ST44では、流量制御器FC1に対応する較正データが選択される。較正用データは、上記の方法MT1又はMT2によって流量制御器毎に生成され、例えば制御部Cntの記憶部に格納されたものであり得る。
【0089】
続く工程ST45では、選択された較正データに用いて流量制御器FC1の出力流量が求められる。例えば、工程ST45では、係数C
1及び係数C
2が調整された式(1)又は式(2)を用いて、流量制御器FC1の下流にある第2の配管L2内の圧力値に対応する流量制御器FC1の出力流量が求められる。この第2の配管L2内の圧力は、流量制御器FC1の圧力計P2の測定値から得られる。なお、チャンバ12c内の圧力と第2の配管L2内の圧力とが一致する場合には、チャンバ12c内に設けられた圧力計によって、第2の配管L2内の圧力が得られてもよい。また、工程ST42において指定された設定圧力を第2の配管L2内の圧力としてもよい。
【0090】
続く工程ST46では、第1のガス供給システム40及び第2のガス供給システム80からチャンバ12c内にガスが供給される。具体的には、第1のガス供給システム40からはチャンバ12c内にパージガスが供給され、第2のガス供給システム80からはチャンバ12c内にプリカーサガスが供給される。このプリカーサガスは、例えばアミノシランガスである。第2のガス供給システム80からアミノシランガスをチャンバ12c内に供給することにより、ウエハWのレジストパターン上にアミノシランガスが吸着する。工程ST46では、第2のガス供給システム80の流量制御器FC1は、工程ST45において求められた出力流量、即ち較正された出力流量の設定流量に対する誤差が減少するようにコントロールバルブCVを制御する。これにより、レシピで指定された流量に応じた流量のアミノシランガスを処理空間Sに供給することできるので、所望の量のアミノシランガスをウエハWのレジストパターン上に吸着させることができる。また、第1のガス供給システム40からパージガスが供給されることで、ガス供給管38内にアミノシランガスに由来する副生成物が形成されることが防止される。その後、工程ST47において第1のガス供給システム40及び第2のガス供給システム80からのガスの供給が停止される。
【0091】
続く工程ST48では、第1のガス供給システム40及び第2のガス供給システム80からチャンバ12c内にガスが供給される。この工程ST48では、第1のガス供給システム40から流量制御器群43によって流量が調整されたプロセスガスがチャンバ12c内に供給される。このプロセスガスは、例えば酸素ガスである。また、工程ST48では、パージガスが第2のガス供給システム80からチャンバ12c内に供給される。このように第2のガス供給システム80からパージガスを供給することで、ガス供給管82内にアミノシランガスに由来する副生成物が形成されることが防止される。
【0092】
続く工程ST49では、工程ST48においてチャンバ12c内に供給された酸素ガスのプラズマが生成される。酸素ガスのプラズマが生成されることでアミノシランガスと酸素ガスとが反応し、レジストパターン上にシリコン酸化膜が形成される。その後、工程ST50において第1のガス供給システム40及び第2のガス供給システム80からのガスの供給が停止される。
【0093】
続く工程ST51では、終了条件が成立したか否かが判定される。例えば、工程ST46〜工程ST50を含むシーケンスを所定回数繰り返されることで終了条件が成立したと判定される。工程ST51において終了条件が成立していないと判定された場合には、終了条件が成立するまで当該シーケンスが繰り返し行われる。これにより、ウエハWに所望の膜厚を有するシリコン酸化膜が形成される。
【0094】
方法MT3では、流量制御器FC1の出力流量が較正データによって較正され、その較正された出力流量の設定流量に対する誤差が減少するように流量制御器FC1が制御される。その結果、流量制御器FC1から設定流量に応じた適切な流量のプリカーサガスをチャンバ12c内に供給することができる。したがって、この方法MT3によれば、ウエハW上に適切な膜厚のシリコン酸化膜を形成することができる。
【0095】
以上、種々の実施形態に係る流量制御器の出力流量を求める方法及び被処理体を処理する方法について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、流量制御器FCは圧力式の流量制御器であるが、流量制御器FCは熱式のマスフローコントローラであってもよい。マスフローコントローラが、その下流側圧力を測定する圧力計を備えていない場合には、当該マスフローコントローラの下流にある第2の配管L2に別の圧力計を設けてもよい。
【0096】
また、上述の実施形態では、第2のガス供給システム80の流量制御器FCの出力流量を求める方法について説明したが、この方法は、第1のガス供給システム40の流量制御器群43にも適用することができる。また、上述の実施形態では、方法MT1が流量制御器FC1に対して実行されているが、方法MT1は全ての流量制御器FCに対して順に実行されてもよい。
【0097】
また、
図1に示す方法MT1では、流量制御器FCの下流にある第2の配管L2内の目標圧力値を複数の圧力値に変更して流量制御器FC1の出力流量を求めているが、第2の配管L2内の圧力を少なくとも1つの目標圧力値に設定し、そのときの流量制御器FC1の出力流量を求められればよい。
【0098】
さらに、
図2に示す基板処理装置10は、1つの第2のガス供給システム80を備えているが、一実施形態では、複数の第2のガス供給システム80を備えていてもよい。例えば、基板処理装置10が複数の第2のガス供給システム80を備え、当該複数の第2のガス供給システム80が、軸線Zの放射方向から処理空間Sにガスを供給するように構成されていてもよい。この場合には、方法MT3によって、これら複数の第2のガス供給システム80の出力流量を較正することで、軸線Zの放射方向から均一な流量のガスを処理空間Sに供給することが可能となる。これにより、ウエハWの面内均一性を向上させることができる。