(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、露光装置で転写される場合のパターン画像を再現することが求められている。そこで、発明者は、露光装置で転写される場合の露光イメージ画像を作成するために、本願出願時においてまだ公知になっていないが、P偏光波とS偏光波とを分けて撮像する手法について特許出願(特願2015−218287)を行った。かかる手法により、P偏光波とS偏光波とを同時に撮像することができるようになったが、P偏光波とS偏光波とを分けて撮像する手法はこれに限るものではない。そのため、別の構成でのP偏光波とS偏光波とを分けて撮像する手法の開発も要望されている。
【0009】
また、上述した手法により、P偏光波とS偏光波とを同時に撮像することができるようになったが、偏光イメージではなく、パターン像を撮像して、比較する通常のパターン検査を行うにあたっては、透過検査と反射検査とを同時に行うことが困難になった。透過検査と反射検査とでは、同時に試料面上の異なる位置にそれぞれ検査光を照明して、かかる異なる位置でのパターンを一方では透過像として、他方では反射像として撮像する。これにより、像が透過と反射で重ならないので、それぞれの像を高精度に撮像できる。しかしながら、P偏光波とS偏光波とを分けて撮像する手法では、同じ位置の像をP偏光波とS偏光波とに分けるために、同じ結像光学系を用いると、透過検査と反射検査とを同時に行う場合の像とは結像位置がずれてしまう。そのため、望ましくは、偏光イメージの取得と通常のパターン検査との間で結像光学系を共用可能な偏光イメージを取得する新たな機構の開発が要望されている。
【0010】
さらに、得られる画像を露光イメージ画像にできるだけ近づけるためには、P偏光波の画像とS偏光波の画像との2つの画像だけではなく、さらなる自由度があることが望ましい。
【0011】
そこで、本発明の一態様は、露光装置で転写される場合の露光イメージ画像を、自由度を高めて作成するために利用可能な偏光イメージを取得する装置及び方法を提供する。また、本発明の他の態様は、結像光学系を偏光イメージの取得と通常のパターン検査との間で共用可能な装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様の偏光イメージ取得装置は、
パターンが形成された、露光用のマスク基板を載置する移動可能なステージと、
マスク基板を透過した透過光を入射する対物レンズと、
対物レンズを通過した光の進行方向に直交する面内で回転対称に4n等分する4n個の領域のうち、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域に対物レンズを通過した光の通過領域をしぼると共に、4n個の領域が2つずつ順に通過領域になるように通過領域の角度を変更する回転可能な絞りと、
通過領域の角度毎に、絞りを通過した、通過領域の角度に対して同方向のP偏光成分と直交方向のS偏光成分とを予め設定された直交する第1と第2の方向の偏
光波に変換する、回転型1/2波長板と、
第1の方向の偏光波の軌道と第2の方向の偏光波の軌道とを分離するロションプリズムと、
ロションプリズムを通過した第1の方向の偏光波と第2の方向の偏光波とをそれぞれ異なる結像位置に結像する結像レンズと、
第1の方向の偏光波の結像位置とは異なる第2の方向の偏光波の結像位置で第2の方向の偏光波を反射するミラーと、
第1の方向の偏光波の光学画像として、P偏光成分の偏光波の光学画像とS偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する第1のイメージセンサと、
第2の方向の偏光波の光学画像として、S偏光成分の偏光波の光学画像とP偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する第2のイメージセンサと、
を備えたことを特徴する。
【0013】
また、通過領域の角度毎に撮像された、P偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とを合成する合成部と、
第1のダイにおけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された第1のダイ画像と、第1のダイと同様のパターンが形成された第2のダイにおけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された、第1のダイ画像に対応する第2のダイ画像と、を比較する比較部と、
をさらに備えると好適である。
【0014】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
パターンが形成された、露光用のマスク基板を載置する移動可能なステージと、
マスク基板を透過した透過光を入射する対物レンズと、
対物レンズを通過した光の進行方向に直交する面内で回転対称に4n等分する4n個の領域のうち、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域に対物レンズを通過した光の通過領域をしぼると共に、4n個の領域が2つずつ順に通過領域になるように通過領域の角度を変更する回転可能な絞りと、
絞りを通過した、通過領域の角度に対して同方向のP偏光成分と直交方向のS偏光成分とを予め設定された直交する第1と第2の方向の偏
光波に変換する、回転型1/2波長板と、
第1の方向の偏光波の軌道と第2の方向の偏光波の軌道とを分離するロションプリズムと、
ロションプリズムを通過した第1の方向の偏光波と第2の方向の偏光波とをそれぞれ異なる結像位置に結像する結像レンズと、
第1の方向の偏光波の結像位置とは異なる第2の方向の偏光波の結像位置で第2の方向の偏光波を反射するミラーと、
第1の方向の偏光波の光学画像として、P偏光成分の偏光波の光学画像とS偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する第1のイメージセンサと、
第2の方向の偏光波の光学画像として、S偏光成分の偏光波の光学画像とP偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する第2のイメージセンサと、
照明光を対物レンズに分岐すると共に、対物レンズを介して、マスク基板を反射した反射光を通過させるビームスプリッタと、
絞りと1/2波長板とロションプリズムとを光路上と光路外との間で移動させる第1の搬送機構と、
ビームスプリッタを光路上と光路外との間で移動させる第2の搬送機構と、
を備え、
偏光イメージを取得する場合に、絞りと1/2波長板とロションプリズムとがビームスプリッタの代わりに光路上に配置され、パターン検査を行う場合に、ビームスプリッタが絞りと1/2波長板とロションプリズムとの代わりに光路上に配置され、
結像レンズは、パターン検査を行う場合に、透過光と反射光との一方を第1の方向の偏光波の結像位置に結像すると共に、透過光と反射光との他方を第2の方向の偏光波の結像位置に結像し、
ミラーは、パターン検査を行う場合に、
前記第2の方向の偏光波の結像位置で透過光と反射光とのうちの他方を反射し、
第1のイメージセンサは、パターン検査を行う場合に、透過光と反射光とのうちの一方の像を撮像し、
第2のイメージセンサは、パターン検査を行う場合に、透過光と反射光とのうちの他方の像を撮像することを特徴する。
【0015】
また、通過領域の角度毎に撮像された、P偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とを合成する合成部と、
第1のダイにおけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された第1のダイ画像と、第1のダイと同様のパターンが形成された第2のダイにおけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された、第1のダイ画像に対応する第2のダイ画像と、を比較する比較部と、
をさらに備えると好適である。
【0016】
本発明の一態様の偏光イメージ取得方法は、
パターンが形成された、露光用のマスク基板に照明光を結像する工程と、
照明光がマスク基板を透過した透過光を対物レンズに入射する工程と、
対物レンズを通過した光の進行方向に直交する面内で回転対称に4n等分する4n個の領域のうち、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域が開口した回転可能な絞りを用いて、2つの領域に対物レンズを通過した光の通過領域をしぼると共に、4n個の領域が2つずつ順に通過領域になるように通過領域の角度を変更する工程と、
回転型1/2波長板を用いて、通過領域の角度毎に、絞りを通過した、通過領域の角度に対して同方向のP偏光成分と直交方向のS偏光成分とを予め設定された直交する第1と第2の方向の偏
光波に変換する工程と、
ロションプリズムを用いて第1の方向の偏光波の軌道と第2の方向の偏光波の軌道とを分離する工程と、
結像レンズを用いて、ロションプリズムを通過した第1の方向の偏光波と第2の方向の偏光波とをそれぞれ異なる結像位置に結像する工程と、
ミラーを用いて、第1の方向の偏光波の結像位置とは異なる第2の方向の偏光波の結像位置で第2の方向の偏光波を反射する工程と、
第1のイメージセンサを用いて、第1の方向の偏光波の光学画像として、P偏光成分の偏光波の光学画像とS偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する工程と、
第2のイメージセンサを用いて、第2の方向の偏光波の光学画像として、S偏光成分の偏光波の光学画像とP偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する工程と、
を備えたことを特徴する。
【0017】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
パターンが形成された、露光用のマスク基板に第1の照明光を結像する工程と、
第1の照明光が前記マスク基板を透過した第1の透過光を対物レンズに入射する工程と、
対物レンズを通過した光の進行方向に直交する面内で回転対称に4n等分する4n個の領域のうち、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域が開口した回転可能な絞りを用いて、2つの領域に対物レンズを通過した光の通過領域をしぼると共に、4n個の領域が2つずつ順に通過領域になるように通過領域の角度を変更する工程と、
回転型1/2波長板を用いて、通過領域の角度毎に、絞りを通過した、通過領域の角度に対して同方向のP偏光成分と直交方向のS偏光成分とを予め設定された直交する第1と第2の方向の偏
光波に変換する工程と、
ロションプリズムを用いて第1の方向の偏光波の軌道と第2の方向の偏光波の軌道とを分離する工程と、
結像レンズを用いて、ロションプリズムを通過した第1の方向の偏光波と第2の方向の偏光波とをそれぞれ異なる結像位置に結像する工程と、
ミラーを用いて、第1の方向の偏光波の結像位置とは異なる第2の方向の偏光波の結像位置で第2の方向の偏光波を反射する工程と、
第1のイメージセンサを用いて、第1の方向の偏光波の光学画像として、P偏光成分の偏光波の光学画像とS偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する工程と、
第2のイメージセンサを用いて、第2の方向の偏光波の光学画像として、S偏光成分の偏光波の光学画像とP偏光成分の偏光波の光学画像とを絞りの通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する工程と、
絞りと1/2波長板とロションプリズムとを光路上から光路外へと移動させる工程と、
ビームスプリッタを光路外から光路上へと移動させる工程と、
透過検査照明光学系を用いて、マスク基板に第2の照明光を照明する工程と、
反射検査照明光学系を用いて、マスク基板に第3の照明光を照明する工程と、
第2の照明光がマスク基板を透過した第2の透過光と、第3の照明光がマスク基板から反射された反射光とを対物レンズ及びビームスプリッタを介して結像レンズに入射する工程と、
結像レンズを用いて、第2の透過光と反射光との一方を第1の方向の偏光波の結像位置に結像すると共に、第2の透過光と反射光との他方を第2の方向の偏光波の結像位置に結像する工程と、
ミラーを用いて、第2の方向の偏光波の結像位置で第2の透過光と反射光とのうちの他方を反射する工程と、
第1のイメージセンサを用いて、第2の透過光と反射光とのうちの一方の像を撮像する工程と、
第2のイメージセンサを用いて、第2の透過光と反射光とのうちの他方の像を撮像する工程と、
を備えたことを特徴する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、露光装置で転写される場合の露光イメージ画像を、自由度を高めて作成するために利用可能な偏光イメージを取得できる。また、本発明の他の態様によれば、結像光学系を偏光イメージの取得と通常のパターン検査との間で共用できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。
図1において、マスク基板101に形成されたパターンの欠陥を検査する検査装置100は、光学画像取得機構150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。
【0021】
光学画像取得機構150(偏光イメージ取得装置)は、光源103、透過検査照明光学系170(透過照明光学系)、反射検査照明光学系175(反射照明光学系)、移動可能に配置されたXYθテーブル102、絞り173、拡大光学系104、回転絞り199、回転型1/2波長板190(λ/2波長板)、ロションプリズム192、ミラー174、ビームスプリッタ191、搬送機構194,195,196、2つのフォトダイオードアレイ105,205(センサの一例)、2つのセンサ回路106,206、2つのストライプパターンメモリ123,223、及びレーザ測長システム122を有している。XYθテーブル102上には、マスク基板101が載置される。マスク基板101として、例えば、ウェハ等の半導体基板にパターンを転写する露光用のフォトマスクが含まれる。また、このフォトマスクには、検査対象となる複数の図形パターンによって構成されたパターンが形成されている。ここでは、同じ2つのパターンが左右に形成されている場合を示している。マスク基板101は、例えば、パターン形成面を下側に向けてXYθテーブル102に配置される。
【0022】
透過検査照明光学系170は、投影レンズ180、照明形状切替機構181、及び結像レンズ182を有している。また、透過検査照明光学系170は、その他のレンズ、ミラー、及び/又は光学素子を有していても構わない。反射検査照明光学系175は、光源103から透過検査照明光と分離された反射検査照明光を照明する少なくとも1つのレンズを有する。反射検査照明光学系175は、その他のレンズ、ミラー、及び/又は光学素子を有していても構わない。
【0023】
拡大光学系104は、対物レンズ171、結像レンズ172、及び結像レンズ176,178を有している。対物レンズ171、結像レンズ172、及び結像レンズ176,178は、それぞれ少なくとも1つのレンズによって構成される。また、対物レンズ171と結像レンズ172の間、結像レンズ172と結像レンズ176の間、及び/又は結像レンズ172と結像レンズ178の間に、その他のレンズ、及び/又はミラーを有していても構わない。
【0024】
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、モード切替制御回路140、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレシキブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、センサ回路106は、ストライプパターンメモリ123に接続され、ストライプパターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。同様に、センサ回路206は、ストライプパターンメモリ223に接続され、ストライプパターンメモリ223は、比較回路108に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。
【0025】
搬送機構194は、モード切替制御回路140による制御のもと、回転絞り199及び回転型1/2波長板190を光路上から光路外へ、及び光路外から光路上へと移動させる。搬送機構196は、モード切替制御回路140による制御のもと、ロションプリズム192を光路上から光路外へ、及び光路外から光路上へと移動させる。搬送機構195は、モード切替制御回路140による制御のもと、ビームスプリッタ191を光路上から光路外へ、及び光路外から光路上へと移動させる。なお、
図1の例では、回転絞り199と回転型1/2波長板190が同じ搬送機構194によって搬送される場合を示しているが、別々の搬送機構によって搬送されても構わないことは言うまでもない。同様に、回転絞り199と回転型1/2波長板190とロションプリズム192とが同じ搬送機構によって搬送されても構わないことは言うまでもない。
【0026】
実施の形態1では、偏光イメージを取得して、かかる偏光イメージを利用した検査(偏光イメージ検査モード(1))と、高倍率のパターン像を撮像して、かかるパターン像を検査する検査(通常検査モード(2))とを切り替え可能に構成される。偏光イメージ検査モード(1)において、検査装置100では、光源103、透過検査照明光学系170、XYθテーブル102、絞り173、拡大光学系104、回転絞り199、回転型1/2波長板190、ロションプリズム192、ミラー174、フォトダイオードアレイ105,206、及びセンサ回路106,206により高倍率の検査光学系が構成されている。通常検査モード(2)において、検査装置100では、光源103、透過検査照明光学系170、反射検査照明光学系175、XYθテーブル102、拡大光学系104、ビームスプリッタ191、ミラー174、フォトダイオードアレイ105,206、及びセンサ回路106,206により高倍率の検査光学系が構成されている。例えば、400〜500倍の倍率の検査光学系が構成されている。
【0027】
また、XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばリニアモータを用いることができる。XYθテーブル102は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、対物レンズ171は、制御計算機110の制御の下に図示しないオートフォーカス(AF)制御回路により動的にマスク基板101のパターン形成面に焦点位置(光軸方向:Z軸方向)が調整される。対物レンズ171は、例えば、図示しないピエゾ素子によって光軸方向(Z軸方向)に移動させられることにより、焦点位置が調整される。或いは対物レンズ171の位置を固定して、XYθテーブル102を図示しないオートフォーカス(AF)制御回路により動的に光軸方向(Z軸方向)に移動させることにより、対物レンズ171の焦点位置がマスク基板101のパターン形成面に調整されるようにしても好適である。XYθテーブル102上に配置されたマスク基板101の移動位置は、レーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。
【0028】
マスク基板101のパターン形成の基となる設計パターンデータ(描画データ)が検査装置100の外部から入力され、磁気ディスク装置109に格納されてもよい。
【0029】
ここで、
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0030】
図2は、実施の形態1における検査装置での開口数と露光装置での開口数とを比較するための概念図である。
図2(a)では、マスク基板300に形成されたパターンを半導体基板に露光転写するステッパ等の露光装置の光学系の一部を示している。露光装置では、図示しない照明光がマスク基板300に照明され、マスク基板300からの透過光301は、対物レンズ302に入射され、対物レンズ302を通過した光305が半導体基板304(ウェハ:被露光基板)へ結像する。なお、
図2(a)では、1つの対物レンズ302(縮小光学系)を示しているが、複数のレンズによる組み合わせであっても構わないことは言うまでもない。ここで、現状の露光装置では、マスク基板300に形成されたパターンを、例えば、1/4に縮小して半導体基板304に露光転写する。その際の露光装置の半導体基板304に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、例えば、NAi=1.4に設定される。言い換えれば、対物レンズ302を通過可能な対物レンズ302の開口数NAi(イメージi側の開口数)は、例えば、NAi=1.4に設定される。露光装置では、マスク基板300からの透過光像を1/4に縮小しているので、対物レンズ302のマスク基板300に対する感度は1/4となる。言い換えれば、マスク基板300から対物レンズ302へ透過光が入射する場合の入射可能な対物レンズ302の開口数NAo(物体o側の開口数)は、NAiの1/4となり、NAo=0.35となる。よって、露光装置では、開口数NAo=0.35の光束のマスク基板300からの透過光像を非常に広い開口数NAi=1.4の光束の像として半導体基板304に露光転写していることになる。
【0031】
これに対して、実施の形態1における検査装置100では、
図2(b)に検査装置100の一部を示すように、図示しない照明光がマスク基板101に照明され、マスク基板101からの透過光11は、対物レンズを含む拡大光学系104に入射され、拡大光学系104を通過した光12がフォトダイオードアレイ105(イメージセンサ)へ結像する。その際、マスク基板101から拡大光学系104へ透過光11が入射する場合の入射可能な対物レンズの開口数NAo(物体o側の開口数)は、例えばNAo=0.9に設定する。検査装置100では、マスク基板300からの透過光像を検査で比較可能にするために200〜500倍に拡大しているので、拡大光学系104のマスク基板101に対する感度は200〜500となる。よって、拡大光学系104のフォトダイオードアレイ105に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、NAoの1/500〜1/200となり、例えば、開口数NAi=0.004になる。
【0032】
このように、NAo=0.35となる露光装置の対物レンズ302が入手する光の情報量と例えばNAo=0.9となる検査装置100の対物レンズが入手する光の情報量とでは、そもそも異なっている。よって、半導体基板304上の像は、フォトダイオードアレイ105の受光面上の像とは、光束数自体が異なるため、同じ像を得ることは困難である。そこで、露光装置の対物レンズ302と等しくするため、絞り173で光束を絞ることで、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.35に設定する。これにより、光束数を合わせることができる。しかしながら、検査装置100では、マスク基板300からの透過光像を検査で比較可能にするために200〜500倍に拡大しているので、拡大光学系104のマスク基板101に対する感度は200〜500となる。よって、拡大光学系104のフォトダイオードアレイ105に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、露光装置の対物レンズ302のように非常に広い開口数NAi=1.4にはできず、NAoの1/500〜1/200となり、例えば、開口数NAi=0.001になる。このように、拡大光学系104のフォトダイオードアレイ105に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)よりも十分小さい開口数NAiになる。なお、
図2(b)では、拡大光学系104しか記載していないが、拡大光学系104内には複数のレンズが配置されている。拡大光学系104内には、上述したように、少なくとも対物レンズ171と結像レンズ172と結像レンズ176(及び結像レンズ178)とを有している。
【0033】
よって、対物レンズ171は、マスク基板101が露光装置に配置された場合にマスク基板101からの透過光を入射して半導体基板304に結像する露光装置の対物レンズ302がマスク基板101からの透過光301を入射する場合と同様の開口数NAo(NAo=0.35)で、マスク基板101上に結像された照明光がマスク基板101を透過した透過光190を入射する。また、結像レンズ176(及び結像レンズ178)は、拡大光学系104内を通過した光を、露光装置の対物レンズ302よりも十分小さい開口数NAi(NAi=0.001)で結像させる。
【0034】
図3は、実施の形態1の比較例におけるS偏光波とP偏光波の特性について説明するための図である。
図3では、比較例となる露光装置の対物レンズ302を通った光305が半導体基板304に結像する状態の一例を示している。対物レンズ302の半導体基板304に対する開口数NAi(イメージi側の開口数)は、非常に広い開口数NAi=1.4になるので、光の干渉の効果で光305の特にP偏光成分の振幅が減少、無くなる、或いは反転してしまう。
【0035】
図4は、実施の形態1及び比較例におけるイメージ側開口数とS偏光波とP偏光波との関係を比較するための図である。上述したように、露光装置では、対物レンズ302の半導体基板304側の開口数NAiが、NAi=1.4と非常に大きいため、
図4に示すように、P偏光成分の振幅が減少、無くなる、或いは反転してしまう。また、S偏光成分の振幅については、対物レンズ302の半導体基板304側の開口数NAiに関わらず、同じ状態を維持する。
【0036】
一方、上述したように、検査装置100では、拡大光学系104のフォトダイオードアレイ105側の開口数NAiが、NAi=0.001と露光装置の対物レンズ302に比べて非常に(十分に)小さいため、かかるP偏光成分の振幅の減少等が生じない。S偏光成分の振幅については、同様に、同じ状態を維持する。
【0037】
露光装置において半導体基板304に結像されるマスクパターン像の光も、検査装置100においてフォトダイオードアレイ105に結像されるマスクパターン像の光も、共にP偏光成分とS偏光成分の合成光なので、P偏光成分が異なれば、得られる光学画像は同じイメージ像にはならない。
【0038】
そこで、実施の形態1では、かかる現象を踏まえて、検査装置100において、フォトダイオードアレイ105に結像されるマスクパターン像をP偏光成分の像とS偏光成分の像とに分離して取得する。これにより、P偏光成分とS偏光成分との合成の仕方(割合)等を調整することにより、フォトダイオードアレイ105で撮像された2種類の画像から露光イメージを生成することができる。さらに、実施の形態1では、P偏光成分の像とS偏光成分の像とを1つずつ取得するのではなく、同じ位置の画像をそれぞれ複数取得することで、合成時の自由度を高める。
【0039】
図5は、実施の形態1におけるパターン検査方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図5において、実施の形態1におけるパターン検査方法は、モード選択工程(S102)と、搬出工程(S104)と、搬入工程(S106)と、絞り(2)解除処理工程(S108)と、照明光学系切り替え工程(S110)と、スキャン工程(S112)と、比較工程(S114)と、搬出工程(S204)と、搬入工程(S206)と、絞り処理工程(S208)と、照明光学系切り替え工程(S210)と、回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)と、スキャン工程(S214)と、合成工程(S220)と、比較工程(S230)と、の各工程を実施する。
【0040】
モード選択工程(S102)にて、偏光イメージを取得して、かかる偏光イメージを利用した偏光イメージ検査モード(1)を選択した場合、偏光イメージ検査モード(1)では、
図5の各工程のうち、搬出工程(S204)と、搬入工程(S206)と、絞り処理工程(S208)と、照明光学系切り替え工程(S210)と、回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)と、スキャン工程(S214)と、合成工程(S220)と、比較工程(S230)と、の各工程を実施する。
【0041】
モード選択工程(S102)にて、高倍率のパターン像を撮像して、かかるパターン像を検査する通常検査モード(2)を選択した場合、通常検査モード(2)では、
図5の各工程のうち、搬出工程(S104)と、搬入工程(S106)と、絞り解除処理工程(S108)と、照明光学系切り替え工程(S110)と、スキャン工程(S112)と、比較工程(S114)と、の各工程を実施する。
【0042】
よって、まず、モード選択工程(S102)において、ユーザから偏光イメージ検査モード(1)と通常検査モード(2)との一方を選択させる。例えば、図示しないキーボード、マウス、タッチパネル等から、かかる検査モード(1)(2)の一方を選択させればよい。そして、かかる選択された検査モードの情報は、制御計算機110の制御のもと、モード切替制御回路140に出力される。モード切替制御回路140は、入力された検査モードの情報に従って、検査光学系の配置等を切り替える。まずは、偏光イメージ検査モード(1)を選択した場合について説明する。
【0043】
図6は、実施の形態1における偏光イメージ検査モードにおける検査光学系の構成の一例を示す図である。
図6では、
図1の構成の一部を示している。
図6において、点線は各レンズからの瞳位置を示している。なお、
図1と
図6の各構成の位置の縮尺等については一致させていない。
【0044】
搬出工程(S204)として、搬送機構195は、モード切替制御回路140による制御のもと、ビームスプリッタ191を光路上から光路外へと移動させる。もともとビームスプリッタ191が光路外に配置されていた場合にはかかる動作を省略すればよい。
【0045】
搬入工程(S206)として、搬送機構194は、モード切替制御回路140による制御のもと、回転絞り199、及び回転型1/2波長板190を光路外から光路上へと移動させる。回転絞り199、及び回転型1/2波長板190は、対物レンズ171に対してマスク基板101とは反対側の位置に配置される。特に回転型1/2波長板190は、対物レンズ171の瞳位置付近に配置される。
【0046】
また、搬送機構196は、モード切替制御回路140による制御のもと、ロションプリズム192を光路外から光路上へと移動させる。具体的には、ビームスプリッタ191が光路内から光路外に搬出されたことによってできた光路上の空間領域付近に、ロションプリズム192を配置する。
【0047】
絞り処理工程(S208)として、モード切替制御回路140は、絞り173の開口部の直径をしぼり、通過可能な光束を絞ることで、対物レンズ171のNAoを露光装置の対物レンズ302と等しくする。例えば、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.35に設定する。
【0048】
照明光学系切り替え工程(S210)として、照明形状切替機構181は、透過検査用の照明光(検査光)の形状が露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状になるようにレンズ、及びミラー等を含む光学素子を切り替える。かかる光学素子は、露光装置の照明条件に合わせて予め切り換え可能に配置しておけばよい。
【0049】
回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)として、モード切替制御回路140は、回転絞り199の通過領域の角度を設定する。また、モード切替制御回路140は、回転型1/2波長板190の角度の角度を設定する。
【0050】
図7は、実施の形態1における偏光成分の状態の一例を示す図である。実施の形態1では、
図7(a)に示すように、透過光の光軸を中心とした円周の接線方向に偏光方向が向いている偏光成分をS偏光成分とする。そして、
図7(b)に示すように、透過光の光軸を中心とした円の径方向(放射方向)に偏光方向が向いている偏光成分をP偏光成分とする。言い換えれば、透過光の進行方向に直交する面内において透過光の円内のどの位置においてもP偏光成分とS偏光成分とは直交する。
【0051】
図8は、実施の形態1における回転絞りの角度とP偏光成分及びS偏光成分と回転型1/2波長板通過後のP偏光成分及びS偏光成分とを示した図である。回転絞り199は、
図8(a)〜
図8(d)に示すように、進行方向に直交する面内で回転対称に4n等分する4n個の領域に分かれている。そして、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域40a,40bが光の通過領域となっている。
図8(a)〜
図8(d)の例では、円が8等分され、そのうちの中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域40a,40bが光の通過領域(開口部)となっている。
図8(a)から
図8(d)の例では、回転絞り199を0°、45°、90°、及び135°の4つの角度に設定する。これにより、中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域40a,40bに対物レンズ171を通過した光の通過領域をしぼると共に、回転絞り199の8個の領域(4n個の領域)が2つ(領域40a,40b)ずつ順に通過領域になる。回転絞り199の角度毎に、次のスキャン工程(S214)を実施する。
【0052】
スキャン工程(S214)として、光学画像取得機構150は、マスク基板101上に形成されたパターンの光学画像を取得する。具体的には、次のように動作する。
【0053】
図6において、光源103から検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が発生する。発生された光は、投影レンズ180によって照明形状切替機構181に照明され、照明形状切替機構181によって、照明光(検査光)の形状を露光装置で使用する照明形状と同様の照明形状に変更される。かかる露光装置で使用する照明形状と同様の照明光(第1の照明光)が、結像レンズ182によって、マスク基板101のパターン形成面とは反対の裏面側からマスク基板101のパターン形成面に結像される。マスク基板101を透過した透過光(マスクパターン像)は、露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)がマスク基板101からの透過光を入射する場合と同様の開口数NAo(NAo=0.35)に絞り173によって絞られて、対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって平行に回転絞り199に投影される。よって、検査装置100のここまでの光学条件は露光装置と同様にできる。
【0054】
次に、回転絞り199は、対物レンズ171を通過した光の通過領域を回転絞り199の中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係になる2つの領域40a,40bに絞る。ここでは、例えば、通過領域の角度が0°に設定される。これにより、対物レンズ171を通過した光を1/4を通過させることができる。
【0055】
回転型1/2波長板190は、回転絞り199の通過領域の角度毎に、回転絞り199を通過した、回転絞り199の通過領域の角度に対して同方向のP偏光成分と直交方向のS偏光成分とを予め設定された直交する例えば0°と90°(第1と第2の方向)の偏向波に変換する。
【0056】
図8(a)の例では、回転絞り199の2つの領域40a,40bで構成される通過領域が進行方向(z方向)に直交する面(x,y面)内のx軸に対して、0°の位置に設定されている場合を示している。よって、通過領域が0°の状態の回転絞り199を通過する光(通過光全体の1/(2n))のP偏光成分は通過領域の角度と同方向の0°の偏光成分となり、S偏光成分は、通過領域の角度と直交方向の90°の偏光成分となる。かかる場合に、回転型1/2波長板190の光学軸を0°に45°のm倍(mは整数)を加算した角度に設定する。これにより、回転型1/2波長板190を通過したP偏光成分とS偏光成分とを0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とに変換できる。
図8(a)の例では、P偏光成分が0°の偏光波(第1の方向の偏光波)となり、S偏光成分が90°の偏光波(第2の方向の偏光波)となる。
【0057】
図9は、実施の形態1における回転型1/2波長板の配置位置を説明するための図である。回転型1/2波長板190は、対物レンズ171に対してマスク基板101とは反対側の位置であって対物レンズ171の瞳位置付近に配置される。回転型1/2波長板190の位置での光線の広がりは、対物レンズ171の瞳径D(対物レンズ171を通過した軸上平行光束の最大径)の5%以下が望ましい。そのため、回転型1/2波長板190の配置位置の対物レンズ171の瞳位置からのずれ量ΔLは、対物レンズ171の瞳径D、対物レンズ171の視野径d、対物レンズ171の焦点距離fを用いて、以下の式(1)を満たすと好適である。
(1) ΔL<0.05・D・f/d
【0058】
よって、回転型1/2波長板190は、対物レンズ171の瞳位置から、かかる瞳位置のずれ量ΔL内に配置されると良い。
【0059】
回転型1/2波長板190を透過した透過光は、ロションプリズム192に入射する。ロションプリズム192は、透過光の0°の偏光波(第1の方向の偏光波)の軌道と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)の軌道とを分離する。
図6の例では、透過光の0°の偏光波(第1の方向の偏光波)をそのまま通過させ、90°の偏光波(第2の方向の偏光波)の軌道を曲げて通過させている。軌道を変化させないで透過させる偏光成分と軌道を変化させて透過させる偏光成分との関係は逆であっても構わない。回転型1/2波長板190によって、偏光波の方向が0°或いは90°に変換されているので、ロションプリズム192によって、0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とを分離できる。
【0060】
ロションプリズム192を通過した0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)は、共に、結像レンズ172に入射する。ここで、実施の形態1では、ロションプリズム192によって0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とのうちの一方(ここでは例えば90°の偏光波)の軌道の方向を変えているので、0°の偏光波と90°の偏光波は、結像レンズ172に入射する位置が異なる。よって、結像レンズ172は、ロションプリズム192を通過した0°の偏光波と90°の偏光波とを異なる結像位置にそれぞれ結像する。
図6の例では、結像レンズ172は、0°の偏光波を結像位置Aに結像する。結像レンズ172は、90°の偏光波を結像位置Bに結像する。
【0061】
ミラー174は、結像位置A或いは結像位置Bに配置される。
図6の例では、結像位置Bに反射面が位置するように配置される。そして、ミラー174は、0°の偏光波と90°の偏光波との一方の結像位置とは異なる他方の結像位置でかかる他方を反射する。
図6の例では、ミラー174は、0°の偏光波と90°の偏光波とのうち0°の偏光波の結像位置Aとは異なる90°の偏光波の結像位置Bでかかる90°の偏光波を反射する。
【0062】
ミラー174が光路上に配置されていない0°の偏光波と90°の偏光波との一方(
図6の例では0°の偏光波)は、結像位置Aで一旦結像した後、そのまま直進して、結像レンズ176に入射する。結像レンズ176(第1の結像レンズ)は、入射した光を露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)の開口数(NAi=1.4)よりも十分小さい開口数(NAi=0.001)でフォトダイオードアレイ105に結像させる。
【0063】
フォトダイオードアレイ105(第1のイメージセンサ)は、0°の偏光波と90°の偏光波とのうちの一方の結像レンズ176により結像された像(例えば0°の偏光波の像)を撮像する。
【0064】
ミラー174が光路上に配置された0°の偏光波と90°の偏光波との他方(
図6の例では90°の偏光波)は、結像位置Bで一旦結像した後、ミラー174で反射され、結像レンズ178に入射する。結像レンズ178(第2の結像レンズ)は、入射した光を露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)の開口数(NAi=1.4)よりも十分小さい開口数(NAi=0.001)でフォトダイオードアレイ205に結像させる。
【0065】
フォトダイオードアレイ205(第2のイメージセンサ)は、0°の偏光波と90°の偏光波とのうちの他方の結像レンズ178により結像された像(例えば90°の偏光波の像)を撮像する。
【0066】
なお、フォトダイオードアレイ105,205として、例えば、TDI(タイム・ディレイ・インテグレーション)センサ等を用いると好適である。フォトダイオードアレイ105,205(イメージセンサ)は、マスク基板101が載置されたXYθテーブル102が移動している状態で、マスク基板101に形成されたパターンの対応する偏光成分の光学画像を撮像する。
【0067】
図10は、実施の形態1における検査領域を説明するための概念図である。マスク基板101の検査領域10(検査領域全体)は、
図10に示すように、例えばy方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプ20に仮想的に分割される。そして、検査装置100では、検査ストライプ20毎に画像(ストライプ領域画像)を取得していく。検査ストライプ20の各々に対して、レーザ光を用いて、当該ストライプ領域の長手方向(x方向)に向かって当該ストライプ領域内に配置される図形パターンの画像を撮像する。XYθテーブル102の移動によって、マスク基板101がx方向に移動させられ、その結果、フォトダイオードアレイ105,205が相対的に−x方向に連続移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105,205では、
図10に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。言い換えれば、センサの一例となるフォトダイオードアレイ105,205は、XYθテーブル102と相対移動しながら、検査光を用いてマスク基板101に形成されたパターンの光学画像を撮像する。実施の形態1では、1つの検査ストライプ20における光学画像を撮像した後、y方向に次の検査ストライプ20の位置まで移動して今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する。すなわち、往路と復路で逆方向に向かうフォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の方向で撮像を繰り返す。
【0068】
ここで、撮像の方向は、フォワード(FWD)−バックフォワード(BWD)の繰り返しに限るものではない。一方の方向から撮像してもよい。例えば、FWD−FWDの繰り返しでもよい。或いは、BWD−BWDの繰り返しでもよい。
【0069】
フォトダイオードアレイ105上に結像された0°の偏光波のパターンの像は、フォトダイオードアレイ105の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ105のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いると好適である。
【0070】
一方、フォトダイオードアレイ205上に結像された90°の偏光波のパターンの像は、フォトダイオードアレイ205の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路206によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ223に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ205のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いると好適である。
【0071】
また、検査ストライプ20の光学画像を取得する際、レーザ測長システム122は、XYθテーブル102の位置を測長する。測長された位置情報は、位置回路107に出力される。位置回路107(演算部)は、測長された位置情報を用いて、マスク基板101の位置を演算する。
【0072】
その後、0°の偏光波のストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるマスク基板101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。0°の偏光波の測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力された0°の偏光波のストライプ領域画像は、後述する記憶装置に格納される。
【0073】
同様に、90°の偏光波のストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるマスク基板101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。90°の偏光波の測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力された90°の偏光波のストライプ領域画像は、後述する記憶装置に格納される。
【0074】
以上のようにして、回転絞り199の通過領域の角度が0°の場合におけるスキャン動作が終了する。次に、回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)に戻り、回転絞り199の通過領域の角度と1/2波長板の光学軸の角度を変更して、同様に、スキャン工程(S214)を実施する。
【0075】
図8(b)の例では、回転絞り199の2つの領域40a,40bで構成される通過領域が進行方向(z方向)に直交する面(x,y面)内のx軸に対して、45°の位置に設定されている場合を示している。よって、通過領域が45°の状態の回転絞り199を通過する光(通過光全体の他の1/(2n))のP偏光成分は通過領域の角度と同方向の45°の偏光成分となり、S偏光成分は、通過領域の角度と直交方向の135°の偏光成分となる。かかる場合に、回転型1/2波長板190の光学軸を22.5°に45°のm倍(mは整数)を加算した角度に設定する。これにより、回転型1/2波長板190を通過したP偏光成分とS偏光成分とを0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とに変換できる。
図8(b)の例では、S偏光成分が0°の偏光波(第1の方向の偏光波)となり、P偏光成分が90°の偏光波(第2の方向の偏光波)となる。
【0076】
以上のようにして、回転絞り199の通過領域の角度が45°の場合におけるスキャン動作が終了する。次に、再び、回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)に戻り、回転絞り199の通過領域の角度と1/2波長板の光学軸の角度を変更して、同様に、スキャン工程(S214)を実施する。
【0077】
図8(c)の例では、回転絞り199の2つの領域40a,40bで構成される通過領域が進行方向(z方向)に直交する面(x,y面)内のx軸に対して、90°の位置に設定されている場合を示している。よって、通過領域が90°の状態の回転絞り199を通過する光(通過光全体の他の1/(2n))のP偏光成分は通過領域の角度と同方向の90°の偏光成分となり、S偏光成分は、通過領域の角度と直交方向の0°(180°)の偏光成分となる。かかる場合に、回転型1/2波長板190の光学軸を0°に45°のm倍(mは整数)を加算した角度に設定する。これにより、回転型1/2波長板190を通過したP偏光成分とS偏光成分とを0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とに変換できる。
図8(c)の例では、S偏光成分が0°の偏光波(第1の方向の偏光波)となり、P偏光成分が90°の偏光波(第2の方向の偏光波)となる。
【0078】
以上のようにして、回転絞り199の通過領域の角度が90°の場合におけるスキャン動作が終了する。次に、再び、回転絞り及び1/2波長板の角度設定工程(S212)に戻り、回転絞り199の通過領域の角度と1/2波長板の光学軸の角度を変更して、同様に、スキャン工程(S214)を実施する。
【0079】
図8(d)の例では、回転絞り199の2つの領域40a,40bで構成される通過領域が進行方向(z方向)に直交する面(x,y面)内のx軸に対して、135°の位置に設定されている場合を示している。よって、通過領域が135°の状態の回転絞り199を通過する光(通過光全体の他の1/(2n))のP偏光成分は通過領域の角度と同方向の135°の偏光成分となり、S偏光成分は、通過領域の角度と直交方向の45°の偏光成分となる。かかる場合に、回転型1/2波長板190の光学軸を22.5°に45°のm倍(mは整数)を加算した角度に設定する。これにより、回転型1/2波長板190を通過したP偏光成分とS偏光成分とを0°の偏光波(第1の方向の偏光波)と90°の偏光波(第2の方向の偏光波)とに変換できる。
図8(d)の例では、P偏光成分が0°の偏光波(第1の方向の偏光波)となり、S偏光成分が90°の偏光波(第2の方向の偏光波)となる。
【0080】
以上のように、フォトダイオードアレイ105(第1のイメージセンサ)は、0°の偏光波(第1の方向の偏光波)の光学画像として、P偏光成分の偏光波の光学画像とS偏光成分の偏光波の光学画像とを回転絞り199の通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する。同様に、フォトダイオードアレイ105(第2のイメージセンサ)は、90°の偏光波(第2の方向の偏光波)の光学画像として、S偏光成分の偏光波の光学画像とP偏光成分の偏光波の光学画像とを回転絞り199の通過領域の角度に応じて入れ替えながら撮像する。
【0081】
以上のように、回転絞り199と回転型1/2波長板190の角度を変えながら、回転絞り199の角度毎に、マスク基板101上に形成されたパターンの光学画像を取得する。その結果、回転絞り199の通過領域の角度が0°,45°,90°,135°における4つ(2n個)のP偏光成分の偏光波の光学画像と、4つ(2n個)のS偏光成分の偏光波の光学画像とが取得できる。よって、P偏光波の光学画像とS偏光波の光学画像とを1つずつ撮像して合成する場合に比べて、合成要素の数が多いので、合成の自由度を大幅に向上させることができる。さらに、これらの合計8個(2×2n個)の光学画像を得るための光の光量は、回転絞り199により撮像の都度、光を絞っているので、ランダム偏光(自然偏光)光による1つの光学画像を得るための光の光量と同様にできる。
【0082】
以上のように、実施の形態1によれば、露光装置で転写される場合の露光イメージ画像を作成するための元になる2n個(例えば、4個)のS偏光波と2n個(例えば、4個)のP偏光波のそれぞれの偏光イメージを取得できる。そして、露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)によって、振幅が減少、無くなる、或いは反転してしまうP偏光成分の状態に、取得された2n個のP偏光波の偏光イメージを合わせてから2n個のS偏光波の偏光イメージと合成することで、露光イメージ画像を作成できる。実施の形態1によれば、回転絞り199の通過領域の角度毎に、S偏光波とP偏光波を分離した状態で撮像しているので、回転絞り199の通過領域の角度毎の各偏光成分画像の調整を可能にできる。
【0083】
実施の形態1の検査装置100は、さらに、かかる2n個のS偏光波と2n個のP偏光波のそれぞれの偏光イメージを利用して、マスク基板101のパターン検査を行う。
【0084】
図11は、実施の形態1における比較回路の内部構成の一部を示す図である。
図11において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,58,60,66,68、フレーム分割回路54,56、合成回路64、位置合わせ回路70、及び比較処理回路72が配置される。
図11では、偏光イメージ検査モード(1)において必要な構成について示している。通常検査モード(2)において必要な構成については従来の構成と同様で構わないので、図示を省略している。
【0085】
比較回路108内では、検査ストライプ20の2n個(例えば、4個)のP偏光波のストライプ領域画像SP1〜SP4(光学画像)は記憶装置50に格納される。そして、フレーム分割回路54(分割部)は、各P偏光波のストライプ領域画像を読み出し、それぞれのP偏光波のストライプ領域画像をx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。これにより、検査ストライプ20が、例えば、スキャン幅Wと同じ幅で分割された複数のフレーム領域30(
図10)について、各フレーム領域30の2n個(例えば、4個)のP偏光波のフレーム画像P1〜P4を取得できる。2n個(例えば、4個)のP偏光波のフレーム画像P1〜P4は記憶装置58に格納される。
【0086】
同様に、検査ストライプ20の2n個(例えば、4個)のS偏光波のストライプ領域画像SS1〜SS4(光学画像)は記憶装置52に格納される。そして、フレーム分割回路56(分割部)は、各S偏光波のストライプ領域画像を読み出し、それぞれおのS偏光波のストライプ領域画像をx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。これにより、各フレーム領域30の2n個(例えば、4個)のS偏光波のフレーム画像S1〜S4を取得できる。S偏光波のフレーム画像S1〜S4は記憶装置60に格納される。
【0087】
合成工程(S220)として、合成回路64(合成部)は、回転絞り199の通過領域の角度毎に撮像された、P偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とを合成する。かかる場合に、2×2n個の各光学画像の階調値にそれぞれ重み付けをして合成する。2×2n個の各光学画像に与える重み付けの割合は、例えば、露光装置の対物レンズ302(縮小光学系)によって、減少、無くなる、或いは反転してしまうP偏光成分の振幅量(比)等を考慮して、できるだけ露光イメージ画像に近づけるように設定すればよい。実施の形態1では、合成できる光学画像の数が4n個(2×2n個)と多いため、各光学画像に与える重み付けの値を調整できる自由度を向上できる。その結果、作成される合成フレーム画像をより露光イメージ画像に近づけることができる。
【0088】
以上により、検査対象となるダイ(1)(第1のダイ)におけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された合成フレーム画像(第1のダイ画像)が生成される。ダイ(1)の合成フレーム画像は、記憶装置66に格納される。
【0089】
実施の形態1では、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ−ダイ)検査」を行う。例えば、上述したストライプ領域画像には、同じパターンが形成された2つのダイの画像が含まれる。そこで、ダイ(1)の合成フレーム画像のフレーム領域30に対応する、ダイ(2)(第2のダイ)のフレーム領域30の合成フレーム画像(第2のダイ画像)を同様に生成する。すなわち、ダイ(1)と同様のパターンが形成されたダイ(2)(第2のダイ)におけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された、ダイ(1)の合成フレーム画像(第1のダイ画像)に対応するダイ(2)の合成フレーム画像(第2のダイ画像)が生成される。ダイ(2)の合成フレーム画像は、記憶装置68に格納される。
【0090】
位置合わせ回路70は、比較対象となるダイ(1)の合成フレーム画像(光学画像)と、比較対象となるダイ(2)の合成フレーム画像(参照画像)とについて、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
【0091】
比較工程(S230)として、比較処理回路72は、ダイ(1)におけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された合成フレーム画像(第1のダイ画像)と、ダイ(1)と同様のパターンが形成されたダイ(2)におけるP偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とS偏光成分の2n個の偏光波の光学画像とが合成された合成フレーム画像(第2のダイ画像)と、を比較する。
【0092】
ここで、実施の形態1によって生成される合成フレーム画像は、あえて露光装置と同じ条件に合わせて対物レンズ171の開口数NAoを設定している。そのため、対物レンズ171の開口数NAoが、従来の高分解能のパターン欠陥検査装置で使用する対物レンズの開口数NAoよりも小さい。よって、対物レンズ171に入射する光束が少ないので、像の分解能が従来の高分解能のパターン欠陥検査装置に比べて悪い。一方、実際の露光装置でマスクパターンをウェハ上に転写する際、ウェハ上で回路の断線或いは/及び短絡等が欠陥によって生じないのであれば、かかるパターンは集積回路として使用可能である。実施の形態1によって生成される合成フレーム画像は、あえて露光装置でウェハ上に露光される露光イメージに合わせて作成されているので、回路の断線或いは/及び短絡等をウェハ上に生じさせないかどうかを検査すればよい。そこで、比較処理回路72は、個々の図形パターンの個別な形状欠陥を検査するのではなく、隣り合うパターン間距離を検査する。かかる場合、比較処理回路72は、合成フレーム画像(第1のダイ画像)内の各パターンのパターン間距離を測定し、同様に、合成フレーム画像(第2のダイ画像)内の各パターンのパターン間距離を測定する。そして、合成フレーム画像(第1のダイ画像)のパターン間距離から、合成フレーム画像(第2のダイ画像)の対応するパターン間距離を引いた差分が判定閾値より大きいかどうかを判定し、大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0093】
以上のように、実施の形態1によれば、2n個のS偏光波と2n個のP偏光波のそれぞれの偏光イメージが得られるので、かかる2n個のS偏光波と2n個のP偏光波のそれぞれの偏光イメージを利用して、露光イメージでのマスク基板101のパターン検査ができる。
【0094】
次に、モード選択工程(S102)において、通常検査モード(2)を選択した場合について説明する。
【0095】
図12は、実施の形態1における通常検査モードにおける検査光学系の構成の一例を示す図である。
図12では、
図1の構成の一部を示している。なお、
図1と
図12の各構成の位置の縮尺等については一致させていない。
【0096】
搬出工程(S104)として、回転絞り199と回転型1/2波長板190とロションプリズム192とを光路上と光路外との間で移動させる搬送機構を用いて、回転絞り199と回転型1/2波長板190とロションプリズム192とを光路上から光路外へと移動させる。具体的には、搬送機構194(第1の搬送機構の一部)は、モード切替制御回路140による制御のもと、回転絞り199と回転型1/2波長板190を光路上から光路外へと移動させる。もともと回転絞り199と回転型1/2波長板190が光路外に配置されていた場合にはかかる動作を省略すればよい。
【0097】
また、搬送機構196(第1の搬送機構の他の一部)は、モード切替制御回路140による制御のもと、ロションプリズム192を光路上から光路外へと移動させる。もともとロションプリズム192が光路外に配置されていた場合にはかかる動作を省略すればよい。
【0098】
搬入工程(S106)として、ビームスプリッタ191を光路上と光路外との間で移動させる搬送機構を用いて、ビームスプリッタ191を光路外から光路上へと移動させる。具体的には、搬送機構195(第2の搬送機構)は、モード切替制御回路140による制御のもと、ビームスプリッタ191を光路外から光路上へと移動させる。具体的には、ロションプリズム192が光路内から光路外に搬出されたことによってできた光路上の空間領域付近に、ビームスプリッタ191を配置する。ビームスプリッタ191は、偏光ビームスプリッタでも良いし、無偏光ビームスプリッタでも良い。偏光ビームスプリッタを用いる場合には、1/4波長板197(λ/4波長板)を併せて用いると好適である。かかる場合、1/4波長板197は、ビームスプリッタ191と対物レンズ171との間に配置されると好適である。1/4波長板197を配置することで、偏光ビームスプリッタを通過した直線偏光光を円偏光の照明光に変換できる。これにより、照明光の偏光方向とパターン形状との関係を考慮する必要を無くすことができる。また、マスク基板101からの円偏光の反射光を直線偏光に変換できるので、1/4波長板197の配置角度を調整することにより、センサ側に向かって偏光ビームスプリッタを通過させる際の反射光の光量の損失を抑えることができる。円偏光の透過光についても直線偏光に変換できるので、センサ側に向かって偏光ビームスプリッタを通過させる際の透過光の光量の損失を抑えることができる。
【0099】
絞り解除処理工程(S108)として、モード切替制御回路140は、絞り173の開口部の直径を大きくし、通過可能な光束を増やすことで、対物レンズ171のNAoを通常の高解像の検査時と等しくする。例えば、検査装置100の対物レンズのNAoを例えばNAo=0.9に設定する。或いは、絞り173の開口部を完全開放してもよい。
【0100】
照明光学系切り替え工程(S110)として、照明形状切替機構181は、透過検査用の照明光(検査光)の形状が、通常の検査時に使用する照明形状になるように、露光装置の照明用の光学素子を光路上から光路外へと移動させる。或いは、通常検査用に、レンズ、及びミラー等を含む光学素子を切り替える。
【0101】
スキャン工程(S112)として、光学画像取得機構150は、マスク基板101上に形成されたパターンの光学画像を取得する。具体的には、次のように動作する。
【0102】
図12において、光源103から検査光となる紫外域以下の波長のレーザ光(例えば、DUV光)が発生する。発生された光は、図示しないハーフミラー等によって、透過検査用の検査光と反射検査用の検査光とに分岐される。透過検査用の検査光は、透過検査照明光学系170の投影レンズ180によって照明形状切替機構181を通過して、結像レンズ182に入射する。かかる透過検査用の検査光(第2の照明光)が、透過検査照明光学系170の結像レンズ182によって、マスク基板101のパターン形成面とは反対の裏面側からマスク基板101のパターン形成面に結像される。マスク基板101を透過した透過光(マスクパターン像)は、絞りが解除された対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって平行にビームスプリッタ191を介して結像レンズ172に投影される。
【0103】
一方、反射検査用の検査光(第3の照明光)は、反射検査照明光学系175によってビームスプリッタ191に投影される。ビームスプリッタ191で反射された反射検査用の検査光は、対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によってマスク基板101のパターン形成面側からマスク基板101のパターン形成面に結像される。その際、反射検査用の検査光は、パターン形成面のうち、透過検査用の検査光とは異なる位置に結像される。言い換えれば、反射検査照明光学系175は、マスク基板101のパターン形成面上で透過検査用の検査光とは異なる位置に反射検査用の検査光が結像されるように、反射検査用の検査光をビームスプリッタ191に投影する。実際には、透過検査用の検査光と反射検査用の検査光は、同じストライプ領域20内の互いにごく近い位置を照明する。マスク基板101から反射された反射光(マスクパターン像)は、絞りが解除された対物レンズ171に入射し、対物レンズ171によって平行にビームスプリッタ191を介して結像レンズ172に投影される。このように、ビームスプリッタ191は、照明光を対物レンズ171に分岐すると共に、対物レンズ171を介して、マスク基板101を反射した反射光を通過させる。
【0104】
以上のように、透過検査用の検査光(第2の照明光)がマスク基板101を透過した透過光(第2の透過光)と、反射検査用の検査光(第3の照明光)がマスク基板101から反射された反射光とを対物レンズ171及びビームスプリッタ191を介して結像レンズ172に入射する。かかる場合に、透過検査用の検査光と反射検査用の検査光は、マスク基板101上の互いに異なる位置を照明しているため、マスク基板101の透過光と反射光は、対物レンズ171に入射する場合に光路が異なる。よって、マスク基板101の透過光と反射光は、対物レンズ171によって投影される結像レンズ172への入射位置も異なる位置にできる。
【0105】
実施の形態1では、結像レンズ172は、通常パターン検査を行う場合に、透過光と反射光との一方(ここでは例えば透過光)を偏光イメージ検査モード(1)における0°偏光波と90°偏光波とのうち一方(ここでは例えば0°偏光波)の結像位置Aに結像すると共に、透過光と反射光との他方(ここでは例えば反射光)を0°偏光波と90°偏光波とのうちの他方(ここでは例えば90°偏光波)の結像位置Bに結像する。
【0106】
ミラー174は、マスク基板101の透過光と反射光との一方の結像位置とは異なる他方の結像位置でかかる他方を反射する。
図12の例では、ミラー174は、偏光イメージ検査モード(1)における0°偏光波と90°偏光波とのうち0°偏光波の結像位置Aとは異なる90°偏光波の結像位置Bでかかるマスク基板101の反射光を反射する。
【0107】
ミラー174が光路上に配置されていないマスク基板101の透過光と反射光との一方(
図12の例では透過光)は、偏光イメージ検査モード(1)における0°偏光波の結像位置Aで一旦結像した後、そのまま直進して、結像レンズ176に入射する。結像レンズ176(第1の結像レンズ)は、入射した光を通常検査用の開口数(NAi=0.004)でフォトダイオードアレイ105に結像させる。
【0108】
フォトダイオードアレイ105(第1のイメージセンサ)は、マスク基板101の透過光と反射光とのうちの一方の結像レンズ176により結像された像(例えばマスク基板101の透過光の像)(第3の像)を撮像する。
【0109】
ミラー174が光路上に配置されたマスク基板101の透過光と反射光との他方(
図11の例では反射光)は、90°偏光波の結像位置Bで一旦結像した後、ミラー174で反射され、結像レンズ178に入射する。結像レンズ178(第2の結像レンズ)は、入射した光を通常検査用の開口数(NAi=0.004)でフォトダイオードアレイ205に結像させる。
【0110】
フォトダイオードアレイ205(第2のイメージセンサ)は、マスク基板101の透過光と反射光とのうちの他方の結像レンズ178により結像された像(例えば反射光の像)(第4の像)を撮像する。
【0111】
なお、フォトダイオードアレイ105,205では、
図10に示されるようなスキャン幅Wの光学画像を連続的に撮像する点で偏光イメージ検査モード(1)と同様である。言い換えれば、センサの一例となるフォトダイオードアレイ105,205は、XYθテーブル102と相対移動しながら、透過用の検査光と反射用の検査光を用いてマスク基板101に形成されたパターンの光学画像を同時に撮像する。
【0112】
フォトダイオードアレイ105上に結像された透過光のパターンの像は、フォトダイオードアレイ105の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ123に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ105のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いると好適である。
【0113】
一方、フォトダイオードアレイ205上に結像された反射光のパターンの像は、フォトダイオードアレイ205の各受光素子によって光電変換され、更にセンサ回路206によってA/D(アナログ・デジタル)変換される。そして、ストライプパターンメモリ223に、測定対象の検査ストライプ20の画素データが格納される。かかる画素データ(ストライプ領域画像)を撮像する際、フォトダイオードアレイ205のダイナミックレンジは、例えば、照明光の光量が60%入射する場合を最大階調とするダイナミックレンジを用いると好適である。
【0114】
また、検査ストライプ20の光学画像を取得する際、レーザ測長システム122は、XYθテーブル102の位置を測長する。測長された位置情報は、位置回路107に出力される。位置回路107(演算部)は、測長された位置情報を用いて、マスク基板101の位置を演算する。
【0115】
その後、透過光のストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるマスク基板101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。透過光の測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力された透過光のストライプ領域画像は、後述する記憶装置に格納される。
【0116】
同様に、反射光のストライプ領域画像は、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるマスク基板101の位置を示すデータと共に比較回路108に送られる。反射光の測定データ(画素データ)は例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調(光量)を表現している。比較回路108内に出力された反射光のストライプ領域画像は、後述する記憶装置に格納される。
【0117】
実施の形態1の検査装置100は、かかる透過光のパターン像についてパターン検査を行う。同様に、かかる反射光のパターン像についてパターン検査を行う。
【0118】
比較回路108内には、さらに、図示しない磁気ディスク装置等の記憶装置、フレーム分割回路、位置合わせ回路、及び比較処理回路が配置される。比較回路108内では、図示しないフレーム分割回路は、透過光のストライプ領域画像を読み出し、透過光のストライプ領域画像をx方向に所定のサイズ(例えば、スキャン幅Wと同じ幅)で分割する。例えば、512×512画素のフレーム画像に分割する。これにより、検査ストライプ20が、例えば、スキャン幅Wと同じ幅で分割された複数のフレーム領域30(
図10)について、各フレーム領域30の透過光のフレーム画像を取得できる。透過光のフレーム画像は図示しない記憶装置に格納される。
【0119】
実施の形態1では、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die(ダイ−ダイ)検査」を行う。例えば、上述したストライプ領域画像には、同じパターンが形成された2つのダイの画像が含まれる。そこで、ダイ(1)のフレーム領域30に対応する、ダイ(2)(第2のダイ)のフレーム領域30のフレーム画像を同様に生成する。
【0120】
そして図示しない位置合わせ回路は、比較対象となるダイ(1)の透過光によるフレーム画像(第3の光学画像)と、比較対象となるダイ(2)の透過光によるフレーム画像(第4の光学画像)とについて、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
【0121】
そして図示しない比較処理回路は、位置合わせされたダイ(1)の透過光によるフレーム画像(第3の光学画像)とダイ(2)の透過光によるフレーム画像(第4の光学画像)とを、画素毎に比較する。所定の判定閾値を用いて所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥候補と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、メモリ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0122】
或いは、マスク基板101にパターンを形成する基になった設計データ(描画データ)から作成した参照画像と光学画像とを比較する「die to database(ダイ−データベース)検査」を行ってもよい。
【0123】
かかる場合、参照画像作成回路112は、マスク基板101にパターンを形成する基になった設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータに基づいて、フレーム領域30毎に、参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計データ(描画データ)に定義されたパターンデータを読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
【0124】
ここで、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0125】
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2
8(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして参照回路112に出力する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
【0126】
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。測定画像としての光学画像データは、光学系によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。作成された参照画像の画像データは比較回路108に出力され、図示しないメモリに格納される。
【0127】
そして図示しない位置合わせ回路は、比較対象となる透過光によるフレーム画像(第3の光学画像)と、比較対象となる参照画像とについて、所定のアルゴリズムで位置合わせを行う。例えば、最小2乗法を用いて位置合わせを行う。
【0128】
そして図示しない比較処理回路は、位置合わせされたフレーム画像(第3の光学画像)と、比較対象となる参照画像とを、画素毎に比較する。所定の判定閾値を用いて所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥候補と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、メモリ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0129】
反射光のストライプ領域画像についても、透過光のストライプ領域画像に対して行った処理と同様の処理を行う。これにより、透過光によるパターン検査と反射光によるパターン検査とを同時期に行うことができる。透過検査と反射検査の両方を行うことで、疑似欠陥を排除でき、検査精度を向上させることができる。
【0130】
以上のように、偏光イメージを取得する場合に、回転絞り199と回転型1/2波長板190とロションプリズム192とがビームスプリッタ191の代わりに光路上に配置され、通常のパターン検査を行う場合に、ビームスプリッタ191が回転絞り199と回転型1/2波長板190とロションプリズム191との代わりに光路上に配置される。そして、通常検査モード(2)における対物レンズ171、結像レンズ172、及びミラー174の配置位置を変えずにそのまま偏光イメージ検査モード(1)で利用できるように、例えば、ロションプリズム192の偏光面の角度を調整する。これにより、通常検査モード(2)においてマスク基板101上での異なる位置でのパターンを一方では透過像として、他方では反射像として撮像し、異なる位置に結像する場合でも、マスク基板101上での同じ位置の像を0°偏光波と90°偏光波とに分けた後に、ロションプリズム191で軌道をずらすために透過像の結像位置と反射像の結像位置の一方に0°偏光波の結像位置と90°偏光波の結像位置との一方を合わせることができる。同様に、透過像の結像位置と反射像の結像位置の他方に0°偏光波の結像位置と90°偏光波の結像位置との他方を合わせることができる。よって、偏光イメージ検査モード(1)ができるだけではなく、さらに、通常検査モード(2)における透過検査と反射検査の同時検査を可能にできる。
【0131】
以上のように、実施の形態1によれば、露光装置で転写される場合の露光イメージ画像を作成するために利用可能な偏光イメージを取得できる。また、ミラー174を含めた結像光学系を偏光イメージの取得と通常のパターン検査との間で共用できる。
【0132】
以上の説明において、各「〜回路」は、処理回路を有し、その処理回路として、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等を用いることができる。また、各「〜回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112等は、上述した少なくとも1つの回路で構成されてもよい。
同様に、フレーム分割回路54,56、補正回路62、合成回路64、位置合わせ回路70、及び比較処理回路72は、上述した処理回路で構成されればよい。
【0133】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、露光イメージに合わせるように、2n個のP偏光波のフレーム画像と2n個のS偏光波によるフレーム画像との重み付け加算により合成する場合を説明したが、これに限るものではない。ダイ−ダイ検査なので、同じように画像が合成されていれば、露光イメージに合わせていなくても構わない。よって、露光イメージとは異なる比率で合成してもよい。或いは、合成せずにそれぞれダイ(1)とダイ(2)とで、各ダイの2n個のP偏光波のフレーム画像と2n個のS偏光波のうちの、対応する画像同士を独立に検査に使用しても良い。また、上述した例では、隣り合うパターン間距離を検査する場合を説明したがこれに限るものではない。例えば、合成フレーム画像(第1のダイ画像)と合成フレーム画像(第2のダイ画像)とを画素毎に階調値を所定のアルゴリズムで比較してもよい。例えば、合成フレーム画像(第1のダイ画像)の階調値から合成フレーム画像(第2のダイ画像)の階調値を差し引いた差分が閾値よりも大きい場合に欠陥と判定してもよい。
【0134】
また、2n個のP偏光波のフレーム画像と2n個のS偏光波によるフレーム画像とを同時期に合成する場合を示したが、これに限るものではない。例えば、2n個のP偏光波のフレーム画像を合成し、2n個のS偏光波によるフレーム画像を合成し、その後で、P偏光波の合成フレーム画像とS偏光波の合成フレーム画像とを合成しても良い。
【0135】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0136】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての偏光イメージ取得装置、パターン検査装置、及び偏光イメージ取得方法は、本発明の範囲に包含される。