特許第6914912号(P6914912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6914912
(24)【登録日】2021年7月16日
(45)【発行日】2021年8月4日
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 65/00 20060101AFI20210727BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20210727BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20210727BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20210727BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20210727BHJP
【FI】
   C08L65/00
   C08K3/22
   C08K5/103
   C08L53/02
   C03C27/12 F
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-507423(P2018-507423)
(86)(22)【出願日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】JP2017011875
(87)【国際公開番号】WO2017164345
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-62461(P2016-62461)
(32)【優先日】2016年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390028897
【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 雄
(72)【発明者】
【氏名】赤松 紗世
(72)【発明者】
【氏名】保田 亮二
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大道
(72)【発明者】
【氏名】上村 春樹
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−348443(JP,A)
【文献】 特開2000−053846(JP,A)
【文献】 特開2001−048924(JP,A)
【文献】 特開2015−199939(JP,A)
【文献】 特開2008−247619(JP,A)
【文献】 特開2008−195795(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/044132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C03C 27/00− 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環式構造含有重合体、熱線遮蔽性を有する金属酸化物の水分散体、及び、ポリグリ セリン脂肪酸エステルを配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
脂環式構造含有重合体が飽和炭化水素系重合体であることを特徴とする請求項1に記 載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
脂環式構造含有重合体がノルボルネン系重合体及びその水素化物であることを特徴と する請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
脂環式構造含有重合体が芳香族ビニル化合物と鎖状共役ジエン化合物のブロック共重 合体水素化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
ポリグリセリン脂肪酸エステルが、平均重合度が2以上20以下のポリグリセリンと 炭素数が2以上22以下の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の少なくとも一種から構成され るポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1から4の何れか1 項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
脂環式構造含有重合体100 重量部に対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが0. 01重量部以上10重量部以下に含まれていることを特徴とする請求項1から5の何れ か1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体であ って、厚み0.2mm以上10mm以下の板状部分を有するものであって、該成形体中 の前記板状部分におけるヘイズが10%未満、且つ2000nmにおける分光透過率が 10.0%未満であることを特徴とする成形体。
【請求項8】
一般建築物用又は車両用の窓もしくは窓部品であることを特徴とする請求項7に記載 の成形体。
【請求項9】
請求項7又は8に記載する成形体を用いることを特徴とする合わせガラス。
【請求項10】
溶融混練して得られることを特徴とする請求項1から6の何れか1 項に記載の熱可 塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記金属酸化物が、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン ドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウム ドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、セリウムタングステン複合酸化物から選ばれる少 なくとも一種であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の熱可塑性樹 脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般建築用又は車両用の窓もしくは窓部品に使用される熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一対の板ガラスが中間膜を介して貼りあわされた合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物の窓ガラスとして使用されている。このような合わせガラスとしては、少なくとも一対の板ガラスの間に、可塑性ポリビニルアセタール樹脂膜、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂膜、エチレン−アクリル共重合体樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜等の合わせガラス中間膜を介在させ、一体化させたもの等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、このような合わせガラスは、安全性に優れているものの、赤外線の透過率が高く、遮熱性に劣るという問題があった。従って、合わせガラスを通して入射してくる光線のうち熱的作用の大きな赤外線(熱線)を遮断できるようにすれば、遮熱性が高まり、合わせガラス内部の温度上昇を抑えることができる。
【0004】
特許文献1には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子やアンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子等の遮熱粒子を可塑性ポリビニルアセタール樹脂に分散させてなる合わせガラス用中間膜が開示されている。このような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、遮熱性、電磁波透明性に優れたものとなる。しかし、一般に、合わせガラスの中間膜に微粒子が混入されていると、ヘイズ値を増大させることになる。微粒子の粒子径を小さくすることでヘイズ値の増大を防ぐ方法が示されているが、仮に粒子径が0.2μm以下のITO微粒子を中間膜に分散配合させようとしても、十分な分散が実現できないと、二次凝集により中間膜のヘイズ値が増大するという問題があった。
【0005】
さらに、特許文献2では、可塑剤中にITO微粒子を分散させる際、分散剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステルを特定の割合で混合することが有効であることが開示されている。しかし、このような手段によっても、ITO微粒子を十分に分散させることができない場合があり、特にITO微粒子の粒子径が大きいものや小さいものが混在している場合には、ヘイズ値が増大することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−240905号公報
【特許文献2】特開2001−233643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ヘイズが低く透明性に優れ、且つ十分な熱線遮蔽性を有し、一般建築物用又は車両用の窓もしくは窓部品に好適な熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
脂環式構造含有重合体、水に熱線遮蔽性を有する金属酸化物を分散させた 水分散体、及び、ポリグリセリン脂肪酸エステルを溶融混練することで上記課題を解 決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びこれを用いた成形体は、ヘイズが低く透明性に優れ、且つ十分な熱線遮蔽性を有するため、一般建築物の窓ガラス、自動車の窓ガラス、アーケードやカーポート等の屋根材、赤外線カットフィルター等の光学材、農業用フィルム、合わせガラスの中間膜等として使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、変更等が加えられた形態も本発明に属する。
【0011】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する脂環式構造含有重合体は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものである。脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造等が挙げられる。これらの脂環式構造の中でも、耐光性、耐熱劣化性等の観点から、シクロアルカン構造を有するものが好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4個以上20個以下、好ましくは5個以上15個以下、より好ましくは5個以上12個以下の範囲であるときに、例えば、耐熱性及び耐熱劣化性の特性がバランスされ好適である。
【0012】
本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、成形品の耐熱性が劣り好ましくない。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、種々のものが使用できる。
【0013】
かかる脂環式構造を有する重合体の具体例としては、(1)特開平3−109418号公報、特開平4−170425号公報等に開示されているノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体水素化物、(2)特開昭61−292601号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報等に開示されているノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型共重合体、(3)特開昭64−001706号公報、特開平1−294753号公報、WO98/55886号パンフレット等に開示されている芳香族ビニル化合物の重合体水素化物、(4)特開平1−294721号公報、WO2000/32646号パンフレット、特開2002−540229号公報、特開2002−370304号公報、WO2003/018656号パンフレット等に開示されている芳香族ビニル化合物と鎖状共役ジエン化合物のブロック共重合体水素化物、等を挙げることができる。これらの中でも、耐熱性と成形性の観点からノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合重合体水素化物、芳香族ビニル化合物と鎖状共役ジエン化合物の共重合体水素化物等が好ましく、耐光性の観点から芳香族ビニル化合物と鎖状共役ジエン化合物の共重合体水素化物がより好ましい。
【0014】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、熱可塑性樹脂に対する金属酸化物の分散性の改善に寄与する。ポリグリセリン脂肪酸エステルの効果の詳細については定かではないが、熱可塑性樹脂、金属酸化物の水分散体を溶融混練する際の熱可塑性樹脂組成物の流動性の向上、若しくは熱可塑性樹脂と金属酸化物の親和性の向上、及びぬれ性の向上などが要因と推測される。
【0015】
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンとしては、好ましくは水酸基価から算出される平均重合度が2以上20以下のポリグリセリンであり、さらに好ましくは平均重合度が4以上10以下のものを使用する。ポリグリセリンの具体例としては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリンなどが挙げられ、市販品としては、ジグリセリンS、ポリグリセリン#310、ポリグリセリン#500、ポリグリセリン#750(何れも阪本薬品工業株式会社製)を用いることができる。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)、及び(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編集、「日本油化学会測定、基準油脂分析試験法(I)、2013年度版に準じて算出される。
【0016】
また、前記の水酸基価から算出される平均重合度が2以上20以下のポリグリセリンにおいては、平均重合度が2であるジグリセリンを除いて、一般には、分子量分布を有する組成物が使用されるが、これらの異なる分子量分布を有するポリグリセリンを2種以上混合してもよく、ポリグリセリン混合物の水酸基価から算出される平均重合度が2以上20以下であれば、平均重合度が2未満、及び20を超えるポリグリセリンも使用できる。
【0017】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、好ましくは炭素数2以上22以下の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の少なくとも一種であり、直鎖、又は分岐を問わない。さらに好ましくは炭素数8以上18以下である。脂肪酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5’−トリメチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられるが、好ましい脂肪酸としては、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。なお、使用する脂肪酸はこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いても、又、2種以上併用しても良い。
【0018】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルのSP値(溶解性パラメーター)は、8.0(cal/cm1/2から15.0(cal/cm1/2であることが好ましく、9.5(cal/cm1/2から14.0(cal/cm1/2であることがより好ましい。ここでいう溶解性パラメーターとは、「Polymer Engineering and Science、Vol.14,No.2,147頁から154頁(1974)」に記載の方法(Fedors法)により計算することが出来る。なお、SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
ただし、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を表し、1(cal)は4.18605(J)に相当する。また、ΔH及びVは、上記文献の151頁から153貢に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。ポリグリセリン脂肪酸エステルのSP値が8.0以上15.0以下の場合、熱可塑性樹脂との相溶性が高く、経時的なブリードの発生を抑制することや金属酸化物の分散性が向上することでヘイズ値の低下に繋がる。
【0019】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ジグリセリンカプリレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリン−2−エチルヘキサノエート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンイソステアレート、ジグリセリンベヘネート、ジグリセリンエルケート、テトラグリセリンカプリレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリン−2−エチルヘキサノエート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリンイソステアレート、テトラグリセリンベヘヘネート、テトラグリセリンエルケート、ヘキサグリセリンカプリレート、ヘキサグリセリンラウレート、ヘキサグリセリン−2−エチルヘキサノエート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレート、ヘキサグリセリンイソステアレート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレート、ヘキサグリセリンベヘヘネート、ヘキサグリセリンエルケート、デカグリセリンカプリレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリン−2−エチルヘキサノエート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンイソステアレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレート、デカグリセリンベヘネート、デカグリセリンエルケートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0020】
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは以下に例示する公知のエステル化反応により合成することができる。例えば、ポリグリセリンと脂肪酸に水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を加えた後、エステル化反応を常圧もしくは減圧下において行い、仕込んだ脂肪酸のほとんど全てがエステル化するまで反応させ、遊離の脂肪酸がほとんどなくなるまで十分に反応させる。但し、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体とポリグリセリン脂肪酸エステルの配合割合は、脂環式構造含有重合体100重量部に対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが0.01重量部以上10重量部以下であることが好ましく、0.02重量部以上5重量部以下であることがより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合割合が0.01重量部に満たない場合では、熱可塑性樹脂組成物に対する金属酸化物の分散安定性が低下する場合がある。また、10重量部を超える場合では、樹脂の劣化や添加剤のブリードアウトによるガラスとの接着低下等の問題が生じる場合がある。
【0022】
本発明で使用される金属酸化物としては、熱線遮蔽性を有する金属酸化物であれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、セリウムタングステン複合酸化物などが挙げられ、好ましくは錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化亜鉛である。また、これらを単独で用いても2種類以上を併用しても良い。本発明で使用される金属酸化物はレーザー回折・散乱法などによる一次粒子径が80nm以下であり、好ましくは50nm以下であることが好ましい。
【0023】
本発明で使用される脂環式構造含有重合体と金属酸化物の配合割合は、脂環式構造含有重合体100重量部に対し、金属酸化物の固形分配合量が0.05重量部以上10重量部以下であり、好ましくは0.1重量部以上5重量部以下である。金属酸化物の固形分配合量が0.05重量部に満たない場合では十分な熱線遮蔽性が得られない場合があり、10重量部を超える場合では熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体の透明性が損なわれる場合がある。
【0024】
金属酸化物は水に分散させて水分散体として用いる。金属酸化物を粉末の状態で用いた場合では、熱可塑性樹脂に対する分散性が不十分となりヘイズ値の増大を招くことがあるため、水分散体として用いる必要がある。また、水分散体中の金属酸化物の濃度は1重量%以上50重量%以下が好ましい。
【0025】
金属酸化物の水分散体は、液状または固形状であっても良く、固形状である場合、強い攪拌もしくは振とうによって液性が回復するものであれば良い。なお、体積平均粒子径が100nm以下であって、累積90%粒径(D90)が230nm以下になるものが良い。
【0026】
金属酸化物の濃度が1重量%以上50重量%以下の水分散体において、金属酸化物の体積平均粒子径が100nm以下であり、累積90%粒径(D90)が230nm以下である。体積平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定装置により測定、算出することができる。金属酸化物の平均粒子径が100nmを超えるか、またはD90が230nmを超えると、樹脂と混合して熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体を製造したときに、これらの透明性が劣ることがある。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、脂環式構造含有重合体、金属酸化物の水分散体、及び、ポリグリセリン脂肪酸エステルとを溶融混練して作製する。混練機は特に限定されるものでなく、二軸押出し機、ニーダー、三本ロールミル、バンバリーミキサー、オープンロールなど公知の混練機が挙げられる。また、混練時は樹脂温度120℃以上で溶融混練し、その後100℃以下に急速冷却、必要に応じてカットしてペレット形状としてから、これを溶融押出して成形体を作製しても良いし、樹脂温度120℃以上で溶融し、100℃以下に急冷して、直接にフィルムなどの成形体を作製しても良い。樹脂温度が120℃未満の場合では、金属酸化物の分散性が不十分となり、ヘイズ値が増大する場合がある。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、金属酸化物の水分散体を配合し、120℃以上の温度で溶融混練して作製するが、溶融混練中に熱可塑性樹脂組成物中の水分が0%になるとは限らず、熱可塑性樹脂組成物中に金属酸化物の水分散体由来の水分が残存していても構わない。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から成形体を成形する方法としては、特に限定されるものでなく、例えば、射出成形、射出ブロー成形、射出圧縮成形、インジェクションプレス、熱プレス、ブロー成形、フィルムやシート等の押出成形、異型押出成形、熟成形、回転成形等の何れも適用できる。成形体の形状は、必要に応じて任意の形状に成形可能であるが、平面状又は曲面状の板状部分を有することが好ましい。板状の厚みは特に制限は無いが、0.2mm以上10mm以下の板状部分が存在するものである。板状部分の厚みは好ましくは1mm以上10mm以下である。
【0030】
また、本発明の成形体としては、厚み0.2mm以上10mm以下の板状部分を有するものであって、該成形体中の前記板状部分におけるヘイズが10%未満、且つ2000nmにおける分光透過率が10.0%未満であり、好ましくはヘイズが5%未満、且つ2000nmにおける分光透過率が10.0%未満であり、さらに好ましくはヘイズが5%未満、且つ2000nmにおける分光透過率が5.0%未満である。
【0031】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えばフェノール系のものとして、2,6−Di−tert−butyl−P−cresol(BHT)〔住友化学社製「スミライダーBHT」〕、テトラキス−〔メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン〔BASF社製:イルガノックス1010〕等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。上記酸化防止剤の添加量は特に限定されないが、好ましくは、脂環式構造含有重合体100重量部に対して0.01重量部以上5.0重量部以下である。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有することが好ましい。上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、及び、ベンゾエート系化合物が挙げられる。
【0033】
上記ベンゾトリアゾール系化合物は特に限定されず、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール〔BASF社製:TinuvinP〕、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール〔BASF社製:Tinuvin320〕、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール〔BASF社製:Tinuvin326〕、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’− ジ−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール〔BASF社製:Tinuvin328〕等が挙げられる。
【0034】
上記ベンゾトリアゾール系化合物は特に限定されず、例えば、オクタベンゾン〔BASF社製:Chimassorb81〕等が挙げられる。また、上記トリアジン系化合物としては特に限定されず、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール〔BASF社製:Tinuvin1577FF〕等が挙げられる。さらに、上記ベンゾエート系化合物としては特に限定されず、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート〔BASF社製:Tinuvin120〕等が挙げられる。
【0035】
上記紫外線吸収剤の添加量は特に限定されないが、好ましくは脂環式構造含有重合体100重量部に対して0.01重量部以上5.0重量部以下である。0.01重量部未満であると、紫外線吸収の効果がほとんど得られない。5.0重量部を超えると、樹脂の耐候劣化を引き起こすことがある。
【0036】
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体は、更に必要に応じて、光安定剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、着色剤、熱線反射剤、熱線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
【0037】
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体は、一般建築用の窓ガラス、自動車の窓ガラス、アーケードやカーポート等の屋根材、赤外線カットフィルター等の光学材、農業用フィルム、合わせガラスの中間膜等として使用できるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、測定方法はそれぞれ以下の方法により行った。
(ヘイズの測定)
濁度計(村上色彩社製:HM−150)を使用して、得られた成形体のヘイズを測定した。ヘイズが5.0%未満のものを優れるとして◎と表記し、5.0%以上10.0%未満のものを良いとして○と表記し、10.0%以上のものを悪いとして×と表記することとした。
(分光透過率の測定)
分光光度計(日立ハイテク社製:U4100)を使用して、得られた成形体の300nm以上2700nm以下の分光透過率を測定した。熱線遮蔽性は、2000nmにおける分光透過率を用いて評価し、5.0%未満のものを優れるとして◎と表記し、5.0%以上10.0%未満のものを良いとして○と表記し、10.0%以上のものを悪いとして×と表記することとした。
【0039】
(実施例1)
脂環式構造含有重合体[M1](ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合体水素化物:製品名「ZEONOR(登録商標)」1060R、ガラス転位温度=100℃、日本ゼオン社製)100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製「MCA−750」)を0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。次に、射出成形機を用いて厚み2.00mmの成形体を得た。
【0040】
(実施例2から5)
実施例1にて使用したデカグリセリンモノカプリレート及びITO水分散体の添加量を変えた以外は、実施例1と同様の方法にて各熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
【0041】
(比較例1)
実施例1で使用したのと同じ脂環式構造含有重合体[M1]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部を加え、これを二軸押出し機で十分に混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。次に、射出成形機を用いて厚み2.00mmの成形体を得た。
【0042】
実施例1から5、及び比較例1で得られた成形体のヘイズ及び分光透過率を測定し、結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
(実施例6)
脂環式構造含有重合体[M2](スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量Mwが60,000であり、スチレンとイソプレンの比は重量比で50対50であり、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合の水素化率は100%である。)100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製「MCA−750」)を0.03重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。次に、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0045】
(実施例7)
実施例6にて使用したデカグリセリンモノカプリレートの添加量を変えた以外は、実施例6と同様の方法にて各熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
【0046】
(実施例8)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノラウレート(阪本薬品工業社製「ML−750」)を0.03重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0047】
(実施例9)
実施例8にて使用したデカグリセリンモノラウレートの添加量を変えた以外は、実施例8と同様の方法にて各熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
【0048】
(実施例10)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノステアレート(阪本薬品工業社製「S−1001P」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0049】
(実施例11)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とジグリセリンモノオレート(阪本薬品工業社製「MO−150」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0050】
(実施例12)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とテトラグリセリンモノオレート(阪本薬品工業社製「MO−3S」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0051】
(実施例13)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とヘキサグリセリンモノオレート(阪本薬品工業社製「MO−5S」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0052】
(実施例14)
実施例13にて使用したヘキサグリセリンモノオレートの添加量を変えた以外は、実施例13と同様の方法にて各熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
【0053】
(実施例15)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とヘキサグリセリンペンタオレート(阪本薬品工業社製「PO−5S」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0054】
(実施例16)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノオレート(阪本薬品工業社製「MO−7S」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0055】
(実施例17)
実施例16にて使用したデカグリセリンモノオレートの添加量を変えた以外は、実施例16と同様の方法にて各熱可塑性樹脂組成物及び成形体を得た。
【0056】
(実施例18)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンデカオレート(阪本薬品工業社製「DAO−7S」)を0.10重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0057】
(実施例19)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、アンチモン複酸化物コロイド水分散体(アンチモン複酸化物コロイド濃度30重量%、日産化学工業社製「セルナックス CX−Z330H」)0.5重量部とデカグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製「MCA−750」)を0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0058】
(比較例2)
比較例1と同様の方法にて熱可塑性樹脂組成物を得た後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0059】
(比較例3)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とリン酸化合物(ビックケミー・ジャパン社製「Disperbyk−102」)を0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0060】
(比較例4)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とポリカルボン酸ナトリウム(東亞合成社製「アロンA6330」)を0.15重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0061】
(比較例5)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステルを0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0062】
(比較例6)
脂環式構造含有重合体[M2]100重量部に対し、アンチモン複酸化物コロイド水分散体(アンチモン複酸化物コロイド濃度30重量%、日産化学工業社製「セルナックス CX−Z330H」)を1.5重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00mmの成形体を得た。
【0063】
実施例6から19、及び比較例2から6で得られた成形体のヘイズ及び分光透過率を測定し、結果を表2、及び表3に示した。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
(実施例20)
脂環式構造含有重合体[M1]100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製「MCA−750」)を0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。次に、射出成形機を用いて厚み1.00、2.00mmの成形体を得た。
【0067】
(比較例7)
ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、ITO水分散体(ITO濃度20重量%、三菱マテリアル社製)1.5重量部とデカグリセリンモノカプリレート(阪本薬品工業社製「MCA−750」)を0.06重量部加え、これを二軸押出し機で十分に混練した後、射出成形機を用いて厚み1.00、2.00mmの成形体を得た。
【0068】
実施例20、及び比較例7で得られた成形体のヘイズ及び分光透過率を測定し、結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】
実施例1から20は、比較例1、2、及び比較例6に比べて透明性が高く、熱線遮蔽性を有することが明らかとなった。比較例3から5、及び比較例7では、熱可塑性樹脂組成物中の金属酸化物の分散性が不十分となり、透明性が低下した。このことから、脂環式構造含有重合体と金属酸化物の水分散体、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを溶融混練することにより、ヘイズ値が低く透明性に優れ、且つ十分な熱線遮蔽能を有する熱可塑性樹脂組成物が得られることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の熱線遮蔽性を有する熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形体は、ヘイズ値が低く透明性に優れるため、一般建築物用又は車両用の窓もしくは窓部品に好適に使用でき、特に遮熱中間膜及び遮熱合わせガラスとして使用できる。