(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の表面に純水による処理を含む洗浄処理を実行した後に、前記純水をIPA(イソプロピルアルコール)によって置換し、前記基板上にIPA液膜を形成する液処理部と、
前記IPA液膜が形成された前記基板の重量、前記IPA液膜の厚さのうち少なくとも一方を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記基板上の前記IPA液膜の液量を検出し、前記液量の良否を判定する検出部と、
前記IPA液膜が形成された前記基板を、超臨界流体と接触させて前記基板を乾燥させる後処理部とを備え、
前記測定部は、前記IPA液膜が形成される前および乾燥処理が行われた後の前記基板の重量を測定し、
前記検出部は、前記乾燥処理が行われた後の前記基板の重量に基づいて前記基板の乾燥状態を検出する
基板処理装置。
基板の表面に純水による処理を含む洗浄処理を実行した後に、前記純水をIPA(イソプロピルアルコール)によって置換し、前記基板上にIPA液膜を形成する液処理工程と、
前記IPA液膜が形成された前記基板の重量、前記IPA液膜の厚さのうち少なくとも一方を測定する測定工程と、
前記測定工程による測定結果に基づいて前記基板上の前記IPA液膜の液体の液量を検出し、前記液量の良否を判定する検出工程と、
前記IPA液膜が形成された前記基板を、超臨界流体と接触させて前記基板を乾燥させる後処理工程とを含み、
前記IPA液膜が形成される前および乾燥処理が行われた後の前記基板の重量が測定され、
前記乾燥処理が行われた後の前記基板の重量に基づいて前記基板の乾燥状態が検出される
基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理装置および基板処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<基板処理システム1の概要>
図1を参照しながら、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理システム1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0011】
基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0012】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、ウェハWと称呼する。)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0013】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
【0014】
受渡部14について
図2を参照し説明する。
図2は受渡部14の概略構成を示す断面図である。
【0015】
受渡部14は、ケース40と、台座41と、複数の昇降部材42と、ロードセル43と、液量調整部44とを備える。ケース40には、基板搬送装置13、18によってウェハWを搬入出するための開口部40A、40Bが形成される。台座41は、ケース40内に配置される。台座41には、昇降部材42が挿入される挿入孔が形成される。
【0016】
昇降部材42は、昇降駆動部(不図示)によって昇降可能となるように台座41に支持される。昇降部材42は、基板搬送装置13および基板搬送装置18によって搬入されたウェハWが昇降部材42の先端部に載置されると、ウェハWの下面を支持する。昇降部材42がウェハWを支持した状態で、所定の受渡位置から昇降駆動部によって降下されると、ウェハWがロードセル43上に載置される。また、ウェハWがロードセル43上に載置された状態で昇降駆動部によって昇降部材42が上昇すると、昇降部材42はウェハWの下面に当接しウェハWを支持し、ウェハWを受渡位置まで上昇させる。
【0017】
ロードセル43は、ウェハWの重量を測定し、ウェハWの重量に関する信号を後述する制御装置4に出力する。
【0018】
液量調整部44は、後述する洗浄処理ユニット16によって洗浄処理が行われ、液体状態のイソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol:以下、IPAと呼称する。)が液盛りされ、IPA液体による液膜が形成されたウェハWに対して、IPA液体の液量を調整する。液量調整部44は、アーム45と、IPA供給部46と、IPA吸引部47とを備える。
【0019】
アーム45は、アーム駆動部(不図示)によって昇降可能となるようにケース40に支持される。IPA供給部46は、アーム45に取り付けられ、アーム45と共に昇降し、IPA液体をウェハWに供給する。IPA吸引部47は、アーム45に取り付けられ、アーム45と共に昇降し、ウェハW表面に液盛りされたIPA液体を吸引する。IPA吸引部47は、例えば、エジェクタや、スポイトである。
【0020】
図1に戻り、処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の洗浄処理ユニット16と、複数の乾燥処理ユニット17とを備える。複数の洗浄処理ユニット16と複数の乾燥処理ユニット17とは、搬送部15の両側に並べて設けられる。なお、
図1に示した洗浄処理ユニット16および乾燥処理ユニット17の配置や個数は一例であり、図示のものに限定されない。
【0021】
搬送部15は、内部に基板搬送装置18を備える。基板搬送装置18は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置18は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と、洗浄処理ユニット16と、乾燥処理ユニット17との間でウェハWの搬送を行う。
【0022】
洗浄処理ユニット16は、基板搬送装置18によって搬送されるウェハWに対して所定の洗浄処理を行う。
【0023】
洗浄処理ユニット16について
図3を参照し説明する。
図3は、洗浄処理ユニット16の構成を示す断面図である。洗浄処理ユニット16は、たとえば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄処理ユニットとして構成される。
【0024】
洗浄処理ユニット16は、処理空間を形成するアウターチャンバー23内に配置されたウェハ保持機構25にてウェハWをほぼ水平に保持し、このウェハ保持機構25を鉛直軸周りに回転させることによりウェハWを回転させる。そして、洗浄処理ユニット16は、回転するウェハWの上方にノズルアーム26を進入させ、ノズルアーム26の先端部に設けられた薬液ノズル26aから薬液やリンス液を予め定められた順に供給することにより、ウェハWの表面の洗浄処理を行う。
【0025】
また、洗浄処理ユニット16には、ウェハ保持機構25の内部にも薬液供給路25aが形成されている。そして、薬液供給路25aから供給された薬液やリンス液によって、ウェハWの裏面洗浄が行われる。
【0026】
上述のウェハWの洗浄処理は、たとえば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われ、次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、DIWと呼称する。)によるリンス洗浄が行われる。次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、DHFと呼称する。)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
【0027】
上述の各種薬液は、アウターチャンバー23や、アウターチャンバー23内に配置されるインナーカップ24に受け止められて、アウターチャンバー23の底部に設けられる排液口23aや、インナーカップ24の底部に設けられる排液口24aから排出される。さらに、アウターチャンバー23内の雰囲気は、アウターチャンバー23の底部に設けられる排気口23bから排気される。
【0028】
上述のウェハWのリンス処理の後には、ウェハ保持機構25を回転させながら、ウェハWの表面および裏面にIPA液体を供給し、ウェハWの両面に残存しているDIWと置換する。その後、ウェハ保持機構25の回転を緩やかに停止する。
【0029】
こうして洗浄処理を終えたウェハWは、その表面にIPA液体の液膜が形成される。なお、液膜の厚さδは、式(1)に示すように算出することができる。
【数1】
【0030】
「Q」は吐出流量、「ν」は動粘度、「ω」は回転速度、「r」はウェハWの半径である。
【0031】
液膜が形成されたウェハWは、ウェハ保持機構25に設けられた不図示の受け渡し機構により基板搬送装置18に受け渡され、洗浄処理ユニット16より搬出される。
【0032】
ウェハWの表面に形成された液膜は、洗浄処理ユニット16から乾燥処理ユニット17へのウェハWの搬送中や、乾燥処理ユニット17への搬入動作中に、ウェハW表面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防ぐ、乾燥防止用の液体として機能する。
【0033】
図1に戻り、乾燥処理ユニット17は、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理されたウェハWに対し、超臨界流体を用いて乾燥処理を行う。乾燥処理では、ウェハWのIPA液体にCO2の超臨界流体を接触させることで、IPA液体が超臨界流体に溶解され除去される。これにより、ウェハWが乾燥する。
【0034】
乾燥処理ユニット17について
図4を参照し説明する。
図4は、乾燥処理ユニット17の構成を示す外観斜視図である。
【0035】
乾燥処理ユニット17は、本体31と、保持板32と、蓋部材33とを有する。筐体状の本体31には、ウェハWを搬入出するための開口部34が形成される。保持板32は、処理対象のウェハWを水平方向に保持する。蓋部材33は、かかる保持板32を支持するとともに、ウェハWを本体31内に搬入したときに、開口部34を密閉する。
【0036】
本体31は、ウェハWを収容可能な処理空間が内部に形成された容器であり、その壁部には、供給ポート35A、35Bと排出ポート36とが設けられる。供給ポート35A、35Bと排出ポート36とは、それぞれ、乾燥処理ユニット17の上流側と下流側とに設けられる超臨界流体を流通させるための供給ラインに接続されている。
【0037】
供給ポート35Aは、筐体状の本体31において、開口部34とは反対側の側面に接続されている。また、供給ポート35Bは、本体31の底面に接続されている。さらに、排出ポート36は、開口部34の下方側に接続されている。なお、
図4には2つの供給ポート35A、35Bと1つの排出ポート36が図示されているが、供給ポート35A、35Bや排出ポート36の数は特に限定されない。
【0038】
また、本体31の内部には、流体供給ヘッダー37A、37Bと、流体排出ヘッダー38とが設けられる。流体供給ヘッダー37A、37Bと流体排出ヘッダー38とは、いずれも多数の開孔が形成されている。
【0039】
流体供給ヘッダー37Aは、供給ポート35Aに接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34とは反対側の側面に隣接して設けられる。また、流体供給ヘッダー37Aに形成される多数の開孔は、開口部34側を向いている。
【0040】
流体供給ヘッダー37Bは、供給ポート35Bに接続され、筐体状の本体31内部における底面の中央部に設けられる。また、流体供給ヘッダー37Bに形成される多数の開孔は、上方を向いている。
【0041】
流体排出ヘッダー38は、排出ポート36に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34側の側面に隣接するとともに、開口部34よりも下方に設けられる。また、流体排出ヘッダー38に形成される多数の開孔は、流体供給ヘッダー37A側を向いている。
【0042】
流体供給ヘッダー37A、37Bは、超臨界流体を本体31内に供給する。また、流体排出ヘッダー38は、本体31内の超臨界流体を本体31の外部に導いて排出する。なお、流体排出ヘッダー38を介して本体31の外部に排出される超臨界流体には、ウェハWの表面から超臨界流体に溶け込んだIPA液体が含まれる。
【0043】
乾燥処理ユニット17は、さらに、不図示の押圧機構を備える。かかる押圧機構は、本体31内部の処理空間内に供給された超臨界状態の超臨界流体によってもたらされる内圧に抗して、本体31に向けて蓋部材33を押し付け、処理空間を密閉する機能を有する。また、かかる処理空間内に供給された超臨界流体が所定の温度を保てるように、本体31の表面には、断熱材やテープヒータなどが設けられていてもよい。
【0044】
図1に戻り、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部19と記憶部20とを備える。ここで、制御装置4について
図5を参照し説明する。
図5は、制御装置4の概略構成を示すブロック図である。
【0045】
記憶部20は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0046】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、基板搬送装置13、18や、洗浄処理ユニット16、乾燥処理ユニット17、液量調整部44などの制御を実現する。
【0047】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部20にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0048】
制御部19は、入力部19Aと、検出部19Bと、出力部19Cとを備える。
【0049】
入力部19Aは、ロードセル43によって測定されたウェハWの重量に関する信号が入力される。入力部19Aには、洗浄処理前、すなわち液膜が形成されていないウェハWの重量、洗浄処理後、すなわち液膜が形成されたウェハWの重量および乾燥処理後のウェハWの重量に関する信号が入力される。洗浄処理後のウェハWの重量に関する信号は、洗浄処理後のウェハWの重量のデータとして記憶部20に記憶される。
【0050】
検出部19Bは、入力部19Aに入力された信号に基づいて洗浄処理の前後のウェハWの重量および乾燥処理後のウェハWの重量を検出する。
【0051】
具体的には、検出部19Bは、洗浄処理後のウェハWの重量から洗浄処理前のウェハWの重量を減算し、ウェハW上のIPA液体の液量(以下、IPA液体の液量と称呼する。)を検出する。また、検出部19Bは、乾燥処理後のウェハWの重量から洗浄処理前のウェハWの重量を減算し、ウェハWのIPA液体の残存量を検出する。
【0052】
検出部19Bは、IPA液体の液量が規定範囲内である場合には、IPA液体の液量が正常であると判定し、IPA液体の液量が規定範囲外である場合には、IPA液体の液量が異常であると判定する。規定範囲は、予め設定された範囲であり、IPA液体の液量が所定下限値以上であり、かつ所定上限値以下となる範囲である。
【0053】
所定下限値は、予め設定された値であり、乾燥処理ユニット17へのウェハWの搬送中や、乾燥処理ユニット17への搬入動作中に、ウェハW表面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防止可能な液量である。所定上限値は、予め設定された値であり、乾燥処理後のウェハWに多数のパーティクルが付着することを防止する液量である。
【0054】
また、検出部19Bは、ウェハWのIPA液体の残存量が所定値以下である場合には、ウェハWが乾燥していると判定し、ウェハWのIPA液体の残存量が所定値よりも多い場合には、ウェハWが乾燥していないと判定する。所定値は、予め設定された値である。すなわち、検出部19Bは、乾燥処理によるウェハWの乾燥状態を検出する。
【0055】
出力部19Cは、IPA液体の液量が異常であると判定された場合には、IPA液体の液量に関する信号を液量調整部44に出力し、液量調整部44によってウェハWのIPA液体の流量を調整させる。
【0056】
これにより、液量調整部44では、IPA液体の液量が規定範囲以内となるように、ウェハWのIPA液体の液量が調整される。具体的には、IPA液体の液量が所定下限値よりも少ない場合には、IPA供給部46によってIPA液体がウェハWに供給される。また、IPA液体の液量が所定上限値よりも多い場合には、IPA吸引部47によってウェハWからIPA液体が吸引される。
【0057】
また、出力部19Cは、ウェハWが乾燥していないと判定された場合には、ウェハWを再度、乾燥処理ユニット17に搬入し、乾燥処理を行うよう信号を出力し、ウェハWを乾燥させる。
【0058】
<基板処理>
次に、基板処理システム1における基板処理について
図6を参照し説明する。
図6は、本実施形態に係る基板処理システム1が実行する基板処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
基板処理システム1は、基板搬送装置13によってウェハWをキャリアCから受渡部14に搬入し(S10)、液膜が形成されていないウェハWの重量を測定し(S11)、測定した重量を記憶部20に記憶させる(S12)。
【0060】
基板処理システム1は、基板搬送装置18によってウェハWを受渡部14から搬出し、洗浄処理ユニット16に搬入し、洗浄処理を行う(S13)。これにより、ウェハWには液膜が形成される。
【0061】
基板処理システム1は、洗浄処理が終了すると、基板搬送装置18によってウェハWを洗浄処理ユニット16から受渡部14に搬送し、液膜が形成されたウェハWの重量を測定する(S14)。
【0062】
基板処理システム1は、液膜が形成されたウェハWの重量から液膜が形成されていないウェハWの重量を減算し、IPA液体の液量を検出する(S15)。
【0063】
基板処理システム1は、IPA液体の液量が規定範囲外である場合には(S16:No)、IPA液体の液量が規定範囲内となるように液量調整部44によってIPA液体の液量を調整する(S17)。
【0064】
基板処理システム1は、IPA液体の液量が規定範囲内の場合には(S16:Yes)、基板搬送装置18によってウェハWを受渡部14から乾燥処理ユニット17に搬送し、乾燥処理を行う(S18)。
【0065】
基板処理システム1は、乾燥処理が終了すると、基板搬送装置18によってウェハWを乾燥処理ユニット17から受渡部14に搬送し、乾燥処理後のウェハWの重量を測定する(S19)。
【0066】
基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWの重量から、液膜が形成されていないウェハWの重量を減算し、IPA液体の残存量を算出する(S20)。
【0067】
基板処理システム1は、IPA液体の残存量が所定値よりも大きい場合には(S21:No)、ウェハWを乾燥処理ユニット17に再搬入し、乾燥処理を再度行う。
【0068】
基板処理システム1は、IPA液体の残存量が所定値以下の場合には(S21:Yes)、基板搬送装置13によってウェハWを受渡部14から搬出し、ウェハWをキャリアCに搬入する(S22)。
【0069】
<本実施形態の効果>
次に本実施形態の効果について説明する。
【0070】
洗浄処理ユニット16によってウェハWにIPA液体の液膜が形成された場合、各洗浄処理ユニット16でIPA液体の液量が異なる場合がある。また、経年劣化によってIPA液体の液量が異なる場合がある。
【0071】
IPA液体の液量が所定上限値よりも多いウェハWを乾燥処理すると、乾燥処理後のウェハWに多数のパーティクルが付着することが分かった。また、IPA液体の液量が所定下限値よりも少ない場合、ウェハWの搬送中などにパターン倒れが生じるおそれがある。
【0072】
基板処理システム1は、洗浄処理ユニット16によって洗浄処理が行われIPA液体の液膜が形成されたウェハWのIPA液体の液量を検出する。これにより、ウェハW毎にIPA液体の液量を管理することができる。そのため、検出されたIPA液体の液量が規定範囲内のウェハWを乾燥処理することで、ウェハWに付着するパーティクルを低減し、またパターン倒れが発生することを防止し、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0073】
基板処理システム1は、洗浄処理前後のウェハWの重量を測定し、洗浄処理後のウェハWの重量から洗浄処理前のウェハWの重量を減算してIPA液体の液量を検出する。これにより、IPA液体の液量を正確に検出することができる。
【0074】
基板処理システム1は、IPA液体の液量が規定範囲外である場合に、液量調整部44によってIPA液体の液量が規定範囲内となるようにIPA液体の液量を調整する。これにより、IPA液体の液量が規定範囲外のウェハWが乾燥処理ユニット17に搬入されることを防止することができる。
【0075】
例えば、IPA液体の液量が所定上限値よりも多い場合には、IPA液体をIPA吸引部47によって減少させて、また、IPA液体の液量が所定下限値よりも少ない場合には、IPA液体をIPA供給部46によって増加させて、IPA液体の液量が規定範囲内となったウェハWを乾燥処理ユニット17に搬入し、乾燥処理を行うことができる。そのため、ウェハWの歩留まりを向上させることができる。
【0076】
基板処理システム1は、液量調整部44を受渡部14に設ける。これにより、既存の受渡部が設けられているスペースに受渡部14を配置することができ、ウェハWの歩留まりを向上させつつ、基板処理システム1が大型化することを抑制することができる。
【0077】
基板処理システム1は、ロードセル43を受渡部14に設ける。これにより、搬入出ステーション2から処理ステーション3へウェハWを受け渡す際に、ウェハWの重量を測定することができ、ウェハWの処理時間が長くなることを抑制することができる。また、既存の受渡部が設けられているスペースに受渡部14を配置することができ、ウェハWの歩留まりを向上させつつ、基板処理システム1が大型化することを抑制することができる。
【0078】
基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWの重量と洗浄処理前のウェハWの重量との差に基づいてウェハWのIPA液体の残存量を検出する。これにより、ウェハWの乾燥状態を検出することができる。
【0079】
<本実施形態の変形例>
次に上記実施形態の変形例について説明する。
【0080】
上記実施形態では、受渡部14に設けたロードセル43によって洗浄処理前後のウェハWの重量および乾燥処理後のウェハWの重量を測定したが、これに限られず、受渡部14以外の構成部材にロードセル43を設け、ウェハWの重量を測定してもよい。
【0081】
例えば、ロードセル43は、乾燥処理ユニット17と基板搬送装置18との間でウェハWを受け渡すアーム(不図示)や、基板搬送装置18や、洗浄処理ユニット16などに設けられてもよい。これにより、ウェハWの搬送中や、洗浄処理中に、ウェハWの重量を測定することができ、受渡部14によってウェハWの重量を測定する処理を省くことができる。そのため、ウェハWの処理時間が長くなることを抑制することができる。また、ロードセル43を複数設け、受渡部14や、基板搬送装置18などに設けてもよい。
【0082】
また、液量調整部44は受渡部14以外の部材に設けられてもよい。例えば、ロードセル43および液量調整部44を有する調整ユニット50を
図7に示すように基板処理システム1に別途設けてもよい。
図7は、本実施形態の変形例の基板処理システム1の概略構成を示す模式図である。
【0083】
例えば、洗浄処理前および乾燥処理後のウェハWの重量を受渡部14によって測定し、洗浄処理によってIPA液体の液膜が形成されたウェハWの重量を調整ユニット50によって測定してIPA液体の液量を調整してもよい。これにより、受渡部14の昇降部材42にIPA液体が付着することを防止し、昇降部材42に付着したIPAが乾燥処理後のウェハWに付着することを防止することができる。また、調整ユニット50によって洗浄処理前後および乾燥処理後のウェハWの重量を測定してもよい。
【0084】
また、調整ユニット50は、例えば、乾燥処理ユニット17の本体31の上部などに設けられてもよい。これにより、調整ユニット50から乾燥処理ユニット17にウェハWを搬送する時間を短くし、ウェハWの処理時間が長くなることを抑制することができる。
【0085】
また、基板処理システム1は、例えば、所定枚数毎、または所定時間経過毎にウェハWの重量を測定し、IPA液体の液量の調整などを行ってもよい。この場合、IPA液体の液量が規定範囲外である場合には、出力部19Cは、検出されたIPA液体の液量に基づいて洗浄処理ユニット16におけるパラメータ、例えば、IPA液体の吐出流量Qや、回転速度ωを変更し、IPA液体の液量が規定範囲内となるように洗浄処理ユニット16に信号を出力する。これにより、IPA液体の液量が規定範囲外となるウェハWが乾燥処理ユニット17に搬入されることを抑制してウェハWの歩留まりを向上させつつ、ウェハWの処理時間を短くすることができる。
【0086】
また、液量調整部44によってIPA液体の液量を調整せずに、IPA液体の液量が規定範囲外であることを警告してもよい。また、液量調整部44による調整と合わせて警告を行ってもよい。警告は、例えば、モニタなどに警告表示を行ったり、警告灯を点灯させたり、警告音を発生させたりすることで行われる。これにより、作業者にIPA液体の液量が規定範囲外となっていることを報知し、作業者が、洗浄処理ユニット16におけるパラメータ、例えば、IPA液体の吐出流量Qや、回転速度ωを変更してもよい。
【0087】
また、基板処理システム1は、液膜が形成された後のウェハWの状態、例えば、液膜が形成された後のウェハWの重量と予め設定された第1所定重量とを比較して、IPA液体の液量を測定してもよい。また、基板処理システム1は、乾燥処理後のウェハWの状態、例えば、乾燥処理後のウェハWの重量と予め設定された第2所定重量とを比較して、IPA液体の残存量を測定してもよい。
【0088】
また、IPA液体の液量やIPA液体の残存量を記憶部20に記憶させてもよい。これにより、IPA液体の液量やIPA液体の残存量の変化を蓄積し、蓄積したデータを用いて解析することができる。
【0089】
また、液膜が形成されたウェハWの液膜の厚さδを測定することで、IPA液体の液量を検出してもよい。
【0090】
また、液量調整部44は、IPA液体の液量が所定上限値よりも多い場合には、IPA液体を揮発させてIPA液体の液量が規定範囲内となるように調整してもよい。液量調整部44は、例えば、加熱装置(不図示)によってIPA液体を加熱して揮発させて調整する。なお、自然揮発によりIPA液体の液量を調整してもよい。さらに、液量調整部44は、液膜が形成されたウェハWを回転させてIPA液体の液量を調整してもよい。
【0091】
また、基板処理システム1は、IPA液体の液量が規定範囲外の場合には、IPA液体の液量が規定範囲内となるように、洗浄処理を再度行ってもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、ウェハWにIPA液体の液膜を形成し、超臨界流体を用いてウェハWを乾燥させる基板処理について説明したが、これに限られることはない。ウェハWに液膜を形成した後に、乾燥処理や液膜の固化やその他の処理を行う基板処理に適宜用いることができる。
【0093】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。