(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の層の前記光遮蔽部は、前記第2の方向に沿って、間隔を有して複数の遮蔽部材を配置して構成され、前記第2の層の前記光遮蔽部は、前記第1の方向に沿って、間隔を有して複数の遮蔽部材を配置して構成されている請求項1に記載の画像露光装置。
前記ルーバフィルムの前記画素から出射される650nmの光の透過率が、前記画素から出射される450nmの光の透過率に対して50%以上200%以下の範囲である請求項1から4のいずれか1項に記載の画像露光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置では、光学系が大きくなるため、装置全体が大型化しており、装置を小型化することが望まれていた。
【0006】
また、光ファイバアレイは、細い光ファイバを束ねた構造を有するため、ディスプレイの画素ピッチと光ファイバのピッチとの間でモアレが発生するという問題があった。また、開口数(NA:numerical aperture)を小さくすることが困難であった。ファイバアレイプレートでは、NAが最小でも0.43であり、これは、±約25度の角度の光を透過することになり、画像にじみも発生していた。
【0007】
また、解像度を高めるために、光ファイバピッチを狭くし、光ファイバアレイを記録媒体に密着させて露光しているが、多くの画像の印画を続けると、光ファイバアレイの一部が脱落し、画像欠陥が生じる原因となっていた。
【0008】
さらに、ファイバアレイプレートは、屈折率の波長分散のため、波長によって透過率に著しく差が生じる。例えば、青と赤とでは、透過率に3倍以上の差が生じている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされ、画像表示装置から感光性記録媒体に向かって平行な光のみを用いることにより、良好な画像を記録することができ、かつ、装置を小型化できる画像露光装置を提供することを目的とする。また、光源から出射される光が透過する角度を狭くし、画像にじみの発生を防止し、また、コリメート手段の破損を防止し、露光される画像の欠陥を防止できる画像露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、画素を有する画像表示装置と、画像表示装置の画像を記録する感光性記録媒体を、感光性記録媒体の露光面を画像表示装置に対向させて支持する感光性記録媒体支持部と、画像表示装置と感光性記録媒体支持部との間に設けられ、画像表示装置の画素の配列面と平行となる面上における第1の方向に、光を透過する光透過部と光を遮蔽する光遮蔽部とが交互に配置されており、かつ、第1の方向に垂直で、画像表示装置の画素の配列面と平行となる面上における第2の方向に、光を透過する光透過部と光を遮蔽する光遮蔽部とが交互に配置されたルーバフィルムと、ルーバフィルムの感光性記録媒体支持部側に設けられた保護層と、を備える画像露光装置を提供する。
【0011】
本発明によれば、第1の方向及び第1の方向に垂直な第2の方向に、光透過部と光遮蔽部を交互に配置したルーバフィルムを用いることで、画素から照射された光の中で感光性記録媒体に向かう方向と平行でない、斜めに照射された光を光遮蔽部で遮ることができる。したがって、画像表示装置から照射された光の中で、感光性記録媒体に向かう方向に平行な光のみを感光性記録媒体に照射することができる。感光性記録媒体に向かう平行な光のみで、画像を感光性記録媒体に記録することができるので、画像にじみのない良好な画像を形成することができる。また、ルーバフィルムで平行な光のみとすることで、大きな光学系を省略することができ、装置を小型化することができる。
【0012】
また、ルーバフィルムの感光性記録媒体支持部側に保護層を有することで、露光する際に、保護層と感光性記録媒体とを密着させることで、ルーバフィルムが破損することを防止することができる。
【0013】
また、第1の方向に垂直な第2の方向とは、第1の方向に対して90°であることを意味するのではなく、本発明の効果を奏する範囲であれば90°からずれていてもよい。
【0014】
本発明の別の態様においては、ルーバフィルムは、第1の方向にのみ光透過部と光遮蔽部とが交互に配置された第1の層と、第2の方向にのみ光透過部と光遮蔽部とが交互に配置された第2の層と、を積層して形成されていることが好ましい。
【0015】
この態様は、第1の方向及び第2の方向に光透過部と光遮蔽部を交互に配置する構成を示したものであり、第1の層と第2の層の積層構造とし、第1の方向にのみ光透過部と光遮蔽部を交互に配置した第1の層と、第2の方向にのみ光透過部と光遮蔽部を交互に配列した第2の層とする。これにより、ルーバフィルム全体として、第1の方向と第2の方向に光透過部と光遮蔽部を交互に配置されたルーバフィルムとすることができる。
【0016】
本発明の別の態様においては、第1の層の光遮蔽部は、第2の方向に沿って、間隔を有して複数の遮蔽部材を配置して構成され、第2の層の光遮蔽部は、第1の方向に沿って、間隔を有して複数の遮蔽部材を配置して構成されていることが好ましい。
【0017】
この態様は、光遮蔽部の態様を示したものであり、第1の層の光学遮蔽部を構成する複数の遮蔽部材を第2の方向に沿って間隔を有して配置し、第2の層の光学遮蔽部を構成する複数の遮蔽部材を第1の方向に沿って間隔を有して配置しても、画素から照射された斜めの光を光遮蔽部で遮ることができ、感光性記録媒体に向かう平行な光のみとすることができる。
【0018】
本発明の別の態様においては、保護層の厚さが、0.1μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明の別の態様においては、保護層の感光性記録媒体支持部側が、非粘着性であることが好ましい。
【0020】
なお、非粘着性とは、保護層の感光性記録媒体支持部側の表面に感光性記録媒体を載せ、保護層を90度傾けた場合に、感光性記録媒体が落下することをいう。
【0021】
本発明の別の態様においては、ルーバフィルムの光遮蔽部のピッチが、画素のピッチの40%以上95%以下、又は、105%以上195%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の別の態様においては、ルーバフィルムの画素から出射される650nmの光の透過率が、画素から出射される450nmの光の透過率に対して50%以上200%以下の範囲であることが好ましい。
【0023】
この態様によれば、画素から出射される650nmの光と450nmの光の透過率の差を小さくすることができる。
【0024】
本発明の別の態様においては、画像表示装置が二次元状に配列された画素を有し、感光性記録媒体の露光面の二次元状の全ての領域を同時に露光することが好ましい。
【0025】
本発明の別の態様においては、画像表示装置が一次元状に配列された画素を有し、画像表示装置及び感光性記録媒体支持部に支持された感光性記録媒体の少なくともいずれか一方を、画像表示装置の画素の配列方向に対して垂直方向となる方向に沿って走査する走査手段と、を備えることが好ましい。
【0026】
本発明の別の態様においては、画像表示装置が、感光性記録媒体の露光面より小さい面積となる領域の上に二次元状に配列された画素を有し、画像表示装置及び感光性記録媒体支持部に支持された感光性記録媒体の少なくともいずれか一方を画像表示装置の画素の配列方向と画素の配列方向に対して垂直となる方向に沿って走査する走査手段を備えることが好ましい。
【0027】
これらの態様は、画像表示装置の画像を感光性記録媒体に露光する装置の態様を示すものである。露光装置としては、全面に一括露光しても良いし、感光性記録媒体の露光面より面積の小さい画像表示装置を用いて、画像表示装置を走査することで、感光性記録媒体全域に画像を記録することができる。
【0028】
本発明の別の態様においては、画素から出射される光による感光性記録媒体の露光面が支持される位置の上での露光範囲において、隣り合う露光範囲が一部重複することが好ましい。
【0029】
本発明の別の態様においては、画像表示装置とルーバフィルムとの間に、画素から出射される光を平行光にするコリメート部を備えることが好ましい。
【0030】
本発明の別の態様においては、コリメート部は、ファイバーオプティックプレート、及び、キャピラリプレートの少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の画像露光装置によれば、第1の方向及び第2の方向に光透過部と交互に配置された光遮蔽部により、画素から照射された斜めの光を遮ることができる。したがって、感光性記録媒体に向かう平行な光のみで画像を印画することができるので、良好な画像を形成することができる。また、ルーバフィルムと感光性記録媒体との間に保護層を有するので、感光性記録媒体への露光を繰り返しても、ルーバフィルムが破損することを防止することができるので、ルーバフィルムの破損による画像欠陥を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に従って、本発明に係る画像露光装置について説明する。
【0034】
(画像露光装置)
図1及び
図2を用いて、本発明が適用される画像露光装置について説明する。
図1は、画像露光装置の分解斜視図であり、
図2は、画像露光装置の断面図である。
【0035】
同図における画像露光装置10は、画素13を有する画像表示装置12と、画像表示装置12の画像を記録する感光性記録媒体14を支持する感光性記録媒体支持部21と、画像表示装置12と感光性記録媒体支持部21との間に設けられたルーバフィルム16と、ルーバフィルム16の感光性記録媒体支持部21側に設けられた保護層17を有する。
【0036】
[画像表示装置]
画像表示装置12としては、スマートフォン及びタブレット等の形態端末、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)、ブラウン管表示装置(CRT:cathode ray tube)、発光ダイオード表示装置(LED:light emitting diode)、プラズマ表示装置等を用いることができる。画像表示装置12は、画像を表示するための複数の画素13を備える(
図2において、一例として、1つの画素を示す)。画素13とは、画像表示面を構成する色情報の最小単位である。画素13を有することにより、画像表示装置12は、画像を表示できる。
【0037】
画像表示装置12から光を照射する面側には、ガラス窓26が設けられている。ガラス窓26は、画像表示装置12内に設けられた画素13を保護するために設けられる。ガラス窓26は、画素13から感光性記録媒体14までの距離を短くするため、ガラス窓26の厚みが薄いことが好ましい。
【0038】
画素13は、画像表示装置12から何らかの光を照射できる機能を有していればよく、ランプは必須ではない。画像表示装置12は、例えば、液晶表示装置に代表されるようにバックライト等のランプが光を照射する場合、及び発光ダイオード表示装置に代表されるように、それ自体が光を照射する場合を含む。
【0039】
図1及び
図2で示す画像表示装置12の画素表示面は二次元状に配列された画素13を有している。二次元とは、X−Y方向に延びる状態を意味する。なお、画像表示装置は、
図8及び
図9で示す一次元状に配列された画素13とすることもできる。
【0040】
[感光性記録媒体支持部]
感光性記録媒体支持部21は、感光性記録媒体14が、画像表示装置12の光を照射する面に対向する位置に配置されるように、感光性記録媒体14を支持する。なお、感光性記録媒体支持部21は、感光性記録媒体14を直接的に支持しても、間接的に支持してもよく、感光性記録媒体14を支持することができればその構造は特に限定されない。
【0041】
[感光性記録媒体]
感光性記録媒体14は露光面14Aを有する。感光性記録媒体14としては、画像表示装置12から照射された光により露光でき、画像を形成することができれば、特に限定されない。例えば、インスタントカメラ(例えば、富士フイルム(株)社製、チェキ)に装着するフィルムパック18を用いることができる。
【0042】
フィルムパック18は、ケース20に感光性記録媒体14を組み込んで形成される。ケース20内に設けられた複数の感光性記録媒体14の間には、不図示の遮光シートが設けられており、この遮光シートにより、フィルムパック18の最上面にある感光性記録媒体14のみが露光される。感光性記録媒体14に用いられる材料としては、例えば、ネガフィルム、リバーサルフィルム、印画紙、モノシート又はビールアパート式のインスタント写真フィルム等の写真感光材料を挙げることができる。
【0043】
図2に示すように、感光性記録媒体14は、遮光性を有する箱形状のケース20内に、複数枚、納められている。ケース20には、感光性記録媒体14の露光面14Aを露光するために画像表示装置12から照射される光を通過させる露光開口22が設けられている。また、露光開口22の反対側には、押圧部材(不図示)が設けられており、押圧部材により、感光性記録媒体14は、露光開口22側に押される。これにより、感光性記録媒体14が露光開口22の周辺に押し付けられ、画像表示装置12との距離が近くなり、良好な画像を感光性記録媒体14に記録することができる。
【0044】
ケース20としては、写真感光材料、磁気記録材料及び光記録材料等の各種記録材料に用いられる記録材料用樹脂部材を用いることができ、記録材料用樹脂部材としては、上記記録材料を収納、包装、被覆、保護、搬送、保管、形態支持等のために用いられる容器、蓋及びそれに付随する付属部品、あるいは、上記記録材料を装填して機能を発揮する各種部材をいう。
【0045】
露光後の感光性記録媒体14は、展開ローラ(不図示)の間を通過することにより、感光性記録媒体14に設けられたポッド部が破裂する。ポッド部内には、現像処理液が内包されており、ポッド部が破裂することにより、感光性記録媒体14内部に現像処理液が展延される。1〜数分間経過した後に現像処理が完了して感光性記録媒体14上に画像が形成される。
【0046】
[ルーバフィルム]
図3は、画像露光装置10の概略断面図であり、画素13から出射される光の進行方向を説明する図である。
図4は、ルーバフィルム16の構成を示す図である。符号16Aはルーバフィルム16の平面16Aであり、符号16Bはルーバフィルム16の側面16Bである。ルーバフィルム16は、画像表示装置12の画素13の配列面と平行となる面上における第1の方向(
図4の平面16AにおいてX方向)に、光を透過する光透過部102と光を遮断する光遮蔽部104とが交互に配置されている、また、第1の方向に垂直で、画像表示装置の画素の配列面と平行となる面上における第2の方向(
図4の平面16AにおいてY方向)に、光を透過する光透過部102と光を遮蔽する光遮蔽部104とが交互に配置されている。このように、本実施形態においては、光透過部102が二次元的に配置され、光遮蔽部104が格子状に形成されている。このような構成とすることで、
図3に示すように、画像表示装置12の画素13から照射された光のうち、感光性記録媒体14に向かう平行な光のみを感光性記録媒体14の露光面14Aまで到達させることができる。
【0047】
画像表示装置12の画素13から照射された光は、画像表示面から180°のあらゆる方向に向かって光が照射される。照射された光は、画像表示装置12に設けられたガラス窓26を通過し、ルーバフィルム16に入射する。ルーバフィルム16に入射した光のうち、画像表示装置12と感光性記録媒体14を結ぶ直線に対して、平行な光のみルーバフィルム16の光透過部102を通過させることができる。また、画像表示装置12と感光性記録媒体14を結ぶ直線に対して斜めに照射された光は、ルーバフィルム16内の光遮蔽部104により、光が遮られてしまう。これにより、画像表示装置12の画素13から照射された光のうち、画像表示装置12と感光性記録媒体14を結ぶ直線に対して、平行な光のみ感光性記録媒体14の露光面14Aに到達させることができる。画像表示装置12から出射される平行光のみにより感光性記録媒体14に画像を記録することで、良好な画像を記録することができる。
【0048】
光透過部102は、光を通過させることができればよく、ガラス材料、透明なシリコーンゴムなどを用いることができる。また、光透過部102を空洞とし、光遮蔽部104のみによりルーバフィルム16を構成することもできる。光遮蔽部104は、光を吸収する光吸収部材としても良く、光を反射する光反射部材とすることもできる。光遮蔽部104を構成する光遮蔽部材106は、着色された樹脂材料を用いることができ、例えば、黒色シリコーンゴムなどを用いることができる。また、光を吸収する材料として、ニュートラルデンシティーフィルタ(ND(Neutral Density)フィルタ)を用いることができる。NDフィルタは、中立な光学濃度のフィルタを意味し、露光に用いられる波長域において、波長に影響を与えることなく、均等に光を吸収(吸収率50%以上99.999%以下;光透過率0.001%以上50%以下)できるフィルタである。
【0049】
図5及び
図6は、他の構成を示すルーバフィルムの構成を示す図である。
図4に示すルーバフィルム16は側面16Bに示すように、1つの層で形成され、この1つの層に、第1の方向及び第2の方向に光透過部102と光遮蔽部104とを交互に配置することにより、二次元的に配列されたルーバフィルム16が構成されている。
【0050】
図5に示すルーバフィルム116は、第1の層118及び第2の層119の2層で構成されている。符号116Bはルーバフィルム116の側面であり、符号118Aは第1の層118の平面、符号119Aは第2の層119の平面である。第1の層118の平面118Aに示すように、第1の層118は、第1の方向(
図5の平面118AにおいてX方向)にのみ光透過部102と光遮蔽部104とを交互に配置する。そして、第2の層119を、第1の方向に垂直な第2の方向(
図5の平面119AにおいてY方向)にのみ光透過部102と光遮蔽部104とを交互に配置する。そして、第1の層118と第2の層119を積層することにより、二次元のルーバフィルム116を形成することができる。
【0051】
図6に示すルーバフィルム216は、
図5に示すルーバフィルム116の変形例である。符号216Bは、ルーバフィルム216の側面であり、符号218Aは第1の層218の平面、符号219Aは第2の層219の平面である。第1の層218の第2の方向(
図6の平面218AにおいてY方向)に沿って設けられた光遮蔽部104は、複数の光遮蔽部材106を第2の方向に所定の間隔を有して配置することにより構成されている。同様に、第2の層219は、第1の方向((
図6の平面219AにおいてX方向))に沿って設けられた光遮蔽部104は、複数の光遮蔽部材106を第1の方向に所定の間隔を有して配置することにより構成されている。このように、光遮蔽部材106を、所定の間隔を有して配置した場合においても、第1の層218と第2の層219を積層することにより、二次元状のルーバフィルム216を形成することができる。これにより、光遮蔽部材106の間隔を設けて光遮蔽部104を形成することで、製造を容易にすることができる。
【0052】
図5及び
図6に示すルーバフィルム116および216のように、複数の層を用意し、1つの方向に光透過部と光遮蔽部を交互に配置した層を積層することにより、二次元状のルーバフィルムを形成することもできる。複数の層で二次元状のルーバフィルムを形成しても、1つの層で形成したルーバフィルムと同様の効果を得ることができる。
【0053】
ルーバフィルムの光遮蔽部104のピッチP、すなわち、光透過部102の幅は、画像表示装置12の画素13のピッチの40%以上95%以下又は105%以上195%以下とすることが好ましい。より好ましくは50%以上90%以下又は110%以上190%以下であり、さらに好ましくは60%以上80%以下又は120%以上180%以下である。光遮蔽部104のピッチPを画素13のピッチに対して、上記範囲とすることで、画素13から照射された光のうち、斜めに照射された光を遮ることができ、感光性記録媒体14に向かう平行な光のみとすることができるので、良好な画像を形成することができる。特に、光遮蔽部104のピッチPと画素13のピッチを整数倍以外の倍率とすることで、形成される画像のモアレの発生を抑制することができる。具体的には、光遮蔽部104のピッチPは10μm以上200μm以下とすることが好ましく、より好ましくは30μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは50μm以上100μm以下である。なお、画素13のピッチとは、画像表示装置12の上に配列された隣接し合う複数の画素13の間の距離のことを意味する。また、画素13のピッチは、200μm以下のピッチとすることで、印画される画像を自然画としての印象を強くすることができる。画素13のピッチは、好ましくは150μm以下、より好ましくは125μm以下、さらに好ましくは85μm以下である。
【0054】
また、画素13の配列の基準となる画素のXY軸と、ルーバフィルムの光透過部102及び光遮蔽部104の配列の基準となるルーバのXY軸との角度に差を付けて、光遮蔽部104を配置しても良い。画素13のXY軸とルーバのXY軸の角度に差を付けて配置することにより、モアレが抑制される。この角度の差は好ましくは1〜45度となる。また、この角度の差は、より好ましく5〜40度となり、さらに好ましくは10〜30度となる。この時のルーバのピッチは、画素のXY軸に沿った場合のピッチで計算され、計算されたピッチが上述した光遮蔽部104のピッチPの好ましい範囲内となるように光遮蔽部104が配置される。具体的には、画素のXY軸とルーバのXY軸の角度の差が30度の場合では、光遮蔽部104のピッチPがルーバのXY軸に沿って100μmであると、画素13のピッチは、画素のXY軸に対して100/cos(30度)=115μmとなるとして計算される。
【0055】
ルーバフィルムの厚みtは、0.1mm以上4mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以上3mm以下であり、さらに好ましくは1mm以上2mm以下である。ルーバフィルムの厚みtを厚くすることで、平行光に対して小さい角度の斜めの光を遮ることができる。また、ルーバフィルムの厚みtが厚くなると、形成された画像がぼけやすくなるので、ルーバフィルムの厚みtを上記範囲とすることが好ましい、ルーバフィルムの厚みtは、
図4に示すように、1つの層で形成されている場合は1つの層の厚みであり、
図5及び
図6に示すように、第1の層及び第2の層の2つの層等の複数層で形成されている場合は、複数層の合計の厚みがルーバフィルムの厚みtとなる。
【0056】
また、ルーバフィルムの厚みtと光遮蔽部104のピッチPとにより決定されるアスペクト比(厚みt[μm]/ピッチP[μm])を制御することで、画素13から照射された斜めの光の角度を制御することができる。アスペクト比を所望の範囲とすることで、良好な画像を形成することができる。アスペクト比は5以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは20以上である、例えば、
図5及び
図6に示す2層でルーバフィルムを構成する場合、それぞれの層の厚みを1.5mmとし、ルーバフィルムの厚みを3mmとし、ピッチを60μmとすることができる。
【0057】
このような、二次元状のルーバフィルムを用いることで、ファイバーオプティックプレート(以下、「FOP」ともいう)では制限できない角度の光まで制限することができる。したがって、ルーバフィルムを用いることで、より平行な光のみを用いて画像の露光を行うことができる。
【0058】
また、二次元状に配列されたルーバフィルムを用いることで、屈折率の波長分散を抑えることができるので、波長による透過率の差を抑えることができる。例えば、本実施形態のルーバフィルムによれば、画素13から出射される650nmの光の透過率を、画素13から出射される450nmの光の透過率に対して、50%以上200%以下の範囲とすることができる。すなわち、650nmの光の透過率と450nmの光の透過率を2倍以下に抑えることができる。650nmの光の透過率と450nmの光の透過率の比を規定することで、450nm以上650nm以下の光の透過率を上記範囲内とすることができる。なお、FOPにおいては、650nmの光の透過率と450nmの光の透過率は、3倍以上異なるが、二次元状のルーバフィルムとすることで、波長、すなわち、色の違いによる透過率の差を抑えることができ、良好な画像を形成することができる。
【0059】
[保護層]
図1、2及び3に戻り、ルーバフィルム16の感光性記録媒体支持部21側には、保護層17が設けられる。保護層17は、露光する際に、感光性記録媒体14とルーバフィルム16とを接触させる際にルーバフィルム16を保護する。画像表示装置12に表示された画像を感光性記録媒体14に露光することを繰り返すことで、ルーバフィルム16が破損することが懸念される。保護層17を設けることで、ルーバフィルム16の破損を防止することができる。
【0060】
保護層17としては、透明で光を通すことができれば、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂などから形成されるプラスチック板を用いることができる。
【0061】
保護層17の厚さは、0.1μm以上500μm以下とすることが好ましい。保護層17の厚みを0.1μm以上とすることで、ルーバフィルム16を保護する効果の他に、モアレを目立たなくすることができる。また、ルーバフィルム16の欠陥又は構造に基づいて生じた画像の欠陥を目立たなくすることができる。また、保護層17の厚みを500μm以下とすることで、印画画像がぼけることを防止することができる。
【0062】
保護層17の感光性記録媒体支持部21側は非粘着性を有することが好ましい。感光性記録媒体14に画像表示装置12の画像を印画する際、保護層17を感光性記録媒体14に密着させ露光を行う。上述したように、露光後の感光性記録媒体14は、展開ローラの間を通過し、ポッド部を破裂させることで現像処理液を展延し、現像処理が行われる。したがって、保護層17の感光性記録媒体支持部21側を非粘着性とすることで、露光後の感光性記録媒体14を展開ローラにスライドさせ、感光性記録媒体支持部21から排出することができる。保護層17は、ルーバフィルム16に接着剤により接着されているため、接着剤が保護層17の表面(感光性記録媒体14側)にないことが好ましい。保護層17の感光性記録媒体支持部21側を非粘着性とすることにより、露光後に、保護層17と感光性記録媒体14が剥がれにくくすることを防止することができる。
【0063】
<コリメート部>
図7は、他の実施形態の画像露光装置130の断面図である。本実施形態では、
図7に示すように、画像表示装置12とルーバフィルム16との間に、画素13から出射される光を平行光にするコリメート部140を備える点が
図1から3に示す画像露光装置10と異なっている。コリメート部140を設けることで、ルーバフィルム16とは異なる角度の光を遮蔽することができる。したがって、感光性記録媒体14に到達させる光をより平行な光のみとすることができるので、印画される画像がぼやけることを防止することができる。
【0064】
コリメート部140としては、ファイバーオプティックプレート、及び、キャピラリプレートを挙げることができ、少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。ファイバーオプティックプレートは、二次元的に複数配列された、光を転送する光ファイバと、光ファイバから漏れた光を吸収する吸収体ガラスと、を含むプレートである。キャピラリプレートは、二次元的に複数配列された、数十μmの径を有する毛細管(キャピラリ)の集合体からなるプレートである。コリメート部140として、ファイバーオプティックプレート、及び、キャピラリプレートを用いることで、画素13から照射された光の中で、ルーバフィルム16と異なる角度の光を遮蔽することができる。したがって、ルーバフィルム16のみの場合より、平行な光のみで露光することができるので、良好な画像を形成することができる。
【0065】
図1に示す画像露光装置10においては、画像表示装置12の上に画素13がX−Y方向に延びる二次元状に配列されており、ルーバフィルム16、及び、フィルムパック18の露光開口22のサイズより、画像表示装置12の画像表示面のサイズを大きくしている。露光開口22のサイズが、感光性記録媒体14の露光エリアである。したがって、画像表示装置12から出力される画像を、感光性記録媒体14の露光面全域を同時に露光することができる。画像を露光する方法として、まず、露光したい画像を画像表示装置12に表示させる。画像表示装置12の画素13から出射される光は、ルーバフィルム16を通過し平行光になる。この平行光が感光性記録媒体14に到達し、感光性記録媒体14の露光面全域に同時に露光することができる。画像表示装置12の画像表示面を、感光性記録媒体感光性記録媒体14の露光エリアと同サイズ以上とすることで、後述する走査手段を備えなくても、画像を露光することができる。また、画像表示装置12を感光性記録媒体支持部21に組み込む際に、設置する位置精度に余裕を持たせることができる。
【0066】
図8は、別の実施形態の画像露光装置40を示す図である。画像露光装置40の画像表示装置42の画素13は、一次元状に配列されている。一次元とは、X−Y方向の一方の方向に延びる状態を意味する。
図4に示されるように、画像表示装置42はX方向に延びる位置に配置されており、画像表示装置42の複数の画素13も一次元に配列されている。
【0067】
画像表示装置42は、感光性記録媒体14のX方向と略同じ長さである。一方で、画像表示装置42の画素13の配列は一次元であるので、画像表示装置42のY方向の長さは、感光性記録媒体14の長さより短い。すなわち、画像表示装置42は、感光性記録媒体14の露光部より小さいことになる。
【0068】
図8に示す画像露光装置40では、感光性記録媒体14を露光するために、画像表示装置42は、画素13の配列方向に対して垂直方向(Y方向)に走査される。
【0069】
図8に示すように、画像露光装置40は、画像表示装置42を走査するための走査手段58を備える。走査手段58としては、画像表示装置42を支持する支持部材60と、フィルムパック18を支持する支持台64と、支持台64に内蔵される駆動部(不図示)とを備える。支持台64はレール62を備え、駆動部は支持部材60をレール62に沿ってY方向に走査することができる。
【0070】
走査手段58が画像表示装置42をY方向に走査することで、画像表示装置42が感光性記録媒体14を順次露光することができる。画像表示装置42の画素から出射される光は、ルーバフィルム16を通過し平行光になる。この平行光が感光性記録媒体14に到達し、順次露光することができる。
【0071】
図9は、
図8に示す画像露光装置40の変形例を示す図である。変形例の画像表示装置42では、ルーバフィルム16が、画像表示装置42の画素13と同様にX方向に延びて構成される。
【0072】
走査手段58が画像表示装置42とルーバフィルム16とを画像表示装置42の画素の配列方向に対して垂直方向であるY方向に走査することで、画像表示装置42は感光性記録媒体14に順次露光することができる。画像表示装置42の画素から出射される光は、ルーバフィルム16を通過し平行光になる。この平行光が感光性記録媒体14に到達し、順次露光する。
【0073】
なお、
図8及び
図9に示す画像露光装置40は、画像表示装置42を走査しながら露光する場合について説明したが、画像表示装置42と感光性記録媒体14とが相対的に走査できれば、感光性記録媒体14を走査しながら露光してもよい。
【0074】
図10は、さらに別の実施形態の画像露光装置70を示す図である。画像露光装置70において、画像表示装置72の画素13は、感光性記録媒体14の露光面14Aの面積より小さい領域に二次元状に配列されている。画像露光装置70は、画像表示装置72をY方向に走査するだけでなく、X方向に走査する走査手段88を備える。
【0075】
走査手段88は、ボールネジ96と、ボールネジ96に係合するナットを備える移動部98と、を備える。ボールネジ96の回転運動により、移動部98はX方向に移動できる。移動部98は、画像表示装置72を保持するための保持部(不図示)を有することが好ましい。また、Y方向への移動は、画像露光装置40と同様の方法により行うことができる。
【0076】
走査手段88が画像表示装置72をX方向及びY方向に走査することで、画像表示装置72は感光性記録媒体14の露光面14Aを順次露光することができる。画像表示装置72の画素から出射される光は、ルーバフィルム16を通過し平行光になる。この平行光が感光性記録媒体14の露光面14Aに到達し、順次露光することができる。
【0077】
画像露光装置70においては、画像表示装置72より大きい感光性記録媒体14に露光する場合に有効に適用することができる。
【0078】
図11は、
図10に示す画像露光装置70の変形例を示す図である。変形例の画像露光装置70は、ルーバフィルム16の主面が画像表示装置72の画素13が配列された領域と同様に、感光性記録媒体14より小さい面積をもつ二次元状の領域である。
【0079】
走査手段88が画像表示装置72とルーバフィルム16とをX方向及びY方向に走査することで、画像表示装置72は感光性記録媒体14の露光面14Aを順次露光することができる。画像表示装置72から出射される光は、ルーバフィルム16を通過し平行光になる。この平行光が感光性記録媒体14に到達し、順次露光する。
【0080】
図10および
図11に示す画像露光装置70は、画像表示装置72を走査しながら露光する場合について説明したが、画像表示装置72と感光性記録媒体14とが相対的に走査できれば、感光性記録媒体14をX方向とY方向とに走査しながら、露光してもよい。
【0081】
なお、画像露光装置40、及び、画像露光装置70では、画像表示装置が感光性記録媒体より小さい。画像表示装置の画素から出射される光による感光性記録媒体の露光面が支持される位置の上での露光範囲において、隣り合う露光範囲が一部重複してもよい。露光範囲の一部を重複させない場合、感光性記録媒体の上に未露光領域が発生する懸念がある。未露光領域に起因する感光性記録媒体14に画像が形成されない状態を回避することが好ましい。隣り合う露光範囲の一部を重複させながら露光することにより、感光性記録媒体14上に未露光領域が発生することを防止し、画像が形成されない状態を回避することができる。