(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基と共に置換基を有する基を包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の合計量をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程を意味するだけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
【0013】
<組成物>
本発明の組成物は、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを含む。本発明の組成物は、耐光性に優れ、光照射による紫外線吸収性能の経時的な低下を抑制することができる。このような効果が奏される詳細な理由は不明であるが、式(1)で表される化合物が式(2)で表される化合物と相互作用して式(2)で表される化合物の光照射による分解や変性を抑制でき、その結果優れた耐光性が得られたと推測される。
なかでも、式(1)で表される化合物として、R
13及びR
14が各々独立に水素原子またはアルキル基である化合物を用いた場合においてより優れた耐光性が得られる。特に、式(1)で表される化合物として、R
11及びR
12が水素原子で、R
13及びR
14が各々独立に無置換のアルキル基である化合物を用いた場合においては、特に優れた耐光性が得られる。このような化合物は、式(2)で表される化合物とより相互作用し易いためであると推測される。
【0014】
本発明の組成物は紫外線吸収剤として好ましく用いることができる。また、本発明の組成物は、包装材料、容器、塗料、塗膜、インク、繊維、建材、記録媒体、画像表示装置、太陽電池用カバー、ガラス物品、化粧用製剤などに好ましく用いることができる。これらの詳細については、特開2009−263617号公報の段落番号0158〜0218の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0015】
以下、本発明の組成物に用いられる式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物について説明する。
【0017】
上記式中、R
11及びR
12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R
13及びR
14は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、R
11及びR
12は互いに結合して環を形成してもよく、R
13及びR
14は互いに結合して環を形成してもよい;
R
21及びR
22は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、R
23及びR
24は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、R
21及びR
22は互いに結合して環を形成してもよく、R
23及びR
24は互いに結合して環を形成してもよい。
【0018】
まず、式(1)で表される化合物について説明する。
【0019】
式(1)において、R
11及びR
12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0020】
R
11及びR
12が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
R
11及びR
12が表すアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15が更に好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜7が最も好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は直鎖、分岐および環状のいずれでもよく、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。また、環状のアルキル基、および環状のアルコキシ基のアルキル基部位は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環アルキル基(ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基など)であってもよい。アルキル基およびアルコキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
R
11及びR
12が表すアリール基及びアリールオキシ基の炭素数は6〜40が好ましく、6〜30がより好ましく、6〜20が更に好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。アリール基及びアリールオキシ基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0021】
式(1)において、R
13及びR
14は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
【0022】
R
13及びR
14が表す脂肪族基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15が更に好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜7が最も好ましい。脂肪族基の種類としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアラルキル基が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアラルキル基は置換基を有していてもよいが無置換であることが好ましい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜15が更に好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜7が最も好ましい。アルキル基は直鎖、分岐および環状のいずれでもよく、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。
アルケニル基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜15が更に好ましく、2〜10が特に好ましく、2〜7が最も好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐および環状のいずれでもよく、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。
アルキニル基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜15が更に好ましく、2〜10が特に好ましく、2〜7が最も好ましい。アルキニル基は直鎖、分岐および環状のいずれでもよく、直鎖または分岐であることが好ましく、直鎖であることがより好ましい。
アラルキル基の炭素数は、7〜30が好ましく、7〜20がより好ましく、7〜15が更に好ましい。アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
【0023】
芳香族基としては、アリール基が挙げられる。芳香族基の炭素数は6〜40が好ましく、6〜30がより好ましく、6〜20が更に好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0024】
複素環基における複素環は5員または6員の飽和または不飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環の環を構成するヘテロ原子としては、B、N、O、S、SeおよびTeが挙げられ、N、OおよびSが好ましい。複素環は炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。好ましい複素環基の炭素原子数は1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20である。複素環基における飽和複素環の例として、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環および1,3−チアゾリジン環が挙げられる。複素環基における不飽和複素環の例として、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびキノリン環が挙げられる。複素環基は置換基を有していても良い。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0025】
式(1)において、R
13及びR
14は各々独立に水素原子または脂肪族基であることが好ましく、脂肪族基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、無置換のアルキル基であることが特に好ましい。また、R
13及びR
14は各々独立に、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜15の無置換の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10の無置換の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7の無置換の直鎖アルキル基であることが最も好ましい。
【0026】
式(1)において、R
11及びR
12は互いに結合して環を形成してもよく、R
13及びR
14は互いに結合して環を形成してもよい。これらの環は、5または6員の環が好ましい。これらの環は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0027】
式(1)で表される化合物は、式(1a)で表される化合物であることが好ましい。式(1a)で表される化合物は本発明の化合物でもある。
【化6】
【0028】
式中、R
11a及びR
12aは各々独立に水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基を表し、
R
13a及びR
14aは各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、R
13a及びR
14aは互いに結合して環を形成してもよい。
【0029】
式(1a)のR
11a及びR
12aが表すハロゲン原子及びアルキル基としては、式(1)のR
11及びR
12の項で説明したハロゲン原子及びアルキル基が挙げられる。式(1a)のR
11a及びR
12aは水素原子であることが好ましい。
【0030】
式(1a)のR
13a及びR
14aが表す脂肪族基、芳香族基及び複素環基としては、式(1)のR
13及びR
14の項で説明した脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(1a)のR
13a及びR
14aは、各々独立に水素原子または脂肪族基であることが好ましく、脂肪族基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、無置換のアルキル基であることが特に好ましい。また、R
13a及びR
14aは各々独立に、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜15の無置換の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10の無置換の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7の無置換の直鎖アルキル基であることが最も好ましい。
【0031】
式(1a)において、R
13a及びR
14aは互いに結合して環を形成していてもよい。R
13a及びR
14aが結合して形成される環は5または6員の環が好ましい。R
13a及びR
14aが結合して形成される環は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0032】
(置換基T)
置換基Tとしては、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);
アルキル基[直鎖、分岐、環状のアルキル基。具体的には、直鎖または分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。];
アルケニル基[直鎖、分岐、環状のアルケニル基。具体的には、直鎖または分岐のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の直鎖または分岐のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30のシクロアルケニル基。つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)を包含するものである。];
アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の直鎖または分岐のアルキニル基。例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基;
【0033】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30のアリール基。例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基);
ヘテロ環基(好ましくは5または6員の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基);
シアノ基;
ヒドロキシル基;
ニトロ基;
カルボキシル基;
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルコキシ基。例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基);
アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30のアリールオキシ基。例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基);
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基。例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基);
ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30のヘテロ環オキシ基。例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基);
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30のアリールカルボニルオキシ基。例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基);
【0034】
カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基。例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基);
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30のアルコキシカルボニルオキシ基。例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基);
アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルオキシ基。例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基);
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアニリノ基。例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基);
アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30のアリールカルボニルアミノ基。例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基);
【0035】
アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30のアミノカルボニルアミノ基。例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基);
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基。例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基);
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基。例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基);
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30のスルファモイルアミノ基。例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基);
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30のアリールスルホニルアミノ基。例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基);
メルカプト基;
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキルチオ基。例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基);
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールチオ基。例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基);
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30のヘテロ環チオ基。例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基);
【0036】
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30のスルファモイル基。例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基);
スルホ基;
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキルスルフィニル基、6〜30のアリールスルフィニル基。例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基);
アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基、6〜30のアリールスルホニル基。例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基);
【0037】
アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基。例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基);
アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基。例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基);
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基);
カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30のカルバモイル基。例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基);
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30のアリールアゾ基、炭素数3〜30のヘテロ環アゾ基。例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基);
イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基);
ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30のホスフィノ基。例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)
ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30のホスフィニル基。例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基);
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30のホスフィニルオキシ基。例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基);
ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30のホスフィニルアミノ基。例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基);
シリル基(好ましくは、炭素数3〜30のシリル基。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)が挙げられる。
【0038】
上記で挙げた基のうち、水素原子を有する基については、1個以上の水素原子が上記の置換基Tで置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基などが挙げられる。
【0039】
式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化7】
【化8】
【0040】
次に式(2)で表される化合物について説明する。
【0041】
式(2)において、R
21及びR
22は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。式(2)のR
21及びR
22が表すハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、式(1)のR
11及びR
12の項で説明したハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(2)のR
21及びR
22は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0042】
式(2)において、R
23及びR
24は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。式(2)のR
23及びR
24が表す脂肪族基、芳香族基及び複素環基としては、式(1)のR
13及びR
14の項で説明した脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(2)のR
23及びR
24は、各々独立に水素原子または脂肪族基であることが好ましく、脂肪族基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましく、無置換のアルキル基であることが特に好ましい。また、R
23及びR
24は各々独立に、炭素数1〜20の無置換の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜15の無置換の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜10の無置換の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜7の無置換の直鎖アルキル基であることが最も好ましい。
【0043】
式(2)において、R
21及びR
22は互いに結合して環を形成してもよく、R
23及びR
24は互いに結合して環を形成してもよい。これらの環は、5または6員の環が好ましい。これらの環は置換基を有していてもよい。置換基としては上述の置換基Tで説明した基が挙げられる。
【0044】
式(2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化9】
【化10】
【0045】
本発明の組成物は、式(1)のR
13と、式(2)のR
23とが同一の基(好ましくは、同一のアルキル基、より好ましくは同一の無置換のアルキル基)であり、式(2)のR
14と、式(2)のR
24とが同一の基(好ましくは、同一のアルキル基、より好ましくは同一の無置換のアルキル基)である組み合わせの式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とを含むことが好ましい。また、この態様において、式(1)のR
11とR
12、式(2)のR
21とR
22がともに水素原子であることがより好ましい。この組み合わせの化合物を含む場合においては、本発明の効果がより顕著に得られやすい傾向にある。
【0046】
本発明の組成物の全固形分中における式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の合計の含有量は1質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることがより一層好ましく、99質量%以上であることが更に一層好ましい。また、本発明の組成物は式(1)で表される化合物と、式(2)で表わされる化合物のみで構成されていることが特に好ましい。また、本発明の組成物は、粉体、溶液、樹脂等の媒体中に分散されていてもよい。
【0047】
また、本発明の組成物は、式(2)で表される化合物に対する式(1)で表される化合物の割合が0.0001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。式(2)で表される化合物に対する式(1)で表される化合物の割合が上記範囲であれば、より優れた耐光性が得られる。さらには、優れた透明性や紫外線吸収性などが得られやすい。
【0048】
<硬化性組成物>
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。本発明の硬化性組成物は、上述した本発明の組成物と、硬化性化合物を含む。硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、−O−Si−O−構造を有する化合物などが挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
【0049】
本発明においては、硬化性化合物として−O−Si−O−構造を有する化合物を用いることが好ましい。この態様によれば、着色が少なく、紫外線の吸収性に優れたガラス物品などを製造することができる。ガラス物品の具体例としては、自動車用の窓ガラス、建材用の窓ガラスなどを挙げることができる。
【0050】
−O−Si−O−構造を有する化合物としては、加水分解性ケイ素化合物であることが好ましく、加水分解性アルコキシシランであることがより好ましく、3官能または4官能のアルコキシシランであることが更に好ましい。−O−Si−O−構造を有する化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、4−トリメトキシシリルスチレン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0051】
本発明の硬化性組成物の全固形分中における式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との合計の含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましい。また、本発明の硬化性組成物の全固形分中における上述した本発明の組成物の含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。また、本発明の硬化性組成物の全固形分中における硬化性化合物の含有量は、0.1〜99.9質量%であることが好ましい。
【0052】
本発明の硬化性組成物は、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物以外の他の紫外線吸収剤をさらに含有することができる。他の紫外線吸収剤としては、国際公開WO2017/122503号公報の段落番号0065に記載された紫外線吸収剤が挙げられ、これらを用いることができる。
【0053】
本発明の硬化性組成物は、更に溶剤を含むことができる。溶剤としては、特に限定は無く、水、アルコール系溶剤などが挙げられる。アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。また、溶剤として、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。溶剤の含有量は、硬化性組成物の全量に対し、10〜90質量%であることが好ましい。
【0054】
本発明の硬化性組成物は、触媒を含有することができる。特に硬化性化合物として、−O−Si−O−構造を有する化合物を用いた場合、触媒を含有させることが好ましい。この態様によれば、ゾルゲル反応が促進されて、より強固な膜が得られやすい。触媒としては、塩酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸等の酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン等の塩基触媒などが挙げられる。触媒の含有量は、硬化性化合物の100質量部に対し0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜50質量部であり、更に好ましくは0.1〜20質量部である。本発明の硬化性組成物は、触媒を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。触媒を2種以上含む場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。また、NMRは核磁気共鳴の略語である。
【0056】
(実施例1(化合物(1)−1の合成))
下記スキームに従って化合物(1)−1の合成を行った。なお化合物(2)−1は、特開2009−263617号公報の合成例3に記載の合成中間体Bの合成法に基づき合成した。
【化11】
【0057】
化合物(2)−1の3.94g(0.010モル)と無水硫酸マグネシウムの1.81g(0.015モル)とを混合し、この混合物にN、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)の25mLを添加し、さらに酸化銀の4.63g(0.020モル)を加えたのち、室温下で1時間撹拌した。得られた反応溶液に酢酸エチルと希塩酸を添加して分液した後に、さらに有機層を、希塩酸水と食塩水のそれぞれで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去し、残さをシリカゲルクロマトグラフィーにて、ヘキサンとテトラヒドロフラン(THF)との混合溶媒を溶離液として用いて精製を行った。濃縮後、酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒を用いて晶析を行い、化合物(1)−1を1.41g(収率35.9%)得た。
NMR(ジメチルスルホキシド(DMSO)):δ=7.13(2H,brS),3.62(4H,t,J=7.3Hz),1.44(4H,tt,J=7.3,7.3Hz),1.22(4H,tq,J=7.3,7.3Hz)、0.87(6H,t,J=7.3Hz)
【0058】
(実施例2(化合物(1)−2の合成))
実施例1において、化合物(2)−1の代わりに、化合物(2)−2を等モル用いた以外は実施例1と同様にして、化合物(1)−2を1.53g(収率42.1%)得た。
NMR(DMSO):δ=7.13(2H,brS),3.60(4H,t,J=7.3Hz),1.40(4H,tq,J=7.3,7.3Hz)、0.89(6H,t,J=7.3Hz)
【化12】
【0059】
(実施例3(化合物(1)−3の合成))
実施例1において、化合物(2)−1の代わりに、化合物(2)−3を等モル用いた以外は実施例1と同様にして、化合物(1)−3を2.52g(収率56.2%)得た。
NMR(DMSO):δ=7.13(2H,brS),3.62(4H,t,J=7.3Hz),1.46(4H,tt,J=7.3,7.3Hz),1.30〜1.10(12H,m)、0.87(6H,t,J=7.3Hz)
【化13】
【0060】
(実施例4)(組成物A−16の製造)
N,N−ジブチルヒドラジンの2塩酸塩50.0g(0.23モル)にマロン酸ジエチル185mL(1.15モル)を加えて、反応系内を窒素置換した後、反応で生じるエタノールを留去しながら外温170℃で4時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、減圧して未反応のマロン酸ジエチルを留去後、シリカゲルカラム精製により合成中間体Aを43.5g(収率88.9%)の量で得た。得られた合成中間体Aの14.0g(0.066モル)に1−(4,7−ジヒドロキシベンゾ[1,3]ジチオール−2−イリデン)ピペリジニウムアセテート19.7g(0.06モル)、N−メチルピロリドン60mLを加え、これを空気下80℃で1時間撹拌した後に冷却し、希塩酸600mLに加えて析出した固体をろ取、乾燥して反応生成物を得た。得られた反応生成物は、化合物(2)−1中に、化合物(2)−1に対して0.024質量%の化合物(1)−1が混ざった組成物(組成物A−16)であった。
【化14】
【0061】
(実施例101)
実施例1で合成した化合物(1)−1の0.05gと、化合物(2)−1の100.0gを混合して、組成物A−1を得た。
得られた組成物A−1の1.20gと、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートの2.71gと、乾燥テトラヒドロフランの20mLとを混合したのち、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズを1滴添加し、窒素雰囲気下において、3時間、加熱還流した。次いで、加熱還流後の混合溶液の0.476gに対し、テトラエトキシシランの81.0mgおよびグリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの0.602g、超純水の1.73g、酸触媒である酢酸の17.0mgを添加したのち、30秒間撹拌し、次いで、3分間超音波を照射し、次いで、50℃の水浴中で1時間撹拌して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、0.1質量%KOHで処理したガラス基材の上にドクターブレードを用いて塗布して30mil(1milは、2.54×10
−5m)の厚さの塗布膜を形成し、得られた塗布膜を、80℃、30分間、送風乾燥機で静置乾燥した。その後、200℃、30分間加熱してガラス物品を作製した。
【0062】
(実施例102〜115)
組成物A−1の代わりに、下記表に記載の組成物A−2〜A−15を用いた以外は、実施例101と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例101と同様にして得られた硬化性組成物を用いてガラス物品を作製した。
【0063】
(実施例116)
実施例4で得られた組成物A−16の1.20gと、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネートの2.71gと、乾燥テトラヒドロフランの20mLとを混合したのち、ジ(2−エチルヘキサン酸)スズを1滴添加し、窒素雰囲気下において、3時間、加熱還流した。次いで、加熱還流後の混合溶液の0.476gに対し、テトラエトキシシランの81.0mgおよびグリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの0.602g、超純水の1.73g、酸触媒である酢酸の17.0mgを添加したのち、30秒間撹拌し、次いで、3分間超音波を照射し、次いで、50℃の水浴中で1時間撹拌して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を、0.1質量%KOHで処理したガラス基材の上にドクターブレードを用いて塗布して30mil(1milは、2.54×10
−5m)の厚さの塗布膜を形成し、得られた塗布膜を、80℃、30分間、送風乾燥機で静置乾燥した。その後、200℃、30分間加熱してガラス物品を作製した。
【0064】
(実施例117)
組成物A−1の代わりに、組成物A−17を用いた以外は、実施例101と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例101と同様にして得られた硬化性組成物を用いてガラス物品を作製した。
【0065】
(比較例101、102)
組成物A−1の代わりに、下記表に記載の組成物B−1、B−2を用いた以外は、実施例101と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例101と同様にして得られた硬化性組成物を用いてガラス物品を作製した。
【0066】
(参考例101)
組成物A−1の代わりに、下記表に記載の組成物C−1を用いた以外は、実施例101と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例101と同様にして得られた硬化性組成物を用いてガラス物品を作製した。
【0067】
【表1】
【0068】
上記表中化合物H−1、H−2は下記構造の化合物である。
【化15】
【0069】
実施例101〜117、参考例101および比較例101〜102のガラス物品の吸収スペクトルを分光光度計(UV−3100,島津製作所製)を用いて測定し、極大吸収波長(λmax)での吸光度(A0)を測定した。更にこれらのガラス物品を、促進耐候性試験機(スガ試験機(株)製、スーパーキセノンウエザーメーターSX75)に設置し、60℃、相対湿度50%の環境下において、500時間光を照射して耐光性試験を行った。なお、促進耐候性試験機の照射光は屋外における日光に近似したスペクトルを有しており、屋外での使用を模擬した耐光性試験を実施することができる。耐光性試験後のガラス物品の極大吸収波長(λmax)での吸光度(A1)を測定し、下記式より耐光性試験前後のガラス物品の吸光度の減少率を求めた。この値が小さいほど、耐光性が高いことを意味する。
吸光度の減少率(%)={(A0−A1)/A0}×100
【0070】
【表2】
【0071】
上記表に示すように、実施例はいずれも参考例101よりも耐光性が向上しており、優れた耐光性を有していた。