【実施例】
【0036】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
(調製例)
ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)の10質量%脱脂粉乳培地培養物中の菌体外多糖体を精製した。具体的には、以下に示すようにして菌体外多糖体を精製した。
【0038】
10質量%の脱脂粉乳培地を90℃で殺菌してから45℃に冷却した後、その培地に乳酸菌スターターとしてのラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスOLL1073R−1(FERM BP−10741)を1質量%接種した。37℃で18時間培養した後、培地を約4℃に冷却して乳酸菌スターターの培養を停止させた。そして、得られた培養物に対し、終濃度が10質量%になるように100質量%のトリクロロ酢酸を添加して混合し、その混合物を4℃、12,000×gで20分間、遠心分離した。遠心分離処理により得られた上清を採り、その上清に2倍量の冷エタノールを加え、そのエタノール添加上清を4℃で一晩静置した。その後、エタノール添加上清を4℃、12,000×gで20分間、遠心分離し、得られた沈殿物を超純水に溶解させた。この水溶液を、超純水に対して透析した後、その透析処理液にDNase(EC 3.1.21.1、シグマ・アルドリッチ社製)、RNase(type I−AS、EC 3.1.27.5、シグマ・アルドリッチ社製)、proteinase K(EC 3.4.21.64、シグマ・アルドリッチ社製)を加えて、透析処理液を37℃で酵素処理した。酵素処理液を90℃で10分間加熱することによって、酵素処理を停止させた後、その酵素処理液に2倍量のエタノールを加え、そのエタノール添加酵素処理液を4℃で一晩静置した。その後、エタノール添加酵素処理液を4℃、12,000×gで20分間、遠心分離し、得られた沈殿物を超純水に溶解させた。この水溶液を超純水に対して透析し、透析後の水溶液を凍結乾燥して菌体外多糖体の精製物とした。なお、透析には、Spectrum Laboratories社製の透析膜(molecular weight cutoff 6,000−8,000)を用いた。
【0039】
(実施例1)
100μLのComplete Freund’s Adjuvant(和光純薬工業株式会社)、10μLのメラノーマ抗原溶液(H−2D
b human gp100 Peptide KVPRNQDWL,MBL社製,抗原濃度:10mg/mL)、80μLのリン酸緩衝液、および、10μLのヒトB型肝炎ウイルス抗原(I−A
d HBc helper peptide TPPAYRPPNAPIL,MBL社製、抗原濃度:10mg/mL)を量り取って混ぜ合わせた後、この混合液を十分に乳化させて200μLの抗原乳化液を調製した。なお、この抗原乳化液には、100μgのメラノーマ抗原が含まれている。そして、この抗原乳化液200μLを4つ調製した後、各抗原乳化液を8週齢の雌のC57BL/6Jマウス(日本チャールスリバー社製)4匹それぞれの腹腔に注射した。すなわち、各マウスには100μgのメラノーマ抗原が注入されたことになる。なお、各マウスへのメラノーマ抗原注入後、各マウスの体内でメラノーマ抗原に特異的なCD8+T細胞が増殖し、やがて機能的に成熟した細胞傷害性T細胞となって、マウスの体内を循環する。
【0040】
メラノーマ抗原の注入から1週間経過後に上述のマウスらを安楽殺した。そして、各マウスから脾臓を取り出して各マウスの脾細胞をプールした。その後、同脾細胞を5×10
6cells/mLで5well培養した。なお、この脾細胞培養時、メラノーマ抗原が10μg/mLとなるように、また、菌体外多糖体が150μg/mLとなるように、培地に上述のメラノーマ抗原溶液および菌体外多糖体(上記調製例で調製したもの)を添加した。培養開始から72時間経過後に、抗原特異的に産生されたインターフェロンγの上清濃度を、BD OptEIA Mouse IFN−γ ELISA Set(Becton,Dickinson and Company社製)を用いて測定してその測定値の平均と標準誤差を求めたところ、その平均は891pg/mLであり、標準誤差は204pg/mLであった。
【0041】
(実施例2)
脾細胞培養時、メラノーマ抗原が0.1μg/mLとなるように培地にメラノーマ抗原溶液を添加した以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの腹腔に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は256pg/mLであり、標準誤差は85pg/mLであった。
【0042】
(実施例3)
抗原乳化液調製時および培地への抗原添加時においてメラノーマ抗原溶液(H−2D
b human gp100 Peptide KVPRNQDWL,MBL社製,抗原濃度:10mg/mL)をインフルエンザウイルス抗原溶液(H−2D
b Influenza NP peptide ASNENMDTM,MBL社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの腹腔に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は13240pg/mLであり、標準誤差は3818pg/mLであった。
【0043】
(実施例4)
50μLのComplete Freund’s Adjuvant(和光純薬工業株式会社)、5μLのヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液(I−Ad HBc helper peptide TPPAYRPPNAPIL,MBL社製,抗原濃度:10mg/mL)、45μLのリン酸緩衝液を量り取って混ぜ合わせた後、この混合液を十分に乳化させて100μLの抗原乳化液を調製した。なお、この抗原乳化液には、50μgのヒトB型肝炎ウイルス抗原が含まれている。そして、この抗原乳化液100μLを3つ調製した後、各抗原乳化液を8週齢の雌のC57BL/6Jマウス(日本チャールスリバー社製)3匹それぞれの尾根部皮下に注射した。すなわち、各マウスには50μgのヒトB型肝炎ウイルス抗原が注入されたことになる。なお、各マウスへのヒトB型肝炎ウイルス抗原注入後、各マウスの体内でヒトB型肝炎ウイルス抗原に特異的なCD4+T細胞が増殖し、やがて機能的に成熟し、細胞性免疫を強力に誘導するTh1細胞となって、マウスの体内を循環する。
【0044】
ヒトB型肝炎ウイルス抗原の注入から1週間経過後に上述のマウスらを安楽殺した。そして、各マウスから脾臓を取り出して各マウスの脾細胞をプールした。その後、同脾細胞を2×10
6cells/mLで8well培養した。なお、この脾細胞培養時、ヒトB型肝炎ウイルス抗原が10μg/mLとなるように、また、菌体外多糖体が150μg/mLとなるように培地に上述のヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液および菌体外多糖体を添加した。培養開始から48時間経過後に、抗原特異的に産生されたインターフェロンγの上清濃度を、BD OptEIA Mouse IFN−γ ELISA Set(Becton,Dickinson and Company社製)を用いて測定してその測定値の平均と標準誤差を求めたところ、その平均は19709pg/mLであり、標準誤差は712pg/mLであった。
【0045】
(比較例1)
脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は168pg/mLであり、標準誤差は48pg/mLであった。
【0046】
(比較例2)
脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例2と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は74pg/mLであり、標準誤差は13pg/mLであった。
【0047】
(比較例3)
培地への抗原添加時においてメラノーマ抗原溶液をインフルエンザウイルス抗原溶液(H−2D
b Influenza NP peptide ASNENMDTM,MBL社製)に代え、脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は37pg/mLであり、標準誤差は12pg/mLであった。
【0048】
(比較例4)
培地への抗原添加時においてメラノーマ抗原溶液をインフルエンザウイルス抗原溶液(H−2D
b Influenza NP peptide ASNENMDTM,MBL社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は137pg/mLであり、標準誤差は58pg/mLであった。
【0049】
(比較例5)
抗原乳化液調製時においてメラノーマ抗原溶液をインフルエンザウイルス抗原溶液(H−2D
b Influenza NP peptide ASNENMDTM,MBL社製)に代え、脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は169pg/mLであり、標準誤差は23pg/mLであった。
【0050】
(比較例6)
抗原乳化液調製時においてメラノーマ抗原溶液をインフルエンザウイルス抗原溶液(H−2D
b Influenza NP peptide ASNENMDTM,MBL社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例1と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は569pg/mLであり、標準誤差は146pg/mLであった。
【0051】
(比較例7)
脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例3と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例3と同様にして脾細胞を5well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は2538pg/mLであり、標準誤差は327pg/mLであった。
【0052】
(比較例8)
50μLのComplete Freund’s Adjuvant(和光純薬工業株式会社)、50μLのリン酸緩衝液を量り取って混ぜ合わせた後、この混合液を十分に乳化させて100μLの抗原未添加液を調製した。そして、この抗原未添加液100μLを3つ調製した後、各抗原未添加液を8週齢の雌のC57BL/6Jマウス(日本チャールスリバー社製)3匹それぞれの尾根部皮下に注射した。
【0053】
抗原未添加液の注入から1週間経過後に上述のマウスらを安楽殺した。そして、各マウスから脾臓を取り出して各マウスの脾細胞をプールした。その後、同脾細胞を2×10
6cells/mLで8well培養した。なお、この脾細胞培養時、培地に抗原および菌体外多糖体は一切添加されなかった。培養開始から48時間経過後にインターフェロンγの上清濃度を、BD OptEIA Mouse IFN−γ ELISA Set(Becton,Dickinson and Company社製)を用いて測定してその測定値の平均と標準誤差を求めたところ、その平均は77pg/mLであり、標準誤差は3pg/mLであった。
【0054】
(比較例9)
脾細胞培養時、菌体外多糖体(実施例1で調製したものと同一のもの)が150μg/mLとなるように培地に菌体外多糖体を添加した以外は、比較例8と同様にして抗原未添加液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、比較例8と同様にして脾細胞を8well培養し、比較例8と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は84pg/mLであり、標準誤差は6pg/mLであった。
【0055】
(比較例10)
脾細胞培養時、ヒトB型肝炎ウイルス抗原が10μg/mLとなるように培地にヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液(I−Ad HBc helper peptide TPPAYRPPNAPIL,MBL社製,抗原濃度:10mg/mL)を添加した以外は、比較例8と同様にして抗原未添加液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、比較例8と同様にして脾細胞を8well培養し、比較例8と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は79pg/mLであり、標準誤差は4pg/mLであった。
【0056】
(比較例11)
脾細胞培養時、ヒトB型肝炎ウイルス抗原が10μg/mLとなるように、また、菌体外多糖体(実施例1で調製したものと同一のもの)が150μg/mLとなるように培地にヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液(I−Ad HBc helper peptide TPPAYRPPNAPIL,MBL社製,抗原濃度:10mg/mL)および菌体外多糖体を添加した以外は、比較例8と同様にして抗原未添加液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、比較例8と同様にして脾細胞を8well培養し、比較例8と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は76pg/mLであり、標準誤差は3pg/mLであった。
【0057】
(比較例12)
脾細胞培養時の培地にヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液および菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例4と同様にして脾細胞を8well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は74pg/mLであり、標準誤差は2pg/mLであった。
【0058】
(比較例13)
脾細胞培養時の培地にヒトB型肝炎ウイルス抗原溶液を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例4と同様にして脾細胞を8well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は161pg/mLであり、標準誤差は55pg/mLであった。
【0059】
(比較例14)
脾細胞培養時の培地に菌体外多糖体を添加しなかった以外は、実施例4と同様にして抗原乳化液を調製してマウスの尾根部皮下に注射し、実施例4と同様にして脾細胞を8well培養し、実施例1と同様にしてインターフェロンγの上清濃度を測定してその測定値の平均と標準誤差を求めた。その結果、その平均は10056pg/mLであり、標準誤差は998pg/mLであった。
【0060】
(まとめ)
以上の実施例および比較例に記載の条件および結果を以下の表1にまとめた。なお、表1中、「gp100」は「メラノーマ抗原」を示し、「NP」は「インフルエンザウイルス抗原」を示し、「HBc」は「ヒトB型肝炎ウイルス抗原」を示し、「EPS」は「菌体外多糖体」を示し、「IFL−γ」は「インターフェロンγ」を示し、「−」は「未添加であること」を示す。
【0061】
また、この表1をグラフ化したものを
図1〜4に示した。なお、
図1中、左側の白棒は比較例1の結果を示し、その右隣りの黒棒は実施例1の結果を示し、中央の白棒は比較例2の結果を示し、その右隣りの黒棒は実施例2の結果を示し、右側の白棒は比較例3の結果を示し、その右隣りの黒棒は比較例4の結果を示している。また、
図2中、左側の白棒は比較例5の結果を示し、その右隣りの黒棒は比較例6の結果を示し、右側の白棒は比較例7の結果を示し、その右隣りの黒棒は実施例3の結果を示している。また、
図3中、左側の白棒は比較例8の結果を示し、その右隣りの黒棒は比較例9の結果を示し、右側の白棒は比較例10の結果を示し、その右隣りの黒棒は比較例11の結果を示している。さらに、
図4中、左側の白棒は比較例12の結果を示し、その右隣りの黒棒は比較例13の結果を示し、右側の白棒は比較例14の結果を示し、その右隣りの黒棒は実施例4の結果を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
(考察)
図1のグラフ図に示される結果より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)から得られた菌体外多糖体は、メラノーマ抗原免疫マウスの脾細胞培養時において培地に添加する抗原の種類に関わらず、インターフェロンγの産生を促進する効果があることが明らかとなった。また、メラノーマ抗原免疫マウスの脾細胞培養時において培地に添加する抗原を、マウス免疫時と同じ抗原であるメラノーマ抗原とした場合、菌体外多糖体はCD8+T細胞が産生する抗原特異的なインターフェロンγの産生を促進する効果をさらに高められること、さらに、その添加抗原濃度が高い程その効果が高くなることが明らかとなった。
【0064】
図2のグラフ図に示される結果より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)から得られた菌体外多糖体は、インフルエンザウイルス抗原免疫マウスの脾細胞培養時において培地に添加する抗原の種類に関わらず、インターフェロンγの産生を促進する効果があることが明らかとなった。また、インフルエンザウイルス抗原免疫マウスの脾細胞培養時において培地に添加する抗原を、マウス免疫時と同じ抗原であるインフルエンザウイルス抗原とした場合、菌体外多糖体はCD8+T細胞が産生する抗原特異的なインターフェロンγの産生を促進する効果をさらに高められることが明らかとなった。
【0065】
図3のグラフ図に示される結果より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)から得られた菌体外多糖体は、非免疫マウスの脾細胞に対してインターフェロンγの産生促進効果を奏しないことが明らかとなった。
【0066】
図4のグラフ図に示される結果より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)から得られた菌体外多糖体は、ヒトB型肝炎ウイルス抗原免疫マウスの脾細胞培養時において培地に添加する抗原を、マウス免疫時と同じ抗原であるヒトB型肝炎ウイルス抗原とした場合、CD4+T細胞が産生する抗原特異的なインターフェロンγの産生を促進する効果があることが明らかとなった。
【0067】
以上の結果より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1)から得られた菌体外多糖体は、インターフェロンγの産生を促進する効果があり、特に免疫時と同じ抗原に対してはその効果がさらに顕著であったことから、菌体外多糖体はT細胞が産生する抗原特異的なインターフェロンγの産生を強力に促進する効果があると言える。