特許第6917295号(P6917295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6917295
(24)【登録日】2021年7月21日
(45)【発行日】2021年8月11日
(54)【発明の名称】電子部品内蔵基板、シート基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20210729BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20210729BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210729BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20210729BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20210729BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20210729BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20210729BHJP
【FI】
   H05K3/28 B
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 L
   H05K1/02 A
   H01L23/30 R
   H01L23/12 501B
   H05K3/00 X
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-247790(P2017-247790)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2019-114686(P2019-114686A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松澤 悟志
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−199937(JP,A)
【文献】 特開昭62−287652(JP,A)
【文献】 特開平09−232474(JP,A)
【文献】 特開2012−222210(JP,A)
【文献】 特開2011−096865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
H01L 23/12−23/14
H01L 23/28−23/31
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下基板と、
前記下基板上に実装された電子部品と、
前記下基板と前記電子部品との間に充填されたアンダーフィル樹脂と、
前記電子部品及び前記下基板の上方に設けられた上基板と、
前記下基板と前記上基板との間に設けられ、前記下基板と前記上基板とを接続する基板接続部材と、
前記下基板と前記上基板との間に充填され、前記電子部品及び前記基板接続部材を封止する封止樹脂と、
を有し、
前記上基板は、基板本体と、基板本体の下面に形成されたソルダーレジスト層とを有し、
前記ソルダーレジスト層には、前記電子部品と対向する直上領域に先端が配置され、前記先端から、前記上基板の側面まで延びる複数の溝が形成され
複数の前記溝の互いの間隔が前記側面に向って徐々に広くなるように設定されていること、
を特徴とする電子部品内蔵基板。
【請求項2】
前記上基板は、互いに対向する2対の第1の側面対及び第2の側面対を有し、
前記基板接続部材は、前記第1の側面対に沿って配列され、
前記溝は、前記第2の側面対のうちの一方の側面まで延びるように形成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項3】
前記溝は、前記直上領域内の先端から前記側面に向けて徐々に幅広となるように形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項4】
前記溝は、前記直上領域内の先端から前記側面まで等しい幅にて形成されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵基板。
【請求項5】
複数の電子部品内蔵基板と、
隣接する2つの前記電子部品内蔵基板の間に設定された切断領域と、
を有し、
前記電子部品内蔵基板は、
下基板と、
前記下基板上に実装された電子部品と、
前記下基板と前記電子部品との間に充填されたアンダーフィル樹脂と、
前記電子部品及び前記下基板の上方に設けられた上基板と、
前記下基板と前記上基板との間に設けられ、前記下基板と前記上基板とを接続する基板接続部材と、
前記下基板と前記上基板との間に充填され、前記電子部品及び前記基板接続部材を封止する封止樹脂と、
を有し、
前記上基板は、基板本体と、基板本体の下面に形成されたソルダーレジスト層とを有し、
前記ソルダーレジスト層には、前記電子部品と対向する直上領域に先端が配置され、前記先端から、前記切断領域まで延びる複数の溝が形成され
複数の前記溝の互いの間隔が前記切断領域に向って徐々に広くなるように設定されていること、
を特徴とするシート基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子部品内蔵基板、シート基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等の電子部品を有した基板の小型化や省スペース化等のため、半導体チップ等の電子部品が埋め込まれた所謂電子部品内蔵基板が提案されている。電子部品内蔵基板は、半導体チップが実装された第1の基板に、はんだボールを介して第2の基板が積層され、第1の基板と第2の基板との間を樹脂封止されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/069606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1の基板と第2の基板との間の間隔(Gap)を狭くして電子部品内蔵基板を薄型化することが考えられる。すると、半導体チップと第2の基板との間に樹脂が十分に充填されず、半導体チップと第2の基板との間にボイドが発生する虞がある。ボイドが発生すると、例えば、ボイドが吸湿して膨張し、ボイドの近傍の樹脂に剥がれが生じる場合があり、電子部品内蔵基板の信頼性を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、電子部品内蔵基板は、下基板と、前記下基板上に実装された電子部品と、前記下基板と前記電子部品との間に充填されたアンダーフィル樹脂と、前記電子部品及び前記下基板の上方に設けられた上基板と、前記下基板と前記上基板との間に設けられ、前記下基板と前記上基板とを接続する基板接続部材と、前記下基板と前記上基板との間に充填され、前記電子部品及び前記基板接続部材を封止する封止樹脂と、を有し、前記上基板は、基板本体と、基板本体の下面に形成されたソルダーレジスト層とを有し、前記ソルダーレジスト層には、前記電子部品と対向する直上領域に先端が配置され、前記先端から、前記上基板の側面まで延びる複数の溝が形成され、複数の前記溝の互いの間隔が前記側面に向って徐々に広くなるように設定されている。
【0006】
また、本発明の別の一観点によれば、シート基板は、複数の電子部品内蔵基板と、隣接する2つの前記電子部品内蔵基板の間に設定された切断領域と、を有し、前記電子部品内蔵基板は、下基板と、前記下基板上に実装された電子部品と、前記下基板と前記電子部品との間に充填されたアンダーフィル樹脂と、前記電子部品及び前記下基板の上方に設けられた上基板と、前記下基板と前記上基板との間に設けられ、前記下基板と前記上基板とを接続する基板接続部材と、前記下基板と前記上基板との間に充填され、前記電子部品及び前記基板接続部材を封止する封止樹脂と、を有し、前記上基板は、基板本体と、基板本体の下面に形成されたソルダーレジスト層を有し、前記ソルダーレジスト層には、前記電子部品と対向する直上領域に先端が配置され、前記先端から、前記切断領域まで延びる複数の溝が形成され、複数の前記溝の互いの間隔が前記前記切断領域に向って徐々に広くなるように設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一開示によれば、信頼性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は電子部品内蔵基板を示す概略断面図、(b)は第2基板を示す概略平面図。
図2】(a)は上基板を形成するワーク基板を示す概略平面図、(b)はワーク基板の概略断面図。
図3】(a)は封止樹脂形成後のシート基板を示す概略平面図、(b)はシート基板の概略断面図。
図4】(a)(b)は比較例の電子部品内蔵基板を示す概略断面図、(c)は本実施形態の電子部品内蔵基板の作用を示す概略平面図。
図5】変形例の第2基板を示す概略平面図。
図6図5の第2基板を含むワーク基板の一部を示す概略平面図。
図7】変形例の第2基板を示す概略平面図。
図8】変形例の第2基板を示す概略平面図。
図9】変形例の第2基板を示す概略平面図。
図10図9の第2基板を含むワーク基板の一部を示す概略平面図。
図11】変形例のワーク基板を示す概略断面図。
図12】変形例の電子部品内蔵基板を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0010】
図1(a)に示すように、電子部品内蔵基板1は、下基板10、上基板20、半導体素子31、アンダーフィル樹脂32、基板接続部材40、封止樹脂50を有している。電子部品内蔵基板1において、下基板10と上基板20とが、下基板10と上基板20とを電気的に接続する基板接続部材40を介して積層されている。
【0011】
下基板10は、基板本体11、配線層12、ソルダーレジスト層13、配線層14、ソルダーレジスト層15を有している。
配線層12は、基板本体11の上面に形成されている。配線層14は、基板本体11の下面に形成されている。配線層12,14の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0012】
基板本体11は、配線層12と配線層14とを相互に電気的に接続する構造を有していれば十分である。このため、基板本体11の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が絶縁層を介して積層され、絶縁層に形成されたビアと配線層によって上記配線層12と配線層14を電気的に接続する。内部に形成される配線層やビアの材料としては、たとえば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。基板本体11としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。また、基板本体11として、シリコン基板やセラミック基板等を用いてもよい。
【0013】
ソルダーレジスト層13は、基板本体11の上面と配線層12の一部を覆うように設けられている。ソルダーレジスト層13は、配線層12の一部をパッド16として露出する開口部13Yと、配線層12の一部を接続パッド17として露出する開口部13Xとを有している。ソルダーレジスト層13の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0014】
なお、必要に応じて、開口部13X,13Yから露出する配線層12上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に上記半導体素子31を接続するようにしてもよい。また、開口部13X,13Yから露出する配線層12上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)層/Au層(配線層12上にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(配線層12上にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、上記Au層はAu又はAu合金からなる金属層、上記Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、上記Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。
【0015】
パッド16は、バンプ33を介して半導体素子31に接続されている。すなわち、半導体素子31は、下基板10に対してフリップチップ実装されている。半導体素子31としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子31としては、たとえばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。
【0016】
バンプ33としては、パッド16上のバンプ、半導体素子31のパッド上のバンプ、又は双方のバンプを用いることができる。バンプ33としては、例えば、金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば、鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0017】
なお、下基板10に半導体素子31を実装したが、これに限らず、他の電子部品(例えば、キャパシタ、インダクタ等)を下基板10に実装してもよい。また、複数の電子部品を下基板10に実装してもよい。
【0018】
アンダーフィル樹脂32は、下基板10の上面と半導体素子31との間に充填されている。アンダーフィル樹脂32の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0019】
ソルダーレジスト層15は、基板本体11の下面と配線層14の一部を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層15は、配線層14の一部を外部接続パッド18として露出する開口部15Xを有している。ソルダーレジスト層15の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0020】
外部接続パッド18には、この電子部品内蔵基板1をマザーボード等の実装基板(図示略)に実装する際に使用される外部接続端子60が接続されている。外部接続端子60は、例えば、はんだボールである。なお、外部接続端子60として、はんだバンプやリードピン等を外部接続パッド18に接続してもよい。
【0021】
なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層15の開口部15Xから露出する配線層14の表面にOSP処理を施してOSP膜を形成し、そのOSP膜に外部接続端子60を接続してもよい。また、開口部15Xから露出する配線層14の表面に金属層を形成し、その金属層に外部接続端子60を接続してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(配線層14の表面にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(配線層14の表面にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。なお、開口部15Xから露出する配線層14(あるいは、配線層14上にOSP膜や金属層が形成されている場合には、それらOSP膜又は金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0022】
上基板20は、基板本体21、ソルダーレジスト層23、配線層24、ソルダーレジスト層25を有している。
ソルダーレジスト層23は、基板本体21の上面を覆うように設けられている。ソルダーレジスト層23の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0023】
なお、上基板20において、基板本体21の上面に配線層が形成されていてもよい。その場合、ソルダーレジスト層23に、配線層の一部をパッドとして露出する開口部を形成することもできる。そして、必要に応じて、ソルダーレジスト層23から配線層にISP膜や金属層を形成することもできる。
【0024】
配線層24は、基板本体21の下面に形成されている。配線層24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
基板本体21としては、内部に配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体21の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が絶縁層を介して積層され、絶縁層に形成されたビアと配線層によって内部の配線層が配線層24と電気的に接続される。内部に形成される配線層やビアの材料としては、たとえば銅や銅合金を用いることができる。絶縁層の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。基板本体21としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。また、基板本体21として、シリコン基板やセラミック基板等を用いてもよい。
【0025】
ソルダーレジスト層25は、基板本体21の下面と配線層24の一部を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層25は、配線層24の一部を接続パッド26として露出する開口部25Xと、後述する排出溝27を有している。ソルダーレジスト層25の材料としては、たとえばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0026】
なお、必要に応じて、ソルダーレジスト層25の開口部25Xから露出する配線層24の表面にOSP処理を施してOSP膜を形成してもよい。また、開口部25Xから露出する配線層24上に金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni層/Au層(配線層24の表面にNi層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/Pd層/Au層(配線層24の表面にNi層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。
【0027】
下基板10の接続パッド17は、基板接続部材40を介して上基板20の接続パッド26に接続されている。
基板接続部材40は、下基板10と上基板20とを電気的に接続する機能を有する。また、基板接続部材40は、下基板10と上基板20との間に所定の間隔(離間距離,ギャップ)を規定値とする機能を有する。
【0028】
基板接続部材40としては、例えばコア付きはんだボールを用いることができる。基板接続部材40は、略球状のコア41と、コア41の外周面を被覆するはんだ42とを有する。コア41の材料としては、例えばCu等の金属からなる金属コアや、樹脂からなる樹脂コアを用いることができる。はんだ42としては、Pbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等のはんだ材料を用いることができる。
【0029】
なお、基板接続部材40は、コア41及びはんだ42を備えたコア付きのはんだボールには限定されず、例えば、コアを有していないはんだボール等を用いることもできる。又、銅ポスト等の金属ポストや金バンプ等の金属バンプを用いることもできる。コアを有していない、はんだボール等を用いた場合には、電子部品内蔵基板1の製造時に、所定の治具を用いて、下基板10と上基板20との間隔を設定できる。
【0030】
封止樹脂50は、下基板10と上基板20との間の空間に充填されている。この封止樹脂50は、半導体素子31、基板接続部材40、アンダーフィル樹脂32を封止する。この封止樹脂50により、上基板20が下基板10に対して固定される。封止樹脂50は、下基板10と上基板20とを接着する接着剤として機能する。また、封止樹脂50は、半導体素子31、基板接続部材40を保護する保護層として機能する。また、封止樹脂50は、電子部品内蔵基板1全体の機械的強度を高める。
【0031】
封止樹脂50の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、封止樹脂50の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂にシリカ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。フィラーとしては、シリカ以外に、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、チタン酸カルシウム、ゼオライト等の無機化合物、又は、有機化合物等を用いることができる。また、封止樹脂50としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いることができる。
【0032】
図1(a)に示すように、上基板20において、封止樹脂50により覆われるソルダーレジスト層25には、複数の排出溝27が形成されている。例えば、複数の排出溝27は、基板本体21の下面21bを露出するように形成されている。なお、排出溝27の深さをソルダーレジスト層25の厚さよりも小さくして基板本体21の下面21bが薄いソルダーレジスト層25により覆われるようにしてもよい。また、排出溝27により、基板本体21の下面に形成された配線層24が露出されてもよい。
【0033】
図1(b)に示すように、上基板20は、矩形状に形成されている。図1(b)において、図1(a)の半導体素子31と対向する直上領域A1を一点鎖線にて示している。上基板20のソルダーレジスト層25は、接続パッド26を露出する複数の開口部25Xを有している。この開口部25Xは、半導体素子31より外側に形成されている。
【0034】
上基板20は、側面20a,20b,20c,20dを有している。側面20a,20bは、互いに対向する第1の側面対を構成し、側面20c,20dは、互いに対向する第2の側面対を構成する。本実施形態において、開口部25Xは、上基板20の互いに対向する2対の側面20a,20b,20c,20dのうちの1対の側面20a,20bに沿って一列に配列されている。これらの開口部25Xから露出する接続パッド26に、図1(a)に示す基板接続部材40が接続される。
【0035】
複数の排出溝27は、半導体素子31と対向する直上領域A1から、開口部25Xの配列方向(図1(b)において上方)に沿って延びるように形成されている。そして、複数の排出溝27は、上基板20の互いに対向する2対の辺のうち、上述の開口部25Xが沿っていない1対の側面20c,20dのうちの一方の側面20dまで延びている。
【0036】
また、本実施形態において、複数の排出溝27は、半導体素子31と対向する直上領域A1内の先端27aから側面20dの端部27bに向けて徐々に幅広となるように形成されている。そして、複数の排出溝27は、半導体素子31と対向する直上領域A1に多くの排出溝27を配置するように、側面20dに向けて広がる放射状に形成されている。
【0037】
上述したように、図1(a)に示す封止樹脂50は、半導体素子31を実装し基板接続部材40により互いに接続した下基板10と上基板20とを、例えば封止金型内に配設し、封止金型内に樹脂を注入して形成される。このとき、樹脂は、図1(b)に示す上基板20に対して下方から注入される。つまり、複数の排出溝27は、幅が細い先端27aを樹脂の注入側として、その樹脂の注入方向に沿って幅広となるように形成されている。
【0038】
図2(a)及び図2(b)は、上基板20を形成するワーク基板120を示す。なお、図2(a)及び図2(b)において、図1(a)に示す電子部品内蔵基板1の各部材を形成する部材等については同じ符号を付して説明する。
【0039】
このワーク基板120は、複数(図2(a)では6つ)の上基板20として個片化される領域(以下、単に上基板20を用いる)を含む大判の基板である。
ワーク基板120には、上基板20がマトリックス状(図2(a)では、2×3)に配置されている。ワーク基板120には、シート切断の工程において上基板20を個片化するための切断領域A2が設定されている。切断領域A2は、各上基板20を囲むように設定されている。
【0040】
図2(b)に示すように、ワーク基板120は、基板本体121と、基板本体121の下面のソルダーレジスト層125とを有している。なお、ワーク基板120は、上述の上基板20の配線層24に対応する配線層と、上基板20のソルダーレジスト層23に対応するソルダーレジスト層とを有しているが、図2(b)では省略している。
【0041】
ソルダーレジスト層125には、上述したように、図1(a)に示す配線層24の一部を接続パッド26として露出する開口部25Xと、直上領域A1から延びる複数の排出溝27が形成されている。ワーク基板120において、排出溝27は、各上基板20における直上領域A1の内側から、各上基板20の外側の切断領域A2まで延びるように形成されている。排出溝27と開口部25Xは、例えば、フォトリソグラフィ法により形成される。
【0042】
ワーク基板120は、側面120a,120b,120c,120dを有している。側面120a,120bは、互いに対向する第1の側面対を構成し、側面120c,120dは、互いに対向する第2の側面対を構成する。本実施形態のワーク基板120において、開口部25Xは、ワーク基板120の互いに対向する2対の側面120a,120b,120c,120dのうちの1対の側面120a,120bと平行に配列されている。ワーク基板120は、これらの開口部25Xから露出する接続パッド26を有している。
【0043】
複数の排出溝27は、図1に示す半導体素子31の直上領域A1から、開口部25Xの配列方向(図2(a)において左右方向)に沿って延びるように形成されている。そして、複数の排出溝27は、ワーク基板120の互いに対向する2対の辺のうち、上述の開口部25Xが沿っていない1対の側面120c,120dのうちの一方の側面120dに向って、隣接する上基板20の間の切断領域A2まで延びている。
【0044】
また、本実施形態のワーク基板120において、複数の排出溝27は、図1(a)に示す半導体素子31と対向する直上領域A1内の先端27aから切断領域A2の端部27bに向けて徐々に幅広となるように形成されている。そして、複数の排出溝27は、直上領域A1に多くの排出溝27を配置するように、側面120d側の切断領域A2に向けて広がる放射状に形成されている。
【0045】
図3(a)及び図3(b)は、シート切断前のシート基板100を示す。シート基板100には複数(図3(a)では6つ)の電子部品内蔵基板1がマトリックス状に形成されている。なお、図3(a)及び図3(b)において、図1(a)に示す電子部品内蔵基板1の各部材を形成する部材等については同じ符号を付して説明する。なお、図3(a)及び図3(b)では、図1(a)に示す半導体素子31を接続するバンプ33、アンダーフィル樹脂32、等が省略されている。
【0046】
このシート基板100は、図2(a)及び図2(b)に示すワーク基板120と、図1(a)に示す下基板10を形成するワーク基板110とが、図3(a)に示す基板接続部材40により接続されている。図3(b)に示すように、下基板10の上面に半導体素子31が実装されている。上基板20のソルダーレジスト層125に形成された排出溝27は、半導体素子31の直上領域から、一点鎖線にて示す切断領域A2まで延びている。そして、下基板10を形成するワーク基板110と、上基板20を形成するワーク基板120の間に、封止樹脂50が形成されている。
【0047】
封止樹脂50は、半導体素子31を実装し基板接続部材40により互いに接続したワーク基板110と上述のワーク基板120とを、例えば封止金型内に配設し、封止金型内に樹脂を注入して形成される。このとき、樹脂は、図3(a)に示すように、ワーク基板120に対して側面120cの側から注入される。つまり、複数の排出溝27は、幅が細い先端27aを樹脂の注入側として、その樹脂の注入方向にそって幅広となるように形成されている。
【0048】
封止樹脂50を形成したシート基板100は、シート切断にて切断領域A2が切断され、図1(a)に示す電子部品内蔵基板1が形成される。
(作用)
図1(a)に示すように、電子部品内蔵基板1は、下基板10と上基板20とを有している。下基板10には半導体素子31が実装されている。上基板20は下基板10の上方に配置され、基板接続部材40により接続されている。下基板10と上基板20との間には、半導体素子31と基板接続部材40を封止する封止樹脂50が形成されている。上基板20は、基板本体21と、基板本体21の下面21bに形成されたソルダーレジスト層25とを有し、ソルダーレジスト層25には、少なくとも半導体素子31と対向する直上領域A1から、上基板20の側面20dまで延びる排出溝27が形成されている。この排出溝27により、封止樹脂50の形成時に生じるボイドの残存を抑制する。これを、比較例と比較して説明する。
【0049】
図4(a)、図4(b)は、比較例の電子部品内蔵基板200,210を示す。
図4(a)に示す電子部品内蔵基板200は、下基板10と上基板20との間の距離(ギャップ)は、半導体素子31と上基板20との間に封止樹脂50を十分に充填するように設定されている。図4(b)に示す電子部品内蔵基板210は、小型化のため、図4(a)に示す電子部品内蔵基板200のギャップG1と比べ、下基板10と上基板20との間のギャップG2が狭く設定されている。この電子部品内蔵基板210では、半導体素子31と上基板20との間に十分に封止樹脂50が充填されず、上基板20の下面にボイド(気泡)B1が発生する。
【0050】
図4(c)は、図3(a)に示すシート基板100の一部を示す。なお、図4(c)では、上基板20を形成するワーク基板120を、ソルダーレジスト層125の側から示している。このワーク基板120と、図3(b)に示す下基板10を形成するワーク基板110との間に封止樹脂50を形成する。封止樹脂50は、封止金型内において、図4(c)に示すワーク基板120の左型から注入される。このとき、図4(b)に示す電子部品内蔵基板210と同様に、ボイドB1が発生する場合がある。ボイドB1は、上基板20の下面、つまり排出溝27に入り、注入される封止樹脂50によって排出溝27内を移動する。そして、ボイドB1は、切断領域A2まで延びる排出溝27の端部27bに留まる。封止樹脂50を硬化した後、この切断領域A2を切断して上基板20を含む電子部品内蔵基板1が個片化される。これにより、ボイドの残存が抑制された電子部品内蔵基板1が得られる。
【0051】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)電子部品内蔵基板1は、下基板10と上基板20とを有している。下基板10には半導体素子31が実装されている。上基板20は下基板10の上方に配置され、基板接続部材40により接続されている。下基板10と上基板20との間には、半導体素子31と基板接続部材40を封止する封止樹脂50が形成されている。上基板20は、基板本体21と、基板本体21の下面21bに形成されたソルダーレジスト層25とを有し、ソルダーレジスト層25には、少なくとも半導体素子31と対向する直上領域A1から、上基板20の側面20dまで延びる排出溝27が形成されている。
【0052】
この排出溝27により、封止樹脂50の形成時に生じるボイドB1は、注入される封止樹脂50によって、半導体素子31に対する直上領域A1から上基板20の側面20dに向けて移動する。このため、ボイドB1の残存が抑制された電子部品内蔵基板1が得られる。ボイドB1は、近傍の樹脂の剥がれを生じさせ、信頼性を低下させる。これに対し、本実施形態の電子部品内蔵基板1は、ボイドB1の残存が抑制されるため、信頼性の低下を抑制できる。
【0053】
(2)複数の排出溝27は、半導体素子31と対向する直上領域A1内の先端27aから側面20dの端部27bに向けて徐々に幅広となるように形成されている。従って、封止樹脂50の形成工程において、複数のボイドB1が発生しても、端部27bが幅広に形成されているため、その端部27bに続く切断領域A2に多くのボイドB1を収容することができる。このため、ボイドB1が電子部品内蔵基板1の中に残存し難くなる。
【0054】
(3)複数の排出溝27は、半導体素子31と対向する直上領域A1に多くの排出溝27を配置するように、側面20dに向けて広がる放射状に形成されている。これにより、半導体素子31に対する直上領域A1に多くの排出溝27を形成することができ、よりボイドB1を排出し易くなる。
【0055】
(変形例)
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態に対し、上基板20の構成や、排出溝27の本数、形状、等を適宜変更してもよい。
【0056】
図5は変形例の上基板300を示し、図6は、図5の上基板300を形成するワーク基板310の一部を示す。上基板300のソルダーレジスト層301には、4つの排出溝302が形成されている。各排出溝302は、直上領域A1から側面300dまで延び、互いに平行に形成されている。
【0057】
図7に示すように、上基板320のソルダーレジスト層321には、5つの排出溝322が形成されている。これらの排出溝322は、上記実施形態と同様に、直上領域A1から側面320dに向って放射状に形成されている。また、各排出溝322は、全体に亘って同一幅にて形成されている。
【0058】
図8に示すように、上基板330のソルダーレジスト層331には、4つの排出溝332が形成されている。各排出溝332は、また、直上領域A1から側面330dまで延び、互いに平行に形成されている。また、各排出溝332は、全体に亘って同一幅にて形成されている。
【0059】
図9に示すように、上基板340のソルダーレジスト層341には、4つの排出溝342が形成されている。各排出溝342は、直上領域A1を通り、一対の側面340c,340dの一方の側面340cから他方の側面340dまで延び、互いに平行に形成されている。また、各排出溝342は、全体に亘って同一幅にて形成されている。
【0060】
図10は、図9の上基板340を形成するワーク基板350の一部を示す。このワーク基板350において、排出溝342は、上基板340を通過して、側面340c(上基板340となる領域の辺)の側の切断領域A2から、側面340dの側の切断領域A2まで延びるように形成されている。さらに、複数の上基板340に対して、排出溝342が連続するように形成されている。
【0061】
図11は、変形例のワーク基板360を示す。このワーク基板360は、図1(a)に示す上基板20を形成するために用いられる。このワーク基板360のソルダーレジスト層361には、上基板20の周囲の切断領域A2に、環状の溝部362が形成されている。溝部362は、各上基板20の排出溝27と連続するように形成されている。
【0062】
ソルダーレジスト層を複数の層構造とし、複数層の一部に排出溝を形成してもよい。一例を図12に示す。
図12に示すように、上基板370のソルダーレジスト層371は、基板本体21の下面21bと配線層24の一部を覆う第1レジスト層372と、第1レジスト層372の一部を覆う第2レジスト層373を有している。第2レジスト層373には、第1レジスト層372の開口部372Xにより露出された接続パッド26を露出する開口部373Xと、第1レジスト層372の下面372bの一部を露出するように形成された排出溝374とを有している。
【0063】
・上記実施形態では、シート基板100に複数の電子部品内蔵基板1をマトリックス状に形成したが、一列状に電子部品内蔵基板1を形成したシート基板としてもよい。
・接続パッド26は上記実施形態の形状に限定されず、例えば、四角形状、つまり開口部25Xの形状を四角形状としてもよい。
【0064】
・接続パッド26の配列は上記実施形態に限定されず、例えば、ソルダーレジスト層25に複数列の開口部25Xを形成し、複数列の接続パッド26を形成してもよい。また、半導体素子31を囲むように開口部25Xを形成して接続パッド26を配列してもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 下基板
20 上基板
21 基板本体
25 ソルダーレジスト層
27 排出溝(溝)
31 半導体素子(電子部品)
40 基板接続部材
100 シート基板
110、120 ワーク基板
A1 直上領域
A2 切断領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12